説明

プラッシュ織物の製造に用いる編機

【課題】プラッシュ織物の製造に用いる編機の提供。
【解決手段】本発明は、プラッシュ織物を製造するのに用いる編機、特に毛足長さが12mmに達するプラッシュ編機を提供することである。プラッシュ織物の製造に用いる編機は、シリンダー(Cylinder)に配置する一種ベラなしシリンダーニードル、針床(needle dial)に水平配置されるベラ針、及びカッティングユニット一つを包括する。その中で、針床の寸法を変更する方式で、針床フリンジとシリンダーニードルとの距離を増加する。また、その中で、プラッシュ糸はベラなしシリンダーニードルのフック針部にループを形成した後、針床に配置するベラ針でプラッシュ糸を輪にして引っ張り、長めのループを形成し、最後にカッティングユニットでループカットして、長めの毛足を持つプラッシュ織物を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は丸編機に関するもので、特に長い毛足を製造することができる、プラッシュ編機の一種である。
【背景技術】
【0002】
プラッシュ織物を製造する編機は、フェイクファー編機とも称される。丸編機を利用してプラッシュ織物を製造する技術は以前から熟知されており、例えば、すでに認可公告されている特許文献1は、主にシリンダーに設置されるベラ針、及び針床に水平に設置される複数のシンカー(Sinker)の相互運用を利用して、プラッシュ糸をシンカーの前端に掛けて、長めのループを形成するものである。
また別に認可公告されたアメリカの特許文献2、特許文献3、及びすでに許可された特許文献4は、基本的に全て、シリンダー上に設置されるベラなしシリンダーニードル、針床(needle dial)に排列されるベラ針、及びカッティングユニットの三者の相互運用を利用して作るプラッシュ織物である。その中で、ループはベラなしシリンダーニードルのフック針で形成され、シリンダーニードルのフック針に掛かったループを、シリンダーニードルの両側をスライドする布押さえシンカー、及び前端にブレードを持つシンカーの二つを利用し、ループカットしてプラッシュとする。
【0003】
【特許文献1】米国特許第6735987号明細書
【特許文献2】米国特許第6128930号明細書
【特許文献3】米国特許第6094944号明細書
【特許文献4】米国特許第5463882号明細書
【0004】
前記二件のすでに周知された特許文献2及び特許文献4では、その毛足長さは、シリンダーニードルのフック針から、針床フリンジ部までの距離により決定される。一般的に、これらの技術により製造され完成されるプラッシュ織物の毛足長さはおおよそ3mmであり、この種の毛足の織物をフェイクファーとして使用したり、ぬいぐるみ玩具のファー生地として用いる場合、たった3mm長の毛足では、本物そっくりの効果を達成することは難しい。毛足長さを増加するには、前記のシリンダーニードルのフック針から、針床フリンジ部までの距離を増加する必要がある。シリンダーの直径を増加することで実現しようとすると、シリンダーの外周を囲んで、ブレードを載せるシンカーリング(sinker ring)の直径も増加する必要がある。しかし、シンカーリングの直径を増加すると、その上面のブレードとシリンダーニードルとの相対位置、及び寸法も変更することになり、甚だしきに至っては、ブレードとシリンダーニードルとの隙間が大きくなり過ぎ、ループカットしてプラッシュとすることができなくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主要目的は、プラッシュ織物を製造するのに用いる編機、特に毛足長さが12mmに達するプラッシュ編機を提供することである。
【0006】
本発明に基づく比較的よい実施例の中で、プラッシュ織物の製造に用いる編機は、シリンダー(Cylinder)に配置する一種ベラなしシリンダーニードル、針床(needle dial)に水平配置されるベラ針、及びカッティングユニット一つを包括する。その中で、針床の寸法を変更する方式で、針床フリンジとシリンダーニードルとの距離を増加する。また、その中で、プラッシュ糸はベラなしシリンダーニードルのフック針部にループを形成した後、針床に配置するベラ針でプラッシュ糸を輪にして引っ張り、長めのループを形成し、最後にカッティングユニットでループカットして、長めの毛足を持つプラッシュ織物を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、プラッシュ織物(plush fabric)の製造に用いる編機、それはシリンダー(cylinder)に排列するベラなしシリンダーニードルと、針床(needle dial)に排列するベラ針、及びカッティングユニットを包括し、その中、プラッシュ糸は、ベラなしシリンダーニードルのフック針部に掛けられた後、その針床に配置されるベラ針により、そのプラッシュ糸が引っ張られ、長めのループとなり、最後にカッティングユニットでそのループをカットして、長めの毛足を持つプラッシュ織物の一種を形成し、
その特徴は、その針床のフリンジと、そのシリンダーニードルのフック針との距離を10〜15mmとし、そのプラッシュ糸を長めのループに形成させることを特徴とするプラッシュ織物(plush fabric)の製造に用いる編機としている。
請求項2の発明は、請求項1記載のプラッシュ織物(plush fabric)の製造に用いる編機において、ループをカットして作るプラッシュの長さが12mmであることを特徴とするプラッシュ織物(plush fabric)の製造に用いる編機としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明はプラッシュ織物を製造するのに用いる編機、特に毛足長さが12mmに達するプラッシュ編機を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
まず図1は、プラッシュ織物(plush fabric)を製造する丸編機(circular knitting machine)のニッティングユニット(Knitting Unit)である。すなわち、糸を織物に転換する部分で、本発明に基づく比較的よい実施例は以下のものを包括する。
シリンダー(Cylinder) 10に排列されるベラなしシリンダーニードル11、針床(needle dial) 20に排列されるベラ針(latch needle) 21、及びカッティングユニット(cutting unit) 30。カッティングユニット30は2個一組のシンカー31、32(図2参照)、及びカム(cam) 33を包括し、シンカー31、32はカム33と連動すると同時に、シリンダーニードル11の両側をそれぞれスライドする。その内、シンカー31一つはブレード310を持ち、ブレード310はシリンダーニードル11がスライドする時、プラッシュ糸40の形成するループ41をカットして、長い毛足(図3参照)を作る。
【0010】
本発明に基づく比較的よい実施例では、針床20の寸法を変更する方式で、針床のフリンジ22とシリンダーニードル11のフック針112との距離Dを10〜15mmまで増加し、フック針112部に掛るプラッシュ糸40を、ベラ針21で引っ張って長めのループ41を形成し、最後にカッティングユニット30でループ41をカットし、毛足長さがおおよそ12mm長に達するプラッシュ織物の一種を形成する。
【0011】
そのプラッシュ製造過程は、図4〜図7に示す通りである。まず、プラッシュ糸(plush thread) 40をシリンダーニードルの前端110と、ベラ針のフック(hook) 210との間に入れ、地糸(ground thread) 50はシリンダーニードルの後端111と、針床のフリンジ22との間(図4参照)に入れる。ベラ針21が図5の左方に向かって移動して針を引き込む時、同時にシリンダーニードル11が上昇を開始し、フック針112はプラッシュ糸40を編む込む高度まで上昇する。プラッシュ糸40はベラ針のフック210で引っ張られ、シリンダーニードル11のフック針112に掛ってループ41を形成する。ベラ針21は針の引き込みを継続し、且つ地糸50を針に掛けると共に斜辺23に移動すると、斜辺23に誘導され、徐々にフック210の下方へ近づく。続いて地糸50はプラッシュ糸40の下方(図6参照)まで移動し、その後、シリンダーニードル11は上昇し、フック針112を利用してループ41を引き締める。シリンダーニードル11とベラ針21の相互作用により、プラッシュ糸40が形成するループ41は直接、地糸(ground thread) 50が構成する編地組織中に編み込まれ、最後にブレード310を利用して、ループ41(図7参照)をカットし、長い毛足を有するプラッシュ織物を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の比較的よい実施例の構造を表す。
【図2】本発明のカッティングユニットの比較的よい実施例の構造を表す。
【図3】カッティングユニットがループをカットし、プラッシュを形成する情形を表示する。
【図4】本発明の比較的よい実施例の構造に基づく、プラッシュ織物を製造する動作の流れを表示する。
【図5】本発明の比較的よい実施例の構造に基づく、プラッシュ織物を製造する動作の流れを表示する。
【図6】本発明の比較的よい実施例の構造に基づく、プラッシュ織物を製造する動作の流れを表示する。
【図7】本発明の比較的よい実施例の構造に基づく、プラッシュ織物を製造する動作の流れを表示する。
【符号の説明】
【0013】
10 シリンダー
11 シリンダーニードル
20 針床
21 ベラ針
30 カッティングユニット
31、32 シンカー
33 カム
310 ブレード
40 プラッシュ糸
41 ループ
22 針床のフリンジ
112 フック針
110 シリンダーニードルの前端
210 ベラ針のフック
50 地糸
111 シリンダーニードルの後端
23 斜辺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラッシュ織物(plush fabric)の製造に用いる編機、それはシリンダー(cylinder)に排列するベラなしシリンダーニードルと、針床(needle dial)に排列するベラ針、及びカッティングユニットを包括し、その中、プラッシュ糸は、ベラなしシリンダーニードルのフック針部に掛けられた後、その針床に配置されるベラ針により、そのプラッシュ糸が引っ張られ、長めのループとなり、最後にカッティングユニットでそのループをカットして、長めの毛足を持つプラッシュ織物の一種を形成し、
その特徴は、その針床のフリンジと、そのシリンダーニードルのフック針との距離を10〜15mmとし、そのプラッシュ糸を長めのループに形成させることを特徴とするプラッシュ織物(plush fabric)の製造に用いる編機。
【請求項2】
請求項1記載のプラッシュ織物(plush fabric)の製造に用いる編機において、ループをカットして作るプラッシュの長さが12mmであることを特徴とするプラッシュ織物(plush fabric)の製造に用いる編機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−146320(P2007−146320A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341431(P2005−341431)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(393010101)佰龍機械廠股▲ふん▼有限公司 (33)
【Fターム(参考)】