プラスチック粉砕物の静電選別装置
【課題】簡便かつ安価で選別精度の高いプラスチック粉砕物の静電選別装置を提供することを目的とする。
【解決手段】送風手段と加熱手段と供給手段の供給路5とをそれぞれ連接しプラスチックを搬送する搬送路6を設けるとともに、搬送中にプラスチックを帯電させる帯電部と、プラスチックを種類別に種別する静電分離手段と、静電分離手段の下方に配置された複数の回収容器を備え、電極へのプラスチック供給速度低減手段,供給位置規定手段等を設けることにより選別精度を向上させる。
【解決手段】送風手段と加熱手段と供給手段の供給路5とをそれぞれ連接しプラスチックを搬送する搬送路6を設けるとともに、搬送中にプラスチックを帯電させる帯電部と、プラスチックを種類別に種別する静電分離手段と、静電分離手段の下方に配置された複数の回収容器を備え、電極へのプラスチック供給速度低減手段,供給位置規定手段等を設けることにより選別精度を向上させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的ないし物理的組成を異にする2種類以上の要素物体からなるプラスチック混合物を、静電的に種類毎に分離・回収するプラスチック粉砕物の静電選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチック生産量の増加とともに廃プラスチックの発生量が増大している。プラスチックは比重が小さいため重量では鉄やセメントの6分の1程度であるが、体積としては最大の生産量に達していると考えられる。廃プラスチックは、排出量の約40%が埋め立て処理、約50%が焼却処理されている。埋め立てる方法は埋め立て地の残余年数減少の問題があり、焼却については炭酸ガス発生による地球温暖化や、ダイオキシン等の有害ガス発生の問題がある。
【0003】
また、廃プラスチックの再生利用は10%程度であり、廃プラスチックのリサイクルは、ゴミ発電を含めても25%と紙やガラスびんと比べて大変低くなっている。これは、廃プラスチックを種類別に分離できないことが大きな要因であり、リサイクルを促進し各素材がそれぞれに適したリサイクル材として用いられるためには、廃プラスチックを各種類別に分離回収する必要がある。
【0004】
そこで、プラスチックを分離する方法として、X線や近赤外線センサを利用して色や材質を検知して分離する方法や、プラスチックの比重差を利用する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−11377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、X線や近赤外線センサを利用する方法は、PETボトルのように大きくて同一素材でできたものの分離に限定されており、様々な大きさ,形状のプラスチックで構成されているものを種類別に分離することは困難である。また、プラスチックの比重差を利用する方法では、近い比重を持つプラスチックを分離することは困難であり、水等の比重液を使用するため廃液処理が必要になり、処理コストがかさむという問題がある。
【0007】
本発明は上記従来の技術の問題点を解決するため、プラスチックの帯電を利用してプラスチックを各種類別に分離・回収することを特徴とし、簡便かつ安価で選別精度の高いプラスチック粉砕物の静電選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明のプラスチック粉砕物の静電選別装置は、水等を使用する湿式分離を行うことなくプラスチック粉砕物を分離するプラスチック粉砕物の静電選別装置であって、プラスチック粉砕物を搬送するための搬送部と、搬送中にプラスチック粉砕物を帯電させる帯電部と、帯電したプラスチック粉砕物を静電場に導入して種類別に種別する静電分離部と、静電分離部の下方に配置された複数の回収容器を備えるプラスチックの静電選別装置において、プラスチック粉砕物を搬送する送風手段と、送風を加熱して温風にする加熱手段と、プラスチック粉砕物を搬送部を構成する搬送路へ供給する供給路を備えた供給手段とを設けたことを特徴とする。
【0009】
これにより、近い比重を持つプラスチック粉砕物も水分を除去され大きな帯電量で帯電され種類別に分離・回収が確実に行えることになり、各プラスチックに最適なリサイクルをすることができるため、これまでシュレッダーダストとして埋め立てもしくは焼却処理されてきたプラスチックの量を大幅に減少させることができ、環境への負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る静電分離装置によれば以下のような効果を奏することができる。
【0011】
プラスチック粉砕物を搬送するための送風手段と、送風を加熱する加熱手段と、プラスチック粉砕物を搬送路に供給する供給路を備えた供給手段とを設けたことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、送風手段により発生する風力を利用してプラスチック粉砕物の供給・搬送を行うため、ロータリーバルブやスクリューバルブ等の供給手段、ベルトコンベア等の搬送手段を用いることなくプラスチック粉砕物を供給・搬送できるため、装置を小型化することができるとともにプラスチック粉砕物を定量的に安定して搬送することができる。
【0012】
また、空気を加熱して温風にする加熱手段を設け、送風手段と加熱手段と供給手段の供給路とを連接することにより、プラスチック粉砕物の乾燥と供給および搬送を同時に行うことができるため、乾燥炉等の設備が不要になり、処理コストを低減することができるとともに、プラスチック粉砕物により大きな帯電を行うことができ正確な選別ができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態における静電選別装置の説明図
【図2】搬送路に垂直な面から空気の流れ方向と逆方向に供給路を接合した模式図
【図3】搬送路に垂直に供給路を接合した模式図
【図4】搬送路に垂直な面から空気の流れ方向に供給路を接合した模式図
【図5】搬送路内に急収縮管を設置した模式図
【図6】導入板を設置した場合の模式図
【図7】導入板の位置をずらして設置した場合の模式図
【図8】導入板を設置しない場合の模式図
【図9】スクリュー及びサイクロン帯電の効果を示した分離試験結果を示す図
【図10】速度低減手段及び導入板の効果を示した分離試験結果を示す図
【図11】電極付着粉塵除去効果を示したPP回収率の変化を示す図
【図12】電極付着粉塵除去効果を示したPP純度の変化を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の発明は、水等を使用する湿式分離を行うことなくプラスチック粉砕物を分離するプラスチック粉砕物の静電選別装置であって、プラスチック粉砕物を搬送する搬送部と、プラスチック粉砕物を搬送中に帯電させる帯電部と、帯電したプラスチック粉砕物を静電場に導入して種類別に分離する静電分離部と、静電分離部の下方に配置された複数の回収容器を備えるプラスチックの静電選別装置において、プラスチック粉砕物を搬送するための送風手段と、送風を加熱して温風にする加熱手段と、プラスチック粉砕物を搬送路へ供給する供給路を備えた供給手段とを設けたことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、プラスチック粉砕物の乾燥と供給および搬送を同時に行うことができるため、乾燥炉等の設備が不要になり、処理コストを低減することができるという作用を有する。
【0015】
本発明の第2の発明は、供給路が、搬送路内の空気の流れ方向に垂直な面から空気の流れ方向と逆方向に10°〜80°の角度で傾斜させて接合されていることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、供給路を傾斜をつけて搬送路に接合することにより、供給路側への空気(プラスチック粉砕物)の逆流を防止することができるため、プラスチック粉砕物を安定して搬送路に供給することができるという作用を有する。
【0016】
プラスチック粉砕物が自重で供給路から搬送路に落下するためには、送風手段により発生した空気が供給路側へ逆流せずに搬送路内を通過しなければならない。供給路の連接角度を搬送路内の空気の流れ方向に垂直な面から空気の流れ方向と逆方向に80°よりも大きくしたり空気の流れ方向に傾斜して連接すると、供給路方向への空気の逆流が発生しプラスチック粉砕物が供給路から吹き出してしまう。また、10°未満にするとプラスチック粉砕物が供給路から自重で落下しづらくなり供給路内に詰まってしまうために搬送路に供給できなくなる。
【0017】
本発明の第3の発明は、供給路の断面積が搬送路断面積に対し1/20〜1/2倍であることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、供給路側への空気(プラスチック粉砕物)の逆流防止効果をさらに高めることができるという作用を有する。
【0018】
ここで、供給路断面積を搬送路断面積の1/20倍未満にすると、搬送路断面積が小さい場合には、大きい粒径のプラスチック粉砕物が供給路に詰まってしまう危険性がある。そのために搬送路を大きくすると装置が大型化するとともに、送風手段である送風機も能力の高い高価な送風機が必要になる。また、供給路断面積を搬送路断面積の1/2倍よりも大きくすると空気の供給路方向への逆流が発生しプラスチック粉砕物が吹き出してしまう危険がある。
【0019】
本発明の第4の発明は、供給路と搬送路接合部よりも送風手段側の搬送路内部に、空気の流れ方向に狭くなっている急収縮管を配置したことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、2種類のガスを混合するときに使用されるエジェクタ効果を応用したものである。急収縮管から排出される空気の流速が増加するためにベルヌーイの定理により接合部付近の圧力が低下し、供給路内部に大きい負圧を発生させプラスチック粉砕物を吸引して搬送路に供給するものであり、プラスチック粉砕物の搬送路への供給能力をさらに向上させるという作用を有する。
【0020】
本発明の第5の発明は、急収縮管の出口断面積が搬送路断面積の1/100〜1/2倍であることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、帯電部であるスクリュー及びサイクロンの圧力損失の影響によるプラスチック粉砕物の逆流を防止効果を高めることができるとともに、断面積比を変更することによってプラスチック粉砕物を搬送する風圧,風速を自由に変更することが可能であるという作用を有する。
【0021】
ここで、急収縮管の出口断面積を搬送路断面積の1/100倍未満にすると、圧力損失によりプラスチック粉砕物の搬送能力が低下してしまうとともに送風機に過負荷がかかり故障の原因となる。また、1/2倍よりも大きくするとエジェクタ効果が減少し搬送路への供給能力が減少する。
【0022】
本発明の第6の発明は、加熱手段により加熱された温風の温度を70〜100℃の範囲にしたことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、結露による搬送路内部の水分を除去するとともに、プラスチック粉砕物に吸着した水分を除去することによりプラスチックの帯電量を大きくすることができ、分離精度が向上するという作用を有する。
【0023】
ここで、温風温度を70℃未満にすると搬送管内部及びプラスチック粉砕物に吸着した水分の除去効果が減少し、帯電量が小さくなり分離精度が悪化してしまう。逆に、100℃以上にするとプラスチックによっては熱劣化が発生し、再成型品の特性が著しく低下してしまう。
【0024】
本発明の第7の発明は、帯電部が搬送路の内部の一部もしくは全体に配置したスクリュー羽根とサイクロンで構成されていることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、スクリュー羽根との衝突・摩擦により帯電したプラスチック粉砕物をサイクロンによりさらに強く帯電させることができるとともに、スクリュー羽根で十分に帯電しなかったプラスチック粉砕物をサイクロンで帯電させることにより帯電バラツキ及び帯電量の小さいプラスチック粉砕物がなくなり分離精度を向上させることができるという作用を有する。
【0025】
本発明の第8の発明は、スクリュー羽根の外径が搬送路内径の1/2〜1倍であることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、プラスチック粉砕物が十分にスクリュー羽根と衝突・接触帯電することにより帯電量のバラツキを少なくし、分離精度を向上させることができるという作用を有する。
【0026】
プラスチック粉砕物の帯電量は衝突・摩擦頻度が多いほど大きくなる。スクリュー羽根の外径を搬送路内径の1/2倍未満にすると衝突・摩擦頻度が少なくなり帯電量が小さくなったり、衝突・摩擦頻度にバラツキが生じることにより帯電量にバラツキが発生し分離精度が低下するという問題がある。また、スクリュー羽根は搬送路内に設置するためスクリュー羽根の外径を搬送路の内径1倍よりも大きくすることができない。
【0027】
本発明の第9の発明は、スクリュー羽根の羽根ピッチがスクリュー羽根外径の1/2〜5倍であることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別置であり、プラスチック粉砕物が十分にスクリュー羽根と衝突・接触帯電するとともに、供給路のプラスチック粉砕物の逆流を防止することができるという作用を有する。
【0028】
ここで、スクリュー羽根の羽根ピッチをスクリュー羽根外径の1/2倍よりも小さくすると、スクリュー羽根設置により静圧が大きくなるため供給路への空気逆流の危険がある。また、5倍よりも大きくすると衝突・接触頻度を多くするために長いスクリュー羽根を搬送路内に配置する必要があり装置が大型化してしまうとともに、静圧も大きくなるため供給路へ空気が逆流しプラスチック粉砕物が供給路から吹き出してしまう危険がある。
【0029】
本発明の第10の発明は、帯電部により帯電したプラスチック粉砕物の帯電量が±0.001〜10nC/cm2であることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、プラスチック粉砕物の帯電量を前記範囲内にすることにより分離精度を高めることができるために純度の高いプラスチック粉砕物を回収することができるという作用を有する。
【0030】
静電分離において、電圧を印加した一対の電極間の静電場内でのプラスチック粉砕物の水平方向の移動距離が大きいほど分離精度は向上する。帯電量が±0.001nC/cm2未満であれば水平方向の移動距離が小さくなり分離精度が悪化し、その結果回収したプ
ラスチック粉砕物の純度も悪くなる。また、摩擦帯電では±10nC/cm2よりも大き
な帯電量を得ることは困難である。
【0031】
本発明の第11の発明は、帯電部で帯電したプラスチック粉砕物を静電分離部の静電場に導入する位置に導入速度を低減させる手段を設けたことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、電極間でのプラスチック粉砕物の落下速度が低減することにより、より長い時間静電場の影響を受けるため水平方向への移動距離が大きくなり分離精度を向上させることができるという作用を有する。
【0032】
本発明の第12の発明は、静電分離部の一対の対向する電極間の入り口側にプラスチック粉砕物の落下位置を規定する落下位置の規定手段を設けたことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、帯電部で帯電したプラスチック粉砕物を確実に電極間の所定位置に投入することができるため分離精度を向上させることができる。また、同じ帯電方法でもプラスチックの種類により帯電量に差が発生するため、帯電量の異なる2種類以上が混在したプラスチック粉砕物を分離する場合、導入板の位置調整により電極間への投入位置を変更することができ、その結果分離精度を向上させることができるという作用を有する。
【0033】
つまり、帯電量の大きいプラスチック粉砕物と帯電量の小さいプラスチック粉砕物の混合物の分離において、電極間の中心からプラスチック粉砕物を導入した場合、帯電量の大きいプラスチック粉砕物は問題ないが、帯電量の小さいプラスチック粉砕物は水平方向の移動距離が小さいため回収率が悪化してしまう。そこで、帯電量の小さいプラスチック粉砕物を回収する電極側に導入板を近づけることにより水平方向への移動距離が小さくても所望の回収容器に回収することができ、帯電量の大きいプラスチック粉砕物は水平方向への移動距離が大きく反対側の回収容器に回収することができるため分離精度を向上させることができる。
【0034】
本発明の第13の発明は、落下位置の規定手段が一対の対向配置した導入板であり、一対の対向配置した電極間入り口側上部から電極長さの1/40〜1/4倍挿入することを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、導入板を前記寸法内で電極間に挿入して配置したことにより、プラスチック粉砕物が電極間の外側に飛び出すことなく確実に電極間に落下させることができるという作用を有する。
【0035】
導入板の入り口側電極への挿入長さが電極長さの1/40倍未満であれば、電極の外側方向の静電場によってプラスチック粉砕物が電極間の外側に飛び出してしまう。また、1/4倍よりも大きいと、プラスチック粉砕物が電極間に発生する静電場の影響を受ける時間が少なくなり水平方向の移動距離が減少するため分離精度が悪化する。その結果、電極長さを長くする必要が発生し装置の大型化が問題になる。
【0036】
本発明の第14の発明は、導入板が紙あるいは樹脂あるいは木材あるいはセラミック等の絶縁体であることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、導入板に絶縁体を用いることにより導入板への放電を防止することができるという作用を有する。
【0037】
空気の絶縁破壊は10kV/cmであり、これ以上の電圧を電極間に印加すると放電により静電場が減少し分離精度が悪化する。従って、電極間に挿入する導入板に導電性材料を用いると、電極と導入板の間で放電してしまう危険があるため、高い電圧を印加できなくなり分離精度が悪化してしまう。
【0038】
本発明の第15の発明は、静電分離部に電極の表面に付着したプラスチック粉砕物を除去する手段を設けたことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、電極間の静電場の静電力減少を防止することができるために、連続処理でも回収率及び純度が低下することなく安定して良好な分離精度を確保することができるという作用を有する。
【0039】
帯電したプラスチックの微粉は電極間の静電力により逆極性の電極の表面まで移動し付着する。電極の表面に微粉が付着すると静電力が減少しプラスチック粉砕物の水平方向への移動距離が小さくなり分離精度が悪化してしまう。従って、除去手段により定期的に電極の表面の微粉を取り除くことにより安定した分離精度を得ることができる。
【0040】
本発明の第16の発明は、前記静電分離部の電極に逆極性の電圧を印加して電極表面に付着したプラスチック粉砕物を除去する構成としたことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、電極の殴打や電極の表面をワイパーで掃き取るといった機能を用いることなく電極の表面に付着したプラスチック粉砕物を除去することができる。
【0041】
正に帯電したプラスチック粉砕物の微粉は負の電圧を印加した電極に付着するが、瞬間的に逆極性(正)の電圧を印加すると、反対向きの静電力によりプラスチック微粉が電極の表面から離れる。その後、電圧の印加を停止すると微粉は自重により落下し電極の表面から除去することができる。負に帯電した微粉も同様に正の電圧を印加した電極に瞬間的に逆極性(負)の電圧を印加することにより除去することができる。
【0042】
本発明の第17の発明は、前記回収容器間に仕切り板を設けることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、回収容器の底面で跳ね返ったプラスチック粉砕物の混入を防ぎ純度の高いプラスチック粉砕物を回収することができるという作用を有する。
【0043】
本発明の第18の発明は、複数の回収容器間に配置した仕切り板の高さを異なるように構成したことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、高い純度を要求されるプラスチック粉砕物が回収される回収容器側の仕切り板の高さを高くすることにより、回収容器の底面で跳ね返ったプラスチック粉砕物の混入を防止する効果がより高くなり、純度の高いプラスチック粉砕物を回収することができるという作用を有する。
【0044】
本発明の第19の発明は、仕切り板を回収容器の底面に垂直な面から電極中心方向へ10°〜45°の傾斜をつけて設置したことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、回収容器の底面で跳ね返ったプラスチック粉砕物が仕切り板を乗り越えて別の回収容器に回収されるのを防ぐ効果がより高くなるため、純度の高いプラスチック粉砕物を回収することができるという作用を有する。
【0045】
回収容器の底面で跳ね返って仕切り板を乗り越えるのは、仕切り板の近くに落下するプラスチック粉砕物である。従って、仕切り板を傾斜して設置することによって、仕切り板の近くに落下するプラスチック粉砕物は仕切り板の側面に衝突し回収容器の遠方側に落下するため、仕切り板を乗り越えることがない。また、仕切り板を傾斜して設置することによって、仕切り板の高さを高くすることなく落下距離を確保することができる。仕切り板の傾斜角度が10°より小さいと仕切り板の側面への衝突頻度が少ないため効果が小さく、45°より大きいと仕切り板の側面への衝突頻度が多くなるものの、回収容器の外に落下したり、側面に衝突して隣の仕切り板を乗り越える危険性があるため10°〜45°の傾斜をつけて設置するのが好ましい。
【0046】
以下、本発明の実施の形態について図1から図8を用いて説明する。なお、ここでは同一部品には同一の符号を付している。
【0047】
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態におけるプラスチック粉砕物の静電選別装置の説明図で、図1に示すように、実施の形態におけるプラスチック粉砕物の静電選別装置は、被選別材料である粉砕された2種類以上のプラスチック粉砕物が混在するプラスチック混合物からそれぞれのプラスチック要素物体を種類別に分離・回収する装置であり、ホッパー3に投入されたプラスチック混合物は直進フィーダ4によって定量的に供給路5から搬送路6に供給され、送風機1とヒーター2で発生した温風とともに搬送路6を通って帯電部に搬送される。
【0048】
ここで図2は搬送路に垂直な面から空気の流れ方向と逆方向に供給路を接合した模式図で、図1に示している供給路5と搬送路6との接合部分を示したものである。供給路5は送風機1で発生した空気の流れ方向αに垂直な面から空気の流れ方向αと逆方向にθaの角度で傾斜させて接合されている。図3は搬送路に垂直に供給路を接合した模式図で、図3のように空気の流れ方向αに対して垂直に供給路5を搬送路6に接合したり、図4は搬送路に垂直な面から空気の流れ方向に供給路を接合した模式図で、図4のように空気の流れ方向αに垂直な面から空気の流れ方向αに傾斜して接合した場合、空気が供給路5から吹き出してしまうためプラスチック粉砕物を搬送路6に供給することができない。従って、供給路5は図2に示すように、送風機1で発生した空気の流れ方向αに垂直な面から空気の流れ方向αと逆方向に傾斜させて接合する必要がある。また、傾斜角度θaは10°から80°であればプラスチック粉砕物の供給路内での詰まりや、空気の吹き出しによりプラスチック粉砕物の吹き出しは発生しにくくなるが、好ましくは20°から50°の傾斜角度で接合するのが望ましい。さらに、供給路5の断面積を搬送路6の断面積の1/20から1/2倍にすることによりスムーズにプラスチック粉砕物を搬送路6へ供給することができる。
【0049】
しかしながら、輸送管内に空気の流れを阻害するような障害物があると輸送管内部の圧力が上昇し、その圧力が大きい場合には供給路5の接合角度や供給路5の断面積と搬送路6の断面積比の調整だけでは供給路5の内部が負圧にならずプラスチック粉砕物が吹き出してしまう可能性がある。そこで図5は搬送路6内に急収縮管を設置した模式図で、図5に示すように、供給路5と搬送路6の接合部よりも送風機1側の搬送路6内部に、空気の流れ方向αに狭くなっている急収縮管16を配置することによってプラスチック粉砕物の吸引力を強くすることができる。これは2種類のガスを混合するときに使用されるエジェクタ効果を応用したものであり、A地点での流速をVA,圧力をPA,B地点での流速をVB,圧力をPBとすると、急収縮管16から排出された空気の流速VBは流速VAよりも大きくなり(VB>VA)、ベルヌーイの定理のエネルギー保存の法則により接合部付近の圧力PBが低下し供給路5内部の負圧が大きくなり、プラスチック粉砕物をより強く吸引して
搬送路6に供給することができる。ここで、急収縮管16の出口断面積は搬送路断面積の1/100〜1/2倍にする必要があり、この値を変更することによってプラスチック粉砕物を搬送する風圧,風速を自由に変更することが可能である。
【0050】
また、温風の温度は加熱手段としてのヒーター2の出口に設置した熱電対で測定し、温調器により設定温度±2℃程度に制御されている。温風温度は70℃未満にすると搬送管内部及びプラスチック吸着水分の除去効果が減少し、プラスチック粉砕物の帯電量が小さくなり分離精度が悪化してしまう。逆に、100℃以上にするとプラスチックによっては熱劣化が発生し再成型品の特性が著しく低下してしまうため70〜100℃の範囲に制御することが望ましい。ここでは送風機1の後にヒーター2を接続して温風を発生させているが、ヒーター2を接続しない場合はホッパー3に投入するプラスチック混合物を事前に乾燥炉で乾燥し吸着水分を除去する必要がある。
【0051】
次に、帯電部は搬送路の内部の一部もしくは全体に配置したスクリュー羽根7及びサイクロン8で構成されている。まずプラスチック混合物はスクリュー羽根7との衝突・摩擦により帯電しサイクロン8に温風と共に供給される。サイクロン8に供給されたプラスチック混合物はサイクロン8の内壁をらせん状に摺接しながら落下することによりさらに帯電し、サイクロン8の下部のロータリーバルブ9から排出される。温風はサイクロン8の途中で上昇気流となり排出部11から排出される。
【0052】
ここでスクリュー羽根7及びサイクロン8は、被選別材料に対して帯電序列が中間部に位置する材料もしくは同一材料であることが望ましいが、スクリュー羽根7の表面及びサイクロン8の内壁に被選別材料に対して帯電序列が中間部に位置する材料もしくは同一材料を塗布もしくは貼りつけたものでも構わない。スクリュー羽根7及びサイクロン8には全ての絶縁材料が使用できるが、綿,綿とポリエステルなどの合成繊維、ステンレスや銅,クロム,ニッケルなどの金属も使用することができる。
【0053】
また、スクリュー羽根7及びサイクロン8により帯電したプラスチック粉砕物の帯電量は、±0.001nC/cm2未満であれば水平方向の移動距離が小さくなり分離精度が
悪化し、摩擦帯電では±10nC/cm2よりも大きな帯電量を得ることは困難であるた
めプラスチック粉砕物の帯電量は±0.001nC/cm2から±10nC/cm2であることが必要である。
【0054】
次に、帯電序列に従って正に帯電したプラスチック粉砕物13bと負に帯電したプラスチック粉砕物13aの混合物はサイクロン8から排出され、落下速度低減手段(図示せず)により速度を低減させ、対向配置された電極12a,12bの入り口側に設けたプラスチック混合物を誘導する導入板10a,10b間を通って電極12a,12b間に投入される。
【0055】
ここでプラスチック混合物の落下速度低減手段としては、下から風を吹き付ける方法、または粉砕物の粒径よりも大きな目開きをもつ篩をサイクロン8のロータリーバルブ9の下部に設置する方法等あるが、これに限定されるものではなくプラスチック混合物の落下速度を低減させる手段であれば構わない。
【0056】
次に、電極12a,12bにはそれぞれ正,負の電圧が印加されており、負に帯電したプラスチック粉砕物13aは電極12a側に、正に帯電したプラスチック粉砕物13bは電極12b側に移動して分離され、それぞれ回収容器15a,15bに回収される。ここで帯電量の少ないプラスチック混合物は回収容器15cに回収されるが、これをホッパー3に戻して再度選別することができる。
【0057】
また、導入板10a,10bはプラスチック混合物を確実に電極12a,12b間の所定位置に投入するためのものであり、正帯電したプラスチック粉砕物13bと負帯電したプラスチック粉砕物13aの帯電量の絶対値が同程度である混合物を分離する場合には図6に示すように図6は導入板を設置した場合の模式図で、電極12a,12b間の中心位置に設置し、正帯電したプラスチック粉砕物13bの帯電量の絶対値が負帯電したプラスチック粉砕物13aの帯電量の絶対値よりも小さい場合、つまり帯電量の絶対値に差があるようなプラスチック混合物を分離する場合、図7に示すように図7は導入板の位置をずらして設置した場合の模式図で、帯電量の絶対値が小さいプラスチック粉砕物13bが吸引される電極側(ここでは12b)に導入板10a,10bの設置位置をずらして設置することによって分離精度を向上させることができる。また、導入板10a,10bを電極12a,12b間入り口側上部から電極長さの1/40〜1/4倍挿入することによって分離精度を悪化することなく、図8のように図8は導入板を設置しない場合の模式図で、プラスチック粉砕物13a,13bが電極12a,12b間の外側に落下するのを防ぐことができる。
【0058】
また、回収容器15aと15cの間、15bと15cの間にはそれぞれ仕切り板14a,14bを設置して回収容器の底面で跳ね返ったプラスチック粉砕物が隣接する回収容器に混入しないようにしている。仕切り板14a,14bを回収容器の底面に垂直な面から電極間中心方向へ傾斜をつけて設置したり、回収容器の数を増やすことによってより純度の高いプラスチックを回収することができる。
【実施例】
【0059】
次に、本発明の具体例を説明する。なお、実施例において示されている数値は種々選択し得る中の一例であり、これに限定されるものではない。
【0060】
(実施例1)
図1に示す実施の形態の静電分離装置において、粒径7mm以下に粉砕したカルプ工業株式会社製の品番8400RのPP(ポリプロピレン)に東芝シリコーン株式会社製の品番TSE397のシリコーンが20%混入した混合物の分離実験結果を示す。
【0061】
供給路5と搬送路6との接合部は、図5においてθ=30°で接続し、供給路5の断面積は搬送路6の断面積の1/10、急収縮管16の出口断面積を搬送路断面積の1/10とした。また、送風機1とヒーター2で発生した温風の温度は90±2℃に制御されている。
【0062】
次に、搬送路6やスクリュー羽根7及びサイクロン8には、帯電序列がシリコーンとPPの中間位置にあるステンレスを用いて作製し、落下速度低減手段として目開き10mmのステンレス製振動篩(図示せず)をサイクロン8のロータリーバルブ9下部に設置した。スクリュー羽根7は外径が搬送路内径の4/5倍で、羽根ピッチがスクリュー羽根7の外径の2倍である。導入板10a,10bには厚さ1mmの三井東圧化学工業株式会社製のスレート塩ビ低重合度品のPVC(ポリ塩化ビニル)を用い、電極12a,12b間の中心位置に電極長さの1/10倍挿入して設置し、回収容器15aと15cの間、回収容器15bと15cの間にはそれぞれ仕切り板14a,14bを回収容器底面に垂直な面から電極間中心方向へ20°の傾斜をつけて設置した。
【0063】
PP粉砕物,シリコーン粉砕物の混合物は、スクリュー羽根7及びサイクロン8との衝突・摩擦により、帯電序列に従ってPPが負、シリコーンが正に帯電し、サイクロン8下部のロータリ−バルブ9から排出され、導入板10a,10b間を通って電極12a,12b間に導入される。ここで負に帯電したPP粉砕物13aは正電圧を印加した電極12a側に移動し、正に帯電したシリコーン粉砕物13bは負電圧を印加した電極12b側に移動し、それぞれ回収容器15a,15bに回収される。なお、帯電量の小さいPP粉砕物13a,シリコーン粉砕物13bは回収容器15cに両方が混じって回収され、これをホッパー3に戻して再度選別を実施した。これにより回収容器15aに純度99%以上のPPを、回収率90%以上で回収することができた。
【0064】
(実施例2)
図9は粒径7mm以下に粉砕したPP(ポリプロピレン)にシリコーンが20%混入した混合物の分離・回収において、帯電部であるスクリュー羽根7とサイクロン8の効果を示したものである。帯電部以外の条件は実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0065】
図9より、搬送路6のみの場合はPPの回収率50%,純度85%であるが、スクリュー羽根7を配置することによりPPの回収率80%,純度95%まで向上する。また、さらにサイクロン8を配置することによりPPの回収率90%,純度99%を達成することができた。
【0066】
(実施例3)
図10は速度低減手段(図示せず)と導入板10a,10bの効果を示した分離実験結果である。速度低減手段は実施例1と同様に目開き10mmのステンレス製振動篩を用いた。また、分離サンプルやその他の条件は実施例1と同様であるためここでは説明を省略する。
【0067】
図10より、速度低減手段及び導入板10a,10bを設置しない場合はPPの回収率60%,純度85%であるが、速度低減手段である振動篩を配置することによりPPの回収率70%,純度95%まで向上する。また、さらに導入板10a,10bを配置することによりPPの回収率90%,純度99%を達成することができた。
【0068】
(実施例4)
図11は電極付着粉塵除去効果を示したPP回収率の変化を示す図、図12は電極付着粉塵除去効果を示したPP純度の変化を示す図で、電極12a,12b表面に付着した粉塵除去手段の効果を示した分離実験結果であり、処理時間とPP回収率及び純度の関係を示したものである。また、分離サンプルやその他の条件は実施例1と同様であるためここでは説明を省略する。
【0069】
ここで、負に帯電したPPの微粉13aは正の電圧を印加した電極12aに、正に帯電したシリコーンの微粉13bは負の電圧を印加した電極12bに付着するが、瞬間的に電極12aに負電圧を電極12bに正電圧を印加した後、電圧印加を停止することで電極の表面から除去する。5分間隔で逆電圧を印加し、電圧印加停止時間を3秒間とした。また、逆極性の電圧印加及び電圧印加を停止している間にプラスチック粉砕物が電極間に供給されないように、逆極性の電圧印加をする前に直進フィーダ4から供給路5へのプラスチック粉砕物の供給を停止するように制御している。
【0070】
図11,12からもわかるように、電極の表面に付着した粉塵を除去しない場合、30分後にはPP回収率が90→65%へ、PP純度が99→85%へ急激に低下するのに対して、粉塵を除去した場合、PP回収率は88〜90%、PP純度は95〜99%で推移させることができた。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のプラスチック粉砕物の静電選別装置は、プラスチック粉砕物の乾燥と供給および搬送を同時に行うことができるため、乾燥炉等の設備が不要になり、処理コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 送風機
2 ヒーター
3 ホッパー
4 直進フィーダ
5 供給路
6 搬送路
7 スクリュー羽根
8 サイクロン
9 ロータリーバルブ
10a,10b 導入板
11 排出部
12a,12b 電極
13a,13b プラスチック粉砕物
14a,14b 仕切り板
15a,15b,15c 回収容器
16 急収縮管
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的ないし物理的組成を異にする2種類以上の要素物体からなるプラスチック混合物を、静電的に種類毎に分離・回収するプラスチック粉砕物の静電選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチック生産量の増加とともに廃プラスチックの発生量が増大している。プラスチックは比重が小さいため重量では鉄やセメントの6分の1程度であるが、体積としては最大の生産量に達していると考えられる。廃プラスチックは、排出量の約40%が埋め立て処理、約50%が焼却処理されている。埋め立てる方法は埋め立て地の残余年数減少の問題があり、焼却については炭酸ガス発生による地球温暖化や、ダイオキシン等の有害ガス発生の問題がある。
【0003】
また、廃プラスチックの再生利用は10%程度であり、廃プラスチックのリサイクルは、ゴミ発電を含めても25%と紙やガラスびんと比べて大変低くなっている。これは、廃プラスチックを種類別に分離できないことが大きな要因であり、リサイクルを促進し各素材がそれぞれに適したリサイクル材として用いられるためには、廃プラスチックを各種類別に分離回収する必要がある。
【0004】
そこで、プラスチックを分離する方法として、X線や近赤外線センサを利用して色や材質を検知して分離する方法や、プラスチックの比重差を利用する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−11377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、X線や近赤外線センサを利用する方法は、PETボトルのように大きくて同一素材でできたものの分離に限定されており、様々な大きさ,形状のプラスチックで構成されているものを種類別に分離することは困難である。また、プラスチックの比重差を利用する方法では、近い比重を持つプラスチックを分離することは困難であり、水等の比重液を使用するため廃液処理が必要になり、処理コストがかさむという問題がある。
【0007】
本発明は上記従来の技術の問題点を解決するため、プラスチックの帯電を利用してプラスチックを各種類別に分離・回収することを特徴とし、簡便かつ安価で選別精度の高いプラスチック粉砕物の静電選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明のプラスチック粉砕物の静電選別装置は、水等を使用する湿式分離を行うことなくプラスチック粉砕物を分離するプラスチック粉砕物の静電選別装置であって、プラスチック粉砕物を搬送するための搬送部と、搬送中にプラスチック粉砕物を帯電させる帯電部と、帯電したプラスチック粉砕物を静電場に導入して種類別に種別する静電分離部と、静電分離部の下方に配置された複数の回収容器を備えるプラスチックの静電選別装置において、プラスチック粉砕物を搬送する送風手段と、送風を加熱して温風にする加熱手段と、プラスチック粉砕物を搬送部を構成する搬送路へ供給する供給路を備えた供給手段とを設けたことを特徴とする。
【0009】
これにより、近い比重を持つプラスチック粉砕物も水分を除去され大きな帯電量で帯電され種類別に分離・回収が確実に行えることになり、各プラスチックに最適なリサイクルをすることができるため、これまでシュレッダーダストとして埋め立てもしくは焼却処理されてきたプラスチックの量を大幅に減少させることができ、環境への負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る静電分離装置によれば以下のような効果を奏することができる。
【0011】
プラスチック粉砕物を搬送するための送風手段と、送風を加熱する加熱手段と、プラスチック粉砕物を搬送路に供給する供給路を備えた供給手段とを設けたことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、送風手段により発生する風力を利用してプラスチック粉砕物の供給・搬送を行うため、ロータリーバルブやスクリューバルブ等の供給手段、ベルトコンベア等の搬送手段を用いることなくプラスチック粉砕物を供給・搬送できるため、装置を小型化することができるとともにプラスチック粉砕物を定量的に安定して搬送することができる。
【0012】
また、空気を加熱して温風にする加熱手段を設け、送風手段と加熱手段と供給手段の供給路とを連接することにより、プラスチック粉砕物の乾燥と供給および搬送を同時に行うことができるため、乾燥炉等の設備が不要になり、処理コストを低減することができるとともに、プラスチック粉砕物により大きな帯電を行うことができ正確な選別ができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態における静電選別装置の説明図
【図2】搬送路に垂直な面から空気の流れ方向と逆方向に供給路を接合した模式図
【図3】搬送路に垂直に供給路を接合した模式図
【図4】搬送路に垂直な面から空気の流れ方向に供給路を接合した模式図
【図5】搬送路内に急収縮管を設置した模式図
【図6】導入板を設置した場合の模式図
【図7】導入板の位置をずらして設置した場合の模式図
【図8】導入板を設置しない場合の模式図
【図9】スクリュー及びサイクロン帯電の効果を示した分離試験結果を示す図
【図10】速度低減手段及び導入板の効果を示した分離試験結果を示す図
【図11】電極付着粉塵除去効果を示したPP回収率の変化を示す図
【図12】電極付着粉塵除去効果を示したPP純度の変化を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の発明は、水等を使用する湿式分離を行うことなくプラスチック粉砕物を分離するプラスチック粉砕物の静電選別装置であって、プラスチック粉砕物を搬送する搬送部と、プラスチック粉砕物を搬送中に帯電させる帯電部と、帯電したプラスチック粉砕物を静電場に導入して種類別に分離する静電分離部と、静電分離部の下方に配置された複数の回収容器を備えるプラスチックの静電選別装置において、プラスチック粉砕物を搬送するための送風手段と、送風を加熱して温風にする加熱手段と、プラスチック粉砕物を搬送路へ供給する供給路を備えた供給手段とを設けたことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、プラスチック粉砕物の乾燥と供給および搬送を同時に行うことができるため、乾燥炉等の設備が不要になり、処理コストを低減することができるという作用を有する。
【0015】
本発明の第2の発明は、供給路が、搬送路内の空気の流れ方向に垂直な面から空気の流れ方向と逆方向に10°〜80°の角度で傾斜させて接合されていることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、供給路を傾斜をつけて搬送路に接合することにより、供給路側への空気(プラスチック粉砕物)の逆流を防止することができるため、プラスチック粉砕物を安定して搬送路に供給することができるという作用を有する。
【0016】
プラスチック粉砕物が自重で供給路から搬送路に落下するためには、送風手段により発生した空気が供給路側へ逆流せずに搬送路内を通過しなければならない。供給路の連接角度を搬送路内の空気の流れ方向に垂直な面から空気の流れ方向と逆方向に80°よりも大きくしたり空気の流れ方向に傾斜して連接すると、供給路方向への空気の逆流が発生しプラスチック粉砕物が供給路から吹き出してしまう。また、10°未満にするとプラスチック粉砕物が供給路から自重で落下しづらくなり供給路内に詰まってしまうために搬送路に供給できなくなる。
【0017】
本発明の第3の発明は、供給路の断面積が搬送路断面積に対し1/20〜1/2倍であることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、供給路側への空気(プラスチック粉砕物)の逆流防止効果をさらに高めることができるという作用を有する。
【0018】
ここで、供給路断面積を搬送路断面積の1/20倍未満にすると、搬送路断面積が小さい場合には、大きい粒径のプラスチック粉砕物が供給路に詰まってしまう危険性がある。そのために搬送路を大きくすると装置が大型化するとともに、送風手段である送風機も能力の高い高価な送風機が必要になる。また、供給路断面積を搬送路断面積の1/2倍よりも大きくすると空気の供給路方向への逆流が発生しプラスチック粉砕物が吹き出してしまう危険がある。
【0019】
本発明の第4の発明は、供給路と搬送路接合部よりも送風手段側の搬送路内部に、空気の流れ方向に狭くなっている急収縮管を配置したことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、2種類のガスを混合するときに使用されるエジェクタ効果を応用したものである。急収縮管から排出される空気の流速が増加するためにベルヌーイの定理により接合部付近の圧力が低下し、供給路内部に大きい負圧を発生させプラスチック粉砕物を吸引して搬送路に供給するものであり、プラスチック粉砕物の搬送路への供給能力をさらに向上させるという作用を有する。
【0020】
本発明の第5の発明は、急収縮管の出口断面積が搬送路断面積の1/100〜1/2倍であることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、帯電部であるスクリュー及びサイクロンの圧力損失の影響によるプラスチック粉砕物の逆流を防止効果を高めることができるとともに、断面積比を変更することによってプラスチック粉砕物を搬送する風圧,風速を自由に変更することが可能であるという作用を有する。
【0021】
ここで、急収縮管の出口断面積を搬送路断面積の1/100倍未満にすると、圧力損失によりプラスチック粉砕物の搬送能力が低下してしまうとともに送風機に過負荷がかかり故障の原因となる。また、1/2倍よりも大きくするとエジェクタ効果が減少し搬送路への供給能力が減少する。
【0022】
本発明の第6の発明は、加熱手段により加熱された温風の温度を70〜100℃の範囲にしたことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、結露による搬送路内部の水分を除去するとともに、プラスチック粉砕物に吸着した水分を除去することによりプラスチックの帯電量を大きくすることができ、分離精度が向上するという作用を有する。
【0023】
ここで、温風温度を70℃未満にすると搬送管内部及びプラスチック粉砕物に吸着した水分の除去効果が減少し、帯電量が小さくなり分離精度が悪化してしまう。逆に、100℃以上にするとプラスチックによっては熱劣化が発生し、再成型品の特性が著しく低下してしまう。
【0024】
本発明の第7の発明は、帯電部が搬送路の内部の一部もしくは全体に配置したスクリュー羽根とサイクロンで構成されていることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、スクリュー羽根との衝突・摩擦により帯電したプラスチック粉砕物をサイクロンによりさらに強く帯電させることができるとともに、スクリュー羽根で十分に帯電しなかったプラスチック粉砕物をサイクロンで帯電させることにより帯電バラツキ及び帯電量の小さいプラスチック粉砕物がなくなり分離精度を向上させることができるという作用を有する。
【0025】
本発明の第8の発明は、スクリュー羽根の外径が搬送路内径の1/2〜1倍であることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、プラスチック粉砕物が十分にスクリュー羽根と衝突・接触帯電することにより帯電量のバラツキを少なくし、分離精度を向上させることができるという作用を有する。
【0026】
プラスチック粉砕物の帯電量は衝突・摩擦頻度が多いほど大きくなる。スクリュー羽根の外径を搬送路内径の1/2倍未満にすると衝突・摩擦頻度が少なくなり帯電量が小さくなったり、衝突・摩擦頻度にバラツキが生じることにより帯電量にバラツキが発生し分離精度が低下するという問題がある。また、スクリュー羽根は搬送路内に設置するためスクリュー羽根の外径を搬送路の内径1倍よりも大きくすることができない。
【0027】
本発明の第9の発明は、スクリュー羽根の羽根ピッチがスクリュー羽根外径の1/2〜5倍であることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別置であり、プラスチック粉砕物が十分にスクリュー羽根と衝突・接触帯電するとともに、供給路のプラスチック粉砕物の逆流を防止することができるという作用を有する。
【0028】
ここで、スクリュー羽根の羽根ピッチをスクリュー羽根外径の1/2倍よりも小さくすると、スクリュー羽根設置により静圧が大きくなるため供給路への空気逆流の危険がある。また、5倍よりも大きくすると衝突・接触頻度を多くするために長いスクリュー羽根を搬送路内に配置する必要があり装置が大型化してしまうとともに、静圧も大きくなるため供給路へ空気が逆流しプラスチック粉砕物が供給路から吹き出してしまう危険がある。
【0029】
本発明の第10の発明は、帯電部により帯電したプラスチック粉砕物の帯電量が±0.001〜10nC/cm2であることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、プラスチック粉砕物の帯電量を前記範囲内にすることにより分離精度を高めることができるために純度の高いプラスチック粉砕物を回収することができるという作用を有する。
【0030】
静電分離において、電圧を印加した一対の電極間の静電場内でのプラスチック粉砕物の水平方向の移動距離が大きいほど分離精度は向上する。帯電量が±0.001nC/cm2未満であれば水平方向の移動距離が小さくなり分離精度が悪化し、その結果回収したプ
ラスチック粉砕物の純度も悪くなる。また、摩擦帯電では±10nC/cm2よりも大き
な帯電量を得ることは困難である。
【0031】
本発明の第11の発明は、帯電部で帯電したプラスチック粉砕物を静電分離部の静電場に導入する位置に導入速度を低減させる手段を設けたことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、電極間でのプラスチック粉砕物の落下速度が低減することにより、より長い時間静電場の影響を受けるため水平方向への移動距離が大きくなり分離精度を向上させることができるという作用を有する。
【0032】
本発明の第12の発明は、静電分離部の一対の対向する電極間の入り口側にプラスチック粉砕物の落下位置を規定する落下位置の規定手段を設けたことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、帯電部で帯電したプラスチック粉砕物を確実に電極間の所定位置に投入することができるため分離精度を向上させることができる。また、同じ帯電方法でもプラスチックの種類により帯電量に差が発生するため、帯電量の異なる2種類以上が混在したプラスチック粉砕物を分離する場合、導入板の位置調整により電極間への投入位置を変更することができ、その結果分離精度を向上させることができるという作用を有する。
【0033】
つまり、帯電量の大きいプラスチック粉砕物と帯電量の小さいプラスチック粉砕物の混合物の分離において、電極間の中心からプラスチック粉砕物を導入した場合、帯電量の大きいプラスチック粉砕物は問題ないが、帯電量の小さいプラスチック粉砕物は水平方向の移動距離が小さいため回収率が悪化してしまう。そこで、帯電量の小さいプラスチック粉砕物を回収する電極側に導入板を近づけることにより水平方向への移動距離が小さくても所望の回収容器に回収することができ、帯電量の大きいプラスチック粉砕物は水平方向への移動距離が大きく反対側の回収容器に回収することができるため分離精度を向上させることができる。
【0034】
本発明の第13の発明は、落下位置の規定手段が一対の対向配置した導入板であり、一対の対向配置した電極間入り口側上部から電極長さの1/40〜1/4倍挿入することを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、導入板を前記寸法内で電極間に挿入して配置したことにより、プラスチック粉砕物が電極間の外側に飛び出すことなく確実に電極間に落下させることができるという作用を有する。
【0035】
導入板の入り口側電極への挿入長さが電極長さの1/40倍未満であれば、電極の外側方向の静電場によってプラスチック粉砕物が電極間の外側に飛び出してしまう。また、1/4倍よりも大きいと、プラスチック粉砕物が電極間に発生する静電場の影響を受ける時間が少なくなり水平方向の移動距離が減少するため分離精度が悪化する。その結果、電極長さを長くする必要が発生し装置の大型化が問題になる。
【0036】
本発明の第14の発明は、導入板が紙あるいは樹脂あるいは木材あるいはセラミック等の絶縁体であることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、導入板に絶縁体を用いることにより導入板への放電を防止することができるという作用を有する。
【0037】
空気の絶縁破壊は10kV/cmであり、これ以上の電圧を電極間に印加すると放電により静電場が減少し分離精度が悪化する。従って、電極間に挿入する導入板に導電性材料を用いると、電極と導入板の間で放電してしまう危険があるため、高い電圧を印加できなくなり分離精度が悪化してしまう。
【0038】
本発明の第15の発明は、静電分離部に電極の表面に付着したプラスチック粉砕物を除去する手段を設けたことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、電極間の静電場の静電力減少を防止することができるために、連続処理でも回収率及び純度が低下することなく安定して良好な分離精度を確保することができるという作用を有する。
【0039】
帯電したプラスチックの微粉は電極間の静電力により逆極性の電極の表面まで移動し付着する。電極の表面に微粉が付着すると静電力が減少しプラスチック粉砕物の水平方向への移動距離が小さくなり分離精度が悪化してしまう。従って、除去手段により定期的に電極の表面の微粉を取り除くことにより安定した分離精度を得ることができる。
【0040】
本発明の第16の発明は、前記静電分離部の電極に逆極性の電圧を印加して電極表面に付着したプラスチック粉砕物を除去する構成としたことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、電極の殴打や電極の表面をワイパーで掃き取るといった機能を用いることなく電極の表面に付着したプラスチック粉砕物を除去することができる。
【0041】
正に帯電したプラスチック粉砕物の微粉は負の電圧を印加した電極に付着するが、瞬間的に逆極性(正)の電圧を印加すると、反対向きの静電力によりプラスチック微粉が電極の表面から離れる。その後、電圧の印加を停止すると微粉は自重により落下し電極の表面から除去することができる。負に帯電した微粉も同様に正の電圧を印加した電極に瞬間的に逆極性(負)の電圧を印加することにより除去することができる。
【0042】
本発明の第17の発明は、前記回収容器間に仕切り板を設けることを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、回収容器の底面で跳ね返ったプラスチック粉砕物の混入を防ぎ純度の高いプラスチック粉砕物を回収することができるという作用を有する。
【0043】
本発明の第18の発明は、複数の回収容器間に配置した仕切り板の高さを異なるように構成したことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、高い純度を要求されるプラスチック粉砕物が回収される回収容器側の仕切り板の高さを高くすることにより、回収容器の底面で跳ね返ったプラスチック粉砕物の混入を防止する効果がより高くなり、純度の高いプラスチック粉砕物を回収することができるという作用を有する。
【0044】
本発明の第19の発明は、仕切り板を回収容器の底面に垂直な面から電極中心方向へ10°〜45°の傾斜をつけて設置したことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置であり、回収容器の底面で跳ね返ったプラスチック粉砕物が仕切り板を乗り越えて別の回収容器に回収されるのを防ぐ効果がより高くなるため、純度の高いプラスチック粉砕物を回収することができるという作用を有する。
【0045】
回収容器の底面で跳ね返って仕切り板を乗り越えるのは、仕切り板の近くに落下するプラスチック粉砕物である。従って、仕切り板を傾斜して設置することによって、仕切り板の近くに落下するプラスチック粉砕物は仕切り板の側面に衝突し回収容器の遠方側に落下するため、仕切り板を乗り越えることがない。また、仕切り板を傾斜して設置することによって、仕切り板の高さを高くすることなく落下距離を確保することができる。仕切り板の傾斜角度が10°より小さいと仕切り板の側面への衝突頻度が少ないため効果が小さく、45°より大きいと仕切り板の側面への衝突頻度が多くなるものの、回収容器の外に落下したり、側面に衝突して隣の仕切り板を乗り越える危険性があるため10°〜45°の傾斜をつけて設置するのが好ましい。
【0046】
以下、本発明の実施の形態について図1から図8を用いて説明する。なお、ここでは同一部品には同一の符号を付している。
【0047】
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態におけるプラスチック粉砕物の静電選別装置の説明図で、図1に示すように、実施の形態におけるプラスチック粉砕物の静電選別装置は、被選別材料である粉砕された2種類以上のプラスチック粉砕物が混在するプラスチック混合物からそれぞれのプラスチック要素物体を種類別に分離・回収する装置であり、ホッパー3に投入されたプラスチック混合物は直進フィーダ4によって定量的に供給路5から搬送路6に供給され、送風機1とヒーター2で発生した温風とともに搬送路6を通って帯電部に搬送される。
【0048】
ここで図2は搬送路に垂直な面から空気の流れ方向と逆方向に供給路を接合した模式図で、図1に示している供給路5と搬送路6との接合部分を示したものである。供給路5は送風機1で発生した空気の流れ方向αに垂直な面から空気の流れ方向αと逆方向にθaの角度で傾斜させて接合されている。図3は搬送路に垂直に供給路を接合した模式図で、図3のように空気の流れ方向αに対して垂直に供給路5を搬送路6に接合したり、図4は搬送路に垂直な面から空気の流れ方向に供給路を接合した模式図で、図4のように空気の流れ方向αに垂直な面から空気の流れ方向αに傾斜して接合した場合、空気が供給路5から吹き出してしまうためプラスチック粉砕物を搬送路6に供給することができない。従って、供給路5は図2に示すように、送風機1で発生した空気の流れ方向αに垂直な面から空気の流れ方向αと逆方向に傾斜させて接合する必要がある。また、傾斜角度θaは10°から80°であればプラスチック粉砕物の供給路内での詰まりや、空気の吹き出しによりプラスチック粉砕物の吹き出しは発生しにくくなるが、好ましくは20°から50°の傾斜角度で接合するのが望ましい。さらに、供給路5の断面積を搬送路6の断面積の1/20から1/2倍にすることによりスムーズにプラスチック粉砕物を搬送路6へ供給することができる。
【0049】
しかしながら、輸送管内に空気の流れを阻害するような障害物があると輸送管内部の圧力が上昇し、その圧力が大きい場合には供給路5の接合角度や供給路5の断面積と搬送路6の断面積比の調整だけでは供給路5の内部が負圧にならずプラスチック粉砕物が吹き出してしまう可能性がある。そこで図5は搬送路6内に急収縮管を設置した模式図で、図5に示すように、供給路5と搬送路6の接合部よりも送風機1側の搬送路6内部に、空気の流れ方向αに狭くなっている急収縮管16を配置することによってプラスチック粉砕物の吸引力を強くすることができる。これは2種類のガスを混合するときに使用されるエジェクタ効果を応用したものであり、A地点での流速をVA,圧力をPA,B地点での流速をVB,圧力をPBとすると、急収縮管16から排出された空気の流速VBは流速VAよりも大きくなり(VB>VA)、ベルヌーイの定理のエネルギー保存の法則により接合部付近の圧力PBが低下し供給路5内部の負圧が大きくなり、プラスチック粉砕物をより強く吸引して
搬送路6に供給することができる。ここで、急収縮管16の出口断面積は搬送路断面積の1/100〜1/2倍にする必要があり、この値を変更することによってプラスチック粉砕物を搬送する風圧,風速を自由に変更することが可能である。
【0050】
また、温風の温度は加熱手段としてのヒーター2の出口に設置した熱電対で測定し、温調器により設定温度±2℃程度に制御されている。温風温度は70℃未満にすると搬送管内部及びプラスチック吸着水分の除去効果が減少し、プラスチック粉砕物の帯電量が小さくなり分離精度が悪化してしまう。逆に、100℃以上にするとプラスチックによっては熱劣化が発生し再成型品の特性が著しく低下してしまうため70〜100℃の範囲に制御することが望ましい。ここでは送風機1の後にヒーター2を接続して温風を発生させているが、ヒーター2を接続しない場合はホッパー3に投入するプラスチック混合物を事前に乾燥炉で乾燥し吸着水分を除去する必要がある。
【0051】
次に、帯電部は搬送路の内部の一部もしくは全体に配置したスクリュー羽根7及びサイクロン8で構成されている。まずプラスチック混合物はスクリュー羽根7との衝突・摩擦により帯電しサイクロン8に温風と共に供給される。サイクロン8に供給されたプラスチック混合物はサイクロン8の内壁をらせん状に摺接しながら落下することによりさらに帯電し、サイクロン8の下部のロータリーバルブ9から排出される。温風はサイクロン8の途中で上昇気流となり排出部11から排出される。
【0052】
ここでスクリュー羽根7及びサイクロン8は、被選別材料に対して帯電序列が中間部に位置する材料もしくは同一材料であることが望ましいが、スクリュー羽根7の表面及びサイクロン8の内壁に被選別材料に対して帯電序列が中間部に位置する材料もしくは同一材料を塗布もしくは貼りつけたものでも構わない。スクリュー羽根7及びサイクロン8には全ての絶縁材料が使用できるが、綿,綿とポリエステルなどの合成繊維、ステンレスや銅,クロム,ニッケルなどの金属も使用することができる。
【0053】
また、スクリュー羽根7及びサイクロン8により帯電したプラスチック粉砕物の帯電量は、±0.001nC/cm2未満であれば水平方向の移動距離が小さくなり分離精度が
悪化し、摩擦帯電では±10nC/cm2よりも大きな帯電量を得ることは困難であるた
めプラスチック粉砕物の帯電量は±0.001nC/cm2から±10nC/cm2であることが必要である。
【0054】
次に、帯電序列に従って正に帯電したプラスチック粉砕物13bと負に帯電したプラスチック粉砕物13aの混合物はサイクロン8から排出され、落下速度低減手段(図示せず)により速度を低減させ、対向配置された電極12a,12bの入り口側に設けたプラスチック混合物を誘導する導入板10a,10b間を通って電極12a,12b間に投入される。
【0055】
ここでプラスチック混合物の落下速度低減手段としては、下から風を吹き付ける方法、または粉砕物の粒径よりも大きな目開きをもつ篩をサイクロン8のロータリーバルブ9の下部に設置する方法等あるが、これに限定されるものではなくプラスチック混合物の落下速度を低減させる手段であれば構わない。
【0056】
次に、電極12a,12bにはそれぞれ正,負の電圧が印加されており、負に帯電したプラスチック粉砕物13aは電極12a側に、正に帯電したプラスチック粉砕物13bは電極12b側に移動して分離され、それぞれ回収容器15a,15bに回収される。ここで帯電量の少ないプラスチック混合物は回収容器15cに回収されるが、これをホッパー3に戻して再度選別することができる。
【0057】
また、導入板10a,10bはプラスチック混合物を確実に電極12a,12b間の所定位置に投入するためのものであり、正帯電したプラスチック粉砕物13bと負帯電したプラスチック粉砕物13aの帯電量の絶対値が同程度である混合物を分離する場合には図6に示すように図6は導入板を設置した場合の模式図で、電極12a,12b間の中心位置に設置し、正帯電したプラスチック粉砕物13bの帯電量の絶対値が負帯電したプラスチック粉砕物13aの帯電量の絶対値よりも小さい場合、つまり帯電量の絶対値に差があるようなプラスチック混合物を分離する場合、図7に示すように図7は導入板の位置をずらして設置した場合の模式図で、帯電量の絶対値が小さいプラスチック粉砕物13bが吸引される電極側(ここでは12b)に導入板10a,10bの設置位置をずらして設置することによって分離精度を向上させることができる。また、導入板10a,10bを電極12a,12b間入り口側上部から電極長さの1/40〜1/4倍挿入することによって分離精度を悪化することなく、図8のように図8は導入板を設置しない場合の模式図で、プラスチック粉砕物13a,13bが電極12a,12b間の外側に落下するのを防ぐことができる。
【0058】
また、回収容器15aと15cの間、15bと15cの間にはそれぞれ仕切り板14a,14bを設置して回収容器の底面で跳ね返ったプラスチック粉砕物が隣接する回収容器に混入しないようにしている。仕切り板14a,14bを回収容器の底面に垂直な面から電極間中心方向へ傾斜をつけて設置したり、回収容器の数を増やすことによってより純度の高いプラスチックを回収することができる。
【実施例】
【0059】
次に、本発明の具体例を説明する。なお、実施例において示されている数値は種々選択し得る中の一例であり、これに限定されるものではない。
【0060】
(実施例1)
図1に示す実施の形態の静電分離装置において、粒径7mm以下に粉砕したカルプ工業株式会社製の品番8400RのPP(ポリプロピレン)に東芝シリコーン株式会社製の品番TSE397のシリコーンが20%混入した混合物の分離実験結果を示す。
【0061】
供給路5と搬送路6との接合部は、図5においてθ=30°で接続し、供給路5の断面積は搬送路6の断面積の1/10、急収縮管16の出口断面積を搬送路断面積の1/10とした。また、送風機1とヒーター2で発生した温風の温度は90±2℃に制御されている。
【0062】
次に、搬送路6やスクリュー羽根7及びサイクロン8には、帯電序列がシリコーンとPPの中間位置にあるステンレスを用いて作製し、落下速度低減手段として目開き10mmのステンレス製振動篩(図示せず)をサイクロン8のロータリーバルブ9下部に設置した。スクリュー羽根7は外径が搬送路内径の4/5倍で、羽根ピッチがスクリュー羽根7の外径の2倍である。導入板10a,10bには厚さ1mmの三井東圧化学工業株式会社製のスレート塩ビ低重合度品のPVC(ポリ塩化ビニル)を用い、電極12a,12b間の中心位置に電極長さの1/10倍挿入して設置し、回収容器15aと15cの間、回収容器15bと15cの間にはそれぞれ仕切り板14a,14bを回収容器底面に垂直な面から電極間中心方向へ20°の傾斜をつけて設置した。
【0063】
PP粉砕物,シリコーン粉砕物の混合物は、スクリュー羽根7及びサイクロン8との衝突・摩擦により、帯電序列に従ってPPが負、シリコーンが正に帯電し、サイクロン8下部のロータリ−バルブ9から排出され、導入板10a,10b間を通って電極12a,12b間に導入される。ここで負に帯電したPP粉砕物13aは正電圧を印加した電極12a側に移動し、正に帯電したシリコーン粉砕物13bは負電圧を印加した電極12b側に移動し、それぞれ回収容器15a,15bに回収される。なお、帯電量の小さいPP粉砕物13a,シリコーン粉砕物13bは回収容器15cに両方が混じって回収され、これをホッパー3に戻して再度選別を実施した。これにより回収容器15aに純度99%以上のPPを、回収率90%以上で回収することができた。
【0064】
(実施例2)
図9は粒径7mm以下に粉砕したPP(ポリプロピレン)にシリコーンが20%混入した混合物の分離・回収において、帯電部であるスクリュー羽根7とサイクロン8の効果を示したものである。帯電部以外の条件は実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0065】
図9より、搬送路6のみの場合はPPの回収率50%,純度85%であるが、スクリュー羽根7を配置することによりPPの回収率80%,純度95%まで向上する。また、さらにサイクロン8を配置することによりPPの回収率90%,純度99%を達成することができた。
【0066】
(実施例3)
図10は速度低減手段(図示せず)と導入板10a,10bの効果を示した分離実験結果である。速度低減手段は実施例1と同様に目開き10mmのステンレス製振動篩を用いた。また、分離サンプルやその他の条件は実施例1と同様であるためここでは説明を省略する。
【0067】
図10より、速度低減手段及び導入板10a,10bを設置しない場合はPPの回収率60%,純度85%であるが、速度低減手段である振動篩を配置することによりPPの回収率70%,純度95%まで向上する。また、さらに導入板10a,10bを配置することによりPPの回収率90%,純度99%を達成することができた。
【0068】
(実施例4)
図11は電極付着粉塵除去効果を示したPP回収率の変化を示す図、図12は電極付着粉塵除去効果を示したPP純度の変化を示す図で、電極12a,12b表面に付着した粉塵除去手段の効果を示した分離実験結果であり、処理時間とPP回収率及び純度の関係を示したものである。また、分離サンプルやその他の条件は実施例1と同様であるためここでは説明を省略する。
【0069】
ここで、負に帯電したPPの微粉13aは正の電圧を印加した電極12aに、正に帯電したシリコーンの微粉13bは負の電圧を印加した電極12bに付着するが、瞬間的に電極12aに負電圧を電極12bに正電圧を印加した後、電圧印加を停止することで電極の表面から除去する。5分間隔で逆電圧を印加し、電圧印加停止時間を3秒間とした。また、逆極性の電圧印加及び電圧印加を停止している間にプラスチック粉砕物が電極間に供給されないように、逆極性の電圧印加をする前に直進フィーダ4から供給路5へのプラスチック粉砕物の供給を停止するように制御している。
【0070】
図11,12からもわかるように、電極の表面に付着した粉塵を除去しない場合、30分後にはPP回収率が90→65%へ、PP純度が99→85%へ急激に低下するのに対して、粉塵を除去した場合、PP回収率は88〜90%、PP純度は95〜99%で推移させることができた。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のプラスチック粉砕物の静電選別装置は、プラスチック粉砕物の乾燥と供給および搬送を同時に行うことができるため、乾燥炉等の設備が不要になり、処理コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 送風機
2 ヒーター
3 ホッパー
4 直進フィーダ
5 供給路
6 搬送路
7 スクリュー羽根
8 サイクロン
9 ロータリーバルブ
10a,10b 導入板
11 排出部
12a,12b 電極
13a,13b プラスチック粉砕物
14a,14b 仕切り板
15a,15b,15c 回収容器
16 急収縮管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水等を使用する湿式分離を行うことなくプラスチック粉砕物を分離するプラスチック粉砕物の静電選別装置であって、プラスチック粉砕物を搬送する搬送部と、プラスチック粉砕物を搬送中に帯電させる帯電部と、帯電したプラスチック粉砕物を静電場に導入して種類別に分離する静電分離部と、前記静電分離部の下方に配置された複数の回収容器を備えるプラスチックの静電選別装置において、プラスチック粉砕物を搬送するための送風手段と、送風を加熱して温風にして搬送および帯電するプラスチック粉砕物から吸着水分を除去する加熱手段と、プラスチック粉砕物を搬送部を構成する搬送路へ供給する供給路を備えた供給手段とを設けたことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項2】
前記供給路が、前記搬送路内の空気の流れ方向に垂直な面から空気の流れ方向と逆方向に10°〜80°の角度で傾斜させて接合されていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項3】
前記供給路の断面積が前記搬送路の断面積に対し1/20〜1/2倍であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項4】
前記供給路と前記搬送路の接合部よりも前記送風手段側の搬送路内部に、空気の流れ方向に狭くなっている急収縮管を配置したことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項5】
前記急収縮管の出口断面積が前記搬送路の断面積の1/100〜1/2倍であることを特徴とする請求項4に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項6】
前記加熱手段により加熱された温風の温度を70〜100℃の範囲としたことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項7】
前記帯電部が搬送路の内部の一部もしくは全体に配置したスクリュー羽根とサイクロンで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項8】
前記スクリュー羽根の外径が搬送路の内径の1/2〜1倍であることを特徴とする請求項7に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項9】
前記スクリュー羽根の羽根ピッチがスクリュー羽根の外径の1/2〜5倍であることを特徴とする請求項7に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項10】
前記帯電部により帯電したプラスチック粉砕物の帯電量が±0.001〜10nC/cm2であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項11】
前記帯電部で帯電したプラスチック粉砕物を前記静電分離部の静電場へ導入する位置に導入速度を低減させる手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項12】
前記静電分離部の一対の対向する電極間の入り口側にプラスチック粉砕物の落下位置を規定する落下位置の規定手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項13】
前記落下位置の規定手段が一対の対向配置した導入板であり、一対の対向配置した電極間の入り口側上部から電極長さの1/40〜1/4倍挿入して配置したことを特徴とする請求項12に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項14】
前記導入板が紙あるいは樹脂あるいは木材あるいはセラミック等の絶縁体であることを特徴とする請求項13に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項15】
前記静電分離部に電極の表面に付着したプラスチック粉砕物を除去する手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項16】
前記静電分離部の電極の表面に付着したプラスチック粉砕物を除去する手段として電極に逆極性の電圧を印加する構成としたことを特徴とする請求項15に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項17】
前記回収容器間に仕切り板を設けることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項18】
前記複数の回収容器間に配置した仕切り板の高さを異なるように構成したことを特徴とする請求項17に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項19】
前記仕切り板を回収容器の底面に垂直な面から電極中心方向へ10°〜45°の傾斜をつけて設置したことを特徴とする請求項17に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項1】
水等を使用する湿式分離を行うことなくプラスチック粉砕物を分離するプラスチック粉砕物の静電選別装置であって、プラスチック粉砕物を搬送する搬送部と、プラスチック粉砕物を搬送中に帯電させる帯電部と、帯電したプラスチック粉砕物を静電場に導入して種類別に分離する静電分離部と、前記静電分離部の下方に配置された複数の回収容器を備えるプラスチックの静電選別装置において、プラスチック粉砕物を搬送するための送風手段と、送風を加熱して温風にして搬送および帯電するプラスチック粉砕物から吸着水分を除去する加熱手段と、プラスチック粉砕物を搬送部を構成する搬送路へ供給する供給路を備えた供給手段とを設けたことを特徴とするプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項2】
前記供給路が、前記搬送路内の空気の流れ方向に垂直な面から空気の流れ方向と逆方向に10°〜80°の角度で傾斜させて接合されていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項3】
前記供給路の断面積が前記搬送路の断面積に対し1/20〜1/2倍であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項4】
前記供給路と前記搬送路の接合部よりも前記送風手段側の搬送路内部に、空気の流れ方向に狭くなっている急収縮管を配置したことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項5】
前記急収縮管の出口断面積が前記搬送路の断面積の1/100〜1/2倍であることを特徴とする請求項4に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項6】
前記加熱手段により加熱された温風の温度を70〜100℃の範囲としたことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項7】
前記帯電部が搬送路の内部の一部もしくは全体に配置したスクリュー羽根とサイクロンで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項8】
前記スクリュー羽根の外径が搬送路の内径の1/2〜1倍であることを特徴とする請求項7に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項9】
前記スクリュー羽根の羽根ピッチがスクリュー羽根の外径の1/2〜5倍であることを特徴とする請求項7に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項10】
前記帯電部により帯電したプラスチック粉砕物の帯電量が±0.001〜10nC/cm2であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項11】
前記帯電部で帯電したプラスチック粉砕物を前記静電分離部の静電場へ導入する位置に導入速度を低減させる手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項12】
前記静電分離部の一対の対向する電極間の入り口側にプラスチック粉砕物の落下位置を規定する落下位置の規定手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項13】
前記落下位置の規定手段が一対の対向配置した導入板であり、一対の対向配置した電極間の入り口側上部から電極長さの1/40〜1/4倍挿入して配置したことを特徴とする請求項12に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項14】
前記導入板が紙あるいは樹脂あるいは木材あるいはセラミック等の絶縁体であることを特徴とする請求項13に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項15】
前記静電分離部に電極の表面に付着したプラスチック粉砕物を除去する手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項16】
前記静電分離部の電極の表面に付着したプラスチック粉砕物を除去する手段として電極に逆極性の電圧を印加する構成としたことを特徴とする請求項15に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項17】
前記回収容器間に仕切り板を設けることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項18】
前記複数の回収容器間に配置した仕切り板の高さを異なるように構成したことを特徴とする請求項17に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【請求項19】
前記仕切り板を回収容器の底面に垂直な面から電極中心方向へ10°〜45°の傾斜をつけて設置したことを特徴とする請求項17に記載のプラスチック粉砕物の静電選別装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−240341(P2011−240341A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152647(P2011−152647)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【分割の表示】特願2000−376991(P2000−376991)の分割
【原出願日】平成12年12月12日(2000.12.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【分割の表示】特願2000−376991(P2000−376991)の分割
【原出願日】平成12年12月12日(2000.12.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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