説明

プラント監視制御システムおよび表示画面管理方法

【課題】複数のヒューマンマシン装置で同じ画面表示を行う場合、ある一つのヒューマンマシン装置で画面を表示した画面情報を他のヒューマンマシン装置に転送した際に、良好に再現できるプラント監視制御システムを提供する。
【解決手段】各ヒューマンマシン装置100は、表示画面の表示区画、プログラム、該表示区画に表示されている画面情報を関連付けて管理する画面管理テーブル51を有し、画面統括部43は、イベントを受理すると、画面動作定義ファイル52を参照して、対象とするプログラムに対し処理要求し、アプリケーション部45から表示要求を受理すると、画面管理テーブル51を更新する。画面統括部43は転送処理を受理すると、画面管理テーブル51から転送用ファイルを作成し、指定されている転送先のヒューマンマシン装置に転送用ファイルを送付するとともに、転送イベントの通知をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント監視制御システムおよび表示画面管理方法に関し、特にプラント監視操作を行うヒューマンマシン装置の表示画面を、同じ機能を有するヒューマンマシン装置に転送し表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒューマンマシン装置では、トレンドグラフといったプラント監視操作を行う機能を有し、機能毎に画面を表示することができる。監視員が表示された画面を見て監視および操作を行っている。
【0003】
大規模なプラント監視では、複数の監視員が、様々な場所で監視および操作を行う必要があるため、複数台のヒューマンマシン装置が存在し、全てのヒューマンマシン装置で同じ情報を監視することができ、それぞれのヒューマンマシン装置で独立に画面を表示できる必要がある。
【0004】
このため、ある表示装置上で表示・操作された結果としての表示内容を、他の表示装置に転送しその転送先で同じ表示内容を再現できる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1では、プラントを監視するための複数の機能表示画面を同時に表示するマルチウィンドウ機能を有する複数の表示装置を備えたプラント監視用表示システムにおいて、転送手段と制御手段を備えている。転送手段は、複数の表示装置中における第1の表示装置上で表示・操作された結果として得られた機能表示画面の表示内容を示す表示内容情報を抽出し、抽出された表示内容情報を第2の表示装置に転送する手段である。また、制御手段は、転送された表示内容情報によって示される表示内容の機能表示画面を第2の表示装置上に再現表示する手段である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−280508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、転送手段は、複数の表示装置中における第1の表示装置上で表示・操作された結果として得られた機能表示画面の表示内容を示す表示内容情報を抽出する必要があるため、抽出する時間を要することがある。プラント監視制御において、緊急時に複数の表示装置に表示させたい場合、特定の監視員が操作した操作画面が即座に画面再現ができない問題がある。
【0008】
また、マルチウィンドウ機能を有する複数の表示装置において、各々のウィンドウの画面がトレンドグラフ画面や系統図画面などである場合は画面を再現することはできる。しかしながら、通常、トレンドグラフは、単一のトレンドグラフでなく、複数のトレンドグラフを監視員が選択するように構成されており、転送元の表示装置に監視員が表示していたトレンドグラフが、転送先の表示装置に再現できない問題がある。図13を参照して具体的に説明する。
【0009】
図13は、従来の表示装置の画面表示を転送した場合の表示画面例を示す説明図である。図13(a)は、転送元のトレンドグラフの表示画面例であり、図13(b)は、転送先のトレンドグラフの表示画面例である。両者ともトレンドグラフとしては共通している。転送元の監視員は、図13(a)に示すように直前の操作で、4ページ目のトレンドグラフ4を表示していたにもかかわらず、転送先の表示装置には、図13(b)に示すように、トレンドグラフの1ページ目が表示され、転送元の表示装置(転送元PC)と異なるページが転送先の表示装置で再現される問題があった。
【0010】
本発明は、前記の問題を解決するための発明であって、複数のヒューマンマシン装置で同じ画面表示を行う場合、ある一つのヒューマンマシン装置で画面を表示した画面情報を他のヒューマンマシン装置に転送した際に、良好に再現できるとともに、高速に表示させることができるプラント監視制御システムおよび表示画面管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明のプラント監視制御システムは、プラント監視操作を行うヒューマンマシン装置の表示画面を、同じ機能を有する他のヒューマンマシン装置に転送し表示するプラント監視制御システムであって、各ヒューマンマシン装置は、表示画面の表示区画の識別情報と、アプリケーションのプログラムの識別情報と、該表示区画に表示されている画面情報(例えば、トレンドグラフのページ数)とを関連付けて管理する画面管理情報(例えば、画面管理テーブル51)が記憶されている記憶部と、画面の表示状態に応じて画面管理情報を更新する画面統括部とを備え、画面統括部は、表示画面を他のヒューマンマシン装置に転送する指示を受けた際には、記憶部に記憶されている現在の表示画面に対応した画面管理情報から転送用ファイルを作成して転送先の他のヒューマンマシン装置に転送し、他のヒューマンマシン装置から転送用ファイルを受信した際には、転送用ファイルを自身の画面管理情報に反映し、反映した画面管理情報に基づいて自身の表示画面を更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のヒューマンマシン装置で同じ画面表示を行う場合、ある一つのヒューマンマシン装置で画面を表示した画面情報を他のヒューマンマシン装置に転送した際に、良好に再現できるとともに、高速に表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】プラント監視操作システムを示すブロック図である。
【図2】ヒューマンマシン装置の処理機能を示す説明図である。
【図3】画面統括部が作成する画面表示管理テーブルを示す説明図である。
【図4】画面管理テーブルの例を示す説明図である。
【図5】画面管理情報の転送および転送先での画像再現を示す説明図である。
【図6】トレンドグラフ選択時の処理手順を示す説明図である。
【図7】トレンドグラフのページ選択時の処理手順を示す説明図である。
【図8】トレンドグラフのページ変更時の処理手順を示す説明図である。
【図9】転送元のヒューマンマシン装置の送信処理手順を示す説明図である。
【図10】転送先のヒューマンマシン装置の受信処理手順を示す説明図である。
【図11】ヒューマンマシン装置の画面例の機能を示す説明図である。
【図12】ヒューマンマシン装置の画面例を示す図である。
【図13】従来の表示装置の画面表示を転送した場合の表示画面例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、プラント監視操作システムを示すブロック図である。プラント監視操作システムは、同じ機能を持った複数のヒューマンマシン装置100(100A、100Bなど)、プラント400からの入出力する装置である情報入出力装置200から構成されている。情報入出力装置200は、ネットワーク300を介してプラント400と相互に通信可能に接続されており、情報入出力装置200は、ネットワーク310を介し相互に通信可能に接続されている。なお、ヒューマンマシン装置100をPC装置と称する場合もある。
【0015】
ヒューマンマシン装置100Aは、情報制御の処理を行う処理部40A(40)、情報制御の処理を行う際にデータを格納する記憶部50A(50)、データを入力する入力部10A(10)、データを出力する出力部20A(20)、およびネットワーク310を介して情報入出力装置200と通信を行う通信制御部30A(30)から構成される。
【0016】
記憶部50Aは、RAM(Random Access Memory)やHDD(Hard disk drive)装置などにより構成される。処理部40Aは、ひとつ以上のCPU(Central Processing Unit)によって、RAMやHDD上のプログラムを実行することで実現される。入力部10Aは、キーボードやマウスなどのコンピュータに指示を入力するための装置であり、プログラム起動などの指示を入力する。出力部20Aは、ディスプレイなどであり、ヒューマンマシン装置100Aによる処理の実行状況や実行結果などを表示する。通信制御部30Aは、ネットワーク310を介して、情報入出力装置200と各種データやコマンドを交換する。
【0017】
記憶部50Aには、画面管理テーブル51A(51)(画面管理情報)(図4参照)、複数の画面動作定義ファイル52A(52)、画面動作定義ファイルと1対1に対応する画像ファイル53A(53)などを有する。
【0018】
処理部40Aには、画面管理情報、イベントなどを送受信する画面送受信部41A(41)、出力部20Aに画面表示する画面表示部42A(42)、主に画面管理情報を管理する画面統括部43A(43)、画面統括部43Aからの要求に対し処理を実行する複数のアプリケーション部45A(45)などを有する。
【0019】
ヒューマンマシン装置100Bは、ヒューマンマシン装置100Aと同一の機能を有している。ヒューマンマシン装置100Bは、情報制御の処理を行う処理部40B、情報制御の処理を行う際にデータを格納する記憶部50B、データを入力する入力部10B、データを出力する出力部20B、およびネットワーク310を介して情報入出力装置200と通信を行う通信制御部30Bから構成される。記憶部50Bには、画面管理テーブル51B(画面管理情報)(図4参照)、複数の画面動作定義ファイル52B、画面動作定義ファイルと1対1に対応する画像ファイル53Bなどを有する。処理部40Bには、画面送受信部41B、画面表示部42B、画面統括部43B、画面統括部43Bからの要求に対し処理を実行する複数のアプリケーション部45Bなどを有する。
【0020】
図2は、ヒューマンマシン装置の処理機能を示す説明図である。ヒューマンマシン装置100A(100)は、出力部20である表示画面を、入力部10であるマウスでクリックすると、画面表示部42はイベント通知し、画面統括部43は、イベントの内容に応じて画面動作定義ファイル52の解析と実行の処理をする。アプリケーション部45Aは、イベントの内容に応じて、画面統括部43に対し、処理要求(画面描画、画面更新、画面転送、転送画面再現など)の指令をする。画面統括部43は、例えば、描画要求を受理すると、画面再生に必要な情報は、画面管理テーブル51に登録し、画面表示部42に対し処理要求をし、画面表示部42は、出力部20に画面描画する。画面描画が完了すると、画面統括部43は、アプリケーション部45に画面描画の表示完了通知をする。
【0021】
また、画面統括部43は、イベントの内容によりアプリケーション部45に対し、アプリケーション(アプリと省略することもある。)起動要求、アプリ終了要求などを通知する。
【0022】
画面統括部43は、イベント通知を受けると、イベント通知に関連する画面動作定義ファイル52を参照する。画面動作定義ファイル52には、処理に必要な手順および必要な画像ファイル53が定義されている。なお、画面動作定義ファイル52は、入力部10を介して、テキストエジッタにより、作成、修正、削除などができる。また、画像ファイル53は、作画ツール(GUI(Graphical User Interface))を介して作成、修正、削除などができる。
【0023】
本実施形態では、画面統括部43が、監視員が実施した操作内容を、画面管理テーブル51で管理することが特徴である。画面管理テーブル51については、図3、図4を参照して説明する。
【0024】
図3は、画面統括部が作成する画面表示管理テーブルを示す説明図である。本実施形態では、4つの区画を持つ表示画面で4つの機能を実行している場合の画面表示を説明する。なお、4つの区画に限定されるものではない。
【0025】
画面統括部43は、画面管理テーブル51にて、ヒューマンマシン装置100(図1参照)の表示画面21の表示区画および実行プログラムなどを管理し、そのプログラムA、B、C、Dであるアプリケーション部45と、データ受け渡し用共有メモリを介して、画面統括部43とアプリケーション部45との結合化を図っている。ここでは、この結合方式を疎結合方式という。疎結合方式の場合、データの受け手が他処理を行っている間にも、渡し手は待ち状態とならずに処理を継続することができ、システム全体の応答性が向上することができる。
【0026】
図4は、画面管理テーブルの例を示す説明図である。画面管理テーブル51には、表示区画、使用するアプリケーションのプログラム、表示画面の表示画像、配置位置である横座標、縦座標、操作指示のワークa、・・・、ワークz、また、初期データなどが含まれている。なお、配置位置は、表示区画の左上を原点としての右へ横座標、下へ縦座標が定義される。
【0027】
図4に示す画面管理テーブル51には、例えば、表示区画「1」には、プログラム「A」を使用し、表示区画には「絵1」、操作としてa〜z、初期データが含まれる。初期データには、例えば、現在表示中のページNoやユーザの入力情報が記憶される。
【0028】
図2に戻り、本実施形態の特徴を説明すると、図4に示した画面管理テーブル51は、画面を再現する上で必要となる統括テーブルである。画面統括部43は、監視員からの画面転送の指示を受理すると、転送用ファイル(例えば、約3Kbyte)を作成し、転送先であるヒューマンマシン装置100Bに作成された転送用ファイルを転送する。
【0029】
転送先のヒューマンマシン装置100Bは、転送用ファイルを受理すると、転送先の画面統括部43で画面管理テーブル51を再現し、画面管理テーブル51に基づいて画面を再現する。
【0030】
本実施形態の効果として以下をあげることができる。
(1)転送ファイルのサイズが小さいため(約3KB(Kbyte))、画面転送および再現に必要となる時間は平均1秒以内と高速である。
(2)画面のページ番号やユーザ入力情報も初期データとして含まれるため、転送元の直前の操作内容が、正確に再現することができる。
【0031】
図5は、画面管理情報の転送および転送先での画像再現を示す説明図である。転送元の
のヒューマンマシン装置100Aの出力部20Aには、表示画面21Aが表示されている。表示画面21Aの表示区画1には、パラメタ(パラメータともいう。)であるページ番号(ページNo)の3ページが表示されており、監視員により、ユーザ入力「あああ」が入力され操作要求をしたのち、監視員が、転送要求をした場合について説明する。転送要求をすると、転送先一覧のウィンドウが立ち上がり、転送先をクリックすると転送要求が画面統括部43Aに送信される。画面統括部43Aは、画面管理テーブル51A(画面管理情報)をファイル55Aにエクスポートし、送信元IPアドレスと、送信先IPアドレスと、画面管理情報とを関連付けて送信する。また、ファイル転送のイベントをソケット通信により、転送先のヒューマンマシン装置100Bに送信する。
【0032】
転送先のヒューマンマシン装置100Bは、ファイル転送のイベントを受理すると、画面統括部43Bは、ファイル55Bからインポートして、画面管理テーブル51Bを再現する。画面管理テーブル51Aと画面管理テーブル51Bは、同一の画面管理テーブルである。画面統括部43Bは、画面管理テーブル51Bに基づいて画面を再現する。転送先のヒューマンマシン装置100Bの出力部20Bには、表示画面21Bが表示される。表示画面21Bには、ページ番号(ページNo)やユーザ入力情報も含めて転送元の表示画面を再現できる。
【0033】
次に、画面管理テーブル51の管理処理と画面表示の再現処理について、図6〜図10を参照して詳細に説明する。
【0034】
図6は、トレンドグラフ選択時の処理手順を示す説明図である。図6には、監視員が操作する表示画面の全機能メニュー(図11参照)を簡略化してトレンドグラフ、系統図、警報、転送の各選択メニューがあるとして説明する。各選択メニューには、IDとして1〜4が割り振られているとする。なお、IDは、画面内でユニークな値であり、GUIで作画時に割り当てられる。
【0035】
画面表示部42Aは、監視員がトレンドグラフを選択すると(処理S10)、IDとして「1」(ID=1)がクリックされたとしてキーインイベント通知を画面統括部43Aに送信する(処理S11)。画面統括部43Aから、キーインを解読し(処理S12)、全機能メニューの画面動作定義ファイル52Aを参照して、トレンドメニュー(TrendMenu.exe)のプログラムの起動を、アプリケーション部45Aに指令する(処理S13)。アプリケーション部45Aは、トレンドメニューのプログラムの起動の指令を受理すると、画面表示として、画面動作定義ファイル52Aに定義されている「絵1(トレンドメニュー)表示」の指令を画面統括部43Aに指令する(処理S14)。画面統括部43Aは、「絵1(トレンドメニュー)表示」の指令を受理すると、画面サイズ・位置調整、画面管理テーブル51Aを更新し、画面表示の指令を画面表示部42Aに「絵1(トレンドメニュー)表示」の指令をする(処理S15)。画面表示部42Aは、画面表示指令を受理すると、「絵1(トレンドメニュー)表示」のトレンドグラフメニュー画面を表示する(処理S16)。トレンドグラフメニュー画面は、複数のトレンドグラフ(トレンドグラフ1、トレンドグラフ2、・・・)の選択画面である。
【0036】
画面管理テーブル51Aには、表示区画「1」に、トレンドメニューのプログラムが格納され、表示画像として「絵1」、配置座標として「X」、「Y」が格納されている。
【0037】
図7は、トレンドグラフのページ選択時の処理手順を示す説明図である。図7には、監視員がトレンドグラフメニュー画面で、表示したいトレンドグラフとして、トレンドグラフ3を選択した場合について説明する。
【0038】
画面表示部42Aは、監視員がトレンドグラフ3を選択し要求指令すると(処理S20)、IDとして「1」がクリックされたとキーインイベント通知を画面統括部43Aに送信する(処理S21)。なお、キーインイベント通知とともに、グループ番号(グループNo)のIDとして「2」も送信される。画面統括部43Aは、キーインを解読し(処理S22)、トレンドメニューの画面動作定義ファイル52Aを参照して、「TrendGraph,3」として、トレンドグラフ(TrendGraph.exe)のプログラムの起動を、アプリケーション部45Aに指令する(処理S23)。アプリケーション部45Aは、トレンドグラフのプログラムの起動の指令を受理すると、初期パラメタ解析、初期表示ページ取得(初期パラメタは3であるので、3ページ目を表示する。)し、初期表示ページを取得して、画面動作定義ファイル52Aに定義されている「絵2(トレンドグラフ)表示、3ページ」の指令を画面統括部43Aに指令する(処理S24)。画面統括部43Aは、「絵2(トレンドグラフ)表示、3ページ」の指令を受理すると、画面サイズ・位置調整、画面管理テーブル51Aを更新し、画面表示の指令を画面表示部42Aに「絵2(トレンドグラフ)表示、3ページ」の指令をする(処理S25)。画面表示部42Aは、画面表示指令を受理すると、「絵2(トレンドグラフ)表示、3ページ」のトレンドグラフ画面を表示するとともに(処理S26)、画面統括部43Aを介してアプリケーション部45Aに表示完了通知をする(処理S27)。
【0039】
画面管理テーブル51Aには、表示区画「1」に、トレンドグラフのプログラムが格納され、表示画像として「絵2」、配置座標として「X」、「Y」、初期データとして「3」が格納されている。
【0040】
図8は、トレンドグラフのページ変更時の処理手順を示す説明図である。図8には、監視員が、表示したいトレンドグラフとして、トレンドグラフ3からトレンドグラフ4に変更した場合(項前進した場合)について説明する。
【0041】
画面表示部42Aは、監視員が「項前進」のボタンをクリックしてトレンドグラフ4を選択し要求指令すると(処理S30)、IDとして「1」がクリックされたとキーインイベント通知を画面統括部43Aに送信する(処理S31)。画面統括部43Aから、キーインを解読し(処理S32)、トレンドグラフの画面動作定義ファイル52Aを参照して、「項前進」として、アプリケーション部45Aに指令する(処理S33)。アプリケーション部45Aは、「項前進」の指令を受理すると、項インクリメント、表示データ編集、画面更新(4ページに表示更新)し、画面統括部43Aに画面更新を指令する(処理S34)。画面統括部43Aは、「4ページに表示更新」の指令を受理すると、画面管理テーブル51Aを更新し、画面表示部42Aに「4ページに表示更新」の画面更新の指令をする(処理S35)。画面表示部42Aは、画面更新の指令を受理すると、「4ページに表示更新」の画面更新をするとともに(処理S36)、画面統括部43Aを介してアプリケーション部45Aに表示完了通知をする(処理S37)。アプリケーション部45Aは、現在表示している“4ページ”を初期データに登録し、画面統括部43Aに指令する(処理S38)。画面統括部43Aは、初期データとして、画面管理テーブル51Aに登録する(処理S39)。
【0042】
画面管理テーブル51Aには、表示区画「1」に、トレンドグラフのプログラムが格納され、表示画像として「絵2」、配置座標として「X」、「Y」、初期データとして「4」が格納されている。
【0043】
図9は、転送元のヒューマンマシン装置の送信処理手順を示す説明図である。図9を参照して、監視員が操作する表示画面の全機能メニューにおいて、監視員が転送指令をした場合について説明する。画面表示部42Aは、監視員が「転送」のボタンをクリックして要求指令すると(処理S40)、IDとして「4」がクリックされたとキーインイベント通知を画面統括部43Aに送信する(処理S41)。画面統括部43Aから、キーインを解読し(処理S42)、全機能メニューの画面動作定義ファイル52Aを参照して、「転送処理実行」と判定する。画面統括部43Aは、次の処理を実行する。
(1)画面管理テーブル51Aから転送用ファイルを作成する(処理S43)。
(2)他のヒューマンマシン装置(PC装置)にファイルを転送する(処理S44)。
(3)他のヒューマンマシン装置に転送イベントを通知する(処理S45)。
【0044】
転送用ファイルは、CSV(Comma Separated Values)形式のファイルで作成されており、例えば、画面管理テーブル51に登録されている、表示区画「1」、トレ表示画像の「絵2」、配置座標の「X」、「Y」、初期データの「4」などの情報が記載されている。
【0045】
図10は、転送先のヒューマンマシン装置の受信処理手順を示す説明図である。図10を参照して、転送先のヒューマンマシン装置(転送先PC装置)が転送イベントを受信した場合の処理について説明する。画面統括部43Bは、転送イベントを受信すると(処理S50)、転送用ファイルを、画面管理テーブル51Bに反映し、初期データを付加してプログラムを起動する。具体的には、画面統括部43Bは、「TrendGraph,4」として、トレンドグラフ(TrendGraph.exe)のプログラムの起動を、アプリケーション部45Bに指令する(処理S51)。アプリケーション部45は、トレンドグラフのプログラムの起動の指令を受理すると、初期パラメタ解析、初期表示ページ取得(初期パラメタは4であるので、4ページ目を表示する。)し、初期表示ページを取得して、画面動作定義ファイル52に定義されている「絵2(トレンドグラフ)表示、4ページ」の指令を画面統括部43Bに指令する(処理S52)。画面統括部43Bは、「絵2(トレンドグラフ)表示、3ページ」の指令を受理すると、画面サイズ・位置調整をし、画面管理テーブル51Bを更新し、画面表示の指令を画面表示部42Bに「絵2(トレンドグラフ)表示、4ページ」の指令をする(処理S53)。画面表示部42Bは、画面表示指令を受理すると、「絵2(トレンドグラフ)表示、4ページ」のトレンドグラフ画面を表示するとともに(処理S54)、画面統括部43Bを介してアプリケーション部45Bに表示完了通知をする(処理S55)。
【0046】
本実施形態では、転送用ファイルのサイズが小さいため(約3Kbyte)、画面転送および再現に必要となる時間は平均1秒以内と高速である。また、画面のページ番号やユーザ入力情報も初期データとして含まれるため、転送元の直前の操作内容が、正確に再現することができる。
【0047】
次に表示画面21の機能について説明する。
図11は、ヒューマンマシン装置の画面例の機能を示す説明図である。表示画面21は、システムエリア22、表示エリア23、ソフトキーエリア24から構成されている。システムエリア22は、システム全体に係る表示および操作の機能を有する。例えば、警報表示ボタン、発電機の出力表示、現在の時刻などが表示される。表示エリア23は、各種機能の表示やウィンドウ25が表示される。例えば、警報画面、トレンドグラフ、プラント概略図などが表示される。ソフトキーエリア24は、表示エリア23の画面展開に係る機能を有する。例えば、トレンドグラフなどの機能ボタン、画面の入替ボタン、戻るボタンなどが表示される。ウィンドウ25は、小型の窓形式の絵などを画面上の最前面に表示がされる。ウィンドウ25は、緊急を要するデータ(例えば、重大な故障発生)や、画面表示用のメニュー、ヒューマンマシン装置100の補助または支援を目的とした機能(例えば、仮想キーボード)が表示される。
【0048】
監視員の操作方法について、表示区画Dに警報画面を、表示区画Aにトレンドグラフの表示する方法を説明する。監視員は、まず、マウスを操作して表示エリア23の表示区画D(区画D)を選択する。その状態でシステムエリア22にある、警報表示ボタンを選択する。すると、表示エリア23の区画Dに警報画面が表示される。
【0049】
次に、監視員は、マウスを操作して表示エリア23の表示区画A(区画A)を選択する。その状態でソフトキーエリア24の機能メニュー表示ボタン(図示せず)を選択する。すると、ウィンドウ25に画面表示用のメニューが表示される。次に、ウィンドウ25に表示されたトレンドグラフ機能表示ボタンを選択する。その結果、区画Aにトレンドグラフが表示される。
【0050】
図12は、ヒューマンマシン装置の画面例を示す図である。図11を適宜参照する。システムエリア22には、警報一覧画面を表示するための「警報」ボタン、自動化メニューのサブウィンドウ画面を表示するための「自動化」ボタン、「発電機出力」の表示欄、「主蒸気圧力」の表示欄、「印字許可」ボタン、「操作許可」ボタン、現在時刻表示欄、ハードコピー装置にハードコピー指令するための「ハードコピー」ボタンなどが表示される。表示エリア23には、例えば、トレンドグラフ、系統図、イベントログ、警報項目が表示される。
【0051】
ソフトキーエリア24には、表示エリア23に全画面/4分割画面を切り替え表示するための「全画面4分割」ボタン、「スポット表示」ボタン、4分割画面のときに、選択された任意に2表示区画の画面を入れ替えるための「画面入替」ボタン、「仮想キーボード」ボタン、「4画面登録」で登録した組み合せの中から任意にグループを選択するための「4画面再表示」ボタン、4分割画面表示中にキー選択により4つの画面の組み合せを記憶するための「4画面登録」ボタン、「画面記憶」で一時保存した情報により画面の再表示するための「画面再表示」ボタン、現在表示中の画面情報(表示画面、表示グループNoなど)を一画面分一時保存するための「画面記憶」ボタン、アクティブエリアに過去に表示していた画面を、ボタン選択により過去方向へ戻って表示するための「ヒストリ戻る」ボタン、「ヒストリ戻る」ボタンの選択により、過去方向に戻って画面表示している場合に、現在方向へ進めて表示するための「ヒストリ進む」ボタン、アクティブエリアに表示中の機能が階層的な画面構成を有する場合、一階層上位の画面を表示するための「上位画面」ボタン、アクティブエリアに表示中の機能がページ構造を有する場合ページの後進を選択するための「ページ後進」ボタン、アクティブエリアに表示中の機能がページ構造を有する場合ページの前進を選択するための「ページ前進」ボタン、表示中のウィンドウを全て消去するための「ウィンドウリセット」ボタン、入出力点を検索表示するための項目選択サブウィンドウを表示するための「入出力点辞書」ボタン、および、各種機能を呼び出すのに使用する全機能メニューを表示するための「全機能メニュー」ボタンが表示される。
【0052】
本実施形態についてまとめると、プラント監視操作を行うヒューマンマシン装置の表示画面を、同じ機能を有する他のヒューマンマシン装置に転送し表示するプラント監視制御システムであって、各ヒューマンマシン装置100は、表示画面の表示区画の識別情報と、アプリケーションのプログラムの識別情報と、該表示区画に表示されている画面情報とを関連付けて管理する画面管理テーブル51(画面管理情報)が記憶されている記憶部50と、画面の表示状態に応じて画面管理情報を更新する画面統括部43とを備え、画面統括部43は、表示画面を他のヒューマンマシン装置に転送する指示を受けた際には、記憶部50に記憶されている現在の表示画面に対応した画面管理情報から転送用ファイルを作成して転送先の他のヒューマンマシン装置に転送し、他のヒューマンマシン装置から転送用ファイルを受信した際には、転送用ファイルを自身の画面管理情報に反映し、反映した画面管理情報に基づいて自身の表示画面を更新することができる。
【0053】
各ヒューマンマシン装置100は、さらに、入力部10からの入力動作に基づいてイベント識別情報を生成して画面統括部43に送信する画面表示部42と、画面統括部43からプログラムの処理要求を受理すると、該当するプログラムを起動させて処理要求に基づくパラメータで画面表示情報を生成し、画面統括部43に画面表示の表示要求をするアプリケーション部45とを備え、記憶部50には、さらに、イベント識別情報と、当該イベント情報により起動されるプログラムとが関連付けられている画面動作定義ファイル52が記憶されており、画面統括部43は、画面表示部42からイベント識別情報を受理すると、画面動作定義ファイル52を参照して、どのプログラムを起動するのかを解析し、解析の結果に該当するプログラムを起動させるアプリケーション部45に対し処理要求をし、処理要求に基づいてプログラムを起動させたアプリケーション部45から生成された画面表示情報による画面表示の表示要求を受理すると、表示要求に基づいて画面管理情報を更新するとともに、画面表示部42に画面表示を指令することができる。
【0054】
本実施形態によれば、複数のヒューマンマシン装置で同じ画面表示を行う場合、ある一つのヒューマンマシン装置で画面を表示した画面情報を他のヒューマンマシン装置に転送した際に、良好に再現できるとともに、転送用ファイルが小さいため、転送時間、再現時間が短時間ですみ、高速に転送・表示させることができる。
【符号の説明】
【0055】
10 入力部
20 出力部
21 表示画面
30 通信制御部
40 処理部
41 画面送受信部
42 画面表示部
43 画面統括部
45 アプリケーション部
50 記憶部
51 画面管理テーブル(画面管理情報)
52 画面動作定義ファイル
53 画像ファイル
100 ヒューマンマシン装置
200 情報入出力装置
300,310 ネットワーク
400 プラント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラント監視操作を行うヒューマンマシン装置の表示画面を、同じ機能を有する他のヒューマンマシン装置に転送し表示するプラント監視制御システムであって、
各ヒューマンマシン装置は、
表示画面の表示区画の識別情報と、アプリケーションのプログラムの識別情報と、該表示区画に表示されている画面情報とを関連付けて管理する画面管理情報が記憶されている記憶部と、
画面の表示状態に応じて前記画面管理情報を更新する画面統括部とを備え、
前記画面統括部は、
表示画面を他のヒューマンマシン装置に転送する指示を受けた際には、前記記憶部に記憶されている現在の表示画面に対応した画面管理情報から転送用ファイルを作成して転送先の他のヒューマンマシン装置に転送し、
他のヒューマンマシン装置から前記転送用ファイルを受信した際には、前記転送用ファイルを自身の前記画面管理情報に反映し、反映した画面管理情報に基づいて自身の表示画面を更新する
ことを特徴とするプラント監視制御システム。
【請求項2】
前記各ヒューマンマシン装置は、さらに、
入力部からの入力動作に基づいてイベント識別情報を生成して前記画面統括部に送信する画面表示部と、
前記画面統括部からプログラムの処理要求を受理すると、該当するプログラムを起動させて前記処理要求に基づくパラメータで画面表示情報を生成し、前記画面統括部に画面表示の表示要求をするアプリケーション部とを備え、
前記記憶部には、さらに、
前記イベント識別情報と、当該イベント情報により起動されるプログラムとが関連付けられている画面動作定義ファイルが記憶されており、
前記画面統括部は、
前記画面表示部から前記イベント識別情報を受理すると、前記画面動作定義ファイルを参照して、どのプログラムを起動するのかを解析し、前記解析の結果に該当するプログラムを起動させるアプリケーション部に対し前記処理要求をし、
前記処理要求に基づいてプログラムを起動させたアプリケーション部から前記生成された画面表示情報による画面表示の表示要求を受理すると、前記表示要求に基づいて前記画面管理情報を更新するとともに、前記画面表示部に画面表示を指令する
ことを特徴とする請求項1に記載のプラント監視制御システム。
【請求項3】
前記イベント識別情報がトレンドメニューの起動の場合、
前記アプリケーション部は、前記画面統括部に前記トレンドメニューに含まれるトレンドグラフのメニューであるトレンドグラフメニューの表示要求をし、
前記画面統括部は、前記アプリケーション部から前記トレンドグラフメニューの表示要求を受理すると、前記画面管理情報に要求された表示区画に関連付けてプログラムとしてトレンドメニューを登録し、
次の前記イベント識別情報が、所定ページのトレンドグラフの表示の場合
前記アプリケーション部は、前記画面統括部に前記所定ページのトレンドグラフの表示要求をし、
前記画面統括部は、前記アプリケーション部から前記所定ページのトレンドグラフの表示要求を受理すると、前記画面管理情報に要求された表示区画に関連付けて、初期データとして所定ページを登録する
ことを特徴とする請求項2に記載のプラント監視制御システム。
【請求項4】
前記各ヒューマンマシン装置は、4画面表示を備えたプラント監視表示装置である
ことを特徴とする請求項1に記載のプラント監視制御システム。
【請求項5】
前記転送用ファイルは、前記画面管理情報に基づくCSV(Comma Separated Values)形式のファイルである
ことを特徴とする請求項1に記載のプラント監視制御システム。
【請求項6】
プラント監視操作を行うヒューマンマシン装置の表示画面を、同じ機能を有する他のヒューマンマシン装置に転送し表示する表示画面管理方法において、
各ヒューマンマシン装置は、記憶部に、
表示画面の表示区画の識別情報と、アプリケーションのプログラムの識別情報と、該表示区画に表示されている画面情報とを関連付けて管理する画面管理情報が記憶されており、
前記画面統括部は、
画面の表示状態に応じて前記画面管理情報を更新し、
表示画面を他のヒューマンマシン装置に転送する指示を受けた際には、前記記憶部に記憶されている現在の表示画面に対応した画面管理情報から転送用ファイルを作成して転送先の他のヒューマンマシン装置に転送し、
他のヒューマンマシン装置から前記転送用ファイルを受信した際には、前記転送用ファイルを自身の前記画面管理情報に反映し、反映した画面管理情報に基づいて自身の表示画面を更新する
ことを特徴とする表示画面管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−69026(P2012−69026A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214714(P2010−214714)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】