説明

プリンタ

【課題】本発明は、煩雑な作業を不要とし、インクリボンのしわの発生を抑えるプリンタを提供することを課題とする。
【解決手段】被印字媒体を供給する供給部と、ロール状のインクリボンを回転可能に支持するリボン供給軸と、前記インクリボンのインクを被印字媒体に転写させて印字を施すサーマルヘッド12と、前記サーマルヘッドとの間に前記インクリボンおよび前記被印字媒体を挟持して搬送するプラテンローラと、インク転写後のインクリボンを巻き取るリボン巻き取り軸と、前記サーマルヘッドによるインク転写後のインクリボンに当接し、インクリボン幅方向の中央を支点として揺動可能なリボン当接部材と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印字媒体をプラテンローラとサーマルヘッドとの間に挟持搬送して印字を施すプリンタに関し、特にインクリボンのインクを被印字媒体に転写して印字を施す熱転写型のプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクリボンにサーマルヘッドからの熱を与えることでインクリボンのインクを被印字媒体に転写して印字する熱転写プリンタが知られている。熱転写プリンタは、長尺状のインクリボンがロール状に巻回されたロールリボンを装填する供給軸と、供給軸のインクリボンを繰り出し搬送するプラテンローラと、プラテンローラに対向する位置に配置され、インクリボンに熱を加えるサーマルヘッドと、使用済みのインクリボンを巻き取る巻取軸を備えている。
【0003】
インクリボンは薄いフィルムで構成されているため、サーマルヘッドにより熱を加えることでインクリボンが伸び縮みしてしまい、結果としてインクリボンにリボン皺が発生してしまうという問題がある。特に被印字媒体の幅方向の一端側と他端側で極端に印字率が異なる場合、インクリボンの幅方向の一端側と他端側とでインクリボンの伸縮率が異なり、一端側または他端側のいずれかが極端に縮むことによってインクリボンの張りが一定でなくなり、結果としてリボン皺が発生する。
【0004】
このような問題を解決すべく、押し広げ部材からなる張力調整機構を設け、印字用リボンのしわが生じた場合にこの押し広げ部材を時計方向または反時計方向に回転させることにより印字用リボンの一端側または他端側に接触させるようにして皺の発生を緩和させるサーマルプリンタが知られている(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、オペレータが発生したインクリボンのしわの状況を見極め、上述した押し広げ部材の回転量を微調整しなければならないので、経験をつんだサービスマン等の作業に限定されてしまう問題がある。また、印字する情報が変更することによって被印字媒体の幅方向の一端側と他端側の印字率が変化するので、その都度張力調整機構での調整をしなければならず、煩雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−299213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、煩雑な作業を不要とし、インクリボンのしわの発生を抑えるプリンタを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプリンタは、被印字媒体を供給する供給部と、ロール状のインクリボンを回転可能に支持するリボン供給軸と、前記インクリボンのインクを被印字媒体に転写させて印字を施すサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドとの間に前記インクリボンおよび前記被印字媒体を挟持して搬送するプラテンローラと、インク転写後のインクリボンを巻き取るリボン巻き取り軸と、前記サーマルヘッドによるインク転写後のインクリボンに当接し、インクリボン幅方向の中央を支点として揺動可能なリボン当接部材と、を有することを特徴とする。
また、前記リボン当接部は、前記サーマルヘッドと一体にヘッドハウジングに組みつけられていることを特徴とする。
また、前記リボン供給軸および前記リボン巻き取り軸およびヘッドハウジングは、印字ユニットとして一体に組みつけられていることを特徴とする。
また、前記リボン当接部は、インクリボンの幅方向におけるリボン当接部の中心に位置し、揺動中心となる凸部を有することを特徴とする。
また、前記印字ユニットは前記リボン供給軸と前記リボン巻き取り軸がそれぞれ回転可能に設けられた右リボンフレーム及び左リボンフレームと、前記右リボンフレーム及び左リボンフレームの間に設けられ、前記凸部を当接させて前記リボン当接部を揺動可能に支持する当接部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のプリンタはインクリボン幅方向の中央を支点として揺動可能なリボン当接部材を設けたことによって、インクリボンの幅方向の一端側または他端側のいずれか一方側に強い引張り力が発生してもリボン当接部材が逃げる方向に揺動動作をするので一端側および他端側の引っ張り力が均一化し、インクリボンのしわの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るプリンタの実施の形態の構成を示す概略側面図である。
【図2】本発明に係るプリンタの実施の形態の上蓋部閉状態を示す外観斜視図である。
【図3】本発明に係るプリンタの実施の形態の上蓋部開状態を示す外観斜視図である。
【図4】図3に示すヘッドハウジングの構成を示す斜視図であり、(a)および(b)は、前面側から見た前面図であり、(c)は、後面側から見た後面図である。
【図5】ヘッドハウジングの分解斜視図である。
【図6】印字ユニットの斜視図である。
【図7】フレームカバーの斜視図である。
【図8】印字ユニットへのヘッドハウジングの組み付け動作を説明するための斜視図である。
【図9】印字ユニットへのヘッドハウジングの組み付け動作を説明するための斜視図である。
【図10】印字ユニットへのヘッドハウジングの組み付け動作を説明するための斜視図である。
【図11】印字ユニットにヘッドハウジングが組み付けられた状態を示す斜視図である。
【図12】ヘッド位置調整方法を説明するための説明図である。
【図13】図11のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明に係るプリンタの実施の形態の構成を示す概略側面図であり、図2は、本発明に係るプリンタの実施の形態の上蓋部閉状態を示す外観斜視図であり、図3は、本発明に係るプリンタの実施の形態の上蓋部開状態を示す外観斜視図であり、図4は、図3に示すヘッドハウジングの構成を示す斜視図であり、(a)および(b)は、前面側から見た前面図であり、(c)は、後面側から見た後面図であり、図5はヘッドハウジングの分解斜視図である。
【0013】
本実施の形態のプリンタ10は、図1を参照すると、印字部として、プラテンローラ11と、複数の発熱体が幅方向に形成されている面(以下、印字面と称す)がプラテンローラ11に対向するように配置されたサーマルヘッド12とを有し、複数枚のラベルが帯状台紙に仮着されているラベル連続体等の被印字媒体1とインクリボン2とを重ねてプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に挟持搬送し、サーマルヘッド12の発熱体を選択的に発熱させることにより、被印字媒体1にインクリボン2からインクを転写させて印字を施すように構成されている。
【0014】
被印字媒体1は、紙管等の筒状体にロール状に巻き回された状態、すなわちロール紙3として供給部13に回転可能に支持され、供給部13からプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に供給される。また、インクリボン2は、プラテンローラ11に連動して回転駆動されるリボン巻き取り軸14とリボン供給軸15との間に架け渡され、リボン供給軸15にロール状に巻き回された状態で支持されたインクリボン2が、プラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に被印字媒体1と共に供給され、転写後のインクリボン2が、リボン巻き取り軸14によって巻き取られるようになっている。
【0015】
また、プリンタ10は、プラテンローラ11および供給部13を備え、上部が解放された本体20と、本体20の上部を覆う上蓋部30と、サーマルヘッド12、リボン巻き取り軸14およびリボン供給軸15を備え、本体20と上蓋部30との間に配置された印字ユニット40とからなり、上蓋部30と印字ユニット40とは、本体20の奥側に設けられている支持軸17によって、回動自在に支持され、印字済みの印字媒体が排出される排出口16が設けられている手前側から開くように構成されている。
【0016】
図2は、上蓋部30が閉じられた閉状態のプリンタ10の外観が示されており、閉状態では、図1に示すように、印字ユニット40が本体20と上蓋部30とに挟まれて位置決めされ、印字ユニット40に備えられたサーマルヘッド12が本体に備えられたプラテンローラ11に押し当てられて位置決めされる。なお、印字ユニット40は、上蓋部30に嵌装可能に構成されており、図2に示す閉状態において、印字ユニット40は、上蓋部30に嵌装された嵌装状態となっている。
【0017】
図3は、上蓋部30が開けられた開状態のプリンタ10が示されており、上蓋部30と、印字ユニット40とをそれぞれ独立して回動させることができるようになっている。上蓋部30は、開閉ストッパ31によって、手を離しても図3に示す開状態に維持されるように構成されていると共に、印字ユニット40は、開閉ストッパ31の内側に突出する凸部31aにアーム部41が引っかかることで、図3に示す状態で上蓋30から独立して停止させることができるようになっている。なお、上蓋部30には、印字ユニット40に弾性を有して当接することで、印字ユニット40を嵌装状態に維持する図示しない弾性部材が設けられており、図2に示す閉状態から上蓋部30を開く際には、印字ユニット40も嵌装状態で上蓋部30と共に回動され、その後に、上蓋部30から本体20側に向かって印字ユニット40を引き出すことによって、図3に示す開状態となる。
【0018】
サーマルヘッド12は、ヘッドハウジング60に支持された状態で印字ユニット40に組み付けられるように構成されている。ヘッドハウジング60は、図4を参照すると、右側面62と、当該右側面62と平行な左側面64と、リボン供給軸15からプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に供給されるインクリボン2を案内するガイド面として機能する下面65とを有している。右側面62には、印字ユニット40に組み付けた際に、サーマルヘッド12(形成されている発熱体)よりも被印字媒体1の搬送方向上流側に位置する円形の被支持用凹部61aおよび当該被支持用凹部61aの下流側に位置して被支持用凹部61aと同一の径である円形の被支持用凹部61bが形成されている。また、左側面64には、印字ユニット40に組み付けた際に、サーマルヘッド12(形成されている発熱体)よりも被印字媒体1の搬送方向上流側に位置する円形の被支持用突起63a(支持手段)および当該被支持用突起63aの下流側に位置して被支持用突起63aと同一の径である円形の被支持用突起63bが形成されている。右側面62の被支持用凹部61aと左側面64の被支持用突起63aとが、軸心が一致するように対向して形成されていると共に、右側面62の被支持用凹部61bと左側面64の被支持用突起63bとが、軸心が一致するように対向して形成されている。
【0019】
また、図5はヘッドハウジング60の分解斜視図であり、同図に示すようにヘッドハウジング60は、サーマルヘッド12が固着され、上述した右側面62、左側面64、下面65を有する本体部61と、インクリボン2当接するリボン当接部材59と、本体部61とリボン当接部材59の間に位置するバネ63を有している。本体部61の右側面62および左側面64にはサーマルヘッド12に向かう方向に長い形状をした長孔66がそれぞれ形成され、リボン当接部材59がこの長孔66内を上下に移動可能に支持されている。また、本体部61とリボン当接部材59の間に設けられたバネ63は、リボン当接部59を本体部61から離反する方向に付勢している。
これにより、ヘッドハウジング60に固着されているサーマルヘッド12が、バネ63の付勢力によってプラテンローラ11に押圧されるようになっている。また、リボン当接部59のバネ63と当接する側の反対の面にはインクリボン2の搬送方向と平行な方向を長手方向とし、インクリボン2の幅方向の中央位置に配置された一筋の凸部67が設けられている。
【0020】
さらに、ヘッドハウジング60の右側面62および左側面64には、後述する支持シャフト80を介して印字ユニット40にヘッドハウジング60を支持する孔68がそれぞれ形成されている。孔68は、長孔66と同様にサーマルヘッド12に向かう方向に長い形状をし、ヘッドハウジング60を支持する支点軸となる後述する支持シャフト80が貫通される貫通孔であり、右側面62および左側面64にそれぞれ形成された孔68を貫通した支持シャフト80によって、ヘッドハウジング60が印字ユニット40に前後方向が位置決めされる。また、孔68は上下方向に長い形状でありヘッドハウジング60の後述する凸部67を中心にした揺動動作を妨げないように構成されている
【0021】
印字ユニット40は、図3を参照すると、一方端が支持軸17に支持されたアーム部41の解放端側に、リボン巻き取り軸14およびリボン供給軸15が回転可能にそれぞれ架け渡される右リボンフレーム42と左リボンフレーム43とが設けられている。右リボンフレーム42と左リボンフレーム43との間隔は、ヘッドハウジング60の幅よりも若干広く設定されており、右リボンフレーム42と左リボンフレーム43との間にヘッドハウジング60が組み付けられるようになっている。
【0022】
図6は印字ユニットを示す斜視図であり、左リボンフレーム43には、プラテンローラ11と共に回転駆動される伝達ギヤ21に対して図2に示す閉状態において咬合される被伝達ギヤ46と、被伝達ギヤ46からリボン巻き取り軸14に回転駆動力を伝達するギヤ等の図示しない駆動力伝達機構とが設けられている。また、左リボンフレーム43の右リボンフレーム42に対向する対向面には、ヘッドハウジング60の左側面64に形成されている被支持用突起63aよりも大きい径を有し、被支持用突起63aが緩装される円形の支持用凹部47aと、ヘッドハウジング60の左側面64に形成されている被支持用突起63bよりも大きい径を有し、被支持用突起63bが緩装される円形の支持用凹部47bとが形成されている。左リボンフレーム43と右リボンフレーム42の間には当接部材44が設けられ、後述するリボン当接部59の凸部67が当接する。
【0023】
右リボンフレーム42の左リボンフレーム43に対向する対向面の反対側の外面には、当該外面に対して垂直な枠部48が周縁部に形成されており、枠部48に囲われた領域は、被嵌装部49として機能し、図7に示すフレームカバー70が嵌脱可能になっている。フレームカバー70は、樹脂製の板状部材であり、被嵌装部49およびフレームカバー70の形状は、非対称になっており、被嵌装部49に対してフレームカバー70が一意の向きで嵌装される。
【0024】
被嵌装部49には、右リボンフレーム42を貫通して、リボン巻き取り軸14およびリボン供給軸15が延出されていると共に、フレームカバー70には、図7を参照すると被嵌装部49に延出しているリボン巻き取り軸14およびリボン供給軸15が挿入される貫通孔71、72が形成されている。従って、フレームカバー70を被嵌装部49に嵌装させた場合でも、リボン巻き取り軸14およびリボン供給軸15を操作できるようになっている。なお、リボン巻き取り軸14およびリボン供給軸15を被嵌装部49に延出させることなく、リボン巻き取り軸14およびリボン供給軸15に対応する箇所に形成された貫通孔71、72を介して、ドライバや専用の治具等によって操作するようにしても良い。また、駆動力伝達機構が障害にならない場合には、左リボンフレーム43側からリボン巻き取り軸14およびリボン供給軸15を操作できるように構成しても良い。
【0025】
被嵌装部49に位置する右リボンフレーム42には、組み付けられるヘッドハウジング60の右側面62に形成されている被支持用凹部61aおよび被支持用凹部61bにそれぞれ対応する箇所に、貫通孔50aおよび貫通孔50bがそれぞれ形成されている。フレームカバー70には、ヘッドハウジング60の右側面62に形成されている被支持用凹部61aよりも小さい径を有し、フレームカバー70の被嵌装部49への嵌装時に、貫通孔50aを貫通して被支持用凹部61aに緩装される円形の支持用突起74と、ヘッドハウジング60の右側面62に形成されている被支持用凹部61bよりも小さい径を有し、フレームカバー70の被嵌装部49への嵌装時に、貫通孔50bを貫通して被支持用凹部61bに緩装される円形の支持用突起75とが形成されている。
【0026】
フレームカバー70の側面、すなわち嵌装時に枠部48に対向する面には、枠部48に対して垂直な方向に変位する樹脂バネ部76が対向する2箇所に形成されており、樹脂バネ部76には、係合凸部77が形成されていると共に、枠部48には、嵌装時にフレームカバー70の樹脂バネ部76を操作できるように、樹脂バネ部76に対向する箇所に切り欠き51が形成されている。切り欠き51の近傍には、フレームカバー70の嵌装時に係合凸部77と係合する係合凹部52が形成されている。
【0027】
左リボンフレーム43の右リボンフレーム42に対向する対向面には、支持シャフト80を軸支する円形の支持用凹部47cが、右リボンフレーム42には、支持シャフト80が貫通される貫通孔50cがそれぞれ形成されている。支持シャフト80は、ヘッドハウジング60を支持する支点軸であり、左リボンフレーム43に形成された支持用凹部47cに嵌装される回動軸81aと、右リボンフレーム42に形成された貫通孔50cに嵌装され、回動軸81aと同一軸の回動軸81bとを有する。また、支持シャフト80において、回動軸81aと回動軸81bとの間は、ヘッドハウジング60に形成された孔68に貫通され、ヘッドハウジング60を軸支する円柱状の軸支部82となっている。軸支部82は、孔68と略同一の直径を有し、ヘッドハウジング60を印字ユニット40に対して 位置決めする。軸支部82の軸と、回動軸81aおよび回動軸81bの軸とは、軸芯が異なるように設定され、回動軸81aおよび回動軸81bに対して、軸支部82は、偏心部材として機能する。また、回動軸81bからは、被嵌装部49に延出する延出片83が形成されていると共に、延出片83には、支持シャフト80の回動を操作するための操作片84が形成されている。なお、フレームカバー70には、延出片83が移動可能な移動空間78が形成されていると共に、操作片84を操作するための開口79が形成されている。
【0028】
次に、本実施の形態における印字ユニット40へのヘッドハウジング60の組み付け動作について図8乃至図11を参照して詳細に説明する。
図8乃至図11は、印字ユニットへのヘッドハウジングの組み付け動作を説明するための斜視図であり、図11は、印字ユニットにヘッドハウジングが組み付けられた状態を示す斜視図である。
【0029】
印字ユニット40へのサーマルヘッド12を備えたヘッドハウジング60の組み付けは、まず、図8に示すように、ヘッドハウジング60の左側面64に形成されている被支持用突起63aを左リボンフレーム43の対向面に形成されている支持用凹部47aに緩装させると共に、ヘッドハウジング60の左側面64に形成されている被支持用突起63bを左リボンフレーム43の対向面に形成されている支持用凹部47bに緩装させ、図9に示すように、ヘッドハウジング60を右リボンフレーム42と左リボンフレーム43との間の所定の位置に挟み込む。
【0030】
これにより、ヘッドハウジング60の左側面64が、左リボンフレーム43の対向面に対して略位置決めされた状態となり、左リボンフレーム43の対向面に形成されている支持用凹部47cがヘッドハウジング60の左側面64に形成されている孔68と、右リボンフレーム42の対向面に形成されている貫通孔50cがヘッドハウジング60の右側面62に形成されている孔68とそれぞれ対向した状態となる。
【0031】
次に、図9に示すように右リボンフレーム42の対向面に形成されている貫通孔50cから、回動軸81aを先端にして支持シャフト80を挿入していき、ヘッドハウジング60の右側面62および左側面64にそれぞれ形成されている孔68を貫通させ、回動軸81aを左リボンフレーム43の対向面に形成されている支持用凹部47cに、回動軸81bが右リボンフレーム42の対向面に形成されている貫通孔50cにそれぞれ嵌装させる。これにより、支持シャフト80は、左リボンフレーム43と右リボンフレーム42との間に掛け渡されて回動可能に位置決めされると共に、軸支部82によってヘッドハウジング60が軸支された状態となる。
【0032】
次に、図10に矢印で示すように、側面に形成された樹脂バネ部76を押さえながら、フレームカバー70を被嵌装部49に嵌装させ、樹脂バネ部76を解放する。これにより、樹脂バネ部76に形成された係合凸部77が、枠部48に形成された係合凹部52に係合し、フレームカバー70が被嵌装部49に嵌装させた状態でロックされることになる。
【0033】
フレームカバー70が被嵌装部49に嵌装された状態では、フレームカバー70に形成されている支持用突起74が貫通孔50aを貫通して被支持用凹部61aに緩装されると共に、フレームカバー70に形成されている支持用突起75が貫通孔50bを貫通して被支持用凹部61bに緩装される。
【0034】
また、被嵌装部49に延出しているリボン巻き取り軸14、リボン供給軸15および操作片84は、図11に示すように、フレームカバー70に形成されている貫通孔71、72および開口79にそれぞれ挿入され、貫通孔71、72および開口79を介してリボン巻き取り軸14、リボン供給軸15および操作片84をそれぞれ操作することができるようになっている。
【0035】
印字ユニット40に組み付けられているヘッドハウジング60の取り外し動作は、印字ユニット40へのヘッドハウジング60の組み付け動作の反対の手順で行われる。すなわち、切り欠き51を介して、フレームカバー70の側面に形成された樹脂バネ部76を押さえることで、樹脂バネ部76に形成された係合凸部77と枠部48に形成された係合凹部52との係合を解除させ、側面に形成された樹脂バネ部76を押さえながら、フレームカバー70を被嵌装部49から取り外す。次に、支持シャフト80を抜き取ることで、右リボンフレーム42と左リボンフレーム43との間からヘッドハウジング60を取り外すことができるようになる。
【0036】
次に、本実施の形態におけるヘッド位置調整方法について図12を参照して説明する。
図12は、本発明に係るプリンタの実施の形態におけるヘッド位置調整方法を説明するための説明図である。
【0037】
本実施の形態のプリンタ10は、被印字媒体1としてタグやラベル等の厚さや材質の異なる用紙に対応することができ、用紙の厚さや材質に応じてプラテンローラ11に対するサーマルヘッド12のヘッド位置を調整できるようになっている。
【0038】
印字ユニット40にヘッドハウジング60が組み付けられた状態では、被印字媒体1の搬送方向におけるヘッドハウジング60の位置決めは、ヘッドハウジング60の右側面62および左側面64にそれぞれ形成された孔68を貫通した支持シャフト80によって行われる。すなわち支持シャフト80の軸支部82は、孔68と略同一の径を有しているため、支持シャフト80の軸支部82が孔68に貫通されることで、被印字媒体1の搬送方向においてヘッドハウジング60が位置決めされる。
【0039】
一方、軸支部82の軸と、回動軸81aおよび回動軸81bの軸とは、軸心が異なるように設定され、回動軸81aは、左リボンフレーム43に形成された支持用凹部47cに嵌装される回動軸81aに、回動軸81bは、右リボンフレーム42に形成された貫通孔50cにそれぞれ嵌装されて回動可能に支持されている。
【0040】
従って、図12(a)、(b)に示すように、操作片84を操作して、支持シャフト80を回動軸81aおよび回動軸81bを中心に回動させることで、軸支部82は、回動軸81aおよび回動軸81bに対して偏心部材として機能し、ヘッドハウジング60、すなわちサーマルヘッド12が被印字媒体1の搬送方向に距離Xだけ移動させ、プラテンローラ11に対するサーマルヘッド12のヘッド位置を調整することができる。
【0041】
なお、ヘッドハウジング60は、軸心が一致する右側面62の被支持用凹部61aおよび左側面64の被支持用突起63aが、フレームカバー70の支持用突起74および左リボンフレーム43の支持用凹部47aにそれぞれ緩装されると共に、軸心が一致する右側面62の被支持用凹部61bおよび左側面64の被支持用突起63bが、フレームカバー70の支持用突起75および左リボンフレーム43の支持用凹部47bにそれぞれ緩装さているが、被印字媒体1の搬送方向の遊びは、ヘッド位置を調整の移動範囲以上に設定されている。
【0042】
次に、本実施の形態におけるインクリボンの皺防止機能について図13を参照して詳細に説明する。図13は、図11のA−A線断面図であり、インクリボンの皺を防止するリボン当接部材59の動作を説明する説明図である。
【0043】
図13(a)を参照すると、印字ユニット40にヘッドハウジング60が組み付けられた状態では、印字面に対して垂直な方向におけるヘッドハウジング60、すなわちサーマルヘッド12の位置決めは、リボン当接部材59のサーマルヘッド配置面と反対の面に設けられた凸部67が当接部材44に当接することでインクリボン2の幅方向の中央の一点で位置決めされる。
インクリボン搬送時におけるインクリボン2の幅方向の一端側および他端側の引っ張り力が均一の場合、インクリボン2に当接するリボン当接部材59の一端側および他端側にも同様に均一の引張り力が加わることで凸部67を中心にしてつり合った状態となる。
【0044】
また、図13(b)および図13(c)に示すようにインクリボン2の幅方向の一端側および他端側の引っ張り力が不均一の場合、インクリボン2に当接するリボン当接部材59の一端側および他端側にも同様に不均一の引張り力が加わることで凸部67を中心にしてリボン当接部材59揺動した状態となる。図13(b)は右リボンフレーム42側により大きな引張り力が加わった場合の動作を示し、凸部67を中心として反時計回り方向にリボン当接部材59が揺動する。同様に図13(c)は左リボンフレーム43側により大きな引張り力が加わった場合の動作を示し、凸部67を中心として時計回り方向にリボン当接部材59が揺動する。尚、サーマルヘッド12はバネ63によってプラテンローラ11に押し付けられているため、リボン当接部材59が揺動したとしても水平の状態を保ったままの状態となる。
【0045】
以上のようにインクリボン2の幅方向の一端側または他端側のいずれか一方側に強い引張り力が発生してもリボン当接部材59が逃げる方向に揺動動作をすることで一端および他端側の引っ張り力が均一化することでインクリボン2のしわの発生を防止することができる。
【0046】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0047】
1 被印字媒体
2 インクリボン
3 ロール紙
10 プリンタ
11 プラテンローラ
12 サーマルヘッド
13 供給部
14 リボン巻き取り軸
15 リボン供給軸
16 排出口
17 支持軸
20 本体
21 伝達ギア
30 上蓋部
31 開閉ストッパ
31a 凸部
40 印字ユニット
41 アーム部
42 右リボンフレーム
43 左リボンフレーム
44 当接部材
46 被伝達ギヤ
47a、47b、47c 支持用凹部
48 枠部
49 被嵌装部
50a、50b、50c 貫通孔
51 切り欠き
52 係合凹部
59 リボン当接部材
60 ヘッドハウジング
61 本体部
61a、61b 被支持用凹部
62 右側面
63 バネ
63a、63b 被支持用突起
64 左側面
65 下面
66 長孔
67 凸部
68 孔
70 フレームカバー
71、72 貫通孔
74、75 支持用突起
76 樹脂バネ部
77 係合凸部
78 移動空間
79 開口
80 支持シャフト
81a、81b 回動軸
82 軸支部
83 延出片
84 操作片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印字媒体を供給する供給部と、
ロール状のインクリボンを回転可能に支持するリボン供給軸と、
前記インクリボンのインクを被印字媒体に転写させて印字を施すサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドとの間に前記インクリボンおよび前記被印字媒体を挟持して搬送するプラテンローラと、
インク転写後のインクリボンを巻き取るリボン巻き取り軸と、
前記サーマルヘッドによるインク転写後のインクリボンに当接し、インクリボン幅方向の中央を支点として揺動可能なリボン当接部材と、
を有することを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記リボン当接部は、前記サーマルヘッドと一体にヘッドハウジングに組みつけられていることを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記リボン供給軸および前記リボン巻き取り軸およびヘッドハウジングは、印字ユニットとして一体に組みつけられていることを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記リボン当接部は、インクリボンの幅方向におけるリボン当接部の中心に位置し、揺動中心となる凸部を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項5】
前記印字ユニットは前記リボン供給軸と前記リボン巻き取り軸がそれぞれ回転可能に設けられた右リボンフレーム及び左リボンフレームと、
前記右リボンフレーム及び左リボンフレームの間に設けられ、前記凸部を当接させて前記リボン当接部を揺動可能に支持する当接部材を備えることを特徴とする請求項4記載のプリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−214631(P2010−214631A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61277(P2009−61277)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】