説明

プリンターにおけるエンド検出装置およびエンド検出方法

【課題】印字用紙などの印字用紙の最終端部(用紙エンド)の検出を簡略化するとともに、エンド検出用の被検出板27の構成を単純化可能なプリンターにおけるエンド検出装置およびエンド検出方法を提供すること。
【解決手段】印字用紙17の印字用紙供給軸に被検出板27を取り付け、用紙印字部への印字用紙17の繰り出しにともなって、その姿勢を検出することに着目したもので、印字用紙17をロール状に装填している印字用紙供給軸の軸端部に、印字用紙供給軸と一体的に作動可能に設けた被検出板27と、被検出板27を印字用紙供給軸のまわりにおける一定方向に付勢するスプリングと、被検出板27の姿勢を検出するセンサーと、プリンターの電源がオンの状態で被検出板27の姿勢をセンサー29により検出することによって印字用紙17の最終端部の有無を検出可能とする制御部14と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンターにおけるエンド検出装置およびエンド検出方法にかかるもので、とくに熱転写リボンなどのリボンを用いて印字用紙に印字を行うプリンターやリボンの有無に関わらずロール状の印字用紙紙に印字を行うプリンターにおけるエンド検出装置およびエンド検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンターにおける印字用リボンの有無ないしその最終端部(リボンエ
ンド)を検出する構造としては、たとえば印字用リボンの供給軸にリボンエンド検出装置を設けるものがある。
図6は、一例として従来のエンド検出装置1を示す要部概略斜視図であって、エンド検出装置1は、リボンたとえば熱転写リボン2のリボン供給軸3の一端部に設けた円板状の被検出板4と、透過型センサー5と、を有する。
【0003】
被検出板4は、これをリボン供給軸3と一体的に回転可能としてあり、その円周部ひとまわりに、リボン供給軸3の軸方向に突出するように一定間隔で交互に被検出用の凹部6および凸部7を形成し、この凹部6および凸部7を透過型センサー5が検出可能としている。
透過型センサー5による凹部6および凸部7の検出信号のオンオフを制御部(図示せず)により認識して、被検出板4すなわちリボン供給軸3の回転を検知し、リボン供給軸3の動作が停止することにより、熱転写リボン2の最終端部(リボンエンド)を検出可能としていた。
すなわち、熱転写リボン2が使用され尽くしてそのリボンエンドがリボン供給軸3の外周面から離れると、被検出板4のリボン巻取り軸(図示せず)側が駆動されていても、リボン供給軸3(被検出板4)は回転せず、被検出板4の状態に変化がなくなり、つまり透過型センサー5のオンオフ検出信号に変化がなくなって、リボンエンドを検出することができる。
【0004】
しかしながら、このようなリボンエンド検出装置1においては、透過型センサー5からの検出信号のオンオフ変化ないし変化速度から熱転写リボン2の最終端部の有無を判断するため、上記制御部におけるリボンエンド検出の判断処理が複雑になるという問題がある。
さらに、被検出板4は、その外周縁部に凹部6および凸部7を交互かつ複数個形成する複雑な形状であるため、板金加工では加工賃が高くなる問題、また樹脂材料から被検出板4を形成する場合にも金型代がかさむという問題がある。
要するに、従来のエンド検出装置1では、ソフトウェアおよびハードウェアともにコスト高になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−278299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、熱転写リボンなどのリボンやロール状の印字用紙紙等のロール物におけるその最終端部(リボンエンド、用紙エンド)の検出を簡略化可能なプリンターにおけるエンド検出装置およびエンド検出方法を提供することを課題とする。
【0007】
また本発明は、エンドの検出処理を簡単なソフトウェアで実行可能なプリンターにおけるエンド検出装置およびエンド検出方法を提供することを課題とする。
【0008】
また本発明は、エンド検出のための被検出板の構成を単純化したプリンターにおけるエンド検出装置およびエンド検出方法を提供することを課題とする。
【0009】
また本発明は、熱転写リボンなどのリボン供給軸や印字用紙供給軸に取り付ける被検出板の姿勢を検出する簡略な構成によってエンドの検出を可能としたプリンターにおけるエンド検出装置およびエンド検出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は、リボンのリボン供給軸やロール状の印字用紙紙等のロール物の供給軸に被検出板を取り付けるとともに、用紙印字部へのリボン又は印字用紙の繰り出しにともなって、この被検出板を第1の姿勢および第2の姿勢に位置させるようにして、それぞれの姿勢を検出することに着目したもので、第一の発明は、印字用紙を装填し、用紙印字部においてこの印字用紙に印字するためのプリンターにおけるエンド検出装置であって、上記印字用紙をロール状に装填している印字用紙供給軸の軸端部に、この印字用紙供給軸と一体的に作動可能に設けた被検出板と、この被検出板を上記印字用紙供給軸のまわりにおける一定方向に付勢するスプリングと、上記被検出板の姿勢を検出するセンサーと、上記プリンターの電源がオンの状態で上記被検出板の姿勢を上記センサーにより検出することによって上記印字用紙の最終端部の有無を検出可能とする制御部と、を有することを特徴とするプリンターにおけるエンド検出装置である。
【0011】
第二の発明は、印字用紙を装填し、用紙印字部においてこの印字用紙を用いてこの印字用紙に印字するためのプリンターにおけるエンド検出方法であって、上記印字用紙をロール状に装填している印字用紙供給軸の軸端部に、この印字用紙供給軸と一体的に作動可能に被検出板を設けるとともに、スプリングによりこの被検出板を上記印字用紙供給軸のまわりにおける一定方向に付勢しておき、上記被検出板の姿勢をセンサーにより検出し、上記プリンターの電源がオンの状態で上記被検出板の姿勢を上記センサーにより検出することによって、制御部が上記印字用紙の最終端部の有無を検出可能とすることを特徴とするプリンターにおけるエンド検出方法である。
【0012】
上記制御部は、上記被検出板が第1の姿勢のとき上記印字用紙が上記印字用紙供給軸に「有り」と判断し、上記被検出板が第2の姿勢のとき上記印字用紙が上記印字用紙供給軸に「無し」と判断することができる。
【0013】
上記制御部は、上記センサーによる上記被検出板の検出信号がオンの状態で、上記印字用紙の上記最終端部が上記印字用紙供給軸に無いと判断することができる。
【0014】
上記被検出板は、上記センサーが検出可能な被検出用突出部を有することができる。
【0015】
上記用紙印字部は上記印字用紙を上記印字用紙供給軸から引き出すプラテンローラーを備え、プラテンローラーが上記印字用紙を引き出して、その上記最終端部が上記印字用紙供給軸を離れたときに、上記被検出板が上記スプリングにより元姿勢に復帰することができる。
【0016】
上記スプリングの付勢力は、上記プラテンローラーによる上記印字用紙の引き出し力より、これを小さく設定してあることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるプリンターにおけるエンド検出装置およびエンド検出方法においては、印字用紙の印字用紙供給軸に被検出板を取り付けるとともに、印字用紙の繰り出しにともなって、この被検出板をたとえば第1の姿勢および第2の姿勢に位置させるようにし、それぞれの姿勢を検出して用紙エンドの有無を判断するようにしたので、従来のエンド検出装置のように透過型センサーによる被検出板の動作状態ないし回転動作を検出することなく、被検出板の単純な姿勢の変化を検出するようにして、印字用紙の最終端部(用紙エンド)の検出をハードウェアおよびソフトウェアの両面で簡略化することができる。
【0018】
とくに第一の発明のプリンターにおけるエンド検出装置によれば、印字用紙の印字用紙供給軸に設けた被検出板と、この被検出板を一定方向に付勢するスプリングと、被検出板の姿勢を検出するセンサーと、プリンターの電源がオンの状態で被検出板の姿勢をセンサーにより検出することによって印字用紙の最終端部の有無を検出可能とする制御部と、を設けたので、被検出板の姿勢を検出するだけで印字用紙の有無を検出可能であり、用紙エンド検出のためのソフトウェアを簡略化可能であるとともに、被検出板の形状ないし構成を単純なものとして、全体のコストを低減することができる。
【0019】
とくに第二の発明のプリンターにおけるエンド検出方法によれば、印字用紙の印字用紙供給軸と一体的に作動可能に被検出板を設けるとともに、スプリングによりこの被検出板を一定方向に付勢しておき、被検出板の姿勢をセンサーにより検出し、プリンターの電源がオンの状態で被検出板の姿勢をセンサーにより検出することによって、制御部がリボンの最終端部の有無を検出可能とするようにしたので、制御部は、用紙エンド検出のために被検出板の姿勢のみを検出していればよく、簡略化した検出方法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のエンド検出装置15を装備した熱転写プリンター10の概略側面図である。
【図2】同、開閉蓋13(および開閉ブラケット16)を開放した状態の、熱転写プリンター10の概略側面図である。
【図3】同、エンド検出装置15における被検出板27およびリボン供給軸3の分解斜視図である。
【図4】同、図4は、エンド検出装置15の側面図であり、図4(1)は被検出板27が第1の姿勢(熱転写リボン2がリボン供給軸3に「有り」と判断される姿勢)のときを示し、図4(2)は被検出板27が第2の姿勢(熱転写リボン2がリボン供給軸3に「無し」と判断される姿勢)のときをそれぞれ示す。
【図5】同、制御部14におけるエンド検出のタイミングチャート図である。
【図6】従来のエンド検出装置1の要部概略斜視図である。
【図7】本発明のエンド検出装置35を装備した熱転写プリンター10の概略側面図である。
【図8】同、エンド検出装置35における被検出板27および印字用紙供給軸36の分解斜視図である。
【図9】同、図9は、エンド検出装置35の側面図であり、図9(1)は被検出板27が第1の姿勢(印字用紙17が印字用紙供給軸36に「有り」と判断される姿勢)のときを示し、図9(2)は被検出板27が第2の姿勢(印字用紙17が印字用紙供給軸36に「無し」と判断される姿勢)のときをそれぞれ示す。
【図10】同、制御部14におけるエンド検出のタイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、プリンターの電源がオンの状態で被検出板の姿勢を検出することによりリボンまたは印字用紙の最終端部(リボンエンド、用紙エンド)を検出するようにして、構成および機能の単純化およびコスト低減に寄与可能なプリンターにおけるエンド検出装置およびエンド検出方法を実現した。
【実施例】
【0022】
つぎに本発明の実施例によるプリンターにおけるエンド検出装置およびエンド検出方法を図1ないし図5にもとづき説明する。ただし、図6と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、プリンターたとえば熱転写プリンター10の概略側面図であり、熱転写プリンター10は、プリンター本体11と、プリンター本体11の一端部側の開閉軸12において連結しプリンター本体11に対して開閉する開閉蓋13と、制御部14と、当該エンド検出装置15と、を有する。
【0023】
図2は、同、開閉蓋13(および開閉ブラケット16)を開放した状態の熱転写プリンター10の概略側面図である。
プリンター本体11は、印字用紙17の用紙供給部18を開閉軸12側に有するとともに、開閉軸12の用紙移送方向下流側において開閉蓋13との間に用紙印字部19を有する。
用紙供給部18および用紙印字部19を経て、開閉軸12の用紙移送方向下流側の用紙排出口20までを移送路21としている。
【0024】
用紙供給部18は、印字用紙17をロール状に保持し、用紙印字部19に向かう移送路21に帯状に繰り出し可能とする。
【0025】
開閉蓋13とプリンター本体11との間には、開閉ブラケット16を開閉蓋13と同様に、開閉軸12まわりに開閉可能に設けている。
【0026】
とくに図1に拡大して示すように、用紙印字部19において所定の情報を印字するための帯状の印字用紙17(たとえばラベル連続体)としては、帯状の台紙22上に複数枚のラベル片23を仮着した構成のものを採用することができる。
【0027】
用紙印字部19は、開閉ブラケット16側に設けたサーマルヘッド24およびプリンター本体11側に設けたプラテンローラー25と、開閉ブラケット16側に設けた前記熱転写リボン2の前記リボン供給軸3およびリボン巻取り軸26と、を有する。リボン巻取り軸26は、熱転写リボン2をリボン供給軸3から用紙印字部19を通ってロール状に巻き取る。
開閉蓋13および開閉ブラケット16の開閉にともなって、サーマルヘッド24およびプラテンローラー25を離接可能とする。
熱転写プリンター10は、リボン供給軸3に熱転写リボン2を装填するとともに、用紙供給部18に印字用紙17を装填し、用紙印字部19において熱転写リボン2を用いて印字用紙17に印字する。
なお、用紙印字部19ないしは開閉蓋13の構成によっては、開閉ブラケット16を設けることなく、開閉蓋13に用紙印字部19の一部(上記したサーマルヘッド24、熱転写リボン2のリボン供給軸3およびリボン巻取り軸26など)を備えてもよい。
【0028】
制御部14は、熱転写プリンター10全体を制御するとともに、エンド検出装置15による熱転写リボン2のリボンエンド検出を行う。
【0029】
とくに図3および図4に示すように、エンド検出装置15は、円板状の被検出板27と、引っ張りスプリング28(スプリング)と、センサー29と、制御部14と、を有する。
図3は、エンド検出装置15における被検出板27およびリボン供給軸3の分解斜視図、図4は、エンド検出装置15の側面図であって、図4(1)は被検出板27が第1の姿勢(熱転写リボン2がリボン供給軸3に「有り」と判断される姿勢)のときを示し、図4(2)は被検出板27が第2の姿勢(熱転写リボン2がリボン供給軸3に「無し」と判断される姿勢)のときをそれぞれ示す。
【0030】
被検出板27は、熱転写リボン2をロール状に装填しているリボン供給軸3の軸端部に、キー30およびキー溝31の組み合わせにより(図3参照)、このリボン供給軸3と一体的に作動可能にこれを設けている。
被検出板27の円周部の一部に被検出用突出部27Aを突出形成し、センサー29によってこれを検出可能としている。
なお、リボン供給軸3には、たとえば、リボン供給軸3のトルクを制限して熱転写リボン2の張力を所定レベルに維持するトルクリミッターや、熱転写リボン2に用紙印字部19より上流側への張力を作用するバックテンション部材などによる任意の構成の張力調整機構32などを内蔵することができ、リボン供給軸3から熱転写リボン2の繰り出しにともなう熱転写リボン2の張力を一定範囲に調整可能としている。
【0031】
引っ張りスプリング28は、被検出板27をリボン供給軸3のまわりにおける一定方向に付勢するものであって、図示の例では、図4中、リボン供給軸3のまわりに被検出板27を常時時計方向に付勢可能としている。したがって、リボン巻取り軸26により熱転写リボン2を巻き取り、その最終端部がリボン供給軸3を離れたときに、被検出板27が引っ張りスプリング28により元位置ないし元姿勢に復帰する。
ただし、引っ張りスプリング28の付勢力は、リボン巻取り軸26による熱転写リボン2の巻取り力より、これを小さく設定してある。
さらに引っ張りスプリング28は、上記張力調整機構32とともに移送路21上における熱転写リボン2の張力を調整するようにこれを用いることもできる。
【0032】
センサー29は、被検出板27の姿勢を検出するもので、具体的には、被検出板27の被検出用突出部27Aを検出して、その検出信号を制御部14に出力する。
センサー29の種類ないし機能は、たとえば透過型、反射型、あるいはリミットスイッチその他の接触型など任意のタイプを採用可能である。
【0033】
制御部14は、熱転写プリンター10の電源33(電源スイッチ、図1、図2)がオンの状態で、被検出板27の姿勢をセンサー29により検出することによって、熱転写リボン2の最終端部(リボンエンド)の有無を検出可能とする。
すなわち制御部14は、被検出板27が第1の姿勢のとき(図4(1)を参照)熱転写リボン2がリボン供給軸3に「有り」(すなわち、リボンエンドがまだリボン供給軸3にある)と判断し、被検出板27が第2の姿勢のとき(図4(2)を参照)熱転写リボン2がリボン供給軸3に「無し」(すなわち、リボンエンドがまだリボン供給軸3にはない)と判断する。
具体的に、制御部14は、図4(2)に示すように、被検出板27の被検出用突出部27Aがセンサー29の部位に位置して、センサー29による被検出板27の検出信号がオンのときに、熱転写リボン2の最終端部がリボン供給軸3に無いと判断する。
【0034】
こうした構成の熱転写プリンター10およびエンド検出装置15において、リボン供給軸3にロール状に装填された熱転写リボン2は、用紙印字部19における印字用紙17の印字にともなってリボン供給軸3から帯状に繰り出されるとともに、リボン巻取り軸26に巻き取られてゆく。
しかして、熱転写リボン2をロール状に装填しているリボン供給軸3の軸端部に、このリボン供給軸3と一体的に作動可能に被検出板27が設けられているとともに、被検出板27は、引っ張りスプリング28によりリボン供給軸3のまわりにおける一定方向(図4中、時計方向)に付勢されており、被検出板27の姿勢をセンサー29により検出し、熱転写プリンター10の電源33がオンの状態で被検出板27の姿勢をセンサー29により検出することによって、制御部14が熱転写リボン2の最終端部の有無を検出可能である。
【0035】
図5は、制御部14におけるリボンエンド検出のタイミングチャート図であって、電源33がオンの状態で、センサー29からの検出信号がオフの状態では、被検出板27が第1の姿勢にあり、熱転写リボン2はリボン供給軸3にあってそのリボンエンドは検出されておらず、熱転写リボン2が「有り」と判断される。
一方、センサー29からの検出信号がオンの状態では、被検出板27が第2の姿勢にあり、熱転写リボン2はリボン供給軸3にあらずそのリボンエンドが検出された、すなわち、熱転写リボン2が「無し」と判断される。
熱転写リボン2の「無し」の状態を任意の表示装置ないし警告装置(図示せず)によって認識可能とし、使用者に熱転写リボン2の交換作業を促すことができる。
【0036】
かくして、制御部14としては、熱転写プリンター10の電源33がオンの状態で被検出板27の姿勢がどうなっているか(第1の姿勢にあるか、あるいは第2の姿勢にあるか)だけを判断すればよいので、ソフトウェア処理が従来の処理に比べて簡略化されるとともに、被検出板27の構成自体もセンサー29により検出可能な被検出用突出部27Aを形成するだけでよいので、構造自体が単純化され、ともにリボンエンド検出のための構成についてコストの低減に寄与することができる。
【0037】
つぎに本発明の第二の実施例によるプリンターにおけるエンド検出装置およびエンド検出方法を図7ないし図10にもとづき説明する。ただし、図1ないし図6と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
【0038】
図7は、プリンターたとえば熱転写プリンター10の概略側面図であり、熱転写プリンター10は、プリンター本体11と、プリンター本体11の一端部側の開閉軸12において連結しプリンター本体11に対して開閉する開閉蓋13と、制御部14と、当該エンド検出装置35と、を有する。
【0039】
プリンター本体11は、印字用紙17の用紙供給部18を開閉軸12側に有するとともに、開閉軸12の用紙移送方向下流側において開閉蓋13との間に用紙印字部19を有する。
用紙供給部18および用紙印字部19を経て、開閉軸12の用紙移送方向下流側の用紙排出口20までを移送路21としている。
【0040】
用紙供給部18は、印字用紙17をロール状に保持する印字用紙供給軸36と、印字用紙供給軸36を回転可能に保持する供給軸ガイド37を備え、用紙印字部19に向かう移送路21に帯状に繰り出し可能とする。
【0041】
開閉蓋13とプリンター本体11との間には、開閉ブラケット16を開閉蓋13と同様に、開閉軸12まわりに開閉可能に設けている。
【0042】
用紙印字部19において所定の情報を印字するための帯状の印字用紙17(たとえばラベル連続体)としては、帯状の台紙22上に複数枚のラベル片23を仮着した構成のものを採用することができる。
【0043】
用紙印字部19は、開閉ブラケット16側に設けたサーマルヘッド24およびプリンター本体11側に設けたプラテンローラー25と、開閉ブラケット16側に設けた前記熱転写リボン2の前記リボン供給軸3およびリボン巻取り軸26と、を有する。リボン巻取り軸26は、熱転写リボン2をリボン供給軸3から用紙印字部19を通ってロール状に巻き取る。
開閉蓋13および開閉ブラケット16の開閉にともなって、サーマルヘッド24およびプラテンローラー25を離接可能とする。
熱転写プリンター10は、リボン供給軸3に熱転写リボン2を装填するとともに、用紙供給部18に印字用紙17を装填し、用紙印字部19において熱転写リボン2を用いて印字用紙17に印字する。
なお、用紙印字部19ないしは開閉蓋13の構成によっては、開閉ブラケット16を設けることなく、開閉蓋13に用紙印字部19の一部(上記したサーマルヘッド24、熱転写リボン2のリボン供給軸3およびリボン巻取り軸26など)を備えてもよい。また、熱転写リボンを備えない感熱方式の印字部であっても良い。
【0044】
制御部14は、熱転写プリンター10全体を制御するとともに、エンド検出装置35による印字用紙17の用紙エンド検出を行う。
【0045】
とくに図8および図9に示すように、エンド検出装置35は、円板状の被検出板27と、引っ張りスプリング28(スプリング)と、センサー29と、制御部14と、を有する。
図8は、エンド検出装置35における被検出板27および印字用紙供給軸36の分解斜視図、図9は、エンド検出装置35の側面図であって、図9(1)は被検出板27が第1の姿勢(印字用紙17が印字用紙供給軸36に「有り」と判断される姿勢)のときを示し、図9(2)は被検出板27が第2の姿勢(印字用紙17が印字用紙供給軸36に「無し」と判断される姿勢)のときをそれぞれ示す。
【0046】
被検出板27は、印字用紙17をロール状に装填している印字用紙供給軸36の軸端部に、キー30およびキー溝31の組み合わせ)により(図8参照)、この印字用紙供給軸36と一体的に作動可能にこれを設けている。
被検出板27の円周部の一部に被検出用突出部27Aを突出形成し、センサー29によってこれを検出可能としている。
なお、印字用紙供給軸36には、たとえば、印字用紙供給軸36のトルクを制限して印字用紙17の張力を所定レベルに維持するトルクリミッターや、印字用紙17に用紙印字部19より上流側への張力を作用するバックテンション部材などによる任意の構成の張力調整機構32などを内蔵することができ、印字用紙供給軸36から印字用紙17の繰り出しにともなう印字用紙17の張力を一定範囲に調整可能としている。
【0047】
引っ張りスプリング28は、被検出板27を印字用紙供給軸36のまわりにおける一定方向に付勢するものであって、図示の例では、図9中、印字用紙供給軸36のまわりに被検出板27を常時反時計方向に付勢可能としている。したがって、プラテンローラー25により印字用紙17が引き出され、その最終端部が印字用紙供給軸36を離れたときに、被検出板27が引っ張りスプリング28により元位置ないし元姿勢に復帰する。
ただし、引っ張りスプリング28の付勢力は、プラテンローラー25による印字用紙17の引き出し(搬送)力より、これを小さく設定してある。
さらに引っ張りスプリング28は、上記張力調整機構32とともに移送路21上における印字用紙17の張力を調整するようにこれを用いることもできる。
【0048】
センサー29は、被検出板27の姿勢を検出するもので、具体的には、被検出板27の被検出用突出部27Aを検出して、その検出信号を制御部14に出力する。
センサー29の種類ないし機能は、たとえば透過型、反射型、あるいはリミットスイッチその他の接触型など任意のタイプを採用可能である。
【0049】
制御部14は、熱転写プリンター10の電源33(電源スイッチ、図1、図2)がオンの状態で、被検出板27の姿勢をセンサー29により検出することによって、印字用紙17の最終端部(用紙エンド)の有無を検出可能とする。
すなわち制御部14は、被検出板27が第1の姿勢のとき(図9(1)を参照)印字用紙17が印字用紙供給軸36に「有り」(すなわち、用紙エンドがまだ印字用紙供給軸36にある)と判断し、被検出板27が第2の姿勢のとき(図9(2)を参照)印字用紙17が印字用紙供給軸36に「無し」(すなわち、用紙エンドが印字用紙供給軸36にはない)と判断する。
具体的に、制御部14は、図9(2)に示すように、被検出板27の被検出用突出部27Aがセンサー29の部位に位置して、センサー29による被検出板27の検出信号がオンのときに、印字用紙17の最終端部が印字用紙供給軸36に無いと判断する。
【0050】
こうした構成の熱転写プリンター10およびエンド検出装置35において、印字用紙供給軸36にロール状に装填された印字用紙17は、用紙印字部19における印字用紙17の印字にともなって印字用紙供給軸36から帯状に繰り出される。
しかして、印字用紙17をロール状に装填している印字用紙供給軸36の軸端部に、この印字用紙供給軸36と一体的に作動可能に被検出板27が設けられているとともに、被検出板27は、引っ張りスプリング28により印字用紙供給軸36のまわりにおける一定方向(図9中、反時計方向)に付勢されており、被検出板27の姿勢をセンサー29により検出し、熱転写プリンター10の電源33がオンの状態で被検出板27の姿勢をセンサー29により検出することによって、制御部14が印字用紙17の最終端部の有無を検出可能である。
【0051】
図10は、制御部14におけるエンド検出のタイミングチャート図であって、電源33がオンの状態で、センサー29からの検出信号がオフの状態では、被検出板27が第1の姿勢にあり、印字用紙17は印字用紙供給軸36にあってその用紙エンドは検出されておらず、印字用紙17が「有り」と判断される。
一方、センサー29からの検出信号がオンの状態では、被検出板27が第2の姿勢にあり、印字用紙17は印字用紙供給軸36にあらずその用紙エンドが検出された、すなわち、印字用紙17が「無し」と判断される。
印字用紙17の「無し」の状態を任意の表示装置ないし警告装置(図示せず)によって認識可能とし、使用者に印字用紙17の交換作業を促すことができる。
【0052】
かくして、制御部14としては、熱転写プリンター10の電源33がオンの状態で被検出板27の姿勢がどうなっているか(第1の姿勢にあるか、あるいは第2の姿勢にあるか)だけを判断すればよいので、ソフトウェア処理が従来の処理に比べて簡略化されるとともに、被検出板27の構成自体もセンサー29により検出可能な被検出用突出部27Aを形成するだけでよいので、構造自体が単純化され、ともに用紙エンド検出のための構成についてコストの低減に寄与することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 従来のエンド検出装置(図6)
2 熱転写リボン(リボン)
3 リボン供給軸
4 被検出板
5 透過型センサー
6 被検出板4の凹部
7 被検出板4の凸部
10 熱転写プリンター(プリンター、図1、図2)
11 プリンター本体
12 開閉軸
13 開閉蓋
14 制御部
15 熱転写プリンター10のエンド検出装置(実施例、図4)
16 開閉ブラケット
17 印字用紙(ラベル連続体)
18 用紙供給部
19 用紙印字部
20 用紙排出口
21 移送路
22 台紙
23 ラベル片
24 サーマルヘッド
25 プラテンローラー
26 リボン巻取り軸
27 被検出板
27A 被検出板27の被検出用突出部
28 引っ張りスプリング(スプリング)
29 センサー
30 キー
31 キー溝
32 トルクリミッターやバックテンション部材などによる張力調整機構
33 熱転写プリンター10の電源(電源スイッチ、図1、図2)
35 熱転写プリンター10のエンド検出装置(実施例、図9)
36 印字用紙供給軸
37 供給軸ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字用紙を装填し、用紙印字部においてこの印字用紙に印字するためのプリンターにおけるエンド検出装置であって、
前記印字用紙をロール状に装填している印字用紙供給軸の軸端部に、この印字用紙供給軸と一体的に作動可能に設けた被検出板と、
この被検出板を前記印字用紙供給軸のまわりにおける一定方向に付勢するスプリングと、
前記被検出板の姿勢を検出するセンサーと、
前記プリンターの電源がオンの状態で前記被検出板の姿勢を前記センサーにより検出することによって前記印字用紙の最終端部の有無を検出可能とする制御部と、
を有することを特徴とするプリンターにおけるエンド検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記被検出板が第1の姿勢のとき前記印字用紙が前記印字用紙供給軸に「有り」と判断し、
前記被検出板が第2の姿勢のとき前記印字用紙が前記印字用紙供給軸に「無し」と判断することを特徴とする請求項1記載のプリンターにおけるエンド検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記センサーによる前記被検出板の検出信号がオンの状態で、前記印字用紙の前記最終端部が前記印字用紙供給軸に無いと判断することを特徴とする請求項1あるいは2記載のプリンターにおけるエンド検出装置。
【請求項4】
前記被検出板は、
前記センサーが検出可能な被検出用突出部を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプリンターにおけるエンド検出装置。
【請求項5】
前記用紙印字部は前記印字用紙を前記印字用紙供給軸から引き出すプラテンローラーを備え、
このプラテンローラーが前記印字用紙を引き出して、その前記最終端部が前記印字用紙供給軸を離れたときに、前記被検出板が前記スプリングにより元姿勢に復帰することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のプリンターにおけるエンド検出装置。
【請求項6】
前記スプリングの付勢力は、
前記プラテンローラーによる前記印字用紙の引き出し力より、これを小さく設定してあることを特徴とする請求項5記載のプリンターにおけるエンド検出装置。
【請求項7】
印字用紙を装填し、用紙印字部においてこの印字用紙に印字するためのプリンターにおけるエンド検出方法であって、
前記印字用紙をロール状に装填している印字用紙供給軸の軸端部に、この印字用紙供給軸と一体的に作動可能に被検出板を設けるとともに、
スプリングによりこの被検出板を前記印字用紙供給軸のまわりにおける一定方向に付勢しておき、
前記被検出板の姿勢をセンサーにより検出し、
前記プリンターの電源がオンの状態で前記被検出板の姿勢を前記センサーにより検出することによって、制御部が前記印字用紙の最終端部の有無を検出可能とすることを特徴とするプリンターにおけるエンド検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−194614(P2011−194614A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61313(P2010−61313)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】