説明

プラント制御装置の更新方法

【課題】プラント監視機能を損なわず制御装置の更新をおこなうことができる更新方法を提供する。
【解決手段】新設故障表示装置2の入出力ユニットを、更新装置3のCPUユニット3aに接続するとともに、入出力ユニット及び前記更新装置3の入出力ユニット3bを仮設ケーブルを介して外部ケーブル1dに接続し、既設故障表示装置1を撤去する第1ステップと、CPUユニット2aと第1の入出力ユニットを筐体1aに移設して両者を接続するとともに、外部ケーブル1dを当該第1の入出力ユニットの接続部2gに接続する第2ステップと、前記新設故障表示装置2の第2の入出力ユニットとCPUユニット3aとの接続を解除し、前記第2の入出力ユニットをCPUユニット2aに接続するとともに、外部ケーブル1dを当該第2の入出力ユニットの接続部2gに接続する第3ステップと、第3ステップを繰り返す第4ステップと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所等のプラント制御装置の更新方法に関し、特に、プラント制御装置の更新時においてもプラント制御装置の機能を継続して維持できるプラント制御装置の更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所などのプラントでは多数のプロセス信号や状態信号を集中制御監視する装置が使用され、プラント内の各システムおよび多岐にわたるサブシステムからの多数の入力信号を装置に取り込み、集中して処理を行い、中央制御室からの集中監視制御を可能としている。
【0003】
このような集中監視制御装置は、その機能の一つとしてプラント内の各所に配設された各種機器の異常または故障を表示する故障表示機能を有する。この故障表示機能の従来の構成例を図8により説明する。
【0004】
故障表示装置1にはプラント内の各所のプロセス機器や各種機器の異常を知らせるための多数の原因接点からの信号が入力され、異常発生の情報を表示装置8に表示する。
【0005】
故障表示装置1は、原因接点9からの信号が入力され故障表示信号を表示装置8へ出力する複数の制御ユニット1bと、盤内配線1fと、コネクタや端子台などの接続器1gとから構成され、筺体1a内に収納されている。
【0006】
プラント内の各所のプロセス機器や各種機器の異常信号が入力される原因接点9は、外部ケーブル1dと接続器1gと盤内配線1fを介して制御ユニット1bに接続される。
【0007】
このように構成された制御装置において、制御ユニット1bは原因接点9から故障発生信号が入力されると当該入力信号を保持し、所定の故障表示信号を盤内配線1f、接続器1g及び外部ケーブル1dを介して表示装置8に出力することで、所定の表示器を点滅させプラントの異常状態を警報表示する。また、ホーン、ベル、ブザーなどの音響発生器へ発鳴信号を出力する。さらに、運転員からの確認操作信号を受けて、警報音の停止、および原因接点9の動作継続状態に応じて低速点滅、連灯、消灯などの表示信号の制御を行う。
【0008】
ところで、上述したプラント全体を監視するプラント制御装置において、制御装置の更新は定期点検時などに行われるが、主機は停止していてもプラントの共通システムやサブシステムの設備は稼動しているため、制御装置をできるだけ短時間で更新することがおこなわれていた(特許文献1)。
【0009】
従来の故障表示装置の更新方法を図9により説明する。
更新前は故障表示装置1の筐体1aに複数の既設制御ユニット1bが収納され運用に供されている(図9(a))。更新方法は筐体1aを残したままで流用し、盤内部取り付けの制御ユニット1bを撤去し、新設制御装置2を筐体1a内に設置する形で行う。
【0010】
更新時は新設制御装置2を筐体1aの近傍に仮設の故障表示装置として仮置きし、既設故障表示装置1に接続されている外部ケーブル1d(故障接点入力外部ケーブルと表示出力外部ケーブル)を既設故障表示装置1から新設故障表示装置2へ繋ぎ替えて故障表示機能を新設制御装置2側に移行後、既設制御ユニット1bの撤去を行う(図9(b))。すなわち、既設故障表示装置1の撤去中は新設制御装置2を既設のバックアップとして使用するので故障表示機能を維持することが可能である。撤去完了後、次に新設制御装置2の盤内設置を行う(図9(c))。盤内設置が完了後、新設制御装置2での運用を開始し、更新が完了する(図9(d))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−51861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
プラントの定期点検時に制御装置の更新をおこなう際、主機は停止していてもプラントの共通システムやサブシステムの設備は稼動しており、定期点検中においてもこれらの機器の監視を継続することが必要であり、故障表示装置の更新時はその機能を停止することなく更新できることが求められている。
【0013】
上述した従来の更新方法では、新設制御装置2を盤内に設置する際、図9(c)に示すように新設制御装置の解体、移動、盤内取り付け、復元の作業工程が必要であり、この間は新設制御装置2の動作を長時間にわたって停止しなければならず、故障表示機能を継続して維持することができなかった。一方、新設制御装置2の更新中においても監視機能を維持するために、新設制御装置2と同等機能、同等規模の制御装置を更に1セット設けて故障表示機能を代行させることも考えられるが、更新コスト負担が増大するという問題があった。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、制御装置の更新の際、更新工事作業にともなう機能停止時間をわずかな時間(数分程度)に抑えることにより、低コストでプラント監視機能を実質的に損なわず制御装置の更新をおこなうことができるプラント制御装置の更新方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係るプラント制御装置の更新方法は、筐体内に収納され、複数の入出力ユニットと前記各入出力ユニットに設けられ原因接点及び表示装置に外部ケーブルを介して接続する接続部とを有する既設故障表示装置を、新設故障表示装置に更新するプラント制御装置の更新方法において、新設故障表示装置の第1の入出力ユニット以外の入出力ユニットを、更新装置のCPUユニットに接続するとともに、前記第1の入出力ユニット以外の入出力ユニット及び前記更新装置の入出力ユニットを仮設ケーブルを介して外部ケーブルに接続し、前記既設故障表示装置を筐体から撤去する第1ステップと、前記新設故障表示装置のCPUユニットと前記第1の入出力ユニットを前記筐体に移設して両者を接続するとともに、外部ケーブルを当該第1の入出力ユニットの接続部に接続する第2ステップと、前記新設故障表示装置の第2の入出力ユニットと前記更新装置のCPUユニットとの接続を解除し、前記第2の入出力ユニットを前記筐体に移設して前記移設された新設故障表示装置のCPUユニットに接続するとともに、外部ケーブルを当該第2の入出力ユニットの接続部に接続する第3ステップと、前記新設故障表示装置の第3の入出力ユニットから最後の入出力ユニットを筐体に移設するまで前記第3ステップを繰り返す第4ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プラント制御装置の更新の際、更新工事作業にともなう機能停止時間をわずかな時間(数分程度)に抑えることにより、低コストでプラント監視機能を実質的に損なわず制御装置の更新をおこなうことができるプラント制御装置の更新方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る更新方法の第1ステップを示す図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る更新方法の第2ステップを示す図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る更新方法の第3ステップを示す図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る更新方法の第4ステップを示す図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る更新方法の第1ステップを示す図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る更新方法の最終ステップを示す図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る更新方法の第1ステップを示す図。
【図8】本発明に係る既設故障表示装置の構成図。
【図9】従来の既設故障表示装置の更新手順を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るプラント制御装置の更新方法の実施形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るプラント制御装置の更新方法を図1乃至図4を用いて説明する。
【0019】
(構成)
本第1の実施形態において、筐体1に収納されている既設故障表示装置1を更新故障表示装置2に更新する際、4つのステップを経て更新される。図1はその第1ステップを示す図であり、また、故障表示装置の更新に用いられる各装置の全体構成図である。本装置は、既設故障表示装置1、更新故障表示装置2、切替装置3、仮設切替装置4、表示装置8、原因接点9及び外部ケーブル1dから構成される。
【0020】
なお、既設故障表示装置1、既設故障表示装置1に接続される原因接点9及び表示装置8は図8に示す従来例と同様の構成であり説明は省略する。
【0021】
また、既設故障表示装置1内の制御ユニット1bは、ハードロジックで構成されるものと、マイクロプロセッサを使用しソフトで制御を行うデジタルコントローラで構成されるもの両者が対象となる。
【0022】
一方、更新故障表示装置2の制御装置は以下に述べるようにマイクロプロセッサを使用しソフトで制御を行うデジタルコントロールシステムを採用している。
【0023】
更新故障表示装置2は、既設故障表示装置1の更新対象となる制御装置であり、CPUユニット2aと、複数の入出力ユニット2b−1〜2b−3と、前記CPUユニット2aと前記入出力ユニット2b−1〜2b−3間を接続する複数の伝送ケーブル2c−1〜2c−3と、前記入出力ユニットに対応した複数の更新盤内ケーブル2f−1〜2f−3と、外部ケーブル1dを接続する複数の接続器2g−1〜2g−3とから構成される。
【0024】
この更新故障表示装置2は、更新工事作業により筐体1に収納され、外部ケーブル1dが各接続器2g−1〜2g−3に接続される。すなわち、原因接点9からの信号は、外部ケーブル1d、接続器2g−1、盤内ケーブル2f−1を介して入出力ユニット2b−1へ入力され、入出力ユニット2b−1とCPUユニット2a間を接続する伝送ケーブル2c−1を介してCPUユニット2aへ入力される。また、所定の故障表示出力信号はCPUユニット2aから伝送ケーブル2c−1を介して入出力ユニット2b−1へ出力され、入出力ユニット2b−1は更新盤内ケーブル2f−1および、接続器2g−1、外部ケーブル1dを介して表示装置8へ出力される。入出力ユニット2b−2、2b−3においても入出力ユニット2b−1と同様にCPUユニット、伝送ケーブル、盤内ケーブル、接続器が接続され同様に作用する。
【0025】
切替装置3は、CPUユニット3aと、入出力ユニット3bと前記CPUユニット3aと前記入出力ユニット3b間を接続する伝送ケーブル3cと、盤内ケーブル3fと外部ケーブル1dを接続する接続器3gとから構成されている。
【0026】
CPUユニット3aは、CPUユニット2aと同様の機能を持ち、入出力ユニット3bは入出力ユニット2b−1〜2b−3と同様の機能を持つ。仮設ケーブル3d−1〜3d−3は更新作業中に外部ケーブル1dと接続し、入出力信号を新設故障表示装置2や切替装置3に切り替えるためのケーブルである。
【0027】
仮設故障表示装置4は、新設故障表示装置2の一部と切替装置3と伝送ケーブル3cと仮設ケーブル3d−1〜3d−3から構成され、更新期間中、既設故障表示装置1のバックアップ(代用)として使用する設備である。
【0028】
(作用)
既設新設故障表示装置1から新設故障表示装置2への更新は、切替装置3を用いて各ステップで仮設故障表示装置4を構成し、バックアップを確立しながらおこなわれる。その具体的な更新ステップについて以下に説明する。
【0029】
(第1ステップ)
故障表示装置の更新手順の第1ステップを図1により説明する。
第1ステップでは、まず、既設故障表示装置1のバックアップ確立をおこなう。図1に示すように、事前に切替装置3のCPUユニット3aと、新設故障表示装置2の入出力ユニット2b−2、2b−3及び切替装置3の入出力ユニット3aとの間を伝送ケーブル2c−2、2c−3(図1の実線部)及び3cで接続しておき、運転状態にしておく。
【0030】
また、切替装置3の接続器3gに一端が接続された仮設ケーブル3d−1の他端を接続器1g−1に対応する位置に準備する。さらに接続器2g−2、2g−3のそれぞれに一端が接続された仮設ケーブル3d−2、3d−3の他端を接続器1g−2、1g−3に対応する位置にそれぞれ準備する。
【0031】
外部ケーブル1dの接続を既設故障表示装置1の各接続器1g−1〜1g−3から仮設ケーブル3d−1〜3d−3に切り替えると、既設の故障表示機能は仮設故障表示装置4に移行し、バックアップが確立する。
【0032】
バックアップ確立後は既設故障表示装置1の撤去を行う。なお、外部ケーブル1dと盤内接続部及び仮設ケーブル3d−1〜3d−3との接続方法は、例えばコネクタを使用することで短時間で入出力ラインを仮設故障表示装置4へ切り替えることができる。
【0033】
バックアップの確立後は、切替装置3のCPUユニット3aは新設故障表示装置2のCPUユニット2aの代わりの機能を果たし、入出力ユニット3bは新設故障表示装置2の入出力ユニット2b−1の代替機能を果たしている。
【0034】
したがって、伝送ケーブル2c−1で接続されたCPUユニット2aと入出力ユニット2b−1は仮設故障表示装置として使用されないため、関連する盤内ケーブル2f−1と接続部2g−1とともに、既設制御ユニット1bが撤去された後に筐体1a内に移設することができる。
【0035】
(第2ステップ)
図2は、上記第1ステップで新設故障表示装置2のCPUユニット2aと入出力ユニット2b−1が筐体1aに移設した状態を示すとともに、次の第2ステップの更新作業を示す図である。
【0036】
新設のCPUユニット2aと入出力ユニット2b−1、および盤内ケーブル2f−1と接続器2g−1を筐体1a内に移設した後、CPUユニット2aと入出力ユニット2b−1とを接続する伝送ケーブル2c−1のCPUユニット2a側の接続をこれまで入出力ユニット2b−2が担っている入出力対象と同じになるようCPUユニット2aの端子2x−2へ接続し、動作状態にした後、仮設ケーブル3d−2へ接続されていた当該ケーブルを盤内の接続器2g−1へ接続する。
【0037】
これにより、これまで入出力ユニット2b−2と切替装置3aのCPUユニット3aで行っていた入出力処理動作が新設入出力ユニット2b−1とCPUユニット2aによる動作に切り替えられる。切り替え後は入出力ユニット2b−2はバックアップの役割を開放されるため、仮設ケーブル3d−2と接続部2g−2を切り離し、伝送ケーブル2c−2とCPUユニット3aの接続部3x−2を切り離すと仮設故障表示装置2から分離して既設筐体1a内への設置作業を行うことができる。
【0038】
(第3ステップ)
図3は、第2ステップで入出力ユニット2b−2と盤内ケーブル2f−2と接続部2g−2と伝送ケーブル2c−2を既設筐体1a内に移設した後の状態を示す図であり、次の第3ステップの更新作業を示す図である。
【0039】
伝送ケーブル2c−2のCPUユニット側の接続は入出力ユニット2b−3が担っている入出力対象と同じとなるようCPUユニット2aの端子2x−3へ接続し、入出力ユニット2b−2を動作状態にした後、仮設ケーブル3d−3へ接続されていた外部ケーブル1dを盤内の接続器2g−2へ接続する。
【0040】
これにより、これまで入出力ユニット2b−3と切替装置3aのCPUユニット3aで行っていた入出力処理動作が新設入出力ユニット2b−2とCPUユニット2aの動作による動作に切り替えられる。切り替え後は入出力ユニット2b−3はバックアップの役割を開放されるため、仮設ケーブル3d−3と接続部2g−3を切り離し、伝送ケーブル2c−3とCPUユニット3aの接続部3x−3を切り離すと仮設から分離して既設筐体1a内への設置作業を行うことができる。
【0041】
(第4ステップ)
図4は、入出力ユニット2b−3と盤内ケーブル2f−3と接続部2g−3と伝送ケーブル2c−3を既設筐体1a内に移設した後の状態を示す図であり、次の第4ステップの更新作業を示す図である。
【0042】
伝送ケーブル2c−3のCPUユニット側の接続は入出力ユニット3bが担っている入出力対象と同じとなるようCPUユニット2aの端子2x−1へ接続し、入出力ユニット2b−3を動作状態にした後、仮設ケーブル3d−2へ接続されていた当該ケーブルを盤内の接続器2g−3へ接続する。
【0043】
これにより、これまで入出力ユニット3bと切替装置3aのCPUユニット3aで行っていた入出力処理動作が新設入出力ユニット2b−3とCPUユニット2aによる動作に切り替えられる。切り替え後は、切替装置3の入出力ユニット3bとCPUユニット3aはバックアップの役割を開放され、更新故障表示装置2の既設筐体1aへの設置が完了する。
【0044】
なお、上記実施形態では3台の入出力ユニットを備える故障表示装置の例で説明したが、これに限定されず、入出力ユニットは2台又は4台以上であってもよい。
また伝送ケーブル2c−1のCPUユニット2aの端子2x−2への接続は筐体1へ移設する前であっても良い。
【0045】
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、制御装置の更新の際、更新工事作業にともなって装置機能が停止するのは外部ケーブルの切り替え作業の間だけであり、機能停止時間をわずかな時間(数分程度)に抑えることができる。また、切り替え対象点数を分割して、影響を受ける範囲を狭くして更新を行うことができる。その結果、低コストでプラント監視機能を損なわず装置の更新を可能にすることができる。
【0046】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るプラント制御装置の更新方法を図5、図6を用いて説明する。
(構成)
本第2の実施形態は、新設故障表示装置のCPUユニットを二重化し、1台は常用系として、もう1台が待機系として用いることを特徴とする。
【0047】
図5は本第2の実施形態に係る更新作業の第1ステップを示す図であり、また、故障表示装置の更新に用いられる各装置の全体構成図である。更新故障表示装置2は、2台のCPUユニット2a−1、2a−2、入出力ユニット2b−1〜2b−3、伝送ケーブル2c−1−1〜2c−1−2、2c−2−1〜2c−2−2、2c−3−1〜2c−3−2、接続部2g−1〜2g−3、及び更新故障表示装置の盤内ケーブル2f−1〜2f−3から構成される。この更新故障表示装置2は更新工事作業により筐体1に収納される。
【0048】
各伝送ケーブル2c−1−1〜2c−3−2が2台のCPUユニット2a−1、2a−2と入出力ユニット2b−1〜2b−3間に接続される。更新表示装置の盤内ケーブル2f−1〜2f−3は前記入出力ユニット2b−1〜2b−3と接続部2g−1〜2g−3に接続される。接続部2g−1〜2g−3は外部ケーブルを接続する部分である。故障表示を行う方法は基本的には第1の実施形態と同様であるがCPUユニットが二重化され通常は1台が常用系として、もう一台が待機系として使用される。
【0049】
入出力ユニット2b−1〜2b−3は図6に示すように各伝送ケーブル2c−1−1〜2c−3−2によってCPUユニット2a−1とCPUユニット2a−2の2つのCPUユニットに接続されており、通常は2つの内、一方のCPUユニットへ入力信号を送り、そのCPUユニットの制御出力信号を受けている。そしてCPUユニットが故障した場合、他方のCPUユニットへ切替えることでシステムの信頼性向上を図っている。
【0050】
(作用)
このように構成された故障表示装置の更新手順について説明する。
更新手順の第1ステップの構成は、切替装置3のCPUユニットに更新故障表示装置のCPUユニット2a−2を使用していること以外は第1の実施形態と同様である。
【0051】
次に、仮設故障表示装置4を構成し、外部ケーブル1dを既設の盤から仮設故障表示装置4の仮設ケーブルに繋ぎ替え、故障表示機能を仮設故障表示装置4で行うようにした後、既設盤の既設故障表示装置を撤去し、その後、仮設故障表示装置4として使用していない更新故障表示装置の一部を既設盤筐体の中に移設し、設置が完了したCPUユニット、入出力ユニット、伝送ケーブル、盤内ケーブル、接続部を接続し、外部ケーブルを前記接続部へ仮設ケーブルから切り替えることで故障表示機能の一部を部分的に設置後の更新装置に移す。
【0052】
そして第1の実施形態と同様に順次切替を行い、CPUユニット2a−2を除く全ての更新故障表示装置2の構成品を筐体1aに移設する。CPUユニット2a−2は最後に筐体1aに移し、伝送ケーブル2c−1−2、2c−2−2、2c−3−2を入出力ユニット2b−1〜2b−3に接続し、二重化運転動作に切り替える。図6に更新が完了した状態を示す。
【0053】
本第2の実施形態によれば、切替装置3のCPUユニットは二重化された更新装置のCPUユニットを用いるため、故障表示装置の信頼性を高めることができるとともに、低コストかつ短時間で故障表示装置の更新をおこなうことができる。
【0054】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るプラント制御装置の更新方法を図7を用いて説明する。
(構成)
本第3の実施形態は、切替装置3に故障点画面表示装置5を設け入出力ユニットの代わりに入力ユニットを備えたことを特徴とし、その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0055】
本第3の実施形態に係る切替装置3は、CPUユニット3a、入力ユニット3bi、伝送ケーブル3c、盤内ケーブル3f、接続部3g、故障点画面表示装置5、伝送ケーブル5cから構成される。なお、故障点画面表示装置5は、汎用のパソコン等を用いることができる。
【0056】
(作用)
切替装置3を構成するCPUユニット3a、伝送ケーブル3c、盤内ケーブル3f、接続部3gは更新故障表示装置2のCPUユニット2a、伝送ケーブル、盤内ケーブル接続部と同様の機能を有し、入力ユニット3biは更新装置の入出力ユニットの機能のうち、入力機能を行う機能を有している。
【0057】
故障点画面表示装置5は伝送ケーブル5cを介してCPUユニット3aと接続され、故障が発生した原因接点9の信号を外部ケーブル1d、接続部3g、盤内ケーブル3f、入力ユニット3bi、伝送ケーブル3cを通してCPUユニット3aに入力され、CPUユニット3aはその故障点に対応した情報を故障点画面表示装置5へ出力し、故障点画面表示装置5はモニタへ故障情報を文字や色、および点滅などの運転員が認識できる形で表示する。また、故障点画面表示装置5に接続された、図示しない音声発生器にて音で運転員へ故障を知らせる。すなわち、切替装置3の出力は表示装置8へ出力せず、故障点画面表示装置5で代用できるようにする。
【0058】
更新手順の第1ステップでの構成は切替装置3に故障点表示装置5を接続していることと、入出力ユニットを入力ユニット3biのみの構成にしていること以外は第1の実施形態と同様である。
【0059】
次に、仮設故障表示装置4を構成し、外部ケーブルを既設の盤から仮設の仮設ケーブルに繋ぎ替え、故障表示機能を仮設故障表示装置4で行うようにした後、既設盤の既設装置を撤去し、その後、仮設故障表示装置として使用していない更新故障表示装置の一部を既設盤筐体の中に設置し、設置が完了したCPUユニット、入出力ユニット、伝送ケーブル、盤内ケーブル、接続部を接続し、外部ケーブルを前記接続部へ仮設ケーブルから切り替えることで故障表示機能の一部を部分的に設置後の更新装置に移す。
【0060】
そして第1の実施形態と同様に順次切替を行い、全ての更新故障表示装置2の構成品を筐体1aに設置して、更新作業を完了する。
【0061】
本第3の実施形態によれば、切替装置3に入力ユニットのみの機能を持たせることにより切替装置3の信頼性を高め、かつ、低コストで構築することができる。なお、出力ユニットの代わりに故障点画面表示装置5を用いるが、故障点画面表示装置5は汎用のパソコンなどを用いて安価に製作できるためは故障点画面表示装置5の付加によるコスト増に比べ、出力ユニットを省くことによるコスト減の方が大きいのでコスト低減効果は大きい。
【符号の説明】
【0062】
1…既設故障表示装置、1a…筐体、1b…既設制御ユニット、1d…外部ケーブル、1f…既設盤内ケーブル、1g−1,1g−2,1g−3…接続部、2…更新故障表示装置、2a…CPUユニット、2b−1,2b−2,2b−3…入出力ユニット、2c−1,2c−2,2c−3…伝送ケーブル、2c−1−1,2c−2−1,2c−3−1…伝送ケーブル、2c−1−2,2c−2−2,2c−3−2…伝送ケーブル、2f−1,2f−2,2f−3…更新盤内ケーブル、2g−1,2g−2,2g−3…接続器、3…切替装置、3a…CPUユニット、3b…入出力ユニット、3bi…入力ユニット、3c…伝送ケーブル、3d−1,3d−2,3d−3…仮設ケーブル、4…仮設故障表示装置、5…故障点画面表示装置、5c…伝送ケーブル、8…表示装置、9…原因接点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に収納され、複数の入出力ユニットと前記各入出力ユニットに設けられ原因接点及び表示装置に外部ケーブルを介して接続する接続部とを有する既設故障表示装置を、新設故障表示装置に更新するプラント制御装置の更新方法において、
新設故障表示装置の第1の入出力ユニット以外の入出力ユニットを、更新装置のCPUユニットに接続するとともに、前記第1の入出力ユニット以外の入出力ユニット及び前記更新装置の入出力ユニットを仮設ケーブルを介して外部ケーブルに接続し、前記既設故障表示装置を筐体から撤去する第1ステップと、
前記新設故障表示装置のCPUユニットと前記第1の入出力ユニットを前記筐体に移設して両者を接続するとともに、外部ケーブルを当該第1の入出力ユニットの接続部に接続する第2ステップと、
前記新設故障表示装置の第2の入出力ユニットと前記更新装置のCPUユニットとの接続を解除し、前記第2の入出力ユニットを前記筐体に移設して前記移設された新設故障表示装置のCPUユニットに接続するとともに、外部ケーブルを当該第2の入出力ユニットの接続部に接続する第3ステップと、
前記新設故障表示装置の第3の入出力ユニットから最後の入出力ユニットを筐体に移設するまで前記第3ステップを繰り返す第4ステップと、
を有することを特徴とするプラント制御装置の更新方法。
【請求項2】
前記新設故障表示装置のCPUユニットは二重化されているとともに、更新作業時に前記CPUユニットの一つを前記更新装置のCPUユニットとして用いることを特徴とする請求項1記載の制御装置の更新方法。
【請求項3】
前記更新装置は入出力ユニットの代わりに入力ユニットを備えるとともに、故障点画面表示装置を前記更新装置に接続したことを特徴とする請求項1記載のプラント制御装置の更新方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−247638(P2011−247638A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118420(P2010−118420)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】