説明

プラスチック中空板

【課題】プラスチック中空板の基本的な性能を損なったり、製造の困難性を招いたりすることなく、種々の特性を備えることができるプラスチック中空板を提供する。
【解決手段】表面に溝A5を有し、その溝A5に機能性要素A6を装着したことを特徴し、キャップシート1と、このキャップシート1の一面側に添設されるバックシート2と、前記キャップシート1の他面側に添設されるライナーシート3とを備えてなり、前記バックシート2側及びライナーシート3側の少なくとも一方に溝A5が設けられているプラスチック中空板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量性や剛性に優れたプラスチック中空板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、軽量性や剛性に優れたプラスチック中空板は、建築材料や自動車の内装材など、種々の用途で活用されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このようなプラスチック中空板を種々の用途に活用するにあたり、例えば、プラスチック中空板で荷物を滑動させやすい状態で支持したり、逆に荷物を遊動しないように安定した状態で支持したりすることが求められることがある。また、このようなプラスチック中空板で収納ボックス等を形成する場合、内部に収納した荷物に錆が発生しないようにしたいという要望がある。その他、この種のプラスチック中空板には、用途に応じて種々の機能を発揮させたいという要求が提示されることがあり、何らかの対策が求められている。
【0004】
このような要求に応えるために、プラスチック中空板の表面材自体に機能性素材を用いることが考えられるが、このようなものであると、プラスチック中空板自体の性能が損なわれたり、製造が難しくなったりするという問題が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−297323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、プラスチック中空板の基本的な性能を損なったり、製造の困難性を招いたりすることなく、種々の特性を備えることができるプラスチック中空板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような構成を採用したものである。すなわち、本発明に係るプラスチック中空板は、表面に溝を有し、その溝に機能性要素を装着したことを特徴とする。
【0008】
ここで、「プラスチック中空板」とは、「プラスチック気泡ボード」、「プラスチック段ボール」、及び「プラスチック折り畳みハニカムボード」、これら全てを包含する概念である。
【0009】
「プラスチック気泡ボード」とは、例えば、ポリプロピレン等の樹脂をダイから溶融した状態で押し出したシートに、多数のキャップ状の突起を真空成形し、このキャップシートの底面と頂面にそれぞれ平坦なバックシート及びライナーシートを融着させて中空構造の板としてなる成形品をいう。また、「プラスチック段ボール」とは、プラスチックの溶融押し出しにより形成された2枚のシートと、それらを連結して平行に走る多数のリブとからなる成形品をいう。また、「プラスチック折り畳みハニカムボード」とは、プラスチックシートに所定ピッチで垂直方向の部分を与え、長手方向に順次折り重ねることによって形作られるハニカム構造を有する成形品をいう。
【0010】
このようなものであれば、プラスチック中空板の基本的な性能を損なったり、製造の困難性を招いたりすることなく、種々の特性を備えることができる。
【0011】
具体的な一態様としては、キャップシートと、このキャップシートの一面側に添設されるバックシートと、前記キャップシートの他面側に添設されるライナーシートとを備えてなり、前記バックシート側及びライナーシート側の少なくとも一方に前記溝が設けられているものが挙げられる。
【0012】
機能性要素の一例としては、前記表面とは異なる摩擦抵抗を有する素材からなるものが挙げられる。
【0013】
また、機能性要素の他の例としては、気化性物質を有するものや、磁性を有するもの等が考えられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上のような構成であるから、プラスチック中空板の基本的な性能を損なったり、製造の困難性を招いたりすることなく、種々の特性を備えることができるプラスチック中空板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施形態のプラスチック中空板の断面を示す概略図。
【図2】本発明の第二実施形態のプラスチック中空板の断面を示す概略図。
【図3】本発明の第三実施形態のプラスチック中空板の断面を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第一実施形態について図1を参照して説明する。
【0017】
このプラスチック中空板Aは、滑りやすいという機能を付与したものの一例である。
【0018】
このプラスチック中空板Aは、表面4に溝A5を有し、その溝A5に機能性要素A6を装着してなる。詳述すれば、このプラスチック中空板Aは、3層構造をなす気泡ボードと称される構造のもので、多数のキャップ状の突起11を有するキャップシート1と、このキャップシート1の一面側に添設されるバックシート2と、前記キャップシート1の他面側に添設されるライナーシート3とを備えてなり、前記ライナーシート3側に前記複数本の溝A5を有する。キャップシート1、バックシート2及びライナーシート3は、例えば、ポリプロピレン等によって作られている。なお、3層構造をなす気泡ボードの具体的な製造工程については、特開2005−297323号公報に記載されているのと同様である。詳しく説明すれば、まず、溶融押出しされたポリプロピレンのキャップシート1を真空成形して多数のキャップを形成し、溶融押出しされたポリプロピレンのバックシート2を、金属製のロールなどの冷却手段で冷却し、その面に、別の押出機から溶融押出しされたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の溶融層(図示せず)を載せ、それをバックシート2とキャップシート1との間に存在させた状態で両者を貼りあわせて2層構成の気泡ボードを製造する。これと同時またはその後に、前記キャップの頂面にポリプロピレンのライナーシート3を、バックシート2について行ったのと同様に、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の溶融層(図示せず)を介在させて貼りあわせる。このようにして3層構造をなす気泡ボードを得る。
【0019】
前記各溝A5は、ライナーシート3側を直線状に凹ませたもので、例えば製造時に前記ライナーシート3の表面4を押圧するローラの一つに前記溝A5を形成するための突条を設けておくことにより作られるものである。より具体的には、各溝A5は、ライナーシート3の厚み寸法よりも小さい寸法だけ凹陥させてあるものである。これら各溝A5には、前記機能性要素A6がそれぞれ粘着層(図示せず)を介して装着されている。
【0020】
機能性要素A6は、前記表面4とは異なる摩擦抵抗を有する素材からなるものである。具体的には、機能性要素A6は、ポリアセタール等の滑りやすい素材により作られたもので、一面A61側が前記溝A5に嵌め込まれる帯状をなしている。そして、機能性要素A6の他面A62側は、前記表面4よりも外方に突出している。
【0021】
このようなものであれば、例えば、収納空間の床材として使用することができる。すなわち、このプラスチック中空板Aの溝A5及び機能性要素A6が上面側を向くようにプラスチック中空板Aを配置すれば、プラスチック中空板Aにより荷物を滑動させやすい状態で支持することができるので、プラスチック中空板A上に載せたものを滑らせて移動させることができる。詳述すれば、このプラスチック中空板Aは、表面4側となるポリプロピレン製のライナーシート3の上面側よりも突出させて、ライナーシート3よりも滑りやすい合成樹脂製材料であるポリアセタール製の機能性要素A6を配しているので、上述したような用途に用いることができる。特に、ライナーシート3は、従来の通りポリプロピレン製のものであるため、製造が難しくなるという問題が生じることがなく、また、ライナーシート3はキャップシート1の各突起11の頂面にしっかりと接着されているので、プラスチック中空板A自体の性能が損なわれることもない。
【0022】
以上説明したように、本実施形態のプラスチック中空板Aは、表面4に溝A5を有し、その溝A5に機能性要素A6を装着しているので、プラスチック中空板Aの基本的な性能を損なったり、製造の困難性を招いたりすることなく、種々の特性を備えることができる。また、プラスチック中空板Aの表面4に直接ラミネートする場合と異なり、機能性要素A6の一部は溝A5内に入り込んでいるので、機能性要素A6の装着状態が外れてしまうという不具合を生じにくくさせることができる。
【0023】
特に、キャップシート1と、このキャップシート1の一面側に添設されるバックシート2と、前記キャップシート1の他面側に添設されるライナーシート3とを備えてなり、ライナーシート3に前記溝A5が設けられているので、少なくともバックシート2によりキャップシート1の突起11形状を維持して剛性にすぐれたものとすることができる。
【0024】
また、前記機能性要素A6が、前記表面4とは異なる摩擦抵抗を有する素材からなるものであり、具体的には、滑りやすくする素材を用いたものであるので、プラスチック中空板Aに「滑りやすい」という機能を付与することができ、この滑りやすい面上で荷物を滑らせることができる。
【0025】
本実施形態の各溝A5は、製造時に前記ライナーシート3の表面4を押圧するローラに前記溝A5を形成するための突条を設けておくことにより作られるものであるので、従来の装置からローラを取り替えるだけで溝A5を形成することができ、ライナーシート3とキャップシート1との貼り合わせ作業時には既に溝A5を設けておくことができる。
【0026】
なお、本実施形態で示したプラスチック中空板Aは、床材に限らず、種々の用途で使用可能である。また、この機能性要素A6を装着した面を床面に対向する面とすれば、平滑な床面に対してプラスチック中空板A自体が滑りやすくなるようにすることもできる。このようなものであれば、プラスチック中空板Aの底面側に機能性要素A6を保持させるとともに上面側に荷物を載置する等してプラスチック中空板Aに載せた荷物を床面上で滑らせることができる。
【0027】
次に、本発明の第二実施形態について図2を参照して説明する。
【0028】
このプラスチック中空板Bは、滑りにくいという機能を付与したものの一例である。
【0029】
このプラスチック中空板Bは、前記第一実施形態と同様に、表面4に溝B5を有し、その溝B5に機能性要素B6を装着してなる。プラスチック中空板Bの基本的構成は、前記第一実施形態のものと同様であるため、図2では第一実施形態と同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0030】
前記各溝B5は、ライナーシート3側を直線状に凹ませたもので、例えば3層の各シートを貼り合わせて気泡ボードに成形した後に、機械的に切削加工を施すことにより作られるものである。より具体的には、各溝B5は、ライナーシート3を厚み方向に貫通させて形成してある。すなわち、各溝B5は、ライナーシート3の厚み寸法と略同一か、それよりも大きい寸法で凹陥させてあるものである。これら各溝B5には、前記機能性要素B6がそれぞれ粘着層(図示せず)を介して装着されている。
【0031】
機能性要素B6は、前記表面4とは異なる摩擦抵抗を有する素材からなるものである。具体的には、機能性要素B6は、ゴム等の滑りにくい素材により作られたもので、一面B61側が前記溝B5に嵌め込まれる帯状をなしている。そして、機能性要素B6の他面B62側は、前記表面4よりも外方に突出している。
【0032】
このようなものであれば、例えば、収納空間の床材として使用することができる。すなわち、このプラスチック中空板Bの溝B5及び機能性要素B6が上面側を向くようにプラスチック中空板Bを配置すれば、プラスチック中空板Bにより荷物を遊動しないように安定した状態で支持することができるので、プラスチック中空板B上に載せたものを安定保持させることができる。詳述すれば、このプラスチック中空板Bは、表面4側となるポリプロピレン製のライナーシート3の上面側よりも突出させて、ライナーシート3よりも滑りにくい合成樹脂製材料であるゴム製の機能性要素B6を配しているので、上述したような用途に用いることができる。特に、ライナーシート3は、従来の通りポリプロピレン製のものであるため、製造が難しくなるという問題が生じることがなく、また、ライナーシート3はキャップシート1の各突起11の頂面にしっかりと接着されているので、プラスチック中空板B自体の性能が損なわれることもない。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のプラスチック中空板Bは、表面4に溝B5を有し、その溝B5に機能性要素B6を装着しているので、プラスチック中空板Bの基本的な性能を損なったり、製造の困難性を招いたりすることなく、種々の特性を備えることができる。また、プラスチック中空板Bの表面4に直接ラミネートする場合と異なり、機能性要素B6の一部は溝B5内に入り込んでいるので、機能性要素B6の装着状態が外れてしまうという不具合を生じにくくさせることができる。
【0034】
特に、キャップシート1と、このキャップシート1の一面側に添設されるバックシート2と、前記キャップシート1の他面側に添設されるライナーシート3とを備えてなり、ライナーシート3に前記溝B5が設けられているので、少なくともバックシート2によりキャップシート1の突起11形状を維持して剛性にすぐれたものとすることができる。
【0035】
また、前記機能性要素B6が、前記表面4とは異なる摩擦抵抗を有する素材からなるものであり、具体的には、滑りにくくする素材を用いたものであるので、プラスチック中空板Bに「滑りにくい」という機能を付与することができ、この滑りにくい面上で荷物を安定保持させることができる。
【0036】
本実施形態の各溝B5は、機械的な切削加工で形成しているので、溝B5のピッチや形状を弾力的に変更させやすい。
【0037】
なお、本実施形態で示したプラスチック中空板Bは、床材に限らず、種々の用途で使用可能である。また、この機能性要素B6を装着した面を床面に対向する面とすれば、床面に対してプラスチック中空板B自体が滑りにくくなるようにすることもできる。このようなものであれば、プラスチック中空板Bの底面側に機能性要素B6を保持させるとともに上面側に荷物を載置する等してプラスチック中空板Bに載せた荷物を床面に対して遊動しないようにさせることができる。
【0038】
以下、本発明の第三実施形態について図3を参照して説明する。
【0039】
このプラスチック中空板Cは、防錆性を有するという機能を付与したものの一例である。
【0040】
このプラスチック中空板Cは、前記第一実施形態と同様に、表面4に溝C5を有し、その溝C5に機能性要素C6を装着してなる。プラスチック中空板Cの基本的構成は、前記第一実施形態のものと同様であるため、図3では第一実施形態と同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0041】
前記各溝C5は、ライナーシート3側を直線状に凹ませたもので、例えば3層の各シートを貼り合わせて気泡ボードに成形した後に、熱間プレス加工を施すことにより作られるものである。より具体的には、各溝C5は、ライナーシート3を厚み方向に貫通させて形成してある。すなわち、各溝C5は、ライナーシート3の厚み寸法と略同一か、それよりも大きい寸法で凹陥させてあるものである。これら各溝C5には、前記機能性要素C6がそれぞれ粘着層(図示せず)を介して装着されている。
【0042】
機能性要素C6は、気化性物質を有するものからなるものである。具体的には、機能性要素C6は、気化性防錆シート等の防錆性を有するものにより作られたもので、一面C61側が前記溝C5に嵌め込まれる帯状をなしている。そして、機能性要素C6の他面C62側は、前記表面4よりも内側に埋没している。
【0043】
このようなものであれば、例えば、収納空間の床材や壁材として使用することができる。すなわち、このプラスチック中空板Cの溝C5及び機能性要素C6が内面側を向くようにプラスチック中空板Cを配置すれば、プラスチック中空板Cの溝C5に装着された気化性防錆シートの作用により収納空間内に載置された荷物の錆を防止することができる。なお、このプラスチック中空板Cは、表面4側となるポリプロピレン製のライナーシート3の外面よりも内側に埋没させて気化性防錆シートを配しているが、この気化性防錆シートの他面C62側をライナーシート3の外面側よりも突出させてもよい。
【0044】
また、ライナーシート3は、従来の通りポリプロピレン製のものであるため、製造が難しくなるという問題が生じることがなく、また、ライナーシート3はキャップシート1の各突起11の頂面にしっかりと接着されているので、プラスチック中空板C自体の性能が損なわれることもない。
【0045】
以上説明したように、本実施形態のプラスチック中空板Cは、表面4に溝C5を有し、その溝C5に機能性要素C6を装着しているので、プラスチック中空板Cの基本的な性能を損なったり、製造の困難性を招いたりすることなく、種々の特性を備えることができる。また、プラスチック中空板Cの表面4に直接ラミネートする場合と異なり、機能性要素C6の全部が溝C5内に入り込んでいるので、機能性要素C6の装着状態が外れてしまうという不具合を生じにくくさせることができる。
【0046】
特に、キャップシート1と、このキャップシート1の一面側に添設されるバックシート2と、前記キャップシート1の他面側に添設されるライナーシート3とを備えてなり、ライナーシート3に前記溝C5が設けられているので、少なくともバックシート2によりキャップシート1の突起11形状を維持して剛性にすぐれたものとすることができる。
【0047】
また、前記機能性要素C6が、気化性物質を有するものであり、具体的には、気化性防錆シートであるので、プラスチック中空板Cに「錆を防止する」という機能を付与することができ、このプラスチック中空板Cに囲まれた空間内で荷物の錆の発生を防止させることができる。
【0048】
本実施形態の各溝C5は、熱間プレス加工で形成しているので、溝C5のピッチや形状を弾力的に変更させやすい。
【0049】
なお、本実施形態で示したプラスチック中空板Cは、床材や壁材に限らず、種々の用途で使用可能である。
【0050】
また、気化性物質としては、防錆剤の他に、気化性防虫剤、気化性ネズミ忌避剤、気化性防カビ剤、気化性除湿剤、気化性乾燥剤などを用いてもよい。
【0051】
さらに、本実施形態で示した気化性物質の代わりに、機能性要素として磁性を有するものからなるもの、具体的には磁石を用いるものであってもよい。このようなものであれば、例えば、収納空間の床材や壁材として使用することができる。すなわち、このプラスチック中空板の溝及び機能性要素が外側を向くようにプラスチック中空板を配置すれば、プラスチック中空板の溝に装着された磁石の作用により収納空間外の金属又は磁石にプラスチック中空板を取り付けることができる。なお、このプラスチック中空板は、表面側となるポリプロピレン製のライナーシートの外面よりも内側に埋没させて磁石を配してもよいし、磁石の表面側をライナーシートの外面側よりも突出させてもよい。
【0052】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0053】
上記第一、第二及び第三実施形態で説明した溝の製造方法は、それぞれ他の実施形態で示した溝の製造方法に替えて適用してもよい。また、プラスチック中空板の表面にシート体を間欠的にラミネートすることにより溝を形成してもよい。この場合には、離間した複数のシート体間にプラスチック中空板の表面を底面とする溝ができることとなる。
【0054】
本実施形態では、プラスチック中空板の具体的な一態様として、多数のキャップ状の突起を有するキャップシートと、このキャップシートを挟むように底面側及び頂面側に配される平坦なバックシート及びライナーシートとを備えた3層状の気泡ボードを用いて説明したが、プラスチック中空板として、このプラスチック気泡ボードに替えて、前述の「プラスチック段ボール」、または「プラスチック折り畳みハニカムボード」を適用しても構わない。また、プラスチック気泡ボードの場合であっても、3層状のものに限られず、キャップシートとバックシートとからなる2層状のものであってもよい。
【0055】
溝の形状は、本実施形態で示したものに限られず種々変更可能である。例えば、図示したような段差を有する断面視矩形状のもの以外にも、断面視半円状、断面視三角形状、その他の断面視多角形状をなすものであってもよい。また、各溝は、プラスチック中空板に対して直線的に設けられるものに限られず、間欠的に設けられるものや、曲線状に設けられるものであってもよい。
【0056】
また、各溝は、バックシート側に設けられるものや、キャップシートの両側、すなわちバックシート側及びライナーシート側の両側に設けられるものであってもよい。さらに、気泡ボードが2層である場合のキャップシート側に設けられるものであってもよい。この場合、キャップシートの隣接する突起間を溝として機能させ、この溝に機能性要素を装着させるようにしてもよい。
【0057】
また、機能性要素は、単一の機能を発揮するものに限られず、複数の異なる機能を発揮するものであってもよい。
【0058】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0059】
A、B、C…プラスチック中空板
1…キャップシート
2…バックシート
3…ライナーシート
4…表面
A5、B5、C5…溝
A6、B6、C6…機能性要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に溝を有し、その溝に機能性要素を装着したことを特徴とするプラスチック中空板。
【請求項2】
キャップシートと、このキャップシートの一面側に添設されるバックシートと、前記キャップシートの他面側に添設されるライナーシートとを備えてなり、前記バックシート側及びライナーシート側の少なくとも一方に前記溝が設けられている請求項1記載のプラスチック中空板。
【請求項3】
前記機能性要素が、前記表面とは異なる摩擦抵抗を有する素材からなる請求項1または2記載のプラスチック中空板。
【請求項4】
前記機能性要素が、気化性物質を有するものからなる請求項1、2または3記載のプラスチック中空板。
【請求項5】
前記機能性要素が、磁性を有するものからなる請求項1、2、3または4記載のプラスチック中空板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−162029(P2012−162029A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25199(P2011−25199)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【Fターム(参考)】