説明

プラズマディスプレイパネル及びその製造方法

【課題】保護層表面の変質層を、パネル毎のバラツキなく簡単かつ低コストに除去でき、パネル寿命に優れたプラズマディスプレイパネル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】前面板1と背面板2が平行に重ね合わされ、互いに押し付けられる。また、背面板2とガス吹込み治具3とが密着される。内部にガラス繊維濾紙9が配置されたガラス管3は、固形ガラスフリットリング4を介して背面板2に押し当てられる。ガラス管3を利油用して、窒素、Xe、Neガスがパネル内に供給でき、又はパネル内を排気する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テレビ又はコンピュータ等の画像表示に用いられるプラズマディスプレイパネル(以下、PDP=Plasma Display Panelと記す)及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、3電極構造の面放電型PDPは、図8のように、第1のガラス基板としての前面板151上に互いに平行に隣接配置された一対の表示電極152a、152bで構成されている電極対152と、電極対152と直交するように配列されたアドレス電極153とを有する。前面板の背面には、誘電体層154と保護層155が設けられる。表示電極152a、152bによって面放電セル(表示の主放電セル)が画定され、一方の表示電極152bとアドレス電極153とによって単位発光領域の点灯又は非点灯を選択するためのアドレス放電セルが画定される。蛍光体層156は、アドレス電極153を含めて第2のガラス基板としての背面板157の内面を隔壁(リブ)158に沿って被覆するように設けられ、表示電極152a、152b間の面放電で生じた紫外線によって励起されて発光する。蛍光によって生じた光は、図8の表示方向に取り出され、画像表示が実現される。
【0003】
フルカラー表示を行う場合には、表示画面を構成する各画素(ドット)に対して、R(赤)、G(緑)、B(青)のいわゆる3原色の蛍光体層159R,159G,159Bが対応づけられる。蛍光体層159R,159G,159Bとアドレス電極153の間には、誘電体層160が設けられる(例えば、特許文献1参照)。通常、各蛍光体層159R,159G,159Bは、スクリーン印刷法を用いて、粒状の所定発光色の蛍光物質を主成分とする蛍光体ペーストを各色毎に順に塗布して焼成することにより形成される。
【0004】
PDPの動作電圧は、この保護層155の2次電子放出係数に依存する。従って、仕事関数が酸化マグネシウムよりも小さいアルカリ土類金属の酸化物(たとえば、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、又は、酸化バリウムなど)を保護層として用いることで、動作電圧を低電圧化することが提案されている。しかしながら、これらのアルカリ土類金属の酸化物は吸湿性が高く、保護層形成後に雰囲気中の水分を吸着し、保護層155の表面が水酸化物に変質して変質層が形成され、結果的に不安定な放電特性となるという課題があった。その解決のために、保護層形成工程後から封着工程までを乾燥雰囲気中で連続して行う方法(例えば、特許文献2参照)、保護層形成工程後から封着工程までを真空雰囲気中で連続して行う方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
【0005】
保護層形成工程後から封着工程までを雰囲気制御された空間で連続して行う方法は、保護層形成後に保護層に水分等の不純物を吸着させない方法であるが、一方、不純物が吸着した保護層を清浄化しながら封着する方法も提案されている。たとえば、前面板あるいは背面板に第1及び第2のガラス管を設け、第1のガラス管からパネル内部を排気しながら第2のガラス管から乾燥ガスをパネル内部に供給することにより、パネル内部の残留不純物を低減させる方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。また、前面板及び背面板が重ね合わせて載置された加熱炉が密閉され、加熱炉内に雰囲気ガスを導入しつつ加熱炉内のガス排出を行い、パネル封着を行う方法が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−216620号公報
【特許文献2】特開2002−231129号公報
【特許文献3】特開2000−156160号公報
【特許文献4】特開2002−250938号公報
【特許文献5】特開2001−35372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来例のPDPの製造においては、保護層表面に形成された変質層を、パネル毎のバラツキなく簡単かつ低コストに除去できないという問題点があった。
【0008】
本発明は、前記従来の問題点に鑑み、乾燥ガス供給時にガラス管周辺から漏れるガスの量を可能な限り少なくすることができて、高性能で安定した特性を有する保護層を備え、高効率で長期に亘って特性の安定したプラズマディスプレイパネル及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0010】
本発明の第1態様によれば、保護層を有する第1のガラス基板と、第2のガラス基板との間に放電空間を形成するように対向配置し、
前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との周辺部を封着部材により封着し、前記第1のガラス基板又は前記第2のガラス基板に設けた貫通穴に繋がるように、前記貫通穴の周囲に前記放電空間内へのガスの封入又は排気を行うためのガラス管を接着するとともに、前記第1のガラス基板又は前記第2のガラス基板に設けた前記貫通穴の周囲に接着した前記ガラス管の接着部分に、ガラス繊維部材を配置することを特徴とする、プラズマディスプレイパネルの製造方法を提供する。
【0011】
本発明の第2態様によれば、前記保護層として、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び、酸化バリウムのうち少なくとも1種類以上を含む前記保護層を使用することを特徴とする、第1の態様に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供する。
【0012】
本発明の第3態様によれば、前記保護層として、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び、酸化バリウムのうち少なくとも2種類以上の混合物からなる前記保護層を使用することを特徴とする、第1の態様に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供する。
【0013】
本発明の第4態様によれば、前記ガラス管の接着部分に前記ガラス繊維部材を配置するとき、前記ガラス管の内面に円錐状のガラス繊維部材を配置することを特徴とする、第1〜3のいずれか1つの態様に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供する。
【0014】
本発明の第5態様によれば、前記ガラス管を接着するとき、固形ガラスフリットを介して前記貫通穴の周囲に前記ガラス管を接着し、かつ、前記ガラス繊維部材を、前記貫通穴を設けた前記ガラス基板と前記固形ガラスフリットの間、又は、前記ガラス管と前記固形ガラスフリットの間に挟みこむことを特徴とする、第1〜3のいずれか1つの態様に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供する。
【0015】
本発明の第6態様によれば、プラズマディスプレイパネルを製造するプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
電極と誘電体層と保護層とが形成された第1のガラス基板と、電極と誘電体層と隔壁と蛍光体層とが形成された第2のガラス基板とを準備するステップと、
前記第1又は第2のガラス基板にガラスフリットを配置するステップと、
前記ガラスフリットの頂部と前記ガラスフリットを塗布していない方のガラス基板とが接触するように前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板とを重ね合わせるステップと、
前記第1又は第2のガラス基板に設けられた貫通穴の近傍にガラス繊維部材とガラス管と固形ガラスフリットとを配置するステップと、
前記第1又は第2のガラス基板に設けられた前記貫通穴及び前記ガラス管を経由して前記第1及び第2のガラス基板の間の空間にガスを吹込むステップと、
前記ガラスフリットを溶融させて前記第1及び第2のガラス基板を封着するとともに前記第1又は第2のガラス基板に前記ガラス管を接着するステップと、
前記第1及び第2のガラス基板の間を排気するステップと、
前記第1及び第2のガラス基板の間に封入ガスを封入するステップとを含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供する。
【0016】
本発明の第7態様によれば、保護層を有する第1のガラス基板と、第2のガラス基板との間に放電空間を形成するように対向配置し、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との周辺部を封着部材により封着し、かつ前記第1のガラス基板又は前記第2のガラス基板に設けた貫通穴に繋がるように、前記貫通穴の周囲に前記放電空間内へのガスの封入又は排気を行うためのガラス管を接着したプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記第1のガラス基板又は前記第2のガラス基板に設けた前記貫通穴の周囲に接着した前記ガラス管の接着部分に、ガラス繊維部材を配置していることを特徴とするプラズマディスプレイパネルを提供する。
【0017】
本発明の第8態様によれば、前記保護層が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び、酸化バリウムのうち少なくとも1種類以上を含むことを特徴とする、第7の態様に記載のプラズマディスプレイパネルを提供する。
【0018】
本発明の第9態様によれば、前記保護層が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び、酸化バリウムのうち少なくとも2種類以上の混合物からなることを特徴とする、第7の態様に記載のプラズマディスプレイパネルを提供する。
【0019】
本発明の第10態様によれば、前記ガラス管の接着部分に配置された前記ガラス繊維部材は、前記ガラス管の内面に配置された円錐状のガラス繊維部材であることを特徴とする、第7〜9のいずれか1つの態様に記載のプラズマディスプレイパネルを提供する。
【0020】
本発明の第11態様によれば、前記ガラス管の接着部分において、固形ガラスフリットを介して前記貫通穴の周囲に前記ガラス管を接着し、かつ、前記ガラス繊維部材を、前記貫通穴を設けた前記ガラス基板と前記固形ガラスフリットの間、又は、前記ガラス管と前記固形ガラスフリットの間に挟みこむことを特徴とする、第7〜9のいずれか1つの態様に記載のプラズマディスプレイパネルを提供する。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本願発明のプラズマディスプレイパネル及びその製造方法によれば、前記第1のガラス基板又は前記第2のガラス基板に設けた前記貫通穴の周囲に接着した前記ガラス管の接着部分に、ガラス繊維部材を配置することにより、乾燥ガス供給時にガラス管周辺から漏れるガスの量を可能な限り少なくすることができて、保護層表面の変質層を、パネル毎のバラツキなく簡単かつ低コストに除去でき、パネル寿命に優れたプラズマディスプレイパネルの製造方法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】本発明の第1実施形態におけるPDPの概略構成を示す斜視図
【図1B】本発明の前記第1実施形態におけるPDPの製造工程の概略構成を示すフローチャート
【図2】本発明の前記第1実施形態におけるパネルの状態を示す側面図
【図3】本発明の前記第1実施形態におけるパネル全体を示す平面図
【図4】本発明の前記第1実施形態における封着前のガラス管周辺の配置を示す断面図
【図5】本発明の前記第1実施形態における封着後のガラス管周辺の配置を示す断面図
【図6】本発明の第2実施形態における封着前のガラス管周辺の配置を示す断面図
【図7】本発明の前記第2実施形態における封着後のガラス管周辺の配置を示す断面図
【図8】従来のPDPの概略構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態にかかるPDP(プラズマディスプレイパネル)について、図1A〜図7を参照して説明する。
【0025】
まず、PDPの構成について説明する。
【0026】
例えば、3電極構造の面放電型PDPは、図1Aのように、第1のガラス基板の一例としての前面板1上に互いに平行に隣接配置された一対の表示電極52a、52bで構成されている電極対52と、電極対52の長手方向と直交するように配列されたアドレス電極53とを有する。前面板1の背面には、誘電体層54と保護層55とが設けられる。一対の表示電極52a、52bによって面放電セル(表示の主放電セル)が画定され、一方の表示電極52bとアドレス電極53とによって単位発光領域の点灯又は非点灯を選択するためのアドレス放電セルが画定される。蛍光体層56は、アドレス電極53を含めて第2のガラス基板の一例としての背面板2の内面を隔壁(リブ)10に沿って被覆するように設けられ、表示電極52a、52b間の面放電で生じた紫外線によって励起されて発光する。蛍光によって生じた光は、図1Aの表示方向に取り出され、画像表示が実現される。
【0027】
フルカラー表示を行う場合には、表示画面を構成する各画素(ドット)に対して、R(赤)、G(緑)、B(青)のいわゆる3原色の蛍光体層59R,59G,59Bが対応づけられる。蛍光体層59R,59G,59Bのそれぞれとアドレス電極53との間には、誘電体層60が設けられる(例えば、特許文献1参照)。通常、各蛍光体層59R,59G,59Bは、スクリーン印刷法を用いて、粒状の所定発光色の蛍光物質を主成分とする蛍光体ペーストを各色毎に順に塗布して焼成することにより形成される。
【0028】
図1Bは、本発明の第1実施形態における前記PDPの製造工程の概略構成を示すフローチャートである。
【0029】
このプラズマディスプレイパネルの製造方法は、
電極52と誘電体層54と保護層55とが形成された第1のガラス基板1と、電極53と誘電体層60と隔壁10と蛍光体層59R,59G,59Bとが形成された第2のガラス基板2とを準備するステップ(ステップS1〜S7)と、
前記第1又は第2のガラス基板にガラスフリット8を配置するステップ(ステップS8)と、
前記ガラスフリットの頂部と前記ガラスフリットを塗布していない方のガラス基板とが接触するように前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板とを重ね合わせるステップ(ステップS9)と、
前記第1又は第2のガラス基板に設けられた貫通穴7の近傍にガラス繊維部材9,11,12とガラス管3と固形ガラスフリット4とを配置するステップ(ステップS10)と、
前記第1又は第2のガラス基板に設けられた前記貫通穴及び前記ガラス管を経由して前記第1及び第2のガラス基板の間の空間20にガスを吹込むステップ(ステップS11)と、
前記ガラスフリットを溶融させて前記第1及び第2のガラス基板を封着するとともに前記第1又は第2のガラス基板に前記ガラス管を接着するステップ(ステップS12)と、
前記第1及び第2のガラス基板の間を排気するステップ(ステップS13)と、
前記第1及び第2のガラス基板の間に封入ガスを封入するステップ(ステップS14)とを含むものである。以下、これについて、詳細に説明する。
【0030】
まず、図1Bにおいて、第1のガラス基板の一例としての前面板1の準備ステップは、電極形成ステップS1と、誘電体層形成ステップS2と、保護層形成ステップS3との各サブステップで構成されている。
【0031】
第2のガラス基板の一例としての背面板2の準備ステップは、前面板1の準備ステップと同時に並行して行なうことができ、電極形成ステップS4と、誘電体層形成ステップS5と、隔壁形成ステップS6と、蛍光体層形成ステップS7と、外周シール用ガラスフリット塗布ステップS8との各サブステップで構成されている。
【0032】
これらの各サブステップは、よく知られたスパッタリング法、蒸着法、フォトリソグラフィー法、スクリーン印刷法、ダイコート法、又は、サンドブラスト法等の薄膜・厚膜形成技術、若しくは、微細加工技術と、乾燥・焼成等の熱プロセスとによって実現することができる。
【0033】
ここで使用する、外周シール用ガラスフリットは、PbO系、P―SnO系、又は、Bi系の低融点ガラス粉末とフィラーとを均一に混合した封着材料に、メチルセルロース、又は、ニトロセルロース等の樹脂と、α−ターピネオール、又は、酢酸アミル等の溶媒とを含有するビークルを添加して、混合攪拌してペースト状にしたものである。このペースト状のガラスフリット材料を、溶融温度まで昇温した後に降温して固化させることで、前面板1と背面板2とを封着することができる。
【0034】
このようにしてそれぞれ準備された前面板1及び背面板2を、アライメント装置内でアライメント(位置合わせ)を行った後、2枚のガラス基板1,2を四角枠状のガラスフリット8(図3参照)を介して密着させ把持する(アライメントステップS9)。
【0035】
次に、背面板2に設けられた排気用貫通穴7(図3参照)に合わせて、ガラス繊維部材の一例としての円錐状のガラス繊維濾紙9(図4参照)と、封着部材の一例としての円形枠状又は四角枠状の固形ガラスフリットリング4と、ガス吹込み治具の一例としてのガラス管3とをそれぞれ取り付ける(ステップS10)。保護層55の形成ステップとS3からこのステップS10までは、保護層55は大気に曝露されるため、保護層55の表面には変質層が形成される。
【0036】
一例として、ここで使用するガラス繊維濾紙9は、バインダーは含んでおらず、直径0.1〜1μm程度の超極細な硼珪酸塩ガラス繊維のみから作られており、厚さは0.15〜0.75mm程度、通気速度5cm/sのときの圧力損失が0.17kPa以上で、ガラス管3のフレア部分3aの内部に沿うような漏斗形状となっている。ここで、下限値を0.17kPaとしたのは、市販品の中で最も圧力損失が少なく、安価な製品のスペックから規定したものである。上限値としては、圧力損失が大きいほど、ガスが漏にくくなり、有利と考えられるため、特に規定の必要はない。
【0037】
バインダーを含まないガラス繊維を使用することで、封着時に500℃程度まで加熱しても変質しないため、一定以上の圧力損失を保持でき、不純ガスの発生もない。この第1実施形態では、超極細な硼珪酸塩ガラス繊維のみから作られたガラス繊維濾紙を使用しているが、同等の形状、圧力損出、及び、耐熱性を実現する他のガラス繊維製品を使用してもかまわない。
【0038】
また、ここで使用する、固形ガラスフリットリング4とは、前記外周シール用に用いるのと同じペースト状のガラスフリットをプレス成型用金型に充填し、円形枠状又は四角枠状にプレス成型した上で、約200〜350℃で仮焼成することによって、樹脂成分を揮発・燃焼させ、330〜430℃で焼結して作製したものである。固形ガラスフリットリング4の作製に使用する封着材料は外周シール用ガラスフリットペーストと同じで、溶融温度も同じであるが、プレス成型用金型でプレス成型を行うことで、ペースト塗布と比較して、所要形状を精度良く、作製することができる。
【0039】
次いで、ガラス管3から背面板2に設けられた貫通穴7を経由してガラスフリット8と前面板1と背面板2との間の空間(パネル内部の空間)20への窒素ガス吹込みを開始する(ステップS11)。そして、窒素ガスを吹込みながら前面板1及び背面板2を加熱炉内でガラスフリット8の溶融温度より10〜70℃程度高い温度まで加熱し、外周シール用ガラスフリット8を溶融させて、2枚のガラス基板1,2を封着する(ステップS12)。
【0040】
次に、封着された2枚のガラス基板1,2をガラスフリット8の溶融温度より10〜50℃程度低い温度に保持しながら、2枚のガラス基板1,2間を貫通穴7を利用して真空に排気する(ステップS13)。
【0041】
排気ステップが完了した後、2枚のガラス基板1,2を冷却し、ほぼ常温となった後に、2枚のガラス基板1,2の間に封入ガスの一例としてのXeとNeとの混合ガスを導入し、所定の圧力にてガスの導入を停止する(ステップS14)。
【0042】
次いで、ガラス管3を溶かしてガス封止・切断する(ステップS15)ことによりPDPが完成する。
【0043】
ここで、図2は、ガス吹込み治具(ジグ)から第1及び第2のガラス基板1,2の間のパネル内部の空間20にガスを吹込むステップS11におけるパネルの状態を示す側面図である。図2において、前面板1と背面板2とが平行に重ね合わされる。また、ガラス管3は、固形ガラスフリットリング4を介して背面板2に設けられた貫通穴7(図2では図示していない。図3参照。)に合わせて、背面板2に押し当てられる。ガラス管3のフレア部分3aには、漏斗状のガラス繊維濾紙(図2及び図3では図示していないが、図4など参照。)が配置されている。フレア部分3aとは反対側のガラス管3の先端には、配管5の先端部を構成するチャックヘッド6が接続されている。チャックヘッド6内には、図示しない水冷配管及びシール機構が配置されており、ガラス管3と配管5とが封着温度にまで昇温された場合においても、一体的に密閉構造となるよう構成されている。配管5には、ガス供給装置5A及び排気装置5Bが接続されており、ガス供給装置5Aにより窒素ガス、Xeガス、及び、Neガスがパネル内部の空間20に供給でき、又は、排気装置5Bによりパネル内部の空間20を排気できるようになっている。
【0044】
図3は、パネル全体を示す平面図である。図3において、背面板2のガラス管3が設けられる位置に貫通穴7が設けられる。ガラスフリット8は、前面板1と背面板2との間で、前面板1と背面板2とを貼り合わせた際に重なり合う部分を四角形枠状に囲うように、4辺に形成されている。
【0045】
図4は、封着前のガラス管3の周辺の配置を示す断面図である。前面板1と背面板2とは、ガラスフリット8を介して向かい合った状態である。また、ガラス管3は、その中心軸と背面板貫通穴7の中心軸とが一致するように固形ガラスフリットリング4を介して、背面板2に押し付けられており、また、ガラス管3のフレア部分3aの内部から固形ガラスフリットリング4を介して背面板2にかけての部分には、円錐状又は漏斗状に形成されたガラス繊維濾紙9が、フレア部分3aと固形ガラスフリットリング4との境界部分及び固形ガラスフリットリング4と背面板2との境界部分を覆い隠すように配置されている。これにより、ガス供給装置5Aから供給された窒素ガスは、配管5及びガラス管3を経由して、背面板貫通穴7からパネル内部の空間20に供給される。ガラス繊維濾紙9は、ガラス管3のフレア部分3aの内部から固形ガラスフリットリング4を介して背面板2にかけての部分に、フレア部分3aと固形ガラスフリットリング4との境界部分及び固形ガラスフリットリング4と背面板2との境界部分を覆い隠すように配置されることにより、ガラス管3と固形ガラスフリットリング4との隙間、及び、固形ガラスフリットリング4と背面板2との隙間から外部に漏れるガスの流動抵抗を大きくすることで、ガス漏洩を少なくすることができる。なお、ガラス繊維濾紙9を、ガラス管3のフレア部分3aの内部から固形ガラスフリットリング4にかけての部分に、フレア部分3aと固形ガラスフリットリング4との境界部分を覆い隠すように配置することにより、ガラス管3と固形ガラスフリットリング4との隙間から外部に漏れるガスの流動抵抗を大きくすることで、ガス漏洩を少なくすることもできる。
【0046】
窒素ガスのパネル内部の空間20への吹込みは、常温において開始する。そして、窒素ガスを吹込みながら前面板1及び背面板2を加熱炉内で加熱する。ガラスフリット8の溶融温度を越えると、ガラスフリット8が軟化し、ガラスフリット8と前面板1との間の隙間が徐々に埋まっていく。また、固形ガラスフリットリング4についても、ガラスフリット8と同じ材質であるため軟化し、ガラス管3と背面板2とはシール性良く接着される。そして、ガラスフリット8の溶融温度より10〜70℃程度高い温度で、数分〜十数分、パネルを保持した後、冷却することで、ガラスフリット8及び固形ガラスフリットリング4が固化し、2枚のガラス基板1,2が封着され、ガラス管3は背面板2に固定される。次に、封着された2枚のガラス基板1,2を封着時の溶融温度より10〜50℃程度低い温度に保持しながら、2枚のガラス基板1,2間のパネル内部の空間20を排気装置5Bで配管5とガラス管3と背面板貫通穴7とを介して真空に排気する。
【0047】
図5は、封着後のガラス管3の周辺の配置を示す断面図である。前面板1と背面板2とはガラスフリット8によって、ガラス管3と背面板2とは固形ガラスフリットリング4によって、それぞれ、シール性良く接着される。また、封着前にガラス管3のフレア部分3aの内部に配置されていたガラス繊維濾紙9は、固形ガラスフリットリング4によって、ガラス管3及び背面板2に部分的に接着されてパネル内部に残るが、熱等によって変質することはないので、パネルの特性に影響を与えることはない。
【0048】
吹込み時の窒素ガス流量は、ガラス管3の形状、背面板貫通穴7の大きさ、パネルの大きさ、ガラスフリット8の厚さ、及び、頂部凹凸の大きさ等によって最適値は変わってくるが、概ね0.1SLM〜10SLMの範囲である(SLMは、気体の標準状態において1分間に供給したガスの量をリットルで示す単位)。ガスの流量が少なすぎると外部の大気が混入したり、清浄化が不十分になるおそれがあり、逆に、ガスの流量が多すぎることはコスト的に不利である。
【0049】
このような第1実施形態にかかるPDPの製造方法によれば、ガラス管3の接着部分、すなわち、少なくとも、フレア部分3aと固形ガラスフリットリング4との境界部分の隙間から外部に漏れるガスの流動抵抗をガラス繊維濾紙9により大きくすることができ、ガス漏洩を少なくすることができる。この結果、保護層55の表面に窒素ガスの流れが存在する状態でガラス基板1,2が加熱され封着されるため、不純物がガスとして保護層55から脱離されて保護層55が清浄化し、結果的に不純物を含んだ変質層を除去することができる。また、ガラス管3の内部に配置されたガラス繊維濾紙9によって、ガラス管3に吹き込まれた窒素ガスの内、外部に漏れる量を常に少なく抑えることができるため、保護層表面の変質層をパネル毎にバラツキなく簡単かつ低コストに除去でき、パネル寿命に優れたプラズマディスプレイパネルの製造方法が実現できる。
【0050】
これに対して、従来の製造方法においては、以下のような種々の課題がある。保護層形成工程後から封着工程までを雰囲気制御された空間で連続して行う方法は、搬送系及び封着装置の構成が極めて複雑となり、実現は容易ではない。また、広大な空間を常時真空に保つ必要があり、多大のコストを要する。また、前面板あるいは背面板に第1及び第2のガラス管を設け、第1のガラス管からパネル内部を排気しながら第2のガラス管から乾燥ガスをパネル内部に供給する方法は、2つのガラス管が必要となるため、封着装置の構成が極めて複雑となり、実現は容易ではない。一方、ガラス管を1つとし、封着前まではこのガラス管から乾燥ガスをパネル内に供給し、封着後にガラス管から排気を行う場合も、乾燥ガス供給時にガラス管周辺から漏れるガスの量が多く、実際に一定量以上の乾燥ガスをパネル内部に供給するためには、乾燥ガスの使用量が多大となる。さらに、パネル毎のガラス管とガラス基板の設置角度の微小な違いにより、周辺に漏れる乾燥ガスの量が大きく異なるため、実際にパネル内部に供給される乾燥ガスの量にバラツキが大きくなり、パネル毎に動作電圧のバラツキが生じてしまう。また、前面板及び背面板が重ね合わせて載置された加熱炉が密閉され、加熱炉内に雰囲気ガスを導入しつつ加熱炉内のガス排出を行い、パネル封着を行う方法は、乾燥ガスの多くがパネルの外部を流れるため、ガス使用量が多大となる。さらに、加熱炉を密閉容器状の構造とする必要があり、また、高温で背面板を動かす必要があり、装置構成が極めて複雑となる。高温で背面板を動かすことは、アライメントずれの危険性を増す。
【0051】
これらの種々の課題を、すべて、前記製造方法では解決することができる。
【0052】
また、前記製造方法によれば、アライメント後はガラスフリット8の頂部と前面板1が接触した状態で加熱するため、封着時のアライメントずれが起きにくく、信頼性の高い製造方法を実現できる。
【0053】
また、前記製造方法によれば、保護層55の表面のみならず、背面板2の隔壁10又は蛍光体層59R,59G,59Bの表面にも水分又は二酸化炭素等がほとんど吸着していない状態のPDPが製造できるので、貼り合わされたPDP内部には、水分及び二酸化炭素など保護層表面を変質又は劣化させる要因となるガスがほとんど含まれることがない。その結果、PDPを長時間駆動させても、HO又はCOなどの不純ガスが放電空間21に放出されることに起因して保護層55又は蛍光体層59R,59G,59Bが変質することがほとんどなくなり、放電電圧及び輝度等の変化が少なく、パネル寿命に優れたPDPが実現できる。
【0054】
また、前記製造方法によれば、仕事関数が酸化マグネシウムよりも小さいアルカリ土類金属の酸化物(たとえば、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、又は、酸化バリウムなど)を保護層55として用いる場合においても、安定した放電特性を得ることができる。
【0055】
また、以上に述べたような方法で製造されるPDPにおいては、保護層55の表面に変質層が無く、また、背面板表面におけるガス吸着も極めて少ないため、エージングがほとんど不要か、又は、極めて短時間で済むという利点がある。具体的な例としては、品種などにもよるが、例えば、従来、エージングが2時間程度かかっていたのが、10分程度まで減少し、10分の1程度とすることができる。
【0056】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態にかかるPDPについて、図6を参照して説明する。
【0057】
図6は、本発明の第2実施形態にかかるPDPにおける、ガラス管3の周辺の配置を示す平面図である。
【0058】
前面板1と背面板2とは、ガラスフリット8を介して向かい合った状態である。また、ガラス管3は、その中心軸と背面板貫通穴7の中心軸とが一致するように固形ガラスフリットリング4を介して、背面板2に押し付けられており、ガラス管3のフレア部分3aと固形ガラスフリットリング4との間、及び、固形ガラスフリットリング4と背面板2との間には、それぞれ、ガラス繊維部材の一例としての円形又は四角形枠状の平面状ガラス繊維濾紙11、12がそれぞれ配置されている。ガラス繊維濾紙11よりは、ガラス繊維濾紙12が大きく形成されている。すなわち、ガラス繊維濾紙11は、ガラス管3のフレア部分3aと固形ガラスフリットリング4との間に配置され、かつ、ガラス繊維濾紙11の外側部分が、ガラス管3のフレア部分3aよりも外側に飛び出している。また、ガラス繊維濾紙12は、固形ガラスフリットリング4と背面板2との間に配置され、ガラス繊維濾紙12の外周部分と固形ガラスフリットリング4の外周部分とがほぼ同じ位置に位置するように配置している。フレア部分3aとは反対側のガラス管3の先端には、配管5の先端部を構成するチャックヘッド6が接続されている。チャックヘッド6内には、図示しない水冷配管及びシール機構が配置されており、ガラス管3と配管5とが封着温度にまで昇温された場合においても、一体的に密閉構造となるよう構成されている。配管5には、ガス供給装置5A及び排気装置5Bが接続されており、ガス供給装置5Aにより窒素ガス、Xeガス、及び、Neガスがパネル内部の空間20に供給でき、又は、排気装置5Bによりパネル内部の空間20を排気できるようになっている。
【0059】
一例として、ここで使用する平面状ガラス繊維濾紙11,12は、バインダーは含んでおらず、直径0.1〜1μm程度の超極細な硼珪酸塩ガラス繊維のみから作られており、厚さは0.15〜0.75mm程度、通気速度5cm/sのときの圧力損失が0.17kPa以上で、それぞれ、ガラス管3と固形ガラスフリットリング4との間、又は、固形ガラスフリットリング4と背面板2との間に挟み込むことができる寸法となっている。ここで、下限値を0.17kPaとしたのは、市販品の中で最も圧力損失が少なく、安価な製品のスペックから規定したものである。上限値としては、圧力損失が大きいほど、ガスが漏にくくなり、有利と考えられるため、特に規定の必要はない。
【0060】
バインダーを含まないガラス繊維を使用することで、封着時に500℃程度まで加熱しても変質しないため、一定以上の圧力損失を保持でき、不純ガスの発生もない。第2実施形態では、超極細な硼珪酸塩ガラス繊維のみから作られたガラス繊維濾紙を使用しているが、同等の形状、圧力損出、及び、耐熱性を実現する他のガラス繊維製品を使用してもかまわない。
【0061】
これにより、ガス供給装置5Aから供給された窒素ガスは、配管5及びガラス管3を経由して、背面板貫通穴7からパネル内部の空間20に供給される。平面状ガラス繊維濾紙11,12は、それぞれ、ガラス管3と固形ガラスフリットリング4との隙間、又は、固形ガラスフリットリング4と背面板2との隙間から外部に漏れるガスの流動抵抗を大きくすることで、ガス漏洩を少なくすることができる。また、固形ガラスフリットリング4を焼結等の方法で一体化したガラス管3を使用した場合でも、平面状ガラス繊維濾紙12は、固形ガラスフリットリング4と背面板2との間から外部に漏れるガスの流動抵抗を大きくすることで、ガス漏洩を少なくすることができる。
【0062】
図7は、封着後のガラス管3の周辺の配置を示す断面図である。前面板1と背面板2とはガラスフリット8によって、ガラス管3と背面板2とは固形ガラスフリットリング4によって、それぞれ、シール性良く接着される。また、封着前にそれぞれガラス管3と固形ガラスフリットリング4との間、又は固形ガラスフリットリング4と背面板2との間に挟み込んでいた平面状ガラス繊維濾紙11、12は、固形ガラスフリットリング4によって、ガラス管3及び背面板2に接着されてパネル内に残るが、熱等によって変質することはないので、パネルの特性に影響を与えることはない。
【0063】
前記第2実施形態によっても、前記第1実施形態の作用効果を奏することができる。また、ガラス管3とフリットリング4とをそれぞれ個別に平面状ガラス繊維濾紙11、12で挟み込んでいるので、漏れを防ぎやすく、また、ガラス繊維濾紙11、12を漏斗のような特殊な形状にする必要が無く、平面のまま使用するので、加工及び配置が比較的容易である。
【0064】
以上述べた、前記第1及び第2実施形態にかかるPDPの製造方法及び装置は、本発明の適用範囲のうちの典型例を例示したに過ぎない。
【0065】
例えば、保護層55は、典型的には酸化マグネシウムであるが、これに微量の元素(シリコン、又は、アルミニウムなど)を添加したものであってもよい。一般的には、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び、酸化バリウムのうち少なくとも1種類以上を含むことが望ましい。酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、又は、酸化バリウムを用いることにより、駆動電圧の低いPDPが実現できる。
【0066】
あるいは、保護層55が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び、酸化バリウムのうち少なくとも2種類以上の混合物からなっていてもよい。
【0067】
以上例示した、保護層55として酸化マグネシウムを用いた場合より駆動電圧の低いPDPを実現できる材料においては、特に封着工程でのガス吹込みによる清浄化の効果が大きく、本発明の有効性が顕著である。
【0068】
また、窒素ガスを吹き込みながら前面板1及び背面板2を加熱する場合を例示したが、このステップで用いるガスは、不活性ガスであることが好ましい。よって、ヘリウム、アルゴン、ネオン、又は、キセノン等の希ガスを用いても良い。前記ステップで用いるガスとしては、少なくとも、水蒸気をほとんど含まないガスである必要がある。用いるガスの水分濃度は1ppm以下がより好ましい。窒素ガスは比較的高価であるので、乾燥空気を用いることによって安価な製造工程とすることも可能である。
【0069】
また、ガラスフリットを塗布した後、アライメントの前にフリットの仮焼成を行ってもよい。あるいは、蛍光体層形成ステップにおいて、蛍光体層の焼成を経ずに、フリットの仮焼成と同時に一括で焼成することも可能である。
【0070】
また、封入ガスの一例として、2枚のガラス基板1,2の間にXeとNeとの混合ガスを封入する場合を例示したが、Xeのみを封入してもよいし、Heを混入させたものであってもよい。
【0071】
また、窒素ガスの吹込みは、常温において開始する場合を例示したが、変質層の除去に有効な温度域のみで窒素ガスを吹込むことにより、使用ガス量を低減する工夫を行ってもよい。
【0072】
なお、上記前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本願発明は、高性能で安定した特性を有する保護層を備え、高効率で長期に亘って特性の安定したPDP及びその製造方法であり、テレビ又はコンピュータ等の画像表示に用いられるディスプレイ及びその製造方法に利用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 前面板
2 背面板
3 ガラス管
3a フレア部分
4 固形ガラスフリットリング
5 配管
5A ガス供給装置
5B 排気装置
6 チャックヘッド
7 背面板貫通穴
8 ガラスフリット
9 ガラス繊維濾紙
10 隔壁(リブ)
11、12 平面状ガラス繊維濾紙
20 パネル内部の空間
21 放電空間
52 電極対
52a、52b 表示電極
53 アドレス電極
54 誘電体層
55 保護層
56 蛍光体層
59R,59G,59B 蛍光体層
60 誘電体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護層を有する第1のガラス基板と、第2のガラス基板との間に放電空間を形成するように対向配置し、
前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との周辺部を封着部材により封着し、前記第1のガラス基板又は前記第2のガラス基板に設けた貫通穴に繋がるように、前記貫通穴の周囲に前記放電空間内へのガスの封入又は排気を行うためのガラス管を接着するとともに、前記第1のガラス基板又は前記第2のガラス基板に設けた前記貫通穴の周囲に接着した前記ガラス管の接着部分に、ガラス繊維部材を配置することを特徴とする、プラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項2】
前記保護層として、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び、酸化バリウムのうち少なくとも1種類以上を含む前記保護層を使用することを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項3】
前記保護層として、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び、酸化バリウムのうち少なくとも2種類以上の混合物からなる前記保護層を使用することを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項4】
前記ガラス管の接着部分に前記ガラス繊維部材を配置するとき、前記ガラス管の内面に円錐状のガラス繊維部材を配置することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項5】
前記ガラス管を接着するとき、固形ガラスフリットを介して前記貫通穴の周囲に前記ガラス管を接着し、かつ、前記ガラス繊維部材を、前記貫通穴を設けた前記ガラス基板と前記固形ガラスフリットの間、又は、前記ガラス管と前記固形ガラスフリットの間に挟みこむことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項6】
プラズマディスプレイパネルを製造するプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
電極と誘電体層と保護層とが形成された第1のガラス基板と、電極と誘電体層と隔壁と蛍光体層とが形成された第2のガラス基板とを準備するステップと、
前記第1又は第2のガラス基板にガラスフリットを配置するステップと、
前記ガラスフリットの頂部と前記ガラスフリットを塗布していない方のガラス基板とが接触するように前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板とを重ね合わせるステップと、
前記第1又は第2のガラス基板に設けられた貫通穴の近傍にガラス繊維部材とガラス管と固形ガラスフリットとを配置するステップと、
前記第1又は第2のガラス基板に設けられた前記貫通穴及び前記ガラス管を経由して前記第1及び第2のガラス基板の間の空間にガスを吹込むステップと、
前記ガラスフリットを溶融させて前記第1及び第2のガラス基板を封着するとともに前記第1又は第2のガラス基板に前記ガラス管を接着するステップと、
前記第1及び第2のガラス基板の間を排気するステップと、
前記第1及び第2のガラス基板の間に封入ガスを封入するステップとを含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項7】
保護層を有する第1のガラス基板と、第2のガラス基板との間に放電空間を形成するように対向配置し、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との周辺部を封着部材により封着し、かつ前記第1のガラス基板又は前記第2のガラス基板に設けた貫通穴に繋がるように、前記貫通穴の周囲に前記放電空間内へのガスの封入又は排気を行うためのガラス管を接着したプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記第1のガラス基板又は前記第2のガラス基板に設けた前記貫通穴の周囲に接着した前記ガラス管の接着部分に、ガラス繊維部材を配置していることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項8】
前記保護層が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び、酸化バリウムのうち少なくとも1種類以上を含むことを特徴とする、請求項7に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項9】
前記保護層が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び、酸化バリウムのうち少なくとも2種類以上の混合物からなることを特徴とする、請求項7に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項10】
前記ガラス管の接着部分に配置された前記ガラス繊維部材は、前記ガラス管の内面に配置された円錐状のガラス繊維部材であることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1つに記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項11】
前記ガラス管の接着部分において、固形ガラスフリットを介して前記貫通穴の周囲に前記ガラス管を接着し、かつ、前記ガラス繊維部材を、前記貫通穴を設けた前記ガラス基板と前記固形ガラスフリットの間、又は、前記ガラス管と前記固形ガラスフリットの間に挟みこむことを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1つに記載のプラズマディスプレイパネル。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−238538(P2011−238538A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110710(P2010−110710)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】