プラスチックシート用ミシン目
【課題】 切断の際にミシン目からずれないで容易にミシン目に沿って切断することができ、且つ、ミシン目の形成方向に対して横の引張力に対しても高い強度を有するプラスチックシート用ミシン目を提供する。
【解決手段】 プラスチックシートの切断用に形成されたミシン目において、ミシン目18を構成する各切れ目20は、間隔をおいて、且つ一方主面から他方主面に至るように、貫通孔を溶断することにより形成される、プラスチックシート用ミシン目である。
【解決手段】 プラスチックシートの切断用に形成されたミシン目において、ミシン目18を構成する各切れ目20は、間隔をおいて、且つ一方主面から他方主面に至るように、貫通孔を溶断することにより形成される、プラスチックシート用ミシン目である。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、プラスチックシート用ミシン目に関し、特にたとえば、プラスチックシートの開封・切断のための補助手段として形成されるプラスチックシート用ミシン目に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、この考案の背景となるプラスチックシートに用いられる従来のミシン目の一例を示す平面図である。プラスチックシートを切断するためには、刃先が櫛歯状に形成されたミシン目刃により、プラスチックシート2を間隔をおいて切断し、破線状に切れ目3を形成したミシン目1が考えられる。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、切断により形成された各切れ目3の切断面が微細な鋸刃状となっているミシン目1では、剪断力により切れ目3の切断面からプラスチックシート2が破断しやすく、図9に示すように、切断途中にミシン目1からずれて破断することが多くなる。そのため、連続的に形成されたシート製品の一部を切断時に無駄にしてう場合があり、不経済的である。
【0004】
また、ミシン目1に沿ってプラスチックシート2を切断し易くするために、結合部4の切断方向の長さを小さくした場合には、ミシン目1の形成方向に対して横の引張力に対して強度が弱くなる。そのため、ロール状に巻かれた長尺状のプラスチックシートの幅方向にミシン目1を形成した場合には、引き出す時などにミシン目1より予期せず破断してしまい、作業を中断しなければならない場合があるため、非能率的である。
【0005】
それゆえに、この考案の主たる目的は、切断の際にミシン目からずれないで容易にミシン目に沿って切断することができ、且つ、ミシン目の形成方向に対して横の引張力に対しても高い強度を有するプラスチックシート用ミシン目を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この考案は、プラスチックシートの切断用に形成されたミシン目において、ミシン目を構成する各切れ目は、間隔をおいて、且つ一方主面から他方主面に至るように、プラスチックシートを溶断してなる貫通孔により形成される、プラスチックシート用ミシン目である。
【0007】
【作用・効果】
この考案のプラスチックシート用ミシン目は、ミシン目を構成する各切れ目を、間隔をおいて、且つ一方主面から他方主面に貫通するように溶断して形成したことにより、ミシン目に沿って切断しやすくなっている。これは、各切れ目の切断面が、溶断時に溶解されることにより滑らかな面に形成され、切断面に剪断力が集中してかかる度合いが改善されたことと、そして、各切れ目の間、すなわち結合部のプラスチック分子の配向が、各切れ目を溶断して形成するときに同時に加熱されたことにより、緩和され、その結果プラスチック分子の配向方向への引き裂き性が低くなったためと推定される。これにより、切断の際にミシン目からずれないで容易にミシン目に沿って切断することができ、且つミシン目の形成方向に対して横の引張力に対しても高い強度を有するミシン目が形成される。
【0008】
この考案の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の考案の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0009】
【考案の実施の形態】
図1は、この考案の一実施形態が適用されたパック材10を示す斜視図である。図2は、その線II−IIにおける断面図解図であり、図3は、その要部を示す平面拡大図であり、図4は線IV−IVにおける断面図解図である。パック材10は、たとえば長尺状の基材12を含む。この実施形態において、基材12は、厚さ25μ〜40μの2軸延伸ポリプロピレンフィルムから形成されているが、ポリスチレン、ポリプロピレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂から形成されたシートであればよく、また、厚さについても上述の値の限りでなく、一般にフィルムと呼ばれる薄いシート等を用いてもよい。また、この実施形態の基材12は、長手方向及び幅方向に延伸されているが、必ずしもこの方向に延伸される必要はなく、また延伸されてなくてもよい。
【0010】
基材12の裏面に、適宜な幅の粘着剤層14a,14bが基材12の側縁に沿って平行に且つ適宜な間隔をおいて連続して形成され、且つ、基材12の表面であって、粘着剤層14a,14bとは反対側の位置において、基材12の両側縁と平行で粘着剤層14a,14bと対応して適宜な間隔をおいて剥離剤層16aおよび剥離剤層16bが形成されている。
【0011】
そして、基材12には、適宜な間隔をおいて基材12の幅方向にミシン目18が一方端縁から他方端縁に至るまで形成されている。このミシン目18は、図3に示すように、略直線状の切れ目20と、各切れ目20の間に形成される結合部22を切断方向に交互に連続的に配置することにより形成されている。すなわち、図1の実施形態においては、基材12を左右両方向から切断可能である。なお、この実施形態において、切れ目20の切断方向の長さは、略3mmに、そして、結合部22の切断方向の長さは、1mmに満たない長さに形成されているが、この形状は、基材12に用いられるプラスチックシートの物理的性質にあわせて、適宜変化されるものである。
【0012】
ミシン目18の各切れ目20は、基材12の表面から裏面に貫通するように溶断されて形成されているので、単に切断により形成されたときよりも、滑らかな切断面24を有して形成される。これにより、切断面24に切断方向とは違う方向の剪断力が加えられた場合においても、切断面24の一箇所に剪断力が集中することがないので、基材12が切断方向から容易にずれて破断することがない。
【0013】
また、結合部22についても、切れ目20を溶断して形成するときに基材12の融点近くの温度まで加熱され、基材12の延伸方向に向いているプラスチック分子の配向が緩和されているので、プラスチック分子の配向に裂けやすい性質が軽減されている。これにより、切断面24に切断方向とは違う方向の剪断力が加えられた場合においても、結合部22が切断方向から容易にずれて破断することがない。
【0014】
したがって、各々のパック材10として使用するときは、図5に示すように、各切れ目20および結合部22は切断方向よりずれて破断することがないので、パック材10を無駄にすることなく、ミシン目18に沿って切断してパック材10を使用することができる。なお、図5は、図1に示す一実施形態の切断状況を示す要部の平面拡大図である。
【0015】
続いて、図6に基づいてミシン目18の形成過程について説明する。図6は、図1に示すミシン目18が形成される過程を示す断面図解図である。このミシン目18を形成するには、基材12の融点より若干高めの温度に保持した、刃先が櫛刃状などに形成された穿孔刃を、基材12に押し当てて、基材12を切断し、切断面24を溶解することにより形成される。このとき、もし穿孔刃の温度が基材12の融点より高すぎる場合には、不必要に基材12を溶解してしまい結合部22までも溶断してしまいミシン目18が形成されない。また、穿孔刃の温度が基材12の融点より低いときには、切れ目20の切断面24が溶解されず滑らかな面が得られないうえに、結合部22が十分加熱されず、プラスチック分子の配向が緩和されないので、上述の効果が十分得られない。よって、溶断に用いる穿孔刃の温度は、基材12に用いられるプラスチックシートの融点を考慮に入れて設定する必要性がある。
【0016】
図1に示す実施形態においては、粘着剤層14aと粘着剤層14bとの間隔とは、それぞれこのパック材10を用いて被覆されるいちご、ぶどう等の青果の容器の開口部に対応したものであり、容器開口部の対向する口縁の間隔より若干広く形成されている。
【0017】
そして、基材12がロール状に巻かれたとき、粘着剤層14a,14bと対向する基材12の表面、すなわち粘着剤層14a,14bの内側と接する面に剥離剤層16aおよび剥離剤層16bが形成され、ロール状に巻かれたパック材10を用いるために、基材12を引き出すとき、剥離剤層16aおよび剥離剤層16bの作用により引き出しやすく形成されている。
【0018】
基材12の裏面に形成された粘着剤層14a,14bは、各パック材10に粘着力を与えるためのものであり、たとえばアクリル共重合樹脂、ゴム系接着剤等の公知の粘着剤が用いられる。
【0019】
基材12の表面には、さらに各パック材10の境界を隔てて各パック材10のたとえば、ぶどうの絵や産地名等の表示部を形成する印刷層26が形成されている。この印刷層26は、一般的な印刷インクを用い、平版、凸版あるいはオフセット印刷その他の公知印刷方法により印刷して形成される。基材12の表面側、すなわち印刷層26の表面上にあるいは印刷層26の表面を除いて基材12の表面に直接的に形成された剥離剤層16a,16bは、この図示例においては、剥離剤層16a,16bを構成する剥離剤としては、UVシリコン(いわゆる紫外線硬化型のシリコン)やEBシリコン(いわゆる電子線硬化型のシリコン)のように紫外線や電子線で硬化されるようなものが選択されるのがよい。
【0020】
また、この図1に示す実施形態においては、Uカット加工が基材12に施されてU字型の通気孔30が形成されている。この通気孔30の形状は、この例に限らず、丸孔等であってもよく、また、基材12の通気性がよければ、必らずしも形成しなくてもよい。なお、このパック材は、青果やそば等のようにトレーに入れられたものの開口部を覆うパック材として用いられる。
【0021】
引き続き、図1に示す実施形態の製造方法の一例について、主として図7および図8に基づいて説明する。図7および図8は、図1に示す実施形態の製造方法の一例を示す図解図であり、図7は、その前半の工程を示す図であり、図8は後半の工程を示す図である。
【0022】
まず、ロール状に巻き重ねられた紙またはフィルムまたはシート状のプラスチック等からなる長尺帯状の工程シート32をロール状に巻き重ねられたものを準備する。この工程シート32は、製造工程においてのみ用いられるものであり、完成したパック材10には残存しないものである。そして、工程シート32の表面はシリコン樹脂あるいはフッソ樹脂等の剥離剤を印刷・塗布され、剥離性を有する剥離層32aが形成されている。
【0023】
次に、この工程シート32の剥離層32aの表面に粘着剤層14a,14bを形成する粘着剤34を印刷・塗布するのであるが、この粘着剤塗布装置100は、2つのローラ102aおよび102bを含む。ローラ102aは、その下部がパン104に溜めた粘着剤34に浸漬されている。したがって、ローラ102aおよび102bを回転させることによって、その部位に導かれた工程シート32の剥離層32a表面に、粘着剤34が印刷塗布される。なお、粘着剤塗布装置としては、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、エアーナイフコーター等の塗布装置を用いてもよく、また、スクリーン印刷機等の公知の印刷機を用いてもよい。
【0024】
そして、粘着剤34が印刷塗布された工程シート32は、たとえばヒーターを含むドライヤー106に導かれる。ドライヤー106では工程シート32に印刷塗布された粘着剤34が乾燥されて粘着剤層14a,14bとして形成される。
粘着剤34として、EVA系、酢ビ系、アクリル系等の水溶性樹脂を含む接着剤あるいはウレタン、アクリル等からなる溶剤型接着剤を用いる場合は、乾燥機を用い、ゴム系、EVA系のホットメルト型接着剤を用いる場合は、冷却機を用いる。
【0025】
このように粘着剤層14a,14bが形成された工程シート32の剥離層32a側に、基材12となるプラスチックシート12aが積層される。プラスチックシート12aには、あらかじめ幅方向にミシン目18が溶断され形成されている。
【0026】
このように、工程シート32、粘着剤34の層および基材12とが積層された積層物は、次の印刷等の工程に導く前に、積層された状態で予め最終製品たるパック材10の幅とほぼ近似した幅となるようにスリッタ108でスリットされ、スリット後にロール状に巻き重ねられる。
【0027】
この工程シート32と基材12の連続体とが粘着剤34の層をもって積層し仮着されてなる積層物36は、ロール状に巻き重ねられ、積層物36はロール状に巻き重ねられた状態において、図8に示す次工程の印刷および剥離剤塗布装置に導かれる。
【0028】
次に、積層物36の積層ロール状に巻き重ねられたロール状積層物36は、図8に示す製造装置に装填され、積層物36を巻き戻して、印刷層26を形成するための印刷装置110に導かれる。この印刷装置110は、各パック材10を構成する表示部を印刷するものであり、たとえば商品名等の文字や適宜な図柄等からなる画線を平版、凸版あるいはオフセット印刷等の公知の印刷装置によって印刷するものである。
【0029】
引き続き、印刷層26が形成された積層物36は、基材14の印刷層26の表面に剥離剤層16a,16bを形成するための剥離剤塗布装置120に導かれる。この剥離剤塗布装置120は、メインローラ122aと該メインローラ122aに対向して設けられたローラ122bを含む。そして、メインローラ122aは、その下部がパン124に溜められた剥離剤38に浸漬されており、メインローラ122aとローラ122bとに挟まれている積層物36の基材12の表面にメインローラ122aで剥離剤38が塗布される。そして、剥離剤38が印刷塗布された積層物36は、たとえばヒーターを含む乾燥機126に移動される。乾燥機126では、積層物36に印刷塗布された剥離剤38が乾燥されて剥離剤層16a,16bとして形成される。そして、剥離剤層16a,16bと積層物32が積層されてなるパック材10は、次に工程シート除去装置130に導かれる。工程シート除去装置130は、ローラ132を含み、積層物36の剥離剤層16a,16b表面より工程シート32を剥離し、別途再利用できるようにロール状に巻き取られる。
【0030】
一方、パック材10を構成する積層物は、さらに最適なパック材10の幅となるようにスリッタ140で両側縁をあるいは一方側縁を切断加工しながら、ロール状に巻き重ねられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す線II−IIにおける断面図解図である。
【図3】図1に示す一実施形態の要部を示す平面拡大図である。
【図4】図3に示す線IV−IVにおける断面図解図である。
【図5】図1に示す一実施形態の切断状況を示す要部の平面拡大図である。
【図6】図1に示すミシン目が形成される過程を示す断面図解図である。
【図7】図1に示す一実施形態の製造方法の一例を示す図解図であり、その前半の工程を示す図である。
【図8】図1に示す一実施形態の製造方法の一例を示す図解図であり、その後半の工程を示す図である。
【図9】この考案の背景となるプラスチックシートに用いられる従来のミシン目の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
10 パック材
12 基材
14a,14b 粘着剤層
16a,16b 剥離剤層
18 ミシン目
20 切れ目
22 結合部
24 切断面
26 印刷層
30 通気孔
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、プラスチックシート用ミシン目に関し、特にたとえば、プラスチックシートの開封・切断のための補助手段として形成されるプラスチックシート用ミシン目に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、この考案の背景となるプラスチックシートに用いられる従来のミシン目の一例を示す平面図である。プラスチックシートを切断するためには、刃先が櫛歯状に形成されたミシン目刃により、プラスチックシート2を間隔をおいて切断し、破線状に切れ目3を形成したミシン目1が考えられる。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、切断により形成された各切れ目3の切断面が微細な鋸刃状となっているミシン目1では、剪断力により切れ目3の切断面からプラスチックシート2が破断しやすく、図9に示すように、切断途中にミシン目1からずれて破断することが多くなる。そのため、連続的に形成されたシート製品の一部を切断時に無駄にしてう場合があり、不経済的である。
【0004】
また、ミシン目1に沿ってプラスチックシート2を切断し易くするために、結合部4の切断方向の長さを小さくした場合には、ミシン目1の形成方向に対して横の引張力に対して強度が弱くなる。そのため、ロール状に巻かれた長尺状のプラスチックシートの幅方向にミシン目1を形成した場合には、引き出す時などにミシン目1より予期せず破断してしまい、作業を中断しなければならない場合があるため、非能率的である。
【0005】
それゆえに、この考案の主たる目的は、切断の際にミシン目からずれないで容易にミシン目に沿って切断することができ、且つ、ミシン目の形成方向に対して横の引張力に対しても高い強度を有するプラスチックシート用ミシン目を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この考案は、プラスチックシートの切断用に形成されたミシン目において、ミシン目を構成する各切れ目は、間隔をおいて、且つ一方主面から他方主面に至るように、プラスチックシートを溶断してなる貫通孔により形成される、プラスチックシート用ミシン目である。
【0007】
【作用・効果】
この考案のプラスチックシート用ミシン目は、ミシン目を構成する各切れ目を、間隔をおいて、且つ一方主面から他方主面に貫通するように溶断して形成したことにより、ミシン目に沿って切断しやすくなっている。これは、各切れ目の切断面が、溶断時に溶解されることにより滑らかな面に形成され、切断面に剪断力が集中してかかる度合いが改善されたことと、そして、各切れ目の間、すなわち結合部のプラスチック分子の配向が、各切れ目を溶断して形成するときに同時に加熱されたことにより、緩和され、その結果プラスチック分子の配向方向への引き裂き性が低くなったためと推定される。これにより、切断の際にミシン目からずれないで容易にミシン目に沿って切断することができ、且つミシン目の形成方向に対して横の引張力に対しても高い強度を有するミシン目が形成される。
【0008】
この考案の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の考案の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0009】
【考案の実施の形態】
図1は、この考案の一実施形態が適用されたパック材10を示す斜視図である。図2は、その線II−IIにおける断面図解図であり、図3は、その要部を示す平面拡大図であり、図4は線IV−IVにおける断面図解図である。パック材10は、たとえば長尺状の基材12を含む。この実施形態において、基材12は、厚さ25μ〜40μの2軸延伸ポリプロピレンフィルムから形成されているが、ポリスチレン、ポリプロピレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂から形成されたシートであればよく、また、厚さについても上述の値の限りでなく、一般にフィルムと呼ばれる薄いシート等を用いてもよい。また、この実施形態の基材12は、長手方向及び幅方向に延伸されているが、必ずしもこの方向に延伸される必要はなく、また延伸されてなくてもよい。
【0010】
基材12の裏面に、適宜な幅の粘着剤層14a,14bが基材12の側縁に沿って平行に且つ適宜な間隔をおいて連続して形成され、且つ、基材12の表面であって、粘着剤層14a,14bとは反対側の位置において、基材12の両側縁と平行で粘着剤層14a,14bと対応して適宜な間隔をおいて剥離剤層16aおよび剥離剤層16bが形成されている。
【0011】
そして、基材12には、適宜な間隔をおいて基材12の幅方向にミシン目18が一方端縁から他方端縁に至るまで形成されている。このミシン目18は、図3に示すように、略直線状の切れ目20と、各切れ目20の間に形成される結合部22を切断方向に交互に連続的に配置することにより形成されている。すなわち、図1の実施形態においては、基材12を左右両方向から切断可能である。なお、この実施形態において、切れ目20の切断方向の長さは、略3mmに、そして、結合部22の切断方向の長さは、1mmに満たない長さに形成されているが、この形状は、基材12に用いられるプラスチックシートの物理的性質にあわせて、適宜変化されるものである。
【0012】
ミシン目18の各切れ目20は、基材12の表面から裏面に貫通するように溶断されて形成されているので、単に切断により形成されたときよりも、滑らかな切断面24を有して形成される。これにより、切断面24に切断方向とは違う方向の剪断力が加えられた場合においても、切断面24の一箇所に剪断力が集中することがないので、基材12が切断方向から容易にずれて破断することがない。
【0013】
また、結合部22についても、切れ目20を溶断して形成するときに基材12の融点近くの温度まで加熱され、基材12の延伸方向に向いているプラスチック分子の配向が緩和されているので、プラスチック分子の配向に裂けやすい性質が軽減されている。これにより、切断面24に切断方向とは違う方向の剪断力が加えられた場合においても、結合部22が切断方向から容易にずれて破断することがない。
【0014】
したがって、各々のパック材10として使用するときは、図5に示すように、各切れ目20および結合部22は切断方向よりずれて破断することがないので、パック材10を無駄にすることなく、ミシン目18に沿って切断してパック材10を使用することができる。なお、図5は、図1に示す一実施形態の切断状況を示す要部の平面拡大図である。
【0015】
続いて、図6に基づいてミシン目18の形成過程について説明する。図6は、図1に示すミシン目18が形成される過程を示す断面図解図である。このミシン目18を形成するには、基材12の融点より若干高めの温度に保持した、刃先が櫛刃状などに形成された穿孔刃を、基材12に押し当てて、基材12を切断し、切断面24を溶解することにより形成される。このとき、もし穿孔刃の温度が基材12の融点より高すぎる場合には、不必要に基材12を溶解してしまい結合部22までも溶断してしまいミシン目18が形成されない。また、穿孔刃の温度が基材12の融点より低いときには、切れ目20の切断面24が溶解されず滑らかな面が得られないうえに、結合部22が十分加熱されず、プラスチック分子の配向が緩和されないので、上述の効果が十分得られない。よって、溶断に用いる穿孔刃の温度は、基材12に用いられるプラスチックシートの融点を考慮に入れて設定する必要性がある。
【0016】
図1に示す実施形態においては、粘着剤層14aと粘着剤層14bとの間隔とは、それぞれこのパック材10を用いて被覆されるいちご、ぶどう等の青果の容器の開口部に対応したものであり、容器開口部の対向する口縁の間隔より若干広く形成されている。
【0017】
そして、基材12がロール状に巻かれたとき、粘着剤層14a,14bと対向する基材12の表面、すなわち粘着剤層14a,14bの内側と接する面に剥離剤層16aおよび剥離剤層16bが形成され、ロール状に巻かれたパック材10を用いるために、基材12を引き出すとき、剥離剤層16aおよび剥離剤層16bの作用により引き出しやすく形成されている。
【0018】
基材12の裏面に形成された粘着剤層14a,14bは、各パック材10に粘着力を与えるためのものであり、たとえばアクリル共重合樹脂、ゴム系接着剤等の公知の粘着剤が用いられる。
【0019】
基材12の表面には、さらに各パック材10の境界を隔てて各パック材10のたとえば、ぶどうの絵や産地名等の表示部を形成する印刷層26が形成されている。この印刷層26は、一般的な印刷インクを用い、平版、凸版あるいはオフセット印刷その他の公知印刷方法により印刷して形成される。基材12の表面側、すなわち印刷層26の表面上にあるいは印刷層26の表面を除いて基材12の表面に直接的に形成された剥離剤層16a,16bは、この図示例においては、剥離剤層16a,16bを構成する剥離剤としては、UVシリコン(いわゆる紫外線硬化型のシリコン)やEBシリコン(いわゆる電子線硬化型のシリコン)のように紫外線や電子線で硬化されるようなものが選択されるのがよい。
【0020】
また、この図1に示す実施形態においては、Uカット加工が基材12に施されてU字型の通気孔30が形成されている。この通気孔30の形状は、この例に限らず、丸孔等であってもよく、また、基材12の通気性がよければ、必らずしも形成しなくてもよい。なお、このパック材は、青果やそば等のようにトレーに入れられたものの開口部を覆うパック材として用いられる。
【0021】
引き続き、図1に示す実施形態の製造方法の一例について、主として図7および図8に基づいて説明する。図7および図8は、図1に示す実施形態の製造方法の一例を示す図解図であり、図7は、その前半の工程を示す図であり、図8は後半の工程を示す図である。
【0022】
まず、ロール状に巻き重ねられた紙またはフィルムまたはシート状のプラスチック等からなる長尺帯状の工程シート32をロール状に巻き重ねられたものを準備する。この工程シート32は、製造工程においてのみ用いられるものであり、完成したパック材10には残存しないものである。そして、工程シート32の表面はシリコン樹脂あるいはフッソ樹脂等の剥離剤を印刷・塗布され、剥離性を有する剥離層32aが形成されている。
【0023】
次に、この工程シート32の剥離層32aの表面に粘着剤層14a,14bを形成する粘着剤34を印刷・塗布するのであるが、この粘着剤塗布装置100は、2つのローラ102aおよび102bを含む。ローラ102aは、その下部がパン104に溜めた粘着剤34に浸漬されている。したがって、ローラ102aおよび102bを回転させることによって、その部位に導かれた工程シート32の剥離層32a表面に、粘着剤34が印刷塗布される。なお、粘着剤塗布装置としては、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、エアーナイフコーター等の塗布装置を用いてもよく、また、スクリーン印刷機等の公知の印刷機を用いてもよい。
【0024】
そして、粘着剤34が印刷塗布された工程シート32は、たとえばヒーターを含むドライヤー106に導かれる。ドライヤー106では工程シート32に印刷塗布された粘着剤34が乾燥されて粘着剤層14a,14bとして形成される。
粘着剤34として、EVA系、酢ビ系、アクリル系等の水溶性樹脂を含む接着剤あるいはウレタン、アクリル等からなる溶剤型接着剤を用いる場合は、乾燥機を用い、ゴム系、EVA系のホットメルト型接着剤を用いる場合は、冷却機を用いる。
【0025】
このように粘着剤層14a,14bが形成された工程シート32の剥離層32a側に、基材12となるプラスチックシート12aが積層される。プラスチックシート12aには、あらかじめ幅方向にミシン目18が溶断され形成されている。
【0026】
このように、工程シート32、粘着剤34の層および基材12とが積層された積層物は、次の印刷等の工程に導く前に、積層された状態で予め最終製品たるパック材10の幅とほぼ近似した幅となるようにスリッタ108でスリットされ、スリット後にロール状に巻き重ねられる。
【0027】
この工程シート32と基材12の連続体とが粘着剤34の層をもって積層し仮着されてなる積層物36は、ロール状に巻き重ねられ、積層物36はロール状に巻き重ねられた状態において、図8に示す次工程の印刷および剥離剤塗布装置に導かれる。
【0028】
次に、積層物36の積層ロール状に巻き重ねられたロール状積層物36は、図8に示す製造装置に装填され、積層物36を巻き戻して、印刷層26を形成するための印刷装置110に導かれる。この印刷装置110は、各パック材10を構成する表示部を印刷するものであり、たとえば商品名等の文字や適宜な図柄等からなる画線を平版、凸版あるいはオフセット印刷等の公知の印刷装置によって印刷するものである。
【0029】
引き続き、印刷層26が形成された積層物36は、基材14の印刷層26の表面に剥離剤層16a,16bを形成するための剥離剤塗布装置120に導かれる。この剥離剤塗布装置120は、メインローラ122aと該メインローラ122aに対向して設けられたローラ122bを含む。そして、メインローラ122aは、その下部がパン124に溜められた剥離剤38に浸漬されており、メインローラ122aとローラ122bとに挟まれている積層物36の基材12の表面にメインローラ122aで剥離剤38が塗布される。そして、剥離剤38が印刷塗布された積層物36は、たとえばヒーターを含む乾燥機126に移動される。乾燥機126では、積層物36に印刷塗布された剥離剤38が乾燥されて剥離剤層16a,16bとして形成される。そして、剥離剤層16a,16bと積層物32が積層されてなるパック材10は、次に工程シート除去装置130に導かれる。工程シート除去装置130は、ローラ132を含み、積層物36の剥離剤層16a,16b表面より工程シート32を剥離し、別途再利用できるようにロール状に巻き取られる。
【0030】
一方、パック材10を構成する積層物は、さらに最適なパック材10の幅となるようにスリッタ140で両側縁をあるいは一方側縁を切断加工しながら、ロール状に巻き重ねられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す線II−IIにおける断面図解図である。
【図3】図1に示す一実施形態の要部を示す平面拡大図である。
【図4】図3に示す線IV−IVにおける断面図解図である。
【図5】図1に示す一実施形態の切断状況を示す要部の平面拡大図である。
【図6】図1に示すミシン目が形成される過程を示す断面図解図である。
【図7】図1に示す一実施形態の製造方法の一例を示す図解図であり、その前半の工程を示す図である。
【図8】図1に示す一実施形態の製造方法の一例を示す図解図であり、その後半の工程を示す図である。
【図9】この考案の背景となるプラスチックシートに用いられる従来のミシン目の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
10 パック材
12 基材
14a,14b 粘着剤層
16a,16b 剥離剤層
18 ミシン目
20 切れ目
22 結合部
24 切断面
26 印刷層
30 通気孔
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 プラスチックシートの切断用に形成されたミシン目において、前記ミシン目を構成する各切れ目は、間隔をおいて、且つ一方主面から他方主面に至るように、貫通孔を溶断することにより形成される、プラスチックシート用ミシン目。
【請求項1】 プラスチックシートの切断用に形成されたミシン目において、前記ミシン目を構成する各切れ目は、間隔をおいて、且つ一方主面から他方主面に至るように、貫通孔を溶断することにより形成される、プラスチックシート用ミシン目。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図8】
【登録番号】第3043036号
【登録日】平成9年(1997)8月20日
【発行日】平成9年(1997)11月11日
【考案の名称】プラスチックシート用ミシン目
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平9−4109
【出願変更の表示】特願平9−128052の変更
【出願日】平成7年(1995)10月23日
【出願人】(000205306)大阪シーリング印刷株式会社 (90)
【登録日】平成9年(1997)8月20日
【発行日】平成9年(1997)11月11日
【考案の名称】プラスチックシート用ミシン目
【国際特許分類】
【出願番号】実願平9−4109
【出願変更の表示】特願平9−128052の変更
【出願日】平成7年(1995)10月23日
【出願人】(000205306)大阪シーリング印刷株式会社 (90)
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