説明

プラスチック樹脂パイプ用の管継手

【課題】 管継手内へ接続パイプ端を嵌入し、キャップを手動で締着するだけで、ワンタッチでパイプを接続出来ると共に、キャップの回動螺着時にパイプに共廻りを生じないようにする。

【解決手段】 内周には通水孔H9を、外周にはOリング4を備えたインナーコア9に、継手本体8を隙間dg層を保って被覆螺着し、縮径用固定リング5を内包嵌合したキャップ3を継手本体8の端部に仮螺着しておき、プラスチック樹脂パイプ12をキャップ3内からインナーコア9を被覆する形態で隙間dgに嵌入し、キャップ3を回動前進させることにより、固定リング5を縮径させてパイプ12外周面12cを押圧し、プラスチック樹脂パイプ12を、水密押圧すると共に、引き抜けの生じない係止保持を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水管、給湯管のプラスチック樹脂パイプを接続するための管継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、給水、給湯管には鋳鉄管や鋼管が使用されていたが、近年、耐蝕性、耐震性、衛生面、作業性及びコスト面から、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、ポリブテン、エチレン.オクテン.コポリマーなどのプラスチック樹脂で成形されたパイプが、戸建住宅、共同住宅、産業ビルなどでの給水及び給湯用の配管、床暖房、ロードヒーティングの熱媒体用の配管として用いられるようになってきた。
そのため、プラスチック樹脂パイプの接続に有効な管継手として、従来例1及び2の継手が提案されている。
【0003】
図8は、特許文献1として挙げた従来例1の管継手であり、(A)は接続前の状態の側断面図であり、(B)は接続状態の側断面図である。
即ち、従来例1(図8)の管継手は、継手本体と、割りリングと、袋ナットとから成り、図8(A)に示す如く、継手本体は、外周面にねじ面を備えた雄ねじ管部からインナーコア部を突設し、インナーコア部の外周面には、プラスチック管の内周面を保持するための係止用刻み部を、全長に亘って配置している。
【0004】
また、プラスチック管の外周面に嵌める割りリングには、縮径用の割れ部を配置すると共に、内周面に突条部を突設し、外側端部にテーパー面部を備えた外周面には、摩擦低減用に、フッ素樹脂の被膜層を形成している。
また、袋ナットには、前部内周面に、雄ねじ管部の外周に螺合するための雌ねじ部を配置し、後部内周面には、割りリングを縮径するためのテーパー面部を配置し、該テーパー面部にはフッ素樹脂の被膜層を形成している。
【0005】
そして、プラスチック管の継手本体への接続に際しては、図8(A)に示す如く、プラスチック管の接続端部外周に、袋ナットを嵌め、次いで割りリングを嵌めて、図8(B)の如く、プラスチック管の接続部を、継手本体のインナーコア部の基端まで被覆嵌合して、プラスチック管先端をインナーコア部の基端に当接し、次いで袋ナットを継手本体に螺合前進締着し、袋ナットが割りリングを、インナーコア部の基端まで押し進めると共に、袋ナットのテーパー面が割りリングを押圧縮径することにより、プラスチック管を、内周面に位置するインナーコア部の刻み部と、外周面に位置する割りリングの突条部とによって挟着保持するものである。
【0006】
図9は、特許文献2として挙げた従来例2の説明図であって、(A)はプラスチック管の締着状態断面図であり、(B)は、(A)の要部拡大図である。
即ち、従来例2は、図9に示す如く、継手本体の内周面凹部には、Oリングと、補助リングと、係止リングを前端内側に内包して外周面には後方へ縮径するテーパー部を備えた縮径可能な押圧リング、とを順次配置し、押圧リングのテーパー部と整合するテーパー部を前端内周に備えたキャップを継手本体に仮螺合しておくものである。
【0007】
そして、管接続に際しては、プラスチック管の接続端部をキャップ内周面及び継手本体内周面に沿って嵌入し、キャップを継手本体に螺入締着することにより、キャップのテーパー面と押圧リングのテーパー面との協仂作用で押圧リングを前進縮径させ、押圧リングと係止リングが、プラスチック管外周面を押圧止着すると共に、押圧リングの前進による補助リングの前進によってOリングを押圧して、Oリングの径方向変位によってプラスチック管外周面をシールし、且つ係止リングと押圧リングとで、プラスチック管外周を圧接係止保持するものであり、プラスチック管を管継手に挿入してキャップを回動するだけで、プラスチック管がワンタッチで接続出来る管継手である。
【特許文献1】特開平9−229258号公報
【特許文献2】特開平11−141765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来例1(図8)の管継手は、割りリングの縮径によって、割りリング内周面の突条部がプラスチック管の外周面に食い込んで■み、インナーコア部の外周の刻み部との協仂作用で、プラスチック管の引き抜けを阻止するものであって、管継手の締着作用でのプラスチック管の共廻りは、割りリング外周面と、袋ナット内周のテーパー面とに付与した、フッ素系樹脂の被膜層相互のすべりによって抑制出来るが、プラスチック管の挿入接合時には、袋ナット及び割りリングを個々に装着するので作業性に問題がある。
【0009】
即ち、従来例1の管継手は、割りリングを袋ナットに収納して、継手本体に袋ナットを仮螺着した状態で現場に搬入し、現場では、
(イ).継手本体、割りリング、袋ナットに分解する。
(ロ).図8(A)の如く、プラスチック管に袋ナットと割りリングとを間隔を保って嵌合する。
(ハ).プラスチック管をインナーコア部の基端まで被着する。
(ニ).割りリングをインナーコア部の基端まで移動する。
(ホ).袋ナットを割りリング上に被着して継手本体に螺着する。
以上、(イ)〜(ホ)の作業工程での接続作業となり、管の接続は煩雑で、時間を要する。
【0010】
また、従来例1(図8)の管継手にあっては、漏水防止のために袋ナットを過締着すれば、プラスチック管は、内周面がインナーコア部の複数の刻み部による過圧縮を受け、外周面が割りリング突条部による過圧縮を受けて変形し、長期間経過するとクリープ変形(応力を付加しないのに時間と共に増加する変形)を生来し、止水性が低下する怖れがある。
また、プラスチック管の先端の接続部は、内周面に対するインナーコア部の複数の刻み部の食い込みと、外周面に対する割りリングの突条部の食い込みとによって変形して、漏水防止状態が維持されるため、プラスチック管の塑性変形した接続部は、再度の管接続には利用出来ない。
【0011】
また、従来例2(図9)の管継手にあっては、図9(A)の如く、継手本体の内周面にOリング、補助リング、係止リング及び押圧リングを内包してキャップ内径部を継手本体内に嵌入仮螺合した管継手に、プラスチック管を挿入してキャップを螺入締着するワンタッチ方式の管継手であるが、可撓性のプラスチック管は巻物で現場に搬入されるため、巻癖が付いており、管継手への挿入用接続部の管断面は、楕円形に変形している。
【0012】
そのため、プラスチック管接続部を、無造作にキャップ内径部に嵌入すれば、内径方向に露出しているOリングに管先端が衝突して、継手本体の内周の溝に嵌合しているOリングに、内周方向に引出す作用を付与し、Oリングを、嵌入溝から脱落させたり、切断したり、変形させたりし、プラスチック管を接続した管継手は、Oリングが所期のシール性を発揮出来ず、漏水を生ずる怖れがある。
【0013】
そして、管継手に漏水が生ずれば、キャップを取外し、プラスチック管を抜去して、押圧リング、係止リング、補助リング、Oリングを一旦取外した後、再度管継手を再セットし、プラスチック管を挿入することとなる。
従って、巻癖の付いたプラスチック管の接続作業は、注意力を要する困難な作業となり、作業性が悪い。
また、例え、プラスチック管がOリングを損傷せずに管継手内に挿入出来ても、キャップ締着作業は、キャップ内径部がプラスチック管外周面に接触していること、及び最終締付けが押圧リングに回動押圧力を付与することにより、プラスチック管は、押圧リングと共廻りして部分捩れを発生し、プラスチック管に座屈、又は応力歪を生じ、プラスチック管自体の耐久性を損なう問題がある。
本発明は、これら従来例1,2の問題を解決又は改善した画期的な、ワンタッチ接続タイプのプラスチック管継手を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のプラスチック樹脂パイプ用の管継手は、例えば図1に示す如く、管状のインナーコア9の外周に継手本体8を装着し、継手本体8の端部にキャップ3を冠着し、パイプ12をキャップ3を介してインナーコア9上に被覆挿入し、キャップ3の回動によってワンタッチでプラスチック樹脂パイプ12を接続する管継手であって、インナーコア9は、通水孔H9を備えたパイプ形態であって、外周面9cには、継手本体8を螺着するねじ面9Sと、係止溝9Gに嵌合したOリング4とを備え、継手本体8は、パイプ形態であって、内周面8dには、インナーコア9螺着用のねじ面8S´を、外周面8cにはキャップ3螺着用のねじ面8Sを備えると共に、内周面端部には外方に拡径するテーパー面t8を備え、キャップ3は、後面3Bに挿入用孔H3を備え、内周面前部には継手本体のねじ面8Sと螺合するねじ面3Sを、内周面後部には外方に縮径するテーパー面t3を備えて、前部には継手本体のテーパー面t8と整合するテーパー面taを、後部にはキャップ3のテーパー面t3と整合するテーパー面tbとを外周に有し、縮径用のスリット5Gを備えた固定リング5を嵌合内包し、プラスチック樹脂パイプ12を、キャップ3の挿入用孔H3からインナーコア9と継手本体8との隙間dgに挿入し、キャップ3の螺合締着によって、固定リング5が縮径して、プラスチック樹脂パイプ12をインナーコア9外周面9cに水密押圧するものである。
【0015】
この場合、管継手を構成する各部材の材質は問わないが、砲金や真鍮製であれば、錆、金属溶出等の問題を生じるため、プラスチック樹脂材が好ましく、典型的には、キャップ3、継手本体8、インナーコア9は、ポリエーテルイミド樹脂(商品名:ウルテム樹脂)成形品であり、固定リング5はポリフェニレンオキサイド樹脂(商品名:ノリル樹脂)成形品である。
【0016】
また、インナーコア9の外周面9cと継手本体8の内周面8dとの隙間dgは、プラスチック樹脂パイプ12が嵌入出来る寸法であれば良く、隙間dgの形成は、図1(A)の如く、継手本体内周面8dを平滑とし、インナーコア外周面9cの拡径段部dgで形成しても良く、或いは、図示していないが、継手本体内周面8dに縮径突出段部を形成し、インナーコア外周面9cを平滑面としても良く、或いは、図示していないが、継手本体内周面8d及びインナーコア外周面9c双方から隙間dg形成用の段差突出を配置しても良く、隙間dgの形成は、管継手の製作面から適宜に選択決定すれば良い。
【0017】
また、管継手を採用するプラスチック樹脂パイプ12は、可撓性プラスチック管が好ましく、典型的には、リサイクルが可能で、可撓性に優れるエチレン.オクテン.コポリマー(PE−RT)樹脂製である。
また、Oリング4は、典型的には、耐磨耗性、耐熱性に優れた、JISB2401のニトリルゴムの太さ1.9mmの断面円形リングであり、採用するプラスチック樹脂パイプ12の許容誤差に対応出来る形態に配置すれば良く、JIS規格の呼び径13mmの外径R12が17mm、内径R12´が13mmのプラスチック樹脂パイプ12では、許容誤差が±0.15mmであるため、太さ1.9mmのOリング4は、外径R9´が12.6mmのインナーコア9の外周面9cから0.5mm突出形態とすれば良い。
そして、Oリング4は、プラスチック樹脂パイプ12の径の許容誤差にも十分なシール性で対応するため、典型的には、2本配置とし、各Oリング4は固定リング5の押圧域内での配置とすれば良い。
【0018】
また、縮径作用する固定リング5は、キャップ3内に緩嵌合で内包維持され、且つ、自由状態ではキャップ3の挿入用孔H3から貫入したパイプ12が貫通されれば良い。
また、固定リング5の、前部のテーパー面ta、後部のテーパー面tb、及び縮径用の割り溝形態のスリット5Gは、固定リング5が、キャップ3の前進に伴なって前進することにより、前部テーパー面taが継手本体8のテーパー面t8で、後部テーパー面tbがキャップ3のテーパー面t3で押圧縮径してプラスチック樹脂パイプ12をインナーコア9の外周面9cに水密的に押圧出来る関係寸法とすれば良い。
【0019】
そして、固定リング5のテーパー面tbと、キャップ3のテーパー面t3と、縮径用スリット5Gとの関係構造は、キャップ3を継手本体8に前進螺合して、キャップ3の回転が固くなった段階で、固定リング5のプラスチック樹脂パイプ12の外周面12cへの過押圧を生じない構造、即ち、可撓性のプラスチック樹脂パイプ12がインナーコア9の外周面に水密的に押圧出来る構造とするのが好ましく、典型的には、外周径R12が17mmのプラスチック樹脂パイプ12に対しては、固定リング5の挿入用孔H5の径R5´は17.6mmであり、スリット5Gの幅は2.5mmである。
【0020】
従って、本発明の管継手でのプラスチック樹脂パイプ12の接続作業は、図1の如く、キャップ外端(後端)の挿入用孔H3からパイプを挿入して、パイプ12を、キャップ3に内包保持された固定リング5と、インナーコア9外周面9cの隙間を挿通してインナーコア9の外周面9cと継手本体8の内周面8dとの隙間dgの最奥の段部d9まで挿入し、キャップ3を手動で回転するだけでキャップ3が継手本体8上を螺合前進し、同時に、固定リング5が、キャップ3のテーパー面t3と継手本体8のテーパー面t8との協仂作用で縮径して、パイプ12の内周面12dをインナーコア外周のOリング4に圧接して水密押圧し、ワンタッチ方式でプラスチック樹脂パイプ12の管継手への接続締着が実施出来る。
【0021】
そして、インナーコア9の存在により、巻癖の付いたプラスチック樹脂パイプ12であっても、管継手内への挿入は真円形態での案内挿入となり、例えパイプ先端がOリング突出部に衝突しても、パイプ12の先端は、Oリング4を弾性拡径して係止溝9Gから引出す程の応力を付与すること無く、Oリング4上を摺動して、Oリング4に対する変形、損傷は生じない。
また、キャップ3の締着初期段階では、固定リング5が、キャップ3の回動によるパイプ12外周面12cに対する摺動回動で前進し、パイプ12に捩れを生ずること無く進む。
【0022】
そして、固定リング5が縮径を開始して、パイプ12外周面12cと押圧摩擦を漸増する段階からは、固定リング5は、自体のテーパー面taと継手本体のテーパー面t8との押圧摩擦力の増大と、パイプ内周面12dのインナーコア9外周面9cへの押圧摩擦力の増大と、スリット5Gの両側縁のパイプ外周面12cに対する係止力増大との協仂作用が、後部のテーパー面tbで受けるキャップ3からの回転摩擦力を上回り、固定リング5はパイプ12に共廻りを生じない。
そのため、固定リング5が縮径してパイプ12を押圧締着するキャップ3の最終螺着時には、固定リング5は無回動でパイプ12をインナーコア9に押圧するだけであり、プラスチック樹脂パイプ12は、接続部に、共廻りによる座屈、又は捩れを生ずることなく管継手での締着接続が出来る。
【0023】
そして、キャップ3を手動で固くなるまで締着すれば、固定リング5の縮径が、縮径用スリット5Gのプラスチック樹脂パイプ外周面12cへの食い込みで、プラスチック樹脂パイプ12に対する引き抜け阻止を達成すると共に、パイプ12のインナーコア9に対する水密押圧を保証する。
そのため、本発明の管継手は、簡単なワンタッチ方式での接続締着作業でありながら、プラスチック樹脂パイプ12の接続部には共廻り現象を生ずることなく、Oリング4に対する変位、損傷も生ずることなく、確実な水密押圧、及び確実なパイプ止着保持を可能とする。
【0024】
また、本発明にあっては、図1(A)に示す如く、インナーコア9が複数のOリング4を備え、キャップ3の螺合締着時に、固定リング5の前部のテーパー面taと継手本体テーパー面t8との協仂作用によって、固定リング5がプラスチック樹脂パイプ12をOリング4に押圧するのが好ましい。
この場合、Oリング4は、複数本を適宜間隔を保って配置すれば、プラスチック樹脂パイプ内周面12dとOリング4群とは、面シールを構成し、各Oリング4の突出寸法を抑えても十分なシール作用が得られるが、典型的には、Oリング4は、中心間隔(L9´)を5mmで、各Oリング4をインナーコア外周面9cから0.5mm突出形態で配置する。
【0025】
また、固定リング5は、内周面5dの前後方向幅(軸方向幅)W5が各Oリング4の配置域からインナーコア9の先端域までカバーする寸法が好ましく、典型的には、固定リング5は、幅W5が19mmであり、前部のテーパー面taの幅Waが7mm、後部のテーパー面tbの幅Wbが4mmである。
この場合、固定リング5は、プラスチック樹脂パイプ12の抜脱(抜け出し)をも阻止する機能が要求されるため、固定リング5の内周面5dには、例えば、凹凸面、ねじ面等の摩擦力増加手段を付与するのが好ましい。
【0026】
従って、本発明にあっては、プラスチック樹脂パイプ12に対し、固定リング5が、前部では、継手本体8の円錐テーパー面t8内に圧入され、且つ、キャップ3内周面3dが円錐テーパー面t8の外周を確保することにより保証された押圧力を受けるテーパー面taによって、Oリング4のシール作用と止着係止とを付与し、後部では、テーパー面tbがキャップ3の押圧による止着係止作用を付与するため、水密押圧作用と引き抜け防止とが保証される。
そして、複数のOリング4によってシール作用面が形成出来るため、Oリング4の配置も、プラスチック樹脂パイプ12のインナーコア9への被覆挿入嵌合時に、Oリング4が挿入嵌合障害とならない程度の小寸(標準:0.5mm)の突出量としても、固定リング5によるプラスチック樹脂パイプ12に対する完全な水密押圧作用が得られる。
そのため、プラスチック樹脂パイプ12の管継手への挿入が容易で、キャップ3を手動で回動するだけで接続締着が出来、且つ漏水の怖れも、引き抜けの怖れも無い、ワンタッチ方式の管継手となる。
【0027】
また、本発明は、管継手を構成する全部材がプラスチック樹脂製であって、少なくとも、インナーコア9、継手本体8及びキャップ3は透視可能プラスチック樹脂製であるのが好ましい。
この場合、透視可能とは、透明又は着色半透明であって、裏側(内側)の部品(部材)が透過目視出来る意味である。
また、Oリング4は、プラスチック樹脂パイプの内側となる部材であるため、黒色としておけば、着色プラスチック樹脂パイプ12を介しての外部からの目視も可能となる。
【0028】
従って、管継手によるプラスチック樹脂パイプ12の接続作業時に、プラスチック樹脂パイプ12の先端が所定位置まで適正に嵌入したか、各Oリング4は適正状態を維持しているか、固定リング5は適正状態か、等が作業員によって目視出来、締着作業が容易となる。
尚、慣用の、給水管、給湯管は同色物であって、架橋ポリエチレン管は半透明、ポリブテン管はクリーム色であるが、本出願人が製造、販売している、リサイクルが可能で、可撓性が高い、エチレン.オクテン.コポリマー樹脂製の給水・給湯管を採用すれば、給水管はホワイトでの、給湯管はピンクでの半透明管である。
【0029】
また、本発明にあって、固定リング5は、図6に示す如く、軸方向幅(前後方向幅)W5が、インナーコア9の先端からOリング4域を覆う寸法を備え、且つ、内周面5dには複数本の周方向条溝5G´を備えているのが好ましい。
尚、Oリング4は、典型的には、5mm間隔の2本配置であり、外側のOリング用係止溝9Gはインナーコア9の先端から12mm置いた配置であるため、固定リング5の軸方向寸法W5は20mm前後(標準:19mm)とすれば良い。
また、内周面5dの周方向条溝5G´は、プラスチック樹脂パイプ外周面12cに対する係止保持(引き抜け阻止)機能を奏すれば良く、条溝5G´の幅、深さ、間隔は、対象プラスチック樹脂パイプ12に応じて適宜に決定すれば良いが、典型的には、図6(B)の如く、深さ0.3mm、幅0.3mmの内周溝を両側に2本、前面5F及び後面5Bから3mm内側に配置する。
【0030】
従って、該固定リング5が、プラスチック樹脂パイプ12の外周面12cに対して、縮径して押圧作用を生ずれば、プラスチック樹脂パイプ12の外周面12cは、微視的には、圧縮弾性変形によって条溝5G´内に膨出形態で食い込み、固定リング5の樹脂パイプ12に対する把持力が増大する。
そして、プラスチック樹脂パイプ12は、固定リング5の押圧作用によって、内周面12dが複数本の突出Oリング4で押圧され、外周面12cが複数の条溝5G´内へ食い込み、且つ縮径したスリット5Gも係止作用に助力するため、固定リング5は、プラスチック樹脂パイプ12に、インナーコア9の先端からOリング4の配置域に亘る広い周面で、水密シール作用、及び引き抜け阻止作用を、面作用で付与することとなり、強固な水密押圧、及び強固な係止保持作用を果たす。
【0031】
また、本発明にあって、固定リング5は、図6に示す如く、前部外周に緩傾斜のテーパー面taを、継手本体8のテーパー面t8と整合する形態で備え、後部外周に急傾斜のテーパー面tbを、キャップ3のテーパー面t3と整合する形態で備え、且つ、キャップ3の挿入用孔H3と同径の挿入用孔H5を備えているのが好ましい。
この場合、固定リング5は、典型的には、図6(C)に示す如く、軸方向長さW5が19mmであり、テーパー面taの長さWaが7mm、テーパー面tbの長さWbが4mmであって、円筒部外周面5cの外径R5が27.6mmで、中央部に径17.6mmの挿入用孔が貫通し、且つ側面には割り溝形態の縮径用の小幅(標準:2.5mm)のスリット5Gを切開し、内周面5dには、幅0.3mm、深さ0.3mmの周方向条溝5G´を2本、前面5F及び後面5Bから3mm内方位置に配置したものである。
【0032】
また、固定リング5の、前側のテーパー面ta(標準:1/7勾配、7mm長)は、後側のテーパー面tb(標準:1/4勾配、5mm長)より緩傾斜で長いものである。
従って、図1(A)の左半に示す如く、キャップ3を継手本体8に仮螺着した状態では、固定リング5はキャップ3の後部のテーパー面t3で姿勢の制御された状態となるため、固定リング5の挿入用孔H5はキャップ3の挿入用孔H3と整合位置を占め、プラスチック樹脂パイプ12をキャップ3の後面3Bから挿入すれば、同口径の挿入用孔H5をスムーズに貫通する。
そのため、固定リング5の挿入用孔H5の口径は、キャップ3の挿入用孔H3の口径と同径に設定出来、固定リング5が必要最小限の縮径で、プラスチック樹脂パイプ12の必要締付けが達成出来る。
【0033】
そして、固定リング5のプラスチック樹脂パイプ12への押圧締着作用は、キャップ3の急傾斜のテーパー面t3からの固定リング5後部の急傾斜のテーパー面tbを介して固定リング5を前進させ、固定リング5の長くて、緩傾斜の前部テーパー面taが、継手本体8内へ圧接力を漸増しながら嵌入し、前部テーパー面taが摩擦力の早期伝達を受けるため、固定リング5がパイプ12の表面と当接してパイプ外周面12cから摩擦力を受ける段階で、もはや固定リング5は、後部のテーパー面tbに対するキャップ3の回転摩擦力がスリップを生じながらの押圧力作用のみとなり、以降のキャップ3の回転による強固な前進締着作用時にあっても、固定リング5の前部の長寸(標準:7mm)且つ緩傾斜(1/7勾配)のテーパー面taの継手本体テーパー面t8との強力な摩擦力と、スリット5G及び内周面の条溝5G´のパイプ外周面12cへの食い込みによって、固定リング5は、プラスチック樹脂パイプ12に共廻り捩れを生ずること無くパイプ12を強固に押圧締着する。
【0034】
そして、インナーコア外周面9cから突出したOリング4の配置域に対しては、固定リング5の長尺テーパー面taと継手本体テーパー面t8との協仂作用で、適正圧接力まで、即ちキャップ3の手動回転が固くなるまで、漸増加圧出来、且つ、最外周はキャップ3で確保されるため、固定リング5は、プラスチック樹脂パイプ12に対する最大圧接力の必要なOリング4配置域では、緻密に漸増して所定圧力に達する押圧作用によって、パイプ12に対する確実、安全なシール締着を提供する。
【0035】
従って、プラスチック樹脂パイプ12は、固定リング5での、前部テーパー面taによる一義的で確実な押圧作用と、後部テーパー面tbによる二義的押圧作用とにより、Oリング4への押圧シール作用、及びインナーコア外周面9cへの圧接によるシール作用と、引き抜け防止の係止作用とを受けることとなる。
そのため、本発明の管継手は、所定のプラスチック樹脂パイプ12を挿入して、キャップ3を手動で回転するだけで、接続パイプ12に共廻り作用を付与することなく、シール作用及び引き抜け防止作用を付与するものとなり、接続用のプラスチック樹脂パイプ12を傷めることなく、確実に、耐漏水シールを伴なう引き抜け防止の接続が達成出来る。
【0036】
また、本発明は、図1に示す如く、インナーコア9及び継手本体8が長手方向に左右対称構造のソケット形態であって、両側からキャップ3を嵌合して、両側からプラスチック樹脂パイプ12を挿入接続するのが好ましい。
この場合、継手本体8及びインナーコア9は、図1に示す如く、長手方向に左右対称形態で準備し、固定リング5を嵌合内包したキャップ3を、継手本体8の両端に嵌合仮螺着しておけば、該管継手は、両側からのプラスチック樹脂パイプ12の挿入接続が可能となる。
従って、該左右対称の両頭形態のソケット型管継手は、プラスチック樹脂パイプ12の長尺化継手として有効である。
【0037】
また、本発明は、図7に示す如く、継手本体8がエルボ形態であって、一端の管継手に、プラスチック樹脂パイプ12を接続締着可能とし、エルボ管10の他端内面には接続用ねじ面10Sを備えたものが好ましい。
この場合、継手本体8は、一半には管継手構造を、他半には屈曲エルボ管10を一体化成形で形成すれば良く、インナーコア9は、図7(A)に示す如く、継手本体の管継手構造に対応する寸法に準備すれば良い。
従って、本発明の管継手を採用すれば、一端にはプラスチック樹脂パイプ12がワンタッチ操作で接続出来、他端には端末機器としての図示しない水栓、又はソケットが接続出来るため、プラスチック樹脂パイプ12を採用した配管施工に有効である。
【発明の効果】
【0038】
本発明の管継手は、継手本体8の端部に嵌着したキャップ3からプラスチック樹脂パイプ12をインナーコア9の外周に沿って、継手本体8とインナーコア9との隙間dgに挿入し、キャップ3を継手本体8に、手動で回転螺合するだけで、プラスチック樹脂パイプ12が縮径する固定リング5によって、インナーコア9外周面9cに強圧確保出来て、流水管としてのインナーコア9に対して、水密的に、且つ引き抜けの怖れなく接続出来る。
【0039】
そして、プラスチック樹脂パイプ12は、巻癖の付いた状態、即ち、湾曲癖や楕円変形癖の付いた状態であっても、管継手内への挿入は、インナーコア9への被覆嵌入であるため、可撓性のパイプ12は、断面真円形態に修正されながら挿入され、インナーコア9の外周面9cに配置したOリング4上を平滑に通過して、Oリング4が抜脱や損傷を受けないため、固定リング5によるプラスチック樹脂パイプ12のインナーコア9外周面9cへの押圧は、所定の水密押圧を達成する。
【0040】
また、キャップ3の継手本体8への回転螺合前進作用は、キャップ3の螺合前進で縮径する前後にテーパー面ta,tbを備えた固定リング5を、継手本体8とキャップ3間に介在したことにより、プラスチック樹脂パイプ12に共廻り捩れを付与することなく、プラスチック樹脂パイプ12をインナーコア9の外周面9cに、強固に、且つ水密的に圧接止着出来、キャップ3を手動回転で締着するだけのワンタッチ操作によって、信頼性に富む、完全な、水密的締着が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明を、JIS規格の呼び径13Aで、外径が17mm、内径が13mmのプラスチック樹脂パイプに適用するソケット型管継手1として実施形態を説明する。
図1(A)は、ソケット型管継手1の縦断断面図であって、図(A)に於いて、右側の管継手はパイプ12を接続した状態を、左側の管継手はパイプ挿入寸前の状態を示す図であり、図1(B)は、図1(A)の側面図である。
ソケット型管継手1は、図1(A)に示す如く、通水孔H9を備えたインナーコア9の外周に継手本体8を螺着し、固定リング5を嵌合内包したキャップ3を継手本体8の端部外周に螺合するものである。
【0042】
〔インナーコア9(図4)〕
図4はインナーコア9の説明図であって、(A)は縦断側面図、(B)は側面図である。
インナーコア9は、透明で、ポリエーテルイミド樹脂(商品名:ウルテム樹脂)製の、一般肉厚が3mmのパイプ形状成形品であり、全長L9が98mm、通水孔H9となる内径R9”は6.7mm、外径R9´は12.6mmであって、円筒中央部外周には径R9が20mmの膨出厚肉部を有し、該膨出厚肉部外周面には、長さ18mmに亘るねじ面9Sを備え、インナーコア外周面9cから膨出ねじ面9Sに亘って、高さ3.65mmの段部d9を備えている。
また、両端外周には、プラスチック樹脂パイプ12への挿入を円滑にするための1/3勾配のテーパー面t9を付設し、外周面9cの段部d9と先端との中間位置には、Oリング4を嵌入するための、幅1.9mm、深さ1.4mmの係止溝9Gを間隔L9´が5mmで2本配置したものである。
【0043】
〔継手本体8(図2)〕
図2は継手本体の説明図であって、(A)は縦断側面図、(B)は端面図、(C)は側面図である。
継手本体8は、インナーコア9同様に、透明で、一般肉厚4mmのポリエーテルイミド樹脂(商品面:ウルテム樹脂)製のパイプ形状成形品であり、外周面8cの両側には、キャップ3を、緩みを生じないように螺合するための、ねじ間隔の短いメートル細目ねじ(JISB0207)を、外周面8cよりねじ山が突出する形態でねじ面8Sを配設し、また外周面8c中央には、インナーコア取付時に、継手本体8の回動を抑止する治具(レンチ等)当接用の平坦面8fを表裏に対称配置し、内周面8dの長さ方向中央部には、インナーコア9螺着用のねじ面8S´を内周面8dから突出形態で配置した。
【0044】
また、内周面両端には、固定リング5が嵌合する長さL8´が7mmの嵌合孔H8´を、ストッパー機能を奏するストッパー面stを介して外方に拡開形態で配置し、該嵌合孔H8´の外方に拡開する内周面をテーパー面t8とした。
そして、テーパー面t8は、長さL8´が7mmで、内端径が21.6mm、外端径が22.4mmで形成した。
継手本体8の寸法関係は、外径R8が26.4mm、全長L8が73mmで、中央には径R8´が19.6mmで貫通する挿入用孔H8を備え、内周面8dの長さ方向中央部には、長さ18mmに亘って、インナーコア螺着用のねじ面8S´を内周面8dから突設形態で配置し、外周面両側のねじ面8Sは、先端から長さ(L8´)7mmを置いて、長さ12mmの範囲に配置した。
【0045】
〔キャップ3(図3)〕
図3(A)はキャップ3の後面図、図3(B)は縦断側面図である。
キャップ3は、透明なポリフェニレンオキサイド樹脂(商品名:ノリル樹脂)成形品であって、図3(A)に示す如く、パイプ形状であって、外周面3cには手動回転の滑り止め用に、長手方向の突起3Pを六角形状に配置し、後面3Bには、プラスチック樹脂パイプ12を挿入するための、円形状の、径R3”が28mmの挿入用孔H3を備え、前面3Fより若干(標準:1mm)内側から内周面3dには、継手本体8螺合用の、メートル細目ねじ3S(JISB0207)を前後12mmに亘って備え、後面3B内側には、固定リング5のテーパー面tb当接用のテーパー面t3を備えたものである。
【0046】
パイプ形状のキャップ3は、一般肉厚3.5mmで、長さL3が38mm、円筒外周面3cの直径R3が35mmであって、外周面3cには、幅5mm、突出高さd3が1.5mmの長さ方向突起3Pを、六角形状に等間隔に備え、後面3B中央の挿入用孔H3の径R3´は17.6mmであり、内周面3d前部のねじ面3Sは、幅12mmに亘るピッチ間隔1.5mm、高さ0.8mmのメートル細目ねじ面であり、内周面後面のテーパー面t3は、内周径(R3”)28mmから1/4勾配、長さ8mmで後方に縮径する裁頭円錐面である。
【0047】
〔Oリング4(図5)〕
図5(A)は、Oリングの正面図であり、図5(B)はOリングの縦断側面図である。
Oリング4は、インナーコア9の、幅1.9mm、深さ1.4mmの係止溝9Gに嵌入装着するシール部材であり、耐摩耗性、耐熱性に優れたニトリルゴム(JISB2401)の太さW4が1.9mm、内径R4が9.8mmの断面円形リングであり、黒色に着色(原液染め着色)したものである。
【0048】
〔固定リング5(図6)〕
図6は、固定リング5の説明図であって、(A)は側面図、(B)は後面図、(C)は縦断面図である。
固定リング5はポリフェニレンオキサイド樹脂(商品名:ノリル樹脂)製の成形品であって、全体形状は、図6(C)に示す如く、中央には、プラスチック樹脂パイプ12を挿入するための、直径R5´が17.6mmの挿入用孔H5を備え、前後方向幅W5が19mmで、外周面5cには、前面5Fから中央部へ拡径する円錐テーパー面taを、継手本体8のテーパー面t8と整合する形態に、長さWaが7mmで備え、後面5Bからは、中央部へ拡径する円錐テーパー面tbを、キャップ3の後面内周のテーパー面t3に整合する形態に、長さWbが4mmで備えている。
【0049】
そして、固定リング5に外圧が付加されれば縮径するための、小幅(標準:2.5mm)の切開されたスリット5Gを、図6(A)の如く、全長に亘る割り溝形態で備えており、内周面5dには、縮径してプラスチック樹脂パイプ12の外周面12cを押圧すれば、プラスチック樹脂パイプ外周面12cが弾性変形で食い込むための周方向の2本の小条溝(標準:深さ0.3mm、幅0.3mm)を、内周面5dの前面5Fから3mm、及び後面5Bから3mm位置に配設したものである。
【0050】
〔管継手の使用〕
管継手は、工場内で、図1(A)の左半に示す如く、インナーコア9の、円筒外周面9cの外径R9´が12.6mmの円筒部に配置した各係止溝9G(幅1.9mm、深さ1.4mm)に、黒色のOリング4(径1.9mm、内径9.8mm)を嵌合し、次いで、ソケット用継手本体8内周面8dの中央部のねじ面8S´に、ソケット用のインナーコア9外周面中央部のねじ面9Sを螺合し、インナーコア9の円筒部外周面9cと継手本体円筒部内周面8dとの間に、パイプ12を嵌入する隙間dgを形成して締着する。
この場合、継手本体外周面8cの中央に配置した両側の平坦面8fを挟み込んで把持して、インナーコア9を螺合締着するので作業性が良い。
【0051】
次いで、キャップ3内へ、図1(A)の左半に示す如く、固定リング5を、後部のテーパー面tbがキャップ3のテーパー面t3側に、前部のテーパー面taが継手本体8のテーパー面t8側にして、嵌入内包し、キャップ3を継手本体8の端部に仮螺着する。
この場合、固定リング5は、キャップ3内で緩嵌合の自由状態であって、後面5Bがキャップ3のテーパー面t3に当接支承された形態となるため、キャップ3後面の挿入用孔H3と固定リング5の挿入用孔H5とは、同径、且つ前後整合形態となる。
そして、継手本体8にキャップ3を仮螺合した状態で、管継手として、施工現場に搬入する。
【0052】
施工現場では、管継手に対して、図1(A)の左側図示の如く、プラスチック樹脂パイプ12として、JIS規格の呼び径13A(外径R12:17mm、内径R12´:13mm)のエチレン.オクテン.コポリマー(PE−RT)樹脂製パイプ12の先端を、キャップ3の後端(後面3B)の挿入用孔H3(孔径:17.6mm)から固定リング5(孔径:17.6mm)を貫通し、インナーコア9の外周に被覆形態で嵌合して、隙間dg内を段部d9まで挿入する。
この場合、キャップ3、継手本体8、インナーコア9は透明であるため、プラスチック樹脂パイプ12が、Oリング4に変位を生じていない状態、及び、パイプ先端が最奥部の段部d9まで適正に嵌入した状態を目視確認して実施出来る。
【0053】
次いで、キャップ3を手で回転して、固く感じるまで継手本体8に螺合前進させる。
そして、キャップ3の、継手本体8に対する回転前進によって、キャップ3内に内包されている固定リング5も、キャップ3の後部内側のテーパー面t3で押されて前進し、プラスチック樹脂パイプ12外周に緩嵌合であった固定リング5は、前側の、緩傾斜且つ長寸のテーパー面taが継手本体のテーパー面t8の円錐面内への漸増する精緻な押圧嵌入作用を、後側の、急傾斜且つ短寸のテーパー面tbがキャップ3後部のテーパー面t3の急増する被冠押圧作用を受け、前部と後部との押圧作用を受けて全長に亘って縮径して、プラスチック樹脂パイプ12の外周面12cを圧接する。
【0054】
この場合、キャップ3を本締着した状態では、図1(A)の右側に示す如く、固定リング5は、前半部位がOリング4の配置域外周面を押圧して、プラスチック樹脂パイプ12の内周面12dとインナーコア9の外周面9cとを完全に水密押圧し、後半部位がインナーコア9の先端域外周面9cへのプラスチック樹脂パイプ内周面12dの水密押圧を達成し、同時に、固定リング5の内周面5dの周方向の2本の小条溝5G´と、割り溝形態の1本のスリット5Gとが、可撓性プラスチック樹脂パイプ12の外周面12cへの食い込み作用を奏し、プラスチック樹脂パイプ12の管継手からの引き抜け防止も達成する。
即ち、図1に示すソケット型管継手にあっては、両側からパイプ12を挿入し、キャップ3を回転締付けるだけで、パイプ12の接続がワンタッチで達成出来、水密押圧と引き抜け防止保持の保証出来るパイプ接続が達成出来る。
【0055】
〔変形例(図7)〕
図7は、本発明の管継手をエルボ形態として水栓等の接続に適用可能とした説明図であって、図7(A)は縦断側面図、図7(B)は側面図である。
この場合、図7(A)に示す如く、継手本体8の他端は屈曲したエルボ管10とし、インナーコア9、継手本体8、キャップ3は、継手本体8の一端側にのみ配置する形態、即ち、図1のソケット型管継手1の一端側対応構成とし、他端のエルボ管10の先端内周には接続用ねじ面10Sを、螺着する金具に応じて配置したものである。
従って、配管施工時に、所定位置に管継手2を固定して、一端の継手本体8に、プラスチック樹脂パイプ12をワンタッチ操作で接続し、他端には、図示しない水栓、或いは給水側のソケット金具等を螺合固定することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のソケット型管継手の説明図であって、(A)は縦断側面図、(B)は側面図である。
【図2】継手本体8の説明図であって、(A)は縦断側面図、(B)は端面図、(C)は側面図である。
【図3】キャップ3の説明図であって、(A)は後面図、(B)は縦断側面図である。
【図4】インナーコア9の説明図であって、(A)は縦断側面図、(B)は側面図である。
【図5】Oリング4の説明図であって、(A)は正面図、(B)は縦断側面図である。
【図6】固定リング5の説明図であって、(A)は側面図、(B)は後面図、(C)は縦断面図である。
【図7】本発明をエルボ型管継手に適用した説明図であって、(A)は縦断側面図、(B)は側面図である。
【図8】従来例1の説明図であって、(A)は接続前の状態の縦断側面図、(B)は接続状態の縦断側面図である。
【図9】従来例2の説明図であって、(A)は接続状態の縦断側面図、(B)は(A)の部分拡大図である。
【符号の説明】
【0057】
1 ソケット型管継手(管継手)
2 エルボ型管継手(管継手)
3 キャップ
3B,5B 後面
3c,5c,8c,9c,12c 外周面
3d,5d,8d,9d,12d 内周面
3F,5F 前面
3P 突起
3S,8S,8S´,9S,10S ねじ面
4 Oリング
5 固定リング
5G スリット
5G´ 条溝
8 継手本体
8f 平坦面
9 インナーコア
9G 係止溝
10 エルボ管
12 プラスチック樹脂パイプ(パイプ)
dg 隙間
d9 段部
H3,H5,H8 挿入用孔
H8´ 嵌合孔
H9 通水孔
t3,t5,t8,t9 テーパー面
st ストッパー面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状のインナーコア(9)の外周に継手本体(8)を装着し、継手本体(8)の端部にキャップ(3)を冠着し、プラスチック樹脂パイプ(12)をキャップ(3)を介してインナーコア(9)上に被覆挿入し、キャップ(3)の回動によってワンタッチでプラスチック樹脂パイプ(12)を接続する管継手であって、インナーコア(9)は、通水孔(H9)を備えたパイプ形態であって、外周面(9c)には、継手本体(8)を螺着するねじ面(9S)と、係止溝(9G)に嵌合したOリング(4)とを備え、継手本体(8)は、パイプ形態であって、内周面(8d)には、インナーコア(9)螺着用のねじ面(8S´)を、外周面(8c)にはキャップ(3)螺着用のねじ面(8S)を備えると共に、内周面端部には外方に拡径するテーパー面(t8)を備え、キャップ(3)は、後面(3B)に挿入用孔(H3)を備え、内周面前部には継手本体のねじ面(8S)と螺合するねじ面(3S)を、内周面後部には外方に縮径するテーパー面(t3)を備えて、前部には継手本体のテーパー面(t8)と整合するテーパー面(ta)を、後部にはキャップ(3)のテーパー面(t3)と整合するテーパー面(tb)とを外周に有し、縮径用のスリット(5G)を備えた固定リング(5)を嵌合内包し、プラスチック樹脂パイプ(12)を、キャップ(3)の挿入用孔(H3)からインナーコア(9)と継手本体(8)との隙間(dg)に挿入し、キャップ(3)の螺合締着によって、固定リング(5)が縮径して、プラスチック樹脂パイプ(12)をインナーコア(9)外周面(9c)に水密押圧する、プラスチック樹脂パイプ用の管継手。
【請求項2】
インナーコア(9)が複数のOリング(4)を備え、キャップ(3)の螺合締着時に、固定リング(5)の前部のテーパー面(ta)と継手本体テーパー面(t8)との協仂作用によって、固定リング(5)がプラスチック樹脂パイプ(12)をOリング(4)に押圧する、請求項1の管継手。
【請求項3】
管継手を構成する全部材がプラスチック樹脂製であって、少なくとも、インナーコア(9)、継手本体(8)及びキャップ(3)は透視可能プラスチック樹脂製である、請求項1又は2の管継手。
【請求項4】
固定リング(5)は、軸方向幅(W5)が、インナーコア(9)の先端からOリング(4)域を覆う寸法を備え、且つ、内周面(5d)には複数本の周方向条溝(5G´)を備えている、請求項1乃至3のいずれか1項の管継手。
【請求項5】
固定リング(5)は、前部外周に緩傾斜のテーパー面(ta)を、継手本体(8)のテーパー面(t8)と整合する形態で備え、後部外周に急傾斜のテーパー面(tb)を、キャップ(3)のテーパー面(t3)と整合する形態で備え、且つ、キャップ(3)の挿入用孔(H3)と同径の挿入用孔(H5)を備えている、請求項1乃至4のいずれか1項の管継手。
【請求項6】
インナーコア(9)及び継手本体(8)が長手方向に左右対称構造のソケット形態であって、両側からキャップ(3)を嵌合して、両側からプラスチック樹脂パイプ(12)を挿入接続する、請求項1乃至5のいずれか1項の管継手。
【請求項7】
継手本体(8)がエルボ形態であって、一端の管継手に、プラスチック樹脂パイプ(12)を接続締着可能とし、エルボ管(10)の他端内面には接続用ねじ面(10S)を備えた、請求項1乃至5のいずれか1項の管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−19395(P2010−19395A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182566(P2008−182566)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(396027108)株式会社テスク (68)
【Fターム(参考)】