説明

プリンタ及び印刷処理プログラム並びに印刷処理方法

【課題】USBポートに接続されたホストでの操作に基づき印刷を行う場合に、迅速な印刷処理を実現する。
【解決手段】リムーバブルドライブとして認識可能な通常記憶領域40を構成するFLASH・ROM36を有するプリンタ1であって、通常記憶領域40は、アプリケーションプログラム記憶領域41と、複数の命令ファイルを書き込み可能な複数の命令ファイル配置領域42A,42Bとを含み、CPU32は、1つの命令ファイルを命令ファイル配置領域42Aに書き込むことで元の1つの命令ファイルの内容を更新するファイル書き込み処理;記憶保持された命令ファイルの内容を後に更新可能とするための更新準備処理;命令ファイルに対応した印刷データの印刷を実行させる印刷処理;を含む複数の処理を、複数の命令ファイルについて、少なくとも1つの処理を同時並行させつつ実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBポートに接続されたホストでの操作に基づき印刷を行うプリンタ、及び、そのプリンタにおいて実行される印刷処理プログラム並びに印刷処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
USBポートに接続されたホストでの操作に基づき印刷を行うプリンタとして、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。この従来技術のプリンタでは、USBポートに接続されたホストに対し、メモリの通常記憶領域を、USBマス・ストレージ・クラスのデバイスであるリムーバブルドライブとして認識させる。この結果、通常記憶領域の第1メモリ領域に記憶されたアプリケーションプログラムの実行ファイルが、ホストからの通常のアクセス操作でホストによって読み出し可能となる。そして、ホスト上のアプリケーションプログラムで作成された印刷データを含む命令ファイルが、ホストからの通常のアクセスで、通常記憶領域の第2メモリ領域に書き込まれる。
【0003】
一方、プリンタに備えられたプロセッサが、上記第2メモリ領域に対してホストから受信した上記命令ファイルを、書き込んで上書き更新する(ファイル書き込み処理)。プロセッサは、上記ファイル書き込み処理を行った後、書き込まれた命令ファイルを解析して印刷データを取り出すとともにその印刷データを印刷バッファ領域へ展開する(データ展開処理)。そして、プリンタに備えられた印刷手段が、上記印刷バッファ領域に展開された印刷データに基づき、印刷を実行する。これにより、アプリケーションプログラム及びデバイスドライバがホストにインストールされなくても、ホストからそのアプリケーションプログラムを使用した印刷を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−223874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術には、以下のような点で改善の余地があった。
すなわち、メモリ内には上記第2メモリ領域が1つだけ設けられ、プロセッサは、上記ファイル書き込み処理において上記1つの第2メモリ領域に対し1つの命令ファイルを書き込み、上記データ展開処理において上記書き込まれた命令ファイルを解析し印刷データを取り出して印刷バッファ領域に展開し、印刷手段がその印刷データを用いて印刷を実行する。したがって、例えば命令ファイルに含まれる印刷データのデータ量が比較的多い場合等においては、命令ファイルについてのファイル書き込み処理に時間がかかり、印刷手段による印刷開始までの時間が比較的長くなる。この結果、当該印刷データの印刷完了までの時間も長くなっていた。
【0006】
また、複数の命令ファイルを用いた印刷処理を行う場合には、1つの命令ファイルに対応した印刷が実行されて完了するまで、第2メモリ領域に次の命令ファイルを書き込むことができない。すなわち、1つの命令ファイルが第2メモリ領域に書き込まれた後は、当該命令ファイルに対応した印刷が完了するまでは新たな命令ファイルを受信することができない。この結果、1つの命令ファイルに対応した印刷と次の命令ファイルに対応した印刷との間の間隔が長くなり、印刷処理全体の時間が長くなっていた。
【0007】
本発明の目的は、USBポートに接続されたホストでの操作に基づき印刷を行う場合に、迅速な印刷処理を実現できるプリンタ、印刷処理プログラム、及び印刷処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明は、USBポートと、前記USBポートに接続されたホストがリムーバブルドライブとして認識可能な通常記憶領域を有するメモリと、アプリケーションプログラムで作成された印刷データに基づいて印刷を行う印刷手段と、前記印刷手段及び前記メモリを制御するプロセッサと
を有するプリンタであって、前記通常記憶領域は、前記アプリケーションプログラムの実行ファイルが記憶された第1メモリ領域と、前記印刷データを含む複数の命令ファイルを個別にそれぞれ書き込み可能な複数の第2メモリ領域と、を含み、前記プロセッサは、前記アプリケーションプログラムの実行ファイルが前記ホストに読み出されて実行された場合に、前記ホストから受信した1つの前記命令ファイルを前記複数の第2メモリ領域内のうちいずれか1つに書き込むことで、当該1つの第2メモリ領域に記憶されていた元の1つの命令ファイルの内容を更新するファイル書き込み処理;前記ファイル書き込み処理が終了した後、前記1つの第2メモリ領域に記憶保持された前記1つの命令ファイルの内容を後に更新可能とするための、更新準備処理;前記ファイル書き込み処理により前記1つの第2メモリ領域に書き込まれた前記1つの命令ファイルに対応した印刷データの印刷を、前記印刷手段に実行させる印刷処理;を含む複数の処理を、前記複数の命令ファイルについて、少なくとも1つの処理を同時並行させつつ実行することを特徴する。
【0009】
本願発明のプリンタにおいては、USBポートに接続されたホストに対し、メモリの通常記憶領域をUSBマス・ストレージ・クラスのデバイスであるリムーバブルドライブとして認識させる。これにより、上記通常記憶領域の第1メモリ領域に記憶されたアプリケーションプログラムの実行ファイルは、ホストからの通常のアクセス操作でホストに読み出させることができる。この結果、ホストにアプリケーションプログラムがインストールされなくとも、そのホストで当該アプリケーションプログラムを実行することができる。ホスト上のアプリケーションプログラムで作成された印刷データを含む命令ファイルは、ホストからの通常のアクセスで、上記通常記憶領域の第2メモリ領域に書き込まれる。
【0010】
プロセッサは、第2メモリ領域に対しホストから受信した上記命令ファイルを書き込むことで第2メモリ領域の記憶内容を更新し(ファイル書き込み処理)、印刷手段に対し、上記命令ファイルに対応した印刷データに基づき、印刷を実行させる(印刷処理)。これにより、アプリケーションプログラム及びデバイスドライバがホストにインストールされなくても、ホストからそのアプリケーションプログラムを使用した印刷を行うことができる。
【0011】
そして、本願発明においては、プロセッサは、上記ファイル書き込み処理で第2メモリ領域に対し1つの命令ファイルを書き込んだ後、さらに、更新準備処理で当該1つの命令ファイルの内容を後に更新可能とする。その際、プロセッサは、それらファイル書き込み処理、印刷処理、更新準備処理を含む複数の処理を、少なくとも1つの処理を同時並行させるようにしつつ、複数の命令ファイルにまたがって実行する。
【0012】
これにより、例えば第2メモリ領域に書き込まれた1つの命令ファイルに基づいて印刷を実行している間に、上記更新準備処理によって内容更新可能とされた当該第2メモリ領域に次の命令ファイルのファイル書き込み処理を行い、以降同様に繰り返しつつ各命令ファイルに基づく印刷データの印刷を順次行い、最終的に複数の命令ファイルの印刷データの印刷を完了することができる。この結果、当該複数の命令ファイルに係わる印刷データの印刷完了までの時間を従来より短縮することが可能となる。
【0013】
特に、本願発明では、前述のファイル書き込み処理が終了した後(印刷手段が実際に印刷を完了するより前に)、例えば、当該命令ファイルの削除を通知する通知ファイルの作成や命令ファイルの属性変更等の更新準備処理を行う。これにより、印刷手段が印刷を完了するまでは次の命令ファイルを第2メモリ領域に書き込むことができなかった従来手法と異なり、上述の先行する命令ファイルに関する印刷処理と並行してのファイル書き込み処理を確実に円滑に行うことができる。また、従来手法で複数の命令ファイルにより印刷を行う場合においても、本願発明では印刷手段が実際に印刷を完了するより前に更新準備処理を行うことによって、当該従来手法より迅速に印刷処理を完了できる効果もある。
【0014】
また、本願発明においては、メモリにおいて上記第2メモリ領域が複数設けられている。これにより、プロセッサは、従来1つしか設けられていなかった第2メモリ領域を複数個に小さく分割し、当該小さな1つの第2メモリ領域を利用して上記のファイル書き込み処理、更新準備処理、印刷処理を各命令ファイルについて実行することができる。この場合、例えば、従来1つの印刷データとして1つの命令ファイルに含ませる形でホストから送信されていたものを、複数個の印刷データに小さく分割し複数の命令ファイルに含ませて送信することで、上述の従来より小さい第2メモリ領域に各命令ファイルを書き込み、各命令ファイルごとにファイル書き込み処理を行うことが可能となる。この場合、分割して生成された最初の命令ファイルについてのファイル書き込み処理は(命令ファイルの容量が小さいことから)従来よりも早く完了するので、印刷手段による印刷開始までの時間を従来より短縮することができる。したがって、これによっても印刷完了までの時間を従来より短縮できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンタがパソコンに接続された状態を示したシステム構成図である。
【図2】プリンタの電気的構成を表す機能ブロック図である。
【図3】プリンタ及びパソコンの動作制御の内容を表すシーケンス図である。
【図4】プリンタにおける命令ファイルの処理を説明するための説明図である。
【図5】プリンタにおける命令ファイルの処理の別の例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0017】
<プリンタの概略構成>
図1に示すように、本実施形態のプリンタ1は、USBケーブルLを介して、パソコン111に接続されることによって、印刷システム101を形成する。この例では、プリンタ1は、印字テープ2に印刷を行ういわゆるラベルプリンタである。また、パソコン111は、印刷システム101のホストとして機能し、本体112、ディスプレイ113、キーボード114、及びマウス115等を備えたデスクトップ・コンピュータである。
【0018】
<プリンタの内部構成>
次に、プリンタ1の電気的構成について、図2を参照しつつ説明する。図2に示すように、プリンタ1は、入出力インターフェース31と、CPU32と、ROM33と、RAM34と、FLASH・ROM36とを有している。
【0019】
入出力インターフェース31には、操作キー51と、ディスプレイコントローラ(以下、「LCDC」という)52と、2つの駆動回路54,56と、USBポートPと、上記CPU32と、上記ROM33と、上記RAM34と、上記FLASH・ROM36(各請求項記載のメモリに相当)とが接続されている。
【0020】
操作キー51は、ユーザの操作により、所望する様々な動作を起こさせるための制御信号をCPU32に入力する。LCDC52は、LCD53が接続され、またLCD52はLCD53に表示データを表示するための表示用RAM(図示せず)を備えている。駆動回路54は、サーマルヘッド55が接続されており、印字テープ2に印刷データを印刷する際には当該サーマルヘッド55を駆動する。駆動回路56は、テープ送りモータ57が接続されており、印字テープ2を外部に送り出す際に当該テープ送りモータ57を駆動する。
【0021】
USBポートPには、USBケーブルLのコネクタCが着脱される。従って、このUSBポートPにUSBケーブルLのコネクタCが差し込まれることによって、プリンタ1に対してパソコン111をUSB接続することができる。
【0022】
CPU32(プロセッサ、演算手段)は、後述する各プログラム等を実行する。なお、このCPU32は、印刷関係以外の制御プログラムが記憶されるキャッシュメモリ等を内蔵する。また、CPU32は、後述する制御プログラム37を実行することにより、上記駆動回路54,56等を作動させ、後述する通常記憶領域40に記憶されている印刷データを印字テープ2に印刷しながら、その印字テープ2を外部に排出する。従って、2つの駆動回路54,56、サーマルヘッド55、テープ送りモータ57等により、各請求項記載の印刷手段が構成される。
【0023】
ROM33には、印刷関係以外の制御プログラム等が記憶されている。RAM34は、種々の制御プログラムをCPU32で実行するときの作業領域、また、印刷データを一時的に記憶する印刷バッファ領域341が設けられている。
【0024】
FLASH・ROM36には、印刷関係の制御プログラム37、及び管理テーブル39等が記憶されており、さらに、通常記憶領域40が設けられている。通常記憶領域40には、アプリケーションプログラム記憶領域41(第1メモリ領域)、命令ファイル配置領域42、及び通知ファイル配置領域43が設けられている。
【0025】
管理テーブル39は、FLASH・ROM36内の通常記憶領域40への書き込みをUSB規格で管理する。すなわち、管理テーブル39は、USBポートPに接続されたパソコン111に対し、FLASH・ROM36内の通常記憶領域40をリムーバブルドライブとして認識させる。
【0026】
アプリケーションプログラム記憶領域41は、例えばFLASH・ROM36内の通常記憶領域40の一部が固定的に割り当てられたものである。このアプリケーションプログラム記憶領域41は、アプリケーションプログラムの実行ファイル200(後述の図3参照)が記憶されている。なお、アプリケーションプログラムとは、本実施の形態に係るプリンタ1の専用エディタ(印刷ラベル編集アプリケーション)として開発されたソフトウエアである。
【0027】
命令ファイル配置領域42は、FLASH・ROM36内の通常記憶領域40の一部が管理テーブル39によって割り当てられたものである。本実施形態の特徴として、複数の(この例では2つの)命令ファイル配置領域42A,42Bが設けられている。各命令ファイル配置領域42A,42B(第2メモリ領域)には、それぞれ1つの命令ファイル202(後述の図3参照)が格納される。なお、命令ファイル202は、上記アプリケーションプログラムによって生成されるファイルであって、印刷命令コマンドを含み、さらに、上記アプリケーションプログラムで作成された印刷データを含む。
【0028】
通知ファイル配置領域43は、FLASH・ROM36内の通常記憶領域40の一部が管理テーブル39によって割り当てられたものである。この通知ファイル配置領域43には、通知ファイル203(後述の図3参照)が格納される。なお、通知ファイル203は、本実施の形態に係るプリンタ1のステータス情報を含む。
【0029】
印刷バッファ領域341は、RAM34上に割り当てられたものであり、この印刷バッファ領域341は、上記命令ファイル202から取り出された印刷データを一時的に記憶する(詳細機能については後述する)。
【0030】
従って、FLASH・ROM36の管理テーブル39と通常記憶領域40とが、USB規格のマス・ストレージ・エリア45として機能する。
【0031】
<制御処理の内容>
上記構成の本実施形態においては、その特徴の1つとして、パソコン111が1つの命令ファイルを分割して複数の命令ファイルを生成し、その複数の命令ファイルをプリンタ1へと順次送信して対応する印刷データの印刷処理が行われる。以下、その処理内容を、図3により説明する。
【0032】
図3において、まず、パソコン111は、プリンタ1とUSB接続されると、上述したように、プリンタ1のFLASH・ROM36内の通常記憶領域40をリムーバブルドライブとして認識する。そして、ユーザが適宜の操作を行うことにより、ステップS10において、パソコン111は、プリンタ1の通常記憶領域40の上記アプリケーションプログラム記憶領域41にアクセスし、そのアプリケーションプログラム記憶領域41に記憶されているアプリケーションプログラムの実行ファイル200を読み出し、アプリケーションプログラムを起動させる。
【0033】
その後、ステップS12に移り、ユーザが適宜の操作を行うことにより、パソコン111は、上記アプリケーションプログラム(専用エディタ)を使用して、プリンタ1で印刷させるための印刷データを作成する。
【0034】
そして、ステップS13において、パソコン111は、ユーザの適宜の操作により、上記アプリケーションプログラムの終了が指示されたか否かを判定する。アプリケーションプログラムの終了が指示された場合には判定が満たされ(S13:YES)、後述のステップS20に移行する。一方、アプリケーションプログラムの終了が指示された場合には判定が満たされず(S13:NO)、S14に移る。
【0035】
ステップS14では、パソコン111は、ユーザの適宜の操作により、プリンタ1での印刷の実行が指示されたか否かを判定する。印刷の実行が指示されない場合にはステップS14の判定が満たされず(S14:NO)、上記ステップS12に戻り、同様の手順を繰り返す。印刷の実行が指示された場合はステップS14の判定が満たされ(S14:YES)、ステップS15に移る。
【0036】
ステップS15では、パソコン111は、上記アプリケーションプログラムを用いて、プリンタ1に対する印刷命令コマンドや上記ステップS12で作成された印刷データ等を含んだ1つの命令ファイルを生成するとともに、当該命令ファイルを複数個に分割する。なお、分割された複数個の命令ファイルのそれぞれに、上記印刷命令コマンド及び印刷データ(分割前の印刷データよりも小容量)が含まれている。その後、ステップS16に移る。
【0037】
ステップS16では、上記ステップS15で分割生成された複数の命令ファイルのうち1つの命令ファイル(所定の順序に従ってこの時点で処理対象となる1つの命令ファイル)202を、プリンタ1に送信する。
【0038】
プリンタ1のCPU32は、上記に対応し、ステップS101で、パソコン111から上記命令ファイル202を受信したか否かを判定する。パソコン111から命令ファイル202を受信していない場合には判定が満たされず(S101:NO)、判定が満たされるまでループ待機する。パソコン111から命令ファイル202を受信した場合にはステップS101の判定が満たされ(S101:YES)、ステップS102に移る。
【0039】
ステップS102では、CPU32は、上記通常記憶領域40の上記命令ファイル配置領域42A(又は42B)に、ステップS101で受信した命令ファイル202を書き込み、これによって記憶内容が更新される(各請求項記載のファイル書き込み処理に相当)。すなわち、当該命令ファイル配置領域42A(又は42B)に何も記憶されていない場合には新規に命令ファイル202が書き込まれ、当該命令ファイル配置領域42A(又は42B)に既に命令ファイル202が記憶されている場合には、新たな命令ファイル202によって上書き更新される。なお、このステップS102が、各請求項記載のファイル書き込み手順に相当する。その後、ステップS103に移る。
【0040】
ステップS103では、CPU32は、上記ステップS102で命令ファイル配置領域42A(又は42B)に書き込まれた命令ファイル202を解析し、当該命令ファイル202に含まれている上記印刷データを取り出す。その後、ステップS104に移る。
【0041】
ステップS104では、CPU32は、上記ステップS103で命令ファイル202から取り出された印刷データを、上記RAM34の上記印刷バッファ領域341に展開する(各請求項記載のデータ展開処理に相当)。CPU32は、このデータ展開処理により印刷バッファ領域341に展開された印刷データに基づき、前述したように、上記FLASH・ROM36に記憶されている印刷関係の制御プログラム37に応じて駆動回路54,56等を作動させ、印字テープ2への印刷を実行させる(各請求項記載の印刷処理に相当)。なお、この手順が各請求項記載の印刷手順に相当している。ステップS104のデータ展開処理が終了したら、ステップS105に移る。
【0042】
ステップS105では、CPU32は、上記ステップS104の展開処理のために命令ファイル配置領域42A(又は42B)に書き込まれ保持されていた命令ファイル202を、(印刷バッファ領域341への処理が終わったことから)消去する。
【0043】
その後、ステップS106で、CPU32は、上記ステップS105において命令ファイル202の消去が完了したことを示す消去完了情報を含んだ通知ファイル(消去通知)203を作成し(各請求項記載の更新準備処理に相当)、その作成した通知ファイル202を上記通常記憶領域40の通知ファイル配置領域43に上書きして記憶する。この手順が各請求項記載の更新準備手順に相当している。なお、各通知ファイル203には、どの命令ファイル202の処理に対応するものであるかを示す識別情報(図示せず)が含まれている。また、印刷バッファ領域341への上記データ展開処理を行ったとき、印刷処理における印刷速度が速くなり十分なUSB動作ができないと判断された場合には、上記通知ファイル203の作成を行わないようにする(又は作成タイミングを遅らせる)ようにしてもよい。
【0044】
そして、CPU32は、ステップS107において、印刷処理が終了したか否かを判定する。すなわち、後述するようにステップS101〜ステップS106の繰り返しによって、上記分割により生成されたすべての命令ファイル202に基づく印刷処理が完了し上記ステップS12で生成された印刷データの印刷処理が終了したか否か、が判定される。印刷処理が終了するまでは、ステップS107の判定が満たされず(S107:NO)、ステップS101に戻ってステップS101〜ステップS106の処理が繰り返される。印刷処理が終了したらステップS107の判定が満たされ(S107:YES)、プリンタ1側のフローを終了する。なお、プリンタ1は、上記の制御手順を実行するプログラムが上記ROM33に記憶されている。
【0045】
一方、プリンタ1のCPU32の上記ステップS106の処理に対応して、パソコン111は、ステップS17で、上記通常記憶領域40の通知ファイル配置領域43にアクセスし、当該通知ファイル配置領域43から上記通知ファイル203(消去通知)を読み出す。これにより、プリンタ1は、前述のステップS16で送信した命令ファイル202の解析及び印刷データの取り出し、及び、当該印刷データの印刷バッファ領域341への展開が完了したこと(言い換えれば当該印刷データによる印刷が既に開始されていること)、を認識する。その後、ステップS18に移る。
【0046】
ステップS18では、パソコン111は、ステップS17での認識結果に基づき、前述のステップS15で分割して生成した複数の命令ファイルのすべてについて、対応する上記印刷データの取り出しと印刷バッファ領域341への展開とが完了したかどうか、を判定する。まだ全命令ファイルについて上記処理が完了していなければステップS18の判定が満たされず(S18:NO)、ステップS16に戻って同様の手順を繰り返す。すなわち、このようにして戻ったステップS16では、CPU32は、上記所定の順序に従った次の処理対象となる命令ファイル202を、前述と同様、プリンタ1に送信し、以降、前述と同様の処理が行われる。このようにして、前述のステップS15で分割して生成された複数の命令ファイルが順次パソコンからプリンタ1に送信され(ステップS16)、プリンタ1では各命令ファイルから印刷データが取り出され印刷バッファ領域341に展開されて印刷処理が実行され(ステップS103、ステップS104)、上記展開処理が終わると当該命令ファイルが消去されてその旨が通知ファイル203によってパソコンへ通知される(ステップS105、ステップS106、ステップS17)。このような処理の繰り返しによって全命令ファイルについて上記処理が完了したらステップS18の判定が満たされ(S18:YES)、ステップS19に移る。
【0047】
ステップS19では、パソコン111は、そのアプリケーションプログラムを継続するか否かを判定する。具体的には、上記ステップS13と同様、ユーザの適宜の操作による上記アプリケーションプログラムの終了がまだ指示されていないかを判定する。ユーザによる終了指示がなされずアプリケーションプログラムを継続する場合にはステップS19の判定が満たされ(S19:YES)、上記ステップS12に戻って同様の手順を繰り返す。一方、ユーザによる終了指示がなされアプリケーションプログラムを終了する場合にはステップS19の判定が満たされず(S19:NO)、S20に移る。
【0048】
ステップS20では、パソコン111は、上記アプリケーションプログラムを終了させ、当該アプリケーションプログラムを削除する。これにより、パソコン111には、そのアプリケーションプログラムが残らない。
【0049】
<本実施形態の要部>
上記の処理において、本実施形態のプリンタ1の最大の特徴は、前述のようにしてステップS101〜ステップS106を繰り返すことによって複数の命令ファイル202を所定の順序に沿って順次受信して処理するとき、先行して書き込まれた命令ファイル202に基づく印刷データの印刷が行われている間に(ステップS104参照)後続の命令ファイル202が書き込まれる(ステップS102)ことにある。つまり、複数の命令ファイル202それぞれに関する処理が、(少なくとも一部は)同時並行するようにして行われる。このことを、図4を用いて詳細に説明する。
【0050】
図4において、本実施形態のプリンタ1には、複数(この例では2つ)の命令ファイル配置領域42A,42Bが設けられている。例えば、上記ステップS101において先行する1つの命令ファイル202(以下「命令ファイル1」と称する)が受信された場合、その後のステップS102において、当該「命令ファイル1」は命令ファイル配置領域42Aに書き込まれる(図4(a)参照)。
【0051】
その後、上記ステップS103及びステップS104の処理により上記命令ファイル配置領域42Aの「命令ファイル1」は上記印刷バッファ領域341に「印刷データ1」としてデータ展開され、展開が終了すると、上記ステップS105において当該命令ファイル配置領域42A内の「命令ファイル1」は消去され、その消去の旨がステップS106の通知ファイル作成によってパソコン111へと通知される(図4(b)参照)。
【0052】
その後、上記のようにして展開された印刷バッファ領域341の「印刷データ1」により印刷が開始され実行されている間に、前述の消去通知に対応して、上記ステップS101においてパソコン111から次の命令ファイル202(以下「命令ファイル2」と称する)が受信され、当該受信された命令ファイル202が、上記消去によって何も記憶されていない状態となっている命令ファイル配置領域42Aに対して上記ステップS102において書き込まれる(図4(c)参照)。
【0053】
そして、印刷バッファ領域341の「印刷データ1」の印刷処理が終了した後、上記同様、上記ステップS103及びステップS104の処理により上記命令ファイル配置領域42Aの「命令ファイル2」が上記印刷バッファ領域341に「印刷データ2」としてデータ展開される。展開が終了すると、上記ステップS105において当該命令ファイル配置領域42A内の「命令ファイル2」は消去され、その消去の旨がステップS106の通知ファイル作成によってパソコン111へと通知される(図4(d)参照)。
【0054】
その後、上記のようにして展開された印刷バッファ領域341の「印刷データ2」により印刷が開始され実行されている間に、前述の消去通知に対応して、上記ステップS101においてパソコン111からさらに次の命令ファイル202(以下「命令ファイル3」と称する)が受信され、上記ステップS102で命令ファイル配置領域42Aへ書き込まれる(図4(e)参照)。以降、上記のように命令ファイル配置領域42Aを使用しながら、順次受信される複数の命令ファイル202に対して上記の処理が実行される。そして、その際、図4(c)や図4(e)に示されるように、複数(この例では2つ)の命令ファイル202に対し、少なくとも1つの処理(この例では先行する命令ファイル202の印刷処理と後続の命令ファイル202のファイル書き込み処理)が、同時並行して行われる。
【0055】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施の形態においては、上記管理テーブル39によって、USBポートPに接続されたパソコン111に対し、プリンタ1のFLASH・ROM36内の通常記憶領域40をUSBマス・ストレージ・クラスのデバイスであるリムーバブルドライブとして認識させている。これにより、上記アプリケーションプログラム記憶領域41に記憶されたアプリケーションプログラムの実行ファイル200は、パソコン111におけるユーザの通常のアクセス操作で、パソコン111に読み出させることができる(上記ステップS10参照)。これにより、そのアプリケーションプログラムは、パソコン111にインストールされることなく、パソコン111で実行することが可能となる。そして、パソコン111上のアプリケーションプログラムで作成された印刷データを含む命令ファイル202は、そのアプリケーションプログラムによって生成され、パソコン111からの通常のアクセスで、上記命令ファイル配置領域42Aに書き込まれる(ステップS16、ステップS102参照)。
【0056】
CPU32は、上記のように命令ファイル配置領域42Aに対しパソコン111から受信した上記命令ファイル202を書き込むことで命令ファイル配置領域42Aの記憶内容を更新し(ファイル書き込み処理)、書き込まれた命令ファイル202を解析して印刷データを取り出すとともにその印刷データを印刷バッファ領域341へ展開し(データ展開処理)、上記印刷バッファ領域341に展開された印刷データの印刷を実行させる(印刷処理)。これにより、前述したように、アプリケーションプログラム及びデバイスドライバがパソコン111にインストールされなくても、パソコン111からそのアプリケーションプログラムを使用した印刷を行うことができる。
【0057】
そして、CPU32は、前述したように、上記ファイル書き込み処理で命令ファイル配置領域42Aに対し1つの命令ファイル202を書き込み、データ展開処理ではその1つの命令ファイル202から印刷データを取り出して印刷バッファ領域341に展開し、更新準備処理では上記データ展開処理の終了時に当該1つの命令ファイル202の消去をパソコン111に通知する。その際、CPU32は、上記ファイル書き込み処理、上記データ展開処理、上記印刷処理、上記更新準備処理を含む複数の処理を、少なくとも1つの処理(この例では先行する命令ファイル202の印刷処理と後続の命令ファイル202のファイル書き込み処理)を同時並行させるようにしつつ、複数の(この例では2つの)命令ファイル202にまたがって実行する。
【0058】
これにより、上記のようにして命令ファイル配置領域42Aに書き込まれた1つの命令ファイル202について上記ファイル書き込み処理及びデータ展開処理を行ってその後の印刷処理で印刷を実行している間に、上記更新準備処理によって何も記憶されていない状態となった命令ファイル配置領域42Aに次の命令ファイル202のファイル書き込み処理を行い(図4(c)参照)、以降同様に繰り返しつつ各命令ファイルに基づく印刷データのデータ展開処理及び印刷処理を順次行い(図4(e)参照)、最終的に複数の命令ファイル202の印刷データの印刷を完了することができる。この結果、当該複数の命令ファイル202全体の印刷データの印刷完了までの時間を従来より短縮することができ。
特に、本実施形態では、前述の印刷データを印刷バッファ領域341に展開するデータ展開処理の後に印刷処理において実際に印刷が完了するより前に、前述の更新準備処理を行う(図4(b)、図4(d)参照)。これにより、実際に印刷が完了するまでは次の命令ファイルを命令ファイル配置領域42に書き込むことができなかった従来手法と異なり、上述の先行する命令ファイル202に関する印刷処理と並行してのファイル書き込み処理を確実に円滑に行うことができる。
【0059】
また、本実施形態では、上述したように、通常記憶領域40に、複数(この例では2つ)の命令ファイル配置領域42A,42Bが設けられている。すなわち、CPU32は、従来1つしか設けられていなかった命令ファイル配置領域42を上記のように複数個(この例では2つ)に小さく分割し、当該小さな1つの命令ファイル配置領域42Aを利用して上記ファイル書き込み処理、データ展開処理、印刷処理、更新準備処理を各命令ファイル202について実行することができる。この場合、上述したように、従来1つの印刷データとして1つの命令ファイル202に含ませる形でパソコン111から送信されていたものを、複数個の印刷データに小さく分割し複数の命令ファイル202にそれぞれ含ませて送信し、従来より小さい命令ファイル配置領域42Aに各命令ファイル202を書き込み、各命令ファイル202ごとにファイル書き込み処理、データ展開処理を行うことができる。この場合、分割して生成された最初の命令ファイル202についてのファイル書き込み処理及びデータ展開処理は(命令ファイルの容量が小さいことから)従来よりも早く完了するので、印刷開始までの時間を従来より短縮することができる。したがって、これによっても印刷完了までの時間を従来より短縮できる効果がある。
【0060】
また、本実施形態では特に、上記更新準備処理において、プリンタ1のCPU32は、通知ファイル203を作成して命令ファイル配置領域42Aの命令ファイル202が消去済みであることをパソコン111に通知する。これにより、実際に印刷が完了するより前に、当該命令ファイル配置領域42Aに次の命令ファイル202を書き込み可能であることをパソコン111に確実に知らせることができる。また、前述のように容量の小さい複数の命令ファイル202に分割されて送信されることから、各命令ファイル202の容量が小さいことで、1つの命令ファイル202の消去を迅速に完了することができ、これによっても印刷処理の短縮効果を得られる。
【0061】
なお、上記においては、図4に示したように2つの命令ファイル42Aのみを使用する場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、図5に示すように、命令ファイル配置領域42Aと命令ファイル配置領域42Bとを交互に使用しながら、前述のような複数の命令ファイルについてのファイル書き込み処理、データ展開処理、印刷処理を順次行うこともできる。この場合は、2つの命令ファイル配置領域42A,42Bを用いることで、各命令ファイル配置領域42A,42Bにおけるデータ授受のタイミングに時間的余裕を持たせることができ、制御信頼性を高めることができる。
【0062】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0063】
(1)ファイル属性を変化させることでパソコンに認識させる場合
上記実施形態においては、命令ファイル配置領域42Aの1つの命令ファイル202の印刷バッファ領域341への展開が完了したときに当該命令ファイル配置領域42Aの命令ファイル202を削除したが、これに限られない。
【0064】
すなわち、図4(a)に示すように最初に命令ファイル配置領域42Aに1つの命令ファイル202が書き込まれたときには、当該命令ファイル202をある所定のファイル形式としておき、その後図4(b)に示すように、対応する印字データが印刷バッファ領域341に展開されたときに、当該命令ファイル202を消去するのではなくファイル形式を変更する。具体的には、例えば命令ファイル202の作成日時情報や更新情報や識別情報(名称)などを、上記のタイミングでオリジナルの内容から他の内容へと変更する。この場合、パソコン111側から定期的に命令ファイル202の形式を読み取るようにしておき、上記ファイル属性の変更によって、命令ファイル配置領域42Aに対する次の命令ファイル202の書き込みが可能になったことをパソコン111が認識するようにしてもよい。あるいは、前述の通知ファイル203によってパソコン111側に当該命令ファイル203の属性変更を通知するようにしてもよい。
【0065】
本変形例によっても、実際に印刷を完了するより前に、命令ファイル配置領域42Aに次の命令ファイルを書き込み可能であることをパソコン111に確実に知らせることができるので、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0066】
(2)ファイル属性を上書き不能から上書き可能に変化させる場合
すなわち、本変形例では、上記のファイル属性の変更を応用した例として、図4(a)に示すように最初に命令ファイル配置領域42Aに1つの命令ファイル202が書き込まれたときには、当該命令ファイル202を読み取りのみ可能(上書き更新は不能)なファイル形式としておく。そして、その後図4(b)に示すように、対応する印字データが印刷バッファ領域341に展開されたときに、当該命令ファイル202を(消去するのではなく)上書き更新可能なファイル形式に変更する。
【0067】
この場合も、上記(1)の変形例と同様の効果を得ることができる。また、本変形例では特に、印刷バッファ領域341へ命令ファイル202に対応した印刷データが展開されるデータ展開処理の終了までは当該命令ファイル202は読み取りのみが可能であることから、それまではパソコン111側からの命令ファイル配置領域42A内のデータ改変を確実に禁止することができる。
【0068】
(3)印刷バッファ領域に展開せず印刷を行う場合
すなわち、以上では、一方の命令ファイル配置領域42A,42Bの命令ファイル202を解析して取り出された印刷データが印刷バッファ領域341に展開され、これに基づき印刷処理が実行されている間に、次の命令ファイル202が命令ファイル配置領域42A,42Bに書き込まれたが、これに限られない。すなわち、パソコン111から送信され受信される命令ファイル202が、上記解析の必要がない印刷データそのものである場合に、本発明を適用してもよい。この場合は、上記書き込み処理により書き込まれた命令ファイル202の印刷データの印刷を、印刷処理において実行する。その際は、上記印刷バッファ領域341へのデータ展開処理を省略する以外は前述の手法と同様の処理を行い、1つの命令ファイル202に基づき印刷処理が開始された後、その印刷処理が完了する前に、次の命令ファイル202の書き込み処理を行うことで、前述と同様の効果を得ることができる。
【0069】
(4)その他
例えば、本実施の形態に係るプリンタ1は、印字テープ2に印刷を行ういわゆるラベルプリンタであったが、ロール状又はシート状の印刷用紙に印刷行うプリンタ等であってもよい。
【0070】
また、プリンタ1とUSBポートPを介して接続されたパソコン111は、タワー型、オール・イン・ワン型、又はノート型のパソコンや、大型のコンピュータであってもよい。
【0071】
なお、以上において、図2中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0072】
また、図3に示すシーケンスは本発明を上記シーケンスに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0073】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0074】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0075】
1 プリンタ
32 CPU(プロセッサ)
36 FLASH・ROM(メモリ)
40 通常記憶領域
41 アプリケーションプログラム記憶領域(第1メモリ領域)
42A 命令ファイル配置領域(第2メモリ領域)
42B 命令ファイル配置領域(第2メモリ領域)
54 駆動回路(印刷手段)
55 サーマルヘッド(印刷手段)
56 駆動回路(印刷手段)
57 テープ送りモータ
111 パソコン(ホスト)
200 アプリケーションプログラムの実行ファイル
202 命令ファイル
P USBポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
USBポートと、
前記USBポートに接続されたホストがリムーバブルドライブとして認識可能な通常記憶領域を有するメモリと、
アプリケーションプログラムで作成された印刷データに基づいて印刷を行う印刷手段と、
前記印刷手段及び前記メモリを制御するプロセッサと
を有するプリンタであって、
前記通常記憶領域は、
前記アプリケーションプログラムの実行ファイルが記憶された第1メモリ領域と、
前記印刷データを含む複数の命令ファイルを個別にそれぞれ書き込み可能な複数の第2メモリ領域と、
を含み、
前記プロセッサは、
前記アプリケーションプログラムの実行ファイルが前記ホストに読み出されて実行された場合に、
前記ホストから受信した1つの前記命令ファイルを前記複数の第2メモリ領域内のうちいずれか1つに書き込むことで、当該1つの第2メモリ領域に記憶されていた元の1つの命令ファイルの内容を更新するファイル書き込み処理;
前記ファイル書き込み処理が終了した後、前記1つの第2メモリ領域に記憶保持された前記1つの命令ファイルの内容を後に更新可能とするための、更新準備処理;
前記ファイル書き込み処理により前記1つの第2メモリ領域に書き込まれた前記1つの命令ファイルに対応した印刷データの印刷を、前記印刷手段に実行させる印刷処理;
を含む複数の処理を、前記複数の命令ファイルについて、少なくとも1つの処理を同時並行させつつ実行する
ことを特徴するプリンタ。
【請求項2】
請求項1記載のプリンタにおいて、
前記通常記憶領域は、
前記命令ファイルから取り出された前記印刷データを一時的に記憶可能な印刷バッファ領域をさらに含み、
前記プロセッサは、
前記アプリケーションプログラムの実行ファイルが前記ホストに読み出されて実行された場合に、
前記ファイル書き込み処理;
前記ファイル書き込み処理により前記1つの第2メモリ領域に書き込まれた前記1つの命令ファイルを解析し取り出した前記印刷データを、前記印刷バッファ領域へ展開する、データ展開処理;
前記データ展開処理により前記印刷バッファ領域に展開された前記印刷データの印刷を前記印刷手段に実行させる、前記印刷処理;
前記データ展開処理が終了したとき、前記1つの第2メモリ領域に記憶保持され解析対象とされた前記1つの命令ファイルを後に更新可能とするための、前記更新準備処理;
を含む複数の処理を、前記複数の命令ファイルについて、少なくとも1つの処理を同時並行させつつ実行する
ことを特徴するプリンタ。
【請求項3】
請求項2記載のプリンタにおいて、
前記プロセッサは、
前記データ展開処理が終了したとき、前記更新準備処理として、前記1つの第2メモリ領域に記憶保持され解析対象とされた前記1つの命令ファイルを消去すると共に、当該消去の実行を前記ホストへ通知する通知ファイルを作成する処理を行う
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項2記載のプリンタにおいて、
前記プロセッサは、
前記データ展開処理が終了したとき、前記更新準備処理として、前記1つの第2メモリ領域に記憶保持され解析対象とされた前記1つの命令ファイルのファイル属性を変化させる処理を行う
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項4記載のプリンタにおいて、
前記プロセッサは、
前記データ展開処理が終了したとき、前記更新準備処理として、前記1つの第2メモリ領域に記憶保持され解析対象とされた前記1つの命令ファイルを、読み取りのみ可能なファイル属性から読み取り及び書き込み可能なファイル属性へ変化させる処理を行う
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項6】
USBポートに接続されたホストがリムーバブルドライブとして認識可能な通常記憶領域を有するメモリと、アプリケーションプログラムで作成された印刷データに基づいて印刷を行う印刷手段と、を有し、前記通常記憶領域が、前記アプリケーションプログラムの実行ファイルが記憶された第1メモリ領域と、前記印刷データを含む複数の命令ファイルを個別にそれぞれ書き込み可能な複数の第2メモリ領域と、を含むプリンタに備えられ、前記印刷手段及び前記メモリを制御する演算手段に対し、
前記アプリケーションプログラムの実行ファイルが前記ホストに読み出されて実行された場合に、
前記ホストから受信した1つの前記命令ファイルを前記複数の第2メモリ領域内のうちいずれか1つに書き込むことで、当該1つの第2メモリ領域に記憶されていた元の1つの命令ファイルの内容を更新するファイル書き込み手順と、
前記ファイル書き込み手順が終了した後、前記1つの第2メモリ領域に記憶保持された前記1つの命令ファイルの内容を後に更新可能とするための、更新準備手順と、
前記ファイル書き込み手順で前記1つの第2メモリ領域に書き込まれた前記1つの命令ファイルに対応した印刷データの印刷を、前記印刷手段に実行させる印刷手順;
を含む複数の手順を、前記複数の命令ファイルについて、少なくとも1つの手順を同時並行させつつ実行させる
ことを特徴する印刷処理プログラム。
【請求項7】
USBポートに接続されたホストがリムーバブルドライブとして認識可能な通常記憶領域を有するメモリと、アプリケーションプログラムで作成された印刷データに基づいて印刷を行う印刷手段と、を有し、前記通常記憶領域が、前記アプリケーションプログラムの実行ファイルが記憶された第1メモリ領域と、前記印刷データを含む複数の命令ファイルを個別にそれぞれ書き込み可能な複数の第2メモリ領域と、を含むプリンタが実行する印刷処理方法であって、
前記アプリケーションプログラムの実行ファイルが前記ホストに読み出されて実行された場合に、
前記ホストから受信した1つの前記命令ファイルを前記複数の第2メモリ領域内のうちいずれか1つに書き込むことで、当該1つの第2メモリ領域に記憶されていた元の1つの命令ファイルの内容を更新するファイル書き込み手順と、
前記ファイル書き込み手順が終了した後、前記1つの第2メモリ領域に記憶保持された前記1つの命令ファイルの内容を後に更新可能とするための、更新準備手順と、
前記ファイル書き込み手順で前記1つの第2メモリ領域に書き込まれた前記1つの命令ファイルに対応した印刷データの印刷を、前記印刷手段に実行させる印刷手順;
を含む複数の手順を、前記複数の命令ファイルについて、少なくとも1つの手順を同時並行させつつ実行する
ことを特徴する印刷処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−46968(P2013−46968A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185876(P2011−185876)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】