プラント情報表示装置
【課題】本発明は、プラント監視及びプラント機器の操作において必要となる全ての情報を隠すことなく、且つ視認性を下げることなく図面データをデフォルメして表示するプラント情報表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るプラント情報表示装置は、入力部と、入力部を用いてプラントにおける関心領域及びデフォルメ条件を入力し、入力部により入力された関心領域及びデフォルメ条件に基づきデフォルメ対象領域を特定する領域判定部と、領域判定部により特定されたデフォルメ対象領域に基づいて、図面を複数の領域に分割してデフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域とに分けて管理する領域分割部と、デフォルメ対象領域及び非デフォルメ対象領域を表示領域内でそれぞれ変形させる図面変形部と、図面出力部と、表示部とを備える。
【解決手段】本発明に係るプラント情報表示装置は、入力部と、入力部を用いてプラントにおける関心領域及びデフォルメ条件を入力し、入力部により入力された関心領域及びデフォルメ条件に基づきデフォルメ対象領域を特定する領域判定部と、領域判定部により特定されたデフォルメ対象領域に基づいて、図面を複数の領域に分割してデフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域とに分けて管理する領域分割部と、デフォルメ対象領域及び非デフォルメ対象領域を表示領域内でそれぞれ変形させる図面変形部と、図面出力部と、表示部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント情報表示装置に係る発明であって、特に、プラントの状態を把握し、プラントを構成する機器を操作するために必要なプラント情報を表示するプラント情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、原子力発電プラント、火力発電プラント及び水処理プラント等のプラントシステムには、稼働しているプラントの状態を把握し、プラントを構成する機器を操作するために必要なプラント情報を表示するプラント情報表示装置が設けられている。このプラント情報表示装置に、機器の系統情報が表示されている画面に機器の操作画面を表示する場合、特許文献1では、画面のサイズに基づき系統情報の画面を縮小して、機器の操作画面と重なり合う部分がないようにして情報を隠さないよう表示している。
【0003】
さらに、プラントの機器の系統情報と似たものとして地図データがあり、この地図データの線画をデフォルメして表示するデフォルメ地図作成装置が特許文献2に開示されている。特許文献2では、例えば、地図データに対してユーザが指定した地図描画領域内で道路を表現する図形要素の長さを変更すること、目標物と関連づけられていない道路を間引くことや、道路を表現する複数の図形要素が交わる角度を変更すること等が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特許第2555412号
【特許文献2】特許第3442238号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示すプラント情報表示装置は、機器の操作画面を表示する際、系統情報を縮小表示するため、例えば操作対象機器のマクロ的な接続関係や機器操作に伴う影響範囲等の機器の操作上重要となる情報について視認性が悪くなる問題があった。さらに、特許文献1に示すプラント情報表示装置では、系統情報を含む画面が縮小されるため、現在注視している領域や機器を画面内で認識しづらくなる問題もあった。
【0006】
一方、特許文献2に示すデフォルメ地図作成装置では、地図データに含まれる道路情報と目標物情報を関連づける作業が必要となり、デフォルメの際は、目標物と関連づけられていない道路を表現する図形要素は間引かれることになる。しかし、原子力発電プラント、火力発電プラント及び水処理プラント等のプラントでは、特定の機器に対する操作が画面内では近接していない領域に描画された機器や、系統全体にも影響を及ぼすことがあり系統情報の一部を間引くことは操作の度合いやその適切性を判断する上で問題となる。さらに、特許文献2では、ユーザが明示的に地図の描画領域を指定することにより地図の一部分をデフォルメしているにすぎないため、プラント全体又はプラント内の特定の系統(例えば、蒸気発生系統、冷却水系統等)全体をデフォルメする場合、描画のための計算が多大となり即時性の観点で問題となる。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題点を解決するためのものであり、プラント監視及びプラント機器の操作において必要となる全ての情報を隠すことなく、且つ視認性を下げることなく図面データをデフォルメして表示するプラント情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る解決手段は、プラントの状態を把握し、プラントを構成する機器を操作するために必要なプラント情報を表示するプラント情報表示装置であって、入力部と、入力部を用いてプラントにおける関心領域及びデフォルメ条件を入力し、入力部により入力された関心領域及びデフォルメ条件に基づきデフォルメ対象領域を特定する領域判定部と、領域判定部により特定されたデフォルメ対象領域に基づいて、図面を複数の領域に分割してデフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域とに分けて管理する領域分割部と、デフォルメ対象領域及び非デフォルメ対象領域を表示領域内でそれぞれ変形させる図面変形部と、図面変形部により変形されたデフォルメ対象領域及び非デフォルメ対象領域を図面の出力データとして出力する図面出力部と、図面出力部から出力された出力データを表示する表示部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に記載のプラント情報表示装置は、図面変形部によりデフォルメされたデフォルメ対象領域と、図面変形部により変形された非デフォルメ対象領域とを図面に記載された機器の位相関係に基づき配置し、非接合箇所を位相情報の論理的な接続情報に基づいて図形要素を補間接合することにより再度図面として再構成するので、表示領域の制約がある場合でもプラント監視及びプラント機器の操作において必要となる全ての情報を隠すことなく、且つ視認性を下げることなく図面データをデフォルメして表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施の形態1)
図1に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置のブロック図を示す。図1に示すプラント情報表示装置は、マウス、キーボード又はタッチパネルなどの入力部11と、入力部11を用いて、ユーザが操作等を行おうとしている機器を含む関心領域と、当該関心領域のデフォルメ条件とを入力し、入力部により入力された関心領域及びデフォルメ条件に基づきデフォルメ対象領域を特定する領域判定部12とを備えている。さらに、図1に示すプラント情報表示装置は、領域分割部15と、図形変形部21と、図面出力部19と、表示部20とを備える。
【0011】
図1に示す領域分割部15では、領域判定部12により特定されたデフォルメ対象領域に関するデータに基づき、図面データ13全体をデフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域との2種類の領域に区分けする。ここで、位相情報である機器同士の論理的な接続情報とは、例えば図面データ13上で機器を表現するシンボル同士の接続関係や、機器を表現するシンボルとそれに接続する配管を表現した線分又は折れ線との接続関係等を指す。また、デフォルメとは、単一のシンボル又は複数シンボルについて、シンボルの拡大、色替、シンボルを構成する図形要素の太さ変更、線種変更、シンボル表示領域の網掛け表示等により強調表示することを指す。
【0012】
さらに、デフォルメ対象領域とは、デフォルメの対象となるシンボル(単一又は複数)を含む閉領域を指す。一方、デフォルメ非対象領域とは、図面データ13全体からデフォルメ対象領域を除いた領域を指す。デフォルメ非対象領域は、デフォルメ対象領域の位置により、単一の領域又は複数の異なる領域として表現される。
【0013】
図形変形部21では、デフォルメ対象領域を強調表示するデフォルメ機能と、非デフォルメ対象領域を変形する非強調データ生成機能を有する。図1に示す図形変形部21は、領域分割部15で特定したデフォルメ対象領域から、当該領域に含まれる図面データ13を取り出し、当該図面データ13に対してデフォルメ条件に従ってデフォルメを施す。一方、領域分割部15で判定した非デフォルメ対象領域に含まれる図面データ13を、デフォルメ後のデフォルメ対象領域の図面データ13との整合を図るために尺度を変えたり、領域を抽象化したり等の変更を行う。
【0014】
さらに、図1に示す図面変形部21は、図面変形部21に含まれるデフォルメ機能及び非強調データ生成機能のそれぞれにより加工された複数の図面データ13を、図面データ13に記載された機器の位相関係に基づき配置し、複数の図面データ13を1枚の図面として再構成する。図面変形部21は、配置する際、デフォルメ内容や尺度により隣接する図面データ13同士が正確に接合しない場合、当該箇所(非接合箇所)を位相情報の論理的な接続情報に基づいて、接合に必要な図形要素を補間接合する。また、図面変形部21は、必要により、接合点を合わせる尺度調整処理等を行う。
【0015】
次に、図面出力部19は、図面変形部21により再構築された図面を出力データとして表示部20へ出力する。表示部20は、図面出力部19からの出力データを表示するディスプレイである。なお、図面出力部19から出力される出力データは、表示部20に出力せずにファイルとして出力しても良い。また、図1に示す入力部11及び出力部20を除く各構成要素は、当該構成要素の動作をプログラムしたものをコンピュータに実装し、動作させることもできる。
【0016】
以上のように、本実施の形態に係るプラント情報表示装置は、図1に示す構成要素を備えることで、図面内での機器同士のトポロジーを変更することなくデフォルメ表示でき、機器操作に伴い着目すべき機器等を認識しやすくなり、プラント運転作業の省力化が図れる。
【0017】
(実施の形態2)
図2(a)(b)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施するデフォルメ処理の模式図を示す。図2(a)(b)に示すデフォルメ処理は、領域判定部12により入力されるデフォルメ条件に基づいて処理されており、当該条件は機器操作が必要な場面において、対象操作機器のみをデフォルメ表示する。
【0018】
図2(a)では、機器1に並列的に接続された機器2,3と、機器4に直列的に接続された機器5,6との2つの系統が図示されている。このうち、入力部11を用いて機器2を操作機器(関心領域)として指定すると、本実施の形態に係るプラント情報表示装置では、図2(b)に示すように機器2のみをデフォルメ表示(本実施の形態では拡大表示)されている。なお、本実施の形態では、デフォルメ表示として拡大表示を用いたが、本発明はこれに限られず、例えば対象機器の表示色を変更しても良い。また、デフォルメの対象機器をより強調するために、対象機器の拡大表示に加えて、表示色の変更も併用しても良い。
【0019】
一方、図2(b)に示すように、機器2以外の領域は、非デフォルメ領域であるため、図面変形部21の非強調データ生成機能により、図2(a)に比べて尺度が小さくなるように変更されている。つまり、デフォルメ領域である機器2の拡大に伴い、表示スペースを確保する等の調整が必要となるため、非デフォルメ領域の尺度を調整している。
【0020】
以上のように、本実施の形態に係るデフォルメ条件であれば、図面内の操作対象機器のみをデフォルメ表示できるため、機器操作時の注目エリアへ視線を誘導できる利点がある。さらに、デフォルメ表示により操作機器対象を誤認識する可能性が低減される上、例えば弁の開度のような機器パラメータを誤認識することなく、パラメータ値を確認しつつ適切な機器操作を行えるなどの利点がある。
【0021】
(実施の形態3)
図3(a)(b)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施するデフォルメ処理の模式図を示す。図3(a)(b)に示すデフォルメ処理は、機器操作が必要な場面において、機器を操作したことに伴い影響を受ける範囲についてデフォルメ表示する。機器を操作したことに伴い影響を受ける事例としては、例えば弁の開度のような機器状態を変更することにより当該機器と配管で接続された機器に影響を与えることが考えられる。また、機器を操作したことに伴い影響を受ける範囲は、機器同士の論理的な接続情報を用いて、操作対象機器に直接接続される機器(以下、一次接続機器ともいう)の範囲とすることもできる。
【0022】
図3(a)では、機器1に並列的に接続された機器2,3と、機器4に直列的に接続された機器5,6との2つの系統が図示されている。このうち、入力部11を用いて機器2を操作機器(関心領域)として指定する。このとき、機器2の操作で影響を受ける範囲は、配管で接続された機器1,3であるので、図3(b)に示すように機器1,2,3(一次接続機器)がデフォルメ表示されて拡大表示される。なお、本実施の形態では、デフォルメ表示として拡大表示を用いたが、本発明はこれに限られず、例えば対象機器の表示色を変更しても良い。また、デフォルメの対象機器をより強調するために、対象機器の拡大表示に加えて、表示色の変更も併用しても良い。
【0023】
一方、図3(b)に示すように、一次接続機器以外の領域は、非デフォルメ領域であるため、図面変形部21の非強調データ生成機能により、図3(a)に比べて尺度が小さくなるように変更されている。つまり、デフォルメ領域である一次接続機器の拡大に伴い、表示スペースを確保する等の調整が必要となるため、非デフォルメ領域の尺度を調整している。
【0024】
以上のように、本実施の形態に係るデフォルメ条件であれば、図面内の機器操作に伴う影響範囲のみをデフォルメ表示できるため、機器操作時の注目エリアへ視線を誘導できる利点がある。さらに、実施の形態2と比較して、機器操作の影響をより広範囲で把握することが容易となる。
【0025】
(実施の形態4)
図4(a)(b)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施するデフォルメ処理の模式図を示す。図4(a)(b)に示すデフォルメ処理は、機器を操作したことに伴い影響を受ける範囲についてデフォルメ表示し、操作機器の影響が及ばない範囲、又は影響が少ない範囲について抽象化している。
【0026】
図4(a)では、機器1に並列的に接続された機器2,3と、機器4に直列的に接続された機器5,6との2つの系統が図示されている。このうち、入力部11を用いて機器2を操作機器(関心領域)として指定する。このとき、機器2の操作で影響を受ける範囲は、配管で接続された機器1,3であるので、図4(b)に示すように機器1,2,3(一次接続機器)がデフォルメ表示されて拡大表示される。なお、本実施の形態では、デフォルメ表示として拡大表示を用いたが、本発明はこれに限られず、例えば対象機器の表示色を変更しても良い。また、デフォルメの対象機器をより強調するために、対象機器の拡大表示に加えて、表示色の変更も併用しても良い。
【0027】
一方、図4(b)に示すように、一次接続機器以外の領域(操作機器の影響が及ばない範囲、又は影響が少ない範囲)は、非デフォルメ領域であるため、図面変形部21により、機器4,5,6をボックス7のように縮約して抽象化する。ボックス7は、図4(b)に示すように系統を表現する名称及び記号などを用いて、その意味が判別可能となっている。なお、デフォルメ対象をより強調するために、ボックス7をモノクロ表示とすることも考えられる。
【0028】
以上のように、本実施の形態に係る図面変形部21での処理を用いることで、図面内の機器操作に伴い影響が及ばない範囲、又は影響が少ない範囲をボックス7のように縮約して抽象化した表示とすることができるため、機器操作時の注視領域のような、機器操作者にとって本来必要なる重要情報をより分かりやすく、明示的に表示でき、視認性が良くなる。
【0029】
(実施の形態5)
図5(a)(b)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施するデフォルメ処理の模式図を示す。図5(a)(b)に示すデフォルメ処理は、機器操作が必要な場面において、操作対象機器のみならず、当該機器の操作後に操作が必要となる可能性が高い機器(以下、継続操作機器ともいう)もデフォルメ表示する。なお、継続操作機器は、過去の運転実績データ、プラント状態及び現在のプラント状態に類似した事象の運転手順書などをもとに領域判定部12により判定される。
【0030】
図5(a)では、機器1に並列的に接続された機器2,3と、機器4に直列的に接続された機器5,6との2つの系統が図示されている。このうち、入力部11を用いて機器2を操作機器(関心領域)として指定する。このとき、機器2の操作後に操作が必要となる可能性が高い機器(継続操作機器)は、図5(b)の場合、機器3と判定されるので、図5(b)に示すように機器1,3がデフォルメ表示されて拡大表示される。なお、本実施の形態では、デフォルメ表示として拡大表示を用いたが、本発明はこれに限られず、例えば対象機器の表示色を変更しても良い。また、デフォルメの対象機器をより強調するために、対象機器の拡大表示に加えて、表示色の変更も併用しても良い。
【0031】
一方、図5(b)に示すように、機器1,3以外の領域は、非デフォルメ領域であるため、図面変形部21により、図5(a)に比べて尺度が変更されている。つまり、デフォルメ領域である一次接続機器の拡大に伴い、表示スペースを確保する等の調整が必要となるため、非デフォルメ領域の尺度を調整している。
【0032】
以上のように、本実施の形態に係るデフォルメ条件であれば、継続操作機器をデフォルメ表示するため、注視すべき領域への誘導が容易になる上、継続操作機器近傍に表示されるパラメータを参照して現在の機器操作の妥当性も判断でき、プラントを効率的に運転できる。
【0033】
(実施の形態6)
図6(a)(b)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施するデフォルメ処理の模式図を示す。図6(a)(b)に示すデフォルメ処理は、機器操作設定画面10を表示した場合に、表示エリアが小さくなった機器の系統を示す図面9を対象としている。
【0034】
まず、図6(a)に示すように、操作器8を押して操作対象である機器2を選択する。次に、機器2の機器操作設定画面10が画面に表示されるに伴い、機器の系統を示す図面9は縮小される。図面変形部21のデフォルメ機能は、図6(b)のように縮小された機器の系統を示す図面9に合わせて、表示される機器1〜6及び配線等を表示可能なサイズに変更し、暫定的な縮小比率を算出する。その後、領域判別部15により区分けされたデフォルメ対象領域に対してデフォルメを行う。図6(b)では、操作機器である機器2のみを拡大表示する。
【0035】
一方、図6(b)に示すように、機器2以外の領域は、非デフォルメ領域であるため、図面変形部21の非強調データ生成機能により、デフォルメされた機器2のサイズを考慮して、暫定的な縮小比率を再計算して非デフォルメ対象領域の縮小比率を変更する。
【0036】
なお、図6(a)(b)では、機器の系統を示す図面9と同時に表示される画面は機器操作設定画面10としたが、本発明はこれに限られず、機器の操作設定画面や機器パラメータ表示画面を含むプラント運転に必要な複数の画面でも良い。
【0037】
以上のように、本実施の形態に係るデフォルメ条件であれば、機器操作設定画面10等を同一画面に表示する場合でも、全ての情報を隠すことなく単一画面へ表示できるため、マルチスクリーン利用時と比較して動線移動がより少ない状態で、プラント状態を把握できる。
【0038】
(実施の形態7)
図7(a)〜(c)は、領域判別部15において、デフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域とを区分けする方法を説明するための図である。なお、図7(a)〜(c)では、説明を簡単にするため、デフォルメ対象領域が操作対象機器のみの場合について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0039】
図7(a)では、機器21にツリー状に接続された機器22〜26と、機器31に並列的に接続された機器32,33と、機器35と,機器36との4つの系統が図示されている。そして、図7(a)において機器24を操作対象機器とした場合、領域判別部15は、まず図面のY軸に平行な2本の線分をそれぞれ仮想的に生成する(以下、この平行線分を仮想線分ともいう)。Y軸に平行な仮想線分のうち、1本目(図の左側)の仮想線分41を、操作対象機器である機器24の一部と最初に接するX座標値までY軸と平行に左側から右側まで移動させ、2本目(図の右側)の仮想線分42も機器24と最後に接するX座標値までY軸と平行に移動させる(図7(b))。図7(b)のように機器24を挟んだ仮想線分41,42が、他の機器を表現する図形要素(以下、機器シンボルともいう)と交差する場合、当該交差を解消するように、機器シンボルの境界40に沿って仮想線分41,42を折れ線化する(図7(c))。
【0040】
以上の処理により、図7(c)に示すように2つの非デフォルメ対象領域43,44が生成される。一方、図7(c)に示す2本の折れ線の仮想線分41,42の幾何情報(例えばa<Y<bではX=p,c<Y<dではX=qからなる仮想線分の折れ線方程式)を用いて2本の仮想線分に挟まれた線分要素(以下、被分断線分45ともいう)が抽出される。この処理により、被分断線分45がデフォルメ対象領域となる。
【0041】
なお、前述のY軸に平行な線分の変わりにX軸に平行な線分を用いても区分け可能である。さらにX軸に平行な線分及びY軸に平行な線分の計4本の線分を用いて、より細かく領域を分割して区分けすることも可能である。さらに、実施の形態5で示したように、操作対象機器と次に操作する可能性の高い機器とをデフォルメ処理する場合でも、それぞれの機器について上記の区分け処理を適用することにより同様なデフォルメ処理が可能となる。
【0042】
以上のように、本実施の形態に係る領域分割部15は、関心領域である操作対象の機器2を挟む仮想線分41,42と、他の機器の境界40とに基づいて図面データをデフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域とに分けるので、図面を複数の領域に容易に区分けできる。
【0043】
(実施の形態8)
図8(a)(b)は、領域判別部15において、デフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域とを区分けする方法を説明するための図である。特に、本実施の形態では、操作対象機器、操作対象機器に直接接続する複数の機器群(一次接続機器)や機器同士を接続する配管群をデフォルメ表示するためにデフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域とを区分けする。
【0044】
設備間の論理的な接続情報に基づき、操作対象機器及び一次接続機器が抽出可能である。操作対象機器及び一次接続機器及びその配管は、領域分割15において、例えば各機器や配管を表現する機器シンボルの座標値、回転角度等の幾何情報に基づいて、機器シンボルを含む閉矩形領域に自動生成される。
【0045】
具体的に、図8(a)を用いて説明する。図8(a)では、機器21にツリー状に接続された機器22〜26と、機器31に並列的に接続された機器32,33と、機器35と,機器36との4つの系統が図示されている。そして、図8(a)では、機器23を捜査対象機器とし、機器23に直接接続される機器21,22,24を一次接続機器としている。この機器21,22,23,24及びそれぞれの間に設けられた配管の幾何情報に基づき、領域分割部15は、図8(a)のように機器21,22,23,24に対して4つの閉矩形領域51と、配管に対して3つの閉矩形領域52がそれぞれ生成される。
【0046】
次に、領域分割部15は、生成された7つの閉矩形領域51,52の和集合を求めることにより、図8(b)のように最小のデフォルメ対象領域46が判定される。デフォルメ対象領域46以外の領域が、非デフォルメ対象領域43,44となる。このデフォルメ対象領域46に対して実施の形態3を適用すれば、操作機器対象(機器23)及び一次接続機器(機器21,22,24)に対してデフォルメ処理を実行することができる。なお、本実施の形態に係る領域分割部15では、和集合を求めることでデフォルメ対象領域46を判定したが、本発明はこれに限られず、7つの閉矩形領域51,52を全て含む閉矩形領域をデフォルメ対象領域と判定しても良い。
【0047】
以上のように、本実施の形態に係る領域分割部15は、関心領域である機器23、機器23に直接接続される機器21,22,24、及び機器23と他の機器21,22,24とを繋ぐ配管のそれぞれを閉矩形領域51,52として指定すると共に、閉矩形領域51,52の和集合を求め、当該和集合の領域をデフォルメ対象領域とするので、容易にデフォルメ対象領域を決定できる。
【0048】
(実施の形態9)
図9(a)(b)は、本実施の形態に係る図面変形部21における非デフォルメ対象領域の処理について説明するための図である。まず、図9(a)は、実施の形態7又は実施の形態8により区分けされた非デフォルメ対象領域43と非デフォルメ対象領域44、デフォルメ対象領域46(黒の塗りつぶしがある機器シンボル(操作対象機器)を含む)を示す。図面変形部21のデフォルメ機能は、拡大、縮小、回転及び色替などの様々な強調方法によりデフォルメ対象領域をデフォルメする。
【0049】
一方、図面変形部21は、図面の表示領域や縦横比等を考慮して、非デフォルメ対象領域の図面データを、デフォルメ後のデフォルメ対象領域の図面データとの整合を図るために尺度を変更する。なお、図面変形部21の非強調データ生成機能の尺度は、ユーザの所望の尺度に変更することも可能であるが、最終的にデフォルメ後のデフォルメ対象領域の図面データと非デフォルメ対象領域の図面データとを組み合わせて図面として再構築することができる範囲に制限される。
【0050】
以上のように、図9(a)(b)に示すような処理を行うので、図面を細分化し、細分化された領域のそれぞれに対してデフォルメ処理を施すことができ、ユーザの所望する表示形態に応じたデフォルメされた図面を生成できる。
【0051】
(実施の形態10)
図10(a)〜(c)は、本実施の形態に係る図面変形部21の非強調データ生成機能における非デフォルメ対象領域の処理について説明するための図である。まず、図10(a)では、図面60が領域分割部15により、デフォルメ対象領域61と非デフォルメ対象領域62とに区分けされている。そして、図10(a)では、デフォルメ対象領域61が図面変形部21のデフォルメ機能により拡大表示される場合について説明する。
【0052】
まず、デフォルメ対象領域61の表示サイズを、指定された拡大倍率又はマウス操作などにより決定される。次に、本実施の形態に係る図面変形部21は、図10(b)に示すように、表示サイズ変更前のデフォルメ対象領域61の位置関係に基づき、非デフォルメ対象領域62を複数の領域に分割する。つまり、デフォルメ対象領域61の各辺を利用して、非デフォルメ対象領域62を複数の領域に分割している。図10(b)では、非デフォルメ対象領域62を、A,B,C,D,E,F,G,Hの8つの領域に分割されている。
【0053】
次に、本実施の形態に係る図面変形部21は、デフォルメ処理後の表示サイズに基づいて、図10(c)のように、非デフォルメ対象領域62を複数の領域に分割する。そして、本実施の形態に係る図面変形部21の非強調データ生成機能は、デフォルメ処理前後における分割領域の対応関係(図10(b)と図10(c)との比較)に基づき各領域(A,B,C,D,E,F,G,Hの8つの領域)のX,Y方向それぞれの尺度を算出する。
【0054】
算出した尺度に基づき、本実施の形態に係る図面変形部21は、各領域の非デフォルメ対象領域62の図面データに対して縮小等の変更を行う。例えば、図10(c)に示すようにデフォルメ処理後、領域Cはデフォルメ処理前に比べて一層横長になり、領域Fは一層縦長になる。
【0055】
以上のように、本実施の形態に係る図面変形部21の非強調データ生成機能は、非デフォルメ対象領域を複数の領域に分け、デフォルメ処理の前後で各領域の尺度を算出し、当該尺度に基づき各領域の非デフォルメ対象領域の図面データを変更するので、表示エリアのサイズに基づいたデフォルメ処理が容易となり、図面生成コストが低減できる。なお、図面変形部21のデフォルメ機能が縮小表示する場合についても同様の処理を行うことができる。
【0056】
(実施の形態11)
図11(a)〜(c)は、本実施の形態に係る図面変形部21の非強調データ生成機能における非デフォルメ対象領域の処理について説明するための図である。まず、図11(a)では、図面60が領域分割部15により、デフォルメ対象領域61と非デフォルメ対象領域62とに区分けされている。なお、実施の形態10と異なり、本実施の形態に係るデフォルメ対象領域61の形状が凸型矩形である。そして、図11(a)では、デフォルメ対象領域61が図面変形部21のデフォルメ機能により拡大表示される場合について説明する。
【0057】
まず、デフォルメ対象領域61の表示サイズを、指定された拡大倍率又はマウス操作などにより決定される。次に、本実施の形態に係る図面変形部21の非強調データ生成機能は、図11(b)に示すように、表示サイズ変更前のデフォルメ対象領域61の位置関係に基づき、非デフォルメ対象領域62を複数の領域に分割する。図11(a)のようにデフォルメ対象領域61が凸型矩形の場合、図10(b)とは異なり横方向及び縦方向の2つの方向での分割が可能である。
【0058】
つまり、デフォルメ対象領域61の横方向の各辺を利用して、図11(b)のように領域B,D,Eと非デフォルメ対象領域62を分割する場合と、デフォルメ対象領域61の縦方向の各辺を利用して、図11(d)のように領域B,C,Dと非デフォルメ対象領域62を分割する場合とが考えられる。図11(b)では、非デフォルメ対象領域62を、A,B,C,D,E,F,G,Hの8つの領域に分割され、図11(d)では、非デフォルメ対象領域62を、A,B,C,D,E,Fの6つの領域に分割される。なお、上述した分割方向については、事前に規定しておく方法以外に、X方向とY方向とで異なる尺度変更を行うことで歪な形状となるシンボル個数を考慮して分割方向を選択しても良い。
【0059】
次に、本実施の形態に係る図面変形部21の非強調データ生成機能は、デフォルメ処理後の表示サイズに基づいて、図11(c)又は図11(e)のように、非デフォルメ対象領域62を複数の領域に分割する。そして、本実施の形態に係る図面変形部21の非強調データ生成機能は、デフォルメ処理前後における分割領域の対応関係(図11(b)と図11(c)との比較、又は図11(d)と図11(e)との比較)に基づき各領域(A,B,C,D,E,F,G,Hの8つの領域、又はA,B,C,D,E,Fの6つの領域)のX,Y方向それぞれの尺度を算出する。
【0060】
算出した尺度に基づき、本実施の形態に係る図面変形部21は、各領域の非デフォルメ対象領域62の図面データに対して縮小等の変更を行う。例えば、図11(c)に示すようにデフォルメ処理後、領域Gはデフォルメ処理前に比べて一層横長になる。また、図11(e)に示すようにデフォルメ処理後、領域Eはデフォルメ処理前に比べて一層横長になり、領域Dは一層縦長になる。
【0061】
以上のように、本実施の形態では、実施の形態10と同様に、図面を仮想的に複数領域に分割し、デフォルメ処理前後において各領域の尺度を算出できるため、表示エリアのサイズに基づいたデフォルメ処理が容易となり、図面生成コストが低減できる。なお、本実施の形態では、デフォルメ対象領域61の形状が凹型矩形である場合や、図面変形部21のデフォルメ機能が縮小表示する場合についても同様の処理を行うことができる。
【0062】
(実施の形態12)
図12(a)〜(d)は、実施の形態10又は実施の形態11により変更された非デフォルメ対象領域の分割された領域に対する処理を説明するための図である。図12(a)のように非デフォルメ対象領域の分割された領域を縦長になるように尺度を変更する場合に、当該領域の図面データに対して、図12(b)〜(d)の3つの異なる処理が考えられる。
【0063】
まず、図12(b)では、分割された領域を縦長になるように変更した尺度に合わせて、当該領域に含まれる機器シンボル(図面データ)も変更している。図12(b)のように処理した場合、同じ尺度を利用するため容易であるが、機器シンボルの形状が縦長又は横長になり、もとの形状と大きく異なる。
【0064】
図12(c)では、分割された領域に含まれる機器シンボル(図面データ)のうち、配管を表現する線分又は折れ線のシンボルは当該領域の尺度に合わせて変更し、弁などを表現するシンボルはX方向又はY方向のうちいずれか小さい方の当該領域の尺度で等倍変更する。図12(c)のように処理した場合、弁などを表現するシンボルの形状がもとの形状と相似となるが、配管を表現するシンボルと弁などを表現するシンボルとの間に不連続な部分70が生じるため補間処理が必要となる。
【0065】
図12(d)では、分割された領域に含まれる機器シンボル(図面データ)の全てを、X方向又はY方向のうちいずれか小さい方の当該領域の尺度で等倍変更する。図12(d)のように処理した場合、機器シンボルの全ての形状がもとの形状と相似となるが、隣接する領域間との間に不連続な部分71が生じるため補間処理が必要となる。
【0066】
以上のように、本実施の形態では、分割した領域の機器シンボル(図面データ)について、必要に応じて尺度を変更することができ、図面生成に対して柔軟に対応できる。
【0067】
(実施の形態13)
図13(a)〜(c)は、実施の形態10又は実施の形態11により変更された非デフォルメ対象領域の分割された領域に対する処理を説明するための図である。図13(a)は、図10(b)と同様、非デフォルメ対象領域62を、A,B,C,D,E,F,G,Hの8つの領域に分割している。この図13(a)に示すデフォルメ対象領域61を拡大するデフォルメ処理を行う場合に、分割した各領域に対してマウスなどにより任意の形状に変更する。図13(a)では、領域Cと領域Hとを縮小する例が図示されている。
【0068】
各領域に対して変更処理を行った後の図面は、図13(b)のようになる。図13(b)では、隣接する領域間が不連続となっているため、図面変形部21は、設備間の論理的な接続情報に基づいて、図13(c)に示すように線分や折れ線などの図形要素75を用いて補間する。なお、本実施の形態では、デフォルメ対象領域61の形状が矩形の場合について説明したが、本発明はこれに限られず、凸型矩形や凹型矩形でも良い。
【0069】
以上のように、本実施の形態では、図面変形部21の非強調データ生成機能が非デフォルメ対象領域62を複数に分けた領域を任意に変更した後、図面変形部21が、位相情報の論理的な接続情報に基づいて、非デフォルメ対象領域62を複数に分けた領域間、及びデフォルメ対象領域との間を図形要素で補間接合するので、各領域単位での形状変形が可能となり、定期点検結果や事故結果のような特定のエリア又は設備に着目した図面を容易に作成でき、業務の効率化が図れる。
【0070】
(実施の形態14)
図14(a)〜(d)は、デフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域との組み合わせ方式を説明するための図である。図14(a)では、実施の形態9で説明した処理が施されており、デフォルメ対象領域46は拡大表示するデフォルメ処理が行われ、非デフォルメ対象領域43,44には尺度変更が行われている。
【0071】
これらの領域群を組み合わせる場合は、設備間の論理的接続情報に基づき、各領域を接合する。例えば、デフォルメ対象領域46と接続する線分を非デフォルメ対象領域43から位相情報に基づき抽出した後、その線分に接続するデフォルメ対象領域46が隣接するように領域同士を接合する。
【0072】
各領域を接合後の図面を、図14(b)に示す。図14(b)では、領域同士の重なり81や被分断線分の欠落82等が発生しており完全な図面ではない。そこで、重なり部分81については、いずれか一方の領域を平行移動させることにより重なりを除去する。また、被分断線分の欠落82については、線分を補間することにより欠落部分を補う。その結果、図14(c)のような図面が生成され、被分断線分の欠落を補う線分83が図示されている。
【0073】
しかし、図14(c)では、図14(b)の領域同士の重なり81を解消するために、いずれか一方の領域を平行移動させるので隙間84が発生している。そのため、最終的には、その隙間84を線分で補間することが必要となる。図14(d)では、線分85を用いて隙間84を補完することで、隣接領域同士を接合している。
【0074】
原則として、補間すべき図形要素は、配管を表現する図形要素に従うこととするが、ユーザが任意に指定する図形要素を用いて接合することも可能である。さらに、既に存在する図形要素に対して、同種の図形要素を追加して補間する場合、複数の図形要素を集約することもできる。例えば、既存の線分と追加する線分との2本の線分が存在する場合、それらの線分の両端を接合して1本の線分にすることもできる。
【0075】
以上のように、本実施の形態では、デフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域とを任意の場所の配置した場合でも、隣接する領域同士の位相状態を変更することなく接合できるため、ユーザが望む任意の図面を再構築できる。
【0076】
(実施の形態15)
図15(a)(b)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施する図面変形処理の模式図を示す。図15(a)(b)に示す図面変形処理は、機器操作に先立ち機器操作用の画面が表示される場面、または、各機器のパレメータの時間的な変遷を確認するためにグラフを表示する場面において、画面やグラフとすでに表示されている図面を重ねて表示することのないように、図形を移動、変形する。
【0077】
図15(a)は図面変形前の状態を示す。図15(a)では、機器111,112および機器115の系統、および、機器113,機器114および機器116の系統の2つの系統が図示されている。
【0078】
図15(b)に示すように、すでに図15(a)が表示されている状態で、パラメータ監視用のグラフ121および機器操作用の画面122が表示される場合、まず、グラフまたは機器操作画面の表示領域に完全に含まれるシンボル、または領域と交差するシンボルが抽出される。さらに領域内と領域外にまたがるシンボルもあわせて抽出される。この例では、領域に含まれるまたは交差するシンボルとして機器112および機器113が、領域内と領域外をまたがるシンボルとして配管117が抽出される。この時、機器112と配管117は相互に接続しているという情報(以後、相互接続情報と呼ぶ)も保持する。更に機器113と配管118の相互接続情報も保持する。次に、抽出されたシンボルのうち、領域に近いシンボルから順に領域に含まれない、または交差しないように領域外へ移動させる処理を施す。図15(b)では、機器112、機器113の順に処理される。次に、相互接続情報に従い、配管117の端点を移動後の機器112に接続するように移動させる。一方、機器113の移動に伴い配管118の端点も移動した場合、移動後の位置を考慮して線分を折れ線化して接続する。もちろん単純に端点を移動させて斜め線分として描画することも可能である。
【0079】
以上のように、本実施の形態に係る図面変形であれば、全ての情報をお互いが重ならないように表示できるため、視認性を妨げることなくプラント状態を把握できる利点がある。
【0080】
(実施の形態16)
図16(a)(b)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施する図面変形およびデフォルメ処理の模式図を示す。図16(a)(b)に示す図面変形およびデフォルメ処理は、機器操作に先立ち機器操作用の画面が表示される場面、または、各機器のパレメータの時間的な変遷を確認するためにグラフを表示する場面において、画面やグラフとすでに表示されている図面を重ねて表示することのないように、図形を移動、変形するとともに、図面内で着目したいシンボルを強調表示する。
【0081】
図16(a)は図面変形およびデフォルメ前の状態を示す。図16(a)では、機器111,112および機器115の系統、および、機器113、機器114および機器116の系統の2つの系統が図示されている。
【0082】
図16(b)に示すように、すでに図16(a)が表示されている状態で、パラメータ監視用のグラフ121および機器操作用の画面122が表示される場合、まず、グラフまたは機器操作画面の表示領域に完全に含まれるシンボル、または領域と交差するシンボルが抽出される。さらに領域内と領域外にまたがるシンボルもあわせて抽出される。この例では、領域に含まれるまたは交差するシンボルとして機器112および機器113が、領域内と領域外をまたがるシンボルとして配管117が抽出される。この時、機器112と配管117は相互に接続しているという情報(以後、相互接続情報と呼ぶ)も保持する。更に機器113と配管118の相互接続情報も保持する。次に、抽出されたシンボルのうち、領域に近いシンボルから順に領域に含まれない、または交差しないように領域外へ移動させる処理を施す。図15(b)では、機器112、機器113の順に処理される。次に、相互接続情報に従い、配管117の端点を移動後の機器112に接続するように移動させる。一方、機器113の移動に伴い配管118の端点も移動した場合、移動後の位置を考慮して線分を折れ線化して接続する。もちろん単純に端点を移動させて斜め線分として描画することも可能である。その後、入力部により入力されたプラントにおける関心領域及びデフォルメ条件、または、領域判定部により特定された次に操作すべき機器や操作に伴い影響を受ける機器群または範囲についての情報に従い、機器115がデフォルメ表示される。
【0083】
以上のように、本実施の形態に係る図面変形であれば、全ての情報をお互いが重ならないように表示できる上、作業者が着目している機器や範囲などを強調表示できるため、視認性を妨げることなく、かつ注目すべき個所へ視線を誘導できる利点がある。
【0084】
(実施の形態17)
図17(a)(b)(c)(d)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施する図面変形の一例を示す。図17(a)(b)(c)(d)では、機器操作に先立ち機器操作用の画面が表示される場面、または、各機器のパレメータの時間的な変遷を確認するためにグラフを表示する場面において、画面やグラフとすでに表示されている図面を重ねて表示することのないように、図形を移動、変形する処理の概要を示す。
【0085】
図17(a)は図面変形前の状態を示す。図17(a)では、機器111、12および機器115の系統、および、機器113、機器114および機器116の系統の2つの系統が図示されている。
【0086】
図17(b)に示すように、すでに図17(a)が表示されている状態で、パラメータ監視用のグラフ121が表示される場合、まず、グラフまたは機器操作画面の表示領域に完全に含まれるシンボル、または領域と交差するシンボルが抽出される。さらに領域内と領域外にまたがるシンボルもあわせて抽出される。この例では、領域に含まれるまたは交差するシンボルとして機器112および機器113が、領域内と領域外をまたがるシンボルとして配管117が抽出される。この時、機器112と配管117は相互に接続しているという情報(以後、相互接続情報と呼ぶ)も保持する。更に機器113と配管118,配管119の相互接続情報も保持する。次に、抽出されたシンボルのうち、領域に近いシンボルから順に領域に含まれない、または交差しないように領域外へ移動させる処理を施す。図17(b)では、機器112、機器113の順に処理される。次に、相互接続情報に従い、配管117の端点を移動後の機器112に接続するように移動させる。
【0087】
図17(c)は移動後の状態を示す。機器112が図面左側へ移動したことに伴い、図17(c)の丸印122の箇所で機器114との干渉が発生するため、機器114が図面左下へ移動する。引き続き、移動後の機器114との干渉を避けるために機器115が図面左下へ移動する。一方、図17(c)の丸印123の箇所では、機器113と配管119とが干渉している。そこで、配管119の端点のうち、干渉している端点のみを機器113と接続するように移動させる。配管119の端点移動においては、機器116と干渉が発生しないため、機器116を移動させる必要はない。次に、配管118も機器113に正しく接続するように端点を移動させる。この結果、図17(d)に示す通り、系統図とグラフを互いに重なることなく表示することができる。なお、移動の際は、移動距離が最小となるようにする。移動の方法としては、上述の方法のみならず、他のシンボルと干渉することなく、図面内でシンボルを配置可能なスペースを見つけて移動させる方法もある。また、画面表示領域の制約により、元図全体が画面に納まりきらない場合、各シンボルを縮小しながら図面を変形することも可能である。
【0088】
変形方法は、対象領域外へ移動させるシンボルを、図17(a)内のグラフ121の表示領域の重心から表示領域外へ移動させるべきシンボルへの位置ベクトルの方向へ遠ざける方法である。この方法では、シンボルは領域重心から見て放射状に遠ざかることになる。もちろん、遠ざける方向を量子化することも可能であり、例えば、上下左右の4方向やさらに粒度を細かくした8方向などへ量子化してもよい。
【0089】
以上のように、本実施の形態に係る図面変形であれば、既表示図面が規定された表示領域に納まるように、かつ全ての情報をお互いが重ならないように表示できる利点がある。
【0090】
(実施の形態18)
図18(a),(b),(c)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施する、トポロジーを保持した状態での図形変形処理の模式図を示す。図18(a),(b),(c)に示すトポロジーを保持した図面変形処理は、領域分割部により図面を複数の領域に分割したのち、領域間のトポロジーを保持したまま、領域を移動、変形させる。ここで変形とは図18(c)に示すように、縦横方向へ同一の割合で領域全体の尺度変更すること以外に、領域の回転や領域内の特定要素のデフォルメに伴う領域変更等を指す。
【0091】
図18(a)は領域分割部により分割された状態を示す。図18(a)では、中央に描画された機器130をデフォルメする場合、領域分割部により非デフォルメ対象領域として領域131および領域132が生成される。図18(b)は非デフォルメ対象領域および領域間を接続する線分を模式的示す。ここで描画されている線分の役割は実施の形態14で記載されている。図18(c)は非デフォルメ領域である領域132を移動または変形した場合の線分の描画例を示す。線分は、移動および変形前の領域132と線分と位置関係を保持したまま、領域132の移動や変形に追従する。
【0092】
以上のように、本実施の形態に係るトポロジーを保持したままの図面変形であれば、領域分割部により分割された領域を、トポロジーを意識することなく個別に移動、変形させることができる上、移動および変形後に元図と同様なトポロジーを確保するために、改めて線分を描画する必要がない利点がある。
【0093】
(実施の形態19)
図19(a)(b)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施する位相情報に基づく操作影響範囲の特定についての模式図を示す。
【0094】
図19(a)の機器111の操作に伴う影響範囲を特定する場合、機器111の幾何情報から、機器111に接続する他の図形要素を抽出する。この処理により図19(a)における○印を一方の端点とする線分が抽出される。次に各線分について接続要素を判定し特定の機器を抽出するまで処理を継続する。その結果、図19(b)に示す機器112、機器113および機器114が抽出され、この時点で機器111と機器群との論理的な接続情報が生成される。
【0095】
以上のように、本実施の形態に係る位相情報に基づく操作影響範囲の特定によれば、操作対象機器の影響範囲を動的に強調表示できる行えるため、操作対象や影響度合いを確認しながら安全に機器操作を行うことができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の形態1に係るプラント情報表示装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係るプラント情報表示装置のデフォルメ条件を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係るプラント情報表示装置のデフォルメ条件を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態4に係るプラント情報表示装置のデフォルメ条件を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態5に係るプラント情報表示装置のデフォルメ条件を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態6に係るプラント情報表示装置のデフォルメ条件を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態7に係るプラント情報表示装置の領域判別を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態8に係るプラント情報表示装置の領域判別を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態9に係るプラント情報表示装置の領域判別を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態10に係るプラント情報表示装置の非強調データ生成を説明するための図である。
【図11】本発明の実施の形態11に係るプラント情報表示装置の非強調データ生成を説明するための図である。
【図12】本発明の実施の形態12に係るプラント情報表示装置の非強調データ生成を説明するための図である。
【図13】本発明の実施の形態13に係るプラント情報表示装置の補間を説明するための図である。
【図14】本発明の実施の形態14に係るプラント情報表示装置の補間を説明するための図である。
【図15】本発明の実施の形態15に係るプラント情報表示装置の補間を説明するための図である。
【図16】本発明の実施の形態16に係るプラント情報表示装置の補間を説明するための図である。
【図17】本発明の実施の形態17に係るプラント情報表示装置の補間を説明するための図である。
【図18】本発明の実施の形態18に係るプラント情報表示装置の補間を説明するための図である。
【図19】本発明の実施の形態19に係るプラント情報表示装置の補間を説明するための図である。
【符号の説明】
【0097】
1〜6 機器、7 ボックス、8操作器、9 図面、10 機器操作設定画面、11 入力部、12 領域判定部、13 図面データ、15 領域分割部、19 図面出力部、20 表示部、21 図面変形部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント情報表示装置に係る発明であって、特に、プラントの状態を把握し、プラントを構成する機器を操作するために必要なプラント情報を表示するプラント情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、原子力発電プラント、火力発電プラント及び水処理プラント等のプラントシステムには、稼働しているプラントの状態を把握し、プラントを構成する機器を操作するために必要なプラント情報を表示するプラント情報表示装置が設けられている。このプラント情報表示装置に、機器の系統情報が表示されている画面に機器の操作画面を表示する場合、特許文献1では、画面のサイズに基づき系統情報の画面を縮小して、機器の操作画面と重なり合う部分がないようにして情報を隠さないよう表示している。
【0003】
さらに、プラントの機器の系統情報と似たものとして地図データがあり、この地図データの線画をデフォルメして表示するデフォルメ地図作成装置が特許文献2に開示されている。特許文献2では、例えば、地図データに対してユーザが指定した地図描画領域内で道路を表現する図形要素の長さを変更すること、目標物と関連づけられていない道路を間引くことや、道路を表現する複数の図形要素が交わる角度を変更すること等が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特許第2555412号
【特許文献2】特許第3442238号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示すプラント情報表示装置は、機器の操作画面を表示する際、系統情報を縮小表示するため、例えば操作対象機器のマクロ的な接続関係や機器操作に伴う影響範囲等の機器の操作上重要となる情報について視認性が悪くなる問題があった。さらに、特許文献1に示すプラント情報表示装置では、系統情報を含む画面が縮小されるため、現在注視している領域や機器を画面内で認識しづらくなる問題もあった。
【0006】
一方、特許文献2に示すデフォルメ地図作成装置では、地図データに含まれる道路情報と目標物情報を関連づける作業が必要となり、デフォルメの際は、目標物と関連づけられていない道路を表現する図形要素は間引かれることになる。しかし、原子力発電プラント、火力発電プラント及び水処理プラント等のプラントでは、特定の機器に対する操作が画面内では近接していない領域に描画された機器や、系統全体にも影響を及ぼすことがあり系統情報の一部を間引くことは操作の度合いやその適切性を判断する上で問題となる。さらに、特許文献2では、ユーザが明示的に地図の描画領域を指定することにより地図の一部分をデフォルメしているにすぎないため、プラント全体又はプラント内の特定の系統(例えば、蒸気発生系統、冷却水系統等)全体をデフォルメする場合、描画のための計算が多大となり即時性の観点で問題となる。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題点を解決するためのものであり、プラント監視及びプラント機器の操作において必要となる全ての情報を隠すことなく、且つ視認性を下げることなく図面データをデフォルメして表示するプラント情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る解決手段は、プラントの状態を把握し、プラントを構成する機器を操作するために必要なプラント情報を表示するプラント情報表示装置であって、入力部と、入力部を用いてプラントにおける関心領域及びデフォルメ条件を入力し、入力部により入力された関心領域及びデフォルメ条件に基づきデフォルメ対象領域を特定する領域判定部と、領域判定部により特定されたデフォルメ対象領域に基づいて、図面を複数の領域に分割してデフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域とに分けて管理する領域分割部と、デフォルメ対象領域及び非デフォルメ対象領域を表示領域内でそれぞれ変形させる図面変形部と、図面変形部により変形されたデフォルメ対象領域及び非デフォルメ対象領域を図面の出力データとして出力する図面出力部と、図面出力部から出力された出力データを表示する表示部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に記載のプラント情報表示装置は、図面変形部によりデフォルメされたデフォルメ対象領域と、図面変形部により変形された非デフォルメ対象領域とを図面に記載された機器の位相関係に基づき配置し、非接合箇所を位相情報の論理的な接続情報に基づいて図形要素を補間接合することにより再度図面として再構成するので、表示領域の制約がある場合でもプラント監視及びプラント機器の操作において必要となる全ての情報を隠すことなく、且つ視認性を下げることなく図面データをデフォルメして表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施の形態1)
図1に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置のブロック図を示す。図1に示すプラント情報表示装置は、マウス、キーボード又はタッチパネルなどの入力部11と、入力部11を用いて、ユーザが操作等を行おうとしている機器を含む関心領域と、当該関心領域のデフォルメ条件とを入力し、入力部により入力された関心領域及びデフォルメ条件に基づきデフォルメ対象領域を特定する領域判定部12とを備えている。さらに、図1に示すプラント情報表示装置は、領域分割部15と、図形変形部21と、図面出力部19と、表示部20とを備える。
【0011】
図1に示す領域分割部15では、領域判定部12により特定されたデフォルメ対象領域に関するデータに基づき、図面データ13全体をデフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域との2種類の領域に区分けする。ここで、位相情報である機器同士の論理的な接続情報とは、例えば図面データ13上で機器を表現するシンボル同士の接続関係や、機器を表現するシンボルとそれに接続する配管を表現した線分又は折れ線との接続関係等を指す。また、デフォルメとは、単一のシンボル又は複数シンボルについて、シンボルの拡大、色替、シンボルを構成する図形要素の太さ変更、線種変更、シンボル表示領域の網掛け表示等により強調表示することを指す。
【0012】
さらに、デフォルメ対象領域とは、デフォルメの対象となるシンボル(単一又は複数)を含む閉領域を指す。一方、デフォルメ非対象領域とは、図面データ13全体からデフォルメ対象領域を除いた領域を指す。デフォルメ非対象領域は、デフォルメ対象領域の位置により、単一の領域又は複数の異なる領域として表現される。
【0013】
図形変形部21では、デフォルメ対象領域を強調表示するデフォルメ機能と、非デフォルメ対象領域を変形する非強調データ生成機能を有する。図1に示す図形変形部21は、領域分割部15で特定したデフォルメ対象領域から、当該領域に含まれる図面データ13を取り出し、当該図面データ13に対してデフォルメ条件に従ってデフォルメを施す。一方、領域分割部15で判定した非デフォルメ対象領域に含まれる図面データ13を、デフォルメ後のデフォルメ対象領域の図面データ13との整合を図るために尺度を変えたり、領域を抽象化したり等の変更を行う。
【0014】
さらに、図1に示す図面変形部21は、図面変形部21に含まれるデフォルメ機能及び非強調データ生成機能のそれぞれにより加工された複数の図面データ13を、図面データ13に記載された機器の位相関係に基づき配置し、複数の図面データ13を1枚の図面として再構成する。図面変形部21は、配置する際、デフォルメ内容や尺度により隣接する図面データ13同士が正確に接合しない場合、当該箇所(非接合箇所)を位相情報の論理的な接続情報に基づいて、接合に必要な図形要素を補間接合する。また、図面変形部21は、必要により、接合点を合わせる尺度調整処理等を行う。
【0015】
次に、図面出力部19は、図面変形部21により再構築された図面を出力データとして表示部20へ出力する。表示部20は、図面出力部19からの出力データを表示するディスプレイである。なお、図面出力部19から出力される出力データは、表示部20に出力せずにファイルとして出力しても良い。また、図1に示す入力部11及び出力部20を除く各構成要素は、当該構成要素の動作をプログラムしたものをコンピュータに実装し、動作させることもできる。
【0016】
以上のように、本実施の形態に係るプラント情報表示装置は、図1に示す構成要素を備えることで、図面内での機器同士のトポロジーを変更することなくデフォルメ表示でき、機器操作に伴い着目すべき機器等を認識しやすくなり、プラント運転作業の省力化が図れる。
【0017】
(実施の形態2)
図2(a)(b)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施するデフォルメ処理の模式図を示す。図2(a)(b)に示すデフォルメ処理は、領域判定部12により入力されるデフォルメ条件に基づいて処理されており、当該条件は機器操作が必要な場面において、対象操作機器のみをデフォルメ表示する。
【0018】
図2(a)では、機器1に並列的に接続された機器2,3と、機器4に直列的に接続された機器5,6との2つの系統が図示されている。このうち、入力部11を用いて機器2を操作機器(関心領域)として指定すると、本実施の形態に係るプラント情報表示装置では、図2(b)に示すように機器2のみをデフォルメ表示(本実施の形態では拡大表示)されている。なお、本実施の形態では、デフォルメ表示として拡大表示を用いたが、本発明はこれに限られず、例えば対象機器の表示色を変更しても良い。また、デフォルメの対象機器をより強調するために、対象機器の拡大表示に加えて、表示色の変更も併用しても良い。
【0019】
一方、図2(b)に示すように、機器2以外の領域は、非デフォルメ領域であるため、図面変形部21の非強調データ生成機能により、図2(a)に比べて尺度が小さくなるように変更されている。つまり、デフォルメ領域である機器2の拡大に伴い、表示スペースを確保する等の調整が必要となるため、非デフォルメ領域の尺度を調整している。
【0020】
以上のように、本実施の形態に係るデフォルメ条件であれば、図面内の操作対象機器のみをデフォルメ表示できるため、機器操作時の注目エリアへ視線を誘導できる利点がある。さらに、デフォルメ表示により操作機器対象を誤認識する可能性が低減される上、例えば弁の開度のような機器パラメータを誤認識することなく、パラメータ値を確認しつつ適切な機器操作を行えるなどの利点がある。
【0021】
(実施の形態3)
図3(a)(b)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施するデフォルメ処理の模式図を示す。図3(a)(b)に示すデフォルメ処理は、機器操作が必要な場面において、機器を操作したことに伴い影響を受ける範囲についてデフォルメ表示する。機器を操作したことに伴い影響を受ける事例としては、例えば弁の開度のような機器状態を変更することにより当該機器と配管で接続された機器に影響を与えることが考えられる。また、機器を操作したことに伴い影響を受ける範囲は、機器同士の論理的な接続情報を用いて、操作対象機器に直接接続される機器(以下、一次接続機器ともいう)の範囲とすることもできる。
【0022】
図3(a)では、機器1に並列的に接続された機器2,3と、機器4に直列的に接続された機器5,6との2つの系統が図示されている。このうち、入力部11を用いて機器2を操作機器(関心領域)として指定する。このとき、機器2の操作で影響を受ける範囲は、配管で接続された機器1,3であるので、図3(b)に示すように機器1,2,3(一次接続機器)がデフォルメ表示されて拡大表示される。なお、本実施の形態では、デフォルメ表示として拡大表示を用いたが、本発明はこれに限られず、例えば対象機器の表示色を変更しても良い。また、デフォルメの対象機器をより強調するために、対象機器の拡大表示に加えて、表示色の変更も併用しても良い。
【0023】
一方、図3(b)に示すように、一次接続機器以外の領域は、非デフォルメ領域であるため、図面変形部21の非強調データ生成機能により、図3(a)に比べて尺度が小さくなるように変更されている。つまり、デフォルメ領域である一次接続機器の拡大に伴い、表示スペースを確保する等の調整が必要となるため、非デフォルメ領域の尺度を調整している。
【0024】
以上のように、本実施の形態に係るデフォルメ条件であれば、図面内の機器操作に伴う影響範囲のみをデフォルメ表示できるため、機器操作時の注目エリアへ視線を誘導できる利点がある。さらに、実施の形態2と比較して、機器操作の影響をより広範囲で把握することが容易となる。
【0025】
(実施の形態4)
図4(a)(b)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施するデフォルメ処理の模式図を示す。図4(a)(b)に示すデフォルメ処理は、機器を操作したことに伴い影響を受ける範囲についてデフォルメ表示し、操作機器の影響が及ばない範囲、又は影響が少ない範囲について抽象化している。
【0026】
図4(a)では、機器1に並列的に接続された機器2,3と、機器4に直列的に接続された機器5,6との2つの系統が図示されている。このうち、入力部11を用いて機器2を操作機器(関心領域)として指定する。このとき、機器2の操作で影響を受ける範囲は、配管で接続された機器1,3であるので、図4(b)に示すように機器1,2,3(一次接続機器)がデフォルメ表示されて拡大表示される。なお、本実施の形態では、デフォルメ表示として拡大表示を用いたが、本発明はこれに限られず、例えば対象機器の表示色を変更しても良い。また、デフォルメの対象機器をより強調するために、対象機器の拡大表示に加えて、表示色の変更も併用しても良い。
【0027】
一方、図4(b)に示すように、一次接続機器以外の領域(操作機器の影響が及ばない範囲、又は影響が少ない範囲)は、非デフォルメ領域であるため、図面変形部21により、機器4,5,6をボックス7のように縮約して抽象化する。ボックス7は、図4(b)に示すように系統を表現する名称及び記号などを用いて、その意味が判別可能となっている。なお、デフォルメ対象をより強調するために、ボックス7をモノクロ表示とすることも考えられる。
【0028】
以上のように、本実施の形態に係る図面変形部21での処理を用いることで、図面内の機器操作に伴い影響が及ばない範囲、又は影響が少ない範囲をボックス7のように縮約して抽象化した表示とすることができるため、機器操作時の注視領域のような、機器操作者にとって本来必要なる重要情報をより分かりやすく、明示的に表示でき、視認性が良くなる。
【0029】
(実施の形態5)
図5(a)(b)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施するデフォルメ処理の模式図を示す。図5(a)(b)に示すデフォルメ処理は、機器操作が必要な場面において、操作対象機器のみならず、当該機器の操作後に操作が必要となる可能性が高い機器(以下、継続操作機器ともいう)もデフォルメ表示する。なお、継続操作機器は、過去の運転実績データ、プラント状態及び現在のプラント状態に類似した事象の運転手順書などをもとに領域判定部12により判定される。
【0030】
図5(a)では、機器1に並列的に接続された機器2,3と、機器4に直列的に接続された機器5,6との2つの系統が図示されている。このうち、入力部11を用いて機器2を操作機器(関心領域)として指定する。このとき、機器2の操作後に操作が必要となる可能性が高い機器(継続操作機器)は、図5(b)の場合、機器3と判定されるので、図5(b)に示すように機器1,3がデフォルメ表示されて拡大表示される。なお、本実施の形態では、デフォルメ表示として拡大表示を用いたが、本発明はこれに限られず、例えば対象機器の表示色を変更しても良い。また、デフォルメの対象機器をより強調するために、対象機器の拡大表示に加えて、表示色の変更も併用しても良い。
【0031】
一方、図5(b)に示すように、機器1,3以外の領域は、非デフォルメ領域であるため、図面変形部21により、図5(a)に比べて尺度が変更されている。つまり、デフォルメ領域である一次接続機器の拡大に伴い、表示スペースを確保する等の調整が必要となるため、非デフォルメ領域の尺度を調整している。
【0032】
以上のように、本実施の形態に係るデフォルメ条件であれば、継続操作機器をデフォルメ表示するため、注視すべき領域への誘導が容易になる上、継続操作機器近傍に表示されるパラメータを参照して現在の機器操作の妥当性も判断でき、プラントを効率的に運転できる。
【0033】
(実施の形態6)
図6(a)(b)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施するデフォルメ処理の模式図を示す。図6(a)(b)に示すデフォルメ処理は、機器操作設定画面10を表示した場合に、表示エリアが小さくなった機器の系統を示す図面9を対象としている。
【0034】
まず、図6(a)に示すように、操作器8を押して操作対象である機器2を選択する。次に、機器2の機器操作設定画面10が画面に表示されるに伴い、機器の系統を示す図面9は縮小される。図面変形部21のデフォルメ機能は、図6(b)のように縮小された機器の系統を示す図面9に合わせて、表示される機器1〜6及び配線等を表示可能なサイズに変更し、暫定的な縮小比率を算出する。その後、領域判別部15により区分けされたデフォルメ対象領域に対してデフォルメを行う。図6(b)では、操作機器である機器2のみを拡大表示する。
【0035】
一方、図6(b)に示すように、機器2以外の領域は、非デフォルメ領域であるため、図面変形部21の非強調データ生成機能により、デフォルメされた機器2のサイズを考慮して、暫定的な縮小比率を再計算して非デフォルメ対象領域の縮小比率を変更する。
【0036】
なお、図6(a)(b)では、機器の系統を示す図面9と同時に表示される画面は機器操作設定画面10としたが、本発明はこれに限られず、機器の操作設定画面や機器パラメータ表示画面を含むプラント運転に必要な複数の画面でも良い。
【0037】
以上のように、本実施の形態に係るデフォルメ条件であれば、機器操作設定画面10等を同一画面に表示する場合でも、全ての情報を隠すことなく単一画面へ表示できるため、マルチスクリーン利用時と比較して動線移動がより少ない状態で、プラント状態を把握できる。
【0038】
(実施の形態7)
図7(a)〜(c)は、領域判別部15において、デフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域とを区分けする方法を説明するための図である。なお、図7(a)〜(c)では、説明を簡単にするため、デフォルメ対象領域が操作対象機器のみの場合について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0039】
図7(a)では、機器21にツリー状に接続された機器22〜26と、機器31に並列的に接続された機器32,33と、機器35と,機器36との4つの系統が図示されている。そして、図7(a)において機器24を操作対象機器とした場合、領域判別部15は、まず図面のY軸に平行な2本の線分をそれぞれ仮想的に生成する(以下、この平行線分を仮想線分ともいう)。Y軸に平行な仮想線分のうち、1本目(図の左側)の仮想線分41を、操作対象機器である機器24の一部と最初に接するX座標値までY軸と平行に左側から右側まで移動させ、2本目(図の右側)の仮想線分42も機器24と最後に接するX座標値までY軸と平行に移動させる(図7(b))。図7(b)のように機器24を挟んだ仮想線分41,42が、他の機器を表現する図形要素(以下、機器シンボルともいう)と交差する場合、当該交差を解消するように、機器シンボルの境界40に沿って仮想線分41,42を折れ線化する(図7(c))。
【0040】
以上の処理により、図7(c)に示すように2つの非デフォルメ対象領域43,44が生成される。一方、図7(c)に示す2本の折れ線の仮想線分41,42の幾何情報(例えばa<Y<bではX=p,c<Y<dではX=qからなる仮想線分の折れ線方程式)を用いて2本の仮想線分に挟まれた線分要素(以下、被分断線分45ともいう)が抽出される。この処理により、被分断線分45がデフォルメ対象領域となる。
【0041】
なお、前述のY軸に平行な線分の変わりにX軸に平行な線分を用いても区分け可能である。さらにX軸に平行な線分及びY軸に平行な線分の計4本の線分を用いて、より細かく領域を分割して区分けすることも可能である。さらに、実施の形態5で示したように、操作対象機器と次に操作する可能性の高い機器とをデフォルメ処理する場合でも、それぞれの機器について上記の区分け処理を適用することにより同様なデフォルメ処理が可能となる。
【0042】
以上のように、本実施の形態に係る領域分割部15は、関心領域である操作対象の機器2を挟む仮想線分41,42と、他の機器の境界40とに基づいて図面データをデフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域とに分けるので、図面を複数の領域に容易に区分けできる。
【0043】
(実施の形態8)
図8(a)(b)は、領域判別部15において、デフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域とを区分けする方法を説明するための図である。特に、本実施の形態では、操作対象機器、操作対象機器に直接接続する複数の機器群(一次接続機器)や機器同士を接続する配管群をデフォルメ表示するためにデフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域とを区分けする。
【0044】
設備間の論理的な接続情報に基づき、操作対象機器及び一次接続機器が抽出可能である。操作対象機器及び一次接続機器及びその配管は、領域分割15において、例えば各機器や配管を表現する機器シンボルの座標値、回転角度等の幾何情報に基づいて、機器シンボルを含む閉矩形領域に自動生成される。
【0045】
具体的に、図8(a)を用いて説明する。図8(a)では、機器21にツリー状に接続された機器22〜26と、機器31に並列的に接続された機器32,33と、機器35と,機器36との4つの系統が図示されている。そして、図8(a)では、機器23を捜査対象機器とし、機器23に直接接続される機器21,22,24を一次接続機器としている。この機器21,22,23,24及びそれぞれの間に設けられた配管の幾何情報に基づき、領域分割部15は、図8(a)のように機器21,22,23,24に対して4つの閉矩形領域51と、配管に対して3つの閉矩形領域52がそれぞれ生成される。
【0046】
次に、領域分割部15は、生成された7つの閉矩形領域51,52の和集合を求めることにより、図8(b)のように最小のデフォルメ対象領域46が判定される。デフォルメ対象領域46以外の領域が、非デフォルメ対象領域43,44となる。このデフォルメ対象領域46に対して実施の形態3を適用すれば、操作機器対象(機器23)及び一次接続機器(機器21,22,24)に対してデフォルメ処理を実行することができる。なお、本実施の形態に係る領域分割部15では、和集合を求めることでデフォルメ対象領域46を判定したが、本発明はこれに限られず、7つの閉矩形領域51,52を全て含む閉矩形領域をデフォルメ対象領域と判定しても良い。
【0047】
以上のように、本実施の形態に係る領域分割部15は、関心領域である機器23、機器23に直接接続される機器21,22,24、及び機器23と他の機器21,22,24とを繋ぐ配管のそれぞれを閉矩形領域51,52として指定すると共に、閉矩形領域51,52の和集合を求め、当該和集合の領域をデフォルメ対象領域とするので、容易にデフォルメ対象領域を決定できる。
【0048】
(実施の形態9)
図9(a)(b)は、本実施の形態に係る図面変形部21における非デフォルメ対象領域の処理について説明するための図である。まず、図9(a)は、実施の形態7又は実施の形態8により区分けされた非デフォルメ対象領域43と非デフォルメ対象領域44、デフォルメ対象領域46(黒の塗りつぶしがある機器シンボル(操作対象機器)を含む)を示す。図面変形部21のデフォルメ機能は、拡大、縮小、回転及び色替などの様々な強調方法によりデフォルメ対象領域をデフォルメする。
【0049】
一方、図面変形部21は、図面の表示領域や縦横比等を考慮して、非デフォルメ対象領域の図面データを、デフォルメ後のデフォルメ対象領域の図面データとの整合を図るために尺度を変更する。なお、図面変形部21の非強調データ生成機能の尺度は、ユーザの所望の尺度に変更することも可能であるが、最終的にデフォルメ後のデフォルメ対象領域の図面データと非デフォルメ対象領域の図面データとを組み合わせて図面として再構築することができる範囲に制限される。
【0050】
以上のように、図9(a)(b)に示すような処理を行うので、図面を細分化し、細分化された領域のそれぞれに対してデフォルメ処理を施すことができ、ユーザの所望する表示形態に応じたデフォルメされた図面を生成できる。
【0051】
(実施の形態10)
図10(a)〜(c)は、本実施の形態に係る図面変形部21の非強調データ生成機能における非デフォルメ対象領域の処理について説明するための図である。まず、図10(a)では、図面60が領域分割部15により、デフォルメ対象領域61と非デフォルメ対象領域62とに区分けされている。そして、図10(a)では、デフォルメ対象領域61が図面変形部21のデフォルメ機能により拡大表示される場合について説明する。
【0052】
まず、デフォルメ対象領域61の表示サイズを、指定された拡大倍率又はマウス操作などにより決定される。次に、本実施の形態に係る図面変形部21は、図10(b)に示すように、表示サイズ変更前のデフォルメ対象領域61の位置関係に基づき、非デフォルメ対象領域62を複数の領域に分割する。つまり、デフォルメ対象領域61の各辺を利用して、非デフォルメ対象領域62を複数の領域に分割している。図10(b)では、非デフォルメ対象領域62を、A,B,C,D,E,F,G,Hの8つの領域に分割されている。
【0053】
次に、本実施の形態に係る図面変形部21は、デフォルメ処理後の表示サイズに基づいて、図10(c)のように、非デフォルメ対象領域62を複数の領域に分割する。そして、本実施の形態に係る図面変形部21の非強調データ生成機能は、デフォルメ処理前後における分割領域の対応関係(図10(b)と図10(c)との比較)に基づき各領域(A,B,C,D,E,F,G,Hの8つの領域)のX,Y方向それぞれの尺度を算出する。
【0054】
算出した尺度に基づき、本実施の形態に係る図面変形部21は、各領域の非デフォルメ対象領域62の図面データに対して縮小等の変更を行う。例えば、図10(c)に示すようにデフォルメ処理後、領域Cはデフォルメ処理前に比べて一層横長になり、領域Fは一層縦長になる。
【0055】
以上のように、本実施の形態に係る図面変形部21の非強調データ生成機能は、非デフォルメ対象領域を複数の領域に分け、デフォルメ処理の前後で各領域の尺度を算出し、当該尺度に基づき各領域の非デフォルメ対象領域の図面データを変更するので、表示エリアのサイズに基づいたデフォルメ処理が容易となり、図面生成コストが低減できる。なお、図面変形部21のデフォルメ機能が縮小表示する場合についても同様の処理を行うことができる。
【0056】
(実施の形態11)
図11(a)〜(c)は、本実施の形態に係る図面変形部21の非強調データ生成機能における非デフォルメ対象領域の処理について説明するための図である。まず、図11(a)では、図面60が領域分割部15により、デフォルメ対象領域61と非デフォルメ対象領域62とに区分けされている。なお、実施の形態10と異なり、本実施の形態に係るデフォルメ対象領域61の形状が凸型矩形である。そして、図11(a)では、デフォルメ対象領域61が図面変形部21のデフォルメ機能により拡大表示される場合について説明する。
【0057】
まず、デフォルメ対象領域61の表示サイズを、指定された拡大倍率又はマウス操作などにより決定される。次に、本実施の形態に係る図面変形部21の非強調データ生成機能は、図11(b)に示すように、表示サイズ変更前のデフォルメ対象領域61の位置関係に基づき、非デフォルメ対象領域62を複数の領域に分割する。図11(a)のようにデフォルメ対象領域61が凸型矩形の場合、図10(b)とは異なり横方向及び縦方向の2つの方向での分割が可能である。
【0058】
つまり、デフォルメ対象領域61の横方向の各辺を利用して、図11(b)のように領域B,D,Eと非デフォルメ対象領域62を分割する場合と、デフォルメ対象領域61の縦方向の各辺を利用して、図11(d)のように領域B,C,Dと非デフォルメ対象領域62を分割する場合とが考えられる。図11(b)では、非デフォルメ対象領域62を、A,B,C,D,E,F,G,Hの8つの領域に分割され、図11(d)では、非デフォルメ対象領域62を、A,B,C,D,E,Fの6つの領域に分割される。なお、上述した分割方向については、事前に規定しておく方法以外に、X方向とY方向とで異なる尺度変更を行うことで歪な形状となるシンボル個数を考慮して分割方向を選択しても良い。
【0059】
次に、本実施の形態に係る図面変形部21の非強調データ生成機能は、デフォルメ処理後の表示サイズに基づいて、図11(c)又は図11(e)のように、非デフォルメ対象領域62を複数の領域に分割する。そして、本実施の形態に係る図面変形部21の非強調データ生成機能は、デフォルメ処理前後における分割領域の対応関係(図11(b)と図11(c)との比較、又は図11(d)と図11(e)との比較)に基づき各領域(A,B,C,D,E,F,G,Hの8つの領域、又はA,B,C,D,E,Fの6つの領域)のX,Y方向それぞれの尺度を算出する。
【0060】
算出した尺度に基づき、本実施の形態に係る図面変形部21は、各領域の非デフォルメ対象領域62の図面データに対して縮小等の変更を行う。例えば、図11(c)に示すようにデフォルメ処理後、領域Gはデフォルメ処理前に比べて一層横長になる。また、図11(e)に示すようにデフォルメ処理後、領域Eはデフォルメ処理前に比べて一層横長になり、領域Dは一層縦長になる。
【0061】
以上のように、本実施の形態では、実施の形態10と同様に、図面を仮想的に複数領域に分割し、デフォルメ処理前後において各領域の尺度を算出できるため、表示エリアのサイズに基づいたデフォルメ処理が容易となり、図面生成コストが低減できる。なお、本実施の形態では、デフォルメ対象領域61の形状が凹型矩形である場合や、図面変形部21のデフォルメ機能が縮小表示する場合についても同様の処理を行うことができる。
【0062】
(実施の形態12)
図12(a)〜(d)は、実施の形態10又は実施の形態11により変更された非デフォルメ対象領域の分割された領域に対する処理を説明するための図である。図12(a)のように非デフォルメ対象領域の分割された領域を縦長になるように尺度を変更する場合に、当該領域の図面データに対して、図12(b)〜(d)の3つの異なる処理が考えられる。
【0063】
まず、図12(b)では、分割された領域を縦長になるように変更した尺度に合わせて、当該領域に含まれる機器シンボル(図面データ)も変更している。図12(b)のように処理した場合、同じ尺度を利用するため容易であるが、機器シンボルの形状が縦長又は横長になり、もとの形状と大きく異なる。
【0064】
図12(c)では、分割された領域に含まれる機器シンボル(図面データ)のうち、配管を表現する線分又は折れ線のシンボルは当該領域の尺度に合わせて変更し、弁などを表現するシンボルはX方向又はY方向のうちいずれか小さい方の当該領域の尺度で等倍変更する。図12(c)のように処理した場合、弁などを表現するシンボルの形状がもとの形状と相似となるが、配管を表現するシンボルと弁などを表現するシンボルとの間に不連続な部分70が生じるため補間処理が必要となる。
【0065】
図12(d)では、分割された領域に含まれる機器シンボル(図面データ)の全てを、X方向又はY方向のうちいずれか小さい方の当該領域の尺度で等倍変更する。図12(d)のように処理した場合、機器シンボルの全ての形状がもとの形状と相似となるが、隣接する領域間との間に不連続な部分71が生じるため補間処理が必要となる。
【0066】
以上のように、本実施の形態では、分割した領域の機器シンボル(図面データ)について、必要に応じて尺度を変更することができ、図面生成に対して柔軟に対応できる。
【0067】
(実施の形態13)
図13(a)〜(c)は、実施の形態10又は実施の形態11により変更された非デフォルメ対象領域の分割された領域に対する処理を説明するための図である。図13(a)は、図10(b)と同様、非デフォルメ対象領域62を、A,B,C,D,E,F,G,Hの8つの領域に分割している。この図13(a)に示すデフォルメ対象領域61を拡大するデフォルメ処理を行う場合に、分割した各領域に対してマウスなどにより任意の形状に変更する。図13(a)では、領域Cと領域Hとを縮小する例が図示されている。
【0068】
各領域に対して変更処理を行った後の図面は、図13(b)のようになる。図13(b)では、隣接する領域間が不連続となっているため、図面変形部21は、設備間の論理的な接続情報に基づいて、図13(c)に示すように線分や折れ線などの図形要素75を用いて補間する。なお、本実施の形態では、デフォルメ対象領域61の形状が矩形の場合について説明したが、本発明はこれに限られず、凸型矩形や凹型矩形でも良い。
【0069】
以上のように、本実施の形態では、図面変形部21の非強調データ生成機能が非デフォルメ対象領域62を複数に分けた領域を任意に変更した後、図面変形部21が、位相情報の論理的な接続情報に基づいて、非デフォルメ対象領域62を複数に分けた領域間、及びデフォルメ対象領域との間を図形要素で補間接合するので、各領域単位での形状変形が可能となり、定期点検結果や事故結果のような特定のエリア又は設備に着目した図面を容易に作成でき、業務の効率化が図れる。
【0070】
(実施の形態14)
図14(a)〜(d)は、デフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域との組み合わせ方式を説明するための図である。図14(a)では、実施の形態9で説明した処理が施されており、デフォルメ対象領域46は拡大表示するデフォルメ処理が行われ、非デフォルメ対象領域43,44には尺度変更が行われている。
【0071】
これらの領域群を組み合わせる場合は、設備間の論理的接続情報に基づき、各領域を接合する。例えば、デフォルメ対象領域46と接続する線分を非デフォルメ対象領域43から位相情報に基づき抽出した後、その線分に接続するデフォルメ対象領域46が隣接するように領域同士を接合する。
【0072】
各領域を接合後の図面を、図14(b)に示す。図14(b)では、領域同士の重なり81や被分断線分の欠落82等が発生しており完全な図面ではない。そこで、重なり部分81については、いずれか一方の領域を平行移動させることにより重なりを除去する。また、被分断線分の欠落82については、線分を補間することにより欠落部分を補う。その結果、図14(c)のような図面が生成され、被分断線分の欠落を補う線分83が図示されている。
【0073】
しかし、図14(c)では、図14(b)の領域同士の重なり81を解消するために、いずれか一方の領域を平行移動させるので隙間84が発生している。そのため、最終的には、その隙間84を線分で補間することが必要となる。図14(d)では、線分85を用いて隙間84を補完することで、隣接領域同士を接合している。
【0074】
原則として、補間すべき図形要素は、配管を表現する図形要素に従うこととするが、ユーザが任意に指定する図形要素を用いて接合することも可能である。さらに、既に存在する図形要素に対して、同種の図形要素を追加して補間する場合、複数の図形要素を集約することもできる。例えば、既存の線分と追加する線分との2本の線分が存在する場合、それらの線分の両端を接合して1本の線分にすることもできる。
【0075】
以上のように、本実施の形態では、デフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域とを任意の場所の配置した場合でも、隣接する領域同士の位相状態を変更することなく接合できるため、ユーザが望む任意の図面を再構築できる。
【0076】
(実施の形態15)
図15(a)(b)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施する図面変形処理の模式図を示す。図15(a)(b)に示す図面変形処理は、機器操作に先立ち機器操作用の画面が表示される場面、または、各機器のパレメータの時間的な変遷を確認するためにグラフを表示する場面において、画面やグラフとすでに表示されている図面を重ねて表示することのないように、図形を移動、変形する。
【0077】
図15(a)は図面変形前の状態を示す。図15(a)では、機器111,112および機器115の系統、および、機器113,機器114および機器116の系統の2つの系統が図示されている。
【0078】
図15(b)に示すように、すでに図15(a)が表示されている状態で、パラメータ監視用のグラフ121および機器操作用の画面122が表示される場合、まず、グラフまたは機器操作画面の表示領域に完全に含まれるシンボル、または領域と交差するシンボルが抽出される。さらに領域内と領域外にまたがるシンボルもあわせて抽出される。この例では、領域に含まれるまたは交差するシンボルとして機器112および機器113が、領域内と領域外をまたがるシンボルとして配管117が抽出される。この時、機器112と配管117は相互に接続しているという情報(以後、相互接続情報と呼ぶ)も保持する。更に機器113と配管118の相互接続情報も保持する。次に、抽出されたシンボルのうち、領域に近いシンボルから順に領域に含まれない、または交差しないように領域外へ移動させる処理を施す。図15(b)では、機器112、機器113の順に処理される。次に、相互接続情報に従い、配管117の端点を移動後の機器112に接続するように移動させる。一方、機器113の移動に伴い配管118の端点も移動した場合、移動後の位置を考慮して線分を折れ線化して接続する。もちろん単純に端点を移動させて斜め線分として描画することも可能である。
【0079】
以上のように、本実施の形態に係る図面変形であれば、全ての情報をお互いが重ならないように表示できるため、視認性を妨げることなくプラント状態を把握できる利点がある。
【0080】
(実施の形態16)
図16(a)(b)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施する図面変形およびデフォルメ処理の模式図を示す。図16(a)(b)に示す図面変形およびデフォルメ処理は、機器操作に先立ち機器操作用の画面が表示される場面、または、各機器のパレメータの時間的な変遷を確認するためにグラフを表示する場面において、画面やグラフとすでに表示されている図面を重ねて表示することのないように、図形を移動、変形するとともに、図面内で着目したいシンボルを強調表示する。
【0081】
図16(a)は図面変形およびデフォルメ前の状態を示す。図16(a)では、機器111,112および機器115の系統、および、機器113、機器114および機器116の系統の2つの系統が図示されている。
【0082】
図16(b)に示すように、すでに図16(a)が表示されている状態で、パラメータ監視用のグラフ121および機器操作用の画面122が表示される場合、まず、グラフまたは機器操作画面の表示領域に完全に含まれるシンボル、または領域と交差するシンボルが抽出される。さらに領域内と領域外にまたがるシンボルもあわせて抽出される。この例では、領域に含まれるまたは交差するシンボルとして機器112および機器113が、領域内と領域外をまたがるシンボルとして配管117が抽出される。この時、機器112と配管117は相互に接続しているという情報(以後、相互接続情報と呼ぶ)も保持する。更に機器113と配管118の相互接続情報も保持する。次に、抽出されたシンボルのうち、領域に近いシンボルから順に領域に含まれない、または交差しないように領域外へ移動させる処理を施す。図15(b)では、機器112、機器113の順に処理される。次に、相互接続情報に従い、配管117の端点を移動後の機器112に接続するように移動させる。一方、機器113の移動に伴い配管118の端点も移動した場合、移動後の位置を考慮して線分を折れ線化して接続する。もちろん単純に端点を移動させて斜め線分として描画することも可能である。その後、入力部により入力されたプラントにおける関心領域及びデフォルメ条件、または、領域判定部により特定された次に操作すべき機器や操作に伴い影響を受ける機器群または範囲についての情報に従い、機器115がデフォルメ表示される。
【0083】
以上のように、本実施の形態に係る図面変形であれば、全ての情報をお互いが重ならないように表示できる上、作業者が着目している機器や範囲などを強調表示できるため、視認性を妨げることなく、かつ注目すべき個所へ視線を誘導できる利点がある。
【0084】
(実施の形態17)
図17(a)(b)(c)(d)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施する図面変形の一例を示す。図17(a)(b)(c)(d)では、機器操作に先立ち機器操作用の画面が表示される場面、または、各機器のパレメータの時間的な変遷を確認するためにグラフを表示する場面において、画面やグラフとすでに表示されている図面を重ねて表示することのないように、図形を移動、変形する処理の概要を示す。
【0085】
図17(a)は図面変形前の状態を示す。図17(a)では、機器111、12および機器115の系統、および、機器113、機器114および機器116の系統の2つの系統が図示されている。
【0086】
図17(b)に示すように、すでに図17(a)が表示されている状態で、パラメータ監視用のグラフ121が表示される場合、まず、グラフまたは機器操作画面の表示領域に完全に含まれるシンボル、または領域と交差するシンボルが抽出される。さらに領域内と領域外にまたがるシンボルもあわせて抽出される。この例では、領域に含まれるまたは交差するシンボルとして機器112および機器113が、領域内と領域外をまたがるシンボルとして配管117が抽出される。この時、機器112と配管117は相互に接続しているという情報(以後、相互接続情報と呼ぶ)も保持する。更に機器113と配管118,配管119の相互接続情報も保持する。次に、抽出されたシンボルのうち、領域に近いシンボルから順に領域に含まれない、または交差しないように領域外へ移動させる処理を施す。図17(b)では、機器112、機器113の順に処理される。次に、相互接続情報に従い、配管117の端点を移動後の機器112に接続するように移動させる。
【0087】
図17(c)は移動後の状態を示す。機器112が図面左側へ移動したことに伴い、図17(c)の丸印122の箇所で機器114との干渉が発生するため、機器114が図面左下へ移動する。引き続き、移動後の機器114との干渉を避けるために機器115が図面左下へ移動する。一方、図17(c)の丸印123の箇所では、機器113と配管119とが干渉している。そこで、配管119の端点のうち、干渉している端点のみを機器113と接続するように移動させる。配管119の端点移動においては、機器116と干渉が発生しないため、機器116を移動させる必要はない。次に、配管118も機器113に正しく接続するように端点を移動させる。この結果、図17(d)に示す通り、系統図とグラフを互いに重なることなく表示することができる。なお、移動の際は、移動距離が最小となるようにする。移動の方法としては、上述の方法のみならず、他のシンボルと干渉することなく、図面内でシンボルを配置可能なスペースを見つけて移動させる方法もある。また、画面表示領域の制約により、元図全体が画面に納まりきらない場合、各シンボルを縮小しながら図面を変形することも可能である。
【0088】
変形方法は、対象領域外へ移動させるシンボルを、図17(a)内のグラフ121の表示領域の重心から表示領域外へ移動させるべきシンボルへの位置ベクトルの方向へ遠ざける方法である。この方法では、シンボルは領域重心から見て放射状に遠ざかることになる。もちろん、遠ざける方向を量子化することも可能であり、例えば、上下左右の4方向やさらに粒度を細かくした8方向などへ量子化してもよい。
【0089】
以上のように、本実施の形態に係る図面変形であれば、既表示図面が規定された表示領域に納まるように、かつ全ての情報をお互いが重ならないように表示できる利点がある。
【0090】
(実施の形態18)
図18(a),(b),(c)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施する、トポロジーを保持した状態での図形変形処理の模式図を示す。図18(a),(b),(c)に示すトポロジーを保持した図面変形処理は、領域分割部により図面を複数の領域に分割したのち、領域間のトポロジーを保持したまま、領域を移動、変形させる。ここで変形とは図18(c)に示すように、縦横方向へ同一の割合で領域全体の尺度変更すること以外に、領域の回転や領域内の特定要素のデフォルメに伴う領域変更等を指す。
【0091】
図18(a)は領域分割部により分割された状態を示す。図18(a)では、中央に描画された機器130をデフォルメする場合、領域分割部により非デフォルメ対象領域として領域131および領域132が生成される。図18(b)は非デフォルメ対象領域および領域間を接続する線分を模式的示す。ここで描画されている線分の役割は実施の形態14で記載されている。図18(c)は非デフォルメ領域である領域132を移動または変形した場合の線分の描画例を示す。線分は、移動および変形前の領域132と線分と位置関係を保持したまま、領域132の移動や変形に追従する。
【0092】
以上のように、本実施の形態に係るトポロジーを保持したままの図面変形であれば、領域分割部により分割された領域を、トポロジーを意識することなく個別に移動、変形させることができる上、移動および変形後に元図と同様なトポロジーを確保するために、改めて線分を描画する必要がない利点がある。
【0093】
(実施の形態19)
図19(a)(b)に、本実施の形態に係るプラント情報表示装置で実施する位相情報に基づく操作影響範囲の特定についての模式図を示す。
【0094】
図19(a)の機器111の操作に伴う影響範囲を特定する場合、機器111の幾何情報から、機器111に接続する他の図形要素を抽出する。この処理により図19(a)における○印を一方の端点とする線分が抽出される。次に各線分について接続要素を判定し特定の機器を抽出するまで処理を継続する。その結果、図19(b)に示す機器112、機器113および機器114が抽出され、この時点で機器111と機器群との論理的な接続情報が生成される。
【0095】
以上のように、本実施の形態に係る位相情報に基づく操作影響範囲の特定によれば、操作対象機器の影響範囲を動的に強調表示できる行えるため、操作対象や影響度合いを確認しながら安全に機器操作を行うことができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の形態1に係るプラント情報表示装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係るプラント情報表示装置のデフォルメ条件を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係るプラント情報表示装置のデフォルメ条件を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態4に係るプラント情報表示装置のデフォルメ条件を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態5に係るプラント情報表示装置のデフォルメ条件を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態6に係るプラント情報表示装置のデフォルメ条件を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態7に係るプラント情報表示装置の領域判別を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態8に係るプラント情報表示装置の領域判別を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態9に係るプラント情報表示装置の領域判別を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態10に係るプラント情報表示装置の非強調データ生成を説明するための図である。
【図11】本発明の実施の形態11に係るプラント情報表示装置の非強調データ生成を説明するための図である。
【図12】本発明の実施の形態12に係るプラント情報表示装置の非強調データ生成を説明するための図である。
【図13】本発明の実施の形態13に係るプラント情報表示装置の補間を説明するための図である。
【図14】本発明の実施の形態14に係るプラント情報表示装置の補間を説明するための図である。
【図15】本発明の実施の形態15に係るプラント情報表示装置の補間を説明するための図である。
【図16】本発明の実施の形態16に係るプラント情報表示装置の補間を説明するための図である。
【図17】本発明の実施の形態17に係るプラント情報表示装置の補間を説明するための図である。
【図18】本発明の実施の形態18に係るプラント情報表示装置の補間を説明するための図である。
【図19】本発明の実施の形態19に係るプラント情報表示装置の補間を説明するための図である。
【符号の説明】
【0097】
1〜6 機器、7 ボックス、8操作器、9 図面、10 機器操作設定画面、11 入力部、12 領域判定部、13 図面データ、15 領域分割部、19 図面出力部、20 表示部、21 図面変形部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの状態を把握し、前記プラントを構成する機器を操作するために必要なプラント情報を表示するプラント情報表示装置であって、
入力部と、
前記入力部を用いて前記プラントにおける関心領域及びデフォルメ条件を入力し、前記入力部により入力された前記関心領域及び前記デフォルメ条件に基づきデフォルメ対象領域を特定する領域判定部と、
前記領域判定部により特定された前記デフォルメ対象領域に基づいて、図面を複数の領域に分割して前記デフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域とに分けて管理する領域分割部と、
前記デフォルメ対象領域及び前記非デフォルメ対象領域を表示領域内でそれぞれ変形させる図面変形部と、
前記図面変形部により変形された前記デフォルメ対象領域及び前記非デフォルメ対象領域を前記図面の出力データとして出力する図面出力部と、
前記図面出力部から出力された前記出力データを表示する表示部とを備えるプラント情報表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラント情報表示装置であって、
前記領域判定部は、前記入力部を用いて前記デフォルメ条件を指定できることを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプラント情報表示装置であって、
前記デフォルメ条件は、前記関心領域の前記機器のみをデフォルメの対象とすることを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のプラント情報表示装置であって、
前記デフォルメ条件は、前記関心領域の前記機器と、当該機器の操作により影響が及ぶ範囲とをデフォルメの対象とすることを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載のプラント情報表示装置であって、
前記図面変形部は、前記関心領域の前記機器、及び前記関心領域の前記機器の操作により影響が及ぶ範囲以外について縮約して抽象化した図形に変更することを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載のプラント情報表示装置であって、
前記デフォルメ条件は、前記関心領域の前記機器と、プラント状態や運転員の作業履歴に基づき次に作業が予測される範囲とをデフォルメの対象とすることを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載のプラント情報表示装置であって、
前記機器の操作設定画面や機器パラメータ表示画面を含むプラント運転に必要な複数の画面と前記図面とを共に表示する場合、前記図面変形部は、前記デフォルメ対象領域を表示可能なサイズに変更した後に、前記デフォルメ条件に基づきデフォルメすることを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のプラント情報表示装置であって、
前記領域分割部は、前記関心領域の前記機器に対応する設備シンボルを含む最小の閉矩形領域から抽出される2本の平行な線分について、それぞれの端点を延長することにより仮想的に生成される仮想線分と、他の設備シンボルとの位置関係に基づいて、前記設備シンボルが分断されないように前記図面を前記デフォルメ対象領域と前記非デフォルメ対象領域とに分けることを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のプラント情報表示装置であって、
前記領域分割部は、前記関心領域の前記機器、当該機器に直接接続される他の機器、及び当該機器と前記他の機器とを繋ぐ配管のそれぞれを閉矩形領域として指定すると共に、前記閉矩形領域の和集合を求め、当該和集合の領域を前記デフォルメ対象領域とすることを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載のプラント情報表示装置であって、
前記図面変形部は、前記非デフォルメ対象領域を複数の領域に分け、デフォルメ処理の前後で各領域の尺度を算出し、当該尺度に基づき各領域の前記非デフォルメ対象領域を変形することを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載のプラント情報表示装置であって、
前記図面変形部は、前記位相情報の論理的な接続情報に基づいて、前記非デフォルメ対象領域を複数に分けた前記領域間、及び前記非デフォルメ対象領域を複数に分けた前記領域と前記デフォルメ対象領域との間を、元の前記図面と同様のトポロジーを保持するように前記図形要素で補間接合することを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項12】
請求項1に記載のプラント情報表示装置であって、
前記機器の操作設定画面や機器パラメータ表示画面を含むプラント運転に必要な複数の画面と前記図面とを重畳表示する場合、前記図面変形部は、前記表示領域に基づき、その領域内に含まれる図形要素を抽出し、画面中心の近くに存在する前記図形要素から順に、画面中心とその要素を結ぶ延長上でかつ前記表示領域外に移動させると共に、前記図面内の図形要素同士のトポロジーは保持し、図形要素同士が重ならないよう、かつ重畳表示領域において情報が重なって表示されないよう変形することを特徴とする特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項13】
請求項1、請求項8、請求項9、請求項10のいずれか1つに記載のプラント情報表示装置であって、
前記図面変形部は、前記デフォルメ対象領域及び前記非デフォルメ対象領域に対して、隣接する領域間においてトポロジーが保持されるように自由に移動、変形できることを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項14】
請求項1、請求項4、請求項5のいずれか1つに記載のプラント情報表示装置であって、
前記領域判定部は、前記図面から抽出される機器同士の論理的な接続情報を含む位相情報に基づき、前記関心領域の機器操作により影響が及ぶ範囲を特定することを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項1】
プラントの状態を把握し、前記プラントを構成する機器を操作するために必要なプラント情報を表示するプラント情報表示装置であって、
入力部と、
前記入力部を用いて前記プラントにおける関心領域及びデフォルメ条件を入力し、前記入力部により入力された前記関心領域及び前記デフォルメ条件に基づきデフォルメ対象領域を特定する領域判定部と、
前記領域判定部により特定された前記デフォルメ対象領域に基づいて、図面を複数の領域に分割して前記デフォルメ対象領域と非デフォルメ対象領域とに分けて管理する領域分割部と、
前記デフォルメ対象領域及び前記非デフォルメ対象領域を表示領域内でそれぞれ変形させる図面変形部と、
前記図面変形部により変形された前記デフォルメ対象領域及び前記非デフォルメ対象領域を前記図面の出力データとして出力する図面出力部と、
前記図面出力部から出力された前記出力データを表示する表示部とを備えるプラント情報表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラント情報表示装置であって、
前記領域判定部は、前記入力部を用いて前記デフォルメ条件を指定できることを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプラント情報表示装置であって、
前記デフォルメ条件は、前記関心領域の前記機器のみをデフォルメの対象とすることを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のプラント情報表示装置であって、
前記デフォルメ条件は、前記関心領域の前記機器と、当該機器の操作により影響が及ぶ範囲とをデフォルメの対象とすることを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載のプラント情報表示装置であって、
前記図面変形部は、前記関心領域の前記機器、及び前記関心領域の前記機器の操作により影響が及ぶ範囲以外について縮約して抽象化した図形に変更することを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載のプラント情報表示装置であって、
前記デフォルメ条件は、前記関心領域の前記機器と、プラント状態や運転員の作業履歴に基づき次に作業が予測される範囲とをデフォルメの対象とすることを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載のプラント情報表示装置であって、
前記機器の操作設定画面や機器パラメータ表示画面を含むプラント運転に必要な複数の画面と前記図面とを共に表示する場合、前記図面変形部は、前記デフォルメ対象領域を表示可能なサイズに変更した後に、前記デフォルメ条件に基づきデフォルメすることを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のプラント情報表示装置であって、
前記領域分割部は、前記関心領域の前記機器に対応する設備シンボルを含む最小の閉矩形領域から抽出される2本の平行な線分について、それぞれの端点を延長することにより仮想的に生成される仮想線分と、他の設備シンボルとの位置関係に基づいて、前記設備シンボルが分断されないように前記図面を前記デフォルメ対象領域と前記非デフォルメ対象領域とに分けることを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のプラント情報表示装置であって、
前記領域分割部は、前記関心領域の前記機器、当該機器に直接接続される他の機器、及び当該機器と前記他の機器とを繋ぐ配管のそれぞれを閉矩形領域として指定すると共に、前記閉矩形領域の和集合を求め、当該和集合の領域を前記デフォルメ対象領域とすることを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載のプラント情報表示装置であって、
前記図面変形部は、前記非デフォルメ対象領域を複数の領域に分け、デフォルメ処理の前後で各領域の尺度を算出し、当該尺度に基づき各領域の前記非デフォルメ対象領域を変形することを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載のプラント情報表示装置であって、
前記図面変形部は、前記位相情報の論理的な接続情報に基づいて、前記非デフォルメ対象領域を複数に分けた前記領域間、及び前記非デフォルメ対象領域を複数に分けた前記領域と前記デフォルメ対象領域との間を、元の前記図面と同様のトポロジーを保持するように前記図形要素で補間接合することを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項12】
請求項1に記載のプラント情報表示装置であって、
前記機器の操作設定画面や機器パラメータ表示画面を含むプラント運転に必要な複数の画面と前記図面とを重畳表示する場合、前記図面変形部は、前記表示領域に基づき、その領域内に含まれる図形要素を抽出し、画面中心の近くに存在する前記図形要素から順に、画面中心とその要素を結ぶ延長上でかつ前記表示領域外に移動させると共に、前記図面内の図形要素同士のトポロジーは保持し、図形要素同士が重ならないよう、かつ重畳表示領域において情報が重なって表示されないよう変形することを特徴とする特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項13】
請求項1、請求項8、請求項9、請求項10のいずれか1つに記載のプラント情報表示装置であって、
前記図面変形部は、前記デフォルメ対象領域及び前記非デフォルメ対象領域に対して、隣接する領域間においてトポロジーが保持されるように自由に移動、変形できることを特徴とするプラント情報表示装置。
【請求項14】
請求項1、請求項4、請求項5のいずれか1つに記載のプラント情報表示装置であって、
前記領域判定部は、前記図面から抽出される機器同士の論理的な接続情報を含む位相情報に基づき、前記関心領域の機器操作により影響が及ぶ範囲を特定することを特徴とするプラント情報表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−258961(P2009−258961A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106688(P2008−106688)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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