説明

プリンタ及び、それを組み込んだ携帯型端末装置

【課題】サーマルプリンタの印字時に、サーマルヘッドが低温になっても、サーマルヘッドに用紙が貼り付く、スティッキング現象を低減する。
【解決手段】放熱板3が、プラテンローラ4側の先端部分に上記プラテンローラ4に近接する屈曲部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ及び、それを組み込んだ携帯型端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、感熱紙とサーマルラインへッドのスティッキング(貼り付き)の影響を減少させる事のできる感熱プリンタが開示されている。この感熱プリンタでは、サーマルラインヘッドの発熱位置が、サーマルラインヘッドがプラテンローラに転接する位置よりも、感熱紙の搬送方向の上流側に偏移されている。
【0003】
特許文献2では、サーマルヘッドとプラテンローラとの接触状態に関して、左右方向の押圧の均一性の補正、及び用紙搬送方向の位置補正を行なえるサーマルプリンタが開示されている。サーマルヘッドとプラテンローラとの接触位置は、常に発熱体中心の位置よりもプラテンローラの回転方向下流側に位置し、サーマルヘッドが理想的な中立位置から若干時計方向に回動した位置で付勢されている。プラテンローラが用紙搬送方向に回転するので、サーマルヘッドとの接触位置直後の上流側部分は、多少上流側に押し潰され膨らむように変形するため、サーマルヘッドに対する接触面積が広がり、発熱体中心位置も、プラテンローラに接触する状態が確保され、用紙搬送方向の位置補正がなされ、印字品質が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−309023号公報
【特許文献2】特公平9−123489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明では、サーマルラインヘッドの発熱位置が、サーマルラインヘッドがプラテンローラに転接する位置よりも、感熱紙の搬送方向の上流側に偏移されているので、発熱位置を通過した感熱紙が、サーマルラインヘッドとプラテンローラの押圧位置で、スティッキングを起こす可能性がある。
【0006】
特許文献2の発明でも、特許文献1の発明と同様に、サーマルヘッドとプラテンローラとの接触位置は、常に発熱体中心の位置よりもプラテンローラの回転方向下流側に位置しているので、プラテンローラに接触する位置よりも、発熱体の中心が感熱紙の搬送方向の上流側に偏移されているので、発熱位置を通過した感熱紙が、サーマルラインヘッドとプラテンローラの接触位置で、スティッキングを起こす可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、サーマルプリンタの印字時に、サーマルヘッドが低温になっても、サーマルヘッドに用紙が貼り付く、スティッキング現象を低減することにより、印字乱れ(印字抜け)が生じにくいサーマルプリンタと、それを組み込んだプリンタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明によれば以下のような特徴を有するプリンタ、およびそれらを有する携帯型端末装置が提供される。
【0009】
請求項1の発明では、サーマルヘッドと、上記サーマルヘッドが固定された放熱板と、プラテンローラと、放熱板を付勢するヘッドバネとを有するプリンタであって、上記放熱板が、プラテンローラ側の先端部分に、上記プラテンローラに近接する屈曲部を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明では、サーマルヘッドと、上記サーマルヘッドが固定された放熱板と、プラテンローラと、放熱板を付勢するヘッドバネとを有するプリンタであって、上記ヘッドバネが、プラテンローラ側の先端部分に、上記プラテンローラに近接する屈曲部を有することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明では、請求項1または2に記載の発明において、上記サーマルヘッドの発熱体を、上記サーマルヘッドと上記プラテンローラとの押圧位置よりも上記プラテンローラの回転方向に対して上流側に配置するように、上記発熱体を上記放熱板に貼り付けることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明では、請求項1または2に記載の発明において、上記サーマルヘッドの発熱体を、上記サーマルヘッドと上記プラテンローラとの押圧位置よりも上記プラテンローラの回転方向に対して上流側に配置するように、プラテンローラ受け部の位置を定めることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明では、請求項1または2に記載の発明において、上記放熱板の支点位置をプラテンローラ側に近づけることにより上記ヘッドの上記プラテンローラの中心線を通る水平線に対する角度を大きくする調整装置を有することを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明では、請求項1または2に記載の発明において、上記放熱板は、上記支点位置から上記プラテンローラの方向に延び、延びる途中でプラテンローラ側にオフセットしてから、再度、上記プラテンローラの方向に延びることにより、上記サーマルヘッドの上記プラテンローラの中心を通る水平線に対する角度を大きくすることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明では、サーマルヘッドと、上記サーマルヘッドが固定された放熱板と、プラテンローラと、放熱板を付勢するヘッドバネとを有するプリンタであって、上記プラテンローラは電熱線を有すると共に、上記プラテンローラが熱伝導率の高い材料で作られたことを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明では、サーマルヘッドと、上記サーマルヘッドが固定された放熱板と、プラテンローラと、放熱板を付勢するヘッドバネとを有するプリンタであって、上記放熱板の上記ヘッドバネに付勢される部分に、熱拡張率の高い部材を貼り合わせたことを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明では、サーマルヘッドと、上記サーマルヘッドが固定された放熱板と、プラテンローラと、放熱板を付勢するヘッドバネとを有するプリンタであって、上記サーマルヘッドは、上記サーマルヘッドをプリヒートする電熱線を更に有することを特徴とする。
【0018】
請求項10の発明では、サーマルヘッドと、上記サーマルヘッドが固定された放熱板と、プラテンローラと、放熱板を付勢するヘッドバネとを有するプリンタを組み込む携帯型端末装置であって、上記携帯型端末装置の筐体の上部にプラテンローラに近接する突出部を有することを特徴とする。
【0019】
請求項11の発明では、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプリンタが組み込まれた事を特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、上記放熱板が、プラテンローラ側の先端部分に、上記プラテンローラに近接する屈曲部を有することにより、排出された用紙が、放熱板の先端部分に当たり、用紙の排出方向が用紙をプラテンローラから離すように作用する方向に変えられるため、スティッキングを防止することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、上記ヘッドバネが、プラテンローラ側の先端部分に、上記プラテンローラに近接する屈曲部を有することにより、排出された用紙が、ヘッドバネの先端部分に当たり、用紙の排出方向が用紙をプラテンローラから離すように作用する方向に変えられるため、請求項1と同様にスティッキングを防止することができるとともに、ヘッドバネを伸ばせばよいので、請求項1の放熱板を伸ばして曲げるよりもコストを削減できる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、上記サーマルヘッドの発熱体を、上記サーマルヘッドと上記プラテンローラとの押圧位置よりも上記プラテンローラの回転方向に対して上流側に配置するように上記発熱体を上記放熱板に貼り付けたため、押圧された後に、用紙が発色されるので、押圧時の用紙のスティッキングを防止することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、上記サーマルヘッドの発熱体を、上記サーマルヘッドと上記プラテンローラとの押圧位置よりも上記プラテンローラの回転方向に対して上流側に配置するように、上記プラテンローラ受け部の位置を定めたため、これによっても、押圧された後に、用紙が発色されるので、押圧時の用紙のスティッキングを防止することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、上記放熱板の支点位置をプラテンローラ側に近づけることにより上記ヘッドの上記プラテンローラの中心線を通る水平線に対する角度を大きくする調整装置を有するので、用紙の排出方向をプラテンローラから離れる方向に調整でき、スティッキングを低減することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、上記放熱板は、上記支点位置から上記プラテンローラの方向に延び、延びる途中でプラテンローラ側にオフセットしてから、再度、上記プラテンローラの方向に延びることにより、上記サーマルヘッドの上記プラテンローラの中心を通る水平線に対する角度を大きくしたので、これによっても、用紙の排出方向をプラテンローラから離れる方向に調整でき、スティッキングを低減することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、上記プラテンローラは電熱線を有すると共に、上記プラテンローラが熱伝導率の高い材料で作られたので、電熱線を発熱すると、プラテンローラが即座に熱くなるため、サーマルヘッドが発熱時から非発熱時に切り替っても、プラテンローラは低温にならず、スティッキングを低減することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、上記放熱板の上記ヘッドバネに付勢される部分に、熱拡張率の高い部材を貼り合わせたので、高温時には、その部材が拡張するため、ヘッドバネと放熱板との間隔が広がり、放熱板に貼り付けられたサーマルヘッドがプラテンローラを押圧する圧力が高くなるが、低温時には、その部材が収縮するため、ヘッドバネと放熱板との間隔が狭くなり、放熱板に貼り付けられたサーマルヘッドがプラテンローラを押圧する圧力が低くなり、スティッキングを低減することができる。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、上記サーマルヘッドは、プリヒートするための電熱線を更に有するので、印字開始前からこの電熱線を加熱することにより、最初の印字が終わって、サーマルヘッドの発熱体の加熱が終了した後であってもサーマルヘッドは、用紙をサーマルヘッドに貼り付かせない温度を維持することができ、スティッキングを低減することができる。
【0029】
請求項10に記載の発明によれば、携帯型端末装置の筐体の上部に、プラテンローラに近接する突出部を有するので、これによっても排出された用紙が、筐体の上部に当たり、用紙の排出方向が用紙をプラテンローラから離すように作用する方向に変えられるため、スティッキングを防止することができる。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプリンタが組み込まれたので、スティッキングを低減することができる携帯型端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】一般的なプリンタ1の斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態のプリンタの図1のA-A断面による断面図である。
【図3】本発明の第二の実施形態のプリンタの図1のA-A断面による断面図である。
【図4】本発明の第三の実施形態のプリンタの図1のA-A断面による断面図の一部を示す図である。
【図5】本発明の第四の実施形態のプリンタの図1のA-A断面による断面図の一部を示す図である。
【図6】本発明の第五の実施形態のプリンタの図1のA-A断面による断面図である。
【図7】本発明の第六の実施形態のプリンタの図1のA-A断面による断面図である。
【図8】本発明の第七の実施形態のプリンタの図1のA-A断面による断面図である。
【図9】図9(a)は、常温時の本発明の第八の実施形態のプリンタの図1のA-A断面による断面図の一部分を示す図であり、図9(b)は、低温時の本発明の第六の実施形態801の図1のA-A断面による断面図の一部分を示す図である。
【図10】本発明の第九の実施形態のプリンタの図1のA-A断面による断面図である。
【図11】本発明の第十の実施形態のプリンタ装置の斜視図である。
【図12】図11のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、一般的なプリンタ100の斜視図であり、図2は、本発明の第一の実施形態のプリンタ101の図1のA-A断面による断面図である。プリンタ101は、サーマルヘッド2と、上記サーマルヘッド2が固定された放熱板3と、プラテンローラ4と、上記プラテンローラ4を受けるプラテンローラ受け部5と、用紙18を上記サーマルヘッド2に搬送する際に使用する用紙ガイド6と、放熱板3を付勢するヘッドバネ7とを有する。そして、上記放熱板3が、プラテンローラ4側の先端部分に、上記プラテンローラ4に近接する屈曲部8を有する。これにより、排出された用紙18が、放熱板3の屈曲部8に当たり、用紙18の排出方向が用紙18をプラテンローラ4から離すように作用する方向に変えられるため、スティッキングを防止することができる。
【0033】
図3は、本発明の第二の実施形態のプリンタ201の図1のA-A断面による断面図である。放熱板3とヘッドバネ7の形状が異なる以外は、第一の実施形態によるプリンタと実質的に同一の構成を有する。従って、対応する構成要素には、共通の参照符号を付してその説明を省略する。プリンタ201は、サーマルヘッド2と、上記サーマルヘッド2が固定された放熱板3と、プラテンローラ4と、上記プラテンローラ4を受けるプラテンローラ受け部5と、用紙18を上記サーマルヘッド2に搬送する際に使用する用紙ガイド6と、放熱板3を付勢するヘッドバネ7とを有する。そして、上記ヘッドバネ7が、プラテンローラ4側の先端部分に、上記プラテンローラ4に近接する屈曲部1を有する。これにより、排出された用紙18が、ヘッドバネ7の屈曲部1に当たり、用紙18の排出方向が用紙18をプラテンローラ4から離すように作用する方向に変えられるため、第一の実施形態と同様にスティッキングを防止することができるとともに、ヘッドバネ7を伸ばせばよいので、第一の実施形態のように放熱板3を伸ばして曲げるよりもコストを削減できる。
【0034】
図4は、本発明の第三の実施形態のプリンタ301の図1のA-A断面による断面図の一部である。放熱板3の形状とサーマルヘッド2の放熱板3への貼り付け位置が異なる以外は、第一の実施形態によるプリンタ101と実質的に同一の構成を有する。従って、対応する構成要素には、共通の参照符号を付してその説明を省略する。プリンタ301は、上記サーマルヘッド2の発熱体9を、上記サーマルヘッド2と上記プラテンローラ4との押圧位置よりも上記プラテンローラ4の回転方向に対して上流側に配置するように、上記サーマルヘッド2を上記放熱板3に貼り付けた(実線位置)。これにより、サーマルヘッド2がプラテンローラ4に押圧された後に、用紙18が発色されるので、押圧時の用紙18のスティッキングを防止することができる。
【0035】
図5は、本発明の第四の実施形態のプリンタ401の図1のA-A断面による断面図の一部である。放熱板3の形状とプラテンローラ受け部5の位置が異なる以外は、第一の実施形態によるプリンタ101と実質的に同一の構成を有する。従って、対応する構成要素には、共通の参照符号を付してその説明を省略する。プリンタ401は、上記サーマルヘッド2の発熱体9を、上記サーマルヘッド2と上記プラテンローラ4との押圧位置よりも上記プラテンローラ4の回転方向に対して上流側に配置するように、上記プラテンローラ受け部5の位置を定める。(従ってプラテンローラ4が図5の実線位置に配置される)これによっても、押圧された後に、用紙18が発色されるので、押圧時の用紙18のスティッキングを防止することができる。
【0036】
図6は、本発明の第五の実施形態のプリンタ501の図1のA-A断面による断面図である。放熱板3の支点位置10が異なる以外は、第一の実施形態によるプリンタ101と実質的に同一の構成を有する。従って、対応する構成要素には、共通の参照符号を付してその説明を省略する。プリンタ501は、上記放熱板3の支点位置10をプラテンローラ4側に近づけることにより上記サーマルヘッド2の上記プラテンローラ4の中心線を通る水平線に対する角度を大きくする調整装置11を有する。調装置11は、例えば第一の調装置12と第二の調装置13からなり、例えばネジ(図示せず)を回転することにより、第二の調装置13をプラテンローラ4側に移動して(破線位置)、第一の調装置12をプラテンローラ4側に移動する(破線位置)ことにより、放熱板3の支点位置10をプラテンローラ4側にずらす(破線位置)ことができる。これによれば、用紙18の排出方向をプラテンローラ4から離れる方向に調整でき、スティッキングを低減することができる。
【0037】
図7は、本発明の第六の実施形態のプリンタ601の図1のA-A断面による断面図である。放熱板3の形状が異なる以外は、第一の実施形態によるプリンタ101と実質的に同一の構成を有する。従って、対応する構成要素には、共通の参照符号を付してその説明を省略する。プリンタ601の上記放熱板3は、上記支点位置10から上記プラテンローラ4の方向に延び、延びる途中でプラテンローラ4側にオフセットしてから、再度、上記プラテンローラ4の方向に延びることにより、上記サーマルヘッド2の上記プラテンローラ4の中心を通る水平線に対する角度を大きくしたので、これによっても、用紙18の排出方向をプラテンローラ4から離れる方向に調整でき、スティッキングを低減することができる。
【0038】
図8は、本発明の第七の実施形態のプリンタ701の図1のA-A断面による断面図である。プラテンローラ4が熱伝導率の高い材料で作られ、電熱線13を有する点以外は、第一の実施形態によるプリンタ101と実質的に同一の構成を有する。従って、対応する構成要素には、共通の参照符号を付してその説明を省略する。プリンタ701は、サーマルヘッド2と、上記サーマルヘッド2が固定された放熱板3と、プラテンローラ4と、上記プラテンローラ4を受けるプラテンローラ受け部5と、用紙18を上記サーマルヘッド2に搬送する際に使用する用紙ガイド6と、放熱板3を付勢するヘッドバネ7とを有する。そして、上記プラテンローラ4は電熱線13を有すると共に、上記プラテンローラ4が熱伝導率の高い材料で作られている。これによれば、電熱線13を発熱すると、プラテンローラ4が即座に熱くなるため、サーマルヘッド2が発熱時から非発熱時に切り替っても、プラテンローラ4は低温にならず、スティッキングを低減することができる。
【0039】
図9(a)は、サーマルヘッド発熱時の本発明の第八の実施形態のプリンタ801の図1のA-A断面による断面図の一部分であり、図9(b)は、サーマルヘッド非発熱時の本発明の第八の実施形態801の図1のA-A断面による断面図の一部分である。放熱板3のヘッドバネ7が付勢される部分に、熱拡張率の高い部材14を貼り合わせたことを除き、第一の実施形態によるプリンタ101と実質的に同一の構成を有する。従って、対応する構成要素には、共通の参照符号を付してその説明を省略する。プリンタ801は、サーマルヘッド2と、上記サーマルヘッド2が固定された放熱板3と、プラテンローラ4と、上記プラテンローラ4を受けるプラテンローラ受け部5と、用紙18を上記サーマルヘッド2に搬送する際に使用する用紙ガイド6と、放熱板3を付勢するヘッドバネ7とを有する。そして、上記放熱板3の上記ヘッドバネ7に付勢される部分に、熱拡張率の高い部材14を貼り合わせている。これにより、高温時には、その部材14が拡張するため、ヘッドバネ7と放熱板3との間隔が広がり、放熱板3に貼り付けられたサーマルヘッド2がプラテンローラ4を押圧する圧力が高くなるが、低温時には、その部材14が収縮するため、ヘッドバネ7と放熱板3との間隔が狭くなり、放熱板3に貼り付けられたサーマルヘッド2がプラテンローラ4を押圧する圧力が低くなり、スティッキングを低減することができる。
【0040】
図10は、本発明の第九の実施形態のプリンタ901の図1のA-A断面による断面図である。サーマルヘッド2は、電熱線15を有する点以外は、第一の実施形態によるプリンタ101と実質的に同一の構成を有する。従って、対応する構成要素には、共通の参照符号を付してその説明を省略する。プリンタ901は、サーマルヘッド2と、上記サーマルヘッド2が固定された放熱板3と、プラテンローラ4と、上記プラテンローラ4を受けるプラテンローラ受け部5と、用紙18を上記サーマルヘッド2に搬送する際に使用する用紙ガイド6と、放熱板3を付勢するヘッドバネ7とを有する。上記サーマルヘッド2は、上記サーマルヘッド2をプリヒートするための電熱線15を更に有する。印字開始前からこの電熱線15を加熱することにより、最初の印字が終わって、サーマルヘッド2の発熱体の加熱が終了した後であってもサーマルヘッド2は、用紙18をサーマルヘッド2に貼り付かせない温度を維持することができ、スティッキングを低減することができる。
【0041】
図11は、本発明の第十の実施形態の携帯型端末装置201の斜視図を示し、図12は、図11のA-A断面図である。携帯型端末装置201は、サーマルヘッド2と、上記サーマルヘッド2が固定された放熱板3と、プラテンローラ4と、上記プラテンローラ4を受けるプラテンローラ受け部5と、用紙18を上記サーマルヘッド2に搬送する際に使用する用紙ガイド6と、放熱板3を付勢するヘッドバネ7とを有するプリンタ1001を組み込んでいる。そして、携帯型端末装置201の筐体16の上部に、プラテンローラ4に近接する突出部17を有する。これによっても排出された用紙18が、筐体16の突出部17に当たり、用紙18の排出方向が用紙18をプラテンローラ4から離すように作用する方向に変えられるため、スティッキングを防止することができる。また、携帯型端末装置201の筐体に、本発明の実施形態三〜九のいずれ一項のプリンタを組み込むことができる。更に、携帯型端末装置201が突出部17を有さない場合には、本発明の実施形態一〜九のいずれ一項のプリンタを組み込むことができる。また、プリンタの更なるスティッキングの低減を図るために、上述した実施形態一〜九を任意に組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0042】
2 サーマルヘッド
3 放熱板
4 プラテンローラ
5 プラテンローラ受け部
6 用紙ガイド
7 ヘッドバネ
8 屈曲部
18 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルヘッドと、該サーマルヘッドが固定された放熱板と、プラテンローラと、放熱板を付勢するヘッドバネとを有するプリンタであって、
前記放熱板がプラテンローラ側の先端部分に、前記プラテンローラに近接する屈曲部を有することを特徴とする、プリンタ。
【請求項2】
サーマルヘッドと、該サーマルヘッドが固定された放熱板と、プラテンローラと、放熱板を付勢するヘッドバネとを有するプリンタであって、
前記ヘッドバネがプラテンローラ側の先端部分に、前記プラテンローラに近接する屈曲部を有すること特徴とする、プリンタ。
【請求項3】
前記サーマルヘッドの発熱体を、該サーマルヘッドと前記プラテンローラとの押圧位置よりも前記プラテンローラの回転方向に対して上流側に配置するように、前記発熱体を前記放熱板に貼り付けることを特徴とする、請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記サーマルヘッドの発熱体を、該サーマルヘッドと前記プラテンローラとの押圧位置よりも前記プラテンローラの回転方向に対して上流側に配置するように、プラテンローラ受け部の位置を定めることを特徴とする、請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記放熱板の支点位置をプラテンローラ側に近づけることにより前記ヘッドの前記プラテンローラの中心線を通る水平線に対する角度を大きくする調整装置を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記放熱板は、前記支点位置から前記プラテンローラの方向に延び、延びる途中でプラテンローラ側にオフセットしてから、再度、前記プラテンローラの方向に延びることにより、前記サーマルヘッドの前記プラテンローラの中心を通る水平線に対する角度を大きくすることを特徴とする、請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項7】
サーマルヘッドと、該サーマルヘッドが固定された放熱板と、プラテンローラと、放熱板を付勢するヘッドバネとを有するプリンタであって、
前記プラテンローラは電熱線を有すると共に、前記プラテンローラが熱伝導率の高い材料で作られたことを特徴とするプリンタ。
【請求項8】
サーマルヘッドと、該サーマルヘッドが固定された放熱板と、プラテンローラと、放熱板を付勢するヘッドバネとを有するプリンタであって、
前記放熱板の前記ヘッドバネに付勢される部分に、熱拡張率の高い部材を貼り合わせたことを特徴とするプリンタ。
【請求項9】
サーマルヘッドと、該サーマルヘッドが固定された放熱板と、プラテンローラと、放熱板を付勢するヘッドバネとを有するプリンタであって、
前記サーマルヘッドは、該サーマルヘッドをプリヒートするための電熱線を更に有することを特徴とするプリンタ。
【請求項10】
サーマルヘッドと、該サーマルヘッドが固定された放熱板と、プラテンローラと、放熱板を付勢するヘッドバネとを有するプリンタを組み込む携帯型端末装置であって、
前記プリンタ装置の筐体の上部に、プラテンローラに近接する突出部を有することを特徴とする携帯型端末装置。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のプリンタが組み込まれた、携帯型端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−121332(P2012−121332A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−34177(P2012−34177)
【出願日】平成24年2月20日(2012.2.20)
【分割の表示】特願2007−79730(P2007−79730)の分割
【原出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】