説明

プリンタ

【課題】二つの分岐路及び分岐路の合流する合流路を有する場合に、詰まった記録媒体を除去する作業性を向上させたプリンタを提供する。
【解決手段】二つの分岐路Li1・Li2及びこれら分岐路Li1・Li2が合流する合流路Li0を通じて記録媒体Paを搬送するプリンタであり、分岐路Li1・Li2の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす分岐路ガイド部41a・41b(42a・42b)と、合流路Li0の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす合流路ガイド部40a・40bとを備え、第一の分岐路Li1の分岐路ガイド部41a・41b間の対向距離及び合流路Li0の合流路ガイド部40a・40b間の対向距離を搬送時とジャム除去時とで変更可能に構成するとともに、ジャム除去時に行う、分岐路ガイド部41a・41b間の対向距離を広げる変更動作と、合流路ガイド部40a・40b間の対向距離を広げる変更動作とを連動するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙等の記録媒体の詰まり(ジャム)への対応を適正化したプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタの一例としてサーマルプリンタは、例えば特許文献1に示されるように、印刷を行うヘッド部に対して供給可能な状態でロール状に巻回された用紙などの記録媒体を保持する給紙部と、給紙部に保持される記録媒体をヘッド部に供給する搬送手段とを有し、搬送手段により記録媒体をヘッド部に供給し、ヘッド部の加熱を通じて顔料などのインクを記録媒体に転写させることにより、若しくは、熱を感知すると色が変化する感熱紙等の記録媒体をヘッド部で加熱することにより、記録媒体への印刷を行う装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−314295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記プリンタにおいて、記録媒体の表裏を反転させたり、単一又は複数のヘッド部に記録媒体を供給したりする新たな態様を実現するために、二つの分岐路及びこれら分岐路が合流する合流路を設けることで複数の搬送経路を設定することが考えられる。分岐路及び合流路は、それぞれ対をなす板状のガイド部を対向配置することでガイド部同士の間に形成される。この場合、合流部分では記録媒体の詰まり(ジャム)が発生しやすいものの、詰まった記録媒体(ジャム媒体)は、ガイド部同士の間に挟まれているので、詰まった部分にある記録媒体に直接触ることができず、ジャム媒体を搬送経路に沿って引き抜く必要があり、ジャム媒体の除去作業性が悪く、除去作業に時間を要する。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、二つの分岐路及び分岐路の合流する合流路を有する場合に、詰まった記録媒体を除去する作業性を向上させたプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0007】
すなわち、本発明のプリンタは、二つの分岐路及びこれら分岐路が合流する合流路を有し、当該分岐路及び合流路を通じて記録媒体を搬送するプリンタであって、前記分岐路の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす分岐路ガイド部と、前記合流路の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす合流路ガイド部とを具備し、いずれか一方の分岐路である第一の分岐路から合流路までの搬送経路の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす分岐路ガイド部及び対をなす合流路ガイド部のうち前記搬送経路に沿って互いに隣接する一方の分岐路ガイド部及び合流路ガイド部を、各々に対向する他方の分岐路ガイド部及び合流路ガイド部に対して遠近可能にすることにより、前記第一の分岐路の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部間の対向距離及び前記合流路の記録媒体厚み方向両側にある合流路ガイド部間の対向距離を搬送時とジャム除去時とで変更可能に構成し、ジャム除去時に行う、前記第一の分岐路の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部間の対向距離を搬送時に比べて広げる変更動作と、前記合流路の記録媒体厚み方向両側にある合流路ガイド部間の対向距離を搬送時に比べて広げる変更動作とを連動するように構成したことを特徴とする。
【0008】
このように、両分岐路のいずれか一方の分岐路である第一の分岐路から合流路までの搬送経路の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす分岐路ガイド部及び対をなす合流路ガイド部のうち搬送経路に沿って互いに隣接する一方の分岐路ガイド部及び合流路ガイド部を、各々に対向する他方の分岐路ガイド部及び合流路ガイド部に対して遠近可能にすることにより、第一の分岐路の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部間の対向距離及び合流路の記録媒体厚み方向両側にある合流路ガイド部間の対向距離を搬送時とジャム除去時とで変更可能に構成し、ジャム除去時に、第一の分岐路の分岐路ガイド部間の対向距離及び合流路の合流路ガイド部間の対向距離を搬送時に比べて広げるので、ジャム除去時に第一の分岐路から合流路までの搬送経路のクリアランスが搬送時に比べて広がり、ジャム媒体の除去作業を容易としてジャム媒体除去の作業性を向上させることが可能となる。しかも、ジャム除去時に行う、第一の分岐路の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部間の対向距離を搬送時に比べて広げる変更動作と、合流路の記録媒体厚み方向両側にある合流路ガイド部間の対向距離を搬送時に比べて広げる変更動作とが連動するように構成しているので、一つの操作によって第一の分岐路及び合流路を広げることができ、それぞれを別々に広げる操作を行う場合に比べて操作性を向上してジャム除去の作業性を向上させることが可能となる。
【0009】
上記第一の分岐路及び合流路の変更動作を簡易な構成で連動させるためには、前記第一の分岐路から合流路までの搬送経路の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす分岐路ガイド部及び対をなす合流路ガイド部のうち前記搬送経路に沿って互いに隣接する一方の分岐路ガイド部と合流路ガイド部とを一体に形成し又は連結してガイドユニットとすることが好ましい。
【0010】
操作性を損なうことなく、ジャム媒体の除去作業性を向上させるためには、ガイドユニットに設けた支軸をスライド可能に支持する支持部と、ガイドユニットのうち支軸から変位した部位に関連付けられた操作手段とを設け、前記操作手段になされた回転操作によってガイドユニットが回転動作及びスライド動作を行い、当該ガイドユニットに対向する前記他方の分岐路ガイド部及び合流路ガイド部との間の対向距離を変更するように構成したことが望ましい。
【0011】
操作性の向上を図るためには、いずれか他方の分岐路である第二の分岐路の記録媒体厚み方向両側に配置される分岐路ガイド部間の対向距離を搬送時とジャム除去時とで変更可能に構成し、ジャム除去時に行う、前記第二の分岐路の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部間の対向距離を広げる変更動作と、前記ガイドユニットによる変更動作とを連動させる連動機構を設けていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上説明した構成であるから、ジャム除去時に、第一の分岐路の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部間の対向距離及び合流路の記録媒体厚み方向両側にある合流路ガイド部間の対向距離を搬送時に比べて広げ、第一の分岐路から合流路までの搬送経路のクリアランスを搬送時に比べて拡大させ、ジャム媒体除去の作業性を向上させることが可能となる。しかも、一つの操作によって第一の分岐路及び合流路を広げることができ、それぞれを別々に広げる操作を行う場合に比べて操作性を向上してジャム除去の作業性を向上させることが可能となる。したがって、詰まった記録媒体を除去する作業性を向上させたプリンタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンタを模式的に示す構成図。
【図2】二つの分岐路及びこれら分岐路の合流する合流路周辺の構成を示す斜視図。
【図3】搬送時における合流路周辺の構成を模式的に示す部分省略側面図。
【図4】ジャム除去時における合流路周辺の構造を模式的に示す部分省略側面図。
【図5】ロック機構の構成及び動作を模式的に示す側面図。
【図6】本発明の他の実施形態に係るプリンタの合流路周辺の構成を模式的に示す部分省略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
本実施形態のプリンタは、図1に示すように、ロール状に巻回された用紙等の記録媒体Paを保持する給紙部1と、記録媒体Paに印刷を行う複数のヘッド部2・3と、給紙部1から各々のヘッド部2・3に記録媒体Paを搬送する搬送手段4と、記録媒体Paの搬送制御やヘッド部2・3の印刷制御を行う制御部5とを有し、給紙部1に保持される記録媒体Paを搬送手段4によりヘッド部2・3へ搬送しつつヘッド部2・3で記録媒体Paの印刷を行うものである。
【0016】
給紙部1は、図1に示すように、ロール状に巻回された記録媒体Paをその軸心C1回りに回転可能に支持する軸支部11と、記録媒体Paを挟持してテンションを付与しつつ記録媒体Paの繰り出し位置を決定するための補助送りローラ12とを有し、図示しないモータ等の動力部により記録媒体Paを回転軸C1回りに正逆回転させて記録媒体Paの繰り出し又は巻き戻しを行い得るように構成されている。さらに、給紙部1は、図1に示すように、記録媒体Pa全体を回転軸Cn回りに回転可能にし、給紙部1を第一の回転位置ro1とした状態で記録媒体Paを供給可能にするとともに、給紙部1を第二の回転位置ro2とした状態で記録媒体Paを供給可能にすることにより、給紙部1からヘッド部2・3に至る記録媒体Paの表裏(姿勢)を反転可能に構成されている。図示のように、例えばヘッド部2に至る記録媒体Paの表裏を反転させることで、単一のヘッド部2により記録媒体Paの両面への印刷を可能にしている。
【0017】
ヘッド部2・3は、図1に示すように、図示しない発熱抵抗体が配置されたサーマルヘッド21と、顔料や染料等のインクを塗布したリボンPbをサーマルヘッド21に繰り出すとともにサーマルヘッド21に至ったリボンPbを巻き取る対をなすリボンローラ22・22と、サーマルヘッド21に対向配置されリボンPb及び記録媒体Paをサーマルヘッド21と共に挟持するプラテンローラ23とを備え、サーマルヘッド21の加熱によりリボンPbのインクを記録媒体Paに熱転写(印刷)する。
【0018】
搬送手段4は、給紙部1から各ヘッド部2・3に記録媒体Paを案内する複数の搬送経路Liと、ヘッド部に対する記録媒体Paの搬送を行う搬送ローラ部43とを有する。複数の搬送経路Liは、第一の回転位置ro1にある給紙部1から記録媒体Paの供給を受ける第一の分岐路Li1と、第二の回転位置ro2にある給紙部1から記録媒体Paの供給を受ける第二の分岐路Li2と、これら第一及び第二の分岐路Li1,Li2が合流する合流路Li0と、合流路Li0から分岐切換部44を介して一方のヘッド部2へ記録媒体Paを案内する第三の分岐路Li3と、合流路Li0から分岐切換部44を介して他方のヘッド部3へ記録媒体Paを案内する第四の分岐路Li4とにより形成される。分岐路及び合流路を始めとする搬送路は、対をなす板状のガイド部を適所の記録媒体厚み方向両側に対向配置することでガイド部同士の間に形成される。例えば、図示のように、第一の分岐路Li1は、記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす分岐路ガイド部41a・41bにより形成され、第二の分岐路Li2は、記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす分岐路ガイド部42a・42bにより形成され、合流路Li0は、記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす合流路ガイド部40a・40bにより形成される。
【0019】
分岐切換部44は、合流路Li0にある記録媒体Paを第三の分岐路Li3又は第四の分岐路Li4のいずれに案内するかを切り換えるもので、その切換動作は制御部5により制御される。搬送ローラ部43は、フィードローラ43a及びピンチローラ43bを有し、第三及び第四の分岐路Li3・Li4にある記録媒体Paをフィードローラ43a及びピンチローラ43bとで挟持しながらフィードローラ43aを図示しないモータ等の動力部を通じて回転駆動させることにより記録媒体Paを搬送する。
【0020】
制御部5は、周知のサーマルプリンタと同様にCPU、メモリ及びインターフェイスを具備する通常のマイクロコンピュータユニットにより構成されて、メモリ内に搬送制御ルーチンや印刷制御ルーチン等の所要のプログラムが書き込まれており、CPUは適宜必要なプログラムを呼び出して実行することにより、周辺ハードリソースと協働して、所期の搬送動作や印刷動作が実現される。
【0021】
上記構成では、分岐路Li1・Li2と合流路Li0との合流部分において記録媒体Paの進む向きが変わるため、合流部分で記録媒体Paの詰まり(ジャム)が生じやすい。ジャムが発生しやすくなる原因としては、記録媒体Paの向きが変わる場合だけでなく、ロール状に巻回したことにより記録媒体Paに巻き癖(カール)が付いていることも原因の一つであると考えられる。この場合、詰まった記録媒体Pa(ジャム媒体ともいう)は、ガイド部同士の間に挟まれているので、ジャム媒体の除去作業が容易ではなく、除去作業に時間を要する。
【0022】
この問題に加えて次の問題がある。すなわち、図3に示すように、合流路Li0及びその近傍には、CIS(Contact Image Sensor)等を用いて記録媒体Paの幅方向のエッジを検出することにより、搬送路における記録媒体Paの幅方向の位置を検出する用紙検出部Seが設けられているので、用紙検出部Seでの適切な検出のために合流路Li0にある記録媒体Paは一定の姿勢に維持されることが要求される。しかし、合流路Li0の下流(ヘッド部側)及び上流(給紙部側)にそれぞれ分岐路Li1〜Li4が接続されて搬送経路が屈曲しており、記録媒体Paの進む分岐路によって記録媒体Paの姿勢が変わることを防止すべく、用紙検出部Seの下流及び上流にそれぞれ対をなすローラ部70a・70b(71a・71b)が設けられている。ローラ部による記録媒体Paの保持力は両ローラ部間の距離に応じて変化するので、各ローラ間のギャップが、記録媒体Paの姿勢を一定に維持するために必要な保持力を得る所定距離となるように両ローラ部同士を精度良く位置決めする必要がある。例えば、このローラ部同士を精度良く位置決めするためにローラ部を一つの板金に固定してしまうと、ローラ部間に記録媒体Paが詰まった場合に、記録媒体Paがローラ部同士の間に挟まれるうえ、ローラ部の位置が不動となるので、ジャム媒体の除去作業が容易でなく、除去作業に時間を要する。
【0023】
そこで、図3及び図4に示すように、いずれか一方の分岐路である第一の分岐路Li1から合流路Li0までの搬送経路の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす分岐路ガイド部41a・41b及び対をなす合流路ガイド部40a・40bのうち上記搬送経路に沿って互いに隣接する一方の分岐路ガイド部41a及び合流路ガイド部40aを、各々に対向する他方の分岐路ガイド部41b及び合流路ガイド部40bに対して遠近可能にすることにより、第一の分岐路Li1の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部41a・41b間の対向距離及び合流路Li0の記録媒体厚み方向両側にある合流路ガイド部40a・40b間の対向距離を搬送時とジャム除去時とで変更可能に構成している。しかも、ジャム除去時に行う、第一の分岐路Li1の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部40a・40間の対向距離を搬送時に比べて広げる変更動作と、合流路Li0の記録媒体厚み方向両側にある合流路ガイド部41a・41b間の対向距離を搬送時に比べて広げる変更動作とが連動するように構成している。
【0024】
具体的には、図3に示すように、合流路ガイド部40a・40bとなる板状部位を有し互いの板状部位が対向配置される対をなす第一及び第二のガイドユニット60・61を設けている。第一のガイドユニット60の板状部位(合流路ガイド部40a)と、第二のガイドユニット61の板状部位(合流路ガイド部40b)との間には、記録媒体Paの搬送路(合流路Li0)が形成されている。両ガイドユニット60・61のうち一方のガイドユニットである第一のガイドユニット60は、第一の分岐路Li1及び合流路Li0に沿うように屈曲している。その屈曲部分よりも上流側(給紙部1側)の部位は、第一の分岐路Li1を形成する分岐路ガイド部41a・41bのうち一方の分岐路ガイド部41aに設定され、屈曲部分よりも下流側(ヘッド部2側)の部位は、合流路Li0を形成する合流路ガイド部40a・40bのうち一方の合流路ガイド部40aに設定されている。この分岐路ガイド部41aと合流路ガイド部40aとは第一の分岐路Li1から合流路Li0までの搬送経路に沿って互いに隣接している。また、第一のガイドユニット60は、この合流路ガイド部40aと分岐路ガイド部41aとを同一部材(板金)で一体に形成したものである。勿論、この合流路ガイド部40aと分岐路ガイド部41aとを別部材で形成して、両者を連結したものを第一のガイドユニットとしてもよい。
【0025】
第一及び第二のガイドユニット60・61には、図3に示すように、用紙検出部Seよりもヘッド部側に上ローラ部70a・70bが設けられ、給紙部側に下ローラ部71a・71bが設けられている。上ローラ部70a・70b同士及び下ローラ部71a・71b同士は、対向するローラ部同士で対をなし、搬送路(合流路Li0)にある記録媒体Paを各々の対向距離に応じた保持力で挟持するものである。各ガイドユニット60・61は、図2及び図3に示すように、合流路ガイド部40a・40bである板状部位の幅方向両端に側壁60s・61sが設けられており、これら側壁60s・61sに、上ローラ部70a・70bの支軸70as・70bs及び下ローラ部71a・71bの支軸が支持されている。
【0026】
第一のガイドユニット60は、図2〜図4に示すように、ローラ部70a・70b同士及び合流路ガイド部40a・40b同士が相対的に遠近可能となるように第一の位置p1又は第二の位置p2に移動可能に構成され、他方の第二のガイドユニット61は図示しないベースに固定されている。第一のガイドユニット60は、図3に示す記録媒体Paの搬送時に第一の位置p1にあり、図2及び図4に示すジャム除去時に第一の位置p1から第二の位置p2に移動可能に構成されている。図3に示す第一の位置p1では、合流路ガイド部40a・40b間及び分岐路ガイド部41a・41b間の対向距離がそれぞれD1・D2であり、図2及び図4に示す第二の位置p2では合流路ガイド部40a・40b間の対向距離D3が搬送時のD1よりも大きくなり、分岐路ガイド部41a・41b間の対向距離D4が搬送時のD2よりも大きくなるように設定している。なお、上記の対向距離は、各ガイド部の同一部位同士の距離である。
【0027】
このように第一のガイドユニット60を第一の位置p1又は第二の位置p2に移動可能にするために下記のように構成している。すなわち、図2及び図3に示すように、第二のガイドユニット61の側壁61sが、相手側たる第一のガイドユニット60を挟む位置まで延在しており、図3に示すように、この側壁61sに、第一のガイドユニット60自体の支軸となる上ローラ部70aの支軸70asを遠近方向に沿ってスライド可能に支持する基端支持部60xとして機能する長孔hoを形成している。また、図2に示すように、第一のガイドユニット60のうち支軸70asから変位した先端部位60bが、幅方向に沿って配置された基軸8a回りに回転可能なアーム状の先端支持部60yにより軸60sを介して支持されており、基端支持部60x及び先端支持部60yによって、第一のガイドユニット60が図4に示すようなスライド動作及び回転動作を行い得るように支持されている。第一のガイドユニット60は、図示しないねじりコイルバネやスプリングによって、対向する他方の合流路ガイド部40b及び分岐路41bから離間する方向、すなわち第一の位置p1から第二の位置p2に向けて付勢されている。
【0028】
さらに、図3に示すように、双方の上ローラ部70a・70b間に介在して両ローラ部70aの一方の回転軸が他方の回転軸から所定距離Ds離間した位置にあるように両ローラ部70a・70bを関連付ける関連部9を設けている。具体的には、関連部9は、第二のガイドユニット61の側壁61sの一部位に設定されるものである。上ローラ部70aのうち一方のローラ部70bの支軸70bsが関連部9たる側壁61sに取り付けられ、他方のローラ部70aの支軸70asは、図3及び図4に示すように、第一のガイドユニット60の移動によって関連部9と係合する位置t1又は係合を解除する位置t2に移動可能に構成されている。上記のように側壁61sに形成された長孔hoは、両ローラ部70a・70bの回転軸間の距離が所定距離Dsとなるように両ローラ部70a・70bのうち一方のローラ部70aが他方のローラ部70bに最も近づく位置を規定している。このように構成することにより、関連部9が、一方のローラ部70aの支軸70asと係合した係合した状態で両ローラ部70a・70bの回転軸間の距離が所定距離Dsとなるように、他方のローラ部70bの回転軸から一方のローラ部70aの支軸70asに係合する部位までの寸法w1が設定されている。
【0029】
図2、図3及び図4に示すように、第一のガイドユニット60の移動を操作するために、操作可能な操作手段8が設けられている。操作手段8は、幅方向に沿って配置された基軸8a軸回りに回転可能に操作レバー81を設けたもので、操作レバー81になされる回転操作に応じて第一のガイドユニット60を第一の位置p1又は第二の位置p2に移動させる。具体的には、操作レバー81の回転に伴って基軸8a回りに回転し、軸60sと係合して軸60sの位置を規定する第一の位置規定アーム82が設けられている。第一の位置規定アーム82は、第一のガイドユニット60を対向ガイド部から離間させる方向への回転操作が操作レバー81になされた場合(図示では時計回り)には、軸60sを介して第一の位置p1から第二の位置p2へ向かう方向の付勢力を受けつつ軸60sの位置を図3→図4のように移動させる。逆に、第一のガイドユニット60を対向ガイド部に近づける方向への回転操作が操作レバー81になされた場合(図示では反時計回り)には、軸60sを介して第一の位置p1から第二の位置p2へ向かう方向の付勢力に抗しつつ、第一のガイドユニット60を押圧して軸60sの位置を図4→図3のように移動させる。図4に示すように、第一の位置規定アーム82と軸60sとの接触点S1から当該第一の位置規定アーム82の回転軸心8aまでのモーメントの腕の長さw2よりも、操作レバー81の回転基点8aから先端82bまでの長さw3が長くなるようにしており、このために、小さな操作力での円滑な操作を可能としている。
【0030】
図2及び図5に示すように、ロック機構8xが設けられている。ロック機構8xは、第一のガイドユニット60が、搬送時にあるべき第一の位置p1からジャム除去時にあるべき第二の位置p2に向けて図示しないスプリング等の付勢手段により付勢されているため、第一のガイドユニット60を第一の位置p1に保持するものである。ロック機構8xは、鈎状部位を有し軸83s回りに回転可能なロック係合部83と、操作レバー81と共に基軸8a回りに回転可能なロックアーム88とを備えている。ロック係合部83は、図5(a)及び図5(b)に示すように、第一のガイドユニット60の軸60sと鈎状部位を係合して当該第一のガイドユニット60が第二の位置p2に向かうことを禁止する施錠位置g1又はこの施錠位置g1から退避する解錠位置g2に回転により移動可能に構成されている。ロックアーム88は、ロック係合部83のうち軸83sから変位した部位に設けたスタッド83aと係合し、操作レバー81への回転操作に応じてロック係合部83の回転位置を規定する規定面88aが形成されている。すなわち、操作レバー81になされた回転操作によりロック係合部83が施錠位置g1又は解錠位置g2に移動し、施錠又は解錠を切り換えがなされる。また、ロックアーム88には、ロック係合部83が施錠位置g1にあり且つロックアーム88が所定の回転角度範囲にあるときに、スタッド83aと係合してロック係合部83が施錠位置g1から解錠位置g2へ向かう回転動作を禁止する回転禁止面88bが形成されている。この姿勢変更禁止面88bは、部材の一部をL字状に切り欠いた状態にして規定面88aの一部と共に形成されている。この姿勢変更禁止面88bを設けることで、操作レバー81を図5(a)→図5(b)のように回転させるだけで、ロック機構8xの解除操作を別途に行うことなく、ロック機構8xの解錠及び施錠が可能となる。しかも、このような動作を切り欠きといった簡易な構成で実現している。勿論、スプリングの付勢方向を逆にした場合は、ロック機構を、第一のガイドユニット60を第二の位置に保持するように構成するとよい。
【0031】
また、第一の分岐路Li1及び合流路Li0だけでなく、第二の分岐路Li2についても経路のクリアランスを変更可能に構成している。すなわち、図3及び図4に示すように、第二の分岐路Li2を構成する分岐路ガイド部42a・42bのうち一方の分岐路ガイド部42aを他方の分岐路ガイド部42bに対して遠近可能とし、第二の分岐路Li2の記録媒体厚み方向両側に配置される分岐路ガイド部42a・42b間の対向距離を搬送時とジャム除去時とで変更可能に構成している。具体的には、分岐路ガイド部42aを有する第三のガイドユニット63を設け、この第三のガイドユニット63を第二のガイドユニット61の側壁61sに回転可能に支持させて、回転動作によって第一の位置p1又は第二の位置p2に移動可能に構成されている。図3に示す第一の位置p1では分岐路ガイド部42a・42b間の対向距離がD5であり、図4に示す第二の位置p2では分岐路ガイド部42a・42b間の対向距離が搬送時のD5よりも大きいD6となるように設定している。第三のガイドユニット63は、図示しないねじりコイルバネやスプリングによって、対向する分岐路ガイド部42bから離間する方向、すなわち第一の位置p1から第二の位置p2に向けて付勢されている。また、第二の基軸8b回りに回転可能に構成され第三のガイドユニット63の位置を規定する第二の位置規定アーム84が設けられている。第二の位置規定アーム84は、図3に示すように、或る方向(図示では時計回り)に回転する場合には、第一の位置p1から第二の位置p2へ向かう方向の付勢力を先端のローラ84aを介して受けつつ第三のガイドユニット63の位置を図3→図4のように移動させる。一方、図4に示すように、上記或る方向とは逆方向(図示では反時計回り)に回転する場合には、第一の位置p1から第二の位置p2へ向かう方向の付勢力に抗しつつ、第三のガイドユニット63を押圧して当該第三のガイドユニット63の位置を図4→図3のように移動させる。
【0032】
左右に配置した第一の分岐路Li1及び第二の分岐路Li2それぞれのクリアランス(対向距離)を同期させて変更するために、第一のガイドユニット60の回転動作と、第三のガイドユニット63の回転動作とを連動させる連動機構8yが設けられている。この連動機構8yは、リンク機構を用いたもので、第一のガイドユニット60の位置を規定する第一の位置規定アーム82と共に基軸8a回りに回転する左リンクアーム85と、第三のガイドユニット63の位置を規定する第二の位置規定アーム84と共に第二の基軸8b回りに回転する右リンクアーム86と、左右のリンクアーム85・86同士を連結する中リンク87とから構成されており、左リンクアーム85の回転角度が右リンクアーム86の回転角度と同じになるように、両アーム85・86の回転動作を同期させる。連動機構8yを構成する各リンク部材85〜87は、板金加工により形成されている。
【0033】
すなわち、図2及び図3に示すように、記録媒体Paの搬送時は、第一のガイドユニット60及び第三のガイドユニット63が第一の位置p1にあり、両ガイドユニット60・63は図示しないねじりコイルバネやスプリング等の付勢手段により第二の位置p2に向けて付勢されているものの、ロック機構8xにより第一の位置p1に保持されて、ロック状態にある。
【0034】
発生したジャムを除去するジャム除去時において、図3及び図4に示すように、操作手段8たる操作レバー81を時計回りに回転させると、ロック機構8xを構成するロック板83が図3の施錠位置g1から図4の解錠位置g2に移動し、第一のガイドユニット60の移動規制が解除された状態となる。更に操作レバー81の回転を継続すると、第一の位置規定アーム82の回転により第一のガイドユニット60が第一の位置p1から第二の位置p2に移動し、第一のガイドユニット60の移動に伴ってローラ部70a・71a及びガイド部40a・41aも共に相手側のローラ部70b・71b及びガイド部40b・41bから離間する方向に移動し、合流路ガイド部40a・40b(分岐路ガイド部41a・41b)間の距離及びローラ部70a・70b(71a・71b)間の距離が広がって第一の分岐路Li1及び合流路Li0のクリアランスが拡大する。このクリアランスは、下流から上流に亘り均一ではなく、下流から上流に向かうについて徐々に広がっている。この動作の際、連動機構8yにより第一の位置規定アーム82と同時に第二の位置規定アーム84が回転し、第三のガイドユニット63が第一の位置p1から第二の位置p2に移動し、第三のガイドユニットの移動に伴って分岐路ガイド部42aも共に相手側の分岐路ガイド部42bから離間する方向に移動し、分岐路ガイド部42a・42b間の距離が広がり、第二の分岐路Li2のクリアランスが拡大する。このクリアランスは、下流から上流に亘り均一ではなく、下流から上流に向かうについて徐々に広がっている。
【0035】
ジャム媒体の除去作業が終わり、操作レバー81を反時計回りに回転させると、第一のガイドユニット60及び第三のガイドユニット63が第二の位置p2から第一の位置p1へ戻る。この場合、第一のガイドユニット60の支点となるローラ部70aの支軸70asは、第二のガイドユニット61の側壁61sに形成された長孔hoに沿ってスライド移動し、長孔hoの右縁部と係合する。この右縁部から相手側のローラ部70bの回転軸までの寸法w1は、両ローラ部70a・70b間の距離が所定距離Dsになる寸法に設定されているので、両ローラ部70a・70bの距離が、記録媒体Paを一定姿勢に維持するために必要な保持力を得るための所定距離Dsとなり、上ローラ部70a・70b間のギャップが精度よく確保される。この際、下ローラ部71aは、上ローラ部70aと同一の部材である第一のガイドユニット60に設けられているので、上ローラ部70a・70b間の相対位置が決まると、これに追従して位置決めがなされ、下ローラ部71a・71b間のギャップがある程度の精度で適切に確保される。
【0036】
以上のように本実施形態に係るプリンタは、二つの分岐路Li1・Li2及びこれら分岐路Li1・Li2が合流する合流路Li0を有し、分岐路Li1・Li2及び合流路Li0を通じて記録媒体Paを搬送するプリンタであって、分岐路Li1・Li2の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす分岐路ガイド部41a・41b(42a・42b)と、合流路Li0の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす合流路ガイド部40a・40bとを具備し、いずれか一方の分岐路である第一の分岐路Li1から合流路Li0までの搬送経路の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす分岐路ガイド部41a・41b及び対をなす合流路ガイド部40a・40bのうち搬送経路に沿って互いに隣接する一方の分岐路ガイド部41a及び合流路ガイド部40bを、各々に対向する他方の分岐路ガイド部41b及び合流路ガイド部40bに対して遠近可能にすることにより、第一の分岐路Li1の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部41a・41b間の対向距離及び合流路Li0の記録媒体厚み方向両側にある合流路ガイド部40a・40b間の対向距離を搬送時とジャム除去時とで変更可能に構成し、ジャム除去時に行う、第一の分岐路Li1の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部41a・41b間の対向距離を搬送時に比べて広げる変更動作と、合流路Li0の記録媒体厚み方向両側にある合流路ガイド部40a・40b間の対向距離を搬送時に比べて広げる変更動作とを連動するように構成している。
【0037】
このように、両分岐路Li1・Li2のいずれか一方の分岐路である第一の分岐路Li1から合流路Li0までの搬送経路の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす分岐路ガイド部41a・41b及び対をなす合流路ガイド部40a・40bのうち搬送経路に沿って互いに隣接する一方の分岐路ガイド部41a及び合流路ガイド部40aを、各々に対向する他方の分岐路ガイド部41b及び合流路ガイド部40bに対して遠近可能にすることにより、第一の分岐路Li1の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部41a・41b間の対向距離及び合流路Li0の記録媒体厚み方向両側にある合流路ガイド部40a・40b間の対向距離を搬送時とジャム除去時とで変更可能に構成し、ジャム除去時に、第一の分岐路の分岐路ガイド部間の対向距離及び合流路の合流路ガイド部間の対向距離を搬送時に比べて広げるので、ジャム除去時に第一の分岐路Li1から合流路Li0までの搬送経路のクリアランスが搬送時に比べて広がり、ジャム媒体の除去作業を容易としてジャム媒体除去の作業性を向上させることが可能となる。しかも、ジャム除去時に行う、第一の分岐路Li1の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部40a・40b間の対向距離を搬送時に比べて広げる変更動作と、合流路Li0の記録媒体厚み方向両側にある合流路ガイド部41a・41b間の対向距離を搬送時に比べて広げる変更動作とが連動するように構成しているので、一つの操作によって第一の分岐路Li1及び合流路Li0を広げることができ、それぞれの変更動作を別々に行う場合に比べて操作性を向上してジャム除去の作業性を向上させることが可能となる。
【0038】
特に、本実施形態では、第一の分岐路Li1から合流路Li0までの搬送経路の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす分岐路ガイド部41a・41b及び対をなす合流路ガイド部40a・40bのうち搬送経路に沿って互いに隣接する一方の分岐路ガイド部41aと合流路ガイド部40aとを一体に形成して第一のガイドユニット60としているので、第一のガイドユニット60を、このガイドユニット60に対向する合流路ガイド部40b及び分岐路ガイド部41bから離間する方向に移動させるだけで、第一の分岐路Li1の分岐路ガイド部41a・41b間の対向距離がD2→D4のように広がるとともに、合流路Li0の合流路ガイド部40a・40b間の対向距離がD1→D3に広がるので、簡易な構成で双方の変更動作を連動することができる。
【0039】
ガイドユニット60を回転動作により対向距離を広げるように構成した場合には、回転軸近傍では対向距離が十分に広くならない。また、ガイドユニット60の移動動作を回転動作以外にすると、操作の軌道が複雑になるおそれがあり、操作性が損なわれてしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、上記の第一のガイドユニット60に設けた支軸70asをスライド可能に支持する支持部60xと、ガイドユニット60のうち支軸70asから変位した部位に関連付けられた操作手段8とを設け、操作手段8になされた回転操作によってガイドユニット60が回転動作及びスライド動作を行い、ガイドユニット60に対向する他方の分岐路ガイド部41b及び合流路ガイド部40bとの間の対向距離を変更するように構成したので、ガイドユニット60が回転動作及びスライド動作を行い、ただ単に回転動作のみする場合に比べて対向距離をより大きくすることができ、ジャム除去性を向上させることが可能となる。しかも、ガイドユニット60の回転動作及びスライド動作は、操作手段8への回転操作によりなされるので、ガイドユニット60の操作性を損なうこともない。また、回転操作を採用することでテコの原理を利用でき、スライド操作に比べて操作力を増大させることも可能となる。
【0040】
その他、いずれか他方の分岐路である第二の分岐路Li2の記録媒体厚み方向両側に配置される分岐路ガイド部42a・42b間の対向距離を搬送時とジャム除去時とで変更可能に構成し、ジャム除去時に行う、第二の分岐路Li2の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部42a・42b間の対向距離を広げる変更動作と、第一のガイドユニット60による変更動作とを連動させる連動機構8yを設けているので、操作手段8への操作によって第一の分岐路Li1の分岐路ガイド部41a・41b間および第二の分岐路Li2の合流路ガイド部40a・40b間の距離を広げる変更動作が連動するので、操作性を向上させることが可能となる。しかも、合流路ガイド部40a・40b(分岐路ガイド部41a・41b)を所定の位置(第一の位置p1)に保持するロック機構8xを設けている場合には、各々の分岐路Li1・Li2の変更動作を連動させることで、このロック機構8xを共通化することが可能となり、製造コストや省スペース化を図ることも可能となる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0042】
例えば、本実施形態では、対をなす第一及び第二のガイドユニット60・61のうち第一のガイドユニット60を移動可能とし、第二のガイドユニット61を固定しているが、両者を移動可能として、各々のガイドユニット60・61に設けられるローラ部70a・70b同士及び合流路ガイド部40a・40bを遠近可能にしてもよい。これは第三のガイドユニット63にも同様のことが言える。また、対をなす分岐路ガイド部41a・41b(42a・42b)のうち一方の分岐路ガイド部41a(42a)のみを移動可能にしているが、双方の分岐路ガイド部41a・41b(42a・42b)を移動可能にしてもよい。これは、他の合流路ガイド部40a・40b同士にも同様のことが言える。
【0043】
また、本実施形態では、連動機構8yは、左リンクアーム85と右リンクアーム86と中リンク87とで構成されるリンク機構であるが、図6に示すように、複数のギア180を噛み合い状態で隣接させて基軸8aと第二の基軸8bとの間で回転力を伝達するように連動機構108yを構成してもよい。また、同図に示すように、ガイドユニット63の位置を規定する位置規定アームの代わりに、偏心カム181を用いてもよい。
【0044】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0045】
41a・41b、42a・42b…分岐路ガイド部
40a・40b…合流路ガイド部
41a・41b…第一の分岐路の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部
42a・42b…第二の分岐路の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部
60…ガイドユニット
60x…基端支持部(支持部)
70as…ガイドユニットの支軸
8…操作手段
8y…連動機構
Li1、Li2…分岐路
Li0…合流路
Pa…記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの分岐路及びこれら分岐路が合流する合流路を有し、当該分岐路及び合流路を通じて記録媒体を搬送するプリンタであって、
前記分岐路の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす分岐路ガイド部と、前記合流路の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす合流路ガイド部とを具備し、
いずれか一方の分岐路である第一の分岐路から合流路までの搬送経路の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす分岐路ガイド部及び対をなす合流路ガイド部のうち前記搬送経路に沿って互いに隣接する一方の分岐路ガイド部及び合流路ガイド部を、各々に対向する他方の分岐路ガイド部及び合流路ガイド部に対して遠近可能にすることにより、前記第一の分岐路の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部間の対向距離及び前記合流路の記録媒体厚み方向両側にある合流路ガイド部間の対向距離を搬送時とジャム除去時とで変更可能に構成し、ジャム除去時に行う、前記第一の分岐路の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部間の対向距離を搬送時に比べて広げる変更動作と、前記合流路の記録媒体厚み方向両側にある合流路ガイド部間の対向距離を搬送時に比べて広げる変更動作とを連動するように構成したことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記第一の分岐路から合流路までの搬送経路の記録媒体厚み方向両側に配置される対をなす分岐路ガイド部及び対をなす合流路ガイド部のうち前記搬送経路に沿って互いに隣接する一方の分岐路ガイド部と合流路ガイド部とを一体に形成し又は連結してガイドユニットとした請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
ガイドユニットに設けた支軸をスライド可能に支持する支持部と、ガイドユニットのうち支軸から変位した部位に関連付けられた操作手段とを設け、前記操作手段になされた回転操作によってガイドユニットが回転動作及びスライド動作を行い、当該ガイドユニットに対向する前記他方の分岐路ガイド部及び合流路ガイド部との間の対向距離を変更するように構成した請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
いずれか他方の分岐路である第二の分岐路の記録媒体厚み方向両側に配置される分岐路ガイド部間の対向距離を搬送時とジャム除去時とで変更可能に構成し、ジャム除去時に行う、前記第二の分岐路の記録媒体厚み方向両側にある分岐路ガイド部間の対向距離を広げる変更動作と、前記ガイドユニットによる変更動作とを連動させる連動機構を設けている請求項2又は3に記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−162371(P2012−162371A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25288(P2011−25288)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】