説明

プリーツカーテン

【課題】閉めたときに隙間ができないようにすることのできるプリーツカーテンを提供すること。
【解決手段】生地aに掛けた複数の縦プリーツ11を連続的に横方向に配列したプリーツカーテン10であって、生地の上端の幅Aを、下端の幅Bより小さくするとともに、各縦プリーツ11の上端の幅を、当該縦プリーツ11の下端の幅より小さくしたこと。好ましくは、各縦プリーツ11の全てによって形成される上端線の中央が凹んだ円弧線状となり、かつ各縦プリーツ11の全てによって形成される下端線の中央が膨らんだ円弧線状となるようにしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンに関し、特に、カーテンを展開したときに、窓枠や他のカーテンとの間に隙間ができないようにしたカーテンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
所謂カーテンは、種々な材料で種々な意匠を凝らしたものが数多く提案されていて、形態的にも数多くのものが提案されている。特に、華やかな意匠性を出すために、カーテン生地にプリーツ(ドレープ)を掛けて形成したカーテンも、例えば特許文献1等において提案されている。
【0003】
また、カーテンは、一枚で使用するにしても二枚以上で使用するにしても、一般的にはカーテンレールに吊下されるものであり、このカーテンレールに沿って当該カーテンの開閉がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−135915号公報、要約
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、「窓に対して横開できるカーテンを閉めたときの、カーテン同士あるいはカーテンと窓を構成している壁との間に光が漏れる隙間ができないようにすることのできるドレープカーテンを提供すること」を目的とした「ドレープカーテン」が提案されている。
【0006】
この特許文献1の発明者も指摘している通り、カーテンにプリーツ(ドレープ)が掛けてあると、図6に示すように、カーテン同士あるいはカーテンと窓を構成している壁との間に光が漏れる隙間ができる。その理由は、カーテンレールに支持されているカーテンの上端部以外は、全くのフリーな状態になっているため、これに掛けてあるプリーツによって、カーテンの上端部より縮むからである。
【0007】
カーテンのプリーツは、閉めたときのカーテンに豪華さを付与するとともに、部屋の雰囲気も柔らかくするから、カーテンの商品価値を高める上でも是非とも掛けたいものである。一方、閉めたカーテン同士あるいは窓枠との間に「隙間」ができると、折角の豪華さが半減するだけでなく、外からの光を部屋に入れたり、部屋の光を外に出したりする。
【0008】
そこで、本発明者等は、プリーツを掛けたカーテンについて、閉めたときに「隙間」ができないようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0009】
すなわち、本発明の目的とするところは、閉めたときに「隙間」ができないようにすることのできるプリーツカーテンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「生地10aに掛けた複数の縦プリーツ11を連続的に横方向に配列したプリーツカーテン10であって、
生地10aの上端の幅を、下端の幅より小さくするとともに、
各縦プリーツ11の上端の幅Aを、当該縦プリーツ11の下端の幅Bより小さくしたことを特徴とするプリーツカーテン10」
である。
【0011】
すなわち、この請求項1に係るプリーツカーテン10は、その生地10aの段階で、図3及び図4に示すように、この生地10aの上端の幅Aを、下端の幅Bより小さくした状態で裁断して形成したものである。この場合、生地10aの図示上端線及び下端線は、直線状であってもよく、後述するような中央が凹んだ円弧状となるようにしてもよいが、両方ともが直線状であるか、円弧状である必要はある。なお、この生地10aの縦方向の長さは、例えば図1に示したプリーツカーテン10の場合、窓枠30の高さより僅かに長くしたものであるが、この窓枠30の大きさに合わされることは言うまでもない。
【0012】
この生地10aの上端の幅Aは、生地10aにプリーツを掛けた場合であっても、窓枠30の横幅より僅かに大きくなるように決定される。勿論、この生地10aの上端の幅Aは、窓枠30を何枚のプリーツカーテン10によって覆うかを加味して決定されるものであり、一枚のプリーツカーテン10で覆うのであれば窓枠30の幅より僅かに大きくされるし、二枚のプリーツカーテン10で覆うのであれば窓枠30の幅の1/2より僅かに大きくされることは言うまでもない。
【0013】
本請求項1に係るプリーツカーテン10は、以上のように裁断した生地10aをプリーツ機に掛けて縦プリーツ11を形成するのであるが、これら各縦プリーツ11の上端の幅は、図3に示すように、当該縦プリーツ11の下端の幅より小さくしてある。
【0014】
以上のように構成した本発明に係るプリーツカーテン10は、その上端裏面(窓枠30側となる面)の適宜位置にカーテン吊り具を取り付けて、これらの吊り具をカーテンレール20に掛ければ、図1に示すように、当該プリーツカーテン10同士や窓枠30との間に隙間が全くない状態となる。
【0015】
本発明に係るプリーツカーテン10が、これを図1に示すように閉めたときに全く隙間ができないのは、次の理由による。もし、各縦プリーツ11の下端の幅が上端のそれと同じであれば、従来例を示した図6に示したような隙間ができるのであるが、本発明にあっては、生地10aの上端の幅を下端の幅より小さくするとともに、各縦プリーツ11の上端の幅を、当該縦プリーツ11の下端の幅より小さくしてあるから、各縦プリーツ11は、これに掛けてあるプリーツにより、下に行くに従って「下窄まり」となる。
【0016】
各縦プリーツ11が下に行くに従って「下窄まり」となれば、当該プリーツカーテン10を形成する生地10aが元々「末広がり」に裁断されていたのであるから、「末広がり」が「下窄まり」によって修正される。結果的に、本発明に係るプリーツカーテン10は、これをカーテンレール20に掛けて閉めたとき、図1に示すように、上から下にわたって各縦プリーツ11がストレートなものとなって、プリーツカーテン10同士あるいは、このプリーツカーテン10と窓枠30との間に隙間が形成されることはないのである。
【0017】
従って、この請求項1に係るプリーツカーテン10は、閉めたときに「隙間」ができないようにすることができるものとなっているのである。
【0018】
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載のプリーツカーテン10について、
「カーテンレール20に掛けていないときのプリーツカーテン10の、各縦プリーツ11の全てによって形成される上端線の中央が凹んだ円弧線状となり、かつ各縦プリーツ11の全てによって形成される下端線の中央が膨らんだ円弧線状となるようにしたこと」
である。
【0019】
つまり、この請求項2に係るプリーツカーテン10は、図2〜図4に示すように、カーテンレール20に掛けていないときのプリーツカーテン10の、各縦プリーツ11の全てによって形成される上端線の中央が凹んだ円弧線状となり、かつ各縦プリーツ11の全てによって形成される下端線の中央が膨らんだ円弧線状となるようにしたものである。
【0020】
ここで、このプリーツカーテン10をカーテンレール20に掛けると、当該プリーツカーテン10の上端線がカーテンレール20によって直線状となるように引き上げられるから、これに応じて各縦プリーツ11についてもそれぞれの引き上げ量に応じて引き上げられる。この場合、各縦プリーツ11の全てによって形成される上端線の中央が凹んだ円弧線状にしてあったから、中央の縦プリーツ11についての引き上げ量が最大となり、両端に位置する縦プリーツ11の引き上げ量は最小となる。
【0021】
そして、各縦プリーツ11が以上のように引き上げられる結果、各縦プリーツ11の下端についても、当該縦プリーツ11の引き上げ量に応じして引き上げられる。この場合、各縦プリーツ11の全てによって形成される下端線の中央が膨らんだ円弧線状にしてあったから、中央の縦プリーツ11についての引き上げ量が最大で、両端に位置する縦プリーツ11の引き上げ量は最小となり、結果的に、プリーツカーテン10の下端線は、カーテンレール20によって直線状となった上端線と同様に、直線状となる。
【0022】
そして、各縦プリーツ11についてみてみると、それぞれが引き上げられる結果、各縦プリーツ11に掛けられていたプリーツが強制的に「下窄まり」状態になされるため、当該プリーツカーテン10の両端縁は、図1に示すように、鉛直方向の直線状となる。このため、プリーツカーテン10同士、あるいはプリーツカーテン10と窓枠30との間に隙間が形成されることはなくなるのである。
【0023】
従って、この請求項2に係るプリーツカーテン10は、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、カーテンレール20に掛けて閉めたときに、「隙間」ができないように各縦プリーツ11のプリーツを「下窄まり」にすることができるものとなっているのである。
【発明の効果】
【0024】
以上、説明した通り、本発明においては、
「生地10aに掛けた複数の縦プリーツ11を連続的に横方向に配列したプリーツカーテン10であって、
生地10aの上端の幅を、下端の幅より小さくするとともに、
各縦プリーツ11の上端の幅を、当該縦プリーツ11の下端の幅より小さくしたこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、閉めたときに「隙間」ができないようにすることのできるプリーツカーテン10を提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るプリーツカーテン10の二枚を閉めて窓枠30を覆った状態の室内側からみた正面図である。
【図2】同プリーツカーテン10と仮想線で示した生地10aとの関係を示す正面図である。
【図3】同プリーツカーテン10を構成するための生地10aの平面図である。
【図4】同生地10aを原反から裁断するときの様子を示す部分平面図である。
【図5】図2中の1−1線に沿ってみたプリーツカーテン10を示すもので、(a)は縦プリーツ11が曲線(波線)である場合の部分拡大横断面図、(b)は縦プリーツ11が直線(折線)である場合の部分拡大横断面図である。
【図6】従来のプリーツカーテン10を閉めて隙間ができた様子を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、上記のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した実施の形態であるプリーツカーテン10について説明すると、図1には、本実施形態に係るプリーツカーテン10の二枚を閉めて窓枠30を覆った状態の室内側からみた正面図が示してある。
【0027】
このプリーツカーテン10は、生地10aの上端の幅を、下端の幅より小さくするとともに、各縦プリーツ11の上端の幅を、当該縦プリーツ11の下端の幅より小さくして形成したものであるが、これに加えて、カーテンレール20に掛けていないときのプリーツカーテン10の、各縦プリーツ11の全てによって形成される上端線の中央が凹んだ円弧線状とし、かつ各縦プリーツ11の全てによって形成される下端線の中央が膨らんだ円弧線状となるようにして実施してもよいものである。
【0028】
このプリーツカーテン10は、原反から生地10aを裁断して、この生地10aにプリーツ掛け等の各種加工を施して形成されるものであることは当然であるが、この生地10aの原反からの裁断は、例えば、図4に示したように行われる。
【0029】
一般的な原反の幅は、150cmであるが、生地10aの最大幅、つまり下端の幅がその範囲に含まれれば図4に示したような裁断を行えば問題はないが、150cmより大きい幅の場合には、次のようにするとよい。つまり、150cm幅の原反から、縦の中央で切断した状態の生地10aを裁断し、これらの生地10aを中央の縦線で逢着するのである。このようにすれば、一般的には150cm幅しかない原反を使用しても、種々な大きさのプリーツカーテン10を製造することができるのである。
【0030】
また、図4に示したような生地10aを裁断したら、これに縦プリーツ11を形成しなければならないが、この縦プリーツ11の形成は、一般的なプリーツ加工機を使用すれば簡単である。ただし、各縦プリーツ11は、図3にも示したように、「末広がり」形状にしなければならないから、それに応じたプリーツ加工をしなければならない。
【0031】
「末広がり」の縦プリーツ11とするためのプリーツ加工は、一般的に使用されているプリーツ加工用の「型紙」を、各縦プリーツ11の「末広がり」に応じた部分を形成すれば簡単である。この場合、縦プリーツ11としては、一般的には、図5の(a)に示した波形と、図5の(b)に示した角形とに大別されるが、この縦プリーツ11を形成する型紙は、例えば図5の(a)に示した波形形状になったものが、縦プリーツ11の表裏用に二枚用意される。勿論、各型紙の「波」部分は、「末広がり」に形成されることは言うまでもない。
【0032】
ここで、図3中に示してある各縦プリーツ11を区画するための「実線」は山または谷11aを示すものであるが、この山または谷11aは、図5中で示した「山」なら山を、また「谷」なら谷を示すものである。また、図5中の矢印で示したように、各縦プリーツ11の幅としては、「山」から「山」、または「谷」から「谷」の距離を言う。
【0033】
さて、生地10aに縦プリーツ11を形成するための型紙は、上述したように、各縦プリーツ11に対応する部分のどこを採っても「末広がり」となるのであるから、一枚の生地10aの表裏を挟んだものの多数を、少し位置をずらすだけで重ねることができる。換言すれば、プリーツ加工機に掛けて生地10aに縦プリーツ11を形成するにあたって、1台でも多数の生地10aについて同時に行えるのであり、プリーツカーテン10の製造を効率的になし得るのである。
【0034】
本実施例に係る各縦プリーツ11は、例えば一枚の生地10aに7本形成した場合、各縦プリーツ11の上端の幅が、5cm〜8cmであり、各縦プリーツ11の下端の幅が、8cm〜12cmであった。なかでも、各縦プリーツ11の上端の幅を7cmとし、各縦プリーツ11の下端の幅を10cmとしたのが、プリーツカーテン10とした場合に最も綺麗になった。なお、各プリーツカーテン10の、図3に示した上下方向の長さについては、窓枠30の上下幅との関係で特に制限はされず、各縦プリーツ11の上端の幅がを5cm〜8cmとし、各縦プリーツ11の下端の幅を8cm〜12cmとする条件を満たせば、自由に変更できるものである。
【0035】
そして、本実施例においては、図3及び図4に示したように、各縦プリーツ11の全てによって形成される上端線を、その中央が凹んだ円弧線状となるようにし、かつ各縦プリーツ11の全てによって形成される下端線を、その中央が膨らんだ円弧線状となるようにしてある。
【0036】
なお、各縦プリーツ11の全てによって形成される上端線及び下端線は、これを直線状にしても、本発明は十分実施できる。
【0037】
以上のように各縦プリーツ11を形成した生地10aの裏面に、一般的な吊り具を取り付けることによって、プリーツカーテン10として完成される。なお、当該プリーツカーテン10が一つの窓枠30に対して二枚使用される場合には、図1中の点線にて示したように、各プリーツカーテン10の上側端部であって内側に留め磁石12が取り付けられる。これらの留め磁石12は、当該プリーツカーテン10を閉めたときに、上端にて互いに接合した状態を維持するもので、一般的に採用されているものである。
【0038】
以上のように形成したプリーツカーテン10を、その各吊り具を使用してカーテンレール20に取り付け、このプリーツカーテン10を閉めた状態にすれば、当該プリーツカーテン10は、図1にも示したように、プリーツカーテン10同士あるいはこのプリーツカーテン10と窓枠30との間に隙間を発生させることなく展開できるのである。
【符号の説明】
【0039】
10 プリーツカーテン
10a 生地
11 縦プリーツ
11a 山または谷
12 留め磁石
20 カーテンレール
30 窓枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地に掛けた複数の縦プリーツを連続的に横方向に配列したプリーツカーテンであって、
前記生地の上端の幅を、下端の幅より小さくするとともに、
前記各縦プリーツの上端の幅を、当該縦プリーツの下端の幅より小さくしたことを特徴とするプリーツカーテン。
【請求項2】
カーテンレールに掛けていないときの前記プリーツカーテンの、前記各縦プリーツの全てによって形成される上端線の中央が凹んだ円弧線状となり、かつ前記各縦プリーツの全てによって形成される下端線の中央が膨らんだ円弧線状となるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のプリーツカーテン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−87779(P2011−87779A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−244041(P2009−244041)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【出願人】(594067564)岐阜県オールセット株式会社 (1)
【Fターム(参考)】