説明

プラズマディスプレイパネル及びその製造方法

【課題】異常点灯セルが多数又は密集して発生した場合や領域表示斑が発生した場合にも、画像品質の劣化や画像の一部欠落を招くことなく、これらの欠陥を修復(リペア)することのできるPDP及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】透明電極と前記透明電極より幅の狭い金属電極とからなり、一方向に延在する表示電極を備えた前面基板と、前記前面基板に対向し、前記表示電極とは異なる方向に延在し且つ前記表示電極との交差部に複数のセルを形成するアドレス電極を備えた背面基板とを具備するプラズマディスプレイパネルにおいて、前記複数のセルの中に、前記透明電極の抵抗が周りより高い部分を有し且つ他のセルと同じ明るさで発光するセルが含まれていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル及びその製造方法に関し、特に、異常点灯セル又は領域表示斑を無くしたプラズマディスプレイパネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(PDP, Plasma Display Panel)は放電による発光を利用した平面型表示装置の一種である。
【0003】
PDPは、ガラス製の前面基板と背面基板が僅かな空間を隔てて貼りあわされ、この空間にキセノン等の希ガスを封入した表示装置である。
【0004】
PDPの前面基板には、透明電極とこの透明電極より幅の狭い金属電極(バス電極)によって形成され、水平方向に延在する複数の表示電極が設けられている。一方、背面基板には、表示電極に直交する方向に延在する複数のアドレス電極が設けられている。
【0005】
表示電極とアドレス電極は交差して複数のセルを形成し、表示電極に印加された電圧によって放電が発生し各セルが発光する。このようにして発光したセルが一画素となり、PDPの表面に画像が表示される。
【0006】
ところで、パネルとして完成したPDPを観察すると、他のセルより非常に明るく光るセルが発見されることがある。このような異常点灯セルは非常に目立つので、そのままでは、そのPDPを出荷することはできない。そこで、異常点灯セルにレーザ光を照射し、その透明電極を高抵抗化することによって、異常点灯セルを不点灯化する技術が開発された(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−31042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、異常点灯セルの数が多い場合や、異常点灯セルが密集した場合には、上記従来技術のように異常点灯セルを不点灯化してしまうと、反って画像品質が劣化してしまう。
【0008】
また、一部のセルが他のセルより明るく光ってしまう現象の態様としては、異常点灯セル以外にも、他のセルより明るく発光するセルが密集して発生し、一定の面積を占めるようになった領域表示斑がある。このような領域表示斑に含まれるセルを不点灯化してしまうと、画像の一部に欠落が生じてしまう。従って、領域表示斑に対しては、上記不点灯化技術で対処すること自体が困難である。
【0009】
そこで、本発明の目的は、異常点灯セルが多数又は密集して発生した場合や領域表示斑が発生した場合にも、画像品質の劣化や画像の一部欠落を招くことなく、これらの欠陥を修復(リペア)することのできるPDP及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の側面は、透明電極と前記透明電極より幅の狭い金属電極とからなり、一方向に延在する表示電極を備えた前面基板と、前記前面基板に対向し、前記表示電極とは異なる方向に延在し且つ前記表示電極との交差部に複数のセルを形成するアドレス電極を備えた背面基板とを具備するプラズマディスプレイパネルにおいて、前記複数のセルの中に、前記透明電極の抵抗が周りより高い部分を有し且つ他のセルと同じ明るさで発光するセルが含まれているプラズマディスプレイパネルである。
【0011】
本発明の第2の側面は、透明電極と前記透明電極より幅の狭い金属電極とからなり、一方向に延在する表示電極を備えた前面基板と、前記前面基板に対向し、前記表示電極とは異なる方向に延在し且つ前記表示電極との交差部に複数のセルを形成するアドレス電極を備えた背面基板とを具備するプラズマディスプレイパネルにおいて、前記透明電極の光透過率が他の前記セルより低い前記セルが密集した領域を有し、且つ、前記領域内の前記セルが、他の前記セルと同じ明るさで光るプラズマディスプレイパネルである。
【0012】
本発明の第3の側面は、透明電極と前記透明電極より幅の狭い金属電極とからなり、一方向に延在する表示電極を備えた前面基板と、前記前面基板に対向し、前記表示電極とは異なる方向に延在し且つ前記表示電極との交差部に複数のセルを形成するアドレス電極を備えた背面基板とを具備するプラズマディスプレイパネルを形成する第1の工程と、複数の前記セルの中に、他の前記セルより明るく発光する異常点灯セルが発生した場合に、前記異常点灯セルを形成する前記表示電極の前記透明電極を部分的に高抵抗化する第2の工程を具備するプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
【0013】
本発明の第4の側面は、透明電極と前記透明電極より幅の狭い金属電極とからなり、一方向に延在する表示電極を備えた前面基板と、前記前面基板に対向し、前記表示電極とは異なる方向に延在し且つ前記表示電極との交差部に複数のセルを形成するアドレス電極を備えた背面基板とを具備するプラズマディスプレイパネルを形成する第1の工程と、前記プラズマディスプレイパネルに他の前記セルより明るく発光する前記セルが密集した領域が形成されていた場合に、前記領域内に存在する前記セルの前記透明電極の光透過率を低下させる第2の工程を具備するプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、異常点灯セルの数が多い場合や異常点灯セルが密集して発生した場合、或いは領域表示斑が発生した場合にも、他のセルより明るく光るセルを他のセルと同じ明るさで発光するように修復(リペア)するので、画像品質の劣化や画像の一部欠落を生じさせることなく、これらのセル欠陥に対処することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0016】
(実施の形態1)
異常点灯セルが多数又は密集して発生した場合や領域表示斑が発生した場合でも、異常点灯セルや領域表示斑内のセルを他のセルと同じ明るさで発光させることが可能であれば、表示画像の品質を落とすことなく、これらの欠陥を修復することができる。
【0017】
本実施の形態は、このような考えに基づいて、異常点灯セルを他のセルと同じ明るさで発光するように修復(リペア)して、異常点灯セルが多数発生した場合や密集して発生した場合に対処したPDP及びその製造方法に関する。
【0018】
(1)構 成
図1は、本実施の形態に従うPDPの構成を説明する平面図である。
【0019】
図2は、図1に於いて破線で囲われた領域Aを拡大した図である。尚、以後、図面が異なっても対応する部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0020】
本実施の形態に従うPDP2は、図1及び図2に示すように、一方向(例えば、水平方向)に延在する透明電極4と、この透明電極4の一方の長辺に沿って延在する幅の狭い金属電極6(バス電極22)とからなる表示電極12を備えた前面基板13を具備している。ここで、表示電極12は、一対の走査電極8と維持電極10からなっている。
【0021】
また、本実施の形態のPDP2は、前面基板13に対向し、更に、表示電極12とは異なる方向(例えば、鉛直方向)に延在し且つ表示電極12との交差部に複数のセル14,16を形成するアドレス電極18を備えた背面基板19を具備している。尚、図2では図面が複雑にならないように、セル14,16は、一つ置きに破線で囲われ、符号が付されている。ここで、セル16は、他のセル14とは異なり、透明電極4の抵抗が周りの透明電極21より高い部分20を有している。
【0022】
このように、本実施の形態のPDP2は、透明電極4とこの透明電極4より幅の狭い金属電極6(バス電極22)とからなり、一方向に延在する表示電極12を備えた前面基板13を具備している。また、本実施の形態に従うPDP2は、前面基板13に対向し、表示電極12とは異なる方向に延在し且つ表示電極12との交差部に複数のセル14,16を形成するアドレス電極18を備えた背面基板19とを具備している。
【0023】
更に、本実施の形態のPDP2には、上記複数のセルの中に、透明電極4の抵抗が周りより高い部分20を有し且つ他のセル14と同じ明るさで発光するセル16が含まれている。
【0024】
図3は、図2に示したセル16を更に拡大した図である。
【0025】
図3に示した例では、走査電極8及び維持電極10を形成する透明電極4が、夫々、周囲の透明電極21より抵抗が高い部分20を2箇所ずつ有している。
【0026】
このセル16は、元々は異常点灯セルであったセルがリペアされ、他のセル14と同じ明るさで発光するようになったセルである。
【0027】
透明電極4に周囲21より抵抗が高い部分20が形成されると、セルの放電面積は、その分減少する。その結果、セル16が発生するプラズマの量も減少する。このため、異常点灯セルであったセル16は、輝度が低下し、他のセル14と同じ明るさで発光するようになる。従って、不点灯点が多数又は密集して形成されて、画像品質が劣化することはない。
【0028】
このように、本実施の形態のPDP2では、異常点灯セル16がリペアされて、他のセル14と同じ明るさで光るようになっている。従って、本実施の形態のPDP2によれば、異常点灯セルの数が多数発生した場合や密集して発生した場合にも、表示される画像の品質を劣化さることなく、これらの欠陥に対処することができる。
【0029】
尚、一のセルが他のセルと同じ明るさで発光するとは、両セルを同一条件で発光させた場合にPDPの観察者が感じる明るさに差異のないことである。
【0030】
(2)製造方法
次に、このようなPDP2の製造方法を説明する。
【0031】
図4は、本実施の形態によるPDPの製造方法を説明する斜視図である。
【0032】
本実施の形態では、まず通常のPDPの製造手順に従い、第1のガラス基板23上に、透明電極4および金属電極6(バス電極22)を形成する。次に、この透明電極4およびバス電極22の上に、ガラスからなる誘電体層24およびMgOからなる保護層26を積層する。
【0033】
バス電極22は透明電極に電流を流しやすくするためのものであり、Cr−Cu−Cr等の低抵抗の金属膜で形成される。一方、放電面積を確保し且つ放電によって発生した光を効率的に取り出すための透明電極4は、抵抗は比較的高いが透明である酸化錫(ITO;Indium Tin Oxide)等の電極材料で形成する。このようにして、前面基板13を形成する。
【0034】
この透明電極4とバス電極22によって、走査電極8と維持電極10が形成され、表示電極12となる。この表示電極12は、水平方向に延在するように複数形成される。
【0035】
次に、第2のガラス基板25の上に、金属からなる帯状のアドレス電極18を形成する。このアドレス電極18は、図4に示すように、垂直方向に延在するように複数形成される。
【0036】
次に、アドレス電極18の上にガラスからなる誘電体層28を形成する。この誘電体層28上に於いて、隣接するアドレス電極18との間に帯状の隔壁30を形成する。更に、誘電体層28の上から隔壁30の側面にかけて、蛍光体32を塗布する。このようにして、背面基板19を形成する。
【0037】
次に、表示電極12とアドレス電極18が直交するように、前面基板13と背面基板19とを対向配置して周辺部を封着部材により封着し、両基板間に形成された空間にネオンとキセノンを含む希ガスを封入する。この時、表示電極12とアドレス電極18の交差部に複数のセルが形成される。
【0038】
以上の工程により、まず、透明電極4と透明電極4より幅の狭い金属電極6とからなり、一方向に延在する表示電極12を備えた前面基板13と、この前面基板13に対向し、表示電極12とは異なる方向に延在し且つ表示電極12との交差部に複数のセルを形成するアドレス電極18を備えた背面基板19とを具備するリペア前のプラズマディスプレイパネル3を形成する。
【0039】
PDP3に画像を表示するためには、発光させたいセルで交差する、アドレス電極18と表示電極12の間に電圧パルスを印加して放電を起す。この放電によって、上記表示電極12を覆っている保護膜26に壁電荷が蓄積する。
【0040】
この状態で、表示電極12を形成する全ての走査電極8と維持電極10の間に交番状の電圧パルスを印加すると、壁電荷が蓄積された上記セルだけで維持放電が起きる。
【0041】
この放電によりセル内に充填されている希ガスが励起されて、紫外光を放出する。この紫外光により蛍光体32が励起されて発光し、PDP3に画像が表示される。
【0042】
この時、他のセルより非常に明るく発光する異常点灯セルが発生する場合がある。
【0043】
図5は、このような異常点灯セル34の明るさを、他のセルと同じに修復(リペア)する方法を説明する斜視図である。
【0044】
ここでは、異常点灯セル34を形成している表示電極12の透明電極4の一部分又は複数部分に、レーザ光照射ユニット36で発生したレーザ光38を照射して高抵抗化する。レーザ光38が照射されると透明電極は変色し、周囲21より抵抗が高くなる。図3に示した、抵抗が周囲21より高い部分20は、この様にして形成された領域である。尚、レーザ光38の照射は、前面基板13を形成する第1のガラス基板23を通して行われる。
【0045】
このようなレーザ加工が施されたセルでは、走査電極8と維持電極10の間に電圧パルスが印加されても、高抵抗化された部分20からは、放電を起すような強い電界は発生しない。このため、放電に寄与する透明電極の面積(放電面積)が小さくなる。その結果、異常点灯セルの輝度が低下し、異常点灯セルと他のセルが同じ明るさで発光するようになる。
【0046】
すなわち、本実施の形態では、複数のセルの中に、他のセルより明るく発光する異常点灯セル34が発生した場合に、異常点灯セル34を形成する表示電極12の透明電極4を部分的に高抵抗化して、他のセルと同じ明るさで発光するようにする。
【0047】
透明電極4を部分的に高抵抗化するための光源(レーザ光照射ユニット36)としては、Qスイッチ動作するネオジーム・ヤグレーザ(Nd:YAG)を使用することができる。使用する波長は355nmであり、出力エネルギーは例えば0.6mJである。また、パルス幅は、例えば3〜4nsであり、繰り返し周期は1〜50Hzである。
【0048】
上記波長355nmは、透明電極4によって吸収される波長である。透明電極4が吸収する波長であれば、他の波長のレーザ光を使用してもよい。但し、第1のガラス基板23によって吸収されない波長が好ましい。
【0049】
本実施の形態では、図5のように、このような光源(レーザ光照射ユニット36)で発生したレーザ光38を、例えば、幅数十μmの矩形領域に集光して透明電極4に照射する。図3に示した例では、走査電極8及び維持電極10の透明電極4が、夫々2箇所で高抵抗化されている。但し、高抵抗化する部分は、2箇所である必要はなく、1箇所でも3箇所以上であってもよい。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態によれば、異常点灯セルが多数発生した場合や密集して発生した場合にも、異常点灯セルを他のセルと同じ明るさで光るようにリペアするので、PDPに表示される画像の品質が劣化することはない。
【0051】
(実施の形態2)
本実施の形態は、領域表示斑を正常な明るさに修復(リペア)したPDP及びその製造方法に関する。
【0052】
(1)構 成
図6は、本実施の形態に従うPDP40の構成を説明する平面図である。尚、図6では、表示電極等は省略されている。
【0053】
本実施の形態に従うPDP40は、実施の形態1のPDP2と同様に、透明電極4とこの透明電極4より幅の狭い金属電極6(バス電極22)とからなり、一方向に延在する表示電極12を備えた前面基板13を具備している。また、本実施の形態に従うPDP40は、前面基板13に対向し、表示電極12とは異なる方向に延在し且つ表示電極12との交差部に複数のセルを形成するアドレス電極18を備えた背面基板19を具備している(図1及び図2参照)。ここで、前面基板13及び背面基板19の詳細は、図4を参照して説明した実施の形態1の前面基板13及び背面基板19と同じである。
【0054】
本実施の形態に従うPDP40では、図6に示すように、透明電極の光透過率が他のセルより低い複数のセルが密集した領域42を有している。図7は、図6に示した矩形の領域Aを拡大した図である。上記領域A内に存在するセル46の透明電極44の光透過率は、領域42外の他のセルの透明電極より低くなっている。
【0055】
領域42は、元々は周囲より明るく発光する領域表示斑が修復(リペア)されて、周囲と同じ明るさで光るようになった領域である。
【0056】
透明電極の光透過率(入射光の強度に対する透過光の強度の比)が低くなると、セル内部で発生した光が外部に放出され難くなり、セルの輝度が低下する。従って、本実施の形態では、元々は領域表示斑であった上記領域42内のセルが、透明電極の光透過率が低下したことによって、他のセルと同じ明るさで発光するようになっている。
【0057】
故に、本実施の形態のPDP40によれば、領域表示斑が発生した場合にも、表示される画像に欠落を生じさせずに、領域表示斑を修復(リペア)することができる。
【0058】
(2)製造方法
本実施の形態のPDP40の製造方法は、前面基板13と背面基板19の周辺部を封着し、両基板の間に希ガスを封入する工程までは、実施の形態1のPDP2の製造方法と同じである。従って、本実施の形態では、上記工程に続く後の工程だけを説明する。
【0059】
図8は、本実施の形態に従うPDP40の製造方法を説明する斜視図である。
【0060】
本実施の形態では、リペア前のプラズマディスプレイパネル48に、他のセルより明るく発光するセルが密集した領域(領域表示斑50)が発生していた場合に、この領域内に存在するセルの透明電極にレーザ光を照射して、この透明電極の光透過率を低下させる。尚、レーザ光38の照射は、実施の形態1と同様、前面基板13を形成する第1のガラス基板23を通して行われる。
【0061】
本実施の形態で使用するレーザ光照射ユニット36及びそのレーザ光38の波長は、実施の形態1で使用するものと同じである。
【0062】
但し、本実施の形態で使用するレーザ光38は、透明電極上に於ける照度が実施の形態1で使用するレーザ光より弱い。このため本実施の形態では、レーザ照射を受けたセルが不点灯化することはない。また、当該セルの放電面積が減少することもない。
【0063】
更に、本実施の形態で使用するレーザ光38の照射面積は、実施の形態の照射面積より広く、セルと略同じ面積である。
【0064】
レーザ光38の照度が高い場合には、透明電極の抵抗は測定が不能なほど高くなる。このようなレーザ光をセル全体に照射すると、セルは不点灯化してしまう。
【0065】
しかし、レーザ光の照度を弱くして行くと、やがてセルは不点灯化されなくなる。但し、その時のセルの発光強度(輝度)は、レーザ照射前より弱くなっている。このように発光強度の低下は、透明電極の光透過率が低下するためである。
【0066】
例えば、レーザ光38の光度を30カンデラとし、照射領域を一のセルと略同じ400μm×280μmの矩形領域として、透明電極にレーザ光を照射すると、照射されたセルは不点灯化はしないが、その輝度は低下する。尚、光度及び照射領域以外のレーザ光の照射条件(例えば、出力エネルギー)は、実施の形態1のレーザ光の照射条件と同じである。
【0067】
本実施の形態では、このようなレーザ照射を領域表示斑50内のセル全体に施して、当該セルの透明電極44の光透過率を低下させる(図7参照)。従って、他のセルより明るく発光していた領域表示斑50内のセルは、輝度を低下させ他のセルと同じ明るさで発光するようになる。
【0068】
故に、本実施の形態によれば、表示される画像に欠落を生じさせずに、領域表示斑をリペアすることができる。
【0069】
以上の例では、他のセルより明るく光るセルが多数存在する場合について説明したが、このようなセル(例えば、異常点灯セル)が少数存在する場合にも、本発明は適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施の形態1に従うPDPの構成を説明する平面図である。
【図2】図1に於いて破線で囲われた領域Aを拡大した図である。
【図3】図2に示したセル16を更に拡大した図である。
【図4】実施の形態1によるPDPの製造方法を説明する斜視図である。
【図5】異常点灯セルの明るさを、他のセルと同じに修復(リペア)する方法を説明する斜視図である。
【図6】実施の形態2に従うPDPの構成を説明する平面図である。
【図7】図6に示された矩形領域Aを拡大した図である。
【図8】本実施の形態2に従うPDPの製造方法を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
2・・・PDP(実施の形態1) 3・・・(リペア前の)PDP
4・・・透明電極 6・・・金属電極
8・・・走査電極 10・・・維持電極
12・・・表示電極 13・・・前面電極
14,16・・・セル 18・・・アドレス電極
19・・・背面基板 20・・・(高抵抗化された)透明電極の一部
22・・・バス電極 23・・・第1のガラス基板
24・・・(前面基板の)誘電体層 25・・・第2のガラス基板
26・・・保護層 28・・・(背面基板の)誘電体
30・・・隔壁 32・・・蛍光体
34・・・異常点灯セル 36・・・レーザ光照射ユニット
38・・・レーザ光 40・・・PDP(実施の形態2)
42・・・領域 44・・・(光透過率が低い)透明電極
46・・・(透明電極の光透過率が低い)セル
48・・・(リペア前の)PDP 50・・・領域表示斑

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明電極と前記透明電極より幅の狭い金属電極とからなり、一方向に延在する表示電極を備えた前面基板と、
前記前面基板に対向し、前記表示電極とは異なる方向に延在し且つ前記表示電極との交差部に複数のセルを形成するアドレス電極を備えた背面基板とを具備するプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記複数のセルの中に、前記透明電極の抵抗が周りより高い部分を有し且つ他のセルと同じ明るさで発光するセルが含まれているプラズマディスプレイパネル。
【請求項2】
透明電極と前記透明電極より幅の狭い金属電極とからなり、一方向に延在する表示電極を備えた前面基板と、
前記前面基板に対向し、前記表示電極とは異なる方向に延在し且つ前記表示電極との交差部に複数のセルを形成するアドレス電極を備えた背面基板とを具備するプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記透明電極の光透過率が他の前記セルより低い前記セルが密集した領域を有し、
且つ、前記領域内の前記セルが、他の前記セルと同じ明るさで光るプラズマディスプレイパネル。
【請求項3】
透明電極と前記透明電極より幅の狭い金属電極とからなり、一方向に延在する表示電極を備えた前面基板と、前記前面基板に対向し、前記表示電極とは異なる方向に延在し且つ前記表示電極との交差部に複数のセルを形成するアドレス電極を備えた背面基板とを具備するプラズマディスプレイパネルを形成する第1の工程と、
複数の前記セルの中に、他の前記セルより明るく発光する異常点灯セルが発生した場合に、前記異常点灯セルを形成する前記表示電極の前記透明電極を部分的に高抵抗化する第2の工程を具備する、
プラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
前記第2の工程が、前記異常点灯セルの前記透明電極の一部分又は複数部分にレーザ光を照射して高抵抗化する工程であることを、
特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項5】
透明電極と前記透明電極より幅の狭い金属電極とからなり、一方向に延在する表示電極を備えた前面基板と、前記前面基板に対向し、前記表示電極とは異なる方向に延在し且つ前記表示電極との交差部に複数のセルを形成するアドレス電極を備えた背面基板とを具備するプラズマディスプレイパネルを形成する第1の工程と、
前記プラズマディスプレイパネルに他の前記セルより明るく発光する前記セルが密集した領域が形成されていた場合に、前記領域内に存在する前記セルの前記透明電極の光透過率を低下させる第2の工程を具備する、
プラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
前記第2の工程が、前記領域内に存在する前記セルの前記透明電極にレーザ光を照射する工程であることを、
特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項7】
透明電極と前記透明電極より幅の狭い金属電極とからなり、一方向に延在する表示電極を備えた前面基板と、前記前面基板に対向し、前記表示電極とは異なる方向に延在し且つ前記表示電極との交差部に複数のセルを形成するアドレス電極を備えた背面基板とを具備するプラズマディスプレイパネルを形成する第1の工程と、
他の前記セルより明るく発光する前記セルを、他の前記セルと同じ明るさで発光するように修復する第2の工程を具備する、
プラズマディスプレイパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−62084(P2010−62084A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228577(P2008−228577)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(599132708)日立プラズマディスプレイ株式会社 (328)
【Fターム(参考)】