説明

プリンターおよびオンデマンド広告システム

【課題】広告付きクーポンによる広告を小口からでも実施でき、クーポン付き商品の販売実績データを自動集計するオンデマンド広告システムおよびプリンターを提供する。
【解決手段】オンデマンド広告システムは、運営主の管理下にあるサーバーと、小売店に設置されたプリンターを備える。広告主がオンデマンド広告サイト上で広告を依頼すると(S2)、サーバーからプリンターへクーポン発行命令が送信され(S4)、小売店で広告付きクーポンが発行される(S5)。小売店でクーポン付き商品の購入代金を精算するとき、プリンター付属のバーコードリーダーで商品のバーコードを読み取ると(S6)、プリンターから小売店のPOSシステムに値引き情報が供給され(S7)、プリンターに販売実績データが蓄積される(S8)。プリンターは、集計した販売実績データをサーバーに送信し(S9)、サーバーから広告主に報告する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品に貼る広告付き値引シールによる広告を広告主の希望に応じて小売店で実施させるための広告システムおよびこのような広告システムに用いるプリンターに関する。
【0002】
小売店などの販売現場で行う広告手段として、広告付き値引きシールを商品のパッケージに直接貼って販売する方法(いわゆるオンパッククーポン)が用いられている。特許文献1には、この種の広告付き値引シールが開示されている。従来、このような手段で広告を実施するときは、広告を企画した運営主が広告主を募集してクーポンシール(広告付き値引きシール)を発行し、小売店などの販売現場にクーポンシールを発送して、小売店において商品に貼付して販売している。小売店は、クーポンシールを貼った商品の販売数を集計して運営主に申告する。広告主は、申告された販売数に基づき、クーポンシールにより値引された金額の合計額を広告費用として小売店に支払う。これにより、小売店では値引きによる販促効果が得られ、広告主は広告が消費者に注目されるようにすることができる。
【0003】
ここで、オンパッククーポンに用いるクーポンシールは、通常、運営主が印刷業者等に発注して作成しているため、発行枚数の下限数が大きい。このため、販促費に余裕がある広告主でないと広告費用を負担できず、運営主にとっては広告主がみつかりにくく、広告主にとっては広告費用がかかりすぎるという問題点があった。
【0004】
オンパッククーポンによる広告を行うためのクーポンシールを少ない枚数でも発行できるようにするためには、運営主側でクーポンシールの仕様を決定し、これを小売店に設置したプリンターで指定した数だけ印刷させることが考えられる。特許文献2には、小売店に設置したプリンターで商品に貼る広告シールを印刷する方法が開示されている。特許文献2の広告印刷方法は、小売店に設置したプリンターと広告システムの管理者のサーバーとをインターネットを介して通信可能にしておき、広告主が管理者のサーバーへアクセスして条件を指定して広告を依頼すると、サーバーが依頼条件に合致した小売店を選定する。そして、広告主がこれに同意すると、選定された小売店のプリンターへサーバーから広告情報を送信する。小売店では、受信した情報に基づき、商品の包装に貼る広告シールをプリンターで印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−67242号公報
【特許文献2】特開2002−83220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オンパッククーポンによる広告を実施するとき、従来は、小売店においてクーポンシールが指定した商品に実際に貼り付けられて販売されているかどうかを運営主や広告主が確認することまでは行っておらず、クーポンシールによる広告の実施は小売店に一任されている。従って、広告主は、配布したクーポンシールが指定した商品に実際に貼り付けられて売られていることの確証を得られなかった。また、販売数は小売店の自己申告であるため、申告された数だけ実際に売れたかどうかの確証も得られなかった。
【0007】
すなわち、従来のオンパッククーポンの実施形態では、広告を付す商品とシールに印刷した広告内容とが確実に紐付けされていないため、広告効果とこれを付した商品との関連性を正確に把握することができなかった。また、自己申告でしか販売数を把握できないため、売れ残った商品に貼ったクーポンシールの分まで広告費を支払っているおそれがあった。更に、小売店側においても、クーポンシールを貼った商品の精算時に値引き処理を行わなければならないため、POSシステム側に値引額を設定するか、あるいは、レジにおいて値引額を手入力する作業が必要であった。また、販売数を集計しなければならなかった。よって、小売店の負担も大きく、小売店の業務効率が低下するという問題もあった。
【0008】
特許文献2の広告印刷方法は、広告シールを小売店のプリンターで印刷できるため、発行数を自由に設定できるものの、オンパッククーポンのように広告シールを貼った商品の販売時に値引きを行う広告形態を想定したものではなく、販売数に応じた広告費を支払う広告手法までも想定したものではない。このため、広告シールを印刷した小売店において、販売数の集計を容易化することや、どの商品に広告が貼り付けられているかの実態を正確に把握して集計精度を高めることまで配慮したものにはなっていない。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、広告付きクーポン(広告付き値引シール)による広告を小口からでも実施可能にして自由度を高めると共に、このクーポンが実際にどの商品に付されて販売されたか、および、その販売数などの実績データを精度良く集計することによって適正な支出で広告を実施できるようにし、更に、小売店における業務効率の低下を抑制することが可能な広告システムおよびこれに用いる装置(プリンター)を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明のプリンターは、
広告付きクーポンによる広告依頼を受け付けるサーバーと通信を行う通信手段と、
前記サーバーから受信したクーポン発行命令に基づいて前記広告付きクーポンを印刷する印刷手段と、
前記広告付きクーポンが付されたクーポン付き商品の精算を行うときに所定の入力を行うための入力手段と、
当該入力手段による入力結果に基づき、前記クーポン付き商品の販売実績を蓄積して前記サーバーに送信する販売実績送信手段とを有することを特徴としている。
【0011】
本発明は、このように、プリンターがサーバーと通信を行い、サーバーからの命令によって広告付きクーポンの発行を行うため、このプリンターを小売店に設置することにより、広告付きクーポンを広告主の要望に応じて小売店において必要数だけ印刷できる。従って、広告付きクーポンによる広告の依頼を小口からでも受注でき、多額の販促費用を準備できない広告主であっても広告付きクーポンによる広告の実施が可能となる。よって、自由度の高い広告手段を提供できる。また、プリンターにおいてクーポン付き商品の販売実績(広告付きクーポンが付された状態で販売された商品の種類、販売数など)を自動で蓄積し、蓄積結果をクーポン発行命令を生成するサーバーに自動送信するため、サーバーで広告の実施に関する情報を一元管理でき、広告主に正確な実績データを報告できる。従って、広告主は実態に即した適切な広告費用で広告を実施できる。また、正確な実績データに基づいて広告の効果を分析できるため、更に効果的な広告を打てるようになる。加えて、販売実績の蓄積およびサーバーへの報告をプリンターが自動で行うため、小売店における負担を軽減でき、業務効率の低下を抑制できる。
【0012】
本発明において、前記クーポン付き商品の精算を行うためのPOSシステムと通信可能に構成されており、前記入力手段において前記所定の入力がなされたことに基づき、前記クーポン付き商品の精算時に付与すべき特典情報を前記POSシステムに供給する特典情報供給手段を有することが望ましい。このように、クーポン付き商品の精算時に、小売店のPOSシステムにクーポンによる特典情報を自動転送することにより、小売店においてPOSシステムに値引き情報を設定したり、レジにおいて値引額を手入力する必要がなくなる。従って、クーポン付き商品の精算業務効率を向上させることができ、小売店の負担を軽減できる。また、クーポン付き商品の購入客に、広告主が設定した通りの特典を付与でき、依頼どおりの広告を実施できる。
【0013】
また、本発明において、前記販売実績送信手段が、前記販売実績データを、前記POSシステムを介して前記サーバーに送信することができる。このように、POSシステムを利用することにより、POSサーバーが備える販売管理機能および通信機能を利用することができる。
【0014】
ここで、前記入力手段として、前記クーポン付き商品に付されたバーコードを読み取るバーコードリーダー、もしくは、クーポン処理ボタンを用いることができる。このように、バーコードリーダーで商品のバーコードを読み取った場合にクーポン付き商品の精算として取り扱うことにより、クーポン付き商品の販売実績を正確に蓄積できる。また、クーポン付き商品の精算時にクーポン処理ボタンを操作する場合においても、簡単な操作でクーポン付き商品の販売実績を正確に蓄積できる。従って、正確かつ簡単に、クーポン付き商品の販売実績を把握できる。
【0015】
次に、本発明は、広告付きクーポンを付した商品の販売業務を行う各小売店に設置された上記のプリンター、および、各プリンターと通信可能なサーバーを有するオンデマンド広告システムであって、
前記サーバーは、
インターネット上に開設したオンデマンド広告サイトを介して、前記広告付きクーポンによる広告依頼を受け付ける広告依頼受付処理と、
当該受け付けた広告依頼に基づき、前記広告付きクーポンを発行させるためのクーポン発行命令を前記プリンターに送信するクーポン発行命令処理と、
各プリンターから前記販売実績データを受信すると、当該販売実績データを前記広告依頼と関連づけて管理する販売実績管理処理を行うことを特徴としている。
【0016】
本発明は、このような構成により、オンデマンド広告サイトを介して、広告付きクーポンによる広告の依頼を小口からでも受注して実施できるため、オンデマンド広告システムの運営者にとっては、広告主の募集が容易となり、自由度の高い広告手段を提供できる。また、広告主にとっては、多額の販促費用を準備できなくても広告付きクーポンによる広告の実施が可能となる。また、サーバーにおいて広告付きクーポンによる広告の実施内容(発行数、実施先)を管理し、更に、実施結果(小売店でのクーポン付き商品の販売実績)についてもプリンターによる自動蓄積結果を受信して一元管理できるため、広告主に正確な実績データを報告でき、広告主は実態に即した適切な広告費用で広告を実施できる。また、正確な実績データに基づいて広告の効果を分析できるため、更に効果的な広告を打てるようになる。加えて、販売実績の蓄積およびサーバーへの報告をプリンターが自動で行うため、小売店における負担を軽減でき、業務効率の低下を抑制できる。従って、運営主、広告主、小売店のそれぞれにとってメリットの大きいオンデマンド広告システムを提供できる。
【0017】
本発明のオンデマンド広告システムにおいて、前記広告依頼は、少なくとも、前記広告付きクーポンへの広告内容、前記広告付きクーポンによる特典内容、前記広告付きクーポンを付す対象商品、前記広告付きクーポンの発行数を含み、前記サーバーは、前記クーポン発行命令処理において、前記広告依頼に基づき、複数の小売店の中から少なくとも1つを選定して、当該選定した各プリンターに前記クーポン発行命令を送信し、前記販売実績管理処理において、各プリンターから受信した前記販売実績データを集計して、前記広告依頼と関連づけて管理することができる。このように、サーバーにおいて多数の小売店の中から条件に合った小売店を選定することにより、広告主の要望に的確に対応できるとともに、様々な広告依頼に柔軟に対応できる。よって、自由度が高く、効果的な広告手段を広告主に提供できる。また、サーバーにおいて複数の小売店での実施結果を自動集計できるため、集計の労力を軽減できる。
【0018】
また、本発明のオンデマンド広告システムにおいて、前記サーバーは、前記販売実績データを受信すると、当該販売実績データあるいはその閲覧案内を広告主に送信することが望ましい。このようにすると、広告の実施結果を迅速に報告できると共に、運営主の負担を軽減できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、広告付きクーポンを広告主の要望に応じて小売店において必要数だけ印刷できるため、広告付きクーポンによる広告の依頼を小口からでも受注でき、自由度の高い広告手段を提供できる。また、プリンターにおいてクーポン付き商品の販売実績(広告付きクーポンが付された状態で販売された商品の種類、販売数など)を自動で蓄積し、蓄積結果をクーポン発行命令を生成するサーバーに自動送信するため、サーバーで広告の実施に関する情報を一元管理でき、広告主に正確な実績データを報告できる。従って、広告主は実態に即した適切な広告費用で広告を実施できる。また、正確な実績データに基づいて広告の効果を分析できるため、更に効果的な広告を打てるようになる。加えて、販売実績の集計およびサーバーへの報告をプリンターが自動で行うため、小売店における負担を軽減でき、業務効率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用したオンデマンド広告システムのシステム構成図である。
【図2】広告付きクーポンおよびこれを貼った商品の説明図である。
【図3】サーバーにおける制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図4】プリンターにおける制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図5】オンデマンド広告システムによる広告実施のための処理および手続きのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、インターネット上に開設されたオンデマンド広告サイトにおいて広告付きクーポンによる広告依頼を受け付けて、小売店への広告の実施依頼および小売店による広告の実施結果をサーバーで一元管理するオンデマンド広告システムおよびこれに用いるプリンターに本発明を適用した場合の実施の形態を説明する。
【0022】
(オンデマンド広告システム)
図1は本発明を適用したオンデマンド広告システムのシステム構成図である。図1に示すように、オンデマンド広告システム1は、このシステムを運営する運営主の管理下にあるサーバー2と、インターネットなどの通信網を介してサーバー2と通信可能に設置されたプリンター3とを有している。各プリンター3は、広告を付した商品の販売を実施する各小売店4に設置されている。各小売店4には、POSレジ端末5およびこれを統括するPOSサーバー6を備えるPOSシステム7が設けられており、各プリンター3は、POSレジ端末5あるいはPOSサーバー6と有線あるいは無線によるネットワークを介して通信可能に構成されている。
【0023】
(広告付きクーポン)
図2は広告付きクーポンおよびこれを貼った商品の説明図である。広告付きクーポン8は、定型の粘着ラベルの表面に、広告情報8aおよび特典情報8b(値引き額など)を印刷したクーポンシールである。広告付きクーポン8は、各小売店4に設置されたプリンター3が、サーバー2からのクーポン発行命令に基づいてクーポン用のラベル紙への印刷を行うことにより、各小売店4において必要数だけオンデマンドで発行される。小売店4では、広告主が指定した商品に広告付きクーポン8が貼付されたクーポン付き商品9を販売する。小売店4では、クーポン付き商品9を販売するとき、POSレジ端末5で購入代金を精算する際に購入者に対して特典を付与する。例えば、特典情報8bとして値引き額を印刷した場合には、POSレジ端末5あるいはPOSサーバー6において購入代金の値引き処理を行う。
【0024】
(サーバー)
図3はサーバー2における制御系の概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、サーバー2は、CPU、ROM、RAMなどを備える制御部20を中心に構成されており、インターネットを介してプリンター3と通信を行うための通信モジュール21、キーボードやマウスなどによる入力を行うための入力部(図示省略)、液晶ディスプレイなどの表示部(図示省略)、等を備える汎用のコンピューター装置である。
【0025】
制御部20は、インターネット上に開設したオンデマンド広告サイトにおける表示データを管理するウェブページ管理部22と、オンデマンド広告サイト上での広告主募集に対して広告主から送信された広告依頼に対する受付処理を行う広告依頼受付部23を備えている。また、制御部20は、広告依頼に基づいてクーポン発行命令を生成してプリンター3に送信するクーポン発行制御部24と、プリンター3から受信した販売実績データを広告主から受信した広告依頼データと関連付けて管理する実績データ管理部25を備えている。以下に説明するウェブページ管理部22、広告依頼受付部23、クーポン発行制御部24、実績データ管理部25による各機能は、それぞれ、制御部20のROMに記憶された、あるいは、ハードディスク等の補助記憶装置からRAMにロードされた制御プログラムに基づくCPU等の処理によって実現される。
【0026】
ウェブページ管理部22は、サーバー2に、広告付きクーポン8による広告主の募集をオンデマンド広告サイト上で行うための所定の入力が行われたことに基づき、オンデマンド広告サイトにおいて、広告主の募集表示を行う。
【0027】
広告依頼受付部23は、オンデマンド広告サイトにアクセスした広告主が運営主宛に送信した広告依頼のデータをサーバー2が受信すると、このデータに必要な情報が含まれているかを判定すると共に、依頼内容について実施可能か否か判定する処理を行う。例えば、広告の実施に必要な情報として、依頼主(広告主)についての情報と共に、広告付きクーポン8の発行数、広告付きクーポン8に印刷する印刷内容(広告内容および特典内容)、広告付きクーポン8を貼付する対象商品、実施期間(クーポン付き商品の販売期間)などの情報が含まれるか否かを判定する。そして、これらの情報が含まれている場合には、登録している小売店4の情報および各小売店4の状況に基づき、依頼どおりの実施が可能か否かを判定し、可能である場合には、この依頼を受け付ける処理を行う。例えば、この広告依頼の送信主(広告主)に広告の実施契約書などを送信し、契約条件に同意するか否かを問い合わせる。一方、依頼内容どおりには実施できないと判断した場合には、その旨を広告依頼の送信主(広告主)に通知する。
【0028】
クーポン発行制御部24は、サーバー2が広告主から広告の実施に関する契約条件に同意する旨の返信を受信した場合に、広告依頼に基づき、登録した小売店4の中から依頼条件(広告の実施地域、対象とする購買客層など)に合致する小売店4を選定する。そして、選定した各小売店4における広告付きクーポン8の発行数などを決定して、各小売店4のプリンター3に対して、クーポン発行命令を送信する。クーポン発行命令には、少なくとも、広告付きクーポン8の発行数、および、広告付きクーポン8に印刷する印刷内容(広告内容および特典内容)が含まれている。ここで、広告の実施には、広告付きクーポン8を貼付する対象商品、実施期間(クーポン付き商品の販売期間)、クーポン付き商品の購入客に与える特典情報(値引き情報など)などの情報も必要であるため、サーバー2は、これらの情報をクーポン発行命令に含めてプリンター3に送信する。
【0029】
実績データ管理部25は、サーバー2が、小売店4のプリンター3から広告付きクーポン8の販売実績についての集計データ(販売実績データ)を受信した場合に、この販売実績データを、クーポン発行命令の元情報となった広告依頼のデータと関連付けて管理すると共に、広告主に、販売実績を報告する処理を行う。例えば、広告主に販売実績データを送信する処理、あるいは、販売実績データをオンデマンド広告サイト上で閲覧可能にするとともにその閲覧方法などの案内情報を広告主に送信する処理を行う。ここで、実績データ管理部25は、複数の小売店4において同じ広告付きクーポン8による広告を実施させた場合には、これらを集計して管理し、集計結果を広告主に送信もしくは閲覧させる処理を行う。
【0030】
(プリンター)
図4はプリンター3における制御系の概略構成を示すブロック図である。本実施形態のプリンター3は、CPU、ROM、RAMなどを備える制御部30と、上述したクーポン用のラベル紙への印刷を行うための印刷機構31(印刷手段の一部)と、商品に付されたバーコードを読み取るためのバーコードリーダー32(入力手段の一部)等を備えている。制御部30は、通信モジュール33(通信手段)を介してインターネットに接続されており、インターネットを介してサーバー2と通信を行う。また、制御部30の出力側には、小売店4のPOSレジ端末5あるいはPOSサーバー6が接続されている。
【0031】
制御部30は、印刷機構31における印刷動作を制御する印刷制御部34(印刷手段の一部)、バーコードリーダー32による読取動作を制御するバーコード読取制御部35(入力手段の一部)、POSシステム7に対してクーポンによる特典情報(値引き情報など)を供給する特典情報供給部36(特典情報供給手段)、クーポン付き商品9の販売実績データを蓄積してサーバー2に送信する販売実績送信部37(販売実績送信手段)、等を備えている。以下に説明する印刷制御部34、バーコード読取制御部35、特典情報供給部36、販売実績送信部37による各機能は、それぞれ、制御部30のROMに記憶された、あるいは、ハードディスク等の補助記憶装置からRAMにロードされた制御プログラムに基づくCPU等の処理によって実現されている。
【0032】
印刷制御部34は、プリンター3がサーバー2から送信されたクーポン発行命令を受信した場合に、当該クーポン発行命令に基づき、広告付きクーポン8を印刷するための印刷データを生成する。そして、この印刷データに基づいて印刷機構31を制御して、サーバー2によって指定された数および内容の広告付きクーポン8を印刷する。ここで、クーポン発行命令には、広告付きクーポン8の貼付対象の商品名、実施期間(クーポン付き商品の販売期間)などの小売店4側での作業に必要な情報が含まれているため、プリンター3は、これらの情報を、広告付きクーポン8の印刷実行時に同じ用紙の余白に印刷するか、あるいは、別紙に印刷するなどの処理を行うこともできる。この印刷物は、サーバー2から小売店4に対して広告付きクーポン8による広告の実施方法を指示するための指示書として扱うことができる。
【0033】
バーコード読取制御部35は、バーコードリーダー32において読取操作が行われると、商品に付されたバーコードを読み取って商品コードなどの情報を抽出する。本実施形態では、プリンター3のバーコードリーダー32はPOSレジ端末5の近傍に設置されている。小売店4のレジ担当者は、商品の購入代金の精算を行うにあたって、精算対象の商品がクーポン付き商品9であった場合には、この商品に付されたバーコードをバーコードリーダー32で読み取る作業を行う。
【0034】
特典情報供給部36は、プリンター3がサーバー2から送信されたクーポン発行命令を受信した場合に、このクーポン発行命令に含まれる特典情報(例えば、値引き情報)を、POSシステム7へ供給すべき情報として記憶しておく。そして、バーコード読取制御部35によるバーコードの読取処理が行われた場合に、この特典情報をPOSシステム7へ供給する。例えば、読み取った商品コードと値引き情報とを対応づけてPOSシステム7へ供給する。POSシステム7では、受け取った特典情報に基づき、精算処理において特典を付与する。例えば、特典情報供給部36から値引き情報が供給された場合には、これらの情報に従い、精算金額を減算して精算処理を実行する。
【0035】
販売実績送信部37は、バーコードリーダー32による読取処理が行われ、且つ、これに基づいて特典情報供給部36からPOSシステム7への特典情報の供給が行われた場合に、販売実績データを蓄積する処理を行う。例えば、読み取った商品コードを蓄積する。あるいは、読み取った商品コードと特典情報とを対応付けたデータを蓄積する。また、販売数をカウントするカウンタに1を加算する処理を行うなどの蓄積方法でもよい。販売実績送信部37は、クーポン付き商品9の精算時にこのような処理が行われる毎に販売実績データを蓄積してゆき、クーポン発行命令に含まれる広告実施期間(クーポン付き商品9の販売期間)の終了時に、あるいは、所定のタイミングで、サーバー2に販売実績データを送信する。
【0036】
(オンデマンド広告システムによる広告実施のための処理および手続き)
図5は、上記構成のオンデマンド広告システム1による広告主の募集から広告の実施、結果報告までの間に行われる処理、および、この間に運営主、広告主、小売店4が行う手続きの流れを示すフローチャートである。まず、ステップS1において、オンデマンド広告サイトの運営主は、サーバー2において必要な入力を行うことにより、オンデマンド広告サイトにおいて広告主の募集表示を行う。次に、ステップS2において、この表示を見た広告主は、必要事項(クーポンへの広告表示内容、クーポンによる値引き額、クーポンの発行数、実施期間など)をオンデマンド広告サイトの広告依頼ページに入力して運営主に送信することにより、広告の実施申し込みを行う。
【0037】
ステップS3では、サーバー2において、広告依頼受付部23により、上述した広告依頼の受付処理が行われる。広告依頼受付部23によって広告依頼が実施可能であると判定され、広告主が、サーバー2からの問い合わせに対して提示された契約条件に同意する旨を返信し、サーバー2がこれを受信すると、ステップS4に進む。ステップS4では、クーポン発行制御部24により、上述した依頼条件に合致する小売店4の選定、および、選定した各小売店4のプリンター3に対するクーポン発行命令の送信が行われる。
【0038】
続いて、ステップS5では、プリンター3が受信したクーポン発行命令に基づき、広告の実施準備が行われる。具体的には、印刷制御部34による広告付きクーポン8の印刷が行われる。なお、上述したように、このとき、プリンター3は、広告付きクーポン8を貼った商品の販売に関する指示書を同時に印刷することもできる。小売店4では、この指示書、あるいは、他の方法で小売店4に伝達された指示に基づき、発行した広告付きクーポン8を指定された商品に貼り付ける作業を行い、クーポン付き商品9の販売準備を行う。
【0039】
小売店4においてクーポン付き商品9の販売を行い、クーポン付き商品9が購入された場合には、ステップS6において、レジ担当者によるバーコードの読取操作に基づき、バーコード読取制御部35による商品コードの抽出が行われる。続いて、この操作に基づき、ステップS7に進む。ステップS7では、特典情報供給部36による上述したPOSシステム7への特典情報の供給が行われ、POSシステム7において、特典を付与するための処理を行う。例えば、クーポン付き商品9の精算金額の値引き処理が行われる。続いて、ステップS8に進み、プリンター3において、販売実績送信部37による上述した販売実績データの蓄積処理が行われる。
【0040】
小売店4では、クーポン付き商品9が購入される毎に、レジ担当者によるバーコードリーダー32による商品コードの読取操作が行われ、ステップS6〜S8が行われる。これにより、クーポン付き商品9が購入される毎に、POSシステム7では値引き処理などが行われ、プリンター3は、販売実績データを蓄積してゆく。プリンター3は、クーポン付き商品9の販売期間が終了すると、ステップS9に進む。ステップS9では、販売実績送信部37が、蓄積済みの販売実績データをサーバー2に送信し、送信が完了すると、販売実績データをリセットする。なお、ステップS9の処理は、クーポン付き商品9の販売期間の終了時だけでなく、各営業日の売上げの集計時などに、プリンター3が自動で定期的に行うようにすることもできる。また、小売店4の店員がプリンター3の実績データ送信ボタンを操作した場合に、その時点での蓄積データを随時送信してもよい。
【0041】
続いて、ステップS10では、サーバー2が、プリンター3から販売実績データを受信したことに基づき、実績データ管理部25が、受信した販売実績データを広告依頼と関連付ける処理を行うと共に、広告主に対して、販売実績を報告する処理を行う。例えば、クーポン付き商品9の販売期間の終了時に全ての販売実績データを受信した場合には、実績データ管理部25が、これを広告主に送信する処理を行う。あるいは、この販売実績データをオンデマンド広告サイト上で閲覧可能にして、広告主に閲覧案内を送信する。プリンター3から、定期的に、あるいは、随時販売実績データが送信されてきた場合には、これを定期的に広告主に報告するか、あるいは、クーポン付き商品9の販売期間の終了時に集計して報告することができる。また、複数の小売店4から販売実績データを受信した場合には、これらを集計して報告する。
【0042】
以上のように、本実施形態のオンデマンド広告システム1を構成するプリンター3は、システムの運営主のサーバー2と通信を行い、サーバー2からのクーポン発行命令によって広告付きクーポン8の発行を行うため、このプリンター3を小売店4に設置することにより、広告付きクーポン8を広告主の要望に応じて小売店4において必要数だけ印刷できる。従って、オンデマンド広告システム1の運営主は、広告付きクーポン8による広告の依頼を小口からでも受注でき、広告主の募集のための営業が容易である。また、広告主にとっては、多額の販促費用を準備できなくても広告付きクーポンによる広告の実施が可能となり、自由度の高い広告手段の提供を受けられる。
【0043】
また、本実施形態では、プリンター3においてクーポン付き商品9の販売実績を自動で蓄積し、蓄積結果をサーバー2に自動送信するため、サーバー2で広告の実施に関する情報を一元管理でき、広告主は正確な実績データの報告を得られる。従って、広告主は実際に売れたクーポン付き商品9に対する値引き額を負担するだけで済み、実態に即した適切な広告費用で広告を実施できる。また、正確な実績データに基づいて広告の効果を分析できるため、更に効果的な広告を打てるようになる。
【0044】
加えて、販売実績データの蓄積およびサーバー2への報告をプリンター3が自動で行うため、小売店4における負担を軽減できる。また、小売店4のPOSシステム7に対してプリンター3から特典情報(値引き情報)を自動転送できるため、小売店4においてPOSシステム7に値引き情報を設定したり、レジにおいて値引額を手入力するなどの特典付与作業をその都度行う必要がなくなる。従って、クーポン付き商品9の精算業務効率の低下を抑制できると共に、広告主が設定した通りの特典(値引きなど)を付与できる。更に、サーバー2において販売実績データの一元管理および広告主への報告を自動で行うことにより、運営主の負担も軽減できる。
【0045】
(改変例)
(1)上記実施形態では、プリンター3にバーコードリーダー32を設けて、クーポン付き商品9からバーコードを読み取ったことに基づいて販売実績データの蓄積およびPOSシステム7における値引き処理を行っていたが、プリンター3にクーポン処理ボタンを設けておき、クーポン付き商品9の精算時にこのボタンを押すことにより、POSシステム7における値引き処理および販売実績データの蓄積を行う構成としてもよい。
【0046】
(2)上記実施形態では、プリンター3をインターネットに接続しておき、プリンター3から販売実績データをサーバー2に送信していたが、POSサーバー6がインターネットに接続されている場合には、POSサーバー6を介してサーバー2に販売実績データを送信することもできる。また、この場合には、POSサーバー6に蓄積されている売上げ管理データを利用して、クーポン付き商品9の精算時に行ったクーポンによる値引き処理および値引き対象商品の履歴データを販売実績データとして取り扱い、このデータをプリンター3の販売実績送信部37からの送信命令に基づいてサーバー2に送信させることができる。
【0047】
(3)上記実施形態では、広告付きクーポン8による特典として購入代金の値引きを行っているが、他の特典を付与することもできる。例えば、精算額に応じてポイントを付与する場合には、特典ポイントを付与したり、ポイントの付与率を増大させることができる。また、精算時に、特典商品との引換券や、割引券などをレシートと共に発行することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1…オンデマンド広告システム、2…サーバー、3…プリンター、4…小売店、5…POSレジ端末、6…POSサーバー、7…POSシステム、8…広告付きクーポン、8a…広告情報、8b…特典情報、9…クーポン付き商品、20…制御部、21…通信モジュール、22…ウェブページ管理部、23…広告依頼受付部、24…クーポン発行制御部、25…実績データ管理部、30…制御部、31…印刷機構(印刷手段の一部)、32…バーコードリーダー(入力手段の一部)、33…通信モジュール(通信手段)、34…印刷制御部(印刷手段の一部)、35…バーコード読取制御部(入力手段の一部)、36…特典情報供給部(特典情報供給手段)、37…販売実績送信部(販売実績送信手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告付きクーポンによる広告依頼を受け付けるサーバーと通信を行う通信手段と、
前記サーバーから受信したクーポン発行命令に基づいて前記広告付きクーポンを印刷する印刷手段と、
前記広告付きクーポンが付されたクーポン付き商品の精算を行うときに所定の入力を行うための入力手段と、
当該入力手段による入力結果に基づき、前記クーポン付き商品の販売実績を蓄積して前記サーバーに送信する販売実績送信手段とを有することを特徴とするプリンター。
【請求項2】
請求項1において、
前記クーポン付き商品の精算を行うためのPOSシステムと通信可能に構成されており、
前記入力手段において前記所定の入力がなされたことに基づき、前記クーポン付き商品の精算時に付与すべき特典情報を前記POSシステムに供給する特典情報供給手段を有することを特徴とするプリンター。
【請求項3】
請求項2において、
前記販売実績送信手段は、前記販売実績データを、前記POSシステムを介して前記サーバーに送信することを特徴とするプリンター。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかの項において、
前記入力手段は、前記クーポン付き商品に付されたバーコードを読み取るバーコードリーダー、もしくは、クーポン処理ボタンであることを特徴とするプリンター。
【請求項5】
広告付きクーポンを付した商品の販売業務を行う各小売店に設置された請求項1ないし4のいずれかの項に記載のプリンター、および、各プリンターと通信可能なサーバーを有するオンデマンド広告システムであって、
前記サーバーは、
インターネット上に開設したオンデマンド広告サイトを介して、前記広告付きクーポンによる広告依頼を受け付ける広告依頼受付処理と、
当該受け付けた広告依頼に基づき、前記広告付きクーポンを発行させるためのクーポン発行命令を前記プリンターに送信するクーポン発行命令処理と、
各プリンターから前記販売実績データを受信すると、当該販売実績データを前記広告依頼と関連づけて管理する販売実績管理処理を行うことを特徴とするオンデマンド広告システム。
【請求項6】
請求項5において、
前記広告依頼は、少なくとも、前記広告付きクーポンへの広告内容、前記広告付きクーポンによる特典内容、前記広告付きクーポンが付される対象商品、前記広告付きクーポンの発行数を含み、
前記サーバーは、
前記クーポン発行命令処理において、前記広告依頼に基づき、複数の小売店の中から少なくとも1つを選定して、当該選定した各プリンターに前記クーポン発行命令を送信し、
前記販売実績管理処理において、各プリンターから受信した前記販売実績データを集計して、前記広告依頼と関連づけて管理することを特徴とするオンデマンド広告システム。
【請求項7】
請求項5または6において、
前記サーバーは、前記販売実績データを受信すると、当該販売実績データあるいはその閲覧案内を広告主に送信することを特徴とするオンデマンド広告システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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