プリンタ
【課題】印刷に要する時間を短縮してスループットを向上させた高速印刷可能なプリンタを提供する。
【解決手段】印刷部３と、所定の連続方向Ｘに沿って連続する記録媒体Ｐａを供給可能に保持する給紙部１と、記録媒体Ｐａを搬送する搬送手段２と、搬送手段２を通じて給紙部１から印刷部３に供給される記録媒体Ｐａの表裏を反転させる反転手段７とを有し、第一面ｆ及び第二面ｂにそれぞれ印刷され表裏をなす一組の画面を複数組分印刷する場合に、印刷部３と第一面ｆとが対面するように記録媒体Ｐａを搬送しつつ第一面ｆに印刷すべき複数組分の画面ｇ１・ｇ３・ｇ５を連続方向Ｘに沿って並べて連続印刷し、反転手段７により記録媒体Ｐａを裏返し、印刷部３と第二面ｂとが対面するように記録媒体Ｐａを搬送しつつ第二面ｂに印刷すべき複数組分の画面ｇ２・ｇ４・ｇ６を、第一面ｆに印刷された画面ｇ１・ｇ３・ｇ５と表裏をなすように連続方向Ｘに沿って並べて連続印刷する。
【解決手段】印刷部３と、所定の連続方向Ｘに沿って連続する記録媒体Ｐａを供給可能に保持する給紙部１と、記録媒体Ｐａを搬送する搬送手段２と、搬送手段２を通じて給紙部１から印刷部３に供給される記録媒体Ｐａの表裏を反転させる反転手段７とを有し、第一面ｆ及び第二面ｂにそれぞれ印刷され表裏をなす一組の画面を複数組分印刷する場合に、印刷部３と第一面ｆとが対面するように記録媒体Ｐａを搬送しつつ第一面ｆに印刷すべき複数組分の画面ｇ１・ｇ３・ｇ５を連続方向Ｘに沿って並べて連続印刷し、反転手段７により記録媒体Ｐａを裏返し、印刷部３と第二面ｂとが対面するように記録媒体Ｐａを搬送しつつ第二面ｂに印刷すべき複数組分の画面ｇ２・ｇ４・ｇ６を、第一面ｆに印刷された画面ｇ１・ｇ３・ｇ５と表裏をなすように連続方向Ｘに沿って並べて連続印刷する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、印刷部に搬送するロール用紙等の記録媒体の表裏を反転することにより両面印刷を行うプリンタに関する。
【背景技術】
【０００２】
プリンタの一例として例えば特許文献１には、ロール状に巻回され所定の連続方向に沿って連続する記録媒体を保持する給紙部と、給紙部から供給される記録媒体を搬送するローラ等の搬送手段と、搬送手段により搬送される記録媒体の表面及び裏面にそれぞれ印刷を行う表面用印刷部及び裏面用印刷部と、両面に印刷された記録媒体を切断する切断手段とを備えており、表面及び裏面に対して印刷を行い、両面印刷した記録媒体を切断手段により切断し、切断した記録媒体を一枚ずつ排出するプリンタが開示されている。このプリンタは、印刷部がサーマルヘッドとリボンとを有し、サーマルヘッドによりリボンを加熱してリボンに塗布されたインクやラミネート材等の転写物を記録媒体に熱転写する熱転写型のプリンタである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００６−３４７０５０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
上記のプリンタは、表面用印刷部及び裏面用印刷部というように複数の印刷部を設けているので、構成が冗長で製造コストが増大するうえ、使用時には複数の印刷部に対してリボン交換等のメンテナンスが必要となる。
【０００５】
このような印刷部を複数設けることによる不具合を解消するために、印刷部に至る記録媒体の表裏を反転させる反転手段を設けて、単一の印刷部で両面印刷を可能にすることが一つの有効な手段として考えられる。反転手段を実現する具体的な構成の一例としては、次の構成が挙げられる。すなわち、ロール状に巻回された記録媒体を供給可能に保持する給紙部と、給紙部から供給される記録媒体を印刷部に案内する搬送路とを有する場合に、給紙部全体を搬送路に対して回転可能に構成することで給紙部から搬送路を介して印刷部に至る記録媒体の表裏を反転するように構成することである。
【０００６】
この場合、両面印刷を行う際には、次に述べる一連の動作を行うことが一つの手段として考えられる。すなわち、記録媒体の表面に印刷する動作と、表面への印刷後において記録媒体を印刷部から一旦退避させ、退避させた記録媒体の裏面と印刷部とが対面するように記録媒体を裏返す反転動作と、反転動作の後において記録媒体の裏面に印刷する動作と、印刷済みの記録媒体を切断して排出する動作とが挙げられる。表面及び裏面にそれぞれ印刷される対をなす画面を一組として複数組分の画面を連続して印刷する場合には、一組毎に上記一連の動作を繰り返すことになり、複数組分の画面全ての印刷に要する時間は、一組分の画面の印刷に要する時間に比例するものの、印刷に要する時間をより一層短縮することが要求される。
【０００７】
これらの問題は、上記で述べたような給紙部を回転可能にすることで反転手段を構成した場合だけでなく、例えば単一の印刷部に対して記録媒体を案内する複数の搬送路を設けて、互いに逆差しとなる二方向から印刷部に対して記録媒体を案内するように構成したものなど、他の反転手段にも同様のことが言える。
【０００８】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、印刷に要する時間を短縮してスループットを向上させた高速印刷可能なプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【００１０】
すなわち、本発明に係るプリンタは、所定の連続方向に沿って連続する記録媒体の第一面及び第一面の裏面である第二面に対して印刷するための印刷部と、前記記録媒体を供給可能に保持する給紙部と、前記記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を通じて給紙部から印刷部に供給され且つ印刷部から一旦退避した記録媒体を前記印刷部へ再び供給する際に前記印刷部に対向する面が先に印刷部に供給されたときと表裏が入れ替わるように、前記印刷部から一旦退避した記録媒体を裏返す若しくは印刷部に至るまでに裏返るように印刷部へ案内する反転手段と、前記印刷部と第一面とが対面するように記録媒体を搬送しつつ第一面への印刷を行う第一面印刷動作と、前記第一面印刷動作の後において前記反転手段により記録媒体を裏返す反転動作と、前記反転動作の後において前記印刷部と第二面とが対面するように記録媒体を搬送しつつ第二面への印刷を行う第二面印刷動作とを司る制御部とを具備してなり、前記制御部は、第一面及び第二面にそれぞれ印刷され表裏をなす一組の画面を複数組分印刷する場合に、前記第一面印刷動作において第一面に印刷すべき複数組分の画面を前記連続方向に沿って並べて連続印刷するとともに、前記第二面印刷動作において第二面に印刷すべき複数組分の画面を、第一面に印刷された画面と表裏をなすように前記連続方向に沿って並べて連続印刷することを特徴とする。
【００１１】
この構成によれば、第一面及び第二面にそれぞれ印刷され表裏をなす一組の画面を複数組分印刷する場合に、第一面に印刷すべき複数組分の画面を連続方向に沿って並べて連続印刷し、反転手段により記録媒体の表裏を反転させて、第二面に印刷すべき複数組分の画面を、第一面に印刷された画面と表裏をなすように連続方向に沿って並べて連続印刷するので、一組分の画面を印刷する毎に反転動作を行う場合に比べて、反転動作の数を大幅に減らすことが可能となり、印刷に要する時間を短縮して高速な印刷を実現することが可能となる。
【００１２】
本発明の好適な適用例としては、前記給紙部から供給される記録媒体を前記印刷部に案内する搬送路を備え、前記給紙部は、ロール状に巻回された記録媒体をロールの中心軸回りの回転により繰り出し又は巻き取り可能に保持するもので、前記給紙部全体を前記搬送路に対して回転可能に構成することで前記搬送路に対する給紙部の姿勢を変更可能とし、前記給紙部の姿勢変更により前記給紙部から前記搬送路を介して前記印刷部に至る記録媒体の表裏を反転するように構成されていることが挙げられる。
【発明の効果】
【００１３】
本発明は、以上説明したように、第一面及び第二面にそれぞれ印刷され表裏をなす一組の画面を複数組分印刷する場合に、第一面及び第二面へ印刷すべき複数組分の画面を連続して印刷するので、記録媒体を裏返す反転動作の回数を大幅に低減でき、印刷に要する時間を短縮して高速な印刷を実現することが可能となる。したがって、スループットを向上させた高速印刷可能なプリンタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】本発明の一実施形態に係るプリンタを模式的に示す全体構成図。
【図２】記録媒体の第一面及び第二面に印刷する画面に関する説明図。
【図３】印刷動作を模式的に示す図。
【図４】印刷動作を模式的に示す図。
【図５】本実施形態のプリンタで実行される制御処理ルーチンを示すフローチャート。
【図６】本発明の他の実施形態に係るプリンタを模式的に示す全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【００１５】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【００１６】
本実施形態のプリンタは、図１に示すように、ロール状に巻回され所定の連続方向Ｘに沿って連続する連続紙等の記録媒体Ｐａを保持する給紙部１と、給紙部１から供給される記録媒体Ｐａを搬送する搬送手段２と、搬送手段２により搬送される記録媒体Ｐａに対して印刷を行う印刷部３と、印刷部３で印刷された記録媒体Ｐａを切断する切断手段４と、これら各手段・各部の駆動を制御する制御部５とを備えており、印刷指令に応じて文字や画像等からなる画面（印刷内容）を印刷部３において記録媒体Ｐａの表面ｆ及び裏面ｂに対してそれぞれ印刷し、切断手段４で印刷後の記録媒体Ｐａを切断し、切断した記録媒体Ｐａを排出側に搬送して筐体ｂｏに形成した排出口ｋｏから外部に排出する。一つの印刷指令が、図２に示すように、表面ｆ及び裏面ｂにそれぞれ印刷されて表裏をなす一組の画面を複数組分印刷することを指令する場合がある。
【００１７】
給紙部１は、図１に示すように、ロール状に巻回され所定の連続方向Ｘに沿って連続する記録媒体Ｐａを軸心Ｃ１回りに回転可能に支持する軸支部１１と、記録媒体Ｐａを挟持してテンションを付与しつつ記録媒体Ｐａの繰り出し位置を決定するための補助送りローラ１２とを有し、図示しないモータ等の動力部によりロール状の記録媒体Ｐａを軸心Ｃ１回りに正逆回転させて記録媒体Ｐａの繰り出し及び巻き戻しを行う。
【００１８】
搬送手段２は、図１に示す対をなす搬送ローラ２１や図示しないガイド等により構成され、対をなす搬送ローラ２１で記録媒体Ｐａを挟持した状態で少なくとも一方のローラを回転駆動することにより、排出側（筐体ｂｏに形成された排出口ｋｏ側）に向かう搬送路Ｌｉに沿って記録媒体Ｐａを搬送する。
【００１９】
印刷部３は、図１に示すように、搬送路Ｌｉを介して供給される記録媒体Ｐａの表面ｆ及び裏面ｂに対して印刷する。具体的には、複数色のインクや透明なラミネート材等の転写物を塗布したリボンＲｂを繰り出すリボンローラ３１と、図示しない発熱抵抗体が配置されたサーマルヘッド３２と、このサーマルヘッド３２に搬送路Ｌｉを挟んで対向配置されインクリボンＲｂ及び記録媒体Ｐａをサーマルヘッド３２とともに挟持するプラテンローラ３３とを備え、サーマルヘッド３２の発熱抵抗体への通電によりリボンＲｂを加熱してリボンＲｂの転写物を記録媒体Ｐａに熱転写し、図２に示すように、印刷指令に係る文字や画像等からなる画面ｇ１〜ｇ８を記録媒体Ｐａに形成（印刷）する。
【００２０】
切断手段４は、図１に示すように、記録媒体Ｐａを外部に排出するために、固定刃４１及び可動刃４２で記録媒体Ｐａを排出方向に直交する幅方向（主走査方向）に沿って切断する。
【００２１】
上記各部は、給紙部１側の上流から排出口ｋｏ側の下流に向かって搬送路Ｌｉに沿って順に印刷部３、切断手段４、排出口ｋｏの順に並んでおり、排出口ｋｏの下流側には、排出先として記録媒体Ｐａを受けるための排出トレイ６が設けられている。
【００２２】
さらに、図１に示すように、サーマルヘッド３２に至る記録媒体Ｐａの表裏を反転させる反転手段７が設けられ、単一のサーマルヘッド３２により記録媒体Ｐａへの両面印刷を可能としている。具体的には、図１に示すように、給紙部を回転軸Ｃｎ回りに回転可能に筐体ｂｏに支持させることにより給紙部１を搬送路Ｌｉに対して回転可能にし、図示しないモータ等の動力部により給紙部１を回転させて給紙部１が第一の姿勢ｐｏ１又は第二の姿勢ｐｏ２を取り得るように構成し、例えば図３（ｃ）に示すように記録媒体Ｐａの先端を搬送路Ｌｉから退避した状態で給紙部１を回転させてその姿勢を変更することにより、給紙部１から搬送路Ｌｉを介してサーマルヘッド３２に至る記録媒体Ｐａの表裏を反転させる反転手段７を実現している。言い換えると、反転手段７は、搬送手段２を通じて給紙部１から印刷部３に供給され且つ印刷部３から一旦退避した記録媒体Ｐａを印刷部３へ再び供給する際に印刷部３に対向する面が先に印刷部３に供給したときと表裏が入れ替わるように、印刷部から一旦退避した記録媒体Ｐａを裏返すように構成されているとも言える。なお、図示では単一のサーマルヘッド３２しか描いていないが、上記のような反転手段により両面印刷可能となるサーマルヘッドを複数設けてもよい。
【００２３】
また、図１に示すように、搬送路Ｌｉの上流端部には、補助送りローラ１２に挟持され先端が自由となっている記録媒体Ｐａを受けて搬送路Ｌｉの下流側に引き込むガイド部８が設けられている。ガイド部８は、対をなすガイド面８１同士の間隔がラッパ状に広げられて巻き癖がついている記録媒体Ｐａを円滑に受けるように形成されている。勿論、記録媒体Ｐａとガイド部８とが当たる位置が明確であれば、対向するガイド面８１の双方を傾斜させてラッパ状に形成する必要はなく、対向する両ガイド面８１のうちの一方のガイド面８１のみを傾斜させて受け面としてもよい。
【００２４】
さらに、図１に示すように、記録媒体Ｐａを一時的に巻き取り可能な巻取手段９が設けられており、サーマルヘッド３２と切断手段４との間の搬送路Ｌｉには、記録媒体Ｐａの搬送先を切断手段４又は巻取手段９のいずれかに切り換える切り換え部の役割を担う分岐部９０が設けられている。分岐部９０は、図示しない動力部により駆動し、その切り換えは制御部５により制御される。巻取手段９は、巻取ローラ９１を主体に構成されており、搬送手段２を構成する搬送ローラ２１に合わせて回転し、記録媒体Ｐａの巻き取り及び繰り出しを行う。
【００２５】
制御部５は、図１に示すように、周知のサーマルプリンタと同様にＣＰＵ、メモリ及びインターフェイスを具備する通常のマイクロコンピュータユニットにより構成されて、メモリ内に図５に示す制御処理ルーチン等の所要のプログラムが書き込まれており、ＣＰＵが適宜必要なプログラムを呼び出して実行することにより、周辺ハードリソースと協働して、所期の搬送動作や通電動作が実現される。
【００２６】
上記構成において、表面ｆである第一面ｆ及び裏面ｂである第二面ｂにそれぞれ印刷されて表裏をなす一組の画面を複数組分（例えば三組）両面印刷する場合を例に挙げて説明する。この例では、図２に示すように、画面ｇ１及びｇ２、画面ｇ３及びｇ４、画面ｇ５及びｇ６が表裏をなし、画面ｇ１、ｇ３、ｇ５を第一面ｆに、その他の画面ｇ２・ｇ４・ｇ６を第二面ｂに印刷するものである。
【００２７】
この場合、制御部５は、ステップＳＰ１（図５参照）において、図３（ａ）に示すように、給紙部１の姿勢を第一の姿勢ｐｏ１とし、第一面ｆに印刷すべき複数組分の画面ｇ１・ｇ３・ｇ５を連続印刷すべく、記録媒体Ｐａのうち第一面ｆに印刷すべき画面ｇ１・ｇ３・ｇ５を形成する予定の領域がサーマルヘッド３２よりも下流（排出側）になるように、第一面ｆに印刷すべき画面の数に応じた長さの記録媒体Ｐａを給紙部１から繰り出して、記録媒体Ｐａの先端側を巻取手段９に巻き取る。次のステップＳＰ２（図５参照）において、図３（ｂ）に示すように、印刷部３と第一面ｆとが対面するように、巻取手段９からサーマルヘッド３２を経由して給紙部１に向かう方向に記録媒体Ｐａを搬送しつつ第一面ｆへの印刷を行う（第一面印刷動作）。この第一面印刷動作において第一面ｆに印刷すべき複数組分の画面を連続方向に沿って並べて連続印刷する。具体例では、図２に示すように、画面ｇ１、ｇ３、ｇ５を順に第一面ｆに形成する。
【００２８】
ステップＳＰ２（図５参照）における第一面ｆへ印刷すべき複数組分の画面ｇ１・ｇ３・ｇ５の印刷が終わると、次のステップＳＰ３において制御部５は、図３（ｃ）に示すように、記録媒体Ｐａを給紙部１に巻き取り、記録媒体Ｐａの先端ｅｇを印刷部３及び搬送路Ｌｉから給紙部１側に退避させた状態にし、この状態で給紙部１の姿勢を回転により第一の姿勢ｐｏ１から第二の姿勢ｐｏ２に変更する（反転動作）。
【００２９】
次のステップＳＰ４（図５参照）において制御部５は、図４（ｄ）に示すように、第二面ｂに印刷すべき複数組分の画面ｇ２・ｇ４・ｇ６を連続印刷すべく、記録媒体Ｐａのうち第二面ｂに印刷すべき画面ｇ２・ｇ４・ｇ６を形成する予定の領域がサーマルヘッド３２よりも下流（排出側）になるように、第二面ｂに印刷すべき画面の数に応じた長さの記録媒体Ｐａを給紙部１から繰り出して、記録媒体Ｐａの先端側を巻取手段９に巻き取る。次のステップＳＰ５（図５参照）において制御部５は、図４（ｅ）に示すように、印刷部３と第二面ｂとが対面するように、巻取手段９からサーマルヘッド３２を経由して給紙部１に向かう方向に記録媒体Ｐａを搬送しつつ第二面ｂへの印刷を行う（第二面印刷動作）。この第二面印刷動作において第二面ｂに印刷すべき複数組分の画面を、第一面ｆに印刷された対応する画面と表裏をなすように連続方向に沿って並べて連続印刷する。具体例では、図２に示すように、第一面ｆに印刷された対応する画面ｇ１、ｇ３、ｇ５とそれぞれ表裏をなすように、画面ｇ２、ｇ４、ｇ６を順に第二面ｂに形成する。
【００３０】
ステップＳＰ５（図５参照）における第二面ｂへ印刷すべき複数組分の印刷が終わると、次のステップＳＰ６（図５参照）において制御部５は、図４（ｆ）に示すように、分岐部９０の搬送先を巻取手段９から切断手段４に切り換え、記録媒体Ｐａを排出側に搬送し、切断手段４により組単位で記録媒体Ｐａを切断し、一枚ずつ記録媒体Ｐａを排出口ｋｏから排出する。
【００３１】
以上説明したように、本実施形態のプリンタは、所定の連続方向Ｘに沿って連続する記録媒体Ｐａの第一面ｆ及び第一面ｆの裏面である第二面ｂに対して印刷するための印刷部３と、記録媒体Ｐａを供給可能に保持する給紙部１と、記録媒体Ｐａを搬送する搬送手段２と、搬送手段２を通じて給紙部１から印刷部３に供給され且つ印刷部３から一旦退避した記録媒体Ｐａを印刷部３へ再び供給する際に印刷部３に対向する面が先に印刷部３に供給されたときと表裏が入れ替わるように、印刷部３から一旦退避した記録媒体Ｐａを裏返す反転手段７と、印刷部３と第一面ｆとが対面するように記録媒体Ｐａを搬送しつつ第一面ｆへの印刷を行う第一面印刷動作と、第一面印刷動作の後において反転手段７により記録媒体Ｐａを裏返す反転動作と、反転動作の後において印刷部３と第二面ｂとが対面するように記録媒体Ｐａを搬送しつつ第二面ｂへの印刷を行う第二面印刷動作とを司る制御部５とを具備してなり、制御部５は、第一面ｆ及び第二面ｂにそれぞれ印刷され表裏をなす一組の画面を複数組分印刷する場合に、第一面印刷動作において第一面ｆに印刷すべき複数組分の画面ｇ１・ｇ３・ｇ５を連続方向Ｘに沿って並べて連続印刷するとともに、第二面印刷動作において第二面ｂに印刷すべき複数組分の画面ｇ２・ｇ４・ｇ６を、第一面ｆに印刷された画面ｇ１・ｇ３・ｇ５と表裏をなすように連続方向Ｘに沿って並べて連続印刷する。
【００３２】
このように、第一面ｆ及び第二面ｂにそれぞれ印刷され表裏をなす一組の画面を複数組分印刷する場合に、第一面ｆに印刷すべき複数組分の画面ｇ１・ｇ３・ｇ５を連続方向Ｘに沿って並べて連続印刷し、反転手段７により記録媒体Ｐａの表裏を反転させて、第二面ｂに印刷すべき複数組分の画面ｇ２・ｇ４・ｇ６を、第一面ｆに印刷された画面ｇ１・ｇ３・ｇ５と表裏をなすように連続方向Ｘに沿って並べて連続印刷するので、一組分の画面を印刷する毎に反転動作を行う場合に比べて、反転動作の数を大幅に減らすことが可能となり、印刷に要する時間を短縮して高速な印刷を実現することが可能となる。
【００３３】
本実施形態では、印刷部３がサーマルヘッド３２を用いて構成されている熱転写型プリンタであるので、記録媒体Ｐａを巻き戻す間と給紙部１を回転させる間すなわち反転動作の間に、サーマルヘッド３２が冷めてしまう。この場合、損なわれた熱を補うために、加熱時間及び加熱のためのエネルギー（電気）が必要となるが、反転動作の回数を低減することができるので、加熱時間を低減するとともに、エネルギーの消費を抑えて省エネ化を図ることが可能となる。
【００３４】
特に、本実施形態では、給紙部１から供給される記録媒体Ｐａを印刷部３に案内する搬送路Ｌｉを備え、給紙部１は、ロール状に巻回された記録媒体Ｐａをロールの中心軸Ｃ１回りの回転により繰り出し又は巻き取り可能に保持するもので、給紙部１全体を搬送路Ｌｉに対して回転可能に構成することで搬送路Ｌｉに対する給紙部１の姿勢を変更可能とし、給紙部１の姿勢変更により給紙部１から搬送路Ｌｉを介して印刷部３に至る記録媒体Ｐａの表裏を反転するように構成されているので、印刷部３に至る記録媒体Ｐａの表裏を反転させるための反転動作が、給紙部１への巻き取り動作と、給紙部１全体の回転による姿勢変更動作とからなり、これら動作には時間を要するので、上記反転動作の数を低減して得られる時間短縮のメリットが大きく、上記発明の好適な適用例として挙げられる。
【００３５】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【００３６】
例えば、本実施形態では、表面を第一面とし、裏面を第二面として説明しているが、裏面を第一面とし、表面を第二面としてもよい。また、本実施形態では、記録媒体Ｐａを一時的に巻き取る巻取手段９を設けているが、サーマルヘッド３２（印刷部３）から切断手段４や排出口ｋｏまでの搬送路Ｌｉに、記録媒体Ｐａを退避させるためのスペースがあれば、巻取手段９を省略することが可能である。この場合、連続印刷可能な組の数は、記録媒体Ｐａを退避させるためのスペースによって定まるので、制御部は、この数を超えない範囲で連続印刷を行う。
【００３７】
本実施形態では、反転手段７は、搬送手段２を通じて給紙部１から印刷部３に供給され且つ印刷部３から一旦退避した記録媒体Ｐａを印刷部３へ再び供給する際に印刷部３に対向する面が先に印刷部３に供給されたときと表裏が入れ替わるように、印刷部３から一旦退避した記録媒体Ｐａを裏返すものであるが、例えば図６（ａ）に示すように、給紙部１から供給される記録媒体Ｐａを単一の印刷部３に対して案内する搬送路を複数設けて、複数の搬送路Ｌｉを通じて互いに逆差しとなる二方向から印刷部３に対して記録媒体Ｐａを案内するようにして反転手段１０７を構成してもよい。すなわち、反転手段１０７は、搬送手段２を通じて給紙部１から印刷部３に供給され且つ印刷部３から一旦退避した記録媒体Ｐａを印刷部３へ再び供給する際に印刷部３に対向する面が先に印刷部３に供給されたときと表裏が入れ替わるように、印刷部３から一旦退避した記録媒体Ｐａを印刷部に至るまでに裏返るように印刷部３に案内するように構成されている。反転手段１０７は、搬送手段２とほぼ同様に、ローラやガイド等により構成される。
【００３８】
また、図６（ｂ）に示すように、印刷部３によって第一面又は第二面の一方に印刷され且つ切断手段４によって所定サイズに切断された記録媒体Ｐａを裏返すことが可能な裏返し経路を有し、裏返した記録媒体Ｐａを印刷部３へ搬送可能な反転手段２０７を設けてもよい。反転手段２０７は、既存の搬送手段２とほぼ同様に、ローラやガイド等により構成される。
【００３９】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【００４０】
１…給紙部
２…搬送手段
３…印刷部
５…制御部
７…反転手段
Ｘ…連続方向
Ｐａ…記録媒体
ｆ…第一面
ｂ…第二面
ｇ１〜ｇ６…画面
Ｌｉ…搬送路
【技術分野】
【０００１】
本発明は、印刷部に搬送するロール用紙等の記録媒体の表裏を反転することにより両面印刷を行うプリンタに関する。
【背景技術】
【０００２】
プリンタの一例として例えば特許文献１には、ロール状に巻回され所定の連続方向に沿って連続する記録媒体を保持する給紙部と、給紙部から供給される記録媒体を搬送するローラ等の搬送手段と、搬送手段により搬送される記録媒体の表面及び裏面にそれぞれ印刷を行う表面用印刷部及び裏面用印刷部と、両面に印刷された記録媒体を切断する切断手段とを備えており、表面及び裏面に対して印刷を行い、両面印刷した記録媒体を切断手段により切断し、切断した記録媒体を一枚ずつ排出するプリンタが開示されている。このプリンタは、印刷部がサーマルヘッドとリボンとを有し、サーマルヘッドによりリボンを加熱してリボンに塗布されたインクやラミネート材等の転写物を記録媒体に熱転写する熱転写型のプリンタである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００６−３４７０５０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
上記のプリンタは、表面用印刷部及び裏面用印刷部というように複数の印刷部を設けているので、構成が冗長で製造コストが増大するうえ、使用時には複数の印刷部に対してリボン交換等のメンテナンスが必要となる。
【０００５】
このような印刷部を複数設けることによる不具合を解消するために、印刷部に至る記録媒体の表裏を反転させる反転手段を設けて、単一の印刷部で両面印刷を可能にすることが一つの有効な手段として考えられる。反転手段を実現する具体的な構成の一例としては、次の構成が挙げられる。すなわち、ロール状に巻回された記録媒体を供給可能に保持する給紙部と、給紙部から供給される記録媒体を印刷部に案内する搬送路とを有する場合に、給紙部全体を搬送路に対して回転可能に構成することで給紙部から搬送路を介して印刷部に至る記録媒体の表裏を反転するように構成することである。
【０００６】
この場合、両面印刷を行う際には、次に述べる一連の動作を行うことが一つの手段として考えられる。すなわち、記録媒体の表面に印刷する動作と、表面への印刷後において記録媒体を印刷部から一旦退避させ、退避させた記録媒体の裏面と印刷部とが対面するように記録媒体を裏返す反転動作と、反転動作の後において記録媒体の裏面に印刷する動作と、印刷済みの記録媒体を切断して排出する動作とが挙げられる。表面及び裏面にそれぞれ印刷される対をなす画面を一組として複数組分の画面を連続して印刷する場合には、一組毎に上記一連の動作を繰り返すことになり、複数組分の画面全ての印刷に要する時間は、一組分の画面の印刷に要する時間に比例するものの、印刷に要する時間をより一層短縮することが要求される。
【０００７】
これらの問題は、上記で述べたような給紙部を回転可能にすることで反転手段を構成した場合だけでなく、例えば単一の印刷部に対して記録媒体を案内する複数の搬送路を設けて、互いに逆差しとなる二方向から印刷部に対して記録媒体を案内するように構成したものなど、他の反転手段にも同様のことが言える。
【０００８】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、印刷に要する時間を短縮してスループットを向上させた高速印刷可能なプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【００１０】
すなわち、本発明に係るプリンタは、所定の連続方向に沿って連続する記録媒体の第一面及び第一面の裏面である第二面に対して印刷するための印刷部と、前記記録媒体を供給可能に保持する給紙部と、前記記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を通じて給紙部から印刷部に供給され且つ印刷部から一旦退避した記録媒体を前記印刷部へ再び供給する際に前記印刷部に対向する面が先に印刷部に供給されたときと表裏が入れ替わるように、前記印刷部から一旦退避した記録媒体を裏返す若しくは印刷部に至るまでに裏返るように印刷部へ案内する反転手段と、前記印刷部と第一面とが対面するように記録媒体を搬送しつつ第一面への印刷を行う第一面印刷動作と、前記第一面印刷動作の後において前記反転手段により記録媒体を裏返す反転動作と、前記反転動作の後において前記印刷部と第二面とが対面するように記録媒体を搬送しつつ第二面への印刷を行う第二面印刷動作とを司る制御部とを具備してなり、前記制御部は、第一面及び第二面にそれぞれ印刷され表裏をなす一組の画面を複数組分印刷する場合に、前記第一面印刷動作において第一面に印刷すべき複数組分の画面を前記連続方向に沿って並べて連続印刷するとともに、前記第二面印刷動作において第二面に印刷すべき複数組分の画面を、第一面に印刷された画面と表裏をなすように前記連続方向に沿って並べて連続印刷することを特徴とする。
【００１１】
この構成によれば、第一面及び第二面にそれぞれ印刷され表裏をなす一組の画面を複数組分印刷する場合に、第一面に印刷すべき複数組分の画面を連続方向に沿って並べて連続印刷し、反転手段により記録媒体の表裏を反転させて、第二面に印刷すべき複数組分の画面を、第一面に印刷された画面と表裏をなすように連続方向に沿って並べて連続印刷するので、一組分の画面を印刷する毎に反転動作を行う場合に比べて、反転動作の数を大幅に減らすことが可能となり、印刷に要する時間を短縮して高速な印刷を実現することが可能となる。
【００１２】
本発明の好適な適用例としては、前記給紙部から供給される記録媒体を前記印刷部に案内する搬送路を備え、前記給紙部は、ロール状に巻回された記録媒体をロールの中心軸回りの回転により繰り出し又は巻き取り可能に保持するもので、前記給紙部全体を前記搬送路に対して回転可能に構成することで前記搬送路に対する給紙部の姿勢を変更可能とし、前記給紙部の姿勢変更により前記給紙部から前記搬送路を介して前記印刷部に至る記録媒体の表裏を反転するように構成されていることが挙げられる。
【発明の効果】
【００１３】
本発明は、以上説明したように、第一面及び第二面にそれぞれ印刷され表裏をなす一組の画面を複数組分印刷する場合に、第一面及び第二面へ印刷すべき複数組分の画面を連続して印刷するので、記録媒体を裏返す反転動作の回数を大幅に低減でき、印刷に要する時間を短縮して高速な印刷を実現することが可能となる。したがって、スループットを向上させた高速印刷可能なプリンタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】本発明の一実施形態に係るプリンタを模式的に示す全体構成図。
【図２】記録媒体の第一面及び第二面に印刷する画面に関する説明図。
【図３】印刷動作を模式的に示す図。
【図４】印刷動作を模式的に示す図。
【図５】本実施形態のプリンタで実行される制御処理ルーチンを示すフローチャート。
【図６】本発明の他の実施形態に係るプリンタを模式的に示す全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【００１５】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【００１６】
本実施形態のプリンタは、図１に示すように、ロール状に巻回され所定の連続方向Ｘに沿って連続する連続紙等の記録媒体Ｐａを保持する給紙部１と、給紙部１から供給される記録媒体Ｐａを搬送する搬送手段２と、搬送手段２により搬送される記録媒体Ｐａに対して印刷を行う印刷部３と、印刷部３で印刷された記録媒体Ｐａを切断する切断手段４と、これら各手段・各部の駆動を制御する制御部５とを備えており、印刷指令に応じて文字や画像等からなる画面（印刷内容）を印刷部３において記録媒体Ｐａの表面ｆ及び裏面ｂに対してそれぞれ印刷し、切断手段４で印刷後の記録媒体Ｐａを切断し、切断した記録媒体Ｐａを排出側に搬送して筐体ｂｏに形成した排出口ｋｏから外部に排出する。一つの印刷指令が、図２に示すように、表面ｆ及び裏面ｂにそれぞれ印刷されて表裏をなす一組の画面を複数組分印刷することを指令する場合がある。
【００１７】
給紙部１は、図１に示すように、ロール状に巻回され所定の連続方向Ｘに沿って連続する記録媒体Ｐａを軸心Ｃ１回りに回転可能に支持する軸支部１１と、記録媒体Ｐａを挟持してテンションを付与しつつ記録媒体Ｐａの繰り出し位置を決定するための補助送りローラ１２とを有し、図示しないモータ等の動力部によりロール状の記録媒体Ｐａを軸心Ｃ１回りに正逆回転させて記録媒体Ｐａの繰り出し及び巻き戻しを行う。
【００１８】
搬送手段２は、図１に示す対をなす搬送ローラ２１や図示しないガイド等により構成され、対をなす搬送ローラ２１で記録媒体Ｐａを挟持した状態で少なくとも一方のローラを回転駆動することにより、排出側（筐体ｂｏに形成された排出口ｋｏ側）に向かう搬送路Ｌｉに沿って記録媒体Ｐａを搬送する。
【００１９】
印刷部３は、図１に示すように、搬送路Ｌｉを介して供給される記録媒体Ｐａの表面ｆ及び裏面ｂに対して印刷する。具体的には、複数色のインクや透明なラミネート材等の転写物を塗布したリボンＲｂを繰り出すリボンローラ３１と、図示しない発熱抵抗体が配置されたサーマルヘッド３２と、このサーマルヘッド３２に搬送路Ｌｉを挟んで対向配置されインクリボンＲｂ及び記録媒体Ｐａをサーマルヘッド３２とともに挟持するプラテンローラ３３とを備え、サーマルヘッド３２の発熱抵抗体への通電によりリボンＲｂを加熱してリボンＲｂの転写物を記録媒体Ｐａに熱転写し、図２に示すように、印刷指令に係る文字や画像等からなる画面ｇ１〜ｇ８を記録媒体Ｐａに形成（印刷）する。
【００２０】
切断手段４は、図１に示すように、記録媒体Ｐａを外部に排出するために、固定刃４１及び可動刃４２で記録媒体Ｐａを排出方向に直交する幅方向（主走査方向）に沿って切断する。
【００２１】
上記各部は、給紙部１側の上流から排出口ｋｏ側の下流に向かって搬送路Ｌｉに沿って順に印刷部３、切断手段４、排出口ｋｏの順に並んでおり、排出口ｋｏの下流側には、排出先として記録媒体Ｐａを受けるための排出トレイ６が設けられている。
【００２２】
さらに、図１に示すように、サーマルヘッド３２に至る記録媒体Ｐａの表裏を反転させる反転手段７が設けられ、単一のサーマルヘッド３２により記録媒体Ｐａへの両面印刷を可能としている。具体的には、図１に示すように、給紙部を回転軸Ｃｎ回りに回転可能に筐体ｂｏに支持させることにより給紙部１を搬送路Ｌｉに対して回転可能にし、図示しないモータ等の動力部により給紙部１を回転させて給紙部１が第一の姿勢ｐｏ１又は第二の姿勢ｐｏ２を取り得るように構成し、例えば図３（ｃ）に示すように記録媒体Ｐａの先端を搬送路Ｌｉから退避した状態で給紙部１を回転させてその姿勢を変更することにより、給紙部１から搬送路Ｌｉを介してサーマルヘッド３２に至る記録媒体Ｐａの表裏を反転させる反転手段７を実現している。言い換えると、反転手段７は、搬送手段２を通じて給紙部１から印刷部３に供給され且つ印刷部３から一旦退避した記録媒体Ｐａを印刷部３へ再び供給する際に印刷部３に対向する面が先に印刷部３に供給したときと表裏が入れ替わるように、印刷部から一旦退避した記録媒体Ｐａを裏返すように構成されているとも言える。なお、図示では単一のサーマルヘッド３２しか描いていないが、上記のような反転手段により両面印刷可能となるサーマルヘッドを複数設けてもよい。
【００２３】
また、図１に示すように、搬送路Ｌｉの上流端部には、補助送りローラ１２に挟持され先端が自由となっている記録媒体Ｐａを受けて搬送路Ｌｉの下流側に引き込むガイド部８が設けられている。ガイド部８は、対をなすガイド面８１同士の間隔がラッパ状に広げられて巻き癖がついている記録媒体Ｐａを円滑に受けるように形成されている。勿論、記録媒体Ｐａとガイド部８とが当たる位置が明確であれば、対向するガイド面８１の双方を傾斜させてラッパ状に形成する必要はなく、対向する両ガイド面８１のうちの一方のガイド面８１のみを傾斜させて受け面としてもよい。
【００２４】
さらに、図１に示すように、記録媒体Ｐａを一時的に巻き取り可能な巻取手段９が設けられており、サーマルヘッド３２と切断手段４との間の搬送路Ｌｉには、記録媒体Ｐａの搬送先を切断手段４又は巻取手段９のいずれかに切り換える切り換え部の役割を担う分岐部９０が設けられている。分岐部９０は、図示しない動力部により駆動し、その切り換えは制御部５により制御される。巻取手段９は、巻取ローラ９１を主体に構成されており、搬送手段２を構成する搬送ローラ２１に合わせて回転し、記録媒体Ｐａの巻き取り及び繰り出しを行う。
【００２５】
制御部５は、図１に示すように、周知のサーマルプリンタと同様にＣＰＵ、メモリ及びインターフェイスを具備する通常のマイクロコンピュータユニットにより構成されて、メモリ内に図５に示す制御処理ルーチン等の所要のプログラムが書き込まれており、ＣＰＵが適宜必要なプログラムを呼び出して実行することにより、周辺ハードリソースと協働して、所期の搬送動作や通電動作が実現される。
【００２６】
上記構成において、表面ｆである第一面ｆ及び裏面ｂである第二面ｂにそれぞれ印刷されて表裏をなす一組の画面を複数組分（例えば三組）両面印刷する場合を例に挙げて説明する。この例では、図２に示すように、画面ｇ１及びｇ２、画面ｇ３及びｇ４、画面ｇ５及びｇ６が表裏をなし、画面ｇ１、ｇ３、ｇ５を第一面ｆに、その他の画面ｇ２・ｇ４・ｇ６を第二面ｂに印刷するものである。
【００２７】
この場合、制御部５は、ステップＳＰ１（図５参照）において、図３（ａ）に示すように、給紙部１の姿勢を第一の姿勢ｐｏ１とし、第一面ｆに印刷すべき複数組分の画面ｇ１・ｇ３・ｇ５を連続印刷すべく、記録媒体Ｐａのうち第一面ｆに印刷すべき画面ｇ１・ｇ３・ｇ５を形成する予定の領域がサーマルヘッド３２よりも下流（排出側）になるように、第一面ｆに印刷すべき画面の数に応じた長さの記録媒体Ｐａを給紙部１から繰り出して、記録媒体Ｐａの先端側を巻取手段９に巻き取る。次のステップＳＰ２（図５参照）において、図３（ｂ）に示すように、印刷部３と第一面ｆとが対面するように、巻取手段９からサーマルヘッド３２を経由して給紙部１に向かう方向に記録媒体Ｐａを搬送しつつ第一面ｆへの印刷を行う（第一面印刷動作）。この第一面印刷動作において第一面ｆに印刷すべき複数組分の画面を連続方向に沿って並べて連続印刷する。具体例では、図２に示すように、画面ｇ１、ｇ３、ｇ５を順に第一面ｆに形成する。
【００２８】
ステップＳＰ２（図５参照）における第一面ｆへ印刷すべき複数組分の画面ｇ１・ｇ３・ｇ５の印刷が終わると、次のステップＳＰ３において制御部５は、図３（ｃ）に示すように、記録媒体Ｐａを給紙部１に巻き取り、記録媒体Ｐａの先端ｅｇを印刷部３及び搬送路Ｌｉから給紙部１側に退避させた状態にし、この状態で給紙部１の姿勢を回転により第一の姿勢ｐｏ１から第二の姿勢ｐｏ２に変更する（反転動作）。
【００２９】
次のステップＳＰ４（図５参照）において制御部５は、図４（ｄ）に示すように、第二面ｂに印刷すべき複数組分の画面ｇ２・ｇ４・ｇ６を連続印刷すべく、記録媒体Ｐａのうち第二面ｂに印刷すべき画面ｇ２・ｇ４・ｇ６を形成する予定の領域がサーマルヘッド３２よりも下流（排出側）になるように、第二面ｂに印刷すべき画面の数に応じた長さの記録媒体Ｐａを給紙部１から繰り出して、記録媒体Ｐａの先端側を巻取手段９に巻き取る。次のステップＳＰ５（図５参照）において制御部５は、図４（ｅ）に示すように、印刷部３と第二面ｂとが対面するように、巻取手段９からサーマルヘッド３２を経由して給紙部１に向かう方向に記録媒体Ｐａを搬送しつつ第二面ｂへの印刷を行う（第二面印刷動作）。この第二面印刷動作において第二面ｂに印刷すべき複数組分の画面を、第一面ｆに印刷された対応する画面と表裏をなすように連続方向に沿って並べて連続印刷する。具体例では、図２に示すように、第一面ｆに印刷された対応する画面ｇ１、ｇ３、ｇ５とそれぞれ表裏をなすように、画面ｇ２、ｇ４、ｇ６を順に第二面ｂに形成する。
【００３０】
ステップＳＰ５（図５参照）における第二面ｂへ印刷すべき複数組分の印刷が終わると、次のステップＳＰ６（図５参照）において制御部５は、図４（ｆ）に示すように、分岐部９０の搬送先を巻取手段９から切断手段４に切り換え、記録媒体Ｐａを排出側に搬送し、切断手段４により組単位で記録媒体Ｐａを切断し、一枚ずつ記録媒体Ｐａを排出口ｋｏから排出する。
【００３１】
以上説明したように、本実施形態のプリンタは、所定の連続方向Ｘに沿って連続する記録媒体Ｐａの第一面ｆ及び第一面ｆの裏面である第二面ｂに対して印刷するための印刷部３と、記録媒体Ｐａを供給可能に保持する給紙部１と、記録媒体Ｐａを搬送する搬送手段２と、搬送手段２を通じて給紙部１から印刷部３に供給され且つ印刷部３から一旦退避した記録媒体Ｐａを印刷部３へ再び供給する際に印刷部３に対向する面が先に印刷部３に供給されたときと表裏が入れ替わるように、印刷部３から一旦退避した記録媒体Ｐａを裏返す反転手段７と、印刷部３と第一面ｆとが対面するように記録媒体Ｐａを搬送しつつ第一面ｆへの印刷を行う第一面印刷動作と、第一面印刷動作の後において反転手段７により記録媒体Ｐａを裏返す反転動作と、反転動作の後において印刷部３と第二面ｂとが対面するように記録媒体Ｐａを搬送しつつ第二面ｂへの印刷を行う第二面印刷動作とを司る制御部５とを具備してなり、制御部５は、第一面ｆ及び第二面ｂにそれぞれ印刷され表裏をなす一組の画面を複数組分印刷する場合に、第一面印刷動作において第一面ｆに印刷すべき複数組分の画面ｇ１・ｇ３・ｇ５を連続方向Ｘに沿って並べて連続印刷するとともに、第二面印刷動作において第二面ｂに印刷すべき複数組分の画面ｇ２・ｇ４・ｇ６を、第一面ｆに印刷された画面ｇ１・ｇ３・ｇ５と表裏をなすように連続方向Ｘに沿って並べて連続印刷する。
【００３２】
このように、第一面ｆ及び第二面ｂにそれぞれ印刷され表裏をなす一組の画面を複数組分印刷する場合に、第一面ｆに印刷すべき複数組分の画面ｇ１・ｇ３・ｇ５を連続方向Ｘに沿って並べて連続印刷し、反転手段７により記録媒体Ｐａの表裏を反転させて、第二面ｂに印刷すべき複数組分の画面ｇ２・ｇ４・ｇ６を、第一面ｆに印刷された画面ｇ１・ｇ３・ｇ５と表裏をなすように連続方向Ｘに沿って並べて連続印刷するので、一組分の画面を印刷する毎に反転動作を行う場合に比べて、反転動作の数を大幅に減らすことが可能となり、印刷に要する時間を短縮して高速な印刷を実現することが可能となる。
【００３３】
本実施形態では、印刷部３がサーマルヘッド３２を用いて構成されている熱転写型プリンタであるので、記録媒体Ｐａを巻き戻す間と給紙部１を回転させる間すなわち反転動作の間に、サーマルヘッド３２が冷めてしまう。この場合、損なわれた熱を補うために、加熱時間及び加熱のためのエネルギー（電気）が必要となるが、反転動作の回数を低減することができるので、加熱時間を低減するとともに、エネルギーの消費を抑えて省エネ化を図ることが可能となる。
【００３４】
特に、本実施形態では、給紙部１から供給される記録媒体Ｐａを印刷部３に案内する搬送路Ｌｉを備え、給紙部１は、ロール状に巻回された記録媒体Ｐａをロールの中心軸Ｃ１回りの回転により繰り出し又は巻き取り可能に保持するもので、給紙部１全体を搬送路Ｌｉに対して回転可能に構成することで搬送路Ｌｉに対する給紙部１の姿勢を変更可能とし、給紙部１の姿勢変更により給紙部１から搬送路Ｌｉを介して印刷部３に至る記録媒体Ｐａの表裏を反転するように構成されているので、印刷部３に至る記録媒体Ｐａの表裏を反転させるための反転動作が、給紙部１への巻き取り動作と、給紙部１全体の回転による姿勢変更動作とからなり、これら動作には時間を要するので、上記反転動作の数を低減して得られる時間短縮のメリットが大きく、上記発明の好適な適用例として挙げられる。
【００３５】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【００３６】
例えば、本実施形態では、表面を第一面とし、裏面を第二面として説明しているが、裏面を第一面とし、表面を第二面としてもよい。また、本実施形態では、記録媒体Ｐａを一時的に巻き取る巻取手段９を設けているが、サーマルヘッド３２（印刷部３）から切断手段４や排出口ｋｏまでの搬送路Ｌｉに、記録媒体Ｐａを退避させるためのスペースがあれば、巻取手段９を省略することが可能である。この場合、連続印刷可能な組の数は、記録媒体Ｐａを退避させるためのスペースによって定まるので、制御部は、この数を超えない範囲で連続印刷を行う。
【００３７】
本実施形態では、反転手段７は、搬送手段２を通じて給紙部１から印刷部３に供給され且つ印刷部３から一旦退避した記録媒体Ｐａを印刷部３へ再び供給する際に印刷部３に対向する面が先に印刷部３に供給されたときと表裏が入れ替わるように、印刷部３から一旦退避した記録媒体Ｐａを裏返すものであるが、例えば図６（ａ）に示すように、給紙部１から供給される記録媒体Ｐａを単一の印刷部３に対して案内する搬送路を複数設けて、複数の搬送路Ｌｉを通じて互いに逆差しとなる二方向から印刷部３に対して記録媒体Ｐａを案内するようにして反転手段１０７を構成してもよい。すなわち、反転手段１０７は、搬送手段２を通じて給紙部１から印刷部３に供給され且つ印刷部３から一旦退避した記録媒体Ｐａを印刷部３へ再び供給する際に印刷部３に対向する面が先に印刷部３に供給されたときと表裏が入れ替わるように、印刷部３から一旦退避した記録媒体Ｐａを印刷部に至るまでに裏返るように印刷部３に案内するように構成されている。反転手段１０７は、搬送手段２とほぼ同様に、ローラやガイド等により構成される。
【００３８】
また、図６（ｂ）に示すように、印刷部３によって第一面又は第二面の一方に印刷され且つ切断手段４によって所定サイズに切断された記録媒体Ｐａを裏返すことが可能な裏返し経路を有し、裏返した記録媒体Ｐａを印刷部３へ搬送可能な反転手段２０７を設けてもよい。反転手段２０７は、既存の搬送手段２とほぼ同様に、ローラやガイド等により構成される。
【００３９】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【００４０】
１…給紙部
２…搬送手段
３…印刷部
５…制御部
７…反転手段
Ｘ…連続方向
Ｐａ…記録媒体
ｆ…第一面
ｂ…第二面
ｇ１〜ｇ６…画面
Ｌｉ…搬送路
【特許請求の範囲】
【請求項１】
所定の連続方向に沿って連続する記録媒体の第一面及び第一面の裏面である第二面に対して印刷するための印刷部と、
前記記録媒体を供給可能に保持する給紙部と、
前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段を通じて給紙部から印刷部に供給され且つ印刷部から一旦退避した記録媒体を前記印刷部へ再び供給する際に前記印刷部に対向する面が先に印刷部に供給されたときと表裏が入れ替わるように、前記印刷部から一旦退避した記録媒体を裏返す若しくは印刷部に至るまでに裏返るように印刷部へ案内する反転手段と、
前記印刷部と第一面とが対面するように記録媒体を搬送しつつ第一面への印刷を行う第一面印刷動作と、前記第一面印刷動作の後において前記反転手段により記録媒体を裏返す反転動作と、前記反転動作の後において前記印刷部と第二面とが対面するように記録媒体を搬送しつつ第二面への印刷を行う第二面印刷動作とを司る制御部とを具備してなり、
前記制御部は、第一面及び第二面にそれぞれ印刷され表裏をなす一組の画面を複数組分印刷する場合に、前記第一面印刷動作において第一面に印刷すべき複数組分の画面を前記連続方向に沿って並べて連続印刷するとともに、前記第二面印刷動作において第二面に印刷すべき複数組分の画面を、第一面に印刷された画面と表裏をなすように前記連続方向に沿って並べて連続印刷することを特徴とするプリンタ。
【請求項２】
前記給紙部から供給される記録媒体を前記印刷部に案内する搬送路を備え、
前記給紙部は、ロール状に巻回された記録媒体をロールの中心軸回りの回転により繰り出し又は巻き取り可能に保持するもので、前記給紙部全体を前記搬送路に対して回転可能に構成することで前記搬送路に対する給紙部の姿勢を変更可能とし、前記給紙部の姿勢変更により前記給紙部から前記搬送路を介して前記印刷部に至る記録媒体の表裏を反転するように構成されている請求項１に記載のプリンタ。
【請求項１】
所定の連続方向に沿って連続する記録媒体の第一面及び第一面の裏面である第二面に対して印刷するための印刷部と、
前記記録媒体を供給可能に保持する給紙部と、
前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段を通じて給紙部から印刷部に供給され且つ印刷部から一旦退避した記録媒体を前記印刷部へ再び供給する際に前記印刷部に対向する面が先に印刷部に供給されたときと表裏が入れ替わるように、前記印刷部から一旦退避した記録媒体を裏返す若しくは印刷部に至るまでに裏返るように印刷部へ案内する反転手段と、
前記印刷部と第一面とが対面するように記録媒体を搬送しつつ第一面への印刷を行う第一面印刷動作と、前記第一面印刷動作の後において前記反転手段により記録媒体を裏返す反転動作と、前記反転動作の後において前記印刷部と第二面とが対面するように記録媒体を搬送しつつ第二面への印刷を行う第二面印刷動作とを司る制御部とを具備してなり、
前記制御部は、第一面及び第二面にそれぞれ印刷され表裏をなす一組の画面を複数組分印刷する場合に、前記第一面印刷動作において第一面に印刷すべき複数組分の画面を前記連続方向に沿って並べて連続印刷するとともに、前記第二面印刷動作において第二面に印刷すべき複数組分の画面を、第一面に印刷された画面と表裏をなすように前記連続方向に沿って並べて連続印刷することを特徴とするプリンタ。
【請求項２】
前記給紙部から供給される記録媒体を前記印刷部に案内する搬送路を備え、
前記給紙部は、ロール状に巻回された記録媒体をロールの中心軸回りの回転により繰り出し又は巻き取り可能に保持するもので、前記給紙部全体を前記搬送路に対して回転可能に構成することで前記搬送路に対する給紙部の姿勢を変更可能とし、前記給紙部の姿勢変更により前記給紙部から前記搬送路を介して前記印刷部に至る記録媒体の表裏を反転するように構成されている請求項１に記載のプリンタ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１２−１９６７９４（Ｐ２０１２−１９６７９４Ａ）
【公開日】平成２４年１０月１８日（２０１２．１０．１８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−６１０６６（Ｐ２０１１−６１０６６）
【出願日】平成２３年３月１８日（２０１１．３．１８）
【出願人】（０００００２０５９）シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年１０月１８日（２０１２．１０．１８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年３月１８日（２０１１．３．１８）
【出願人】（０００００２０５９）シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]