説明

プリンタ及びプリンタの制御方法

【課題】切取用ミシン目線の付いた連続紙に印字する場合に、ティアオフ動作によって先の印字との間に余計な空行ができてしまう事を防止する。
【解決手段】連続紙を搬送する用紙搬送モータと、前記連続紙に印字する記録ヘッドとを有するプリンタにおいて、連続紙への印字後に前記連続紙を切断用の切断位置まで前進させた後、次の印字開始位置まで後退させる手段であって、次の印字開始位置を次ページの先頭とする第1動作モードと、次の印字開始位置を次行とする第2動作モードとを有するティアオフ制御部114と、前記第1動作モードと前記第2動作モードのいずれかの動作モードを指定するティアオフ動作決定部104とを具備する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続紙への印字後に当該連続紙を切断する切断位置まで前進させるティアオフ動作の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連続紙に印字するプリンタでは、連続紙への印字終了後、当該連続紙を切断する切断位置まで自動的に前進させるティアオフ動作を実行して当該切断位置で連続紙を切断可能にし(例えば、特許文献1参照)、その後、次の印字のために連続紙を印字位置まで後退させるといった一連の用紙搬送制御を行っている。
ところで、プリンタに使用される連続紙は、ロール紙と折り畳み紙(ファンホールド紙)に大別される。ロール紙は所定幅で長尺な長さを有する帯状の紙をロール状に巻回したものであり、折り畳み紙は所定幅で長尺な長さを有する帯状の紙に1ページの長さ毎に切取用ミシン目線を入れ折り畳めるようにしたものである。連続紙に折り畳み紙を使用する場合、通常、印刷物単位で切取られる。
したがって、折り畳み紙に印字するプリンタでは、複数ページにわたって印字した場合、印字終了後に改ページ送りを行い、ティアオフ動作時に、印字ページと次のページとを切り離すための切取用ミシン目線が切断位置まで位置するように折り畳み紙を前進させて印刷物単位で切断可能にし、ティアオフ動作後には、次ページの先頭位置に印字位置がくるように折り畳み紙を後退させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−117689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ティアオフ動作後に印字位置を必ず次ページにすると、一連の印字を行う場合において、折り畳み紙に一旦印字した後、処理等のため中断時間をおいてから、先の印字の続きを印字する場合には、先の印字後にティアオフ動作と印字位置までの後退動作が入るため、続きの印字が次ページの先頭から印字されてしまう。このため、一連の印字をするのに、中断時間を介して先の印字と続きの印字の間に余分な空行ができてしまう、という問題がある。その結果、目的の印字ができないことになる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、切取用ミシン目線の付いた連続紙に印字する場合に、ティアオフ動作によって先の印字との間に余計な空行ができてしまう事を防止できるプリンタ及びプリンタの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、連続紙を搬送する搬送手段と、前記連続紙に印字する印字手段とを有するプリンタにおいて、連続紙への印字後に前記連続紙を切断用の切断位置まで前進させた後、次の印字開始位置まで後退させる手段であって、次の印字開始位置を次ページの先頭とする第1動作モードと、次の印字開始位置を次行とする第2動作モードとを有するティアオフ制御手段と、前記第1動作モードと前記第2動作モードのいずれかの動作モードを指定する指定手段とを具備することを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、切取用ミシン目線の付いた連続紙に印字する場合であっても、ユーザが第2動作モードを選択することで、先の印字との間に余計な空行を生じさせずに、次行から印字を開始させることができる。また、第1動作モードを選択することで、ページ単位に切取ることが可能となる。なお、本発明においては、切取用ミシン目線の付いていないロール紙を連続紙と用いても良いことは勿論である。
【0007】
ここで、上記発明において、前記第1動作モードでは、前記連続紙への印字を終了したとき、改ページ送りを行った後、前記連続紙を切断用の切断位置まで前進させる構成としても良い。
この構成によれば、連続紙として切取用ミシン目線が付いた連続紙を用いた場合には、印字後に切取用ミシン目線の付いた位置まで連続紙が改ページ送りされた後に、切断用の切断位置まで連続紙が送り出されるため、この切取用ミシン目線が切断位置に位置することとなり、連続紙の切断が容易となる。
【0008】
また、上記発明において、印刷ジョブコマンドを受信する受信手段と、他のプリンタ用の印刷ジョブコマンドを受信した場合に、当該印刷ジョブコマンドをエミュレートするエミュレート手段とを備え、前記ティアオフ制御手段は、前記エミュレート手段のエミュレートに基づく印字が完了した後に、前記指定手段により指定された動作モードにしたがって動作する構成としても良い。
この構成によれば、1つのプリンタが他のプリンタの動作をエミュレートする場合であっても、そのエミュレートするプリンタの仕様にかかわらず、上記動作モードを確実に制御することが可能となる。
【0009】
また、上記発明において、前記指定手段は操作手段を備え、前記操作手段により前記動作モードを指定可能にした構成としてもよい。
この構成によれば、動作モードの選択設定を手動で簡単に行うことができる。
また、上記発明において、前記指定手段は、前記印刷ジョブコマンドに基づいて動作モードを指定する構成としても良い。
この構成によれば、例えばコンピュータ端末からプリンタに対して印刷ジョブコマンドを送信する際に、上記動作モードを指定するコマンドを印刷ジョブコマンドに含めておくことで、印刷に合わせて簡単に動作モードを指定することができる。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明は、連続紙を搬送する搬送手段と、前記連続紙に印字する印字手段とを有するプリンタの制御方法において、連続紙への印字後に前記連続紙を切断用の切断位置まで前進させた後、次の印字開始位置を次ページの先頭として連続紙を後退させる第1動作モードと、連続紙への印字後に前記連続紙を切断用の切断位置まで前進させた後、次の印字開始位置を次ページの先頭として連続紙を後退させる第2動作モードとを選択的に実行するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、切取用ミシン目線の付いた連続紙に印字する場合であっても、ユーザが第2動作モードを選択することで、先の印字との間に余計な空行を生じさせずに、次行から印字を開始させることができる。また、第1動作モードを選択することで、ページ単位に切取ることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、連続紙への印字後に前記連続紙を切断用の切断位置まで前進させた後、次の印字開始位置まで後退させる手段であって、次の印字開始位置を次ページの先頭とする第1動作モードと、次の印字開始位置を次行とする第2動作モードとを有するティアオフ制御手段と、前記第1動作モードと前記第2動作モードのいずれかの動作モードを指定手段とを具備する構成としたため、切取用ミシン目線の付いた連続紙に印字する場合であっても、ユーザが第2動作モードを選択することで、先の印字との間に余計な空行を生じさせずに、先の印字の続きである次行から続きの印字を開始させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタの構成を示すブロック図。
【図2】上記プリンタの機能的構成を示すブロック図。
【図3】印刷処理のフローチャート。
【図4】ティアオフ制御処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係るプリンタ1の電気的構成を概略的に示す図である。この図において、制御部2はプリンタ1の各部を制御するものであり、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されている。詳細には、制御部2は、演算処理ユニットとしてのCPU3と、このCPU3のワークエリアとして機能して演算結果や各種データを一時記憶するRAM4と、CPU3が実行するファームウェア等のプログラム100を記憶する書換え可能なフラッシュROM5とを備え、それぞれがバスライン6に接続されている。また、CPU3はタイマ3Aを内蔵し当該タイマ3Aに基づいて各種計時処理を実行する。なお、フラッシュROM5に代えてEEPROMを用いるようにしても良い。
【0014】
通信I/F(インタフェース)7は、USBケーブルやパラレルケーブル、シリアルケーブル、LANケーブル等の有線、又は、Bluetooth(登録商標)や無線LAN等の無線によりコンピュータ端末30とデータ通信可能に接続されるインタフェースである。コンピュータ端末30には、印字設定や印字データを含む印刷ジョブコマンドPcmを生成するためのプリンタドライバ31がインストールされており、通信I/F7はコンピュータ端末30からの印刷ジョブコマンドPcmを受信し制御部2に出力する。
【0015】
操作部8は、ユーザの指示操作を制御部2に出力するものであり、操作ボタン等の複数の操作子を備えている。表示部9は、制御部2の制御の下、各種情報を表示するものであり、例えば印刷状態やエラーメッセージ等を表示する。これら操作部8及び表示部9は、ユーザが操作し易く、また、表示を確認し易いようにプリンタ1のフロント部分に配設されている。
【0016】
印字機構12は、制御部2の制御の下、コンピュータ端末30から受信した印刷ジョブコマンドPcmに基づいて記録用紙に印字(画像形成)するものである。この印字機構12は、記録用紙に印字する記録ヘッド13と、記録ヘッド13に駆動電流を出力して駆動する記録ヘッドドライブ素子15Aと、記録ヘッド13を搭載したキャリッジの駆動機構を駆動するキャリッジ駆動モータ14Aと、記録用紙の搬送機構を駆動して記録用紙を搬送(前進及び後退)する用紙搬送モータ14Bと、これらキャリッジ駆動モータ14A及び用紙搬送モータ14Bにモータ駆動電流を出力して駆動するモータドライブ素子15Bとを有している。
【0017】
上記記録ヘッド13は、シリアル・インパクト・ドット・マトリクス(SIDM)プリンタヘッドとして構成され、電磁石コイルが巻き回されたコアと、この電磁石コイルへの所定通電幅(通電時間)の通電によってコアに吸着される複数のワイヤレバーと、各ワイヤレバーの先端に連結され、ワイヤレバーがコアに吸着されたときに突出動作する複数の記録ワイヤとを備えて構成されており、これらの記録ワイヤを突出動作させてインクリボンに打ち当て、インクリボンのインクを記録用紙に付着させて、この記録用紙に文字を含む画像を記録する。
【0018】
ゲートアレイ17は、上記制御部2(マイクロコンピュータ)と別体に構成されたハードウェア回路である。このゲートアレイ17は、制御部2とデータ通信可能にバスライン6に接続され、制御部2の制御の下、上記印字機構12を駆動するための駆動信号を生成する。より具体的には、ゲートアレイ17は、記録ヘッドドライブ素子15Aに対し記録ヘッド13を駆動する記録ヘッド制御信号を生成し出力する記録ヘッド制御回路18と、モータドライブ素子15Bに対して制御信号を出力しモータ駆動電流を生成させるモータ制御回路19とを有し、これら記録ヘッド制御回路18及びモータ制御回路19が制御部2からの制御データに基づいて動作する。
【0019】
本実施形態のプリンタ1は、記録用紙として連続紙を使用しており、印字後に連続紙をカットするための連続紙切断部20を備えている。この連続紙切断部20は、プリンタ1の用紙排出口(図示せず)に配設され、連続紙の横幅にわたって延在するカット用の板材である。なお、このカット用の板材に代えて、モータ駆動のカッターから構成されるカッター装置を配設して自動で連続紙をカットする構成としても良い。
【0020】
また、本実施形態のプリンタ1は、コンピュータ端末30に搭載された、当該プリンタ1用のプリンタドライバ31が生成した印刷ジョブコマンドPcmに限らず、他メーカのプリンタ用、或いは、型番が異なる他のプリンタ用のプリンタドライバが生成した印刷ジョブコマンドも問題無く処理すべく、他メーカのプリンタや型番が異なる他のプリンタをエミュレートするように構成されており、この構成について図2を参照して説明する。
【0021】
図2は、プリンタ1の制御部2の機能的構成を示すブロック図である。なお、この図に示す各機能は、フラッシュROM5に格納されたプログラム100により実現されている。この図に示すように、制御部2は、エミュレート判定部101と、コマンドエミュレート部102と、印字エンジン103と、ティアオフ動作決定部104とを備えている。
エミュレート判定部101は、コンピュータ端末30から受信した印刷ジョブコマンドPcmがプリンタ1用のコマンドと一致しているか否かに基づいて、当該印刷ジョブコマンドPcmが他メーカ或いは型番の異なるプリンタ用か否かを判定するものであり、印刷ジョブコマンドPcmがプリンタ1用である場合には、当該印刷ジョブコマンドPcmを印字エンジン103に出力し、プリンタ1用でない場合には、印刷ジョブコマンドPcmをコマンドエミュレート部102に出力する。
【0022】
コマンドエミュレート部102は、印刷ジョブコマンドPcmをプリンタ1用のコマンドに変換して印字エンジン103に出力するものである。詳細には、コマンドエミュレート部102は、他メーカ或いは型番が異なる他のプリンタ用のプリンタドライバが印刷ジョブコマンドに使用する各コマンドを、プリンタ1用のコマンドと相互参照するための変換データ110と、この変換データ110に基づいて印刷ジョブコマンドPcmを変換するコード変換部111とを備えている。
【0023】
印字エンジン103は、印刷ジョブコマンドPcmに基づいて、記録用紙たる連続紙への印字及び印字時の連続紙の搬送を実行するものであり、印字制御部112と、用紙搬送制御部113とを備えている。
印字制御部112は、記録ヘッド制御回路18に制御信号を出力して記録ヘッド13による印字を制御すると共に、記録ヘッド13を連続紙の幅方向に移動させるためにモータ制御回路19に制御信号を出力してキャリッジ駆動モータ14Aを制御する。
用紙搬送制御部113は、モータ制御回路19に制御信号を出力して用紙搬送モータ14Bを制御することで、印字開始時や印字中、印字終了後の連続紙の搬送を制御するものであり、印字終了後のティアオフ動作を制御するためのティアオフ制御部114を備えている。
【0024】
ティアオフ動作決定部104は、ティアオフ制御部114の動作モードを指定するものである。詳述すると、本実施形態のプリンタ1は、印字終了後のティアオフ動作の動作モードとして、印字終了後に改ページ送りを実行した後、連続紙を連続紙切断部20の切断位置まで前進させた後、次ページの先頭位置に印字開始位置を合わせるように連続紙を後退させる第1動作モードと、印字終了後に改行を実行した後、連続紙を連続紙切断部20の切断位置まで前進させた後、改行の先頭位置に印字開始位置を合わせるように連続紙を後退させる第2動作モードとの2つの動作モードを有しており、2つの動作モードのいずれかがティアオフ制御部114が実行すべき動作モードとしてティアオフ動作決定部104により決定される。
【0025】
具体的には、ティアオフ動作決定部104は、動作モードを設定するためのディップスイッチ115を有し、このディップスイッチ115の設定状態に基づいて、ティアオフ制御部114の動作モードが決定される。なお、ティアオフ制御部114の動作モードの設定にディップスイッチ115を用いる構成に限らず、例えば、操作部8に配設した操作子を用いる構成としても良い。また、動作モードをフラッシュROM5に記憶させ、読み出すようにしても良い。
【0026】
次いで、本実施形態のプリンタ1の動作について説明する。
図3は、プリンタ1の印刷処理のフローチャートである。この図に示すように、制御部2は、印刷ジョブコマンドPcmを受信すると、カウンタNを「0」に、カウンタMを「3000」に初期化する(ステップSa1)。これらのカウンタN、Mについて説明すると、カウンタNは、タイムアウト印刷を実行するために、印刷ジョブコマンドPcmの受信が完了してから次の印刷ジョブコマンドPcmを受信するまでの経過時間をカウントするものであり、カウンタMはタイムアウト時間を判定するものである。すなわち、カウンタNは、カウント値の初期化後に「1」ずつカウント値をインクリメントし、当該カウンタ値がカウンタMの値である「3000」に達したとき、すなわち、タイムアウト時間である「3秒」が経過したときに「0」にリセットされる。
【0027】
次いで、制御部2は、RAM4のインプットバッファに印字処理すべき印刷ジョブコマンドPcmがあるか否かを判断する(ステップSa2)。そして、インプットバッファに印刷ジョブコマンドPcmがある場合には(ステップSa2:YES)、制御部2は、コマンドを解析し(ステップSa3)、コマンド解析結果に基づいて印字機構12を制御して印字(印刷)及び用紙搬送(紙送り)を実行した後(ステップSa4)、次の印刷ジョブコマンドPcmを待ち受けるべく、処理手順をステップSa1に戻す。
【0028】
一方、上記ステップSa2の判断の結果、インプットバッファに印刷ジョブコマンドPcmがない場合(ステップSa2:NO)、すなわち、印刷ジョブコマンドPcmに基づく印刷が完了し、次の印刷ジョブコマンドPcmの待ち受け状態である場合には、制御部2は、「1m秒」経過時にカウンタNを「1」だけインクリメントし(ステップSa5)、カウンタNのカウンタ値がカウンタMの値よりも大きくなったか否かを判断する(ステップSa6)。
【0029】
カウンタNのカウンタ値がカウンタMの値以下である場合(ステップSa6:NO)、タイムアウト時間が経過していない事を示すため、制御部2は、処理手順をステップSa1に戻して次の印刷ジョブコマンドPcmを待ち受ける。
一方、カウンタNのカウンタ値がカウンタMの値より大きい場合(ステップSa6:NO)、タイムアウト時間が経過した事を示すため、制御部2は、タイムアウト印刷すべく、次の処理を実行する。すなわち、制御部2は、印刷ジョブコマンドPcmに基づく印字(印刷)/用紙搬送(紙送り)の要求がプリンタ1の内部(例えばRAM4のバッファ)に残っているか否かを判断し(ステップSa7)、残っている場合には(ステップSa7:YES)、その要求に基づいて、印字(印刷)及び用紙搬送(紙送り)を実行した後(ステップSa8)、ティアオフ動作を実行し(ステップSa9)、その後、処理手順をステップSa1に戻して次の印刷ジョブコマンドPcmを待ち受ける。
【0030】
上記ステップSa9のティアオフ動作について図4を参照して説明する。
図4はティアオフ制御処理のフローチャートである。
この図に示すように、制御部2は、ティアオフ動作を行う場合、ティアオフ動作決定部104によって第1動作モード及び第2動作モードのいずれが指定されているかに基づいて、改ページ送り(FF)をしないでティアオフ(Tear Off)を実行するか否かを判断する(ステップSb1)。この判断の結果、改ページ送りを実行する場合(ステップSb1:NO)、すなわち、第1動作モードが指定されている場合、制御部2は、改ページ送りを実行するに先立って、TOF(頭出し位置)が「0」mmポジションか否か、すなわち、現在の印字位置が次ページの先頭に既に位置しているか否かを判断する(ステップSb2)。
【0031】
この判断の結果、TOF(頭出し位置)が「0」mmポジションの場合には(ステップSb2:YES)、制御部2は、改ページ送りをする必要がないため、そのままティアオフを実行する(ステップSb3)。また、TOF(頭出し位置)が「0」mmポジションでない場合(ステップSb2:NO)、すなわち、印字がページの途中で終了している場合には、制御部2は、改ページ送りのための紙送り量を算出する(ステップSb4)。この紙送り量Oは、ページの先頭(「0」mmポジション)から現在の印字位置までの距離Eをページ長Lから減算することで算出される。
次いで制御部2は、紙送り量Oだけ連続紙を搬送して改ページ送りを実行し(ステップSb5)、処理手順をステップSb3に進めてティアオフ(Tear Off)を実行し処理を終了する。これにより、印字ページと次ページの境界付近が連続紙切断部20の切断位置に位置するように連続紙が搬送され、その境界にて連続紙をカットできる。
【0032】
一方、上記ステップSb1の判断の結果、改ページ送りをしない場合(ステップSb1:YES)、すなわち、第2動作モードが指定されている場合、制御部2は、印字位置を改行した後(ステップSb6)、処理手順をステップSb3に進めてティアオフ(Tear Off)を実行し処理を終了する。これにより、印字の最終行と次行との境界付近が連続紙切断部20の切断位置に位置するように連続紙が搬送され、その境界にて連続紙をカットできる。
【0033】
以上の処理により、指定された動作モードにてティアオフが実行されることとなる。したがって、例えば、切取用ミシン目線の付いた連続紙に印字する場合であっても、ティアオフ後に次行から印字が開始される第2動作モードを選択しておくことで、先の印字との間に余計な空行を生じさせずに、次行から印字を開始させることができ、また、ティアオフ後に次ページから印字が開始される第1動作モードを選択しておくことで、ページ単位での印字(印刷)が可能となる。なお、切取用ミシン目線の付いていないロール紙を連続紙と用いても良いことは勿論である。
【0034】
また、ティアオフ動作の実行後は、連続紙が紙送りされた状態のままとなり、次に印字を開始するとき、すなわち、次の印刷ジョブコマンドPcmを受信したときに、印字位置まで連続紙がバックフィードされることになる。このとき、第1動作モードにおいては、ページの先頭位置(「0」mmポジション)まで連続紙がバックフィードされて次の印字が開始され、また、第2動作モードにおいては、改行位置まで連続紙が後退(バックフィード)されて次の印字が開始される。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によれば、次のような作用及び効果を奏する。
すなわち、本実施形態では、ティアオフ後の印字開始位置を次ページの先頭とすべく、改ページ送りを行った後にティアオフ動作する第1動作モードと、ティアオフ後の印字開始位置を次行とすべく改行した後にティアオフ動作する第2動作モードとのいずれかがティアオフ動作決定部104により指定される。これにより、ユーザは、第2動作モードを選択することで、切取用ミシン目線の付いた連続紙に印字する場合であっても、先の印字との間に余計な空行を生じさせずに、次行から印字を開始させることができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、第1動作モードでは、連続紙への印字を終了したときに改ページ送りを行った後、ティアオフ動作により連続紙を切断用の切断位置まで紙送りする構成としたため、連続紙として切取用ミシン目線が付いた連続紙を用いた場合には、印字後に切取用ミシン目線の付いた位置まで連続紙が改ページ送りされた後に、連続紙切断部20の切断位置に位置するように連続紙が搬送されるため、連続紙の切断が容易となる。
【0037】
また、本実施形態によれば、印刷ジョブコマンドPcmをエミュレートする場合に、当該エミュレートに基づく印字が完了した後に、上記第1又は第2動作モードにしたがってティアオフ動作を実行する構成としたため、そのエミュレートするプリンタの仕様にかかわらず、動作モードを確実に制御することが可能となる。
また、本実施形態によれば、ディップスイッチ115といった操作子により動作モードを選択設定可能にしたため、動作モードの選択設定を手動で簡単に行うことができる。
【0038】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、ディップスイッチ115といった操作子により動作モードを選択設定可能にしたが、これに限らず、コンピュータ端末30のプリンタドライバ31が動作モードを指定するコマンドを印刷ジョブコマンドPcmに含めてプリンタ1に送信し、そのコマンドに基づいてプリンタ1の制御部2が動作モードを決定する構成としても良い。この構成によれば、コンピュータ端末30からプリンタ1に対して印刷ジョブコマンドPcmを送信する際に、印刷に合わせて簡単に動作モードを指定することができる。
なお、動作モードを指定するコマンドに従い、この指定された動作モードをフラッシュROM5に記憶させ、読み出すようにしても良い。
【0039】
また例えば、上述した実施形態では、プリンタ1がコマンドエミュレート部102を備え、他メーカ或いは型番の異なるプリンタ用の印刷ジョブコマンドPcmを処理可能にしたが、これに限らず、他メーカ或いは型番の異なるプリンタ用の印刷ジョブコマンドPcmを受信する事がない場合には、コマンドエミュレート部102を備える必要はない。
【0040】
また例えば、上述し実施形態では、連続紙に印字するプリンタ1について例示したが、連続紙と単票紙との両方に印刷可能な構成としても良い。この構成においては、連続紙に印刷を行う場合に、上記動作モードの指定に応じたティアオフ動作が実行されることとなる。
また例えば、上述した実施形態では、タイムアウト印刷後にティアオフ動作を実行する構成としたが、これに限らず、ティアオフ動作決定部104でティアオフ動作の有無を指定可能に構成し、設定によりタイムアウト印刷後にティアオフ動作を実行しないようにしても良い。
また、タイムアウト印刷を開始するまでのタイムアウト時間、すなわち、カウンタMの値をユーザが操作部8の操作、或いは、印刷ジョブコマンドPcmにより適宜設定可能に構成しても良い。
また、記録ヘッド13は、シリアル・インパクト・ドット・マトリクス(SIDM)プリンタヘッドに限らず、インクジェットヘッド、レーザーヘッド、サーマルヘッド等でもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…プリンタ、2…制御部、8…操作部、12…印字機構、13…記録ヘッド、20…連続紙切断部、30…コンピュータ端末、102…コマンドエミュレート部、104…ティアオフ動作決定部(指定手段)、114…ティアオフ制御部、115…ディップスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続紙を搬送する搬送手段と、前記連続紙に印字する印字手段とを有するプリンタにおいて、
連続紙への印字後に前記連続紙を切断用の切断位置まで前進させた後、次の印字開始位置まで後退させる手段であって、次の印字開始位置を次ページの先頭とする第1動作モードと、次の印字開始位置を次行とする第2動作モードとを有するティアオフ制御手段と、
前記第1動作モードと前記第2動作モードのいずれかの動作モードを指定する指定手段と
を具備することを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記第1動作モードでは、前記連続紙への印字を終了したとき、改ページ送りを行った後、前記連続紙を切断用の切断位置まで前進させる
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリンタにおいて、
印刷ジョブコマンドを受信する受信手段と、
他のプリンタ用の印刷ジョブコマンドを受信した場合に、当該印刷ジョブコマンドをエミュレートするエミュレート手段とを備え、
前記ティアオフ制御手段は、前記エミュレート手段のエミュレートに基づく印字が完了した後に、前記指定手段により指定された動作モードにしたがって動作する
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のプリンタにおいて、
前記指定手段は操作手段を備え、
前記操作手段により前記動作モードを指定可能にした
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項3に記載のプリンタにおいて、
前記指定手段は、前記印刷ジョブコマンドに基づいて動作モードを指定する
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項6】
連続紙を搬送する搬送手段と、前記連続紙に印字する印字手段とを有するプリンタの制御方法において、
連続紙への印字後に前記連続紙を切断用の切断位置まで前進させた後、次の印字開始位置を次ページの先頭として連続紙を後退させる第1動作モードと、
連続紙への印字後に前記連続紙を切断用の切断位置まで前進させた後、次の印字開始位置を次ページの先頭として連続紙を後退させる第2動作モードとを選択的に実行するようにしたことを特徴とするプリンタの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−247541(P2010−247541A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136858(P2010−136858)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【分割の表示】特願2006−151979(P2006−151979)の分割
【原出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】