説明

プリンタ装置

【課題】プリンタ装置において簡易で低コストな手法で以て、しかも装置の大型化を招かない手法で以て、切断片の貼り付き防止効果を得る。
【解決手段】プリンタ装置は、用紙1を切断するカッター24と、カッター24で切断されて重力方向Gに落下する切断片1bを収容する収容部26と、切断片1bが収容部26の内部へ落下する際の落下経路34を形成する表面36aを有した案内部材36とを有している。案内部材36の上記表面36aは落下経路34を収容部26の側に向かって広げる形状を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ装置、特に用紙の切断機能を有したプリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1,2に、連続紙に印刷を行い印刷後に当該連続紙を切断するタイプのプリンタ装置が紹介されている。
【0003】
特許文献1に記載のプリンタ装置では、印刷ユニット(サーマルプリンタ)の排紙口が前面扉に向かって斜め下方に傾いて配設されるように、印刷ユニット自体を前面扉に向けて斜め下向きに傾けている。この構成によれば、印刷ユニットの排紙口から排出された印刷済み用紙の落下を導きやすくなり、その結果、印刷済み用紙が過度の撓みおよび摩擦によって帯電して印刷ユニットに付着するのが回避される、と特許文献1には述べられている。
【0004】
特許文献2に記載のプリンタ装置は、カッターの後方に、印刷済み用紙を排紙口から前下方に向けて送り出す排出機構を有している。この排出機構によれば、印刷済み用紙の下面が排紙口の下縁部分と擦れ合うことがないので静電気の発生が抑えられ、その結果、印刷済み用紙が排紙口下方のフレームに貼り付くのを防ぐことができる、と特許文献2には述べられている。また、この排出機構によれば、印刷済み用紙が前方へと勢い付けられるので、排紙口下方のフレームに接触し難くなっている、と特許文献2には述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−305917号公報
【特許文献2】特開2010−5921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のプリンタ装置では、狭くて深い経路へ長尺の印刷済み用紙を落とし込まなければならないが、落下中の用紙の挙動を制御するものではないので、当該落下中の用紙と上記経路の広い壁面との接触、さらには静電気による貼り付きが発生する可能性があると考えられる。
【0007】
特に、特許文献1のプリンタ装置では、印刷ユニットを傾けた状態でプリンタ装置内に配設しなければならないので、そのための配設構造が大がかりになってしまう。
【0008】
また、特許文献2のプリンタ装置では、印刷済み用紙は勢い付けられて排出されるので排紙口下方の壁面から遠ざかることはできるが、落下中の用紙の挙動を制御するものではないので、排出された用紙が用紙受け部の他の壁面に貼り付く可能性があると考えられる。そのような場合、用紙受け部を大きくして用紙受け部の壁面を用紙の通過経路から離せばよいが、装置が大型化してしまう。また、印刷済み用紙を勢い付けて排出するので、その飛距離の点からも大型化の要因となる。
【0009】
特に、特許文献2の排出機構は印刷済み用紙を前方へ勢い付けるための回転駆動手段を有しているので、装置構造の複雑化やコストアップを招いてしまう。
【0010】
本発明は、プリンタ装置において簡易で低コストな手法で以て、しかも装置の大型化を招かない手法で以て、切断片の貼り付き防止効果を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係るプリンタ装置は、用紙を切断するカッターと、前記カッターで切断されて重力方向に落下する切断片を収容する収容部と、前記切断片が前記収容部の内部へ落下する際の落下経路を形成する表面を有した案内部材とを備え、前記案内部材の前記表面は前記落下経路を前記収容部の側に向かって広げる形状を有している。
【発明の効果】
【0012】
上記の一態様によれば、収容部へ至る落下経路が収容部の側に向かって広がっている。したがって、落下中の切断片から見て落下経路の壁面までの距離が、落下に従って大きくなっていく。このため、切断片が静電気を帯びていても、切断片が落下経路の壁面に貼り付きにくくなる(貼り付き防止効果)。かかる貼り付き防止効果は、特に案内部材の表面形状を、落下経路が収容部の側に向かって広がるように工夫したことに拠る。つまり、当該一態様に係る案内部材は貼り付き防止部材として機能する。また、貼り付き防止効果は案内部材の表面形状を上記のように形成することで得られるので、簡易で低コストな手法で以て、さらには装置の大型化を招くことなく、貼り付き防止効果を得ることができる。
【0013】
本発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態に係るプリンタ装置の外観を例示する斜視図である。
【図2】実施の形態に係るプリンタ装置で用いる用紙を例示する斜視図である。
【図3】実施の形態に係るプリンタ装置で用いる用紙の切断状態を例示する斜視図である。
【図4】実施の形態に係るプリンタ装置のフロントカバー部および排紙機構部を例示する斜視図である。
【図5】図4からフロントカバー部を取り除いた状態を例示する斜視図である。
【図6】図4に図示した構成の断面図である。
【図7】実施の形態に係る案内部材を例示する斜視図である。
【図8】図7に図示した案内部材の側面図である。
【図9】実施の形態に係る他の案内部材が適用されたプリンタ装置を例示する断面図である。
【図10】実施の形態に係る他の案内部材を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に実施の形態に係るプリンタ装置10の外観の斜視図を例示する。後述するが、プリンタ装置10は用紙を所定のサイズに切断する機構を装置内に有している。
【0016】
プリンタ装置10の外観は、図1の例では、各種の構成物(例えば後述の排紙機構部、印刷機構部、切断機構部等)から成るプリンタ本体を収容している本体筐体部12と、本体筐体部12の前面に取り付けられたフロントカバー部14とに大別される。図1の例によれば、フロントカバー部14は、プリンタ装置10の操作や動作確認等を行うための操作部16と、印刷済みの用紙を排出するための排紙口18とを有している。後述するが、フロントカバー部14のうちで排紙口18の下方の一部20は、用紙の切断によって生じた切断片を収容するための収容部を構成する。
【0017】
なお、プリンタ装置10における印刷方式として例えば熱転写方式を採用可能である。しかし、この例に限定されるものではなく、プリンタ装置10はインクジェットプリンタ、レーザプリンタ、LEDプリンタ等であっても構わない。
【0018】
図2にプリンタ装置10で用いる用紙1の斜視図を例示する。図2に例示の用紙1は、所定の幅寸法D1を有するとともに複数頁分(例えば、排紙口18から出力された際のサイズを1頁分または1枚分とする)の長さを有した長尺の用紙である。すなわち、用紙1は、いわゆる連続用紙である。連続用紙1は、例えばロール紙として供給され、プリンタ装置10にセッティングされる。連続用紙1は、一端側(ロール紙の場合、最外周の先端側)から印刷に利用される(図2中の紙送り方向Fを参照)。
【0019】
連続用紙1はプリンタ装置10内の切断機構によって、1枚分の印刷ごとに、印刷部分1aの前後において切断される(図2中の切断位置A,Bを参照)。切断された状態を図3の斜視図に例示する。印刷部分1aは排紙口18(図1参照)から排出される。
【0020】
図2および図3には、連続用紙1のうちで印刷部分1aの前方に余白部分1bが生じ、当該余白部分1bが切断される場合を例示している。但し、プリンタ装置10の構造によっては、余白部分1bが、印刷部分1aの後方に生じる場合もあるし、あるいは、印刷部分1aの前方および後方の両方に生じる場合もある。いずれの場合も余白部分1bは、印刷部分1aから切り離され、後述の収容部内に回収される。
【0021】
図2および図3に例示するように、余白部分1bは、典型的には、紙送り方向F(換言すれば用紙1の長尺方向)において印刷部分1aよりも短い。また、余白部分1bにおいて紙送り方向Fの寸法をD1bとすると、余白部分1bはD1b×D1のサイズの矩形をしている。典型的にはD1b<D1であるので、余白部分1bにおいて、寸法D1bの辺が短辺(換言すれば最小辺)を成し、寸法D1の辺が長辺(換言すれば最大辺)を成す。
【0022】
図4に、本体筐体部12を取り除いた状態の斜視図を例示する。図4には、フロントカバー部14および排紙機構部22が図示されている。また、図5に、図4からフロントカバー部14を取り除いた状態の斜視図を例示する。また、図6に、図4に図示した構成の断面図を例示する。図6は、用紙1の幅方向に直交する平面、換言すれば紙送り方向Fおよび重力方向Gの両方に平行な平面における断面図にあたる。
【0023】
排紙機構部22は、不図示の印刷機構部によって印刷が施された用紙1をフロントカバー部14の排紙口18へ向けて搬送し(図6中の紙送り方向Fを参照)、当該用紙1(より具体的には印刷部分1a)を排紙口18から排出するように構成されている。なお、プリンタ装置10では、排紙機構部22による排紙口18へ向けた紙送り方向Fが水平方向になるように、排紙機構部22が設けられている。
【0024】
図6に示されるように、排紙機構部22とフロントカバー部14の排紙口18との間には、カッター24を含んだ切断機構部が設けられている。当該切断機構部によって余白部分1bが連続用紙1から切断され、切断された余白部分1bは重力方向Gへ自由落下し、不要な切断片として収容部26内に収容される。余白部分1bの切断後、連続用紙1は排紙機構部22によって印刷部分1a(図2および図3参照)の長さ分だけ紙送り方向Fへ送り出され(これにより印刷部分1aの前方は排紙口18から突き出る)、切断機構部によって印刷部分1aが連続用紙1から切り離される。
【0025】
フロントカバー部14は、排紙口18の下辺部からカッター24の側、換言すれば紙送り方向Fとは逆方向へ向けて突出した突出部28を有している(図6参照)。当該突出部28は、排紙口18の下辺(換言すれば下縁)から斜め下方へ張り出した傾斜面を有しており、これにより印刷部分1aと余白部分1bをそれぞれの所定の経路へ案内可能である。
【0026】
具体的には、印刷部分1aの先端部が重力方向Gへ撓んだとしても、当該先端部が突出部28の上記傾斜面上に乗っていれば、排紙機構部22の紙送り動作によって印刷部分1aは排紙口18へ案内される。他方、突出部28の上記傾斜面上に余白部分1bが乗ったとしても、当該斜面は斜め下方へ傾斜しているので、印刷部分1aに比べて短い余白部分1bは切断後に収容部26へ向けて落下することになる。
【0027】
ここで、余白部分1bが用紙1から切り離されて落下を開始する地点を落下開始地点30と称することにする(図6参照)。落下開始地点30は、図6の例では、カッター24の前方(すなわちカッター24から見て紙送り方向Fの側)、換言すればカッター24と排紙口18の間に位置している。
【0028】
重力方向Gにおいて落下開始地点30の下方には、落下してきた余白部分1bを収容するための空間を提供する収容部26が設けられている。収容部26は、図示の例では、フロントカバー部14のうちで排紙口18の下方に位置する収容空間形成部分20と、収容空間形成部材32とを含んで構成される。収容空間形成部材32は、フロントカバー部14の収容空間形成部分20と組み合わされることによって、上部が開口した箱体を形成可能な形状を有している。すなわち、当該箱体の内部空間が余白部分1bを収容する空間を成し、当該箱体の上部開口は余白部分1bの落下開始地点30の下方に位置している。
【0029】
なお、収容空間形成部材32は、排紙機構部22に取り付けられている。また、収容空間形成部材32は、収容部26を形成する目的で準備された専用部材であっても構わないし、あるいは、他の目的も兼ね備えた兼用部材であっても構わない。また、ここで例示している収容部26は複数の部材20,32の組み合わせによって構成されるが、収容部26は上部に開口を有した単一の箱状部材によって具現化してもよい。また、落下してくる余白部分1bを収容可能であれば、収容部26を他の形状で構成してもよい。
【0030】
落下開始地点30の下方には、余白部分1bが収容部26の内部へ自由落下する際の落下経路34が確保されている。落下経路34を挟んで第1案内部材36と第2案内部材38とが対向しており、案内部材36,38において落下経路34に面する表面36a,38aが落下経路34の壁面に相当する。案内部材36,38は紙送り方向Fおよび重力方向Gに直交する方向、換言すれば用紙1の幅方向に延在している。ここでは、案内部材36,38の当該延在方向における寸法(幅寸法または横寸法とも称することにする)が同じであり、当該幅寸法が用紙1の幅寸法D1(図2および図3参照)に等しい場合を例示する。
【0031】
第1案内部材36は、落下経路34から見て紙送り方向Fの上流側に位置し、排紙機構部22に取り付けられている。第1案内部材36は、後述するように、落下する余白部分1bの貼り付きを防止可能な工夫が施されており、貼り付き防止部材としての機能を有している。
【0032】
第2案内部材38は、落下経路34から見て紙送り方向Fの下流側に位置し、フロントカバー部14の突出部28の下方においてフロントカバー部14に取り付けられている。図示の例では、第2案内部材38は上下方向(重力方向Gに平行な方向)において第1案内部材36と同程度の寸法を有しているが、第2案内部材38は第1案内部材36に比べて落下開始地点30から離れているので、第2案内部材38の下端部は第1案内部材36よりも下方に位置している。
【0033】
図示の例では、第2案内部材38のうちで落下経路34を形成する表面38aは、その大部分が紙送り方向Fに直交する平面状、換言すれば重力方向Gに平行を成す平面状をしている。第2案内部材38は例えば図6に例示されるように屈曲した断面視(換言すれば側面視)を有しているが、落下経路34に面する表面38aのうちの上記平面状部分38bを超えて第1案内部材36の側に位置する部分は存在しない。つまり、上記平面状部分38bが第1案内部材36に最も近い部位である。
【0034】
他方、第1案内部材36のうちで落下経路34を形成する表面36aは、図示の例では、上下方向(重力方向Gに平行な方向)において落下開始地点30と収容空間形成部材32との間に渡っている。
【0035】
特に第1案内部材36の上記表面36aは、収容部26の側へ向かうに従って(換言すれば重力方向Gに進むに従って)、第2案内部材38から遠ざかって行く(換言すれば落下経路34の側から見て後退している)。すなわち、第1案内部材36の上記表面36aは落下経路34を収容部26の側に向かって広げる形状を有している。
【0036】
ここで、図7および図8に、第1案内部材36の斜視図および側面図をそれぞれ例示する。図8は、図6の断面図と同様に、紙送り方向Fと重力方向Gの両方に直交する方向から見た場合の側面図である。
【0037】
図8の側面図および図6の断面図から分かるように、第1案内部材36の上記表面36aは複数の平面36bで構成されている。案内部材36の断面視および側面視によれば、これらの平面36bは階段状に順次連なっている。特に、複数の平面36bは、重力方向Gへ(すなわち収容部26の側へ)進むに従って、落下経路34側から見て後退する方向に順次連なっている。これにより、落下経路34を収容部26の側に向かって広げる上記形状が形成されている。図示の例では隣接する平面36bが90°を成しているが、隣接する平面36bが成す角度は鋭角であっても構わない。
【0038】
なお、複数の平面36bは、落下経路34の側から見て重力方向Gへ進むに従って手前方向に向かう構造を形成してはいない。このため、複数の平面36bで構成される上記表面36aは、落下経路34を狭窄する形状を含んでいない。
【0039】
複数の平面36bによる階段形状は、落下経路34の全長に渡って連続している。すなわち、第1案内部材36の表面36aによる落下経路34を広げる形状が、落下経路34の全長に渡っている。このため、落下経路34は連続的に広がっている。
【0040】
ここで、図8中に示す寸法D36b1,D36b2はいずれも、余白部分1bの最小辺の寸法D1b(図2および図3参照)に比べて短く設計されている(D36b1,D36b2<D1b)。図8中の上記寸法D36b1は、複数の平面36bに関する寸法のうちで重力方向Gに平行な最長辺の寸法である。また、図8中の上記寸法D36b2は、複数の平面36bに関する寸法のうちで紙送り方向Fに平行な最長辺の寸法であり、図示の例では上記寸法D36b1に比べて短い(D36b2<D36b1)。
【0041】
また、図7中に示す寸法D36は第1案内部材36の幅寸法であり、上記のようにここでは当該幅寸法D36が用紙1の幅寸法D1(図2および図3参照)に等しい場合を例示する。
【0042】
図7の例によれば、第1案内部材36の表面36aには突出部36cおよび陥没部36dが形成されており、これにより同一平面上に在る平面36b(図面の煩雑化を避けるため、図7では一部の平面36bに対してのみ符号36bを付している)どうしは、第1案内部材36の幅方向において分断されている。このため、案内部材36の幅方向における各平面36bの寸法は、当該案内部材36の幅寸法D36、すなわち用紙1の幅寸法D1(図2および図3参照)に比べて短くなっている。
【0043】
このように個々の平面36bは、余白部分1bと如何に重ね合わせたとしても、余白部分1bの全体が収まらない形状および寸法を有している。
【0044】
なお、例えば、突出部36cおよび陥没部36dを設けないことによって、各平面36bの幅寸法を第1案内部材36の幅寸法D36と等しくすることも可能である。しかし、そのような場合であっても、D36b1,D36b2<D1bという上記関係を満たす限り、単一の平面36bの範囲内に余白部分1bの全体が収まることはない。
【0045】
このような第1案内部材36によれば、次の効果が得られる。
【0046】
上記のように、第1案内部材36において余白部分1bの落下経路34に面する表面36は、落下経路34を収容部26の側に向かって広げる形状を有している。つまり、収容部26へ至る落下経路34が、収容部26の側に向かって広がっている。したがって、落下中の余白部分1bから見て落下経路34の壁面までの距離が、落下に従って大きくなっていく。このため、余白部分1bが静電気を帯びていても、余白部分1bが落下経路34の壁面に貼り付きにくくなる(貼り付き防止効果)。
【0047】
かかる貼り付き防止効果は、特に第1案内部材36の上記表面36aの形状を、落下経路34が収容部26の側に向かって広がるように工夫したことに拠る。このため、特許文献1,2で紹介されている貼り付き防止対策とは異なり、簡易で低コストな手法で以て、さらには装置の大型化を招くことなく、貼り付き防止効果を得ることができる。
【0048】
また、第1案内部材36の各平面36bの上記形状および寸法によれば、個々の平面36bが余白部分1bの全体と接触することがない。換言すれば、案内部材36の上記表面36aと余白部分1bとの接触面積を小さくすることができる。したがって、余白部分1bが案内部材36に貼り付きにくくなり、仮に貼り付いたとしても剥がれ落ちやすくなる。これにより、貼り付き防止効果を向上させることができる。
【0049】
また、突出部36cおよび陥没部36dによれば、同一平面上に在る平面36b群と余白部分1bとの接触面積を削減することができる。したがって、余白部分1bが案内部材36に貼り付きにくくなり、仮に貼り付いたとしても剥がれ落ちやすくなる。特に突出部36cによれば、同一平面上に在る平面36b群に渡って余白部分1bが密着するのを阻止することができる。このように突出部36cおよび陥没部36dの採用によって、貼り付き防止効果を向上させることができる。
【0050】
また、上記のように、複数の平面36bによる階段形状は落下経路34の全長に渡っており、その結果、第1案内部材36の表面36aによる落下経路34を広げる形状が、落下経路34の全長に渡っている。したがって、落下開始地点30付近から落下経路34を広げることできる。このため、落下開始地点30付近での貼り付き防止効果を向上させることができる。落下開始地点30付近、換言すればカッター24付近に余白部分1bが溜まると、例えば、それを取り除く手間がかかるし、あるいは、カッター24の稼動に支障をきたす可能性がある。しかし、落下開始地点30付近への貼り付きが防止されることによって、そのような手間や稼動支障を減少させることができる。
【0051】
図9および図10に、貼り付き防止部材として機能する別の第1案内部材40を例示する。図9は当該案内部材40が適用されたプリンタ装置10(図1参照)を例示した断面図である。なお、案内部材40以外の要素は上記の例と同様である(図6参照)。図10は当該案内部材40の斜視図である。第1案内部材40は、上記第1案内部材36(図6〜図8参照)と同じ位置に設けられており、余白部分1bの落下経路34を形成している。
【0052】
なお、図10中の寸法D40は第1案内部材40の幅寸法であり、ここでは当該幅寸法D40は上記第1案内部材36の幅寸法D36(図7参照)に等しい場合、換言すれば用紙1の幅寸法D1(図2および図3参照)に等しい場合を例示する(D40=D36=D1)。
【0053】
第1案内部材40において落下経路34に面する表面40aは全体として、上記第1案内部材36の表面36aと同様に、落下経路34を収容部26の側に向かって広げる形状を有している。このため、第1案内部材40によれば、簡易で低コストな手法で以て、さらには装置の大型化を招くことなく、貼り付き防止効果を得ることができる。
【0054】
また、第1案内部材40の上記表面40aは、図9および図10から分かるように、複数の平面40bで構成されている。なお、図面の煩雑化を避けるため、図10では一部の平面40bに対してのみ符号40bを付している。当該複数の平面40bは、鈍角を成し、かつ、重力方向Gへ進むにつれて落下経路34側から見て後退する方向へ、順次連なっている。これにより、収容部26の側に向かって広がる表面40aが形成されている。
【0055】
より詳細には、図示の例では、上記表面40aは、紙送り方向Fに直交する(したがって重力方向Gに平行を成す)平面40bと、紙送り方向Fおよび重力方向Gに対して傾斜し収容部26の側に向いた(すなわち下向きの)平面40bとの組み合わせで構成されており、下向き平面40bの部分において落下経路34が広がっている。
【0056】
なお、複数の平面40bには上向きの平面(すなわち落下開始地点30の側に向いた平面)が含まれておらず、このため複数の平面40bで構成される上記表面40aは落下経路34を狭窄する形状を含んでいない。
【0057】
個々の平面40bは、上記第1案内部材36の平面36bと同様に、余白部分1bと如何に重ね合わせたとしても余白部分1bの全体が収まらない形状および寸法を有している。このため、余白部分1bとの接触面積を減らして、貼り付き防止効果を向上させることができる。なお、図9および図10に例示した形状においても、各平面40bに、余白部分1bの最小辺の寸法D1b(図2および図3参照)に比べて短い辺を設けることは可能である。
【0058】
図10の例によれば、第1案内部材40の表面40aには突出部40cおよび陥没部40dが形成されている。このため、同一平面上に在る平面40bどうしは突出部40cおよび陥没部40dによって分断され、同一平面上に在る平面36b群と余白部分1bとの接触面積を削減することができる。これにより、上記第1案内部材36と同様に、貼り付き防止効果を向上させることができる。
【0059】
ここで、第1案内部材36,40の上記表面36a,40aの形状を、第2案内部材38の上記表面38a(図6および図9参照)に応用することも可能である。この場合、第1案内部材36,40と第2案内部材38とのうちの少なくとも一方の案内部材に上記表面形状を採用することによって、上記各種効果を得ることができる。
【0060】
また、上記では余白部分1bが収容部26へ収容される切断片である場合を例示したが、印刷部分1aを切断片として収容部26へ収容する場合(例えば余白部分1bを生じない場合や、余白部分1bを印刷部分1aから切断しない場合等が考えられる)にも上記各種構成を応用可能である。
【0061】
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0062】
1 用紙、1a 印刷部分、1b 余白部分、10 プリンタ装置、18 排紙口、22 排紙機構部、24 カッター、26 収容部、30 落下開始地点、34 落下経路、36,40 第1案内部材、36a,40a 表面、36b,40b 平面、36c,40c 突出部、36d,40d 陥没部、38 第2案内部材、F 紙送り方向、G 重力方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を切断するカッターと、
前記カッターで切断されて重力方向に落下する切断片を収容する収容部と、
前記切断片が前記収容部の内部へ落下する際の落下経路を形成する表面を有した案内部材と
を備え、
前記案内部材の前記表面は前記落下経路を前記収容部の側に向かって広げる形状を有している、
プリンタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタ装置であって、
前記案内部材の前記表面の前記形状は複数の平面で形成されており、前記複数の平面のそれぞれは前記切断片の全体が収まらない形状および寸法を有している、プリンタ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタ装置であって、
前記複数の平面のそれぞれは前記切断片の最小辺に比べて短い辺を有している、プリンタ装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のプリンタ装置であって、
前記案内部材は、前記複数の平面のうちで同一平面上に在る平面どうしを分断する突出部または陥没部を有している、プリンタ装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載のプリンタ装置であって、
前記案内部材の前記表面は前記落下経路を前記収容部の側に向かって広げる前記形状を、前記落下経路の全長に渡って有している、プリンタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−192634(P2012−192634A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58721(P2011−58721)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】