説明

プリズムブロック締結構造、およびそれを用いた光学機器

【課題】本発明は、光学機器の鏡筒とプリズムブロックとの締結構造において、光軸調整を容易にかつ簡易な構成にて可能な、プリズムブロック締結構造を提供する。
【解決手段】光ビームを外部のスクリーンに出射する光学機器部と、該光学機器部に装着された鏡筒部と、該鏡筒部の先端部に備えられたレンズ群と、該レンズ群の先端対物側に装着されたプリズムブロックであってプリズムとプリズム固定用枠とを少なくとも備え、前記各部を載置するフレーム台と、該フレーム台と一体的に設けられ、かつ前記鏡筒部を少なくとも載置するフランジ部を備え、前記鏡筒部と前記プリズムブロックを位置決め固定するプリズムブロック締結構造において、前記鏡筒部に設けられた装着固定部材の係止部に、前記プリズムブロックのプリズム固定枠の係止部を鏡筒部の光軸と直交する面に平行な方向から嵌合固定し、前記鏡筒部とプリズムブロックを一体することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学機器部としてベース部品(アルミ等軽金属のダイキャスト製)に装着されたプリズムブロック部品を光学機器部のレンズ鏡筒に組みつけて一体化させたプリズムブロック締結構造に関するものである。
また、本発明は、光学機器部、レンズ鏡筒、プリズム及びプリズムブロック、ベース部品などを組み合わせた光学機器に関するものである。
【0002】
さらに本発明は、ベース部品としてのフレーム台の組み立て用の加工面の数を低減させ、結果として加工面を基準とした組み立て寸法精度を向上させることが可能になるほか、コストダウンすることが可能な光学機器として、フロントプロジェクタおよびリアプロジェクタなどのミラー投射光学系に関するものである。
【背景技術】
【0003】
プロジェクタやミラー投射光学などの光学系の多くは、光学機器の光源あるいは光学機器の外部から出射された光ビームを屈折させて、光学機器に近接したスクリーンに投射するためのプリズムブロックやプリズムブロック側から入射した光ビームを反射させるためのミラーを備えており、プリズムブロックをレンズの光軸と一致させる位置決め機構には、ダイキャストにより製造されたフレーム台のフランジ面を利用した一体化構造などが多用されている。
【0004】
特許文献1には、光学系を構成するユニット間の位置精度を向上させて画像品質の劣化を防止するとともに、ユニット間の組み立て性の向上を図ることを目的とした光学機器であるプロジェクタとプロジェクタを構成するユニットの組み立て方法に係る技術が開示されている。従来技術に係るこのプロジェクタは、光学系の光学変調素子(液晶パネル)前段の光学素子を収容して構成される光学素子ユニットと、光学系の光学変調素子(液晶パネル)を収容して構成される光学変調素子ユニットと、光学系の投写レンズを収容して構成される投写レンズユニットとを備えており、投写レンズユニットを載置保持するフレーム構造状の案内枠に、投写光学素子ユニットと、光変調素子ユニットとを組み立てて一体とさせる構成を有している。組立ての際に、基準となる共通の基準面を、投写レンズユニットを保持するフレーム構造状の案内枠に備えている。
光変調素子ユニットは、フレーム構造状の下案内枠の共通の基準面に取り付けられたクロスダイクロイックプリズムを位置決め固定するプリズム固定基板が備えられており、この固定基板にクロスダイクロイックプリズムおよび液晶パネル等を光学的位置決めをすることにより構成される。
【0005】
投写レンズユニットは、光学系の光学素子(投写レンズおよび反射ミラー)を収容して構成され、その投写レンズユニットの鏡筒部には鏡筒部を挟み込むように投写レンズユニットを載置保持するフレーム構造状の下案内枠と、上方から投射レンズユニットを保持する上案内枠が備えられている。この下案内枠の一方の端部には、光変調素子ユニットと光学素子ユニットを組み立てて一体にさせる際に基準となる共通の基準面を有する固定部が形成されている。この共通の基準面を有する固定部には、各ユニットを組み立てる場合の共通の基準面のほかに、位置決め案内用の基準突起や位置決め案内用の基準孔、および固定する場合の挿通孔およびねじ切り加工が施された固定孔が形成されている。この共通の基準面に対して、光変調素子ユニットを組み立てた後に、光学素子ユニットを組み立てる構成としている。この下案内枠の固定部に形成された共通の基準面は、投写レンズの光軸に対して垂直な面で形成され、光変調素子ユニットおよび光学素子ユニットの組み立て用の各基準面をこの固定部の共通の基準面に当接させて、組み立てを行う。光変調素子ユニットと光学素子ユニットは、投写レンズユニットの鏡筒部の光軸方向(光変調素子ユニットからの光束の出射方向)に向けてネジ部材を共通の基準面のネジ部にネジ締め固定を行うことにより、組み立てて一体化される。このように共通の基準面に装着することにより、投写レンズユニットと、光変調素子ユニットおよび光学素子ユニットの位置合わせ精度が保持される構成となっている。
【0006】
投写レンズユニットの鏡筒部を載置保持するフレーム構造上の下案内枠に形成された共通の基準面の加工精度や投写レンズユニットの載置保持時の取り付け精度が低いと、光変調素子ユニットとの光軸合わせの調整に支障が生じる場合がある。
フレーム構造状の下案内枠の共通の基準面に取り付けられた光変調素子ユニットのクロスダイクロイックプリズムを位置決め固定するプリズム固定基板が備えられており、この固定基板に対するクロスダイイックプリズムおよび液晶パネル等の組み立て精度が低い場合も同様の支障が生じる場合がある。またフレーム構造状の下案内枠に形成した共通の基準面の光軸合わせのために固定基板の加工精度を高める必要があり、フレーム状部材の加工精度向上に伴うコストアップや、光軸調整のための時間がかかることに伴うコストアップという問題があった。
【0007】
このように、特許文献1の手法は、投写レンズユニットの鏡筒部分と光変調素子ユニットのクロスダイイックプリズムとの光軸調整を高精度に行うためには、フレーム構造状の共通の基準面の加工精度を高める必要があり、また光軸調整を効率よく短時間に行うためには、各ユニットの組み立て構造を簡易にする必要があり、組み立て用位置決め部材の製作上の高コスト化や組み立て時の光軸調整上の高コストが避けられないという問題があった。
【0008】
また、投射レンズ系のレンズ鏡筒と光学変調素子を構成するプリズムブロックとの組み合わせによる一体化構造の従来技術(特許文献なし)について、図6、図7、図8、図9、図10を用いて説明する。特許文献1の用語の記載では、「投写」を用いているが、以下の本願発明に係る用語では、「投写」ではなく「投射」を用いる。
図6は、従来の技術の一例としてフロントプロジェクタとしての従来の光学機器2の全体概略図である。アルミニウム等軽合金のダイキャスト法により製作されたフレーム台40に取り付けられた光学機器部5と、光学機器部5に装着された鏡筒部10および鏡筒部10と一体化したレンズ部21と、レンズ部の先端部に配置されるプリズムブロック44の全体概略図を示す。図示しないLCDをプリズムブロック44に装着し、プリズムブロック44側から、図示しない外部の光源から出射した光ビームを入射し、出射窓7から、外部のスクリーンに光ビームを出射するフロントプロジェクタである。
LCDは、光ビームを変調する光学素子である。
図7は、鏡筒部10と一体化したレンズ部21の先端部に装着するプリズムブロック44の構造と装着方向を示す図である。
【0009】
図8は、鏡筒部10の光軸に平行な方向でのフレーム台40の断面図である。鏡筒部10の先端部にレンズ部21が配置されている。フランジ部40と鏡筒部10とは、いわゆる門型状のフランジ部45の近傍に設けられた載置突部47aと鏡筒部10に設けられた載置凹部とを嵌合して位置決め載置する構造としている。また同様に別途フレーム台に設けられた位置決め突部47bも同様に鏡筒部10に設けた載置凹部とを嵌合している。
フランジ部45のプリズムブロック44と対向するプリズムブロック装着面46は、鏡筒部10光軸と直交する面として精密加工が必要な面である。またこの載置突部と載置凹部も位置決め精度が要求されるため精密加工が必要となる。このプリズムブロック装着面46には、プリズムブロック44の光軸に一致させるための位置決め係合部材(ピン)48が配設されている。プリズムブロック44側から入射した外部光源からの光ビームは、光学機器部5のミラー6で反射され、出射窓7から外部のスクリーンに出射される。
【0010】
図9(a)は、プリズム23とプリズム用固定枠42が組み合わされたプリズムブロック44を示す。符号55は、図示しないLCDパネル部材を組み付けるための取り付け部材である。さらに図9(b)は、プリズムブロック44の組み立て方法を示す図である。プリズム23とプリズム用固定枠42は、光学的に透明な接着材等により接着される。
プリズム固定枠42には、プリズムブロック装着面46に配設された位置決め係合部材(ピン)と係合する位置決め孔49が配設されている。
プリズムブロック44は、フレーム台40の門型状のフランジ部45のプリズムブロック装着面46に、このプリズムブロック装着面46を基準にして、プリズム固定枠42の位置決め孔49を介して位置決め係合部材(ピン)48に図7に示す矢印の方向から嵌め込むことにより固定装着される。フランジ部45は、鏡筒部10の下面が門型状フランジ部45の載置突部47と載置凹部により載置され支持されることにより、鏡筒部10を正確な位置に載置し、かつ、プリズムブロック44を鏡筒部10の光軸に調整容易に取り付ける構造となっている。このため、フランジ部45のプリズムブロック装着面46を基準にして、プリズム固定枠42と鏡筒部10が別々に載置され、組み付けられることにより、鏡筒部10のレンズ部21とプリズム23の光軸調整が精度よく行われる構造となっている。
【0011】
図10は、レンズ部21とプリズム23との配置例を示す図である。図10(a)は、レンズ部21とプリズム23の配置例の平面図を示す図であり、図10(b)は、レンズ部21とプリズム23の配置例の側面図を示す図である。符号28は、鏡筒部10の光軸を示す。
【0012】
上記の説明のように、従来技術の構造は、光学機器2を構成する、光学機器部5、鏡筒部10、レンズ部21とが、フレーム台40に載置されている。さらにフレーム台40のフランジ部45、プリズムブロック装着面46を基準として、プリズム用固定枠42とプリズム23とで構成されるプリズムブロック44により、鏡筒部10とプリズムブロック44が光軸調整がなされた一体化構成となっている。
【0013】
このような従来技術においては、フレーム台40のフランジ部45のプリズムブロック装着面46を基準として、フランジ部45近傍の載置突部47a、47bと鏡筒部10に設けられた載置凹部とを係合位置決めして鏡筒部10を載置し、プリズム用固定枠42を介してプリズムブロック44をプリズムブロック装着面46に装着するものである。
このため、プリズムブロック装着面46の平坦性や載置突部47a、47bと鏡筒部10の載置凹部や、プリズム固定枠42などの各部材の相対的位置決め部分の加工精度を高いものとする必要がある。このため、加工精度が要求される加工箇所の数が多いことや、加工精度向上および光軸調整精度向上のためのコストが高くなるという問題がある。
【0014】
また、鏡筒部10を載置突部47a、47bに載置する構造であるため、その場合、レンズ部21の大きさや重さにより、プリズムブロック44との近接部が撓み、プリズムブロック44との光軸のズレが生じる場合があり、この撓みを抑えるための、鏡筒部10自体の強度も高い剛性のものが要求される。プリズム用固定枠42やフランジ部45も高い剛性のものが要求される。またレンズ部21をプリズムブロック装着面46に固定したプリズムブロック44に近接して差し込む場合も上記の撓みを抑える必要が生じるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2011−2611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来技術においては、フレーム台40のフランジ部45近傍の載置突部47aおよび鏡筒部10の中ほどの載置突部47bとを、鏡筒部10に設けられた載置凹部に係合位置決めして鏡筒部10を載置し、プリズム用固定枠42を介してプリズムブロック44をプリズムブロック装着面46に装着することとなり、載置突部47a,47bと鏡筒部10の載置凹部とで位置決めされる鏡筒部10の載置位置、プリズムブロック装着面46とプリズム固定枠42に対応する相対的位置決めのための各部材の加工精度を高くする必要があり、加工上の精度向上および光軸調整上の精度向上を高める上で高コストになるという問題がある。
本発明は、上記問題を解決するために、フレーム台のフランジ部の載置部や、プリズムブロックの位置決めのフレーム台フランジ部の精密加工用の加工コストを低減し、かつ鏡筒部とプリズムブロックとの光軸調整を簡素化したプリズムブロック締結構造を提供することを目的とする。
さらにこのプリズムブロック締結構造を用いた光学機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明は、請求項1に記載の通り、光ビームを外部のスクリーンに出射する光学機器部と、該光学機器部に装着された鏡筒部と、該鏡筒部の先端部に備えられたレンズ群と、該レンズ群の先端対物側に装着されたプリズムブロックであってプリズムとプリズム固定用枠とを少なくとも備え、前記各部を載置するフレーム台と、該フレーム台と一体的に設けられ、かつ前記鏡筒部を少なくとも載置するフランジ部を備え、前記鏡筒部と前記プリズムブロックを位置決め固定するプリズムブロック締結構造において、前記鏡筒部に設けられた装着固定部材の係止部に、前記プリズムブロックのプリズム固定枠の係止部を鏡筒部の光軸と直交する面に平行な方向から嵌合固定し、前記鏡筒部とプリズムブロックを一体することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フロントプロジェクタやリアプロジェクタなどのミラー投射系光学機器などの光学機器部に入射された光ビームを屈折させて、近接配置されたスクリーンに投射するプリズムブロックを用いた光学機器の鏡筒に装着するプリズムブロック締結構造において、ベース台となるフレーム台の加工量と加工精度を従来よりも高める必要がなく、鏡筒とプリズムブロックの光軸調整が容易なプリズムブロック締結構造を提供することが可能になる。さらにこのプリズムブロック構造を用いた光学機器の提供も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のプリズムブロック締結構造を有する光学機器の一例を示す全体概略図である。
【図2】本発明の鏡筒部10と一体化したレンズ部21の先端部に装着するプリズムブロック24の装着方法の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施例のプリズムブロック締結構造を鏡筒部に装着した断面図である。
【図4】図4(a)は、本発明の実施例のプリズムブロック締結構造におけるプリズムとプリズム固定枠に装着されたプリズムブロックを示す図であり、図4(b)は、本発明の実施例のプリズムブロック締結構造におけるプリズムとプリズム固定枠に装着されたプリズムブロックの構造を示す図である。
【図5】本発明におけるレンズ部とプリズムの鏡筒部10における光軸に対する配置例を示す図であり、図5(a)は、平面図、図5(b)は、側面図を示す図である。
【図6】従来のプリズムブロック締結構造を有する光学機器の一例を示す全体概要図である。
【図7】従来のプリズムブロック締結構造を鏡筒部10と一体化したレンズ部21の先端部に装着するプリズムブロック44の構造(装着方法)を示す図である。
【図8】従来のプリズムブロック締結構造を鏡筒部に装着した状態を示す断面図である。
【図9】図9(a)は、従来のプリズムブロックの構造を示す図であり、図9(b)は、従来技術のプリズムブロックの組み立て方法を示す図である。
【図10】従来のレンズ部とプリズムの鏡筒部10における光軸に対する配置例を示す図であり、図10(a)は、平面図、図10(b)は、側面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図5を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態である、本発明に係るプリズムブロック締結構造を用いた光学機器の一例を示す全体概略図である。
図2は本発明の実施例であり、鏡筒部10と一体化したレンズ部21の先端部に装着するプリズムブロック24の装着方法の一例を示す図である。
図3は本発明の実施例であるプリズムブロック締結構造を用いた光学機器の一例を示すフレーム台の断面図である。
図4(a)は、本発明の実施例であるプリズムブロックの基本構成を示す図であり、図4(b)は、プリズムブロックの組み付け構造(組み付け方法)を示す図である。符号50は、図示しないLCDパネル部材を組み付けるための取り付け部材である。
図5は、本発明におけるレンズ部とプリズムの鏡筒部10における光軸に対する配置例を示す図である。図5(a)は、レンズ部21とプリズム23の配置例の平面図を示す図であり、図5(b)は、レンズ部21とプリズム23の配置例の側面図を示す図である。符号28は、鏡筒部10の光軸を示す。
なお、図1〜図5における符号は、図6〜図10における同一の構成要素につては、同一の符号を付与している。
図1に示す光学機器1は、実施例としてフロントプロジェクタを示し、図示しない外部の光源から入射した光ビームが、プリズムブロック側から入射し、光学機器部5から反射ミラーに反射されて出射窓から、外部のスクリーンに写つしだされる光学機器である。光学機器1は、光学機器部5と、鏡筒部10、フレーム台20、レンズ部21、プリズムブロック24、フランジ部25、鏡筒部装着部材27を有し、プリズムブロック先端部には、図示しないLCDが装着される。
本発明のプリズムブロック締結構造は、円筒状の鏡筒の中心軸を光軸とする鏡筒部10の先端部にレンズ部21を有する光学機器1に適用される。鏡筒部10には、レンズ部21以外の符号を付さないレンズ群が所要箇所に配置されている。光学機器部5と鏡筒部10間の装着は、公知のはめ込み方式等で行われる。
【0022】
鏡筒部10は、例えばカム筒11の光軸側内側に配置されたライナー12が先端部側に装着され、このカム筒11の回転動作によりライナー12の内側に装着されたレンズ部21が移動される構成となっている。光学機器部5の外部に配置された図示しない光源から出射された光ビームは、レンズ部21の先端に装着されたプリズム23により屈折されて、レンズ部21と鏡筒部10の光軸とを通過し、光学機器部5のミラー6により反射されて、出射窓7から、本発明の光学機器1に近接して別途配置された図示しないスクリーンに写しだされる。
【0023】
プリズムブロック24は、鏡筒部10に装着された鏡筒部装着部材27の位置決め用係合突起部材28に、プリズムブロック24の位置決め用孔29が鏡筒部10の光軸と直交する上方から嵌合して、はめ合い固定される。すなわち、プリズムブロック24は、鏡筒部10と鏡筒部装着部材27を介して一体化される。鏡筒部10の光軸に対してプリズム23はこの一体化により、光軸調整が行われた状態で装着されている状態である。鏡筒部10は、その載置面側に設けた位置決め用突部30とフレーム台20のフランジ部25の取り付け面26に設けた寸法精度が要求されない位置決め孔を介して載置されるのみであり、取り付け面26に対する加工精度を前述の従来例のように高くする必要がない。
また、別途フレーム台20に設けた位置決め用突部31と鏡筒部10側に設けた位置決め用孔も同様に加工精度は要求されない。
【0024】
図4(a)は、プリズム固定枠22に接着固定されたプリズム23が組みつけられたプリズムブロック24を示し、図4(b)は、プリズムブロック24の組み付け構造を示す図である。プリズム23は、プリズム固定枠22に対して、光学的に透明な接着材を用いて接着固定することができる。プリズム23の光学的反射面の組み付け方向を変えることにより、例えば、図3等に示す鏡筒部10の光軸に対して平行な面に締結が可能である。
光学機器1のプリズムブロック締結構造として、小型化や簡易な構造により、プリズム23の光学的反射面の取り付け方向の多様性がでるという効果がある。
【0025】
図5は、レンズ部21とプリズム23との配置例を示す図である。図5(a)は、レンズ部21とプリズム23の配置例の平面図を示す図であり、図5(b)は、レンズ部21とプリズム23の配置例の側面図を示す図である。符号28は、鏡筒部10の光軸を示す。図5(a)および図5(b)に示すように、図4(a)のプリズムブロック24を用いることにより、レンズ部21とプリズム23は、鏡筒部光軸28に対して、容易に光軸調整が行われる。
また図5(a)および図5(b)に示すようにレンズ部21とプリズム23は近接配置される。
【0026】
本発明のプリズムブロック締結構造において、プリズムブロック24の鏡筒部10からの取り付け取り外しが容易である。
【0027】
フレーム台20のフランジ部25の取り付け面26の加工精度にかかわりなく、光軸調整が容易な、鏡筒部10の外筒を基準としてプリズムブロック24を組み付けた構造となる。このため、鏡筒部10の光軸調整が容易でかつ簡易な構成となり、光軸調整精度の向上に加えて、プリズムブロック24の取り付け取り外しが容易となる効果も可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上説明したように、本発明のプリズムブロック締結構造、それを用いた光学機器によれば、容易でかつ簡易な構造にて鏡筒部とプリズムブロックの光軸調整を行うのに適している。プリズムブロックの取り付け取り外しが容易になり、用途に応じたプリズムブロックの適用が可能になる。
【符号の説明】
【0029】
1、2…光学機器
5…光学機器部
10…鏡筒部
11…カム筒
12…ライナー
20、40…フレーム台
21…レンズ部
22、42…プリズム固定枠
23…プリズム
24、44…プリズムブロック
25、45…フランジ部
26、46…取り付け面
27…鏡筒部装着部材
28…鏡筒部光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを外部のスクリーンに出射する光学機器部と、該光学機器部に装着された鏡筒部と、該鏡筒部の先端部に備えられたレンズ群と、該レンズ群の先端対物側に装着されたプリズムブロックであってプリズムとプリズム固定用枠とを少なくとも備え、前記各部を載置するフレーム台と、該フレーム台と一体的に設けられ、かつ前記鏡筒部を少なくとも載置するフランジ部を備え、前記鏡筒部と前記プリズムブロックを位置決め固定するプリズムブロック締結構造において、前記鏡筒部に設けられた装着固定部材の係止部に、前記プリズムブロックのプリズム固定枠の係止部を鏡筒部の光軸と直交する面に平行な方向から嵌合固定し、前記鏡筒部とプリズムブロックを一体することを特徴とするプリズムブロック締結構造。
【請求項2】
請求項1のプリズムブロック締結構造において、前記プリズムと前記プリズム用固定枠からなるプリズムブロックを、前記鏡筒部の光軸と平行な面に締結することを特徴とするプリズムブロック締結構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載のプリズムブロック締結構造を用いたことを特徴とする光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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