説明

プリンタドライバ装置および画像情報処理方法

【課題】低品質の用紙に文字を印刷する場合に、ドライバでの変換処理を高速化することができるプリンタドライバ装置および画像情報処理方法を提供する。
【解決手段】プリンタに装填された用紙の用紙種類情報を設定する設定手段6と、設定手段が設定した用紙種類情報に応じて、画像情報に第1変換処理または第1変換処理よりも簡易な処理である第2変換処理を施して、プリンタで印刷可能な印刷データに変換する変換手段4をもつプリンタドライバ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報に変換処理を施してプリンタで印刷可能な印刷データを生成するプリンタドライバ装置に関し、特に、用紙種類に応じて画像情報に施す画像処理を異ならせるプリンタドライバ装置および画像情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ワードプロセッサ等で生成された文章やカメラでとられた写真などの画像情報は、プリンタに送信される前に、プリンタドライバにおいて必要な画像変換処理が施された後にプリンタに送信される。プリンタドライバにおける画像変換処理は、多くのものが知られており、必要に応じて自動的に選択され、最適な状態の印刷データにされた後に、プリンタにおいて用紙等に印刷される。
【0003】
特許文献1は、多階調の画像を2階調の画像に変換する画像処理方式であり、全領域を2階調に表現するのではなく、ステップ状に変化する部分を検出したらその部分をなだらかにする画像処理方式を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1は、画像情報の変換処理であっても、変換後の画像情報がプリンタにおいてどのような用紙に印刷されるとどのような印刷結果となるかについて考慮した上で画像処理を選択してはいない。すなわち、プリンタにおける用紙の品質が通常品質である場合は画像処理の程度が印刷結果によく反映するが、低品質の用紙であるとき画像情報に高度な画像処理を施しても必ずしも印刷結果に反映しない場合があり、このような場合は画像情報に施す画像処理は簡易な画像処理であった方が、画像処理の時間が短くスピーディに処理を進めることができる場合があり、特許文献1では、このような事情を考慮して画像処理を行ってはいない。
【0005】
本発明は、特に低品質の用紙に文字を印刷する場合に、ドライバでの変換処理を高速化することができるプリンタドライバ装置および画像情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決する一実施形態は、
プリンタに装填された用紙の用紙種類情報を設定する設定手段(6,7)と、
前記設定手段が設定した前記用紙種類情報に応じて、前記画像情報に第1変換処理または前記第1変換処理よりも簡易な処理である第2変換処理を施して、前記プリンタで印刷可能な印刷データに変換する変換手段(4)と、
を具備することを特徴とするプリンタドライバ装置である。
【発明の効果】
【0007】
比較的低品質の用紙については、特に文字について、通常の誤差拡散等の処理を行っても簡易の閾値の2値化処理を行っても、見かけ上の印刷結果にほとんど差が見られないため、簡易の2値化処理を行うことで、プリンタドライバの処理速度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンタシステムの構成を示すブロック図。
【図2】同じくプリンタドライバとプリンタの構成の他の一例を示すブロック図。
【図3】同じくプリンタドライバにおける変換処理の一例を示すフローチャート。
【図4】同じくプリンタドライバの用紙種類情報の設定画面の一例を示す説明図。
【図5】同じくプリンタドライバの用紙種類情報の設定画面の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係るプリンタシステムlは、ドライバ機能を保持しているパーソナルコンピュータ2と、パーソナルコンピュータ2内に設けられたユーザアプリケーション3と、ユーザアプリケーション3の後段に設けられた変換手段となるプリンタドライバ(印刷データ生成部)4と、プリンタドライバ(印刷データ生成部)4の後段に設けられるスプーラ5と、用紙種類情報等をユーザアプリケーション3やプリンタドライバ(印刷データ生成部)4へ設定する設定手段となるプリンタドライバ(ユーザI/F部)6と、プリンタドライバ(ユーザI/F部)6へ図示しないマウス等と共に用紙種類情報等を入力する操作部であるキーボード7と、スプーラ5からの出力を受けパーソナルコンピュータ2に接続されるプリンタ11を有している。また、図2に示すように、プリンタ11において、印刷結果を検出するセンサをもうけセンサ出力をプリンタドライバ6に供給することで、より確実な印刷処理を可能とする。
【0010】
上述したプリンタシステムlの特にパーソナルコンピュータ2等の構成によるプリンタドライバ装置の変換処理について、図3のフローチャートを用いて詳細に説明する。パーソナルコンピュータ2等の構成によるプリンタドライバ装置において、ユーザアプリケーションおよびプリンタドライバ4は、印刷のための画像情報と印刷命令を受けると、はじめに、プリンタ11の印刷に指定された用紙トレイに、低品質な用紙(または特定された用紙)が装填されているかどうかを判断する。
【0011】
ここで、『低品質な用紙』(または特定された用紙)とは、「文字データ」について、通常の誤差拡散処理等の2値化処理を施しても、印刷した結果にあまり反映されることのない用紙であり、具体例の一つとして、『通常品質のサーマル用紙』等であるがこれに限らない。一方、『通常品質の用紙』(または通常品質以上の用紙)とは、「文字データ」について、通常の誤差拡散処理等の2値化処理を施せば、印刷した結果に反映される用紙であり、具体例の一つとして、『高品質のサーマル用紙』、『一般的な用紙』等であるがこれに限らない。
【0012】
また、どの用紙でどの画像処理を行うかは、ユーザがキーボード7等の操作部を介してプリンタドライバ6により設定することができる。また、どのトレイにどういう品質の用紙が装填されているかは、ユーザが設定することができる。この設定方法の一例として、パーソナルコンピュータの操作画面上に表示される図4に示すような入力アイコンがあり、プリンタ11のトレイ1、トレイ2、トレイ3、トレイ4毎に、図4(a)が示す選択窓から『Normal Quality』または『Low Quality』等を選択し、その結果、図4(b)のように各トレイの品質を特定することができる。また、図5に示すようなパーソナルコンピュータの操作画面上に表示される入力アイコンで特定することでもよい。
【0013】
従って、ユーザアプリケーションおよびプリンタドライバ4は、印刷の際にトレイ1等の用紙が指定されていれば(ステップS11)、図4および図5のような設定がなされていれば、『Normal Quality』であると認識してステップS14に進んで、「文字データ」や他のデータについて、通常の画像処理を行う(ステップS14)。すなわち、例えば、誤差拡散処理等の画像処理アルゴリズムによる2値化処理を行う(ステップS15)。
【0014】
しかし、ユーザアプリケーションおよびプリンタドライバ4は、印刷の際にトレイ4の用紙が指定されていれば、『Low Quality』であると認識してステップS12に進む(ステップS11)。そして、ユーザアプリケーションおよびプリンタドライバ4は、画像情報の中の特に「文字データ」について、簡易な画像処理を行う(ステップS12)。具体的には、ユーザアプリケーションおよびプリンタドライバ4は、『しきい値による画像の2値化処理』または『0,1の判断による画像の2値化処理』を行う(ステップS13)。このような簡易な画像処理は、ステップS15等に特定される通常の画像処理、すなわち『誤差拡散処理』等に較べると処理時間は短くすむことになるため、画像変換処理をより迅速に行うことができる。また、通常の画像処理を行った場合に較べても、印刷の仕上がりについては大きな差は現れないものである。
【0015】
プリンタドライバ4は、このような簡易な画像処理をおこなって2値化データを生成する(ステップS13)。そして、プリンタドライバ4は、この2値化データに基づき、プリンタで解釈可能な印刷データを生成する(ステップS16)。その後、スプーラ5において適宜印刷データを蓄積してタイミングを調整しながら、プリンタ11に印刷データを出力する(ステップS17)。
【0016】
このように、本発明に係るプリンタシステムlにおいては、プリンタで指定されている用紙が特定の低品質な用紙であれば、通常の画像処理ではなく簡易な画像処理を行うことにより、画像処理の処理速度を向上させることができると共に、印刷結果においても影響がでるということがない。
【0017】
また、図2に示すように、プリンタ11において印刷結果を検出するセンサをもうけ、センサ出力をプリンタドライバ6に供給することが可能である。プリンタドライバ6およびプリンタドライバ4では、画像処理の方法を異ならせたことで、印刷結果にどのように反映しているかを認識することができ、この結果に基づいて、ステップS13の画像処理およびステップS15の画像処理を再び入れ替えることができる。
【0018】
以上記載した様々な実施形態は複数同時に実施することが可能であり、これらの記載により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0019】
1…プリンタシステム、2…PC(Personal Computer)、3…ユーザアプリケーション、4…プリンタドライバ(印刷データ生成部)、5…スプーラ、6…プリンタドライバ(ユーザI/F部)、7…キーボード、11…プリンタ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開平3−160574号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタに装填された用紙の用紙種類情報を設定する設定手段と、
前記設定手段が設定した前記用紙種類情報に応じて、前記画像情報に第1変換処理または前記第1変換処理よりも簡易な処理である第2変換処理を施して、前記プリンタで印刷可能な印刷データに変換する変換手段と、
を具備することを特徴とするプリンタドライバ装置。
【請求項2】
前記変換手段は、前記用紙種類情報が第1品質を示している場合に前記第1変換処理を施し、前記用紙種類情報が前記第1品質よりも低い第2品質を示している場合に前記第1変換処理よりも簡易な処理である前記第2変換処理を施すことを特徴とする請求項1記載のプリンタドライバ装置。
【請求項3】
前記変換手段は、前記画像情報の内の特に文字を属性としている画像情報について、前記用紙種類情報が第1品質を示している場合に前記第1変換処理を施し、前記用紙種類情報が前記第1品質よりも低い第2品質を示している場合に前記第1変換処理よりも簡易な処理である前記第2変換処理を施すことを特徴とする請求項1記載のプリンタドライバ装置。
【請求項4】
前記設定手段が設定する前記用紙種類情報は、前記プリンタに設けられた複数の用紙トレイごとに装填される用紙のそれぞれの品質情報であることを特徴とする請求項1記載のプリンタドライバ装置。
【請求項5】
プリンタに装填された用紙の用紙種類情報を設定し、
前記設定した前記用紙種類情報に応じて、前記画像情報に第1変換処理または前記第1変換処理よりも簡易な処理である第2変換処理を施して、前記プリンタで印刷可能な印刷データに変換することを特徴とする画像情報処理方法。
【請求項6】
前記用紙種類情報が第1品質を示している場合に前記第1変換処理を施し、前記用紙種類情報が前記第1品質よりも低い第2品質を示している場合に前記第1変換処理よりも簡易な処理である前記第2変換処理を施すことを特徴とする請求項5記載の画像情報処理方法。
【請求項7】
前記画像情報の内の特に文字を属性としている画像情報について、前記用紙種類情報が第1品質を示している場合に前記第1変換処理を施し、前記用紙種類情報が前記第1品質よりも低い第2品質を示している場合に前記第1変換処理よりも簡易な処理である前記第2変換処理を施すことを特徴とする請求項5記載の画像情報処理方法。
【請求項8】
前記用紙種類情報は、前記プリンタに設けられた複数の用紙トレイごとに装填される用紙のそれぞれの品質情報であることを特徴とする請求項5記載の画像情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−186682(P2011−186682A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49921(P2010−49921)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】