説明

プラズマ銃電極間のエレクトロマイグレーションを防止するためのシステム、方法、および装置

【課題】プラズマ銃電極間のエレクトロマイグレーションを防止するためのシステム、方法、および装置の提供。
【解決手段】プラズマプルームを発生するように構成されたプラズマ銃412と、電気エネルギーを蓄積するように構成されたキャパシタ210、212と、プラズマ銃412およびキャパシタ210、212に通信結合されたトリガ回路304とを含む回路保護デバイスである。トリガ回路304は、キャパシタ210、212に第1の信号を伝送して、キャパシタ210、212に、電気エネルギーの第1の部分をプラズマ銃412へ伝送させるように構成される。トリガ回路304は、プラズマ銃412に第2の信号を伝送して、プラズマ銃412に、電気エネルギーの第1の部分を用いてプラズマプルームを発生させるようにも構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明される実施形態は、一般に回路保護デバイスに関し、より詳細には、回路保護デバイスのキャパシタバンクから複数の電極へ、蓄積された電気エネルギーの放出を起動するのに使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の電力回路および開閉器は、一般に、空気、あるいは気体または固体の誘電体などの絶縁物によって分離された導体を有する。しかし、導体が互いに接近しすぎて配置されると、あるいは、導体間の電圧が、導体間の絶縁物の絶縁特性を超過すると、アークが生じる可能性がある。例えば、導体間の絶縁物がイオン化する可能性があり、絶縁物が導電性になり、アークフラッシュが形成する恐れが生じる。
【0003】
アークフラッシュには、2つの相の導体間、1相の導体と中性の導体間、または1相の導体とアース点間の障害による、エネルギーの急速な放出が含まれる。アークフラッシュの温度は、20,000℃以上になり得て、導体および隣接した装置を気化させることがある。さらに、アークフラッシュは、熱ばかりでなく、強烈な光、圧縮波、および/または音波の形態で、導体および隣接した装置を損傷するのに十分なかなりのエネルギーを放出することがある。しかし、アークフラッシュを発生する障害電流のレベルは、一般に短絡電流のレベルより小さく、アーク障害条件を扱うように特別に設計された回路遮断器でなければ、一般に回路遮断器がトリップしないかまたはトリップするのが遅れる。
【0004】
十分に速い応答を示す別の既知の回路保護デバイスにアーク封じ込めデバイスがあり、これは、電気エネルギーをアークフラッシュ点からそらすように、封じ込められるアークを生成する。例えば、いくつかの既知のデバイスは、回路で検出された1次アークフラッシュに関連したエネルギーを放散するのに用いる、2次アークフラッシュなどのアークを発生することを含む。このようなデバイスは、2次アークフラッシュによって放出されるエネルギーを安全に封じ込めるように設計された密閉箱の中に、2次アークフラッシュを発生させるのに使用される複数の高電圧かつ高エネルギーのキャパシタを含むことが多い。これらのキャパシタは、2次アークフラッシュの形成を促進するように複数の電極間の間隙へプラズマを放出するアブレーション用のプラズマ銃に、エネルギーを供給するのに使用され得る。しかし、プラズマ銃の電極が絶えず帯電する場合、時間が経つにつれて間隙の電気的絶縁が弱まる可能性があり、それによってプラズマ銃の妨害トリガが起こり得る。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、回路保護デバイスは、プラズマプルームを発生するように構成されたプラズマ銃と、電気エネルギーを蓄積するように構成された少なくとも1つのキャパシタと、キャパシタおよびプラズマ銃に通信結合されたトリガ回路とを含む。このトリガ回路は、キャパシタに第1の信号を伝送して、キャパシタに、プラズマ銃へ電気エネルギーの第1の部分を伝送させ、また、プラズマ銃に第2の信号を伝送して、プラズマ銃に、電気エネルギーの第1の部分を用いてプラズマプルームを発生させるように構成される。
【0006】
別の態様では、プラズマ銃を有する回路保護デバイスとともに使用するコントローラが提供される。このコントローラは、プラズマ銃に電気エネルギーを供給するように構成された複数の第1のキャパシタと、プラズマ銃にパルスを伝送して、プラズマ銃に、プラズマプルームを生成させるように構成された第2のキャパシタとを含む複数のキャパシタを含む。このコントローラは、複数のキャパシタに通信結合されたトリガ回路も含む。このトリガ回路は、障害を示す信号を受け取り、複数の第1のキャパシタに、プラズマ銃へ電気エネルギーを伝送させ、第2のキャパシタに、プラズマ銃へパルスを伝送させるように構成される。
【0007】
別の態様では、プラズマ銃と、少なくとも1つの第1のキャパシタと、少なくとも1つの第2のキャパシタとを有する回路保護デバイスによってプラズマプルームの生成を起動する方法が提供される。この方法は、障害を示す信号を受け取るステップと、第1の信号を第1のキャパシタに伝送して、第1のキャパシタに、蓄積した電気エネルギーをプラズマ銃へ伝送させるステップと、第2の信号をプラズマ銃に伝送して、プラズマ銃に、電気エネルギーを用いてプラズマプルームを発生させるステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】配電装置とともに使用する例示的回路保護デバイスの斜視図である。
【図2】図1に示された回路保護デバイスとともに使用され得るコントローラの部分的分解組立図である。
【図3】図2に示されたコントローラの概略ブロック図である。
【図4】図2に示されたコントローラとともに使用され得る、例示の、電力回路、トリガ回路、および出力装置の簡易回路図である。
【図5】図2に示されたコントローラを制御するのに用いられ得る例示的方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
プラズマ銃電極間のエネルギーのエレクトロマイグレーションを防止するためのシステム、方法、および装置の例示的実施形態が、上記に説明されている。これらの実施形態は、1次アークフラッシュなどの回路障害を検出したときのみ、蓄積された電気エネルギーの第1の部分をキャパシタバンクからプラズマ銃電極へ移すのを促進する。さらに、これらの実施形態は、アブレーション用のプラズマプルームを生成するために、蓄積された電気エネルギーの第2の部分をトリガーパルスの形で第2のキャパシタに結合されたイグニションコイルからプラズマ銃電極に伝送した後にのみ、電気エネルギーを用いるのを容易にする。蓄積されたエネルギーの伝送とトリガーパルスの伝送とを分離すると、プラズマ銃の電極間の絶縁破壊防止が助長され、それによって妨害トリガの機会が低減する。
【0010】
図1は、配電装置とともに使用する例示的回路保護デバイス100の斜視図である。デバイス100は、空気または別の気体の主間隙によって分離された複数の主電極(図示せず)を含む封じ込め組立体102を含んでいる。各主電極は、別々の相、中性点、またはアースなど、電力回路の電気的に異なる部分に結合される。封じ込め組立体102は、プラズマ銃に電気的パルスを伝送することによりアブレーション用のプラズマ銃(図示せず)を作動させるトリガ回路(図示せず)も含む。プラズマ銃は、パルスに応答して、主電極間のアークの生成を促進するアブレーション用のプラズマを発する。アークは、回路を保護するために、アークフラッシュからのエネルギーを、回路のどこか他のところへそらすように生成される。さらに、封じ込め組立体102は、アークによって生成されたエネルギーを封じ込めて隔離する外側のカバー104を含む。封じ込め組立体102は、装置の密閉箱(図示せず)に挿入され得るように、小箱106に結合されるように大きさを合わせられる。さらに、デバイス100は、封じ込め組立体102に通信結合されたコントローラ108を含む。コントローラ108は、アークフラッシュを検出するように回路を監視する1つまたは複数のセンサ(図示せず)から信号を受け取る。センサは、回路の一部分を通る電流および/または回路の複数の部分にわたる電圧を監視することができる。センサは、アークフラッシュによって生成され得る光フラッシュを検出することもできる。コントローラ108は、これらの信号に応答して、封じ込め組立体102内のプラズマ銃を作動させてアークを発生させる。
【0011】
図2は、プリント回路基板(PCB)208を包含するように大きさを合わせられたハウジング206を含むコントローラ108の部分的分解組立図である。PCB 208は、電気的に結合された複数の第1のキャパシタ210および1つまたは複数の第2のキャパシタ212を含む。第1のキャパシタ210は、本明細書では活性化キャパシタと称されてもよく、封じ込めデバイス102内でアークを生成するのに使用される封じ込めデバイス102(図1に示されている)のプラズマ銃(図示せず)に電力を供給するのに使用される。第2のキャパシタ212は、本明細書ではパルスキャパシタと称されてもよく、プラズマ銃に電力が供給された後に、単巻変圧器(図示せず)によってプラズマ銃にパルス信号を供給するのに使用される。パルス信号は、プラズマ銃にアークプルームを生成させる。
【0012】
図3は、コントローラ108の概略ブロック図である。例示的実施形態では、コントローラ108は、例えば、限定する意味ではなく、電源入力コネクタ216、キャパシタの充電/放電デバイスの入力コネクタ218、継電器の入力コネクタ220、および警報入力コネクタ222を含む複数の入力コネクタ214を含んでいる。電源入力コネクタ216は、コントローラ108に給電し、プラズマ銃にエネルギーを供給するのに使用される電源(図示せず)から電力を受け取ることを容易にする。キャパシタの充電/放電デバイスの入力コネクタ218は、第1のキャパシタ210および第2のキャパシタ212(図2に示されている)を充電するためのユーザ入力、ならびに/あるいは第1のキャパシタ210および第2のキャパシタ212を放電するためのユーザ入力を受け取ることを容易にする。継電器の入力コネクタ220は、回路のアークフラッシュ検出を示す信号を受け取り、アークフラッシュエネルギーをアーク封じ込めデバイス102(図1に示されている)の中へ移すためにプラズマ銃にアークプルームを生成させることを容易にする。警報入力コネクタ222は、警報装置(図示せず)から信号を受け取る。さらに、コントローラ108は、例えば警報出力コネクタ226およびキャパシタステータス信号の出力コネクタ228を含む複数の出力コネクタ224を含んでいる。警報出力コネクタ226は、プラズマ銃がアークプルームを生成するように点火したという指標を示すことを容易にするために、警報装置に信号を伝送する。キャパシタステータス信号の出力コネクタ228は、出力装置204に結合する。
【0013】
例示的実施形態では、前述のデバイスとの通信を容易にするために、PCB 208は、入力コネクタ214および出力コネクタ224に通信結合する。さらに、PCB 208は、第1のキャパシタ210および第2のキャパシタ212に、蓄積したエネルギーをプラズマ銃へ放出させる信号を発生するのに使用される回路を含む。例示的実施形態では、PCB 208は、電源入力コネクタ216を介して電源から電力を受け取る電力回路302を含む。電力回路302は、約12ボルトの電力などの低電圧電力を、コントローラ108の集積回路、電界効果トランジスタなどの低電圧電子部品に供給する。また、電力回路302は、低電圧電力の一部分を、コントローラ108の第1のキャパシタ210および第2のキャパシタ212などの高エネルギーで高電圧の電子部品用の高電圧電力に変換する。また、電力回路302は、第1のキャパシタ210および第2のキャパシタ212の充電を促進するために、キャパシタ充電/放電デバイスの入力コネクタ218を介して入力信号を受け取り、入力信号に基づいて、第1のキャパシタ210および/または第2のキャパシタ212を充電または放電する。
【0014】
PCB 208は、プラズマ銃に通信結合されるトリガ回路304も含む。トリガ回路304は、継電器の入力コネクタ220を介して継電器オン信号を受け取り、アークフラッシュエネルギーをアーク封じ込めデバイス102の中へ移すために、プラズマ銃によるアークプルームの生成を促進する。例えば、トリガ回路304は、継電器オン信号に応答して、第1のキャパシタ210に、蓄積したエネルギーをプラズマ銃へ放出させる。さらに、トリガ回路304は、第2のキャパシタ212に、イグニションコイルが発生した高電圧パルスを用いてプラズマ銃を起動する単巻変圧器へ、電圧パルス信号を伝送させることにより、プラズマ銃に、放出されたエネルギーを用いてアークプルームを生成させる。プラズマ銃は、パルス信号に応答して、放出されたエネルギーを用いてアークプルームを生成する。
【0015】
この例示的実施形態では、PCB 208は、第1のキャパシタ210および第2のキャパシタ212の充電状態を監視するのに使用される監視回路306も含む。監視回路306は、第1の出力デバイス308、第2の出力デバイス310、および第3の出力デバイス312を含む。この例示的実施形態では、第1の出力デバイス308は、低電圧電源が利用可能であること、第1のキャパシタ210が所望の期間中に所望のレベルに充電されたこと、および第2のキャパシタ212が所望のレベルに充電されたことをオペレータに示す。第2の出力デバイス310は、第1のキャパシタ210および/または第2のキャパシタ212が放電されたことをオペレータに示す。第3の出力デバイス312は、第1のキャパシタ210および第2のキャパシタ212が充電中または放電中であること、あるいは所望の時間内で充電できなかったことをユーザに示す。
【0016】
図4は、電力回路302およびトリガ回路304の簡易回路図である。この例示的実施形態では、電力回路302は、電源入力コネクタ216を介して電力を受け取る1つまたは複数の電圧調整器402を含む。電圧調整器402は、電力を調節して、コントローラ108の低電圧の電気部品(図2に示されている)用の低電圧電力を出力する。さらに、電力回路302は、低電圧電力の一部分を、コントローラ108の第1のキャパシタ210および第2のキャパシタ212などの高電圧の電気部品用の高電圧電力に変換する電圧変換器404を含む。
【0017】
この例示的実施形態では、第1のキャパシタ210は、高電圧で高エネルギーのキャパシタのバンクを含む。第1のキャパシタ210のキャパシタバンクで使用され得る例示的キャパシタは、約450ボルト(V)で約180マイクロファラド(μF)の静電容量を有するキャパシタを含む。しかし、静電容量定格が約180μFより大きかろうと小さかろうと、また、動作電圧が約450Vより高かろうと低かろうと、あらゆる適切な高電圧で高エネルギーのキャパシタが第1のキャパシタ210の中で使用され得ることを理解されたい。この例示的実施形態では、第2のキャパシタ212は、単一の高電圧キャパシタである。第2のキャパシタ212として使用され得る例示的キャパシタは、約450Vで約47μFの静電容量を有するものである。しかし、静電容量定格が約47μFより大きかろうと小さかろうと、また、動作電圧が約450Vより高かろうと低かろうと、あらゆる適切な高電圧で高エネルギーのキャパシタが第2のキャパシタ212の中で使用され得ることを理解されたい。
【0018】
この例示的実施形態では、トリガ回路304には、回路上の1次アークフラッシュなどの障害を検出して、この障害を示す信号を、継電器の入力コネクタ220を介してトリガ回路304に伝送する検出器(図示せず)が結合されている。トリガ回路304は、第1の論理デバイス406および第2の論理デバイス408を含む。この例示的実施形態では、第1論理デバイス406および第2の論理デバイス408は、第1のキャパシタ210および/または第2のキャパシタ212からプラズマプルームを発生するのに使用されるプラズマ銃電極410への電気エネルギーマイグレーションの防止を促進するシリコン制御整流器である。より具体的には、第1の論理デバイス406および第2の論理デバイス408は、1次アークフラッシュなどのアーク事象の期間中起動される半導体スイッチとして使用される。第1の論理デバイス406は、第1のキャパシタ210およびプラズマ銃412に通信結合される。同様に、第2の論理デバイス408は、第2のキャパシタ212およびプラズマ銃412に通信結合される。また、第1の論理デバイス406がオフ状態のとき、第1の論理デバイス406からの漏れによってプラズマ銃412に高電圧が蓄積されないように、トリガ回路304はブリードオフデバイス414を含む。例示的ブリードオフデバイス414は、トリガ回路304内に設置されている抵抗416およびMOSFETトランジスタなどのトランジスタ418を含む。例示的実施形態では、抵抗416およびトランジスタ418は、時間が経つにつれてプラズマ銃電極410間に電圧が蓄積されるのを実質的に防止する。このような電圧が蓄積されると、プラズマ銃電極410間の空隙が劣化することがあり、回路保護デバイス100の妨害点火をもたらす恐れがある。代替実施形態では、ブリードオフデバイス414は、NPN−PNPのバイポーラ接合トランジスタ、および/またはPチャンネル−NチャンネルMOSFETなどのトランジスタの様々な構成を含む。
【0019】
タイマデバイス420が、検出回路および第2の論理デバイス408に通信結合される。タイマデバイス420は、検出回路から第2の論理デバイス408へのアーク事象検出信号の伝送を遅らせる。例えば、検出回路が、第1の論理デバイス406に検出信号を伝送し、タイマデバイス420が、第2の論理デバイス408への検出信号の伝送を、約8マイクロ秒などのあらかじめ選択された期間だけ遅らせる。より具体的には、検出回路は、検出デバイスおよび第1の論理デバイス406に通信結合されている第1のパルストランス422に検出信号を伝送する。同様に、タイマデバイス420は、タイマデバイス420および第2の論理デバイス408に通信結合されている第2のパルストランス424に検出信号を伝送する。第1の論理デバイス406の出力は、プラズマ銃電極410から第1の論理デバイス406へ逆電流が流れるのを防止する少なくとも1つの阻止ダイオード426に通信結合される。さらに、第2の論理デバイス408の出力は、高電圧パルス信号を発生するイグニションコイル428に通信結合され、同パルス信号により、プラズマ銃412は、第1のキャパシタ210によってプラズマ銃412に放出されるかまたは伝送される電気エネルギーを用いてプラズマプルームを発生する。イグニションコイル428の出力は、プラズマ銃電極410からイグニションコイル428および/または第2の論理デバイス408へ逆電流が流れるのを防止する阻止ダイオード426に通信結合される。
【0020】
図5は例示的方法を示す流れ図500である。より具体的には、流れ図500は、トリガ回路304およびプラズマ銃412(どちらも図4に示されている)を使用してプラズマプルームの生成を起動する例示的方法を示す。この例示的実施形態では、検出回路(図示せず)は、ステップ502で、1次アークフラッシュなどの回路上の障害を検出する。トリガ回路304は、ステップ504で、障害を示す信号を検出回路から受け取る。例えば、第1のパルストランス422および第2のパルストランス424(どちらも図4に示されている)は、それぞれ検出回路から同信号を受け取る。しかし、タイマデバイス420は、信号が第1のパルストランス422に伝送された後、第2のパルストランス424への信号の伝送をあらかじめ選択された期間だけ遅らせる。
【0021】
この例示的実施形態では、トリガ回路304は、ステップ506で、第1のキャパシタ210(図3に示されている)に第1の信号を伝送して、第1のキャパシタ210に、蓄積した電気エネルギーをプラズマ銃412へ伝送させる。例えば、第1のパルストランス422は、検出回路から第1の信号を受け取り、第1の論理デバイス406(図4に示されている)に第1の信号を伝送する。第1の論理デバイス406は、第1の信号に応答して作動し、第1のキャパシタ210に蓄積された電気エネルギーの少なくとも一部分のプラズマ銃電極410(図4に示されている)への放出を可能にする。第1のキャパシタ210によって放出された電気エネルギーは、本明細書では、第1のキャパシタ210および第2のキャパシタ212に蓄積された電気エネルギーの累積的な量の第1の部分とも称され得る。
【0022】
さらに、この例示的実施形態では、トリガ回路304は、ステップ508で、第2の信号をプラズマ銃412に伝送して、ステップ510で、プラズマ銃412に、第1のキャパシタ210によって放出された電気エネルギーを用いてプラズマプルームを発生させる。例えば、タイマデバイス420は、検出回路から信号を受け取り、あらかじめ選択された期間の後に第2のパルストランス424に信号を伝送する。第1のキャパシタ210によって蓄積された電気エネルギーは、あらかじめ選択された期間にプラズマ銃電極410へ伝送され得る。第2のパルストランス424は、タイマデバイス420から信号を受け取り、第2の論理デバイス408(図4に示されている)へ第2の信号を伝送する。第2の論理デバイス408は、第2の信号に応答して作動し、第2のキャパシタ212(図4に示されている)に蓄積された電気エネルギーの、少なくとも一部分のイグニションコイル428(図4に示されている)への放出を可能にする。イグニションコイル428は、この電気エネルギーを用いて高エネルギーのパルス信号を発生し、このパルス信号をプラズマ銃電極410に伝送する。このパルス信号により、プラズマ銃電極412は、アークフラッシュエネルギーをアーク封じ込めデバイス102(図1に示されている)の中へ移すプラズマプルームを発生する。第2のキャパシタ212によって放出された電気エネルギーは、本明細書では、第1のキャパシタ210および第2のキャパシタ212に蓄積された電気エネルギーの累積的な量の第2の部分とも称され得る。
【0023】
回路保護デバイス内でプラズマプルームの生成を起動するためのシステム、方法、および装置の例示的実施形態は、上記で詳細に説明されている。本明細書で説明されたシステム、方法、および装置は、特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、方法の動作ならびに/あるいはシステムおよび/または装置の構成要素は、本明細書で説明された他の動作および/または構成要素から独立して別個に利用されてよい。さらに、説明された動作および/または構成要素は、他のシステム、方法、および/または装置の中で定義されるか、あるいはこれらと組み合わせて使用されてもよく、また、本明細書で説明されたようなシステム、方法、および記憶媒体だけを用いる実施に限定されない。
【0024】
本発明は、例示的回路保護システムに関連して説明されているが、本発明の実施形態は、多数の他の汎用または特別目的の回路保護システムまたは構成で使用することができる。本明細書に説明された回路保護システムは、本発明のあらゆる態様の用途または機能の範囲に関して、いかなる限度も示唆するようには意図されていない。さらに、本明細書に説明された回路保護システムは、例示的動作環境で示された構成要素のいかなる1つまたは組合せに関連する依存性または要件もないものと解釈されたい。
【0025】
本明細書に示され説明された本発明の実施形態の動作の実行または遂行の順序は、特別の定めのない限り必須ではない。すなわち、動作は、特別の定めのない限り、いかなる順序で遂行されてもよく、本発明の実施形態は、本明細書に開示されたものより、追加の動作またはより少数の動作を含んでよい。例えば、特定の動作を、別の動作の、以前に、同時に、もしくは後に、実行するかまたは遂行することは、本発明の態様の範囲内にあるように企図されている。
【0026】
本発明の態様または実施形態の要素を導入するとき、冠詞「ある」、「1つの」、「この」、および「前記」は、その要素の1つまたは複数を意味するように意図される。用語「備える」、「含む」、および「有する」は、包括的であるように意図され、列挙された要素以外にさらなる要素があり得ることを意味する。
【0027】
この書かれた説明は、最善の様式を含めて本発明を開示するために、また、あらゆる当業者が、あらゆるデバイスまたはシステムを製作し用いることならびにあらゆる具体化された方法を実行すること含めて本発明を実施することも可能にするために、実施例を用いる。本発明が特許権を受けられる範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に想起される他の実施例を含み得る。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文字どおりの言葉と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字どおりの言葉との実質のない相違点を有する同等な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲に入るように意図されている。
【符号の説明】
【0028】
100 回路保護デバイス
102 封じ込め組立体
104 外側のカバー
106 小箱
108 コントローラ
204 出力デバイス
206 ハウジング
208 プリント回路基板
210 第1のキャパシタ
212 第2のキャパシタ
214 入力コネクタ
216 電源入力コネクタ
218 キャパシタの充電/放電デバイスの入力コネクタ
220 継電器の入力コネクタ
222 警報入力コネクタ
224 出力コネクタ
226 警報出力コネクタ
228 キャパシタステータス信号の出力コネクタ
302 電力回路
304 トリガ回路
306 監視回路
308 第1の出力デバイス
310 第2の出力デバイス
312 第3の出力デバイス
402 電圧調整器
404 電圧変換器
406 第1の論理デバイス
408 第2の論理デバイス
410 プラズマ銃電極
412 プラズマ銃
414 ブリードオフデバイス
416 抵抗
418 トランジスタ
420 タイマデバイス
422 第1のパルストランス
424 第2のパルストランス
426 阻止ダイオード
428 イグニションコイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマプルームを発生するように構成されたプラズマ銃(412)と、
電気エネルギーを蓄積するように構成された少なくとも1つのキャパシタ(210、212)と、
前記プラズマ銃(412)および前記少なくとも1つのキャパシタ(210、212)に通信結合されたトリガ回路(304)であって、
第1の信号を前記少なくとも1つのキャパシタ(210、212)に伝送して、前記少なくとも1つのキャパシタ(210、212)に、前記電気エネルギーの第1の部分を前記プラズマ銃(412)へ伝送させ、また、
前記プラズマ銃(412)に第2の信号を伝送して、前記プラズマ銃(412)に、前記電気エネルギーの前記第1の部分を用いて前記プラズマプルームを発生させるように構成されるトリガ回路(304)とを備える回路保護デバイス(100)。
【請求項2】
前記プラズマ銃(412)が複数の電極(410)を備え、前記少なくとも1つのキャパシタ(210、212)が、前記電気エネルギーの前記第1の部分を前記複数の電極(410)に伝送するように構成された少なくとも1つの第1のキャパシタ(210)を備える請求項1記載の回路保護デバイス(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのキャパシタ(210、212)が、前記電気エネルギーの第2の部分を蓄積し前記第2の信号を前記複数の電極(410)に伝送するように構成された第2のキャパシタ(212)をさらに備え、前記複数の電極(410)が、前記第2の信号に応答して、前記電気エネルギーを用いて前記プラズマプルームを発生するように構成される請求項2記載の回路保護デバイス(100)。
【請求項4】
前記トリガ回路(304)が、イグニションコイル(428)を備え、前記イグニションコイル(428)は、前記少なくとも1つのキャパシタ(210、212)に通信結合され、前記電気エネルギーの第2の部分を用いて前記第2の信号をパルスとして前記プラズマ銃(412)に伝送するように構成される請求項1記載の回路保護デバイス(100)。
【請求項5】
前記トリガ回路(304)が、前記電気エネルギーの前記第1の部分が前記プラズマ銃(412)に伝送された後に、あらかじめ選択された期間にわたって前記第2の信号の伝送を遅らせるように構成されたタイマ(420)を備える請求項1記載の回路保護デバイス(100)。
【請求項6】
前記トリガ回路(304)が、前記少なくとも1つのキャパシタ(210、212)に通信結合された少なくとも1つのパルストランス(422、424)を備え、前記少なくとも1つのパルストランス(422、424)は、
障害を示す信号を受け取り、
前記第1の信号を前記少なくとも1つのキャパシタ(210、212)に伝送して、前記少なくとも1つのキャパシタ(210、212)に、前記電気エネルギーの第1の部分を前記プラズマ銃(412)へ伝送させ、
前記第2の信号を前記プラズマ銃(412)に伝送するように構成される請求項1記載の回路保護デバイス(100)。
【請求項7】
前記トリガ回路(304)が、前記少なくとも1つのキャパシタ(210、212)および前記少なくとも1つのパルストランス(422、424)に通信結合された少なくとも1つの論理デバイス(406、408)をさらに備え、前記少なくとも1つの論理デバイス(406、408)は、
前記少なくとも1つのパルストランス(422、424)から前記第1の信号および前記第2の信号を受け取り、
前記第1の信号を前記少なくとも1つのキャパシタ(210、212)に伝送して、前記少なくとも1つのキャパシタ(210、212)に、前記電気エネルギーの第1の部分を前記プラズマ銃(412)へ伝送させ、
前記第2の信号を前記プラズマ銃(412)に伝送するように構成される請求項6記載の回路保護デバイス(100)。
【請求項8】
前記トリガ回路(304)が、前記少なくとも1つのキャパシタ(210、212)と前記少なくとも1つのパルストランス(422、424)とに通信結合されたブリードオフデバイス(414)をさらに備え、前記ブリードオフデバイス(414)は、前記電気エネルギーが前記第1の信号の伝送に先立って前記プラズマ銃(412)に伝送されるのを防止するように構成される請求項6記載の回路保護デバイス(100)。
【請求項9】
プラズマ銃(412)を有する回路保護デバイス(100)とともに使用するコントローラ(108)であって、
複数のキャパシタであって、
前記プラズマ銃(412)に電気エネルギーを供給するように構成された複数の第1のキャパシタ(210)と、
前記プラズマ銃(412)にパルスを伝送して、前記プラズマ銃(412)にプラズマプルームを生成させるように構成された第2のキャパシタ(212)とを含む複数のキャパシタと、
前記複数のキャパシタに通信結合されたトリガ回路(304)であって、
障害を示す信号を受け取り、
前記複数の第1のキャパシタ(210)に、前記電気エネルギーを前記プラズマ銃(412)へ伝送させ、
前記第2のキャパシタ(212)に、前記パルスを前記プラズマ銃(412)へ伝送させるように構成されたトリガ回路(304)とを備えるコントローラ(108)。
【請求項10】
前記トリガ回路(304)が、前記複数の第1のキャパシタ(210)および検出回路に通信結合された第1のパルストランス(422)を備え、前記第1のパルストランス(422)は、前記検出回路から前記障害を示す信号を受け取り、第1の信号を前記複数の第1のキャパシタ(210)へ伝送して、前記電気エネルギーを前記プラズマ銃(412)へ伝送するように構成される請求項9記載のコントローラ(108)。
【請求項11】
前記トリガ回路(304)が、前記第2のキャパシタ(212)および前記検出回路に通信結合された第2のパルストランス(424)をさらに備え、前記第2のパルストランス(424)は、前記検出回路から前記障害を示す信号を受け取り、前記第2のキャパシタ(212)に第2の信号を伝送して、前記プラズマ銃(412)に前記パルスを伝送するように構成される請求項10記載のコントローラ(108)。
【請求項12】
前記トリガ回路(304)が、前記第2のパルストランス(424)に通信結合されたタイマ(420)をさらに備え、前記タイマ(420)は、前記障害を示す信号を前記検出回路から受け取り、前記第1のパルストランス(422)が前記第1の信号を伝送してからあらかじめ選択された期間の後に、前記第2のパルストランス(424)に前記第2の信号を伝送するように構成される請求項11記載のコントローラ(108)。
【請求項13】
前記トリガ回路(304)が、
前記複数の第1のキャパシタ(210)と前記第1のパルストランス(422)とに通信結合された第1の論理デバイス(406)であって、前記第1のパルストランス(422)から前記第1の信号を受け取り、前記複数の第1のキャパシタ(210)に、前記電気エネルギーを前記プラズマ銃(412)へ伝送させるように構成された第1の論理デバイス(406)と、
前記第2のキャパシタ(212)と前記第2のパルストランス(424)とに通信結合された第2の論理デバイス(408)であって、前記第2のパルストランス(424)から前記第2の信号を受け取り、前記パルスを前記プラズマ銃(412)へ伝送するように構成された第2の論理デバイス(408)とをさらに備える請求項11記載のコントローラ(108)。
【請求項14】
前記トリガ回路(304)が、イグニションコイル(428)を備え、前記イグニションコイル(428)は、前記第2のキャパシタ(212)に通信結合され、前記第2のキャパシタ(212)によって蓄積された電気エネルギーを用いて前記パルスを生成するように構成される請求項9記載のコントローラ(108)。
【請求項15】
前記トリガ回路(304)が、前記プラズマ銃(412)から前記複数のキャパシタへの電流の流れを防止するように構成された少なくとも1つの阻止ダイオード(426)を備える請求項9記載のコントローラ(108)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−142279(P2012−142279A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−280731(P2011−280731)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)