説明

プリンタ管理システムおよびプリンタ管理プログラム

【課題】プリンタの利便性を判定する技術を提供する。
【解決手段】端末Cの操作における処理内容を示す操作ログ情報を保存する操作ログ情報保存部21と端末CとプリンタPの物理的な位置情報を保存する位置情報保存部22とを備え、印刷情報生成部23により、前記操作ログ情報保存部21から、端末CからプリンタPに対するファイルの出力操作に係る操作ログ情報が抽出されると共に抽出された操作ログ情報に基づき印刷情報が生成され、利便度判定部24により、位置情報保存部22の位置情報に基づき前記印刷情報に係る端末CとプリンタPとの距離が特定され、当該距離と当該印刷情報とに応じて当該プリンタPの利便度が判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続されたプリンタを管理する技術に関し、特にプリンタの利便性を判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報通信機器の発達に伴い、職場等に複数のコンピュータとプリンタ等の機器が設置されている場合が多々見られる。しかしながら、これらの機器の設置場所の利便性の高い機器の使用頻度は高く、利便性の低い機器の使用頻度は低くなる傾向にある。また、通常、一度設置された機器の利便性が見直されることも少なく、機器の配置が変更されることも少ない。これらのため、機器を所有しているにも関わらず、有効活用できないという問題が生じている。
【0003】
このような問題を解決するために、オフィスで使用される機器の消費情報と、オフィスの使用者からオフィス環境についての提案とを取得し、消費情報と提案の分析結果に応じた提案情報を使用者に提示する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−329062号公報(段落番号0007−0008)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、使用者からの提案を収集する必要があるため、使用者の手間がかかると共に、提案を収集しなければ機能することができない。また、使用者からの提案は短期的に見た主観によるものが多いため、実際の運用にあった利便性を反映させることは困難である。
【0006】
本発明の課題は、上記実状に鑑み、プリンタの利便性を判定する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のプリンタ管理システムは、端末の操作における処理内容を示す操作ログ情報を保存する操作ログ情報保存部を備え、前記端末とネットワークを介して接続されたプリンタの利便度を判定するプリンタ管理システムであって、前記端末と前記プリンタの物理的な位置情報を保存する位置情報保存部と、前記操作ログ情報保存部から、前記端末から前記プリンタに対する印刷に係る操作ログ情報を抽出し、抽出した当該操作ログ情報に基づき印刷情報を生成する印刷情報生成部と、前記位置情報保存部の位置情報に基づき前記印刷情報に係る端末とプリンタとの距離を特定すると共に、当該距離と当該印刷情報とに応じて当該プリンタの利便度を判定する利便度判定部と、を備えている。
【0008】
この構成では、端末とプリンタとの距離およびプリンタに対する印刷出力の状況(操作の内容)に応じて、プリンタの利便度を判定するため、各々のユーザの使用状況に基づき、客観的なプリンタの利便度を判定することができる。
【0009】
また、本発明のプリンタ管理システムの好適な実施形態の一つでは、前記利便度判定部は、前記印刷情報に係るファイルの重要度および前記印刷情報に係るユーザの権限の少なくとも一方を更に用いて、前記プリンタの利便度を判定する。
【0010】
この構成では、印刷情報に基づき、印刷されたファイルの重要度や印刷を行ったユーザの権限が取得され、更にそれらの値を用いてプリンタの利便度が判定されるため、実際の運用を反映した利便度を判定することができる。
【0011】
さらに、本発明のプリンタ管理システムの好適な実施形態の一つでは、前記利便度判定部は、前記印刷情報と前記距離に基づき、プリンタの利便性を表す印刷出力評価値を算出する印刷出力評価値取得部を備えると共に、前記プリンタに対する前記印刷出力評価値を用いて総合評価値を算出し、当該総合評価値に基づき当該プリンタの利便度を判定する。
【0012】
この構成では、各々の印刷情報の印刷出力評価値が取得され、印刷出力評価値から総合評価値が算出され、この総合評価値に基づいてプリンタの利便度を判定するため、より的確にプリンタの利便度を判定することができる。
【0013】
上述した本発明によるプリンタ管理システムの技術的特徴は、同様のプリンタ管理プログラムにも適用可能である。例えば、端末における操作を表す操作ログ情報を保存する操作ログ情報保存部と、端末とプリンタの物理的な位置情報を保存する位置情報保存部とを備え、前記端末とネットワークを介して接続されたプリンタの利便度を判定するプリンタ管理システムのためのプリンタ管理プログラムであって、前記操作ログ情報保存部から、前記端末から前記プリンタに対する印刷に係る操作ログ情報を抽出し、抽出した当該操作ログ情報に基づき印刷情報を生成する印刷情報生成機能と、前記位置情報保存部の位置情報に基づき前記印刷情報に係る端末とプリンタとの距離を特定すると共に、当該距離と当該印刷情報とに応じて当該プリンタの利便度を判定する利便度判定機能と、をコンピュータに実現する。当然ながら、このようなプリンタ管理プログラムも上述したプリンタ管理システムで述べた作用効果を得ることができ、さらに上述した付加的技術を組み込むことも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
〔第1実施形態〕
以下、図面を用いて本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態における本発明のプリンタ管理システムは、図1に示すように、汎用コンピュータでなるサーバSと汎用コンピュータでなる端末CとがネットワークNを介して接続されることにより構成されている。サーバSおよび端末Cはそれぞれ、ディスプレイ2、5や入力機器3、6(キーボード3a、6aやマウス3b、6b等)を備えている。また、複数のプリンタPがネットワークNを介して接続されている。
【0015】
図2は、本発明のプリンタ管理システムを構成するサーバSおよび端末Cの機能ブロック図を示している。端末Cは、端末Cにおける様々な処理の内容を表す操作ログ情報を生成し、ネットワークI/F10を介してサーバSに送信する操作ログ情報生成部11を備えている。
【0016】
サーバSは、ネットワークI/F20を介して端末Cから送信される操作ログ情報を保存する操作ログ情報保存部21、端末CとプリンタPの物理的な位置情報を保存する位置情報保存部22、端末CからプリンタPに対する印刷に係る操作ログ情報を操作ログ情報保存部21から抽出し、抽出した操作ログ情報に基づき印刷情報を生成する印刷情報生成部23、位置情報保存部22の位置情報に基づき印刷情報生成部23により生成された印刷情報に係る端末CとプリンタPとの距離を特定すると共に、当該距離と当該印刷情報とに応じて当該プリンタの利便度を判定する利便度判定部24および利便度判定部24により判定された利便度に基づき制御を行う制御部25を備えている。
【0017】
さらに、利便度判定部24は、操作ログ情報の操作の内容と特定した距離に基づき、当該操作ログ情報に係る端末Cからの当該操作ログ情報に係るプリンタPの利便性を表す印刷出力評価値を算出する印刷出力評価値取得部24aを備えている。
【0018】
通常、操作ログ情報生成部11、操作ログ情報保存部21、印刷情報生成部23、利便度判定部24および制御部25は、その処理を実行する手段(プログラムやモジュール等)がハードウェアに読み込まれることでその処理が実行されるが、これらをハードウェアとの組み合わせにより構成しても良いし、ロジック等を組み合わせたハードウェアのみで構成しても構わない。
【0019】
操作ログ情報生成部11は、所定のタイミングで端末Cにおける処理の内容を表す操作ログ情報を生成し、ネットワークI/F10を介してサーバSに送信する。
【0020】
本実施形態における操作ログ情報には、処理内容、端末識別情報、ユーザ識別情報、日時情報、処理の対象に関する情報(以下、処理対象情報と称する)および付加情報が含まれている。
【0021】
本実施形態における処理とは、マウス操作やキーボード入力等によりユーザが端末Cに対して行う明示的な操作および、ユーザの操作に起因して発生する端末Cの内部処理を含む概念であり、上述の処理内容には、明示的な操作の内容(以下、操作内容と称する)および内部処理の内容(以下、処理内容と称する)の少なくとも一方が含まれる。例えば、ユーザによりプリントボタンが押下された場合には、操作内容が“プリントボタン押下”、処理内容が“プリンタへの出力”となる。
【0022】
端末識別情報とは端末Cを一意に特定可能な情報であり、IPアドレス、MACアドレス、端末名、端末C毎に排他的に割り当てられた数値等を用いることができる。また、ユーザ識別情報とは、端末Cを操作するユーザを一意に特定可能な情報であり、ユーザ名、ユーザ毎に排他的に割り当てられた数値等を用いることができる。
【0023】
処理対象情報には、処理がファイル処理である場合には、ファイル名等のファイルを一意に特定可能な情報(以下、ファイル識別情報と称する)を含めることができ、プリンタPへの印刷操作である場合には、プリンタPのプリンタ識別情報やプリント対象を表す情報(以下、プリント対象情報と称する)を含めることができ、その他処理を実行するアプリケーションに関する情報(アプリケーション名等)等、処理の内容に応じて適宜変更可能である。なお、プリント対象情報としては、プリントするファイルのファイル識別情報や閲覧しているサイトのURL(Uniform Resource Locator)等を用いることができ、プリント対象に応じて適宜変更が可能である。また、プリンタ識別情報も端末識別情報と同様の情報を用いることができる。
【0024】
付加情報には、上述した情報に含まれない各種情報を含めることができ、例えば処理内容がプリンタPへの印刷操作の場合には、プリント枚数等を含めることができる。
【0025】
なお、操作ログ情報生成部11が操作ログ情報を生成する所定のタイミングとは、操作が行われる都度、所定の操作が行われる都度、所定時間間隔毎等、様々なタイミングを用いることができる。また、操作ログ情報生成部11が生成した操作ログ情報を送信するタイミングは、操作ログ情報を生成した直後でも構わないし、所定時間分の操作ログ情報を一時記憶しておき、所定時間経過後に一時記憶した操作ログ情報をまとめて送信しても構わない。
【0026】
操作ログ情報保存部21は、端末Cから送信される操作ログ情報を記録保存する。
【0027】
位置情報保存部22は、端末CおよびプリンタPの物理的な位置情報をそれぞれの識別情報(端末識別情報およびプリンタ識別情報)と関連付けて記録保存している。なお、物理的な位置情報とは、端末CやプリンタPが実際に設置されている場所の位置情報であり、特定の位置を原点とする座標や設置されている部屋、部屋の位置、部屋が存在する階数等の情報である。当然ながら、位置情報の表現方法はこれらに限定されるものではなく、本発明の目的を達する限りにおいて、適宜変更可能である。
【0028】
印刷情報生成部23は、操作ログ情報保存部21に保存されている操作ログ情報から、処理内容がプリンタPへのファイル出力であり、日時情報が所定期間に含まれている操作ログ情報を抽出し、抽出した操作ログ情報に基づき印刷情報を生成する。生成した印刷情報は、利便度判定部24に送られる。なお、本実施形態における印刷情報には、少なくとも端末識別情報、プリンタ識別情報、プリント枚数が含まれ、さらにユーザ識別情報、プリント対象情報、日時情報等を含めても構わない。また、抽出した操作ログ情報から印刷情報を生成するのではなく、印刷情報にそのまま操作ログ情報を用いても構わない。
【0029】
印刷情報を取得した利便度判定部24では、まず、印刷出力評価値取得部24aにより、各々の印刷情報に係る印刷出力評価値が取得される。次に、利便度判定部24は、印刷出力評価値をプリンタP毎に演算することにより、プリンタP毎の総合評価値を算出し、この総合評価値に基づき各プリンタPの利便度を判定する。制御部25は、利便度判定部24により判定された利便度に応じて所定の制御を行う。
【0030】
次に、図3のフローチャートに基づき、本実施形態の処理の流れを説明する。なお、以下の処理に先立ち、操作ログ情報保存部21には、各端末Cから送信された操作ログ情報が保存されているものとする。
【0031】
印刷情報生成部23は、操作ログ情報保存部21に保存されている操作ログ情報から、処理内容が任意のプリンタPへのファイル出力であり、日時情報が所定期間に含まれている操作ログ情報を抽出し、印刷情報を生成する(#01)。なお、所定期間は任意でよく、例えば、処理開始日時を起点とした所定時間過去(例えば、1ヶ月)までの期間を用いることができる。
【0032】
次に、印刷情報生成部23は、生成した印刷情報をプリンタP毎に分類する(#02)。具体的には、各印刷情報からプリンタ識別情報を取得し、プリンタ識別情報毎の集合に分類する。
【0033】
さらに、印刷情報生成部23は、分類した印刷情報から一の集合を選択し、利便度判別部24に送る(#03)。すなわち、この処理により、一のプリンタPに対する印刷情報が利便度判定部24に送られることとなる。
【0034】
印刷情報を取得した利便度判定部24では、まず、印刷出力評価値取得部24aにより以下の処理が行われる。
【0035】
印刷出力評価値取得部24aは、まず、取得した印刷情報に係るプリンタP(以下、特定プリンタと称する)の位置情報を位置情報保存部22から取得する(#04)。具体的には、印刷情報に含まれるプリンタ識別情報を取得し、そのプリンタ識別情報をキーとして、位置情報保存部22から、特定プリンタPの位置情報を取得する。
【0036】
次に、印刷出力評価値取得部24aは、取得した印刷情報から一の印刷情報を選択し(#05)、選択した印刷情報に係る端末C(以下、特定端末と称する)の位置情報を取得する(#06)。特定端末Cの位置情報の取得も特定プリンタPの位置情報の取得と同様に、印刷情報から端末識別情報が取得され、端末識別情報をキーとして、位置情報保存部22から特定端末Cの位置情報を取得する。
【0037】
特定端末Cと特定プリンタPの位置情報を取得した印刷出力評価値取得部24aは、特定端末Cと特定プリンタPとの距離を算出する(#07)。距離は、特定端末Cと特定プリンタPとのユークリッド距離を用いても構わないし、机やパーティション等の配置が既知であれば特定端末Cから特定プリンタPに行くための移動経路の距離を算出して用いても構わない。当然ながら、本発明の目的を達する限りにおいて他の方法により距離を算出しても構わない。
【0038】
特定端末Cと特定プリンタPとの距離を算出した印刷出力評価値取得部24aは、この距離と#05の処理で選択した印刷情報(以下、選択印刷情報と称する)のプリント枚数とに基づいて、特定端末Cから特定プリンタPへの利便性を表す印刷出力評価値を取得する(#08)。本実施形態では、図4(a)および(b)に示す評価値テーブルにより、印刷出力評価値を取得する。図4(a)は、プリント枚数と評価値を関連付けたテーブル(以下、プリント枚数評価値テーブルと称する)であり、図4(b)は、端末CとプリンタPとの距離と評価値を関連付けたテーブル(以下、距離評価値テーブルと称する)である。なお、これらの評価値は、特定端末Cから特定プリンタPを利用する際の“不便さ”を表す数値であるが、“便利さ”を表す数値を用いても構わない。
【0039】
印刷出力評価値取得部24aは、選択印刷情報に含まれているプリント枚数を取得し、そのプリント枚数に基づきプリント枚数評価値テーブルから評価値を取得する。また、上述の処理により求めた距離に基づき距離評価値テーブルから評価値を取得する。例えば、プリント枚数が50枚で、距離が5mであった場合には、それぞれの評価値は3、1となる。印刷出力評価値取得部24aは、このようにして取得した各々の評価値に所定の演算を行うことにより、選択操作ログ情報の印刷出力評価値を算出する。なお、本実施形態においては、所定の演算は加算とする。したがって、上述の例では、印刷出力評価値は4となる。
【0040】
なお、本実施形態では、上述のように2つのテーブルから2つの印刷出力評価値を取得し、それらを演算することにより印刷出力評価値を算出しているが、これに限定されるものではなく、図5に示すようなプリント枚数と距離とに応じて評価値が取得できるテーブルを用いて、プリント枚数と距離とから直接印刷出力評価値を取得しても構わないし、所定の関数による演算により算出することもできる。後者の場合には、図4のテーブルと同様の入出力特性を持つ2つの1変数関数や図5のテーブルと同様の入出力特性を持つ2変数関数を用いる。また、プリント1枚あたりの距離を算出し、それを印刷出力評価値としてもよいし、距離評価値テーブルから、1枚あたりの距離に応じた印刷出力評価値を取得する構成としても構わない。なお、印刷出力評価値の算出は、上述した方法に限定されるものではなく、本発明の目的を達する限りにおいて、様々な情報の組み合わせによる種々の演算方法を用いることができる。
【0041】
利便度判定部24は、特定プリンタPに対する総合評価値を更新する(#09)。具体的には、すでに特定プリンタPの総合評価値が算出されている場合には、その総合評価値に対して、印刷出力評価値取得部24aにより取得された印刷出力評価値が加算される。一方、特定プリンタPの総合評価値が算出されていない場合には、印刷出力評価値取得部24aにより取得された印刷出力評価値が総合評価値とされる。なお、総合評価値の算出は、印刷出力評価値の総和に限定されるものでなく、本発明の目的を達する限りにおいて、種々の演算方法を用いることができる。
【0042】
上述の処理(#05〜#09)が、#03の処理により取得された全ての印刷情報に対して行われるまで繰り返される。全ての印刷情報に対する処理が終了すると(#10のNo分岐)、利便度判定部24は、特定プリンタPの総合評価値をプリンタ識別情報と共に制御部25に送る。
【0043】
特定プリンタPの総合評価値とプリンタ識別情報とを取得した制御部25は、プリンタ識別情報と総合評価値とを関連付けて一時的に記憶しておく。
【0044】
上述の処理(#03〜#10)の処理が、印刷情報に含まれる全てのプリンタPに対して行われると(#11のNo分岐)、その旨が利便度判定部24から制御部25に通知される。
【0045】
プリンタPの総合評価値とプリンタ識別情報を取得した制御部25は、総合評価値に基づき、所定の制御を行う。本実施形態では、所定の制御として、プリンタの不便度を表示するものとし、例えば、図6に示すように、端末CとプリンタPとが設置されている位置を表すマップを表示し、プリンタPの総合評価値により、プリンタPの表示形態を異ならせることにより、管理者等に各プリンタPの不便さを知覚させることができる。なお、この例の場合には、制御部25は、位置情報保存部22から、全ての端末Cの位置情報を取得すると共に、一時記憶しているプリンタ識別情報をキーとして、対応するプリンタPの位置情報を取得し、これらの位置情報に基づき図6のマップを作成する。また、このとき、位置情報保存部22にプリンタ識別情報が保存されているが、制御部25により一時記憶されていないプリンタ識別情報が存在すると、そのプリンタ識別情報のプリンタPは使用されていないことを意味するため、そのようなプリンタPに対しては、最も不便さが高くなるような表示形態とすると、使用されていないプリンタPの不便さをも知覚させることができ、好適である。
【0046】
図6中のC1からC30は端末Cを表しており、P1からP4はプリンタPを表している。この例では、プリンタPの総合評価値の値に比例して、プリンタPの色の濃く表示している。すなわち、プリンタPの表示色が濃いほど、プリンタPは“不便”であることを表現している。例えば、プリンタP1は、色が薄いため不便さは低く、一方、プリンタP4の色は最も濃いため、非常に不便であることを表している。
【0047】
なお、制御部25により制御方法は、上述の表示に限定されるものではなく、プリンタ識別情報と共にその総合評価値をサーバSのディスプレイ2に表示する、所定閾値以上の総合評価値を持つプリンタPを管理者にメールで通知する、判定結果に基づき次回以降の印刷時に適したプリンタを自動的に選択する又は推薦する等、本発明の目的を達する限りにおいて、適宜変更可能である。
【0048】
〔第2実施形態〕
次に、本発明のプリンタ管理システムの第2実施形態を説明する。図7は、本実施形態における機能ブロック図であり、ファイルのファイル識別情報とそのファイルの重要度とを関連付けて記録保存しているファイル情報保存部26と、ユーザのユーザ識別情報とそのユーザの権限とを関連付けて記録保存しているユーザ情報保存部27とを備え、利便度判定部24がさらに印刷回数を計数する印刷回数係数部24bを備えている点において第1実施形態と異なっている。
【0049】
以下、図8のフローチャートを用いて本実施形態の処理の流れを説明するが、本実施形態の処理の流れは、利便度判定部24の処理のみが第1実施形態と異なっているため、第1実施形態と同様の処理に関する説明は省略する。
【0050】
まず、印刷情報生成部23は、第1実施形態の#01から#03と同様の処理により、操作ログ情報保存部21から、所定の条件を満たす操作ログ情報を抽出すると共に印刷情報を生成した後、生成した印刷情報をプリンタP毎に分類し(#21〜#22)、生成された印刷情報から、一のプリンタPに係る印刷情報を抽出する(#23)。抽出された印刷情報は、利便度判定部24に送られる。
【0051】
印刷情報を取得した利便度判定部24は、取得した印刷情報に係るプリンタ(特定プリンタ)Pに対する出力回数(以下、回数と称する)を0で初期化した後、一の印刷情報を選択し(#23)、印刷出力評価値取得部24aは、#04から#08までの処理と同様の処理により、選択印刷情報の印刷出力評価値を取得する(#24〜#28)。
【0052】
次に、印刷出力評価値取得部24aは、選択印刷情報に含まれるファイル識別情報を抽出し、抽出したファイル識別方法をキーとしてファイル情報保存部26から、操作対象であるファイルの重要度を取得する(#29)。
【0053】
取得したファイルの重要度が所定の閾値THより大きい場合には(#30のYes分岐)、印刷出力評価値取得部24aは、選択印刷情報に含まれるユーザ識別情報を抽出し、抽出したユーザ識別情報をキーとして、ユーザ情報保存部27から、操作を行ったユーザの権限を取得する(#31)。
【0054】
ファイルの重要度とユーザの権限を取得した印刷出力評価値取得部24aは、これらを用いて、#28の処理により取得した印刷出力評価値を補正する。本実施形態では、重要度が高いほど、また、ユーザの権限が高いほど印刷出力評価値が大きくなるよう補正を行う。例えば、ファイルの重要度やユーザの権限に比例する関数に基づき補正係数を求め、印刷出力評価値に乗じることにより補正することができる。また、関数ではなくテーブルを用いて補正係数を取得することもできる。さらに、補正係数を印刷出力評価値に乗じるのではなく、加算することにより補正することもできる。このように印刷出力評価値を補正することにより、重要度の高いファイルを遠くに設置されているプリンタに出力した場合や権限の高いユーザが遠くのプリンタに出力した場合には、印刷出力評価値が高くなり、運用上における不便度を反映した印刷出力評価値を取得することができる。
【0055】
このようにして補正された印刷出力評価値は、#30における判定結果と共に利便度判定部24に送られる。なお、本実施形態では、ファイルの重要度とユーザの権限に基づいて印刷出力評価値を補正したが、いずれか一方のみに基づいて補正する構成としても構わない。
【0056】
印刷出力評価値を取得した利便度判定部24は、選択印刷情報に係る重要度が所定値以上である旨を印刷回数係数部24bに通知し、印刷回数係数部24bは特定プリンタPに対する回数をインクリメントする(#33)。また利便度判定部24は、#09の処理と同様に、特定プリンタPの総合評価値を更新する(#34)。
【0057】
一方、取得したファイルの重要度が所定の閾値TH以下の場合には(#30のNo分岐)、処理が#35に移行する。すなわち、ファイルの重要度が所定の閾値に満たないファイルに係る印刷情報は、印刷出力評価値が算出されず、また、回数の計数からも除外されることとなり、業務等に関連の大きなファイル等の印刷情報のみが総合評価値の算出の基礎とされるため、業務におけるプリンタPの利用度を的確に判定できる。
【0058】
上述の処理(#25〜#34)が、#23の処理で取得された全ての印刷情報に対して行われると(#35のNo分岐)、利便度判定部24は、特定プリンタPに対する回数に応じて、総合評価値を補正する(#36)。本実施形態においては、図9に示す回数と評価値とを関連付けたテーブル(以下、回数評価値テーブルと称する)から、回数に基づいて評価値を取得し、取得した評価値を総合評価値に加算することにより補正を行うものとする。このようにして取得された特定プリンタPの総合評価値は、特定プリンタPのプリンタ識別情報と共に制御部25に送られ、制御部25においてプリンタ識別情報と総合評価値とが関連付けられて一時記憶される。
【0059】
上述の処理(#23〜#36)が、全てのプリンタPに対する総合評価値が取得されるまで繰り返され、全てのプリンタPの総合評価値が取得されると(#37のNo分岐)、その旨が制御部25に通知され、制御部25により所定の制御が行われる(#38)。
【0060】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態では、操作ログ情報保存部21に保存されている操作ログ情報から、所定の条件を満たすものを抽出し、その抽出結果から一のプリンタPに係る操作ログ情報を抽出し、各々のプリンタPの総合評価値を算出した(#01〜#03)が、以下の処理フローを用いることもできる。
【0061】
まず、印刷情報生成部23は、位置情報保存部22から全てのプリンタPのプリンタ識別情報を取得する。次に、印刷情報生成部23は、取得したプリンタ識別情報から、一のプリンタ識別情報を選択し、その選択したプリンタ識別情報に係る操作ログを操作ログ保存部21から抽出する。このような構成とすることにより、所定期間に使用されていないプリンタをも特定することができ、設置されている全プリンタの利便度を漏れなく判定することができる。
【0062】
(2)また、上述の実施形態では、全てのプリンタPの総合評価値を取得した後に、制御部25により制御が行われたが、一のプリンタPの総合評価値が算出される都度、制御部25が制御を行っても構わない。
【0063】
(3)第2実施形態では、ファイル情報保存部26およびユーザ情報保存部27を備える構成としたが、他の代替処理により、これらを備えない構成とすることもできる。例えば、ファイルの重要度やユーザの権限をファイル識別情報やユーザ識別情報を用いて過去の操作ログ情報を検索することにより、これらの機能部を代替することができる。
【0064】
(4)上述の実施形態では、クライアントCが備えるべき機能部(操作ログ情報生成部11)以外の機能部はサーバSが備える形態としたが、これに限定されるものではなく、端末CにサーバSの機能部を持たせても良く、複数のサーバSを用いて機能部を分散配置する等、適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明によるプリンタ管理システムのシステム構成図
【図2】本発明によるプリンタ管理システムの第1実施形態における機能ブロック図
【図3】本発明によるプリンタ管理システムの第1実施形態における処理の流れを表すフローチャート
【図4】本発明によるプリンタ管理システムにおける評価値テーブルの例
【図5】本発明によるプリンタ管理システムにおける評価値テーブルの例
【図6】本発明のプリンタ管理システムの表示例
【図7】本発明によるプリンタ管理システムの第2実施形態における機能ブロック図
【図8】本発明によるプリンタ管理システムの第2実施形態における処理の流れを表すフローチャート
【図9】本発明によるプリンタ管理システムの第2実施形態における評価値テーブルの例
【符号の説明】
【0066】
C:端末
P:プリンタ
S:サーバ
10、20:ネットワークI/F
11:操作ログ情報生成部
21:操作ログ情報保存部
22:位置情報保存部
23:印刷情報生成部
24:利便度判定部
24a:印刷出力評価値取得部
24b:印刷回数係数部
25:制御部
26:ファイル情報保存部
27:ユーザ情報保存部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末の操作における処理内容を示す操作ログ情報を保存する操作ログ情報保存部を備え、前記端末とネットワークを介して接続されたプリンタの利便度を判定するプリンタ管理システムであって、
前記端末と前記プリンタの物理的な位置情報を保存する位置情報保存部と、
前記操作ログ情報保存部から、前記端末から前記プリンタに対する印刷に係る操作ログ情報を抽出し、抽出した当該操作ログ情報に基づき印刷情報を生成する印刷情報生成部と、
前記位置情報保存部の位置情報に基づき前記印刷情報に係る端末とプリンタとの距離を特定すると共に、当該距離と当該印刷情報とに応じて当該プリンタの利便度を判定する利便度判定部と、を備えたことを特徴とするプリンタ管理システム。
【請求項2】
前記利便度判定部は、前記印刷情報に係るファイルの重要度および前記印刷情報に係るユーザの権限の少なくとも一方を更に用いて、前記プリンタの利便度を判定することを特徴とする請求項1記載のプリンタ管理システム。
【請求項3】
前記利便度判定部は、前記印刷情報と前記距離に基づき、プリンタの利便性を表す印刷出力評価値を算出する印刷出力評価値取得部を備えると共に、前記プリンタに対する前記印刷出力評価値を用いて総合評価値を算出し、当該総合評価値に基づき当該プリンタの利便度を判定することを特徴とする請求項1又は2記載のプリンタ管理システム。
【請求項4】
端末における操作を表す操作ログ情報を保存する操作ログ情報保存部と、端末とプリンタの物理的な位置情報を保存する位置情報保存部とを備え、前記端末とネットワークを介して接続されたプリンタの利便度を判定するプリンタ管理システムのためのプリンタ管理プログラムであって、
前記操作ログ情報保存部から、前記端末から前記プリンタに対する印刷に係る操作ログ情報を抽出し、抽出した当該操作ログ情報に基づき印刷情報を生成する印刷情報生成機能と、
前記位置情報保存部の位置情報に基づき前記印刷情報に係る端末とプリンタとの距離を特定すると共に、当該距離と当該印刷情報とに応じて当該プリンタの利便度を判定する利便度判定機能と、をコンピュータに実現することを特徴とするプリンタ管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−20454(P2010−20454A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178939(P2008−178939)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(599108242)Sky株式会社 (257)
【Fターム(参考)】