説明

プラスチックパウチ

【課題】 低コストで効率良く生産可能で、電子レンジ内に平置きして加熱調理する際に、補助具を使用せずに、パウチの内圧上昇により自動開口する自動開口機構の位置を高い位置に定して保持することのできる、平パウチタイプのプラスチックパウチを提供する。
【解決手段】 プラスチックパウチを構成する表面フイルム及び裏面フイルムの少なくとも一方のフイルムをパウチの幅方向全長にわたって折返し、周縁部をヒートシールすることによってパウチ本体と連通する折返し部を少なくとも1箇所形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチの表裏両面を構成するプラスチックフイルムの周縁部をヒートシールしてなる平パウチタイプのプラスチックパウチに関する。本発明のプラスチックパウチは、液状物、固形物或いはこれらの混合物からなるレトルト食品等の内容物を充填し、電子レンジ加熱調理用パウチとして好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
レトルト食品、冷凍食品などを充填密封した包装袋を電子レンジで加熱すると、加熱に伴って内容物から発生する水蒸気等により袋内部の圧力が上昇し、包装袋が破裂して内容物が飛散するとともに、電子レンジ内を汚したり、人体に対してやけ等の危害を与えるおそれがある。
【0003】
このため、このような包装袋を電子レンジで加熱調理する前に、包装袋を予め部分的に開封しておいたり、包装袋本体に孔を開けることにより包装袋内で発生する水蒸気等を外部に排出し、包装袋の破袋を防止する方法がとられている。
しかしながら、このような方法は一般消費者にとっては手間のかかるものであるとともに、電子レンジ加熱により発生した水蒸気が直ちに包装袋外へ排出されるために、水蒸気による加熱蒸らし効果が低減し、食味が落ちるという欠点がある。
【0004】
このような問題点を解決するために、電子レンジ加熱時におけるパウチ内の内圧上昇を自動的に逃がすために、パウチの内圧上昇によって自動開口する機構を設けたプラスチックパウチが種々提案されている。
このような自動開口機構を設けたプラスチックパウチとしては、パウチを電子レンジ内で自立させて加熱するスタンディングパウチや(例えば、特許文献1、2参照)、平袋や分岐部に自動開口機構を設けた分岐型パウチのように包装袋を電子レンジ内で寝かせて加熱する平置き型パウチ等(例えば特許文献3〜5参照)、種々のタイプのものが知られている。
【0005】
これらのパウチの中で、生産性やコストの点で最も優れているものは平パウチタイプのパウチであるが、このタイプのパウチは電子レンジでの調理時、及び内圧上昇によりパウチが自動開口した後に、自動開口機構の位置を高い位置に安定して保持することができないために、パウチの内容物が自動開口部から噴き出したり、漏れ出したりするという欠点があった。
このため、平パウチタイプの電子レンジ加熱調理用パウチの自動開口機構を高い位置に保持するために、個装箱等の補助具を使用することも提案されているが(特許文献6参照)、パウチとは別体の補助具を使用するので面倒であり、またコストアップにつながるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開2002−249176号公報
【特許文献2】特開2003−192042号公報
【特許文献3】特開2002−80072号公報
【特許文献4】特開2001−106270号公報
【特許文献5】特公平8−25583号公報
【特許文献6】特開2003−170930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消して、低コストで効率良く生産可能で、電子レンジ内に平置きして加熱調理する際に、補助具を使用せずに、パウチの内圧上昇により自動開口する自動開口機構の位置を高い位置に安定して保持することのできる、平パウチタイプのプラスチックパウチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は鋭意検討した結果、プラスチックパウチを構成する少なくとも一方のフイルムをパウチの幅方向全長にわたって折返し、周縁部をヒートシールしてパウチ本体と連通する折返し部を形成することによって上記課題が解決されることを発見し、本発明を完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明では次の1〜12の構成を採用する。
1.プラスチックパウチを構成する表面フイルム及び裏面フイルムの少なくとも一方のフイルムをパウチの幅方向全長にわたって折返し、周縁部をヒートシールすることによってパウチ本体と連通する折返し部を少なくとも1箇所形成したことを特徴とするプラスチックパウチ。
2.折返し部をパウチを構成する表面フイルム及び裏面フイルムの両方に形成したことを特徴とする1に記載のプラスチックパウチ。
3.折返し部をパウチの一方の端部寄りに形成したことを特徴とする1又は2に記載のプラスチックパウチ。
4.折返し部をパウチの両方の端部寄りに形成したことを特徴とする1又は2に記載のプラスチックパウチ。
5.プラスチックパウチを構成するフイルムをZ字形に折返すことによって折返し部を形成したことを特徴とする1〜4のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
6.プラスチックパウチを構成するフイルムをZ字形に折返した後に、さらに逆Z字状に折返すことによって折返し部を形成したことを特徴とする1〜4のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
7.折返し部の周縁シール部において、周縁シール部を構成する表面フイルム及び裏面フイルムの最外層に配置されたフイルムよりも内層に存在するフイルムに開孔部を設け、該開孔部を介して表裏両面の最外層に配置されたフイルムをヒートシールしたことを特徴とする1〜6のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
8.折返し部に近いパウチの端部又はその近傍に、該パウチを電子レンジにより加熱した際に自動的に開口する自動開口機構を形成したことを特徴とする1〜7に記載のプラスチックパウチ。
9.自動開口機構をパウチ端部の周縁シール部に接して形成したことを特徴とする8に記載のプラスチックパウチ。
10.パウチ端部の周縁シール部に先端がパウチ内方に向かう突出部を設けることによって自動開口機構を形成したことを特徴とする9に記載のプラスチックパウチ。
11.自動開口機構をパウチ端部の周縁シール部から分離して形成したことを特徴とする8に記載のプラスチックパウチ。
12.自動開口機構が弱化部を有する蒸気抜きシール部であることを特徴とする8〜11に記載のプラスチックパウチ。
【発明の効果】
【0010】
本発明のプラスチックパウチは、スタンディングパウチや分岐型パウチのように追加の部材や工程を必要とせず、平パウチに近い低コストで効率良く生産することができる。また、電子レンジ内に平置きして加熱調理する際に、補助具を使用せずにパウチの内圧上昇により自動開口する自動開口機構の位置を高い位置に安定して保持し、開口部からの内容物の噴き出しや漏れ出しを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のプラスチックパウチを構成するプラスチックフイルムとしては、通常包装袋の製造に用いられるヒートシール性を有するプラスチック材料が使用される。このようなプラスチック材料としては、例えばヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなる単層のフイルム、シート類や、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂を他の熱可塑性樹脂等と積層した多層フイルム等が挙げられる。
【0012】
このようなヒートシール性を有するプラスチック材料としては、例えば公知の低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂、比較的低融点乃至低軟化点のポリアミド乃至コポリアミド樹脂、ポリエステル乃至コポリエステル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等が使用される。
【0013】
また、ヒートシール性を有するプラスチック材料と積層する他のプラスチック材料としては、ヒートシール性を有し又は有さない熱可塑性樹脂からなるフイルムや各種バリアフイルム等を使用することができる。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレン共重合体、結晶性ポリブテン−1、結晶性ポリ4−メチルペンテン−1、低−、中−、或いは高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、EVAケン化物、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ビニル重合体;ポリアクリル系樹脂;アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体の如きニトリル重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル類;各種ポリカーボネート;フッ素系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は単独で又は二種以上をブレンドして使用することができ、また、各種の添加剤を配合して使用してもよい。
【0014】
また、各種バリアフイルムとしては、シリカ蒸着ポリエステルフイルム、アルミナ蒸着ポリエステルフイルム、シリカ蒸着ナイロンフイルム、アルミナ蒸着ナイロンフイルム、アルミナ蒸着ポリプロピレンフイルム、炭素膜蒸着ポリエステルフイルム、炭素膜蒸着ナイロンフイルム、さらにアルミナ及びシリカをポリエステルフイルムやナイロンフイルム等のベースフイルムに同時蒸着した2元蒸着フイルム、またナイロン6/メタキシリレンジアミンナイロン6共押出しフイルム、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体共押出しフイルム、またポリビニルアルコールコートポリプロピレンフイルム、ポリビニルアルコールコートポリエステルフイルム、ポリビニルアルコールコートナイロンフイルム、ポリアクリル酸系樹脂コートポリエステルフイルム、ポリアクリル酸系樹脂コートナイロンフイルム、ポリアクリル酸系樹脂コートポリプロピレンフイルム、ポリグリコール酸樹脂コートポリエステルフイルム、ポリグリコール酸樹脂コートナイロンフイルム、ポリグリコール酸樹脂コートポリプロピレンフイルム等の有機樹脂コートフイルム、さらに有機樹脂材料及び無機材料からなるハイブリッドコート材をポリエステルフイルムやナイロンフイルム、ポリプロピレンフイルム等のベースフイルムにコーティングしたもの等を挙げることができる。これらのバリアフイルムは、単独で又は2種以上を組合わせて使用することができる。
【0015】
さらに、ヒートシール性を有するプラスチック材料と積層する他のプラスチック材料としては、酸素吸収性樹脂からなるフイルム、或いは酸素吸収性樹脂と他の熱可塑性樹脂との積層フイルムを使用することもできる。
酸素吸収性樹脂としては、(1)樹脂自体が酸素吸収性を有する樹脂を使用する、もしくは(2)酸素吸収性を有する又は有しない熱可塑性樹脂中に酸素吸収剤を配合した樹組成物を使用することができる。酸素吸収性樹脂組成物(2)を構成する熱可塑性樹脂としては特に制限はなく、酸素バリヤー性を有する熱可塑性樹脂や、酸素バリヤー性を有さない熱可塑性樹脂のいずれもが使用できる。樹脂組成物(2)を構成する熱可塑性樹脂として、樹脂自体が酸素吸収性又は酸素バリヤー性を有するものを使用した場合は、酸素吸収剤による酸素吸収効果との組合せにより、容器内部への酸素の侵入を効果的に防止することができるので好ましい。
【0016】
樹脂自体が酸素吸収性を有するものとしては、例えば、樹脂の酸化反応を利用したものが挙げられる。酸化性の有機材料、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリプロピレン、エチレン一酸化炭素共重合体、6−ナイロン、12−ナイロン、メタキシリレンジアミン(MX)ナイロンのようなポリアミド類に、酸化触媒としてコバルト、ロジウム、銅等の遷移金属を含む有機酸塩類や、ベンゾフェノン、アセトフェノン、クロロケトン類のような光増感剤を加えたものが使用できる。これらの酸素吸収材料を使用した場合は、紫外線、電子線のような高エネルギー線を照射することによって、一層の効果を発現させることも出来る。
【0017】
熱可塑性樹脂中に配合する酸素吸収剤としては、従来この種の用途に使用されている酸素吸収剤は全て使用できるが、一般には還元性でしかも実質上水に不溶なものが好ましく、その適当な例としては、還元性を有する金属粉、例えば還元性鉄、還元性亜鉛、還元性錫粉;金属低位酸化物、例えばFeO、Fe;還元性金属化合物、例えば炭化鉄、ケイ素鉄、鉄カルボニル、水酸化第一鉄等の一種又は二種以上を組み合わせたものを主成分としたものが挙げられる。特に好ましい酸素吸収剤としては、還元性鉄、例えば鉄鋼の製造工程で得られる酸化鉄をコークスで還元し、生成した海綿鉄を粉砕後、水素ガスや分解アンモニアガス中で仕上還元を行なった還元性鉄や、酸洗工程で得られる塩化鉄水溶液から鉄を電解析出させ、粉砕後仕上還元を行なった還元性鉄等が挙げられる。
これらの酸素吸収剤は必要に応じて、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、第三リン酸塩、第二リン酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物等の電解質からなる酸化促進剤や、さらには活性炭、活性アルミナ、活性白土のような助剤とも組み合わせて使用することができる。特に好ましい酸化促進剤としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム或いはこれらを組合わせたもの等が挙げられる。
還元性鉄と酸化促進剤を組合わせて使用する場合には、両者の配合割合は、合計量を100重量部として、還元性鉄99〜80重量部及び酸化促進剤1〜20重量部、特に還元性鉄98〜90重量部及び酸化促進剤2〜10重量部とすることが好ましい。
【0018】
他の酸素吸収剤としては、多価フェノールを骨格内に有する高分子化合物、例えば多価フェノール含有フェノール・アルデヒド樹脂等が挙げられる。更に、水溶性物質であるアスコルビン酸、エリソルビン酸、トコフェロール類及びこれらの塩類等も好適に使用することが出来る。これらの酸素吸収性物質の内でも、還元性鉄及びアスコルビン酸系化合物が特に好ましい。
また、上記の樹脂自体が酸素吸収性を有する樹脂を、酸素吸収剤として熱可塑性樹脂中に配合してもよい。
【0019】
これら酸素吸収剤は、一般に平均粒径が50μm以下、特に30μm以下の粒径を有することが好ましく、透明あるいは半透明性を必要とする場合には、平均粒径10μm以下、特に5μm以下の粒径を有することが好ましい。酸素吸収剤は、上記の樹脂に1乃至70重量%、特に5乃至30重量%の割合で配合することが好ましい。
【0020】
本発明では、上記プラスチック材料により構成された未延伸の、或いは一軸又は二軸延伸したフイルムを、常法によりヒートシールすることにより電子レンジ用包装袋を構成する。フイルムがヒートシール性を有する熱可塑性樹脂とヒートシール性を有さない熱可塑性樹脂との積層フイルムである場合には、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂層同士が内面となるようにヒートシールする。
【0021】
つぎに、図面に基づいて本発明の平パウチタイプのプラスチックパウチの構成について説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
図1〜図3は、本発明のプラスチックパウチの1例を示す図であり、図1はパウチの製造工程を説明する模式図、図2はパウチを裏側から見た平面図である。
また、図3はこのパウチを電子レンジ内で加熱した状態を表す模式図であり、(A)はパウチが未開口で加熱調理中の状態を表し、(B)はパウチが部分的に開口して調理が完了した状態を表す。
【0022】
このパウチ1は、パウチの表面を構成するフイルム11とパウチの裏面を構成するフイルム12を重ね合わせ、周縁部をヒートシールすることによって製造される。その際に、パウチの裏面を構成するフイルム12を、パウチの幅方向全長にわたってZ字形に折返し、内容物の充填口4となる一方の短辺端部を除いて周縁部をヒートシールすることによって、パウチ本体と連通する折返し部2を形成する。また、充填口4とは反対側の短辺端部には、周縁シール部をパウチ内方に向けてU字形に突出させ、突出部6内に開孔(貫通孔)部7を設けることによって弱化部を有する蒸気抜きシール部を形成し、パウチを電子レンジで加熱した際に自動的に開口する自動開口機構5としている。
弱化部の形成方法としては、開孔(貫通孔)に代えて半貫通孔、スリットや未シール部を設ける等、他の公知の方法を採用できることは勿論である。
【0023】
このパウチ1内にレトルト食品等の内容物を充填した後に、充填口4をヒートシールして密封したパウチを電子レンジ内に平置きして加熱調理すると、内容物から発生した水蒸気等によってパウチの内圧が上昇し、パウチが膨張する。その際にパウチ裏面12に設けられた折返し部2内にも水蒸気が侵入し、折返し部2を起点にして自動開口機構5を設けたパウチ端部が立上がる(図3(A)参照)。
【0024】
パウチ1の内圧の上昇にともなって、自動開口機構5の突出部6の先端に応力が集中して、シール部が徐々にパウチ外側に向って剥離し、開孔7に剥離が到達するとパウチが部分的に開口し、水蒸気等が開孔7から外部に排出され、パウチの内圧が低下する。この時にも、パウチ裏面12に設けた折返し部2がスタンドのような役割をはたし、開口した自動開口機構5が高い位置に安定して保持される(図3(B)参照)。
このように、このパウチ1では、電子レンジによる加熱調理中及び調理終了後も、パウチに形成した自動開口機構5が高い位置に保持され、内容物の噴き出しや漏れ出しを防止することができる。
【0025】
図4及び図5は、本発明のプラスチックパウチの他の例を示す図であり、図4はパウチの製造工程を説明する模式図であり、図5はパウチを裏側から見た平面図である。
このパウチ21では、パウチ裏面を構成するフイルム12をパウチの幅方向全長にわたってZ字形に折返した後に、さらに逆Z字状に折返すことによって折返し部2を形成する。また、周縁シール部をパウチ内方に向けてU字形に突出させ、突出部6内にパウチ外部に通じる開孔7を設けることによって、自動開口機構5を形成している。パウチ21の他の構成は、図1〜図3のパウチ1と同様である。
【0026】
このパウチ21では、折返し部2の両側でフイルムを折返したことによって、パウチ21を電子レンジで加熱調理する際に、水蒸気の侵入によっておし拡げられる折返し部2の容積が大きくなるので、折返し部2を起点とするパウチ端部の立上がりが容易になり、自動開口機構5をより高い位置に安定して保持することが可能になる。
【0027】
図6〜図8は、本発明のプラスチックパウチの他の例を示す図であり、図6はパウチの製造工程を説明する模式図、図7はパウチを表側から見た平面図、そして図8はパウチの折返し部を形成する工程を説明する拡大模式図である。
このパウチ31では、パウチの表面を構成するフイルム11及び裏面を構成するフイルム12の両方を同じ位置で、それぞれ逆Z字形及びZ字形に折返すことによって、折返し部32、32をパウチの両面に形成する。
【0028】
この折返し部32、32を形成する際に、図8にみられるように、周縁シール部3、3を構成する表面フイルム11及び裏面フイルム12の最外層に配置されるフイルムよりも内層に位置するフイルムに開孔部33(この例では計4箇所)を設け、該開孔部33を介して表裏両面の最外層に配置されたフイルム11、12をヒートシールするものである。
折返し部32におけるヒートシールをこのよう構成とすることによって、折返し部32、32における周縁シール部3のヒートシール強度を高め、パウチ31を電子レンジで加熱調理する際の、パウチ端部の立上りを確実なものとすることができる。
なお、折返し部の周縁シール部内層に位置するフイルムに開孔部を設ける上記の構成は、パウチの裏面フイルムにのみ折返し部を形成する図1〜図5のパウチにも適用することができる。
【0029】
また、このパウチ31では自動開口機構35として、周縁シール部3から分離した位置で表裏両面のフイルムをヒートシールし、このヒートシール部36内に開孔(貫通孔)37を設けることによって、弱化部37を有する蒸気抜きシール部36を形成している。
弱化部37の形成方法としては、開孔(貫通孔)に代えて半貫通孔、スリットや未シール部を設ける等、他の公知の方法を採用できることは勿論である。
【0030】
図9〜図11は、本発明のプラスチックパウチの他の例を示す図であり、図9はパウチの製造工程を説明する模式図、図10はパウチを裏側から見た平面図、そして図11はパウチを電子レンジ内で加熱した状態を表す模式図である。
このパウチ42では、パウチの一端部よりの位置で、パウチ裏面を構成するフイルム12をパウチの幅方向全長にわたってZ字形に折返すことによって第1の折返し部42を形成し、パウチの他端よりの位置でフイルム12を逆Z字形に折返すことによって第2の折返し部42を形成している。
また、パウチ42の両端部では、周縁シール部3から分離した位置で開孔による弱化部47を有する蒸気抜きシール部46をそれぞれ設けることによって自動開口機構45、45を形成している。
【0031】
このパウチ41を電子レンジ内に平置きして加熱すると、内容物から発生した水蒸気等によってパウチ41の内圧が上昇し、パウチ41が膨張する。その際に、折返し部42、42内にも水蒸気が侵入し、折返し部42、42を起点にしてパウチ41の両側が立上がり、自動開口機構45、45がそれぞれ高い位置に保持される(図11参照)。自動開口機構45、45が開口し、パウチ41の内圧が低下して調理が完了した後にも、パウチ41は縮小した状態でほぼその形状を維持する。したがって、このパウチ41はトレーのように使用することができる。
【0032】
上記の各例では、本発明のプラスチックパウチとしてパウチに自動開口機構を設けた例について説明したが、このような自動開口機構を設けずに、本発明の折返し部を有するプラスチックパウチを構成することも可能である。
本発明で採用する自動開口機構としては特に制限はなく、例えばパウチの周縁シール部をパウチ内方に向けてU字形乃至V字形に突出させ、突出部内にパウチ外部に通じる未シール部を設けたり、この未シール部を打抜いて自動開口機構を構成することもできる。また、蒸気抜きシール部以外にも、パウチとは別体の部材を使用して自動開口機構を構成する等、自動開口機構として公知の手段はいずれも採用することができる。
また、プラスチックパウチの寸法、形状やパウチを構成するフイルムの材質等は、適宜選択できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のプラスチックパウチの1例を製造する工程を説明する模式図である。
【図2】図1の工程により得られるプラスチックパウチを裏側から見た平面図である。
【図3】図2のパウチを電子レンジ内で加熱した状態を表す模式図である。
【図4】本発明のプラスチックパウチの他の例を製造する工程を説明する模式図である。
【図5】図4の工程により得られるプラスチックパウチを裏側から見た平面図である。
【図6】本発明のプラスチックパウチの他の例を製造する工程を説明する模式図である。
【図7】図6の工程により得られるプラスチックパウチを表側から見た平面図である。
【図8】図7のパウチの折返し部を形成する工程を説明する模式図である。
【図9】本発明のプラスチックパウチの他の例を製造する工程を説明する模式図である。
【図10】図9の工程により得られるプラスチックパウチを裏側から見た平面図である。
【図11】図10のパウチを電子レンジ内で加熱した状態を表す模式図である。
【符号の説明】
【0034】
1,21,31,41 プラスチックパウチ
2,32,42 折返し部
3 周縁シール部
4 充填口
5,35,45 自動開口機構
6 突出部
7,33,37,47 開孔
11 表面フイルム
12 裏面フイルム
36,46 蒸気抜きシール部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックパウチを構成する表面フイルム及び裏面フイルムの少なくとも一方のフイルムをパウチの幅方向全長にわたって折返し、周縁部をヒートシールすることによってパウチ本体と連通する折返し部を少なくとも1箇所形成したことを特徴とするプラスチックパウチ。
【請求項2】
折返し部をパウチを構成する表面フイルム及び裏面フイルムの両方に形成したことを特徴とする請求項1に記載のプラスチックパウチ。
【請求項3】
折返し部をパウチの一方の端部寄りに形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチックパウチ。
【請求項4】
折返し部をパウチの両方の端部寄りに形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチックパウチ。
【請求項5】
プラスチックパウチを構成するフイルムをZ字形に折返すことによって折返し部を形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
【請求項6】
プラスチックパウチを構成するフイルムをZ字形に折返した後に、さらに逆Z字状に折返すことによって折返し部を形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
【請求項7】
折返し部の周縁シール部において、周縁シール部を構成する表面フイルム及び裏面フイルムの最外層に配置されたフイルムよりも内層に存在するフイルムに開孔部を設け、該開孔部を介して表裏両面の最外層に配置されたフイルムをヒートシールしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプラスチックパウチ。
【請求項8】
折返し部に近いパウチの端部又はその近傍に、該パウチを電子レンジにより加熱した際に自動的に開口する自動開口機構を形成したことを特徴とする請求項1〜7に記載のプラスチックパウチ。
【請求項9】
自動開口機構をパウチ端部の周縁シール部に接続して形成したことを特徴とする請求項8に記載のプラスチックパウチ。
【請求項10】
パウチ端部の周縁シール部に先端がパウチ内方に向かう突出部を設けることによって自動開口機構を形成したことを特徴とする請求項9に記載のプラスチックパウチ。
【請求項11】
自動開口機構をパウチ端部の周縁シール部から分離して形成したことを特徴とする請求項8に記載のプラスチックパウチ。
【請求項12】
自動開口機構が弱化部を有する蒸気抜きシール部であることを特徴とする請求項8〜11に記載のプラスチックパウチ。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−62672(P2006−62672A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244606(P2004−244606)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】