説明

プリンタドライバ及び制御装置

【課題】基準となる印刷設定情報と現在の印刷設定情報との相違点を簡単な操作で確認できるプリンタドライバ及び制御装置を提供する。
【解決手段】ホストコンピュータは、基準設定におけるDEVMODE構造体、現在設定におけるDEVMODE構造体、及び、複数のプリンタドライバに関する複数のプリンタドライバ情報を記憶部において記憶し、更に、該複数のプリンタドライバ情報に基づいて、該複数のプリンタドライバに関する情報の一覧が記載された一覧画面を表示部に表示させることができる。現在設定におけるDEVMODE構造体と基準設定におけるDEVMODE構造体との相違点に関する差分情報を生成する(ステップS6,S7)。現在設定におけるDEVMODE構造体に対応するプリンタドライバ情報に差分情報を記録する(ステップS9,S10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタドライバ及び制御装置、特に、印刷装置にて実行される印刷処理を制御装置に制御させるためのプリンタドライバ及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプリンタドライバとしては、例えば、特許文献1に記載のプリンタドライバが知られている。以下に図面を参照しながら特許文献1に記載のプリンタドライバについて説明する。図13は、特許文献1に記載のプリンタドライバのプロパティ画面を示した図である。
【0003】
特許文献1に記載のプリンタドライバは、印刷設定内容に基づいて、用紙サイズや用紙の向き等を決定し、プリンタに対して印刷処理を行わせる。また、ユーザは、好みに応じて、初期設定状態である印刷設定内容(以下、印刷初期設定内容)を変更して、現在設定である印刷設定内容(以下、印刷現在設定内容)としてコンピュータに記憶させることができる。
【0004】
更に、特許文献1に記載のプリンタドライバは、印刷初期設定内容と印刷現在設定内容とを比較し、これらの違いを示す印刷差分内容を生成する。そして、図13に示すように、プリンタドライバは、プロパティ画面において、印刷差分内容を、初期設定から変更された設定として表示する。これにより、ユーザは、印刷現在設定内容と印刷初期設定内容との相違を効率的に確認することができる。
【0005】
ところで、印刷現在設定内容と印刷初期設定内容との相違をより効率的に確認することが望まれている。より詳細には、特許文献1に記載のプリンタドライバでは、アプリケーションに付属の印刷画面を表示させた後に、該印刷画面を操作することにより、プリンタドライバを起動させて、図13に示すプリンタドライバのプロパティ画面を表示させる。更に、プロパティ画面の設定確認のタグをクリックすることによって、印刷現在設定内容と印刷初期設定内容との相違を確認することができる。よって、特許文献1に記載のプリンタドライバでは、印刷現在設定内容と印刷初期設定内容との相違を一見して確認できるが、プリンタドライバを起動させる必要があるので、相違を確認できる画面を表示させるのに多くの操作が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−216362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、基準となる印刷設定情報と現在の印刷設定情報との相違点を簡単な操作で確認できるプリンタドライバ及び制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係るプリンタドライバは、印刷に関する複数の設定項目からなる第1の印刷設定情報に従って印刷装置にて実行される印刷処理を、制御装置に制御させるためのプリンタドライバであって、前記制御装置は、前記第1の印刷設定情報、第2の印刷設定情報、及び、複数のプリンタドライバに関する複数のプリンタドライバ情報を記憶手段において記憶し、更に、該複数のプリンタドライバ情報に基づいて、該複数のプリンタドライバに関する情報の一覧が記載された画像を表示手段に表示させることができ、前記第1の印刷設定情報と前記第2の印刷設定情報との相違点に関する差分情報を生成する第1のステップと、前記第1の印刷設定情報に対応する前記プリンタドライバ情報に前記差分情報を記録する第2のステップと、を備えた処理を、前記制御装置に実行させることを特徴とする。
【0009】
本発明の一形態に係る制御装置は、印刷に関する複数の設定項目からなる第1の印刷設定情報に従って印刷装置にて実行される印刷処理を制御する制御装置であって、前記第1の印刷設定情報、第2の印刷設定情報、及び、複数のプリンタドライバに関する複数のプリンタドライバ情報を記憶する記憶手段と、前記複数のプリンタドライバ情報に基づいて、前記複数のプリンタドライバに関する情報の一覧が記載された画像を表示する表示手段と、前記第1の印刷設定情報と前記第2の印刷設定情報との相違点に関する差分情報を生成する差分手段と、前記第1の印刷設定情報に対応する前記プリンタドライバ情報に前記差分情報を記録する記録手段と、を備えていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基準となる印刷設定情報と現在の印刷設定情報との相違点を簡単な操作で確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ホストコンピュータのハードウェア構成を示したブロック図である。
【図2】DEVMODE構造体の構成を示した図である。
【図3】DEVMODE構造体の構成を示した図である。
【図4】プリンタドライバ情報の一例を示した図である。
【図5】プリンタドライバのソフトウェア構成を示したブロック図である。
【図6】差分情報を示した図である。
【図7】プリンタドライバ情報に基づいて、表示部にて表示される一覧画面の一例である。
【図8】基準設定におけるプリンタドライバのUIにより表示される設定画面である。
【図9】差分情報の記録のさせ方を設定する編集画面である。
【図10】現在設定におけるプリンタドライバのUIにより表示される設定画面である。
【図11】差分情報の生成・記録の際に制御部で実行されるプリンタドライバが行う処理を示したフローチャートである。
【図12】ホストコンピュータにて実行されるアプリケーションの印刷画面である。
【図13】特許文献1に記載のプリンタドライバのプロパティ画面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明のプリンタドライバ及び制御装置の一実施形態に係るプリンタドライバ及びホストコンピュータについて図面を参照しながら説明する。
【0013】
(ホストコンピュータについて)
以下に、図面を参照しながら本発明の一実施形態に係るホストコンピュータの構成について図面を参照しながら説明する。図1は、ホストコンピュータ10のハードウェア構成を示したブロック図である。図1には、ホストコンピュータ10に加えて、プリンタ30が記載されている。
【0014】
ホストコンピュータ10は、例えば、パソコンであり、図1に示すように、制御部12、記憶部14、コントローラ16,18,20、システムバス22、入力部24及び表示部26を備えている。制御部12は、例えば、CPUにより実現され、ホストコンピュータ10の動作を制御する役割を果たす。
【0015】
入力部24は、例えば、キーボードやマウスにより実現され、ユーザからの入力を受付ける装置である。コントローラ16は、入力部24からの入力を制御する。表示部26は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置により実現され、ユーザに対して映像を表示する装置である。コントローラ18は、表示部26の表示を制御する。
【0016】
記憶部14は、例えば、ハードディスクにより実現され、印刷に関する複数の設定項目からなるDEVMODE構造体(印刷設定情報)を記憶しいている。 以下に、DEVMODE構造体について図面を参照しながら説明する。図2及び図3は、DEVMODE構造体の構成を示した図である。なお、図2では、基準設定におけるDEVMODE構造体の内容が示されている。図3では、現在設定におけるDEVMODE構造体の内容が示されている。
【0017】
DEVMODE構造体は、印刷に関する複数の項目からなる印刷設定情報である。具体的には、DEVMODE構造体は、「原稿の向き」、「原稿サイズ」、「出力サイズ」、「ズーム」、「給紙トレイ」、「用紙種類」、「出力方法」、「部数」、「ソート」及び「仕分け」の項目により構成されている。
【0018】
「原稿の向き」は、原稿が縦搬送であるのか横搬送であるのかを示している。「原稿サイズ」は、A4やA3等の原稿のサイズを示している。「出力サイズ」は、文書を印刷する用紙のサイズを示している。「ズーム」は、印刷イメージを拡大縮小する倍率を示している。「給紙トレイ」は、プリンタ30のいずれのトレイを使用するのかを示している。「用紙種類」は、用紙が普通紙であるのか厚紙であるのかを示している。「出力方法」は、プリンタから文書を出力する方法を示している。「部数」は、印刷される部数を示している。「ソート」は、文書を複数部印刷する場合に、1部ずつ印刷するか否かを示している。「仕分け」は、複数部数印刷する場合に、一部ずつ位置をずらして出力するか否かを示している。
【0019】
記憶部14は、前記のようなDEVMODE構造体を複数種類記憶している。より詳細には、記憶部14は、図2に示す基準設定におけるDEVMODE構造体の他に、基準設定におけるDEVMODE構造体がユーザにより変更されて得られる現在設定におけるDEVMODE構造体(図3参照)を記憶している。
【0020】
また、記憶部14は、DEVMODE構造体に従ってプリンタ30にて実行される印刷処理を、ホストコンピュータ10に制御させるためのプリンタドライバも記憶している。プリンタドライバは、制御部12において実行されるプログラムである。
【0021】
ここで、DEVMODE構造体は、プリンタドライバ毎に存在している。よって、複数のプリンタドライバがホストコンピュータ10にインストールされている場合には、複数のDEVMODE構造体が記憶部14に記憶されている。
【0022】
更に、記憶部14は、プリンタドライバ情報を記憶している。プリンタドライバ情報には、プリンタドライバに関する情報が含まれている。図4は、プリンタドライバ情報の一例を示した図である。図4に示すように、プリンタドライバ情報は、「名前」、「ドキュメント」、「状態」、「コメント」、「場所」及び「モデル」の項目により構成されている。
【0023】
「名前」は、プリンタドライバに付された名前である。「ドキュメント」は、印刷待ちドキュメントの数を示している。「状態」は、プリンタドライバにより制御されるプリンタ30の状態(例えば、印刷準備完了やオフライン等)を示している。「コメント」は、プリンタドライバに対して、ユーザが任意に記入することができる欄である。「場所」は、プリンタドライバによって制御されるプリンタ30の設置場所を示す。「モデル」は、プリンタドライバによって制御されるプリンタ30の名前である。
【0024】
ちなみに、記憶部14は、プリンタ30のプリンタドライバに関するプリンタドライバ情報の他に、プリンタ30以外のプリンタに関するプリンタドライバ情報も記憶している。すなわち、記憶部14は、複数のプリンタドライバ情報を記憶している。
【0025】
プリンタ30は、ホストコンピュータ10に接続され、ホストコンピュータ10からの指示に基づいて印刷処理を実行する印刷装置である。プリンタ30は、レーザプリンタであってもよいし、インクジェットプリンタであってもよい。コントローラ20は、ホストコンピュータ10とプリンタ30との通信制御処理を実行する。
【0026】
制御部12、記憶部14及びコントローラ16,18,20は、システムバス22に接続されており、互いに通信することができる。
【0027】
次に、プリンタドライバのソフトウェア構成について図面を参照しながら説明する。図5は、プリンタドライバ40のソフトウェア構成を示したブロック図である。図6は、差分情報を示した図である。
【0028】
プリンタドライバ40は、図5に示すように、差分部42、記録部44及び変更部46を備えている。
【0029】
変更部46は、基準設定におけるDEVMODE構造体を変更して、現在設定におけるDEVMODE構造体を生成することができる。また、変更部46は、現在設定におけるDEVMODE構造体を更に変更して、新たな現在設定におけるDEVMODE構造体を生成することができる。
【0030】
また、差分部42は、基準設定におけるプリンタドライバ情報(図2参照)と現在設定におけるプリンタドライバ情報(図3参照)との相違点に関する差分情報(図6参照)を生成する。具体的には、基準設定におけるプリンタドライバ情報と現在設定におけるプリンタドライバ情報との相違点は、「ズーム」及び「用紙種類」の項目である。「ズーム」の項目は、自動100%から任意80%に変更されている。また、「用紙種類」の項目は、普通紙から厚紙に変更されている。そこで、差分部42は、これらの2つの項目が変更されたことを示す差分情報を生成する。ただし、2つの項目の変更内容をそのまま記載した場合には、差分情報が長くなってしまう。そこで、差分部42は、変更された項目の変更内容を短縮化した差分情報を生成する。本実施形態では、差分部42は、図6に示すように、「Z任80,用厚紙」の内容を有する差分情報を生成する。
【0031】
記録部44は、図3の現在設定のDEVMODE構造体に対応するプリンタドライバ情報(図4参照)に、図6の差分情報を記録する。具体的には、記録部44は、プリンタドライバ情報の「コメント」の項目に差分情報である「Z任80,用厚紙」を記録する。
【0032】
(ホストコンピュータの動作)
以下に、ホストコンピュータ10の動作について図面を参照しながら説明する。図7は、プリンタドライバ情報に基づいて、表示部26にて表示される一覧画面の一例である。
【0033】
特許文献1に記載のプリンタドライバは、印刷初期設定内容と印刷現在設定内容とを比較し、これらの違いを示す印刷差分内容を生成する。そして、図13に示すように、プリンタドライバは、プロパティ画面において、印刷差分内容を、初期設定から変更された設定として表示する。これにより、ユーザは、印刷現在設定内容と印刷初期設定内容との相違を効率的に確認することができる。
【0034】
しかしながら、特許文献1に記載のプリンタドライバでは、印刷現在設定内容と印刷初期設定内容との相違を一見して確認できるが、相違を確認できる画面を表示させるのに多くの操作が必要である。より詳細には、特許文献1に記載のプリンタドライバでは、アプリケーションに付属の印刷画面を表示させた後に、該印刷画面を操作することにより、プリンタドライバを起動させて、図13に示すように、プリンタドライバのプロパティ画面を表示させる。更に、プロパティ画面の設定確認のタグをクリックすることによって、印刷現在設定内容と印刷初期設定内容との相違を確認することができる。
【0035】
そこで、ホストコンピュータ10では、制御部12は、プリンタドライバ情報が含まれている一覧画面(図7参照)に差分情報を含めて表示部26に表示させる。この際、制御部12は、一覧画面の表示において、プリンタドライバ40のUI(ユーザーインターフェース)を使用するのではなく、ホストコンピュータ10にインストールされているOS(例えば、Microsoft社のWindows(登録商標))のUIを使用する。一覧画面は、Windows(登録商標)では、「スタート」、「設定」、「プリンタとFAX」をクリックすることにより表示される「プリンタとFAX」と名づけられた画面である。これにより、ユーザは、一覧画面の「コメント」の項目を確認することにより、差分情報の内容を確認できる。図8は、基準設定におけるプリンタドライバ40のUIにより表示される設定画面である。図9は、差分情報の記録のさせ方を設定する編集画面である。図10は、現在設定におけるプリンタドライバ40のUIにより表示される設定画面である。
【0036】
まず、プリンタドライバ40は、図8の設定画面を表示部26に表示させる。ユーザは、図8の設定画面において、入力部24を操作することにより、基準設定におけるDEVMODE構造体の各項目の設定を行う。ユーザは、入力部24を操作して、「お気に入り」の横にある「追加」のボタンをクリックする。応じて、プリンタドライバ40は、UIを用いて、図9に示す編集画面を表示部26に表示させる。
【0037】
ユーザは、図9の編集画面において、入力部24を操作して、「お気に入りに追加」の「名前」の項目に、基準設定におけるDEVMODE構造体の名前として、「両面」と入力する。そして、ユーザは、入力部24を操作して、編集画面における「名前」の項目の下にある「基準設定にする」のチェックボックスにチェックを入れる。更に、ユーザは、入力部24を操作して、チェックボックスの下にある「追加」のボタンをクリックすることにより、「お気に入りに追加」の項目に、DEVMODE構造体の名前である「両面」が追加される。そして、「基準設定にする」のチェックボックスにチェックが入っているので、「両面」の横には丸印が付される。丸印は、「両面」のDEVMODE構造体が基準設定のDEVMODE構造体として選択されたことを意味する。
【0038】
次に、ユーザは、基準設定のDEVMODE構造体と、該基準設定のDEVMODE構造体が後に変更されて得られる現在設定のDEVMODE構造体との差分情報をどのようにプリンタドライバ情報に記録するのかを、図9の編集画面にて編集する。具体的には、編集画面には、「基準設定の名前を反映する」のチェックボックスが存在する。「基準設定の名前を反映する」とは、基準設定に設定されたDEVMODE構造体の名前「両面」を、図4のプリンタドライバ情報に記録するか否かを決定するためのチェックボックスである。そこで、ユーザは、入力部24を操作して、「基準設定の名前を反映する」のチェックボックスをチェックする。これにより、「ドライバ名に反映する」又は「コメントに反映する」を選択するためのラジオボックスが選択可能な状態となる。「ドライバ名に反映する」とは、図4に示すように、基準設定のDEVMODE構造体の名前「両面」をプリンタドライバ40の名前の後ろに記録することを意味する。「コメントに反映する」とは、基準設定のDEVMODE構造体の名前「両面」をコメントの項目に記録することを意味する。図9に示す編集画面では、「ドライバ名に反映する」のラジオボックスが選択されている。
【0039】
更に、編集画面には、「基準設定と現在設定の差分を反映する」のチェックボックスが存在する。「基準設定と現在設定の差分を反映する」とは、図6に示す差分情報を、図4のプリンタドライバ情報に記録するか否かを決定するためのチェックボックスである。そこで、ユーザは、入力部24を操作して、「基準設定と現在設定の差分を反映する」のチェックボックスをチェックする。これにより、「ドライバ名に反映する」又は「コメントに反映する」を選択するためのラジオボックスが選択可能な状態となる。「ドライバ名に反映する」とは、図6に示す差分情報をプリンタドライバ40の名前の後ろに記録することを意味する。「コメントに反映する」とは、図4に示すように、図6に示す差分情報をコメントの項目に記録することを意味する。図9に示す編集画面では、「コメントに反映する」のラジオボックスが選択されている。ユーザは、編集画面での入力が完了すると、入力部24を操作して、編集画面の下段にある「OK」のボタンをクリックする。これにより、プリンタドライバ40は、編集画面上での設定を記憶部14のレジストリに記憶させる。
【0040】
次に、ユーザは、図10の設定画面において、入力部24を操作することにより、現在設定におけるDEVMODE構造体の設定を行う。なお、現在設定におけるDEVMODE構造体の設定は、図9の編集画面を閉じた直後に行ってもよいし、印刷処理時等において行ってもよい。図10の設定画面では、ユーザは、図8に示す基準設定におけるDEVMODE構造体の設定画面に対して、「ズーム」の項目を任意の80%に変更し、「用紙種類」の項目を厚紙に変更している。現在設定におけるDEVMODE構造体の設定が完了したら、ユーザは、入力部24を操作して、編集画面の下段にある「OK」のボタンをクリックする。応じて、プリンタドライバ40の変更部46(図5参照)は、図2に示す基準設定におけるDEVMODE構造体を、図3に示す現在設定におけるDEVMODE構造体に変更して、記憶部14に記憶させる。この後、ホストコンピュータ10は、図4に示す差分情報の生成・記録を行う。以下に、差分情報の生成について図面を参照しながら説明する。図11は、差分情報の生成・記録の際に制御部12で実行されるプリンタドライバ40が行う処理を示したフローチャートである。
【0041】
プリンタドライバ40は、基準設定におけるDEVMODE構造体の名前をプリンタドライバ情報に反映するのか否かを判定する(ステップS1)。具体的には、プリンタドライバ40は、記憶部14のレジストリを参照して、図9の編集画面での「基準設定の名前を反映する」のチェックボックスがチェックされたか否かを判定する。基準設定における名前を反映する場合には、本処理はステップS2へと進む。基準設定における名前を反映しない場合には、本処理はステップS5へと進む。
【0042】
基準設定における名前を反映する場合には、プリンタドライバ40は、基準設定におけるDEVMODE構造体の名前をプリンタドライバ情報の「名前」の項目に反映するか否かを判定する(ステップS2)。具体的には、プリンタドライバ40は、記憶部14のレジストリを参照して、図9の編集画面での「ドライバ名に反映する」のラジオボックスがチェックされているか否かを判定する。「名前」の項目に反映する場合には、本処理はステップS3に進む。「名前」の項目に反映しない場合には、本処理はステップS4に進む。
【0043】
「名前」の項目に反映する場合には、プリンタドライバ40の記録部44は、プリンタドライバ情報の「名前」の項目に、基準設定におけるDEVMODE構造体の名前を反映する(ステップS3)。具体的には、記録部44は、図4に示すように、プリンタドライバ情報の「名前」の項目に入力されている「***** C450 PCL」の後ろに、基準設定におけるDEVMODE構造体の名前である「(両面)」を記録する。この後、本処理はステップS5に進む。
【0044】
「名前」の項目に反映しない場合には、プリンタドライバ40の記録部44(図5参照)は、プリンタドライバ情報の「コメント」の項目に、基準設定におけるDEVMODE構造体の名前を反映する(ステップS4)。具体的には、記録部44は、「コメント」の項目に基準設定におけるDEVMODE構造体の名前である「(両面)」を記録する。この後、本処理はステップS5に進む。
【0045】
前記ステップS5において、プリンタドライバ40は、基準設定におけるDEVMODE構造体と現在設定におけるDEVMODE構造体との差分をプリンタドライバ情報に反映するのか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、プリンタドライバ40は、記憶部14のレジストリを参照して、図9の編集画面での「基準設定と現在設定の差分を反映する」のチェックボックスがチェックされたか否かを判定する。差分をプリンタドライバ情報に反映する場合には、本処理はステップS6へと進む。差分をプリンタドライバ情報に反映しない場合には、本処理は終了する。
【0046】
差分をプリンタドライバ情報に反映する場合には、プリンタドライバ40の差分部42(図5参照)は、基準設定におけるDEVMODE構造体と現在設定におけるDEVMODE構造体との差分を抽出する(ステップS6)。図2に示す基準設定におけるDEVMODE構造体と図3に示す現在設定におけるDEVMODE構造体とでは、「ズーム」及び「用紙種類」の項目が異なっている。そこで、差分部42は、2つのDEVMODE構造体の差分が、「ズーム」が任意の80%であること、及び、「用紙種類」が厚紙であることと決定する。
【0047】
次に、差分部42は、抽出した差分に基づいて、差分情報を生成する(ステップS7)。具体的には、差分部42は、差分が、「ズーム」が任意の80%であること、及び、「用紙種類」が厚紙であることから、図6に示すような「Z任80,用厚紙」の内容を有する差分情報を生成する。この後、本処理はステップS8に進む。
【0048】
次に、プリンタドライバ40は、差分情報をプリンタドライバ情報の「コメント」の項目に反映するか否かを判定する(ステップS8)。具体的には、プリンタドライバ40は、記憶部14のレジストリを参照して、図9の編集画面での「コメントに反映する」のラジオボックスがチェックされているか否かを判定する。「コメント」の項目に反映する場合には、本処理はステップS9に進む。「コメント」の項目に反映しない場合には、本処理はステップS10に進む。
【0049】
「コメント」の項目に反映する場合には、プリンタドライバ40の記録部44(図5参照)は、プリンタドライバ情報の「コメント」の項目に、差分情報を反映する(ステップS9)。具体的には、記録部44は、図4に示すように、プリンタドライバ情報の「コメント」の項目に、差分情報である「Z任80,用厚紙」を記録する。この後、本処理は終了する。
【0050】
「コメント」の項目に反映しない場合には、プリンタドライバ40の記録部44は、プリンタドライバ情報の「名前」の項目に、差分情報を反映する(ステップS10)。具体的には、記録部44は、プリンタドライバ情報の「名前」の項目に入力されている「*****C450 PCL」の後ろに、差分情報である「Z任80,用厚紙」を記録する。この後、本処理は終了する。
【0051】
この後、ユーザは、図7に示す一覧画面を表示させるように、入力部24を操作する。ホストコンピュータ10にインストールされているOSが、Microsoft社のWindows(登録商標)である場合には、ユーザは、入力部24を操作して、「スタート」、「設定」、「プリンタとFAX」をクリックする。応じて、制御部12は、Windows(登録商標)のUIを使用して、プリンタ30のプリンタドライバ情報及びプリンタ30以外のプリンタのプリンタドライバ情報に基づいて、複数のプリンタドライバに関する情報の一覧が記載された一覧画面(図7参照)を表示部26に表示させる。これにより、ユーザは、基準設定におけるDEVMODE構造体の名前が「両面」であることを理解できると共に、差分情報が「Z任80,用厚紙」であることを理解できる。
【0052】
(効果)
以上のようなホストコンピュータ10によれば、基準設定におけるDEVMODE構造体と現在設定におけるDEVMODE構造体との相違点を簡単な操作で確認できる。より詳細には、特許文献1に記載のプリンタドライバでは、印刷現在設定内容と印刷初期設定内容との相違を確認できるプロパティ画面(図13参照)を表示させるまでに、プリンタドライバを起動させる等、多くの操作が必要である。
【0053】
一方、ホストコンピュータ10では、図6に示す差分情報は、図7に示す一覧画面に記載されている。一覧画面は、複数のプリンタドライバに関する情報の一覧が記載された画面であり、ホストコンピュータ10にインストールされているOSのUIを使用して表示される画面である。そのため、ホストコンピュータ10では、ユーザは、特許文献1に記載のプリンタドライバのように、プリンタドライバを起動させて、プリンタドライバのプロパティ画面を表示させる必要がない。例えば、OSがWindows(登録商標)である場合には、ユーザは、入力部24を操作して、「スタート」、「設定」、「プリンタとFAX」をクリックするだけで、一覧画面を表示させることができる。よって、ホストコンピュータ10によれば、基準設定におけるDEVMODE構造体と現在設定におけるDEVMODE構造体との相違点を簡単な操作で確認できる。
【0054】
(その他の実施形態)
以上のように構成されたホストコンピュータ10は、前記実施形態に記載したものに限らない。よって、ホストコンピュータ10は、その要旨の範囲内において、設計変更されてもよい。
【0055】
前記実施形態では、現在設定におけるDEVMODE構造体は、基準設定におけるDEVMODE構造体を変更して得られたものとした。しかしながら、現在設定におけるDEVMODE構造体は、基準設定におけるDEVMODE構造体を直接に変更して得られたものでなくてもよい。また、現在設定におけるDEVMODE構造体は、基準設定におけるDEVMODE構造体が変更して得られたDEVMODE構造体を更に変更して得られたものであってもよい。
【0056】
また、前記実施形態では、基準設定におけるDEVMODE構造体は、ユーザにより設定されたDEVMODE構造体である。しかしながら、基準設定におけるDEVMODE構造体は、プリンタドライバ40の初期設定時に予め準備されているDEVMODE構造体であってもよい。この場合、基準設定におけるDEVMODE構造体は、現在設定におけるDEVMODE構造体の初期設定に相当する。
【0057】
なお、前記実施形態では、差分情報は、プリンタドライバ情報の「名前」又は「コメント」の項目に記録されている。しかしながら、差分情報は、例えば、プリンタドライバ情報のプリンタドライバの「場所」の項目などに記録されていてもよい。
【0058】
なお、前記実施形態では、差分情報は、図7に示す一覧画面に表示されるものとしたが、その他の画面に表示されてもよい。図12は、ホストコンピュータ10にて実行されるアプリケーションの印刷画面である。図12の印刷画面は、文章作成ソフト等の印刷処理時に、アプリケーションのUIにより表示される画面である。図12の印刷画面が表示される際に、制御部12は、図4に示すプリンタドライバ情報を参照して、現在設定のDEVMODE構造体の名前が追加されたプリンタ名を表示すると共に、図6に示す差分情報が記載されたコメントを表示する。そして、印刷画面のプロパティがクリックされることにより、プリンタドライバ40が起動し、プリンタドライバ40の設定画面(図8及び図10参照)が表示される。よって、印刷画面は、プリンタドライバ40の設定画面よりも少ない操作手順により、表示可能である。以上より、ユーザは、基準設定におけるDEVMODE構造体と現在設定におけるDEVMODE構造体との相違点を確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、プリンタドライバ及び制御装置に有用であり、特に、基準となる印刷設定情報と現在の印刷設定情報との相違点を簡単な操作で確認できる点において優れている。
【符号の説明】
【0060】
10 ホストコンピュータ
12 制御部
14 記憶部
24 入力部
26 表示部
30 プリンタ
40 プリンタドライバ
42 差分部
44 記録部
46 変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷に関する複数の設定項目からなる第1の印刷設定情報に従って印刷装置にて実行される印刷処理を、制御装置に制御させるためのプリンタドライバであって、
前記制御装置は、前記第1の印刷設定情報、第2の印刷設定情報、及び、複数のプリンタドライバに関する複数のプリンタドライバ情報を記憶手段において記憶し、更に、該複数のプリンタドライバ情報に基づいて、該複数のプリンタドライバに関する情報の一覧が記載された画像を表示手段に表示させることができ、
前記第1の印刷設定情報と前記第2の印刷設定情報との相違点に関する差分情報を生成する第1のステップと、
前記第1の印刷設定情報に対応する前記プリンタドライバ情報に前記差分情報を記録する第2のステップと、
を備えた処理を、前記制御装置に実行させるためのプリンタドライバ。
【請求項2】
前記第2のステップでは、前記プリンタドライバ情報における前記プリンタドライバの名前の項目又は該プリンタドライバに関するコメントの項目に前記差分情報を記録すること、
を特徴とする請求項1に記載のプリンタドライバ。
【請求項3】
前記処理は、
前記第1の印刷設定情報を変更する第3のステップを、
更に備え、
前記第2の印刷設定情報は、前記第1の印刷設定情報の初期設定であること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のプリンタドライバ。
【請求項4】
印刷に関する複数の設定項目からなる第1の印刷設定情報に従って印刷装置にて実行される印刷処理を制御する制御装置であって、
前記第1の印刷設定情報、第2の印刷設定情報、及び、複数のプリンタドライバに関する複数のプリンタドライバ情報を記憶する記憶手段と、
前記複数のプリンタドライバ情報に基づいて、前記複数のプリンタドライバに関する情報の一覧が記載された画像を表示する表示手段と、
前記第1の印刷設定情報と前記第2の印刷設定情報との相違点に関する差分情報を生成する差分手段と、
前記第1の印刷設定情報に対応する前記プリンタドライバ情報に前記差分情報を記録する記録手段と、
を備えていること、
を特徴とする制御装置。
【請求項5】
前記記録手段は、前記プリンタドライバ情報における前記プリンタドライバの名前の項目又は該プリンタドライバに関するコメントの項目に前記差分情報を記録すること
を特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1の印刷設定情報を変更する変更手段を、
更に備え、
前記第2の印刷設定情報は、前記第1の印刷設定情報の初期設定であること、
を特徴とする請求項4又は請求項5のいずれかに記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−53997(P2011−53997A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203281(P2009−203281)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】