プランター付き収納家具
【課題】 複雑な構成を必要とせず、本体上部のプランターで植物の育成又は観賞が行えるとともに、本体の収納部では物品の収納が可能であって、意匠面においても優れるプランター付き収納家具を提供することにある。
【解決手段】 プランター3は、上部開口を有する有底容器状をなすとともに、上部開口の周縁に前後左右方向へ突出するフランジ5を備え、容器状をなす内部に例えばハーブ等の植物Hとその保持又は育成のための被収容媒体、例えば培土E1や鉢E2が収容される。本体2は、そのプランター3のフランジ5を着座させる上部開口端面6を有し、上側部分において、その容器状のプランター3の全体を没入させる4角筒状の形態をなす。プランター3の底部7より下側の空間が所定の物品を収納する収納部8とされ、その収納部8に対する物品の収納及び取出しのための開口が開閉扉9で開閉される。
【解決手段】 プランター3は、上部開口を有する有底容器状をなすとともに、上部開口の周縁に前後左右方向へ突出するフランジ5を備え、容器状をなす内部に例えばハーブ等の植物Hとその保持又は育成のための被収容媒体、例えば培土E1や鉢E2が収容される。本体2は、そのプランター3のフランジ5を着座させる上部開口端面6を有し、上側部分において、その容器状のプランター3の全体を没入させる4角筒状の形態をなす。プランター3の底部7より下側の空間が所定の物品を収納する収納部8とされ、その収納部8に対する物品の収納及び取出しのための開口が開閉扉9で開閉される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
プランターを支持する本体が、物品を収納する収納部を備えるプランター付き収納家具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1の植物観賞ユニットは、室内で植物を観賞する事を目的に、鉢をライトアップする照明装置を備えるとともに、内蔵された循環型の潅水装置によって植物が最適に管理されるものである。その循環型の潅水装置は、鉢底に設置したエアーダクトを通してセラミック土壌に酸素を供給することで根腐れを防止し、エアー導入パイプによって作り出された水溜りと給水リボンによる水の吸上げのシステムによって酸素と水の同時供給を可能にしている。
【0003】
また、下記特許文献2の植物育成装置は、日光が届かない室内でも植物を育成させるため、赤色光及び青色光を用いたLED光源によって光合成をさせるものである。また、土壌を収容した土台を設け、その土台を含む全体を覆うように透明筒状体を設けて、これに通気孔や水を散布するためのシャワー部等を備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3126366号公報
【特許文献2】特開2004−113160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の植物観賞ユニットでは、循環型の潅水装置によって植物が最適に管理されるものの内部の構成が複雑になるので、導入するためのコストが高くなることは避け得ない。また装置の高い維持費やメンテナンスも必要になり、一般家庭に設置して気軽に植物の育成や観賞を楽しむことは難しい。
【0006】
さらに、特許文献2の植物育成装置も、LED光源やシャワー部による植物の育成に特化した装置であり、透明筒状体に覆われているので育成装置としての意味合いが強く、意匠面は決して優れているとは言えない。よって、植物を観賞するため室内に設置するには不向きである。
【0007】
本発明の課題は、複雑な構成を必要とせず、本体上部のプランターで植物の育成又は観賞が行えるとともに、本体の収納部では物品の収納が可能であって、意匠面においても優れるプランター付き収納家具を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のプランター付き収納家具は、
上部開口を有する有底容器状をなすとともに、上部開口の周縁に側方へ突出するフランジを備え、容器状をなす内部に植物とその保持又は育成のための被収容媒体が収容されるプランターと、
そのプランターの前記フランジを着座させる上部開口端面を有し、上側部分においてその容器状のプランターの全体を没入させる筒状ないし箱状の形態をなし、前記プランターの底部より下側の空間が所定の物品を収納する収納部とされ、その収納部に対する物品の収納及び取出しのための開口が前板によって開放又は閉鎖状態とされる本体と、を備え、
前記プランターが前記本体の上側部分に没入してその本体の上部開口端面に着座する前記フランジのみが外部に現れ、かつそのフランジの平面的外形、本体の横断面外形が互いに対応する形状とされたことを特徴とする。
【0009】
上記プランター付き収納家具は、プランターの上部開口の周縁に、側方へ突出するフランジを備えており、本体の上部は、そのフランジを着座させる上部開口端面を有するため、筒状ないし箱状の本体にプランターを没入させても、プランターは本体に対して確実に固定される。また、プランターの没入時には、フランジの平面的外形及び、本体の横断面外形が互いに対応する形状とされるので、外観がすっきりとしたシンプルな形態とすることができ、本体とプランターとがあたかも一体となった印象を与えて意匠面においても優れる。
【0010】
また、本体において、プランターの底部より下側の空間が収納部となっており、例えば、キッチン等に設置した場合、調理器具等の物品を収納することができる。さらに、その収納部の開口は、前板で開放又は閉鎖状態とされるように構成されているので、収納部に物品を収納した後、閉鎖状態とすれば物品は外部から視認されることがない。
【0011】
また、本発明は、前記本体の上部開口端面を形成する上端外周部が、その本体の横断面外形に対して相似的に縮小された外形の帯状部分とされて、その帯状部分と前記本体の上部外周との境界に環状の肩面が形成され、前記プランターのフランジが前記本体の前記上端外周部の上部開口端面に着座するとき、そのフランジが前記本体の縮小された外形の帯状部分から側方へ突出して前記本体の肩面に対向することにより、それらフランジと肩面との間に前記帯状部分を溝底とする環状溝を形成し、この環状溝は前記フランジに指を掛け、前記プランターを前記本体から取り出すことができるスリットとされる構成としてもよい。
【0012】
このようにすれば、プランターを取り出し後、持ち上げて移動させることもできるので、被収容媒体や植物の入れ替えが容易に行え、また、屋内に設置した場合、プランターのみを屋外に持ち出して、植物を太陽光に当てることができたり、プランターを洗浄することも可能である。また、前板を例えば開閉扉とした場合、そのスリットに使用者の指を入れて、開閉扉を開放させることができる。
【0013】
また、本発明は、前記本体の上部開口端面に前記フランジが着座する前記プランターの上部開口に対し、一定の間隔をおいて対向して前記プランターで保持される植物に照明又は育成のための光を照射する光照射部が設けられ、この光照射部は前記プランターの上部開口面積を被い得る面状の発光部と、その面状の発光部を支持する支持基板部とを備え、その支持基板部の平面的外形は前記プランターの平面的外形と同一又は相似形とされ、その支持基板が前記本体又は他部材に固定される構成としてもよい。
【0014】
このようにすれば、本発明を室内で使用する際、光照射部によって、植物観賞のためのライトアップをさせることができる一方、日光が届かない室内であっても、植物を育成することができる。さらに、光照射部が備える支持基板部の平面的外形は、プランターの平面的外形と同一又は相似形とされるため、光照射部のために余計なスペースを確保する必要がなく、限られた少ないスペースでも設置することができるとともに、全体の一体感が向上し、意匠的な効果を得ることができる。
【0015】
また、本発明は、前記光照射部の支持基板部を前記本体に固定するために、前記本体の少なくとも上端後部から上方に延び、その支持基板部の後端部に連結されたステーを備え、前記光照射部はそのステーによって前記本体に固定され、正面視において前記光照射部と前記プランターのフランジとが平行に対向し、それら光照射部とプランターのフランジとの間に少なくとも前方及び左右に開放された空間が生じる構成としてもよい。
【0016】
これによれば、光照射部とプランターのフランジとの間に少なくとも前方及び左右に開放された空間が生じるので、その空間を利用してプランターの取り出しが容易に行える。また、プランターを本体に没入させたままでも、プランター内の植物に対して給水や、例えば植物がハーブ等の葉類であれば収穫(採取)といった栽培作業が行いやすくなる。
【0017】
また、本発明は、前記プランターの上部開口に対向する前記光照射部の支持基板部と、前記本体の背面に沿って上下方向にその本体の下端付近まで延びるステーとが、側面視で全体として逆L字状のスタンドを構成し、このスタンドが前記ステーにおいて前記本体の後部に固定されることにより、前記光照射部が前記プランターの上部開口から浮き上がった状態で支持される構成としてもよい。
【0018】
これによれば、本体の設置スペースを大幅に増やすことなく、光照射部を備えることができ、その光照射部がプランターの上部開口から浮き上がった状態で支持されるため、植物に対して効率良く光を照射させて、育成効果の向上を図ることができる。
【0019】
また、本発明は、前記本体の下端を着座させるとともに、その本体を床面から浮き上がらせて支持する脚部を備えるように構成してもよい。
【0020】
このようにすれば、脚部によって本体を床面から浮き上がらせることができるので、床面のごみ等が本体に付着しにくく、また本体下方の清掃が行い易い。さらに、脚部を移動可能なキャスターとすれば、自由に設置場所を変更できる。
【0021】
また、本発明は、前記プランターの上部開口に対向する前記光照射部の支持基板部と、前記本体の後面に沿って上下方向に前記脚部まで延びるステーと、そのステーの下端から前方に向かって直角に延びる下部延長部とが、側面視で全体としてコの字状のスタンドを構成し、このスタンドが前記ステーにおいて本体に固定され、かつ前記下部延長部において前記脚部の内側面に固定されることにより、前記光照射部が前記プランターの上部開口から浮き上がった状態で支持される構成としてもよい。
【0022】
このようにすれば、スタンドがステーと下部延長部とで本体に固定されるのでより確実に固定される。また、下部延長部は、脚部の内側面に隠れるので、外形をよりシンプルに見せることができ、意匠的な美感も向上する。
【0023】
また、本発明は、前記プランター付き収納家具が、単数ないし複数組み込まれる設置空間を備えた、より大きな複合収納家具の該設置空間に組み込まれ、その組込み状態で前記プランターの上部開口と、前記複合収納家具の該設置空間の上限を区画する下向きの空間下面との間には一定の間隔が確保され、その複合収納家具の空間下面に、前記プランターの上部開口と平行に前記光照射部が設けられ、この光照射部は前記プランターの上部開口面積を被い得る面状の発光部と、その面状の発光部を支持する前記支持板部とを備え、その支持基板部が前記複合収納家具の空間下面に固定されている構成としてもよい。
【0024】
これによれば、本発明は、より大きな複合収納家具と組み合わせることができるので、使用者の用途に合わせて自由度の高い設置が可能になる。また、その組み込み状態では、プランターの上部開口と、複合収納家具の該設置空間の上限を区画する下向きの空間下面との間には一定の間隔が確保されるので、プランターの取り出しや、給水、収穫といった栽培作業が容易に行える。また、光照射部の支持基板部が複合収納家具の空間下面に固定されるので、植物に対して効率よく光を照射することができ、育成効果が高まる。
【0025】
また、本発明は、前記プランターのフランジの平面的外形、前記本体の横断面外形及び前記脚部の平面的外形が互いに対応する形状とされ、かつ、前記本体の下端面直近の下端外周部が、前記本体の横断面外形に対して相似的に縮小された外形の帯状部分とされて、その帯状部分と前記本体の下部外周との境界に環状の下側肩面が形成され、前記本体の下端が前記脚部に着座するとき、その脚部と前記下側肩面との間に前記帯状部分を溝底とする環状溝又は部分的な環が生じる構成としてもよい。
【0026】
このようにすれば、脚部が設けられたとしても、この環状溝によって、本体を浮き上がらせるような印象を使用者に与えることができ、また、シンプルな外形上のアクセントとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のプランター付き収納家具の斜視図。
【図2】図1の(a)正面図、(b)右側面図、(c)平面図、(d)底面図。
【図3】図2(c)のA−A断面図。
【図4】図1のプランター付き収納家具に設けられた開閉扉の開放状態を示す斜視図。
【図5】図1の分解斜視図。
【図6】(a)本発明のプランター付き収納家具の使用状態を示す右側面図。(b)(a)の培土を鉢に変更した例を示す右側面図。
【図7】光照射部を備えたプランター付き収納家具の斜視図。
【図8】図7の(a)正面図、(b)右側面図、(c)平面図、(d)底面図。
【図9】図8(a)のB−B断面図及びそのC−C部分拡大図。
【図10】図8(c)のD−D断面図及びそのE−E部分拡大図。
【図11】図7のプランター付き収納家具とスタンドの分解斜視図。
【図12】光照射部を備えたプランター付き収納家具の使用状態を示す右側面図。
【図13】複合収納家具に組み込まれたプランター付き収納家具の斜視図。
【図14】図13の(a)正面図、(b)右側面図、(c)平面図、(d)底面図。
【図15】図14(a)のF−F断面図及びそのG−G部分拡大図。
【図16】光照射部の取り付け状態を示す分解斜視図。
【図17】プランターを前方に取り出す例を示す斜視図。
【図18】収納部に引出しを備える例を示す斜視図。
【図19】脚部をキャスターに変更した例を示す斜視図。
【図20】脚部を設けない例を示す斜視図。
【図21】プランターの代わりに天板を使用する例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施例1)
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明のプランター付き収納家具1の斜視図である。図2は、図1の(a)正面図、(b)右側面図、(c)平面図、(d)底面図をそれぞれ示している。図3は、図2(c)のA−A断面図。図4は、図1のプランター付き収納家具に設けられた開閉扉9の開放状態を示す斜視図。図5は、図1の分解斜視図である。図6(a)は、本発明のプランター付き収納家具の使用状態を示す右側面図。図6(b)は、(a)の培土E1を鉢E2に変更した例を示す右側面図を示している。
【0029】
図1〜図6に示すように、プランター付き収納家具1は、本体2と、プランター3と、脚部4とで構成される。プランター3は、上部開口を有する有底容器状をなすとともに、上部開口の周縁に前後左右方向へ突出するフランジ5を備え、容器状をなす内部に例えばハーブ等の植物Hとその保持又は育成のための被収容媒体、例えば培土E1が収容される(図6参照)。本体2は、そのプランター3のフランジ5を着座させる上部開口端面6(図5参照)を有し、上側部分においてその容器状のプランター3の全体を没入させるため、4角筒状の形態をなしている。本体2は、使用者が立って使い易いよう約90cm程度とされる(脚部を含めると約110cm程度)。本体2において、プランター3の底部7より下側の空間が所定の物品を収納する収納部8とされ、その収納部8に対する物品の収納及び取出しのための開口が前板を兼ねる開閉扉9で開閉される。脚部4は、本体2の下端(本体下面12)を着座させるとともに、その本体2を床面から浮き上がらせて支持する。
【0030】
図5に示すように、より具体的には、脚部4は、薄板のフレームが連続的に繋がって、全体が一体成形された例えば高さ約15cm程度の架台とされている。脚部4の底面には、高さ調節のためのアジャスタ19が設けられる(図2も参照)。また、脚部4の上部には、本体2の横断面外形である4角形状に対し、相似的に縮小された形状であって、上方に突設された四角枠状の脚部内枠10が設けられる。この脚部内枠10の四隅に内接するように、本体取付部11がそれぞれ形成される。そして、本体2の下端である本体下面12が、脚部内枠10及び本体取付部11の上面に着座する。この状態で、本体下面12及びそれぞれの本体取付部11に対して、例えばナゲシねじ等のビス13が上方から挿通されることにより、本体2と脚部4とが固定される。
【0031】
なお、本体2と脚部4が固定された後、脚部内枠10の外側面には、薄板状の化粧プレート20がそれぞれ貼着される。これにより、意匠的な美感を向上させることができる。
【0032】
本体2は、例えば表面がステンレス等の金属であり、基材がチップボード等の木材からなる4角筒状の形態をなしている。本体2の前面側は、収納部8に対する物品の収納及び取り出しのための開口となっており、本体2の左内側面の前方縁には、ヒンジ14が高さ方向へ直線状に例えば3つ取り付けられ、本体2の前板を兼ねる開閉扉9がこのヒンジ14によって開閉自在とされている。
【0033】
また、収納部8には、例えば木板からなる棚板15が3枚と、その棚板15を支持する棚板固定部材16が取り付けられる(特に図3参照)。これにより、収納部8の収納スペースを無駄なく有効的に利用することができる。なお、棚板15は、棚板固定部材16と、本体2の左内側面に高さ方向へ直線状に形成された複数の固定孔17とによって、取り付け位置を適宜調整できる。
【0034】
また、本体2は、プランター3が本体2の上側部分に没入、すなわち上方から取り付けられた際、その本体2の上部開口端面6に着座するフランジ5のみが外部に現れ、かつそのフランジ3の平面的外形である4角形状と、本体2の横断面外形である4角形状とが互いに対応する形状とされている。
【0035】
さらに、本体2の上部開口端面6を形成する上端外周部22が、その本体2の横断面外形である4角形状に対して相似的に縮小された外形の帯状部分とされて、その帯状部分と本体2の上部外周との境界に環状の肩面26が形成される。そして、プランター3のフランジ5が本体2の上部開口端面6に着座するとき、そのフランジ5が本体2の縮小された外形の帯状部分から側方へ突出して本体2の肩面26に対向することにより、それらフランジ5と肩面26との間に帯状部分を溝底とする環状溝であるスリット、すなわち上部スリット23が生じる。この上部スリット23に、使用者の指を入れてフランジ5に指を掛け、プランター3を本体2の上方へ取り出すことができる(図5参照)。また、上部スリット23によって、肩面26を兼ねる開閉扉9上面の扉上面部39に指を乗せて、開閉扉9を手前に開放させることができる(図4参照)。
【0036】
また、プランター3のフランジ5の平面的外形、本体2の横断面外形である4角形状及び脚部4の平面的外形である4角形状が互いに対応する形状とされ、かつ、本体2の下端面直近の下端外周部25が、本体2の横断面外形に対して相似的に縮小された外形の帯状部分とされる。その帯状部分と本体2の下部外周との境界に環状の下側肩面27が形成され、本体2の下端が脚部4に着座するとき、その脚部4と下側肩面27との間に帯状部分を溝底とする環状溝又は部分的な環が生じる。この環状溝が下部スリット24とされて、この下部スリット24を意匠面においてシンプルな外形上のアクセントとすることができる。また、脚部4が設けられても、本体2を浮き上がらせるような印象を使用者に与える。
【0037】
なお、本体2の前面側上部には、前面プレート18が設けられている。これにより、プランター3が本体2に取り付けられた際、例えば図4のように開閉扉9を開放状態としても、プランター3のフランジ5以外の部分が露出することがない。よって、例えば培土E1や植物Hが収容されるプランター3を意識することなく、使用者は収納部8を利用することができ、収納家具としての機能を十分に満たし、使用者の満足度が増す。
【0038】
図6に示すように、プランター付き収納家具1は、高さが例えば110cm程度であって上方に延びる縦長の形態とされるため、従来の床に置く低いプランター付き収納家具とは使用方法が大きく異なる。つまり、プランター付き収納家具1は、上記のような高さ設定とされるため、使用者が立ったまま使用することができ、例えば、植物H(ハーブ等)が摘み取り易く、培土E1の入れ替えや給水等の栽培作業も容易に行える。また、プランター3の位置も従来のものに比べ高い位置に取り付けられるため、ソファーやテーブルが室内に存在しても、それらに植物が隠れることなく、観賞を楽しむことができる。
【0039】
なお、被収容媒体として培土E1を用いる例を説明したが、図6(b)に示すように、例えば植物を植えるための鉢E2を使用することも可能であり、その場合は、プランター3の中に鉢E2を複数収容されるようにしてもよい。
【0040】
(実施例2)
以下、別の実施例の形態を図面を参照しつつ説明する。図7は、光照射部40を備えたプランター付き収納家具1の斜視図。図8は、図7の(a)正面図、(b)右側面図、(c)平面図、(d)底面図をそれぞれ示している。図9は、図8(a)のB−B断面図及びそのC−C部分拡大図。図10は、図8(c)のD−D断面図及びそのE−E部分拡大図。図11は、図7のプランター付き収納家具1とスタンド44の分解斜視図である。図12は、光照射部40を備えたプランター付き収納家具1の使用状態を示す右側面図である。
【0041】
図7〜11に示す、プランター付き収納家具1は、光照射部40を備えており、実施例1と共通する部分については共通の符号を付して説明を省略し、実施例1との相違点のみ説明する。
【0042】
まず、概略として図7〜10に示すように、本体2の上部開口端面6にフランジ5が着座するプランター3の上部開口に対し、一定の間隔をおいて対向してプランター3で保持される植物Hに、照明又は育成のため周知のLED(発光ダイオード)30を用いて光を照射する箱状の光照射部40が設けられる。この光照射部40は、プランター3の上部開口面積を被い得る4角面状の発光部41と、その4角面状の発光部41を支持する支持基板部42とを備える。光照射部40の詳細については後で説明する。支持基板部42の平面的外形は、プランター3の平面的外形である4角形状と同一とされ、その支持基板部42が、ステー43に固定される。
【0043】
ステー43は、光照射部40の支持基板部42を本体2に固定するために、本体2の上端後部から上方に延び、その支持基板部42の後端部に連結されている。光照射部40は、そのステー43によって本体2に固定され、正面視において光照射部40とプランター3のフランジ5とが平行に対向し、それら光照射部40とプランター3のフランジ5との間が、例えば約40cm程度確保される。これにより、前方及び左右に開放された空間である栽培空間Sが生じる。
【0044】
図11に示すように、より具体的には、プランター3の上部開口に対向する光照射部40の支持基板部42と、本体2の背面に沿って上下方向に脚部4まで延びる2本のステー43、43とが、側面視で全体として逆L字状の例えばステンレス製のスタンド44を構成する。このスタンド44がステー43、43において本体2の後部に固定されることにより、光照射部40がプランター3の上部開口から浮き上がった状態で支持されて栽培空間Sを形成する。
【0045】
図12に示すように、光照射部40が設けられていても、栽培空間Sによって、例えばプランター3の取り外し・取り付けが容易となったり、ハーブ等の植物Hの摘み取り、培土E1や鉢E2の入れ替え、給水等、様々な栽培作業の効率を高めることができる。また、ステー43は、支持基板部42の後端部に設けられても前端部には設けられないので、開放感を与えるといった意匠的な効果も期待できる。
【0046】
図11に戻り、スタンド44の2本のステー43、43の下端には、そこから前方に向かって直角に延びる下部延長部とされる薄板状のステー取付部45、45がそれぞれ形成されている。これにより、ステー取付部45と、ステー43と、支持基板部42とが、側面視で全体としてコの字状のスタンド44として構成されている。そのステー取付部45、45には、ステー挿通孔46がそれぞれ設けられている。そして、スタンド44を本体2に固定する際、ステー取付部45、45が脚部4の内方に進入し、ステー取付部45の外側面は、脚部4の内側面と当接する。この状態で、ステー挿通孔46と脚部4に形成された脚部挿通孔47を介して、例えばトラス小ねじ等のビス48によって固定され、光照射部40がプランター3の上部開口から浮き上がった状態で支持される。
【0047】
さらに、ステー43は、本体2の上部スリット23に固定金具49を用いて、例えばバインドタッピンねじ等のビス50により固定される。このようにすれば、固定するための部材が少なくても、スタンド44を本体2へ確実に固定することができる。また、ステー取付部45は、脚部4の内方に隠れるため、プランター付き収納家具1における外観上の美感を損なうことがない。
【0048】
光照射部40について詳しく説明する。図9、10に特に示されるように、光照射部40は箱状の形態をなしており、その下面に四角面状の発光部41が設けられる。その発光部41は、青色光及び赤色光を主成分とする例えば200個以上の非常に多数のLED30群で構成される。周知のとおり、青色光及び赤色光の混合光源は、植物の育成に適しており、太陽光が当たりにくい室内でも光合成をさせることができる。よって、例えばキッチンやリビングにこのプランター付き収納家具1を設置しても植物の育成を行うことができ、また、光源はLED30であるから発熱が少なく、植物Hへのダメージも少ない。
【0049】
また、光照射部40は、上記のような植物Hの育成のために使用されるだけに限定されず、例えば、植物Hに対する観賞のためのライトアップとしても使用することができる。
【0050】
また、発光部41に設けられたLED30群の点灯・消灯の切り替えを行う電源スイッチ53が発光部41の前面側に設けられる。さらに、図11に示すように、光照射部40の電圧100Vの電源コード51は、ステー43の内方を伝ってステー43の下端より引き出され、設置場所の例えば壁面等のコンセントに接続されて光照射部40に電力が供給される。
【0051】
以上の実施例1及び2のプランター付き収納家具1は、単独でも複数でも実施することができ、複数実施する場合は互いに近接させて並べて実施する。これにより、プランター3や収納部8を複数使用することができたり、意匠性を重視して自由なレイアウトを楽しむことができる。
【0052】
(実施例3)
以下、さらに別の実施例の形態を図面を参照しつつ説明する。図13は、複合収納家具60に組み込まれたプランター付き収納家具1の斜視図。図14は、図13の(a)正面図、(b)右側面図、(c)平面図、(d)底面図をそれぞれ示している。図15は、図14(a)のF−F断面図及びそのG−G部分拡大図。図16は、光照射部40の取り付け状態を示す分解斜視図である。
【0053】
図13〜16に示す、プランター付き収納家具1は、複合収納家具60に組み込まれており、実施例1及び2と共通する部分については共通の符号を付して説明を省略し、実施例1及び2との相違点のみ説明する。
【0054】
まず、概略として図13〜16に示すように、プランター3を支持する本体2及びその本体2を支持する脚部4を含むプランター付き収納家具1が、組み込まれる設置空間Tを備えた、より大きな複合収納家具60の設置空間Tに組み込まれる。その組込み状態でプランター3の上部開口と、複合収納家具60の設置空間Tの上限を区画する下向きの空間下面との間には一定の間隔として、30cm〜100cmの範囲で設定可能とされ、例えば約40cm程度が確保され、その複合収納家具60の空間下面に、プランター3の上部開口と平行に光照射部40が設けられる。この光照射部40はプランター3の上部開口面積を被い得る四角面状の発光部41と、その四角面状の発光部41を支持する支持基板部42とを備え、その支持基板部42が複合収納家具60の空間下面に固定されている。
【0055】
図13、14に示すように、より具体的には、複合収納家具60は、例えばカップボードや棚等の多種多様な収納家具が集められた家具ユニットである。本実施例の複合収納家具60は、その上段や中段に、例えば前面に開閉式の扉を有する収納家具61と、下段に引出しを有する収納家具62とで構成されている。
【0056】
また、複合収納家具60の脚部63は、プランター付き収納家具1の脚部4と同一の高さとされ、その形態もプランター付き収納家具1の脚部4と、左右方向においてのみ長さが異なるものの、同じく薄板のフレームが連続的に繋がって、全体が一体成形された架台とされている。
【0057】
プランター付き収納家具1が組み込まれる設置空間Tは、複合収納家具60の中央に設けられる。その設置空間Tは、複合収納家具60上段の開閉式の扉を有する収納家具61の下面から床面までであり、高さは例えば約160cm程度とされている。そして、その設置空間Tにプランター付き収納家具1が例えば2つ並列に組み込まれる。
【0058】
複合収納家具60は、平面視で、プランター付き収納家具1の奥行き方向の長さと同一とされている。よって、設置空間Tにプランター付き収納家具1が組み込まれても、プランター付き収納家具1を含む複合収納家具60全体のシルエットは、凹凸が少なく統一感のあるスマートな印象を使用者に与えることができる。
【0059】
図16に示すように、光照射部40は、複合収納家具60上段の開閉式の扉を有する収納家具61の下面に設けられる。光照射部40は、プランター3の上部開口と平行になっている。光照射部40の取り付け時は、例えば照明カバー等の箱状の支持基板部42が例えばバインドタッピンねじ等のビス68によって取り付けられる。そして、青色光及び赤色光を主成分とする多数のLED30群で構成される四角面状の発光部41が、支持基板部42の内方に形成された発光部取付スペース55へ収まるように、下方から上方に向かって組み合わされ、同じくビス69によって取り付けられる。なお、光照射部40は、必ずしもプランター3の上部開口と平行に設ける必要はなく、植物Hの位置に合わせて例えば、傾斜させて設置することも可能である。
【0060】
また、発光部41に設けられたLED30群の点灯・消灯の切り替えを行う電源スイッチ53が発光部41の前面側に設けられる。さらに、光照射部40の電源コード51は、複合収納家具60より引き出され、設置場所の例えば壁面等のコンセントに接続されて光照射部40に電力が供給される。
【0061】
以上で説明したプランター付き収納家具1の変形例を説明する。なお、以下で説明する変形例は、光照射部40やスタンド44の有無に関係なく適用できるものとする。
【0062】
図17に示すように、プランター付き収納家具1は、プランター3を上方に取り出すだけではなく、前方へ取り出すように構成することもできる。その場合は、本体2に前面プレート18が設けられないで、開閉扉9を開放状態として、上部スリット23に使用者の指を入れ、フランジ5を持ちながらプランター3を前方へ取り出す。
【0063】
また、収納部8は棚板15が取り付けられて、本体2の開閉扉9によって開閉される例を説明したが、図18に示すように、収納部8に棚板15や開閉扉9が設けられず、代わりに引出しレール81によって前後方向へ引き出し可能な引出し80が、本体2に備えられるように構成することもできる。この場合、引出し80によって収納部8が利用可能になり、物品の収納や取り出しが行える。このようにすれば、収納部8の後方側(奥側)に物品を収納しても前方に引き出されるので、物品を取り出し易い。なお、引出し80は前面側に前板90が設けられ、本体2における前板を兼ねる。
【0064】
以上の全ての実施例では、薄板のフレームが連続的に繋がった脚部4が、本体2に対して架台とされている例を説明したが、図19に示すように、この脚部4を移動可能な周知のキャスター70に変更して実施してもよい。このようにすれば、プランター付き収納家具1は移動可能となって、例えばキッチン、リビング、窓際等に設置可能となるため使用者の自由度が増す。
【0065】
図20に示すように、プランター付き収納家具1は、脚部4やキャスター70を設けることなく本体2を直接床等に設置させることもできる。このようにすれば、脚部4が設けられない分、省コスト化を図ることができる。
【0066】
図21に示すように、プランター3を使用しない場合は、代わりに板状の天板82を本体2の上部へ取り付けることができる。このようにすれば、例えばキッチンにプランター付き収納家具1を設置するのであれば、調理器具や皿等、また花瓶等も天板82上に置くことができ、作業台を兼ねる収納家具として使用することができる。その際も、天板82の周縁に前後左右方向へ突出するフランジ5が上部開口端面6に着座し、フランジ5の平面的外形と本体2の横断面外形が対応する。
【0067】
また、以上の全ての実施例では、プランター付き収納家具1を、使用者の身長に合わせて、高さ75cm〜120cmの範囲で適宜設定することが可能である。このようにすれば、立ったままでプランターを使用することができる。
【0068】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 プランター付き収納家具
2 本体
3 プランター
4 脚部
5 フランジ
6 上部開口端面
7 底部
8 収納部
9 開閉扉(前板)
22 上端外周部
23 上部スリット(環状溝;スリット)
24 下部スリット
25 下端外周部
26 肩面
27 下側肩面
39 扉上面部(肩面)
40 光照射部
41 発光部
42 支持基板部
43 ステー
44 スタンド
45 ステー取付部(下部延長部)
60 複合収納家具
H 植物
E1 培土(被収容媒体)
E2 鉢(被収容媒体)
S 栽培空間(前方及び左右に開放された空間)
T 設置空間
【技術分野】
【0001】
プランターを支持する本体が、物品を収納する収納部を備えるプランター付き収納家具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1の植物観賞ユニットは、室内で植物を観賞する事を目的に、鉢をライトアップする照明装置を備えるとともに、内蔵された循環型の潅水装置によって植物が最適に管理されるものである。その循環型の潅水装置は、鉢底に設置したエアーダクトを通してセラミック土壌に酸素を供給することで根腐れを防止し、エアー導入パイプによって作り出された水溜りと給水リボンによる水の吸上げのシステムによって酸素と水の同時供給を可能にしている。
【0003】
また、下記特許文献2の植物育成装置は、日光が届かない室内でも植物を育成させるため、赤色光及び青色光を用いたLED光源によって光合成をさせるものである。また、土壌を収容した土台を設け、その土台を含む全体を覆うように透明筒状体を設けて、これに通気孔や水を散布するためのシャワー部等を備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3126366号公報
【特許文献2】特開2004−113160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の植物観賞ユニットでは、循環型の潅水装置によって植物が最適に管理されるものの内部の構成が複雑になるので、導入するためのコストが高くなることは避け得ない。また装置の高い維持費やメンテナンスも必要になり、一般家庭に設置して気軽に植物の育成や観賞を楽しむことは難しい。
【0006】
さらに、特許文献2の植物育成装置も、LED光源やシャワー部による植物の育成に特化した装置であり、透明筒状体に覆われているので育成装置としての意味合いが強く、意匠面は決して優れているとは言えない。よって、植物を観賞するため室内に設置するには不向きである。
【0007】
本発明の課題は、複雑な構成を必要とせず、本体上部のプランターで植物の育成又は観賞が行えるとともに、本体の収納部では物品の収納が可能であって、意匠面においても優れるプランター付き収納家具を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のプランター付き収納家具は、
上部開口を有する有底容器状をなすとともに、上部開口の周縁に側方へ突出するフランジを備え、容器状をなす内部に植物とその保持又は育成のための被収容媒体が収容されるプランターと、
そのプランターの前記フランジを着座させる上部開口端面を有し、上側部分においてその容器状のプランターの全体を没入させる筒状ないし箱状の形態をなし、前記プランターの底部より下側の空間が所定の物品を収納する収納部とされ、その収納部に対する物品の収納及び取出しのための開口が前板によって開放又は閉鎖状態とされる本体と、を備え、
前記プランターが前記本体の上側部分に没入してその本体の上部開口端面に着座する前記フランジのみが外部に現れ、かつそのフランジの平面的外形、本体の横断面外形が互いに対応する形状とされたことを特徴とする。
【0009】
上記プランター付き収納家具は、プランターの上部開口の周縁に、側方へ突出するフランジを備えており、本体の上部は、そのフランジを着座させる上部開口端面を有するため、筒状ないし箱状の本体にプランターを没入させても、プランターは本体に対して確実に固定される。また、プランターの没入時には、フランジの平面的外形及び、本体の横断面外形が互いに対応する形状とされるので、外観がすっきりとしたシンプルな形態とすることができ、本体とプランターとがあたかも一体となった印象を与えて意匠面においても優れる。
【0010】
また、本体において、プランターの底部より下側の空間が収納部となっており、例えば、キッチン等に設置した場合、調理器具等の物品を収納することができる。さらに、その収納部の開口は、前板で開放又は閉鎖状態とされるように構成されているので、収納部に物品を収納した後、閉鎖状態とすれば物品は外部から視認されることがない。
【0011】
また、本発明は、前記本体の上部開口端面を形成する上端外周部が、その本体の横断面外形に対して相似的に縮小された外形の帯状部分とされて、その帯状部分と前記本体の上部外周との境界に環状の肩面が形成され、前記プランターのフランジが前記本体の前記上端外周部の上部開口端面に着座するとき、そのフランジが前記本体の縮小された外形の帯状部分から側方へ突出して前記本体の肩面に対向することにより、それらフランジと肩面との間に前記帯状部分を溝底とする環状溝を形成し、この環状溝は前記フランジに指を掛け、前記プランターを前記本体から取り出すことができるスリットとされる構成としてもよい。
【0012】
このようにすれば、プランターを取り出し後、持ち上げて移動させることもできるので、被収容媒体や植物の入れ替えが容易に行え、また、屋内に設置した場合、プランターのみを屋外に持ち出して、植物を太陽光に当てることができたり、プランターを洗浄することも可能である。また、前板を例えば開閉扉とした場合、そのスリットに使用者の指を入れて、開閉扉を開放させることができる。
【0013】
また、本発明は、前記本体の上部開口端面に前記フランジが着座する前記プランターの上部開口に対し、一定の間隔をおいて対向して前記プランターで保持される植物に照明又は育成のための光を照射する光照射部が設けられ、この光照射部は前記プランターの上部開口面積を被い得る面状の発光部と、その面状の発光部を支持する支持基板部とを備え、その支持基板部の平面的外形は前記プランターの平面的外形と同一又は相似形とされ、その支持基板が前記本体又は他部材に固定される構成としてもよい。
【0014】
このようにすれば、本発明を室内で使用する際、光照射部によって、植物観賞のためのライトアップをさせることができる一方、日光が届かない室内であっても、植物を育成することができる。さらに、光照射部が備える支持基板部の平面的外形は、プランターの平面的外形と同一又は相似形とされるため、光照射部のために余計なスペースを確保する必要がなく、限られた少ないスペースでも設置することができるとともに、全体の一体感が向上し、意匠的な効果を得ることができる。
【0015】
また、本発明は、前記光照射部の支持基板部を前記本体に固定するために、前記本体の少なくとも上端後部から上方に延び、その支持基板部の後端部に連結されたステーを備え、前記光照射部はそのステーによって前記本体に固定され、正面視において前記光照射部と前記プランターのフランジとが平行に対向し、それら光照射部とプランターのフランジとの間に少なくとも前方及び左右に開放された空間が生じる構成としてもよい。
【0016】
これによれば、光照射部とプランターのフランジとの間に少なくとも前方及び左右に開放された空間が生じるので、その空間を利用してプランターの取り出しが容易に行える。また、プランターを本体に没入させたままでも、プランター内の植物に対して給水や、例えば植物がハーブ等の葉類であれば収穫(採取)といった栽培作業が行いやすくなる。
【0017】
また、本発明は、前記プランターの上部開口に対向する前記光照射部の支持基板部と、前記本体の背面に沿って上下方向にその本体の下端付近まで延びるステーとが、側面視で全体として逆L字状のスタンドを構成し、このスタンドが前記ステーにおいて前記本体の後部に固定されることにより、前記光照射部が前記プランターの上部開口から浮き上がった状態で支持される構成としてもよい。
【0018】
これによれば、本体の設置スペースを大幅に増やすことなく、光照射部を備えることができ、その光照射部がプランターの上部開口から浮き上がった状態で支持されるため、植物に対して効率良く光を照射させて、育成効果の向上を図ることができる。
【0019】
また、本発明は、前記本体の下端を着座させるとともに、その本体を床面から浮き上がらせて支持する脚部を備えるように構成してもよい。
【0020】
このようにすれば、脚部によって本体を床面から浮き上がらせることができるので、床面のごみ等が本体に付着しにくく、また本体下方の清掃が行い易い。さらに、脚部を移動可能なキャスターとすれば、自由に設置場所を変更できる。
【0021】
また、本発明は、前記プランターの上部開口に対向する前記光照射部の支持基板部と、前記本体の後面に沿って上下方向に前記脚部まで延びるステーと、そのステーの下端から前方に向かって直角に延びる下部延長部とが、側面視で全体としてコの字状のスタンドを構成し、このスタンドが前記ステーにおいて本体に固定され、かつ前記下部延長部において前記脚部の内側面に固定されることにより、前記光照射部が前記プランターの上部開口から浮き上がった状態で支持される構成としてもよい。
【0022】
このようにすれば、スタンドがステーと下部延長部とで本体に固定されるのでより確実に固定される。また、下部延長部は、脚部の内側面に隠れるので、外形をよりシンプルに見せることができ、意匠的な美感も向上する。
【0023】
また、本発明は、前記プランター付き収納家具が、単数ないし複数組み込まれる設置空間を備えた、より大きな複合収納家具の該設置空間に組み込まれ、その組込み状態で前記プランターの上部開口と、前記複合収納家具の該設置空間の上限を区画する下向きの空間下面との間には一定の間隔が確保され、その複合収納家具の空間下面に、前記プランターの上部開口と平行に前記光照射部が設けられ、この光照射部は前記プランターの上部開口面積を被い得る面状の発光部と、その面状の発光部を支持する前記支持板部とを備え、その支持基板部が前記複合収納家具の空間下面に固定されている構成としてもよい。
【0024】
これによれば、本発明は、より大きな複合収納家具と組み合わせることができるので、使用者の用途に合わせて自由度の高い設置が可能になる。また、その組み込み状態では、プランターの上部開口と、複合収納家具の該設置空間の上限を区画する下向きの空間下面との間には一定の間隔が確保されるので、プランターの取り出しや、給水、収穫といった栽培作業が容易に行える。また、光照射部の支持基板部が複合収納家具の空間下面に固定されるので、植物に対して効率よく光を照射することができ、育成効果が高まる。
【0025】
また、本発明は、前記プランターのフランジの平面的外形、前記本体の横断面外形及び前記脚部の平面的外形が互いに対応する形状とされ、かつ、前記本体の下端面直近の下端外周部が、前記本体の横断面外形に対して相似的に縮小された外形の帯状部分とされて、その帯状部分と前記本体の下部外周との境界に環状の下側肩面が形成され、前記本体の下端が前記脚部に着座するとき、その脚部と前記下側肩面との間に前記帯状部分を溝底とする環状溝又は部分的な環が生じる構成としてもよい。
【0026】
このようにすれば、脚部が設けられたとしても、この環状溝によって、本体を浮き上がらせるような印象を使用者に与えることができ、また、シンプルな外形上のアクセントとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のプランター付き収納家具の斜視図。
【図2】図1の(a)正面図、(b)右側面図、(c)平面図、(d)底面図。
【図3】図2(c)のA−A断面図。
【図4】図1のプランター付き収納家具に設けられた開閉扉の開放状態を示す斜視図。
【図5】図1の分解斜視図。
【図6】(a)本発明のプランター付き収納家具の使用状態を示す右側面図。(b)(a)の培土を鉢に変更した例を示す右側面図。
【図7】光照射部を備えたプランター付き収納家具の斜視図。
【図8】図7の(a)正面図、(b)右側面図、(c)平面図、(d)底面図。
【図9】図8(a)のB−B断面図及びそのC−C部分拡大図。
【図10】図8(c)のD−D断面図及びそのE−E部分拡大図。
【図11】図7のプランター付き収納家具とスタンドの分解斜視図。
【図12】光照射部を備えたプランター付き収納家具の使用状態を示す右側面図。
【図13】複合収納家具に組み込まれたプランター付き収納家具の斜視図。
【図14】図13の(a)正面図、(b)右側面図、(c)平面図、(d)底面図。
【図15】図14(a)のF−F断面図及びそのG−G部分拡大図。
【図16】光照射部の取り付け状態を示す分解斜視図。
【図17】プランターを前方に取り出す例を示す斜視図。
【図18】収納部に引出しを備える例を示す斜視図。
【図19】脚部をキャスターに変更した例を示す斜視図。
【図20】脚部を設けない例を示す斜視図。
【図21】プランターの代わりに天板を使用する例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施例1)
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明のプランター付き収納家具1の斜視図である。図2は、図1の(a)正面図、(b)右側面図、(c)平面図、(d)底面図をそれぞれ示している。図3は、図2(c)のA−A断面図。図4は、図1のプランター付き収納家具に設けられた開閉扉9の開放状態を示す斜視図。図5は、図1の分解斜視図である。図6(a)は、本発明のプランター付き収納家具の使用状態を示す右側面図。図6(b)は、(a)の培土E1を鉢E2に変更した例を示す右側面図を示している。
【0029】
図1〜図6に示すように、プランター付き収納家具1は、本体2と、プランター3と、脚部4とで構成される。プランター3は、上部開口を有する有底容器状をなすとともに、上部開口の周縁に前後左右方向へ突出するフランジ5を備え、容器状をなす内部に例えばハーブ等の植物Hとその保持又は育成のための被収容媒体、例えば培土E1が収容される(図6参照)。本体2は、そのプランター3のフランジ5を着座させる上部開口端面6(図5参照)を有し、上側部分においてその容器状のプランター3の全体を没入させるため、4角筒状の形態をなしている。本体2は、使用者が立って使い易いよう約90cm程度とされる(脚部を含めると約110cm程度)。本体2において、プランター3の底部7より下側の空間が所定の物品を収納する収納部8とされ、その収納部8に対する物品の収納及び取出しのための開口が前板を兼ねる開閉扉9で開閉される。脚部4は、本体2の下端(本体下面12)を着座させるとともに、その本体2を床面から浮き上がらせて支持する。
【0030】
図5に示すように、より具体的には、脚部4は、薄板のフレームが連続的に繋がって、全体が一体成形された例えば高さ約15cm程度の架台とされている。脚部4の底面には、高さ調節のためのアジャスタ19が設けられる(図2も参照)。また、脚部4の上部には、本体2の横断面外形である4角形状に対し、相似的に縮小された形状であって、上方に突設された四角枠状の脚部内枠10が設けられる。この脚部内枠10の四隅に内接するように、本体取付部11がそれぞれ形成される。そして、本体2の下端である本体下面12が、脚部内枠10及び本体取付部11の上面に着座する。この状態で、本体下面12及びそれぞれの本体取付部11に対して、例えばナゲシねじ等のビス13が上方から挿通されることにより、本体2と脚部4とが固定される。
【0031】
なお、本体2と脚部4が固定された後、脚部内枠10の外側面には、薄板状の化粧プレート20がそれぞれ貼着される。これにより、意匠的な美感を向上させることができる。
【0032】
本体2は、例えば表面がステンレス等の金属であり、基材がチップボード等の木材からなる4角筒状の形態をなしている。本体2の前面側は、収納部8に対する物品の収納及び取り出しのための開口となっており、本体2の左内側面の前方縁には、ヒンジ14が高さ方向へ直線状に例えば3つ取り付けられ、本体2の前板を兼ねる開閉扉9がこのヒンジ14によって開閉自在とされている。
【0033】
また、収納部8には、例えば木板からなる棚板15が3枚と、その棚板15を支持する棚板固定部材16が取り付けられる(特に図3参照)。これにより、収納部8の収納スペースを無駄なく有効的に利用することができる。なお、棚板15は、棚板固定部材16と、本体2の左内側面に高さ方向へ直線状に形成された複数の固定孔17とによって、取り付け位置を適宜調整できる。
【0034】
また、本体2は、プランター3が本体2の上側部分に没入、すなわち上方から取り付けられた際、その本体2の上部開口端面6に着座するフランジ5のみが外部に現れ、かつそのフランジ3の平面的外形である4角形状と、本体2の横断面外形である4角形状とが互いに対応する形状とされている。
【0035】
さらに、本体2の上部開口端面6を形成する上端外周部22が、その本体2の横断面外形である4角形状に対して相似的に縮小された外形の帯状部分とされて、その帯状部分と本体2の上部外周との境界に環状の肩面26が形成される。そして、プランター3のフランジ5が本体2の上部開口端面6に着座するとき、そのフランジ5が本体2の縮小された外形の帯状部分から側方へ突出して本体2の肩面26に対向することにより、それらフランジ5と肩面26との間に帯状部分を溝底とする環状溝であるスリット、すなわち上部スリット23が生じる。この上部スリット23に、使用者の指を入れてフランジ5に指を掛け、プランター3を本体2の上方へ取り出すことができる(図5参照)。また、上部スリット23によって、肩面26を兼ねる開閉扉9上面の扉上面部39に指を乗せて、開閉扉9を手前に開放させることができる(図4参照)。
【0036】
また、プランター3のフランジ5の平面的外形、本体2の横断面外形である4角形状及び脚部4の平面的外形である4角形状が互いに対応する形状とされ、かつ、本体2の下端面直近の下端外周部25が、本体2の横断面外形に対して相似的に縮小された外形の帯状部分とされる。その帯状部分と本体2の下部外周との境界に環状の下側肩面27が形成され、本体2の下端が脚部4に着座するとき、その脚部4と下側肩面27との間に帯状部分を溝底とする環状溝又は部分的な環が生じる。この環状溝が下部スリット24とされて、この下部スリット24を意匠面においてシンプルな外形上のアクセントとすることができる。また、脚部4が設けられても、本体2を浮き上がらせるような印象を使用者に与える。
【0037】
なお、本体2の前面側上部には、前面プレート18が設けられている。これにより、プランター3が本体2に取り付けられた際、例えば図4のように開閉扉9を開放状態としても、プランター3のフランジ5以外の部分が露出することがない。よって、例えば培土E1や植物Hが収容されるプランター3を意識することなく、使用者は収納部8を利用することができ、収納家具としての機能を十分に満たし、使用者の満足度が増す。
【0038】
図6に示すように、プランター付き収納家具1は、高さが例えば110cm程度であって上方に延びる縦長の形態とされるため、従来の床に置く低いプランター付き収納家具とは使用方法が大きく異なる。つまり、プランター付き収納家具1は、上記のような高さ設定とされるため、使用者が立ったまま使用することができ、例えば、植物H(ハーブ等)が摘み取り易く、培土E1の入れ替えや給水等の栽培作業も容易に行える。また、プランター3の位置も従来のものに比べ高い位置に取り付けられるため、ソファーやテーブルが室内に存在しても、それらに植物が隠れることなく、観賞を楽しむことができる。
【0039】
なお、被収容媒体として培土E1を用いる例を説明したが、図6(b)に示すように、例えば植物を植えるための鉢E2を使用することも可能であり、その場合は、プランター3の中に鉢E2を複数収容されるようにしてもよい。
【0040】
(実施例2)
以下、別の実施例の形態を図面を参照しつつ説明する。図7は、光照射部40を備えたプランター付き収納家具1の斜視図。図8は、図7の(a)正面図、(b)右側面図、(c)平面図、(d)底面図をそれぞれ示している。図9は、図8(a)のB−B断面図及びそのC−C部分拡大図。図10は、図8(c)のD−D断面図及びそのE−E部分拡大図。図11は、図7のプランター付き収納家具1とスタンド44の分解斜視図である。図12は、光照射部40を備えたプランター付き収納家具1の使用状態を示す右側面図である。
【0041】
図7〜11に示す、プランター付き収納家具1は、光照射部40を備えており、実施例1と共通する部分については共通の符号を付して説明を省略し、実施例1との相違点のみ説明する。
【0042】
まず、概略として図7〜10に示すように、本体2の上部開口端面6にフランジ5が着座するプランター3の上部開口に対し、一定の間隔をおいて対向してプランター3で保持される植物Hに、照明又は育成のため周知のLED(発光ダイオード)30を用いて光を照射する箱状の光照射部40が設けられる。この光照射部40は、プランター3の上部開口面積を被い得る4角面状の発光部41と、その4角面状の発光部41を支持する支持基板部42とを備える。光照射部40の詳細については後で説明する。支持基板部42の平面的外形は、プランター3の平面的外形である4角形状と同一とされ、その支持基板部42が、ステー43に固定される。
【0043】
ステー43は、光照射部40の支持基板部42を本体2に固定するために、本体2の上端後部から上方に延び、その支持基板部42の後端部に連結されている。光照射部40は、そのステー43によって本体2に固定され、正面視において光照射部40とプランター3のフランジ5とが平行に対向し、それら光照射部40とプランター3のフランジ5との間が、例えば約40cm程度確保される。これにより、前方及び左右に開放された空間である栽培空間Sが生じる。
【0044】
図11に示すように、より具体的には、プランター3の上部開口に対向する光照射部40の支持基板部42と、本体2の背面に沿って上下方向に脚部4まで延びる2本のステー43、43とが、側面視で全体として逆L字状の例えばステンレス製のスタンド44を構成する。このスタンド44がステー43、43において本体2の後部に固定されることにより、光照射部40がプランター3の上部開口から浮き上がった状態で支持されて栽培空間Sを形成する。
【0045】
図12に示すように、光照射部40が設けられていても、栽培空間Sによって、例えばプランター3の取り外し・取り付けが容易となったり、ハーブ等の植物Hの摘み取り、培土E1や鉢E2の入れ替え、給水等、様々な栽培作業の効率を高めることができる。また、ステー43は、支持基板部42の後端部に設けられても前端部には設けられないので、開放感を与えるといった意匠的な効果も期待できる。
【0046】
図11に戻り、スタンド44の2本のステー43、43の下端には、そこから前方に向かって直角に延びる下部延長部とされる薄板状のステー取付部45、45がそれぞれ形成されている。これにより、ステー取付部45と、ステー43と、支持基板部42とが、側面視で全体としてコの字状のスタンド44として構成されている。そのステー取付部45、45には、ステー挿通孔46がそれぞれ設けられている。そして、スタンド44を本体2に固定する際、ステー取付部45、45が脚部4の内方に進入し、ステー取付部45の外側面は、脚部4の内側面と当接する。この状態で、ステー挿通孔46と脚部4に形成された脚部挿通孔47を介して、例えばトラス小ねじ等のビス48によって固定され、光照射部40がプランター3の上部開口から浮き上がった状態で支持される。
【0047】
さらに、ステー43は、本体2の上部スリット23に固定金具49を用いて、例えばバインドタッピンねじ等のビス50により固定される。このようにすれば、固定するための部材が少なくても、スタンド44を本体2へ確実に固定することができる。また、ステー取付部45は、脚部4の内方に隠れるため、プランター付き収納家具1における外観上の美感を損なうことがない。
【0048】
光照射部40について詳しく説明する。図9、10に特に示されるように、光照射部40は箱状の形態をなしており、その下面に四角面状の発光部41が設けられる。その発光部41は、青色光及び赤色光を主成分とする例えば200個以上の非常に多数のLED30群で構成される。周知のとおり、青色光及び赤色光の混合光源は、植物の育成に適しており、太陽光が当たりにくい室内でも光合成をさせることができる。よって、例えばキッチンやリビングにこのプランター付き収納家具1を設置しても植物の育成を行うことができ、また、光源はLED30であるから発熱が少なく、植物Hへのダメージも少ない。
【0049】
また、光照射部40は、上記のような植物Hの育成のために使用されるだけに限定されず、例えば、植物Hに対する観賞のためのライトアップとしても使用することができる。
【0050】
また、発光部41に設けられたLED30群の点灯・消灯の切り替えを行う電源スイッチ53が発光部41の前面側に設けられる。さらに、図11に示すように、光照射部40の電圧100Vの電源コード51は、ステー43の内方を伝ってステー43の下端より引き出され、設置場所の例えば壁面等のコンセントに接続されて光照射部40に電力が供給される。
【0051】
以上の実施例1及び2のプランター付き収納家具1は、単独でも複数でも実施することができ、複数実施する場合は互いに近接させて並べて実施する。これにより、プランター3や収納部8を複数使用することができたり、意匠性を重視して自由なレイアウトを楽しむことができる。
【0052】
(実施例3)
以下、さらに別の実施例の形態を図面を参照しつつ説明する。図13は、複合収納家具60に組み込まれたプランター付き収納家具1の斜視図。図14は、図13の(a)正面図、(b)右側面図、(c)平面図、(d)底面図をそれぞれ示している。図15は、図14(a)のF−F断面図及びそのG−G部分拡大図。図16は、光照射部40の取り付け状態を示す分解斜視図である。
【0053】
図13〜16に示す、プランター付き収納家具1は、複合収納家具60に組み込まれており、実施例1及び2と共通する部分については共通の符号を付して説明を省略し、実施例1及び2との相違点のみ説明する。
【0054】
まず、概略として図13〜16に示すように、プランター3を支持する本体2及びその本体2を支持する脚部4を含むプランター付き収納家具1が、組み込まれる設置空間Tを備えた、より大きな複合収納家具60の設置空間Tに組み込まれる。その組込み状態でプランター3の上部開口と、複合収納家具60の設置空間Tの上限を区画する下向きの空間下面との間には一定の間隔として、30cm〜100cmの範囲で設定可能とされ、例えば約40cm程度が確保され、その複合収納家具60の空間下面に、プランター3の上部開口と平行に光照射部40が設けられる。この光照射部40はプランター3の上部開口面積を被い得る四角面状の発光部41と、その四角面状の発光部41を支持する支持基板部42とを備え、その支持基板部42が複合収納家具60の空間下面に固定されている。
【0055】
図13、14に示すように、より具体的には、複合収納家具60は、例えばカップボードや棚等の多種多様な収納家具が集められた家具ユニットである。本実施例の複合収納家具60は、その上段や中段に、例えば前面に開閉式の扉を有する収納家具61と、下段に引出しを有する収納家具62とで構成されている。
【0056】
また、複合収納家具60の脚部63は、プランター付き収納家具1の脚部4と同一の高さとされ、その形態もプランター付き収納家具1の脚部4と、左右方向においてのみ長さが異なるものの、同じく薄板のフレームが連続的に繋がって、全体が一体成形された架台とされている。
【0057】
プランター付き収納家具1が組み込まれる設置空間Tは、複合収納家具60の中央に設けられる。その設置空間Tは、複合収納家具60上段の開閉式の扉を有する収納家具61の下面から床面までであり、高さは例えば約160cm程度とされている。そして、その設置空間Tにプランター付き収納家具1が例えば2つ並列に組み込まれる。
【0058】
複合収納家具60は、平面視で、プランター付き収納家具1の奥行き方向の長さと同一とされている。よって、設置空間Tにプランター付き収納家具1が組み込まれても、プランター付き収納家具1を含む複合収納家具60全体のシルエットは、凹凸が少なく統一感のあるスマートな印象を使用者に与えることができる。
【0059】
図16に示すように、光照射部40は、複合収納家具60上段の開閉式の扉を有する収納家具61の下面に設けられる。光照射部40は、プランター3の上部開口と平行になっている。光照射部40の取り付け時は、例えば照明カバー等の箱状の支持基板部42が例えばバインドタッピンねじ等のビス68によって取り付けられる。そして、青色光及び赤色光を主成分とする多数のLED30群で構成される四角面状の発光部41が、支持基板部42の内方に形成された発光部取付スペース55へ収まるように、下方から上方に向かって組み合わされ、同じくビス69によって取り付けられる。なお、光照射部40は、必ずしもプランター3の上部開口と平行に設ける必要はなく、植物Hの位置に合わせて例えば、傾斜させて設置することも可能である。
【0060】
また、発光部41に設けられたLED30群の点灯・消灯の切り替えを行う電源スイッチ53が発光部41の前面側に設けられる。さらに、光照射部40の電源コード51は、複合収納家具60より引き出され、設置場所の例えば壁面等のコンセントに接続されて光照射部40に電力が供給される。
【0061】
以上で説明したプランター付き収納家具1の変形例を説明する。なお、以下で説明する変形例は、光照射部40やスタンド44の有無に関係なく適用できるものとする。
【0062】
図17に示すように、プランター付き収納家具1は、プランター3を上方に取り出すだけではなく、前方へ取り出すように構成することもできる。その場合は、本体2に前面プレート18が設けられないで、開閉扉9を開放状態として、上部スリット23に使用者の指を入れ、フランジ5を持ちながらプランター3を前方へ取り出す。
【0063】
また、収納部8は棚板15が取り付けられて、本体2の開閉扉9によって開閉される例を説明したが、図18に示すように、収納部8に棚板15や開閉扉9が設けられず、代わりに引出しレール81によって前後方向へ引き出し可能な引出し80が、本体2に備えられるように構成することもできる。この場合、引出し80によって収納部8が利用可能になり、物品の収納や取り出しが行える。このようにすれば、収納部8の後方側(奥側)に物品を収納しても前方に引き出されるので、物品を取り出し易い。なお、引出し80は前面側に前板90が設けられ、本体2における前板を兼ねる。
【0064】
以上の全ての実施例では、薄板のフレームが連続的に繋がった脚部4が、本体2に対して架台とされている例を説明したが、図19に示すように、この脚部4を移動可能な周知のキャスター70に変更して実施してもよい。このようにすれば、プランター付き収納家具1は移動可能となって、例えばキッチン、リビング、窓際等に設置可能となるため使用者の自由度が増す。
【0065】
図20に示すように、プランター付き収納家具1は、脚部4やキャスター70を設けることなく本体2を直接床等に設置させることもできる。このようにすれば、脚部4が設けられない分、省コスト化を図ることができる。
【0066】
図21に示すように、プランター3を使用しない場合は、代わりに板状の天板82を本体2の上部へ取り付けることができる。このようにすれば、例えばキッチンにプランター付き収納家具1を設置するのであれば、調理器具や皿等、また花瓶等も天板82上に置くことができ、作業台を兼ねる収納家具として使用することができる。その際も、天板82の周縁に前後左右方向へ突出するフランジ5が上部開口端面6に着座し、フランジ5の平面的外形と本体2の横断面外形が対応する。
【0067】
また、以上の全ての実施例では、プランター付き収納家具1を、使用者の身長に合わせて、高さ75cm〜120cmの範囲で適宜設定することが可能である。このようにすれば、立ったままでプランターを使用することができる。
【0068】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 プランター付き収納家具
2 本体
3 プランター
4 脚部
5 フランジ
6 上部開口端面
7 底部
8 収納部
9 開閉扉(前板)
22 上端外周部
23 上部スリット(環状溝;スリット)
24 下部スリット
25 下端外周部
26 肩面
27 下側肩面
39 扉上面部(肩面)
40 光照射部
41 発光部
42 支持基板部
43 ステー
44 スタンド
45 ステー取付部(下部延長部)
60 複合収納家具
H 植物
E1 培土(被収容媒体)
E2 鉢(被収容媒体)
S 栽培空間(前方及び左右に開放された空間)
T 設置空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口を有する有底容器状をなすとともに、上部開口の周縁に側方へ突出するフランジを備え、容器状をなす内部に植物とその保持又は育成のための被収容媒体が収容されるプランターと、
そのプランターの前記フランジを着座させる上部開口端面を有し、上側部分においてその容器状のプランターの全体を没入させる筒状ないし箱状の形態をなし、前記プランターの底部より下側の空間が所定の物品を収納する収納部とされ、その収納部に対する物品の収納及び取出しのための開口が前板によって開放又は閉鎖状態とされる本体と、を備え、
前記プランターが前記本体の上側部分に没入してその本体の上部開口端面に着座する前記フランジのみが外部に現れ、かつそのフランジの平面的外形、本体の横断面外形が互いに対応する形状とされたことを特徴とするプランター付き収納家具。
【請求項2】
前記本体の上部開口端面を形成する上端外周部が、その本体の横断面外形に対して相似的に縮小された外形の帯状部分とされて、その帯状部分と前記本体の上部外周との境界に環状の肩面が形成され、前記プランターのフランジが前記本体の前記上端外周部の上部開口端面に着座するとき、そのフランジが前記本体の縮小された外形の帯状部分から側方へ突出して前記本体の肩面に対向することにより、それらフランジと肩面との間に前記帯状部分を溝底とする環状溝を形成し、この環状溝は前記フランジに指を掛け、前記プランターを前記本体から取り出すことができるスリットとされる請求項1に記載のプランター付き収納家具。
【請求項3】
前記上部開口端面に前記フランジが着座する前記プランターの上部開口に対し、一定の間隔をおいて対向して前記プランターで保持される植物に照明又は育成のための光を照射する光照射部が設けられ、この光照射部は前記プランターの上部開口面積を被い得る面状の発光部と、その面状の発光部を支持する支持基板部とを備え、その支持基板部の平面的外形は前記プランターの平面的外形と同一又は相似形とされ、その支持基板部が前記本体又は他部材に固定される請求項1又は2に記載のプランター付き収納家具。
【請求項4】
前記光照射部の支持基板部を前記本体に固定するために、前記本体の少なくとも上端後部から上方に延び、その支持基板部の後端部に連結されたステーを備え、前記光照射部はそのステーによって前記本体に固定され、正面視において前記光照射部と前記プランターのフランジとが平行に対向し、それら光照射部とプランターのフランジとの間に少なくとも前方及び左右に開放された空間が生じる請求項3に記載のプランター付き収納家具。
【請求項5】
前記プランターの上部開口に対向する前記光照射部の支持基板部と、前記本体の背面に沿って上下方向にその本体の下端付近まで延びるステーとが、側面視で全体として逆L字状のスタンドを構成し、このスタンドが前記ステーにおいて前記本体の後部に固定されることにより、前記光照射部が前記プランターの上部開口から浮き上がった状態で支持される請求項4に記載のプランター付き収納家具。
【請求項6】
前記本体の下端を着座させるとともに、その本体を床面から浮き上がらせて支持する脚部を備える請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプランター付き収納家具。
【請求項7】
前記プランターの上部開口に対向する前記光照射部の支持基板部と、前記本体の後面に沿って上下方向に前記脚部まで延びるステーと、そのステーの下端から前方に向かって直角に延びる下部延長部とが、側面視で全体としてコの字状のスタンドを構成し、このスタンドが前記ステーにおいて前記本体に固定され、かつ前記下部延長部において前記脚部の内側面に固定されることにより、前記光照射部が前記プランターの上部開口から浮き上がった状態で支持される請求項6に記載のプランター付き収納家具。
【請求項8】
前記プランター付き収納家具が、単数ないし複数組み込まれる設置空間を備えた、より大きな複合収納家具の該設置空間に組み込まれ、その組込み状態で前記プランターの上部開口と、前記複合収納家具の該設置空間の上限を区画する下向きの空間下面との間には一定の間隔が確保され、その複合収納家具の空間下面に、前記プランターの上部開口と平行に前記光照射部が設けられ、この光照射部は前記プランターの上部開口面積を被い得る面状の発光部と、その面状の発光部を支持する前記支持基板部とを備え、その支持基板部が前記複合収納家具の空間下面に固定されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプランター付き収納家具。
【請求項1】
上部開口を有する有底容器状をなすとともに、上部開口の周縁に側方へ突出するフランジを備え、容器状をなす内部に植物とその保持又は育成のための被収容媒体が収容されるプランターと、
そのプランターの前記フランジを着座させる上部開口端面を有し、上側部分においてその容器状のプランターの全体を没入させる筒状ないし箱状の形態をなし、前記プランターの底部より下側の空間が所定の物品を収納する収納部とされ、その収納部に対する物品の収納及び取出しのための開口が前板によって開放又は閉鎖状態とされる本体と、を備え、
前記プランターが前記本体の上側部分に没入してその本体の上部開口端面に着座する前記フランジのみが外部に現れ、かつそのフランジの平面的外形、本体の横断面外形が互いに対応する形状とされたことを特徴とするプランター付き収納家具。
【請求項2】
前記本体の上部開口端面を形成する上端外周部が、その本体の横断面外形に対して相似的に縮小された外形の帯状部分とされて、その帯状部分と前記本体の上部外周との境界に環状の肩面が形成され、前記プランターのフランジが前記本体の前記上端外周部の上部開口端面に着座するとき、そのフランジが前記本体の縮小された外形の帯状部分から側方へ突出して前記本体の肩面に対向することにより、それらフランジと肩面との間に前記帯状部分を溝底とする環状溝を形成し、この環状溝は前記フランジに指を掛け、前記プランターを前記本体から取り出すことができるスリットとされる請求項1に記載のプランター付き収納家具。
【請求項3】
前記上部開口端面に前記フランジが着座する前記プランターの上部開口に対し、一定の間隔をおいて対向して前記プランターで保持される植物に照明又は育成のための光を照射する光照射部が設けられ、この光照射部は前記プランターの上部開口面積を被い得る面状の発光部と、その面状の発光部を支持する支持基板部とを備え、その支持基板部の平面的外形は前記プランターの平面的外形と同一又は相似形とされ、その支持基板部が前記本体又は他部材に固定される請求項1又は2に記載のプランター付き収納家具。
【請求項4】
前記光照射部の支持基板部を前記本体に固定するために、前記本体の少なくとも上端後部から上方に延び、その支持基板部の後端部に連結されたステーを備え、前記光照射部はそのステーによって前記本体に固定され、正面視において前記光照射部と前記プランターのフランジとが平行に対向し、それら光照射部とプランターのフランジとの間に少なくとも前方及び左右に開放された空間が生じる請求項3に記載のプランター付き収納家具。
【請求項5】
前記プランターの上部開口に対向する前記光照射部の支持基板部と、前記本体の背面に沿って上下方向にその本体の下端付近まで延びるステーとが、側面視で全体として逆L字状のスタンドを構成し、このスタンドが前記ステーにおいて前記本体の後部に固定されることにより、前記光照射部が前記プランターの上部開口から浮き上がった状態で支持される請求項4に記載のプランター付き収納家具。
【請求項6】
前記本体の下端を着座させるとともに、その本体を床面から浮き上がらせて支持する脚部を備える請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプランター付き収納家具。
【請求項7】
前記プランターの上部開口に対向する前記光照射部の支持基板部と、前記本体の後面に沿って上下方向に前記脚部まで延びるステーと、そのステーの下端から前方に向かって直角に延びる下部延長部とが、側面視で全体としてコの字状のスタンドを構成し、このスタンドが前記ステーにおいて前記本体に固定され、かつ前記下部延長部において前記脚部の内側面に固定されることにより、前記光照射部が前記プランターの上部開口から浮き上がった状態で支持される請求項6に記載のプランター付き収納家具。
【請求項8】
前記プランター付き収納家具が、単数ないし複数組み込まれる設置空間を備えた、より大きな複合収納家具の該設置空間に組み込まれ、その組込み状態で前記プランターの上部開口と、前記複合収納家具の該設置空間の上限を区画する下向きの空間下面との間には一定の間隔が確保され、その複合収納家具の空間下面に、前記プランターの上部開口と平行に前記光照射部が設けられ、この光照射部は前記プランターの上部開口面積を被い得る面状の発光部と、その面状の発光部を支持する前記支持基板部とを備え、その支持基板部が前記複合収納家具の空間下面に固定されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプランター付き収納家具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−229578(P2011−229578A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100364(P2010−100364)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(592017286)トーヨーキッチンアンドリビング株式会社 (29)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(592017286)トーヨーキッチンアンドリビング株式会社 (29)
【Fターム(参考)】
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