説明

プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法

【課題】本発明は、フリットを加熱して両基板を封着する時、基板の全体的な変形と基板内部構成要素の変形を最少化するプラズマディスプレイパネル、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によるプラズマディスプレイパネルは、互いにずれて重なって配置され、互いに重なった部分に形成される封着ラインに沿って装着される第1基板と第2基板、前記封着ラインに対応して前記第1基板および前記第2基板のうちの少なくとも一つの基板側に形成されるメタル層、および前記メタル層上に形成されるフリット層を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法に関し、より詳しくはフリット(半溶融ガラス:frit)を加熱して両基板を封着する時に、基板と基板内部構成要素の変形を少なくできるプラズマディスプレイパネル、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にプラズマディスプレイパネルは気体放電でプラズマを発生させ、プラズマ状態で放射される真空紫外線(VUV:Vacuum Ultra-Violet)で蛍光体を励起させ、励起された蛍光体が安定化しながら発生する赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の可視光で画像を表示する。例えば、3電極構造および2電極構造のプラズマディスプレイパネルが挙げられる。
【0003】
例えば、3電極構造のプラズマディスプレイパネルは、アドレス電極を背面基板に形成し、維持電極と走査電極を対として前面基板に形成し、維持電極および走査電極とアドレス電極との交差地点に放電セルを形成する。
【0004】
例えば、2電極構造のプラズマディスプレイパネルは、前面基板と背面基板との間に互いに交差する方向に2つの電極(以下、「第1電極と第2電極」という)を配置し、第1電極と第2電極との交差地点に放電セルを形成する。
【0005】
2電極構造または3電極構造において、プラズマディスプレイパネルは両基板の内部にマトリックス(Matrix)状で配列される数百万個以上の単位放電セルを含むことになる。
【0006】
2電極構造のプラズマディスプレイパネルをより具体的に説明すると、第1電極と第2電極は放電セルの側方を囲む構造に形成されるため、放電セルの前方開口率を増大させ、また放電セルの中心に放電を集中させられる。
【0007】
第1電極と第2電極は放電セルの側方に形成されて放電セルの前方に照射される可視光を遮断しないため、不透明な金属材で形成できる。
【0008】
誘電層は金属材の第1電極と第2電極を覆っているため、第1電極と第2電極に印加される電圧信号によって壁電荷を形成および蓄積する。従って、誘電層は複数の放電セルの中で点灯される放電セルを選択するアドレス放電と、選択された放電セルで画像を表示する維持放電を各々低電圧で表示できるようにする。
【0009】
プラズマディスプレイパネルの製造方法は、少なくとも両基板の間に3電極または2電極を放電セルに対応するように形成し、両基板を互いにずれて重ねて封着させ、両基板の内部空間に残留するガスを排出した後、内部空間に放電ガスを注入することによってプラズマディスプレイパネルを製造する。
【0010】
プラズマディスプレイパネルは相互に封着された両基板の重なった領域内で区切られる表示領域(Display Area、DA)と非表示領域(Non-Display Area、ND)を含む。表示領域は画像を表示し、非表示領域は表示領域の外郭で画像を表示しない。
【0011】
両基板は重なった周縁ラインに沿って提供されるフリットによって封着される。プラズマディスプレイパネルの製造方法の複数の工程の中で、封着段階はフリットを加熱して両基板を封着するために高温のチャンバー内で行われる。この時、両基板は全体的に熱と圧着力を同時に受けてフリットによって封着される。
【0012】
封着段階では実際に両基板を加熱しないでフリットのみを加熱して両基板に圧着力を加えて封着するのが良い。なぜならば、封着段階において不要にプラズマディスプレイパネル全体を加熱することによって、基板と基板内部構成要素が変移・変形し易くなるためである。
【0013】
内部構成要素としては、放電を起こす電極、電極を囲む誘電層、放電セルを形成する隔壁、および隔壁に形成される蛍光体層がある。内部構成要素は放電セルに対応するように予め設定されたパターンを形成する。
【0014】
封着段階において、プラズマディスプレイパネル全体を加熱する場合、不要な加熱によって両基板内部空間の放電セルを中心に形成される内部構成要素のパターンが変移・変形する可能性もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的はフリットを加熱して両基板を封着させる時、基板の全体的な変形と基板内部構成要素の変形を最少化できるプラズマディスプレイパネル、およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1実施形態によるプラズマディスプレイパネルは、互いにずれて重なって配置され、互いに重なった部分に形成される封着ラインに沿って封着される第1基板および第2基板、前記封着ラインに対応して前記第1基板および前記第2基板のうちの少なくとも一つの基板側に形成されるメタル層、および前記メタル層上に形成されるフリット層を含むことができる。
【0017】
また、本発明の第1実施形態によるプラズマディスプレイパネルは、前記封着ラインに対応して前記第1基板および前記第2基板のうちの少なくとも一つの基板に形成される保護層を含み、前記メタル層は前記保護層上に形成できる。
【0018】
前記保護層は前記封着ラインに沿って予め設定された幅を有する帯状に形成できる。前記メタル層は前記封着ラインに沿って予め設定された幅を有する帯状に形成できる。前記フリット層は前記メタル層に沿って予め設定された幅を有する帯状に形成されてもよい。
【0019】
前記保護層は断熱/緩衝材で形成できる。前記保護層は前記第1基板の内表面に形成される第1保護層と、前記第1保護層と対向して前記第2基板の内表面に形成される第2保護層を含むことができる。
【0020】
前記メタル層は前記第1保護層上に形成される第1メタル層と、前記第1メタル層と対向して前記第2保護層上に形成される第2メタル層を含むことができる。
【0021】
前記フリット層は前記第1メタル層と前記第2メタル層間に形成できる。
【0022】
また、本発明の第1実施形態によるプラズマディスプレイパネルは、前記互いに重なった部分に形成されて放電を起こす複数の電極を含み、前記電極は複数の連結部を通して、前記封着ライン外部に引出されて、前記複数の連結部は前記封着ライン上で前記フリット層によって囲まれる。
【0023】
前記連結部において、前記フリット層に対応する部分は、アルミニウムで形成される導電部と、前記導電部の表面に形成されたアルミニウム酸化物(Al)で形成される誘電層を含むことができる。
【0024】
また、本発明の第1実施形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法は、封着ラインに対応して、第1基板と第2基板のうちの少なくとも一つの基板側にメタル層を形成するメタル層形成段階、前記メタル層上にフリット層を形成するフリット層形成段階、および誘導電流で前記メタル層を加熱して前記第1基板と前記第2基板を加圧して、前記フリット層で両基板を互いに封着させる加熱/封着段階を含むことができる。
【0025】
また、本発明の第1実施形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法は、前記封着ラインに対応して、前記第1基板および前記第2基板のうちの少なくとも一つの基板に保護層を形成する保護層の形成段階を含み、前記メタル層形成段階では前記保護層上に前記メタル層を形成してもよい。
【0026】
前記保護層形成段階では前記封着ラインに沿って保護層を予め設定された幅を有する帯状に形成する。前記メタル層形成段階では、前記保護層ラインに沿ってメタル層を予め設定された幅を有する帯状に形成する。前記フリット層形成段階では、前記メタル層に沿ってフリット層を予め設定された幅を有する帯状に形成する。
【0027】
前記保護層形成段階は、前記第1基板の内表面に第1保護層を形成する第1保護層形成段階と、前記第1保護層と対向するように前記第2基板の内表面に第2保護層を形成する第2保護層形成段階を含むことができる。
【0028】
前記メタル層形成段階は前記第1保護層上に第1メタル層を形成する第1メタル層形成段階と、前記第1メタル層と対向するように前記第2保護層上に第2メタル層を形成する第2メタル層形成段階を含むことができる。
【0029】
前記フリット層形成段階は前記第1メタル層上に第1フリット層を形成する第1フリット層形成段階と、前記第1フリット層に対向するように前記第2メタル層上に第2フリット層を形成する第2フリット層形成段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によるプラズマディスプレイパネルの製造方法は、封着ラインにメタル層を形成し、メタル層にフリット層を備えて誘導電流でメタル層を加熱し、この熱によりフリットに流動性を与えて両基板を封着させることができる。
【0031】
従って、本発明に係るプラズマディスプレイパネルは、プラズマディスプレイパネルを形成する両基板の全体的な変移・変形が防止されて、両基板内部構成要素の変移・変形を少なくできる効果がある。
【0032】
また、本発明によるプラズマディスプレイパネルの製造方法は、封着ラインに沿って保護層を形成し、保護層上にメタル層を形成する場合、保護層はメタル層で発生する熱が両基板に伝達されるのを遮断し、圧着衝撃を吸収する。
【0033】
従って、本発明に係るプラズマディスプレイパネルは、両基板の変形および内部構成要素の変形をさらに防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、添付図を参照して本発明の実施形態について本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は多様な形態に具現化され、ここで説明する実施形態に限られない。図面において本発明を明確に説明するために説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同じ参照符号を付けた。
【0035】
図1は本発明の第1実施形態によるプラズマディスプレイパネルを分解して概略的に示した斜視図である。
【0036】
図1を参照すると、プラズマディスプレイパネルは所定の間隔で対向配置される第1基板10(以下、「背面基板」という)と第2基板20(以下、「前面基板」という)、および両基板10、20の間に形成される隔壁層26と電極層30を含む。
【0037】
隔壁層26は背面基板10と前面基板20との間に配置されて、内部空間を複数の放電セル27に区画化する。隔壁層26は本実施形態のように前面基板20側に形成できる。また、隔壁層は背面基板側に形成でき、両基板側に各々形成されてもよい(図示せず)。
【0038】
図2は図1のII-II線に沿って切断して示した断面図である。図2および図1を参照すると、放電セル27は前面基板20と別途に形成される隔壁層26に形成されている。また放電セルは前面基板または背面基板をエッチングして、基板と一体に形成できる(図示せず)。
【0039】
図3は図1のIII-III線に沿って切断して示した断面図である。図3および図1を参照すると、放電セル27は円筒形に形成される。円筒形放電セル27は内周面から中心に達する距離を一定にする。また、放電セルはその横断面が四角形または六角形のような多様な形状に形成できる(図示せず)。
【0040】
蛍光体層29は隔壁層26によって形成される放電セル27の内面と、放電セル27を形成する前面基板20の内表面に形成される。蛍光体層29は放電セル27の内部で真空紫外線を吸収して、前面基板20側に可視光を透過させる透過型蛍光体で形成される。
【0041】
蛍光体層は背面基板に形成されてもよく、両基板に形成されてもよい。背面基板に形成される蛍光体層は放電セル内部で前面基板側に可視光を反射させる反射型蛍光体で形成できる。
【0042】
プラズマ放電で真空紫外線を発生できるように放電セル27内には放電ガス(例えば、ネオン(Ne)とキセノン(Xe)等を含む混合ガス)が満たされている。
【0043】
プラズマ放電で画像を表示するため、電極層30は各放電セル27に対応して形成される第1電極31と第2電極32を含む。本実施形態において隔壁層26は前面基板20側に形成され、電極層30は背面基板10側に形成されている。
【0044】
また、隔壁層は背面基板側に形成され、電極層は前面基板側に形成されてもよい。隔壁層が両基板側に各々形成される場合、電極層は両隔壁層の間に形成されてもよい。
【0045】
図4は図1のプラズマディスプレイパネルにおける電極のみ示した斜視図である。図4を参照すると、第1電極31は放電セル27を囲む構造に形成され、第1方向(y軸方向)に延びると共に、y軸方向に隣接する放電セル27に連続的に対応する。
【0046】
複数の第1電極31は第1方向と交差する第2方向(x軸方向)に沿って隣接する放電セル27に各々対応するように予め設定された間隔を維持すると共に、互いに並んで配列される。
【0047】
第2電極32は第1電極31と対向すると共に、放電セル27を囲む構造に形成され、第1電極31と交差するx軸方向に延びると共に、x軸方向に隣接する放電セル27に連続的に対応する。
【0048】
複数の第2電極32はy軸方向に沿って隣接される放電セル27に各々対応するように予め設定された間隔を維持すると共に、互いに並んで配列される。
【0049】
第1電極31と第2電極32は電極層30内でy軸およびx軸方向と交差する第3方向(z軸方向)に互いに離隔配置される。第1電極31は背面基板10側で放電セル27の側方を囲んでいて、第2電極32は前面基板20側で放電セル27の側方を囲んでいる。
【0050】
従って、第1電極31と第2電極32は放電セル27から前方(図面のz軸方向)に照射される可視光を遮断しない。第1電極31と第2電極32は優れた通電性と不透明性を有する金属電極で形成できる。
【0051】
再び図1および図2を参照すると、電極層30は誘電層34を含むことができる。誘電層34は第1電極31と第2電極32を互いに絶縁させて埋め込み、実質的に第1電極31および第2電極32の形状に対応する円筒形状の放電セル27を形成する。
【0052】
放電セル27は前面基板20側では隔壁層26によって形成され、背面基板10側では誘電層34によって形成され、両側に互いに連結される。誘電層34は放電時壁電荷を形成および蓄積する空間を提供する。
【0053】
保護膜36は背面基板10側で放電セル27を形成する誘電層34の内表面に形成される。保護膜36は放電から誘電層34を保護して高い二次電子放出係数を有する。
【0054】
保護膜36は放電セル27の側面に形成されるため、可視光非透過性物質で構成できる。例えば、可視光非透過性MgOは可視光透過性MgOに比べて、はるかに高い二次電子放出係数(secondary electron emission coefficient)値を有する。従って、可視光非透過性MgOは、可視光透過性MgOに比べて、放電開始電圧をより低くすることができる。
【0055】
第1電極31に印加されるアドレスパルスと第2電極32に印加されるスキャンパルスによって、2つの電極31、32の間にはアドレス放電が起こる。つまり、アドレス放電は点灯される放電セル27を選択するようになる。
【0056】
第1電極31を基準電圧(0V)に維持すると共に、第2電極32に交互に印加される正(+)の維持電圧パルスと負(-)の維持電圧パルスによって、2つの電極31、32の間には維持放電が起こる。つまり、維持放電は選択された放電セル27を駆動させて画像を表示する。
【0057】
第1電極31および第2電極32は印加される信号電圧によりその役割を異ならせるため、電極31、32と信号電圧の関係は前記の記載に限られない。
【0058】
一方、電極層30は第1電極31と第2電極32を陽極酸化させて形成できる。例えば、第1電極31と第2電極32をアルミニウム(Al)で形成し、第1、第2電極31、32の表面に陽極酸化によるアルミニウム酸化物(Al)を形成し、誘電層34を形成することによって電極層30を形成することができる。
【0059】
再び図1乃至図3を参照すると、背面基板10側で放電セル27を形成する誘電層34はアルミニウム酸化物(Al)で形成される。
【0060】
また、第1電極層41と第2電極層42が各々別途に形成されて積層されると共に、電極層30を構成することもでき(図1および図2参照)、電極層30が第1電極層41と第2電極層42を含んで一体的に形成できる。第1電極層41は第1電極31を陽極酸化させて形成され、第2電極層42は第2電極32を陽極酸化させて形成される。
【0061】
一体的に形成される電極層30はシート状に形成でき、また、分離形成される第1電極層41および第2電極層42は各々シート状に形成できる。
【0062】
プラズマディスプレイパネルの製造方法としては、背面基板10に電極層30を形成し、前面基板20に隔壁層26を形成した後、両基板10、20を互いに封着する方法がある。
【0063】
プラズマディスプレイパネルの製造方法には、別途の工程で製造された電極層30を両基板10、20の間に置いた後、両基板10、20を互いに封着する方法もありうる。
【0064】
また、プラズマディスプレイパネルの製造方法には、別途の工程で製造された第1電極層41および第2電極層42を両基板10、20の間に重ねておいた後、両基板10、20を互いに封着する方法も可能である。
【0065】
図5乃至図10は、図示上の便利を考慮してパネル内部に配置される電極の具体的な形状の表現は省略し、周縁の構成を中心に単純化して示したが、前記図1乃至図4を参照として説明した電極構造が適用できるのは当然である。
【0066】
図5は本発明の第1実施形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法の説明のためのプラズマディスプレイパネルの概略的な構成と誘導電流発生器の配置関係を示した斜視図である。
【0067】
本実施形態のプラズマディスプレイパネルの製造方法により図1乃至図4を参照して説明したプラズマディスプレイパネルに追加される構成がある。便宜上、追加構成はプラズマディスプレイパネルの製造方法を説明の際に共に説明する。
【0068】
互いにずれて重なっている背面基板10と前面基板20は重なっている外郭に沿って封着ライン(SL)を形成する。背面基板10と前面基板20は封着ライン(SL)に沿って封着される。
【0069】
封着ライン(SL)は前面基板20の長辺に対向して背面基板10の長辺側に形成される第1封着ライン(SL10)と、背面基板10の短辺に対向する前面基板20の短辺に形成される第2封着ライン(SL20)を含む。
【0070】
本実施形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法は、保護層形成段階(ST10)(図6参照)、メタル層形成段階(ST20)(図7参照)、フリット層形成段階(ST30)(図8参照)および加熱/封着段階(ST40)(図10参照)を含む。
【0071】
保護層形成段階(ST10)では封着ライン(SL)に対応して保護層51を形成する(図6参照)。メタル層形成段階(ST20)では保護層51上にメタル層61を形成する(図7参照)。フリット層形成段階(ST30)ではメタル層61上にフリット層71を形成する(図8参照)。
【0072】
加熱/封着段階(ST40)では誘導電流でメタル層60、61、62を加熱して、背面基板10と前面基板20を加圧して、フリット層70、71、72で両基板10、20を互いに封着する(図10参照)。
【0073】
保護層50、51、52は第1封着ライン(SL10)および第2封着ライン(SL20)のうちいずれか一側または両側に形成できる。つまり、保護層50は第1保護層51および第2保護層52のうちいずれか一つまたは二つに形成できる(図9および図10参照)。
【0074】
保護層形成段階(ST10)は第1保護層51を形成する第1保護層形成段階と、第2保護層52を形成する第2保護層形成段階のうちいずれか一つまたは二つを含むことができる。
【0075】
第1保護層形成段階では、背面基板10の内表面に第1保護層51を形成する。第2保護層形成段階では第1保護層51と対向するように前面基板20の内表面に第2保護層52を形成する(図9および図10参照)。
【0076】
メタル層60は第1保護層51および第2保護層52のうちいずれか一側または両側に形成できる。つまり、メタル層60は第1メタル層61および第2メタル層62のうちのいずれか一つまたは二つに形成できる(図9および図10参照)。
【0077】
メタル層形成段階(ST20)は第1メタル層61を形成する第1メタル層形成段階と、第2メタル層62を形成する第2メタル層形成段階のうちいずれか一つまたは二つを含むことができる。
【0078】
第1メタル層形成段階では、第1保護層51上に第1メタル層61を形成する。第1メタル層形成段階では第1メタル層61と対向するように第2保護層52上に第2メタル層62を形成する。
【0079】
フリット層70は第1メタル層61および第2メタル層62のうちいずれか一側または両側に形成できる。つまり、フリット層70は第1フリット層71および第2フリット層72のうちいずれか一つまたは二つに形成できる(図9参照)。
【0080】
フリット層形成段階(ST30)は第1フリット層71を形成する第1フリット層形成段階と、第2フリット層72を形成する第2フリット層形成段階うちいずれか一つまたは二つを含むことができる。
【0081】
第1フリット層形成段階では第1メタル層61上に第1フリット層71を形成する。第1フリット層形成段階では第1フリット層71に対向するように、第2メタル層62上に第2フリット層72を形成する。
【0082】
便宜上、保護層50、メタル層60およびフリット層70を形成する段階に関する具体的な説明は第1保護層51、第1メタル層61および第1フリット層71を形成する段階で説明する(図6乃至図8参照)。
【0083】
第1保護層51、第1メタル層61および第1フリット層71を形成する各々の段階と同様に説明できる第2保護層52、第2メタル層62および第2フリット層72を形成する段階については説明は省略する。
【0084】
図6は両基板の封着ラインに対応する保護層を形成する段階を説明するための斜視図である。図6を参照すると、保護層形成段階(ST10)では封着ライン(SL)上に保護層50、51、52を形成する。例えば、保護層形成段階(ST10)では背面基板10の長辺側第1封着ライン(SL10)に沿って第1保護層51を予め設定された幅を有する帯状に形成する。
【0085】
また、保護層形成段階(ST10)では前面基板20の第2封着ライン(SL20)に対応する背面基板10の短辺側にも第1保護層51を予め設定された幅を有する帯状に形成する。
【0086】
第1保護層51は封着熱が背面基板10に伝えられるのを遮断し、封着衝撃を吸収するように断熱材または緩衝材で形成される。第1保護層51は背面基板10の四辺を熱と衝撃から保護できる。
【0087】
図7は保護層上にメタル層を形成する段階を説明するための斜視図である。図7を参照すると、メタル層形成段階(ST20)では保護層50、51、52上にメタル層60、61、62を形成する。例えば、メタル層形成段階(ST20)では背面基板10の長辺側第1保護層51上に第1メタル層61を予め設定された幅を有する帯状に形成する。
【0088】
また、メタル層形成段階(ST20)では第1保護層51上に第1メタル層61を予め設定された幅を有する帯状に形成する。
【0089】
第1メタル層61は封着時誘導電流によって加熱されて熱を発生させる。第1メタル層61は背面基板10の四辺で熱を発生させる。
【0090】
第1メタル層61の幅は第1保護層51の幅より狭いこともある。この場合、第1メタル層61から発生される熱は第1保護層51で効果的に遮断されて、封着衝撃は効果的に吸収される。
【0091】
図8はメタル層上にフリット層を形成する段階を説明するための斜視図である。図8を参照すると、フリット層形成段階(ST30)ではメタル層60上にフリット層70、71、72を形成する。例えば、フリット層形成段階(ST20)では背面基板10の長辺側第1メタル層61上に第1フリット層71を予め設定された幅を有する帯状に形成する。
【0092】
また、フリット層形成段階(ST30)では第1メタル層61上に第1フリット層71を予め設定された幅を有する帯状に形成する。
【0093】
図9は図5のIX-IX線に沿って切断して示した両基板の封着前整列段階を説明するための断面図である。図9を参照すると、整列段階(ST40)では図6乃至図8のような段階を各々経た背面基板10と前面基板20を整列する。本実施形態は別途に形成された電極層30を両基板10、20の間に整列する構成を例示している。
【0094】
整列状態は電極層30を間において上下方向に対称構造を形成する。つまり、背面基板10、第1保護層51、第1メタル層61、第1フリット層71、電極層30、第2フリット層72、第2メタル層62、第2保護層52、および前面基板20は下から上へ順次に配置されている。
【0095】
図10は誘導電流発生器で発生された誘導電流でメタル層を加熱して両基板を封着する段階を説明するための断面図である。図10を参照すると、加熱/封着段階(ST50)では誘導電流発生器80、81、82から発生された誘導電流を用いてメタル層60を加熱し、これによってメタル層60から伝えられる熱でフリット70に流動性を与えながら両基板10、20を加圧して封着する。
【0096】
誘導電流発生器80、81、82は封着ライン(SL)に対応するように四角形に形成できる。誘導電流発生器80、81、82は封着ライン(SL)に対応する部分でメタル層60、61、62を加熱する。
【0097】
誘導電流発生器80は背面基板10側に提供される第1誘導電流発生器81と前面基板20側に提供される第2誘導電流発生器82を含む。第1誘導電流発生器81は背面基板10の第1封着ライン(SL10)に対応される第1メタル層61を加熱し、第2誘導電流発生器82は前面基板20の第2封着ライン(SL20)に対応される第2メタル層62を加熱する。
【0098】
第1メタル層61は第1フリット層71に熱を伝達し、第2メタル層62は第2フリット層72に熱を伝達する。この時、第1保護層51は背面基板10へ熱と衝撃が伝えられるのを防止し、第2保護層52は前面基板20へ熱と衝撃が伝えられるのを防止する。
【0099】
溶融されて互いに付着される第1フリット層71と第2フリット層72は一つのフリット層70を形成する。電極層30に連結される連結部35はフリット層70外部に突出されて、電極層30を封着ライン(SL)の外部に引き出す。複数の連結部35は封着ライン(SL)上でフリット層70によって囲まれる(図10参照)。
【0100】
一方、電極層30を陽極酸化によって形成した場合、複数の連結部35はフリット層70に対応する部分に形成される導電部135と酸化物層235を含む。導電部135はアルミニウム(Al)で形成され、酸化物層235は導電部135の表面に形成されたアルミニウム酸化物(Al)で形成される。
【0101】
以上、本発明の望ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付図の範囲内で多様に変形して実施するのが可能であり、これらも本発明の範囲に属するのは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1実施形態によるプラズマディスプレイパネルを分解して、概略的に示した斜視図である。
【図2】図1のII-II線に沿って切断して示した断面図である。
【図3】図1のIII-III線に沿って切断して示した断面図である。
【図4】図1のプラズマディスプレイパネルにおける電極のみを示した斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法の説明のためのプラズマディスプレイパネルの概略的な構成と誘導電流発生器の配置関係を示した斜視図である。
【図6】両基板の封着ラインに対応される保護層を形成する段階を説明するための斜視図である。
【図7】保護層上にメタル層を形成する段階を説明するための斜視図である。
【図8】メタル層上にフリット層を形成する段階を説明するための斜視図である。
【図9】図5のIX-IX線に沿って切断して示した両基板の封着前整列段階を説明するための断面図である。
【図10】誘導電流発生器で発生された誘導電流でメタル層を加熱して、両基板を封着させる段階を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0103】
10、20 基板
26 隔壁層
27 放電セル
29 蛍光体層
30、41、42 電極層
31、32 電極
34 誘電層
35 連結部
36、50、51、52 保護層
60、61、62 メタル層
70、71、72 フリット層
80、81、82 誘導電流発生器
135 導電部
235 酸化物層
SL、SL10、SL20 封着ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いにずれて重なって配置され、互いに重なった部分に形成される封着ラインに沿って装着される第1基板および第2基板と、
前記封着ラインに対応して前記第1基板および前記第2基板のうち少なくとも一つの基板側に形成されるメタル層と、
前記メタル層上に形成されるフリット層と、を含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項2】
前記封着ラインに対応して前記第1基板および前記第2基板のうちの少なくとも一つの基板に形成される保護層を含み、前記メタル層は前記保護層上に形成されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項3】
前記保護層は、
前記封着ラインに沿って予め設定された幅を有する帯状に形成されることを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項4】
前記メタル層は、
前記封着ラインに沿って予め設定された幅を有する帯状に形成されることを特徴とする請求項3に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項5】
前記フリット層は、
前記メタル層に沿って予め設定された幅を有する帯状に形成されることを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項6】
前記保護層は断熱緩衝材で形成されることを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項7】
前記保護層は、
前記第1基板の内表面に形成される第1保護層と、
前記第1保護層と対向して前記第2基板の内表面に形成される第2保護層と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項8】
前記メタル層は、
前記第1保護層上に形成される第1メタル層と、
前記第1メタル層と対向して前記第2保護層上に形成される第2メタル層と、を含むことを特徴とする請求項7に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項9】
前記フリット層は前記第1メタル層と前記第2メタル層との間に形成されることを特徴とする請求項8に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項10】
前記互いに重なった部分に形成されて放電を起こす複数の電極を含み、
前記電極は複数の連結部を通して前記封着ライン外部に引き出され、
前記複数の連結部は前記封着ライン上で前記フリット層によって囲まれることを特徴とする請求項9に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項11】
前記連結部において前記フリット層に対応する部分は、
アルミニウムで形成される導電部と、
前記導電部の表面に形成されたアルミニウム酸化物(Al)で形成される誘電層を含むことを特徴とする請求項10に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項12】
封着ラインに対応して、第1基板と第2基板のうち少なくとも一つの基板側にメタル層を形成するメタル層の形成段階と、
前記メタル層上にフリット層を形成するフリット層の形成段階と、
誘導電流で前記メタル層を加熱し、前記第1基板と前記第2基板を加圧して前記フリット層に両基板を互いに封着させる加熱/封着段階と、を含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項13】
前記封着ラインに対応して、前記第1基板および前記第2基板のうちの少なくとも一つの基板に保護層を形成する保護層の形成段階を含み、
前記メタル層形成段階では前記保護層上に前記メタル層を形成することを特徴とする請求項12に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項14】
前記保護層形成段階では、
前記封着ラインに沿って保護層を予め設定された幅を有する帯状に形成することを特徴とする請求項13に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項15】
前記メタル層形成段階では、
前記保護層ラインに沿ってメタル層を予め設定された幅を有する帯状に形成することを特徴とする請求項14に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項16】
前記フリット層形成段階では、
前記メタル層に沿ってフリット層を予め設定された幅を有する帯状に形成することを特徴とする請求項15に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項17】
前記保護層形成段階は、
前記第1基板の内表面に第1保護層を形成する第1保護層形成段階と、
前記第1保護層と対向するように前記第2基板の内表面に第2保護層を形成する第2保護層形成段階と、を含むことを特徴とする請求項13に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項18】
前記メタル層形成段階は、
前記第1保護層上に第1メタル層を形成する第1メタル層形成段階と、
前記第1メタル層と対向するように前記第2保護層上に第2メタル層を形成する第2メタル層形成段階と、を含むことを特徴とする請求項17に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項19】
前記フリット層形成段階は、
前記第1メタル層上に第1フリット層を形成する第1フリット層形成段階と、
前記第1フリット層に対向するように前記第2メタル層上に第2フリット層を形成する第2フリット層形成段階と、を含むことを特徴とする請求項18に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−152190(P2009−152190A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306622(P2008−306622)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】