プリーツ付き多層フィルタろ材およびカートリッジ
プリーツ付きフィルタエレメントは、複数のプリーツに形成された複合深層フィルタろ材を含む。複合深層フィルタろ材は、複数の深層フィルタろ材層を含む。複数の深層フィルタろ材層の各層は、吸着材微粒子状物質を含む。複数の深層フィルタろ材層の各層は、1300μm未満の厚さを有しうる。複数の深層フィルタろ材層は、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を有しうる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年10月15日出願のHamlinらの米国仮出願第60/619,353号明細書(この開示は、本開示と矛盾しない範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする)の一部継続出願である。
【0002】
本開示は、一般的には、プリーツ付きろ材に関し、特定的には、流体をろ過するためのプリーツ付き吸着深層フィルタろ材およびそのようなプリーツ付きろ材を利用するフィルタカートリッジに関する。
【背景技術】
【0003】
ろ過は、流体(液体または気体)から粒子または混入物を分離する処理であり、流体を貫流させながら粒子を停止させたり捕獲したりする多孔性ろ材に流体を通すことにより達成可能である。ほとんどの従来のろ材は、2つの広義のカテゴリーに分類可能である。すなわち、流体混入物を表層で停止させる表層型ろ材と、媒体内つまり媒体の上流側面と下流側面との間で混入物を捕獲する深層型フィルタろ材と、に分類可能である。
【0004】
深層型フィルタろ材(特定的には、吸着深層フィルタろ材)は、かなり前から知られている。吸着深層型フィルタろ材では、流体をろ過するためのさまざまな材料(たとえば、セルロース)および任意のさまざまな吸着材微粒子状物質が使用される。ガラス繊維や合成繊維(たとえば、ポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維)のような他の材料も含まれうる。公知の吸着深層型フィルタろ材は、典型的には、30%〜50%のセルロースを含むが、セルロースは、全重量の10%程度の少量で含まれることもある。公知の深層フィルタろ材はまた、典型的には、50〜70重量%の微粒子状吸着材物質を含む。フィルタ性能は、深層フィルタろ材層中の微細な吸着材微粒子状物質の量を最大化することにより強化される。所定の目的に好適な公知の吸着材微粒子としては、珪藻土(すなわち、珪藻に由来するシリカのような脆砕性粉体を有する土壌)、パーライト、タルク、シリカゲル、活性炭、アスベスト、モレキュラーシーブ、クレーなどが挙げられる。これらの吸着材粒子は、その大部分が10μm未満の直径を有する。珪藻土やパーライトのようなケイ質材料が一般に使用される。さらに、選択吸着特性を付与したり強化したりするために吸着微粒子状材料に他の化学物質を含浸させることが可能であることも公知である。このほかに、深層フィルタろ材は、バインダ樹脂を含みうる。
【0005】
一般に、そのような吸着深層フィルタろ材は、両面凸型積層ディスクフィルタエレメントで使用されてきた(米国特許第6,712,966号明細書(その開示内容は、本開示と矛盾しない範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする)に示されるとおり)。吸着深層フィルタろ材は、ろ材に吸着させるのに十分な程度に混入物に接触させて流体流から混入物を効果的に除去すべく、合理的なフロースルー厚さを必要とする。深層型媒体の典型的な厚さは、2500〜7500μmの範囲内の厚さである。複数の両面凸状セルで構成される両面凸型フィルタユニットの所与のフィルタ体積置換に対して、最大表面積および最大媒体充填密度は、セル内にみられるサポートセパレータの厚さおよび許容流量を得るのに必要なセル間のスペースが原因で制限される。
【0006】
プリーツ加工は、所与のフィルタ体積で高い媒体充填密度を達成する一方法として認識されている。プリーツ付きフィルタは、典型的には、アコーディオンのように折り畳まれた比較的薄いセルロース系または合成の表層型ろ材で作製される。円筒型放射状プリーツ付きフィルタエレメントでは、プリーツの外側先端間に有意なスペースが存在しうる。この外側先端スペースを低減させてろ過表面積を増大させるために、スパイラルプリーツフィルタ(米国特許第6,598,749号明細書(その開示内容は、本開示と矛盾しない範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい)および同心状に配置されたプリーツ付きフィルタエレメントの複数のリング(米国特許第5,232,595号明細書(その開示内容は、本開示と矛盾しない範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい)が使用されてきた。2001年11月13日に発行されたOlsenの米国特許第6,315,130号明細書(本開示と矛盾しない範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする)には、円筒型フィルタの外径におけるプリーツ密度を増大させてろ過表面積を増大させるために、さまざまな高さのプリーツを使用することが教示されている。また、媒体の深さを増大させて各層ごとに異なるろ過特性を付与すべくフィルタカートリッジ内で異なるろ材層を使用することも公知である。
【0007】
プリーツ加工を行うには、かなりの曲げ半径が必要である。すなわち、プリーツを形成するためにろ材を鋭角で曲げることが必要である。このため、プリーツ付きフィルタは、典型的には、より厚い吸着深層フィルタろ材を用いずに、比較的薄い可撓性のセルロース系または合成の表層型ろ材で形成されてきた。樹脂含浸微孔性高分子メンブラン媒体、金属繊維媒体、または有孔金属媒体、さらには任意の以上の組合せでありうるメルトブロー高分子媒体、ニードルフェルト高分子媒体、またはスパンボンド高分子媒体、ウェットレイドガラス繊維媒体またはエアレイドガラス繊維媒体、セルロース系繊維媒体を含む表層型ろ材が、プリーツ加工を行うために使用されてきた。これらの表層型ろ材は、吸着深層フィルタろ材にみられるきわめて望ましい微粒子状吸着材が欠如している。
【0008】
しかしながら、そのような微粒子状物質が組み込まれた吸着深層型フィルタろ材は、脆性であり、典型的には、プリーツ加工時の曲げ半径における伸びに耐えることができない。たとえば、多量の微粒子状吸着材材料(60%以上の珪藻土)を有しかつ3.56mmの厚さを有するセルロース系ろ材をプリーツ加工しようと試みた場合、ろ材は亀裂を生じた。亀裂は、多量の珪藻土(DE)に起因するろ材の構造およびその剛性の結果である。ろ材中の繊維の構造に基づいて、媒体の全厚さは、一体となって曲がるであろう。そのような厚肉層の曲げ外半径は曲げ中立半径よりも有意に大きいので、曲げ外半径に沿ってかなりの引張り歪みが存在する。また、曲げ内半径は曲げ中立半径よりも有意に小さいので、曲げ内半径に沿ってかなりの圧縮歪みが存在する。ろ材中の繊維の亀裂および開裂は、ろ材が多量の微粒子状吸着材および少量のセルロースを含有することが原因となってこれらの高い歪みから生じる回避不能な結果である。ろ材が厚いほど、曲げ外半径と曲げ内半径との差が大きくなるので、外半径ではろ材の伸びが大きくなり、内半径ではろ材の圧縮が大きくなる。したがって、従来の吸着深層フィルタろ材をプリーツ加工すると、ろ材が亀裂を生じたり引き裂かれたりするので、ろ過能力および構造保全性の両方が失われることになる。両面凸型積層ディスクフィルタエレメントでは、深層型フィルタろ材を屈げないことによりこの問題が回避された。
【0009】
Meyerの米国特許第5,232,595号明細書(その開示内容は、本開示と矛盾しない範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする)には、プリーツ付き吸着深層型フィルタろ材が開示されている。特定的には、Meyerは、それぞれのろ材層の厚さが少なくとも1mmである深層プリーツ付きフィルタを開示している。Meyerはさらに、微粒子状吸着材の含有率が乾燥重量基準で50%以下であれば、吸着深層型フィルタろ材をプリーツ加工しうることを開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
吸着深層型フィルタモジュールで高い媒体充填密度が必要とされている。吸着深層型フィルタろ材の充填密度が高ければ、ろ過効率が改良される。吸着深層型フィルタモジュールで所与の媒体質量に対して表面積を増大させることもまた、必要とされている。所与の媒体質量に対して表面積を増大させれば、流量が高くなる。したがって、吸着深層型フィルタにおいて、高い媒体充填密度および増大された表面積の両方が重要である。しかしながら、典型的には、これらの望ましいフィルタ特性を達成するうえでトレードオフが存在する。したがって、表面積を犠牲にすることなく高い媒体充填密度を有する吸着深層型フィルタモジュールが必要とされている。さらに、実質的に全ろ材が利用されるように流体をろ過しうる吸着深層型フィルタモジュールに対する必要性が存在する。現状技術では、Olsenにより開示されたような高媒体密度プリーツデザインで吸着深層フィルタろ材を使用することはできず、その結果、高い媒体充填密度は、吸着深層型フィルタモジュールで達成されていない。現在の技術はまた、湿潤重量に関連する問題を抱えている。両面凸状カートリッジを使用した後、媒体の湿潤に起因して重量が増すので、取り扱いにくくなる。それに加えて、両面凸型カートリッジはまた、カートリッジの全重量に寄与する多くの部品を有する。より多量の流体をろ過する必要があって、より大きい直径の両面凸状カートリッジを使用する場合、両面凸型カートリッジに付随する他の問題は、サイズの問題になり、これらの両面凸状カートリッジはいずれも、カートリッジサイズに起因して、より多くのフロアスペースを使用し、取扱いもより困難なものになる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の実施形態は、複数のプリーツに形成された複合深層フィルタろ材を有するプリーツ付きフィルタエレメントを含む。ここで、この複合深層フィルタろ材は、十分に乾燥した状態で形成されたものである。複合深層フィルタろ材は、複数の深層フィルタろ材層を含み、複数の深層フィルタろ材層の各層は、吸着材微粒子状物質を含む。複数の深層フィルタろ材層の各層は、1300μm未満の厚さを有する。
【0012】
本開示の一態様において、複数の深層フィルタろ材層の各層の厚さは、950μm未満の厚さを有しうる。
【0013】
他の態様において、複数の深層フィルタろ材層は、3から20までの層の範囲内でありうる。
【0014】
本開示のさらなる態様において、複数の深層フィルタろ材層の少なくとも1層は、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を含みうる。複数の深層フィルタろ材層の少なくとも1層は、少なくとも60重量%の吸着材微粒子状物質を含みうる。複数の深層フィルタろ材層の少なくとも1層は、少なくとも70重量%の吸着材微粒子状物質を含みうる。
【0015】
本開示の他の態様において、複数の深層フィルタろ材層の各層は、セルロースを含みうる。また、吸着材微粒子状物質は、珪藻土、パーライト、タルク、活性炭、アスベストのうちの1つ、およびそれらの組合せを含みうる。
【0016】
さらに他の態様において、複合深層フィルタろ材は上流側媒体サポート層、下流側媒体サポート層、および微孔性層のうちの少なくとも1層を含みうる。
【0017】
本開示のさらに他の態様において、複数のプリーツは、円筒状プリーツ付きフィルタエレメントを形成するように略半径方向に延在する複数のプリーツを含みうる。半径方向に延在するプリーツは、外向き放射状一次プリーツおよび内向き放射状二次プリーツを含みうる。ここで、二次プリーツは、一次プリーツ間に介設され、各一次プリーツは、半径方向高さを有し、かつ各二次プリーツは、各一次プリーツの半径方向高さ未満の半径方向高さを有する。一次プリーツは、フィルタカートリッジの外周部をなすようにフィルタカートリッジの中心コアから延在するプリーツである。二次プリーツが2つの隣接する一次プリーツ対間に配置されるように複数のプリーツを構成することが可能である。2つの二次プリーツが2つの隣接する一次プリーツ対間に配置されるように複数のプリーツを構成することが可能である。また、1つの二次プリーツが2つの隣接する一次プリーツ間に配置されるように複数のプリーツを構成することも可能である。
【0018】
一態様において、円筒状プリーツ付きフィルタエレメントは、第1の動作モードで第1の半径方向に流体流を収容しかつ第2の動作モードで第1の半径方向の反対方向の第2の半径方向に流体流を収容するように適合化されうる。
【0019】
このほかのさらなる態様において、スパイラル配置を有する円筒状プリーツ付きフィルタエレメントを形成するように、半径方向に延在する複数のプリーツを湾曲させることが可能である。円筒状プリーツ付きフィルタエレメントは、内周および外周を有しうる。複数のプリーツは、内周に隣接する根元部および外周に隣接する折り山部を有しうる。また、隣接するプリーツの根元部および折り山部の少なくとも一方は、均一な周波数で半径方向に互いに離間して配置されうる。
【0020】
本開示の他の実施形態は、複数のプリーツに形成された複合深層フィルタを有するプリーツ付きフィルタエレメントを含む。複合深層フィルタは、複数の深層フィルタろ材層を含みうる。また、複数の深層フィルタろ材層の各層は、吸着材微粒子状物質を含みうる。複数の深層フィルタろ材層の少なくとも1層は、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を含みうる。複数の深層フィルタろ材層の各層は、1300μm未満の厚さを有しうる。
【0021】
本開示のさらなる実施形態のフィルタモジュールは、複数のプリーツに形成された複合深層フィルタろ材を有するプリーツ付きフィルタエレメントを含む。複数のプリーツは、円筒型プリーツ付きフィルタエレメントを形成する半径方向に延在する複数のプリーツを含む。円筒型プリーツ付きフィルタエレメントは、内周および外周を有する。複合深層フィルタろ材が、複数の深層フィルタろ材層を含み、複数の深層フィルタろ材層の各層が、吸着材微粒子状物質を含み、複数の深層フィルタろ材層の各層が、1300μm未満の厚さを有する。円筒型コアは、円筒型フィルタエレメントの内周内に同軸状に配置される。円筒型外側ケージは、円筒型フィルタエレメントの外周近傍に同軸状に配置される。
【0022】
本開示の他の実施形態は、プリーツ付きフィルタエレメントを作製する方法を含む。本方法は、1300μm未満の厚さを有する第1の深層フィルタろ材層を準備することと、1300μm未満の厚さを有する第2の深層フィルタろ材層を準備することと、を含む。本方法は第1の深層フィルタろ材層上に第2の深層フィルタろ材層を積層することと、積層された第1の深層フィルタろ材層および第2の深層フィルタろ材層をプリーツ加工することと、を含む。本方法はまた、各層が1300μm未満の厚さを有する第3の深層フィルタろ材層および第4の深層フィルタろ材層を準備することを含みうる。第1の深層フィルタろ材層および第2の深層フィルタろ材層の少なくとも一方は、900μm未満の厚さを有しうる。深層フィルタろ材層の少なくとも1層は、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を含みうる。プリーツ加工工程は、半径方向高さを有する複数の一次プリーツと各一次プリーツの半径方向高さ未満の半径方向高さを有する複数の二次プリーツとを準備することを含みうる。本方法はまた、少なくとも1層の媒体サポート層を準備することを含みうる。
【0023】
本開示のさらに他の実施形態は、プリーツ付きフィルタエレメントを作製する方法を含む。本方法は、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を有する第1の深層フィルタろ材層を準備することと、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を有する第2の深層フィルタろ材層を準備することと、を含む。本方法は、第1の深層フィルタろ材層上に第2の深層フィルタろ材層を積層することと、積層された第1の深層フィルタろ材層および第2の深層フィルタろ材層をプリーツ加工することと、を含む。第1の深層フィルタろ材層および第2の深層フィルタろ材層の少なくとも一方は、1300μm未満の厚さを有しうる。さらに、本方法は、各層が少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を有する第3の深層フィルタろ材層および第4の深層フィルタろ材層を準備することを含みうる。深層フィルタろ材層の少なくとも1層は、少なくとも60重量%の吸着材微粒子状物質を含みうる。
【0024】
本開示の他の目的および利点は、以下の説明、添付の図面、および添付の特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、図面について説明する。図面中、同じ参照番号は、本開示に係る類似の構造要素および/または特徴部を特定する。図1に、全体として参照番号8で示されるプリーツ付きフィルタモジュールを例示する。
【0026】
典型的なフィルタモジュールは、追加のサポート層および/または微孔性メンブラン層を併用してまたは併用せずに、同一のまたは異なる多孔度の単層または多層のろ材を含む。それに加えて、典型的なフィルタモジュールはまた、端部封止手段または端部キャップ40、サポート・排出手段、内側コア支持手段、およびオプションの外周サポート手段をも含む。次に、図1および2について説明する。フィルタモジュール8は、中央有孔ケージ20を取り囲みかつ有孔外側ケージ30で包囲された複数の長手方向プリーツ14を有する細長いプリーツ付き複合フィルタエレメント10を含む。コア20は、半径方向の力に対抗してフィルタエレメント10の内周を支持するとともに、曲げに対抗して軸方向の強度および剛性をフィルタモジュール8に付与するのに役立つ。外側ケージ30は、円筒型プリーツ付き構成のフィルタエレメント10のプリーツを保持し、コア20と同様に、外側ケージ30は、半径方向の力に対抗してフィルタエレメント10の外周を支持するとともに、曲げに対抗して軸方向の強度および剛性をフィルタモジュール8に付与するのに役立つ。プリーツを保持するために外側ケージ30以外の手段を備えうると考えられる。たとえば、フィルタモジュールの外周近傍にプリーツを保持するために、高分子ネット材料または高分子メッシュ材料を利用することが可能である。ハウジングアダプタは、フィルタモジュールの上側端部キャップおよび下側端部キャップと機能的に一体化され、フィルタモジュール8が利用されるろ過用途に依存して開状態(図示されるとおり)または閉状態をとりうる。
【0027】
図3に最良の形で示されるように、フィルタエレメント10は、複数の吸着深層型フィルタろ材層12を含む多層プリーツ加工可能媒体である。プリーツ加工可能媒体は、ろ材の構造保全性を損なうことなくプリーツ加工しうるように特定の厚さ範囲内で作製されたろ材を含む。本開示との関連では、吸着深層型フィルタろ材(深層フィルタろ材とも呼ばれる)は、流体流から混入物を捕獲するために吸着および吸収に部分的に依存する任意のフィルタマトリックスであるとみなされる。深層フィルタろ材はまた、孔径排除ろ過を行うことも可能である。深層フィルタろ材は、典型的には、少なくとも1種の微粒子状吸着材成分を含む。本開示との関連では、微粒子状吸着材材料は、フィルタマトリックスの非繊維状成分であるとみなされ、一般的には、顆粒状物質、機能化ビーズまたは機能化粉末のような微小個別粒子で構成され、その表層にまたはそれが存在する内部細孔構造中に混入物を蓄積する能力を有する。それに加えて、微粒子状吸着材はさらに、吸収性を呈する。典型的な微粒子状吸着材材料は、1〜200μmの範囲内の平均粒子サイズを有しうる。深層フィルタろ材中の微粒子状吸着材成分の量は、20〜80重量パーセントの範囲内でありうる。
【0028】
本開示では、個々の深層フィルタろ材層の厚さは、250μmから1300μm未満までの範囲内である。各層12の典型的な厚さは、750μmであろう。
【0029】
各吸着深層型フィルタろ材層12は、セルロースおよび吸着材微粒子状物質を含みうるが、これらに限定されるものではない。ガラス繊維やバインダ樹脂のような他の材料も含まれうる。深層フィルタろ材層12は、多量の吸着材微粒子状物質を含む。一態様において、層12は、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を含む。他の態様において、層12は、55〜85重量%の吸着材微粒子状物質を含む。60〜80重量%の範囲内の微粒子状物質が好ましい。所定の目的に好適な任意の公知の吸着材微粒子状物質を使用しうるが、珪藻土(DE)またはパーライトが好ましい。深層フィルタろ材層12は、電荷修飾材料、すなわち、処理前の表面に固有の特性とは異なる特定の表面電荷を付与するように陽イオン性もしくは陰イオン性の試剤で処理されているかまたは特定の部分を標的にして化学修飾されている任意の材料を含みうる。
【0030】
典型的には、深層フィルタろ材は、セルロース繊維および微粒子状吸着材物質の水性スラリーを用いてウェットレイド製紙操作により作製される。微粒子状吸着材は、電荷(イオン性相互作用)すなわち陽イオン交換媒体または陰イオン交換媒体、疎水性相互作用(それほど可溶性でない微粒子間の引力)、および/または抗体と抗原もしくはリガンドとレセプタの場合のような特定の化学親和力に基づいて微粒子の特異的捕獲を可能にする化学部分を含有しうる。これらの微粒子状吸着材は、当業者に公知のさまざまな材料で作製可能であり、この場合、吸着性および/または吸収性の機能基が、1〜200μmの大きさを有する微粒子状吸着材に実質的に不可逆的に結合される。不規則形状の微粒子状吸着材がより効果的に機能しうると予想されるが、それは本開示に課される要件ではない。セルロース繊維は、叩解パルプまたは未叩解パルプで構成可能である。未叩解パルプとは、エンドユーザによる二次叩解操作に付されていない市販のパルプのことであり、叩解パルプとは、パルプの性質を変化させるべくエンドユーザによる二次叩解に付された市販のパルプのことである。粘度調整剤、樹脂、またはラテックスをスラリーに添加しうる。他の選択肢として、深層フィルタろ材は、次の成分、すなわち、結合性高分子粒子、活性炭粒子、珪藻土、イオン交換樹脂、および高分子繊維のうちの1つ以上を有する高分子シート媒体を含みうる。
【0031】
フィルタエレメント10は、少なくとも2つの層12を含む。開示を限定するものではないが、フィルタエレメント10の全厚さは、おそらく2500μm〜7500μmの範囲内でありうると予想される。したがって、個々の層12が250μm〜500μmの厚さである場合、2500μmの厚さを有するフィルタエレメントの層の数は、5〜10の範囲内であろう。5000μmの厚さを有するフィルタエレメントの層の数は、この場合も250〜500μmの個別層の厚さを仮定して10〜20の範囲内であろう。
【0032】
フィルタエレメント10は、追加の層を含みうる。たとえば、図3に示されるように、スパンボンドポリプロピレンや織成もしくは不織のポリエステルのようなサポート媒体よりなる1層以上の外層16を深層フィルタろ材層12の両側に配置しうる。そのようなサポート媒体を用いれば、逆流/逆圧条件で支持を提供することが可能であり、さらには2つの隣接するプリーツが接触状態にあったとしてもそれらの間で流体流が妨害されないように保証することが可能である。上流側および下流側のサポート媒体層16は、同一のもしくは異なる構成をとりうる。外層16は、ろ材として作用することはない。
【0033】
フィルタエレメント10中の他の層(図示せず)は、深層フィルタろ材層からの微粒子状吸着材の移動を減少させるために使用されるメルトブロー材料の薄層を含みうる。このメルトブロー材料層を用いれば、深層フィルタろ材層12を覆う粒子の保持が増大しなくなる。さらに、図5に模式的に示されるように、典型的には0.1、0.2、0.45、0.65、または0.8μmの孔径を有するマイクロポーラス膜18を深層フィルタろ材層の下流に配置することが可能である。この状況では、深層フィルタろ材層は、マイクロポーラス膜フィルタに対するプレフィルタとして作用し、それにより、従来の二段階のろ過処理は、一段階に低減されるであろう。
【0034】
さらに、フィルタエレメント10は、異なるろ過特性を有する深層フィルタろ材層12を含みうる(たとえば、一方の層は、第2の層に対するプレフィルタとして作用する)。複数のろ材層12のろ過特性を変化させることにより、ろ過の改良を行うことが可能である。流れの方向に減少する多孔度を有する深層フィルタろ材層の配置を以下に記載の先進的プリーツ構成と組み合わせた場合、以下に規定される種々の係数および指数に対する値に基づいて、いくつかの主要な利点を実現することが可能である。所与の設置体積内の媒体充填密度(MPD)は、以前の両面凸状カートリッジデザインよりも、10%〜20%大きくすることが可能であり、媒体利用指数(MUI)は、74%〜90%大きくすることが可能であり、Gk係数は、30%〜110%大きくすることが可能であり、そして無次元比較指数(DCI)は、50%〜200%大きくすることが可能である。所与の設置体積内のろ材の表面積は、対応する両面凸状カートリッジデザインよりも35%〜75%大きい表面積にまで増大させることが可能である。他の予想される利点は、ろ材の表面積の増大により流束(単位面積あたりの流れ)が減少し、結果的に、吸着能力の増大が可能になることである。また、媒体の質量の増大により吸着能力が増大する。すなわち、言い換えれば、流束を一定に保持することにより、表面積を増大させれば、より高い流量を使用することが可能になる。
【0035】
これらの薄肉(1300μm以下)深層フィルタろ材層12のうちのいくつかの層は、従来の厚さ(2500〜7500μm)にほぼ等しい全吸着深層媒体厚さになるように積層することが可能である。得られた多層フィルタエレメント10は、当業界内で一般に使用される任意の通常のプリーツ加工機(たとえば、Rabofsky E2000)を用いてプリーツ加工可能である。
【0036】
高面積プリーツデザイン、すなわち、従来のプリーツデザインと比較して円筒型フィルタモジュール内のろ材の充填密度を増大させるデザインについて、以下で説明する。ここでは、図2について説明する。高面積プリーツデザイン(この例では、改変Wプリーツ構成)を有するフィルタエレメント10aが示されている。フィルタエレメント10aの改変Wプリーツデザインは、外側ケージ30におけるフィルタの利用可能な半径方向流路の数の増加に伴って、スパイラルプリーツフィルタに特有なフィルタ面積増加を提供することが明らかにされている。それに加えて、フィルタエレメント10aは、コア20と外側ケージ30との間のより大きい全フィルタ密度を提供し、より大きい全フィルタ密度によってプリーツ間の支持が改良され、プリーツの移動および結合の可能性が低減されることが明らかにされている。
【0037】
図2および4について説明する。円筒型フィルタエレメント10aは、複数の長手方向および半径方向に延在するプリーツ14を含み、各プリーツは、互いに連結された1対のプリーツ脚15を有する。プリーツ14は、外向き放射状一次プリーツ14Pおよび内向き放射状二次プリーツ14Sを含み、少なくとも1つの二次プリーツは、2つの隣接する一次プリーツ間に配置される。改変Wプリーツデザインの詳細は、Olsenの米国特許第6,315,130号明細書に見いだすことができる。図2および4において、プリーツ14は、説明のために実際よりも離間して配置された形で示されていることに留意すべきである。実際のフィルタエレメントでは、プリーツは、中心コア20の近傍で隣接プリーツが互いに接触するように互いにより近接して配置されるであろう。それによって、より多量のろ材が、コア20と外側ケージ30との間に嵌設される。
【0038】
流体流がフィルタエレメント10aを貫通して半径方向内向きに、すなわち、外側ケージ30からコア20の方向に流動するようにフィルタエレメント10aを使用する場合、コア20に当接するプリーツ脚の外面(内側面)は、フィルタエレメント10aの下流側面17を形成し、一方、外側ケージ30に当接するプリーツ脚の外面(外側面)は、フィルタエレメント10aの上流側面19を形成する。逆に、流体流がフィルタエレメント10aを貫通して半径方向外向きに、すなわち、コアから外側ケージの方向に流動するようにフィルタエレメント10aを使用する場合、プリーツ脚の内側面は、フィルタエレメント10aの上流側面を画定し、プリーツ脚の外側面は、フィルタエレメント10aの下流側面を画定する。フィルタエレメント10aのいずれの構成においても、相接プリーツ脚の隣接プリーツ面は、それらのそれぞれの高さにわたり実質的に互いに相互支持接触状態にある。
【0039】
一次プリーツ14Pに対する二次プリーツ14Sの配置の変更は可能である。たとえば、フィルタエレメント10aは、隣接する一次プリーツ対14P間にさまざまな高さの2つの二次プリーツ14Sを含むことが可能であり、またはフィルタエレメント10aは、すべての2つの隣接する一次プリーツ14P間に1つの二次プリーツ14Sを含むことが可能である。それに加えて、図示されていないが、フィルタエレメント10aは、隣接する一次プリーツ14P間にさまざまな数の二次プリーツ14Sを有することが可能であった。
【0040】
改変Wプリーツフィルタエレメントは、同一の内径および外径を有する従来の半径方向プリーツ付きフィルタエレメントよりもろ過に使用可能なはるかに大きい表面積を有することが明らかにされている。一般的には、改変Wプリーツフィルタエレメント10aは、従来の直線状半径方向プリーツ付きフィルタエレメントよりも30パーセント(30%)大きい表面積を有しうることが明らかにされている。それと比較して、従来のWプリーツ付きフィルタエレメントは、従来の直線状半径方向プリーツ付きフィルタエレメントよりも20パーセント(20%)大きい表面積を有するにすぎない。
【0041】
それに加えて、改変Wプリーツフィルタエレメント10aはまた、従来のWプリーツ付きフィルタ(2つの充填プリーツ対間に1/2プリーツの均一な反復パターンを有する)または従来の直線状半径方向プリーツ付きフィルタのいずれと比較しても、フィルタモジュール8のコア20と外側ケージ30との間により大きいかつより安定したフィルタ密度を提供する。
【0042】
改変Wプリーツフィルタエレメント10aのより大きいかつより安定したフィルタ密度の結果として、プリーツ間の支持が改良され、かつフィルタエレメントに加わる負荷の分布がより均一になる。したがって、より大きいかつより安定したフィルタ密度によって、プリーツの移動および結合が最小限に抑えられ、脈流系において粒子を保持するプリーツの能力が増大する。さらに、改変Wプリーツフィルタエレメントは、従来の直線状プリーツ付きフィルタエレメントよりも長いフィルタ寿命を提供することが明らかにされている。さらに、改変Wプリーツフィルタエレメントは、スパイラルプリーツフィルタエレメントよりも優れた利点を有することが明らかにされている。とくに、改変Wプリーツフィルタエレメントは、典型的には、フィルタモジュール8の外側ケージ30における利用可能なフィルタの半径方向流路の数の増加に伴って、スパイラルプリーツ付きフィルタエレメントと同様に、フィルタ面積およびフィルタ密度の増加を提供する。それに加えて、改変Wプリーツフィルタエレメントは、典型的には、ケージ内に挿入する前にプリーツをロールオーバすなわち「スパイラル化」しなければならないスパイラルプリーツフィルタエレメントよりも容易に外側ケージ内に挿入される。
【0043】
改変Wプリーツデザインはまた、逆流条件に耐えるフィルタエレメントの能力を増大させうる。比較的低い構造保全性を有する標準的プリーツ付きフィルタエレメントは、流体流がコア20から外側ケージ30の方向に流動する場合、圧潰前、プリーツを横切るごくわずかな圧力低下に耐えうるにすぎない。改変Wプリーツデザインを用いた場合、プリーツの最密充填箇所がフィルタエレメントの外周方向に移動するので、フィルタエレメントの構造保全性は増大され、それにより、標準的プリーツを有するフィルタエレメントと比較して、より多くのプリーツ間支持が提供される。最密充填箇所は最も短いプリーツの高さに位置すると予想される。
【0044】
フィルタエレメント10に対する改変Wプリーツデザインを以上に開示したが、本開示の範囲内には他のプリーツデザインが存在する。たとえば、他の選択肢の実施形態では、図5に示されるように、フィルタモジュール8は、スパイラルプリーツフィルタエレメント10bを含みうる。本開示に組み込むのに好適なプリーツ形状を有するスパイラルプリーツフィルタエレメント10bの例は、Paulらの米国特許第6,598,749号明細書(この開示は、本開示と矛盾しない範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている。Paulらにより開示されたように、それぞれのスパイラルプリーツの高さは、フィルタエレメント10b全体にわたり均一である必要はない。その結果として、プリーツのすべてが等しい高さでありかつモジュール内に蜜に充填された従来のスパイラルプリーツフィルタモジュールに対して、フィルタモジュール8の流動特性は改良される。それに加えて、不均一なプリーツ高さにすれば、比較的容易にかつ外側ケージ30の内側面に当接するプリーツの折り山を摩擦により牽引することなく、フィルタエレメント10bを支持ケージ内に軸方向に挿入することが可能になる。したがって、ろ材は、フィルタモジュール組立て時、損傷を受けないであろう。
【0045】
図6Aおよび6Bに最良の形で示されるように、フィルタエレメント10bの隣接するプリーツは、異なるプリーツ高さを有しうる。隣接するプリーツ14の根元11(すなわち、コア20に最も近いプリーツ部分)は、プリーツが1つおきにコア20に接触または実質的に接触するように、ずらして配置することが可能である。隣接するプリーツ14の根元11をこうしてずらして配置すると、コア20に隣接するフィルタエレメント10bの周に沿ってボイドまたはチャネルが形成される。その結果として、複数の長手方向に延在するチャネルは、フィルタエレメント10bの内周とコア20との間に画定される。隣接するプリーツ14の折り山13(すなわち、外側ケージ30に最も近いプリーツ部分)はすべて、実質的に外側ケージ30に接触しうる。
【0046】
フィルタエレメント10bの他の選択肢のスパイラルプリーツデザイン(図示せず)では、フィルタエレメント10bの外周と外側ケージ30との間に長手方向に延在するチャネルを形成するように、プリーツ14の折り山13をずらして配置することが可能である。フィルタエレメント10bの他の選択肢のスパイラルプリーツデザインでは、プリーツ14の根元11および折り山13の両方をずらして配置することにより、フィルタエレメント10bの内周および外周の両方に沿ってチャネルを形成することが可能である。これらの長手方向チャネルにより、フィルタモジュール8のケージを貫通する排出が強化される。したがって、フィルタエレメント10bを横切る差圧低下は、プリーツがすべて均一な高さを有しかつカートリッジコアの近傍に蜜に充填された従来のスパイラルプリーツフィルタエレメントを横切る差圧低下よりも小さい。
【0047】
改変Wプリーツデザインおよびスパイラルプリーツデザインに関してフィルタエレメント10の説明および例示を行ってきたが、本開示の範囲内には他のプリーツデザインが存在することは明らかである。さらに、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、開示されたプリーツデザインに修正および変更を加えることが可能である。
【0048】
本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメント10は、さまざまな技術により製造可能である。しかしながら、一般的には、プリーツ加工される深層フィルタろ材およびもしあればサポート媒体を別々のロール上に保存し、層のプリーツ加工時にプリーツ加工機に同時に供給して複合体の形態にすることが可能である。複合フィルタエレメントをプリーツ加工した後、複合層とくにそのサポート媒体がヒートセットされるように、フィルタエレメントを加熱することが可能である。
【0049】
図示されていないが、次に、プリーツ加工機から送出されたプリーツ付きヒートセットフィルタ複合体をフィルタエレメント10の目標寸法により決定されるプリーツの規定の長さまたは規定の数になるように切断可能である。次に、プリーツ付きフィルタエレメントの長尺物を円筒形状に形成し、超音波溶接などのような従来の手段によりプリーツ付きフィルタエレメントの長手方向の縁部を継ぎ目に沿って互いに封止し、プリーツ付きフィルタエレメントを円筒形状に保持する。次に、円筒型コア20を円筒型フィルタエレメント10に軸方向に挿入し、フィルタエレメントおよびコアを円筒型外側ケージ30に軸方向に挿入し、端部キャップ40をフィルタエレメント10の端部に結合し、図1および5に示されるような完全なフィルタモジュールアセンブリ8を形成することが可能である。
【0050】
図1および5に示されるように、フィルタモジュール8の円筒型コア20は、半径方向の力に対抗してフィルタエレメント10の内周を支持するとともに、曲げに対抗して軸方向の強度および剛性をフィルタエレメントに付与するのに役立つ。コア20は、従来のデザインでありうる。また、十分な強度を有しかつ流体のろ過に適合する任意の材料で作製可能である。コア開口26は、外側壁とコア20の中心コアとの間を流体が通過できるように、コア20を貫通する形で形成される。フィルタモジュール8の外側ケージ30は、流体が通過するように内設された外側ケージ開口36を有する従来のデザインでありうる。他の選択肢の外側ケージ(図示せず)は、伸長可能なメッシュスリーブ、多孔性の押出し管、またはコード材料、織成もしくは不織の材料よりなるラップを含む。外側ケージ30の作製に用いられる材料は、ろ過される流体およびろ過条件に基づいて選択可能である。
【0051】
通常、本開示に係るフィルタモジュール8は、両端部に端部キャップ40を備えるであろう。典型的には、ハウジングアダプタ41は、端部キャップ40に接合される。ハウジングアダプタ41は、盲端キャップまたは開端キャップでありうる。また、それらの作製に用いられる材料およびそれらの形状は、ろ過条件およびハウジングアダプタを端部キャップに連結させる部材の材料に基づいて選択可能である。端部キャップ40は、フィルタエレメント10に取り付け可能であり、コア20または外側ケージ30に取り付けることも可能である。従来技術を用いて、たとえば、エポキシ樹脂、熱接合、またはスピン溶接を用いて、図2に示されるようなろ材の構成要素に端部キャップ40を取り付けることが可能である。
【0052】
上述のプリーツ付きフィルタモジュールは、広範なパラメータを用いて作製可能である。典型的なパラメータとしては、200mm〜325mmの範囲内の外径を有するフィルタモジュールが挙げられうるが、現時点で、400mmを超える直径を有するモジュールも考えられる。ただし、これらに限定しようとするものではない。典型的な内径は、25mm〜100mmでありうる。フィルタモジュールの典型的な高さまたは長さは、100mmから500mm超の範囲内でありうる。典型的なフィルタエレメントは、2〜7層の深層フィルタろ材層を含み、各層は、少なくとも50重量%の吸着材微粒子材料を有する。先に述べたように、典型的な吸着材微粒子材料は、たとえば、珪藻土である。
【0053】
実施形態:
深層フィルタろ材の特定の代表的な一実施形態に従って、フィルタエレメントの形成方法について本明細書で説明する。それぞれの深層フィルタろ材層は、純度を改良するために逆浸透により処理された水(RO水)を用いて1%のスラリーを作製することにより形成される。典型的なスラリー溶液は、当業者の熟知するところであろうが、乾燥重量基準で、市販のクラフトパルプと6%の叩解パルプ(−250CSF(Canadian Standard Freeness)、米国特許第4,305,782号明細書に記載のとおり)と68%の珪藻土とよりなる。代表的な一配合物では、2つのタイプの樹脂(たとえば、米国特許第5,085,784号明細書に開示されているような代表的な電荷修飾処方の樹脂、米国特許第4,473,474号明細書にさらに開示されているような化学構造を有する(それぞれの開示は、本開示と矛盾しない範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとするである))が、それぞれ、5.2重量%および1.3重量%の樹脂固形分でスラリー固形分に添加される。当業者の熟知するところであろうが、他の電荷修飾樹脂を用いた他の配合物を使用することも可能である。
【0054】
得られたスラリーを80℃に加熱した後、スラリーを製紙機(Fourdrinier型)に供給した。スラリーの加熱は必須ではないが、より迅速な水の除去を可能にするであろう。その結果、特定のスラリー混合物にもよるが、処理速度を増大できる可能性がある。スラリーを一定の厚さで移動ベルト上に置いた。この処理の典型的なベルト速度は、0.5m/min〜10m/minの範囲内である。ベルトを真空チャンバ内に通してRO水のほとんどをスラリーから除去した。典型的には、適用真空圧は、25.4〜68.6センチメートルHg(10〜27インチHg)の範囲内であった。次に、乾燥を開始するために、この湿潤状態の媒体を一連の赤外線ヒータ下に供給した。次に、媒体を一連の熱ローラに通して、さらなる処理に供すべく媒体を十分に乾燥させる処理を終了した。次に、得られた深層フィルタ媒体を厚紙コアに巻き取った。処理のこの時点で、得られた深層フィルタろ材(重量基準で5.0%未満の水分含有率を有すると考えられた)は、30%〜50%の水分含有率を有する「湿潤状態」の深層フィルタろ材と比較して「乾燥状態」にあるとみなされる。実際上、重量基準で28%未満の水分含有率を有する得られた深層フィルタろ材はいずれも、「乾燥状態」の深層フィルタろ材であるとみなしうる。
【0055】
深層フィルタろ材をプリーツ加工してフィルタエレメントを形成するために、図7に示されるように、複数の深層フィルタろ材ロール52を上流側および下流側のサポート材料のそれぞれのロール54、56と一緒に巻出しステーション50に機能的に配置した。
【0056】
すべての層が互いに積重なって積層整合されるように、巻き出された深層フィルタろ材層およびサポート材料層を1対のローラ(図示せず)間に供給した。異なるプリーツ高さの送給が可能なプリータ、たとえば、Rabofsky R178PCまたはRabofsky E2000を用いて、深層フィルタろ材およびサポート材料の多層を一緒にプリーツ加工した。プリーツ加工速度は、10プリーツ/分〜35プリーツ/分の範囲内であった。
【0057】
プリーツ付きろ材層およびサポート材料層を軟化させてプリーツの固化を支援するために、通常、加熱プレートがプリータ内に設置される。ヒータ下から送出されて冷却されることによりプリーツの固化が起こるまで、加熱と併用して、プリーツ加工されたばかりの媒体を加圧下で拘束する。この圧力は、通常、加圧下でプリーツの上端を押圧するクリートを用いることによりプリーツの上端に加えられる。この圧力はまた、取扱い時、ろ材層およびサポート材料層の跳動を防止する。本明細書に記載の実施形態では、フィルタエレメントをヒートセットするために、プリータ中のヒータの上端プレートを110℃に設定し、底端プレートを115℃に設定した。20.6Kpaの背圧を加えた。
【0058】
ハサミを用いて36プリーツごとにプリーツ付き複合深層フィルタろ材を横方向に切断した。しかしながら、その代わりに鋭利なブレードやウォータジェットのようなより好適な切断システムを使用しうると予想される。次に、帯鋸を用いて10インチの幅になるように複合媒体の両側をトリミングした。この場合も、その代わりに回転ブレードやウォータジェットのようなより好適な切断システムを使用して、端部キャッピングのためのフラットかつ均一な外面を提供しうると予想される。
【0059】
次に、円筒型プリーツ付きフィルタエレメントを形成するために、従来のホットメルトグルー(3M Jet Melt 3792−LM)を用いて2つの自由プリーツ縁を継合した。射出オーバモールド成形、超音波溶接、またはポリプロピレン溶融などのようなより好適な継合システムが予想される。コアを縁封止プリーツ付きフィルタエレメントの中央領域に挿入した。
【0060】
端部キャッピングの前に、最初に、厚いポリプロピレンシートから作製された2つの端部キャップを機械加工して、ホットメルトを保持することが可能でありかつコアおよびプリーツ付きフィルタエレメントを受容することが可能である端部キャップキャビティを形成した。次に、押出機を用いて、ホットメルトを第1の端部キャップのキャビティ中に分配し、プリーツ付きフィルタエレメントをコアと共にこのキャビティに圧入し、そしてホットメルトを冷却させた。この処理を反復して第2の端部キャップをフィルタエレメントの他端に取り付けた。他の選択肢の端部キャッピング手順では、いくつかのエポキシ樹脂シリンジキットから分配されたエポキシ樹脂(LOCTITE QUICKSET)を用いて、端部キャップをフィルタエレメントおよびコアに取り付けた。
【0061】
さらなる他の選択肢の端部キャッピング手順では、フィルタエレメントおよびコアを溶融外面に圧入するときにフィルタエレメントの端部を十分に封入封止すべく、IRヒータを用いて端部キャップ自体を加熱して好適な深さまで端部キャップキャビティの外面を溶融しうると予想される。端部キャッピングが終了した後、フィルタモジュールは、必要になることもある端部アダプター(もしあれば)に連結できる状態にある。得られたフィルタカートリッジは、種々の濾過構成体の形態に集成できる状態にある。
【0062】
理論的検討:
本開示に係るいくつかの実施形態に関連する特性パラメータを決定するために、理論的検討を行った。理論的検討で使用したいくつかの因子を以下に定義する:
フィルタモジュールの排除体積: フィルタモジュールに占有される体積。
【0063】
媒体充填密度(MPD): 深層フィルタろ材の質量をフィルタモジュールの排除体積で割り算した値。
【0064】
媒体利用指数(MUI): 深層フィルタろ材の質量をフィルタモジュールの排除体積で割り算してフィルタモジュールの有効面積を掛け算した値。
【0065】
Gk係数(Gk):媒体利用指数(MUI)にすべての深層フィルタ層の有効深層フィルタろ材の厚さを掛け算した値。
【0066】
無次元比較指数(DCI): Gk係数を全カートリッジ重量で割り算した値であり、次式:
(深層フィルタろ材の質量)×(モジュールの有効フィルタ面積)×(すべての深層フィルタ層の有効深層フィルタろ材の厚さ)/(フィルタモジュールの排除体積)×(全カートリッジ重量)
で表すことが可能である。
【0067】
無次元比較指数2(DCI2): 深層フィルタろ材の質量の代わりに微粒子状吸着材の質量を使用する以外はDCIと同じ。
【0068】
媒体充填密度(MPD)は、ろ材の質量をフィルタモジュールの排除体積で割り算した値として定義される。この定義との関連では、質量は、有効質量(すなわち、使用時に利用しうる質量)を意味することに留意することが重要である。深層フィルタ、特定的には、微粒子状吸着材を有する深層フィルタは、電荷部位が多いほど、より良好に機能する(すなわち、より良好な保持性を有する)と考えられるので、この用語は重要である。荷電部位は、流れを損なうことなくこれらの微粒子状吸着材をどれくらい多く充填しうるかの関数である。フィルタモジュールの体積は、使用される装置の包絡サイズであり、可能なかぎり小さいサイズを有することが望ましい。なぜなら、そうすれば、使用時、フィルタ装置により占有される設置面積やスペースが小さくなると思われるからである。これらの2つの機能、すなわち、有効質量および排除体積を組み合わせて、MPD比較係数を形成し、2つの類似目的製品の属性を特定し比較した。この比較係数MPDを用いる場合、特定のフィルタ装置での値がより大きいということは、単純に、性能およびサイズの両方に関して、特定のフィルタ装置が、より低いMPD値を有するフィルタ装置よりも良好な工学的フィルタ装置であることを意味する。
【0069】
以上で定義した媒体利用指数(MUI)は、MPDにフィルタモジュールの全有効表面積を掛け算した値である。おわかりのとおり、これはMPDの延長である。MPDを使用することの欠点の1つは、微粒子状吸着材で満たされたバケツの例で明らかである。かなり大きな質量および非常に小さい包絡体積であるが、この装置の表面積は小さい。表面積は、ろ過用途では重要である。なぜなら、それは流束(単位面積あたりの流れ)を決定するからである。流束を小さくすると媒体との接触時間が増加するので、媒体のろ過性能は向上すると考えられる。流束を小さくすると、フィルタ装置内のろ材の所与のセクションを通過する流体の速度は遅くなる。この場合もMPDと同様に、MUIは、同目的フィルタカートリッジに対する比較指数である。MUI値が大きいほど、工学的フィルタ装置は良好であることが示唆される。なぜなら、値が大きいほど、質量、面積が大きく、かつより小さい包絡サイズで性能の向上を達成できるので使用容易性が大きいという事実に基づいて、より良好な性能であることが示唆される。
【0070】
この場合も、MUIがMPDの改良であったのと同様に、Gk係数もまた、MUIと比較して2つの同目的フィルタカートリッジを比較する改良された方法である。MPDにおいて質量がフィルタ性能に関して重要であったのと同様に、MUIにおいて面積が流束に関して重要であった。結果的に、流束に影響を及ぼした。それにより流体の速度が影響を受け、さらには接触時間が影響を受ける。Gk係数は、フィルタ性能に寄与するもう1つの因子である媒体の深さを含む。Gk係数は、MUIにフィルタ装置で使用される媒体の全有効厚さを掛け算した値である。媒体の厚さは、流体が下流側から流出するまで進入点(外面)から媒体を貫通して引いた垂線であると想定される。厚さまたは深さは重要である。なぜなら、それは、電荷部位と混入物との接触時間を増加させるからである。これは、結果的に、ろ液品質を改良する。すなわち、より良好な性能のフィルタをもたらす。MPDおよびMUIの場合と同様に、Gk値が大きいほど、性能およびサイズの両方に関して良好な工学的フィルタ装置が得られる。
【0071】
Gk係数により2つの同目的フィルタ装置間の良好な比較が行われるが、考慮すべきもう1つの因子が存在する。これは、フィルタ装置の全重量である。高いGk係数を有する装置を備えることは可能であるが、それはまた、ろ材以外の部品に起因してより高重量になる可能性がある。使用容易性を考慮した場合、この重量は、2つの同目的フィルタ装置間の真の比較を歪めるであろう。たとえば、より嵩高い部品を備えたカートリッジは、より軽量の部品を備えたカートリッジよりも高重量になるであろう。この現象に起因してかつ規格化上および実用上の理由で、Gk係数を全フィルタモジュール乾燥重量で割り算する。この操作の結果、無次元比較指数DCIが得られる。DCI値は最大で1、最小で0でありうるが、0または1は物理的に不可能である。この場合も、DCIは、媒体のろ過性、たとえば、その接触時間に関連する深さ、流束に及ぼすその影響に関連する面積、および電荷部位の数が存在する微粒子状吸着材の量に直接関連するので質量を包含する。DCIはまた、フィルタ装置の物理的属性、たとえば、サイズ(排除体積)および重量を包含する。これらの2つの因子は、製品の使用容易性に寄与する。これらの因子をすべて組み合わせると、フィルタ装置の性能および使用容易性に関する良好な指標が得られる。さらに、DCIはまた、媒体の質量の代わりに微粒子状吸着材の質量を使用しうると予想される。値はそれらに応じて変化するであろうが、本開示の有用性をさらに強調することが期待される。米国特許第5,232,595号明細書には50%以下の微粒子状吸着材レベルが教示されているのに対して、本開示では75%まで収容可能であるので、DCI2を用いた場合、ワンプリーツ付き構成体間の差は、より明確になるであろう。
【0072】
先に述べたように、MPDは、有効ろ材質量をフィルタモジュールの排除体積で割り算した値として定義される。次に、本開示の種々の実施形態に対して理論的に決定されたMPDを、他の公知の先行技術フィルタモジュールに対して計算されたMPDと比較する。その結果、試験した本開示の実施形態に対するMPDは、等しいカートリッジ体積を有する他の公知のセルロース・微粒子状吸着材深層型フィルタカートリッジシステムのときよりも12%大きい値(最小値として)から166%程度大きい値までの範囲内であることが示される。本開示を用いて、フィルタモジュールが他の公知のフィルタモジュールデザインよりも小さい体積を有するようにデザインしたとき、より高い媒体充填密度が達成されることもまた示された。
【0073】
本開示の種々の実施形態を他の公知のデザインと比較する実施例および計算を以下に提示する。特定的には、計算は、改変Wプリーツ構成に従ってプリーツ加工されたフィルタエレメントに基づく。参考のために、以下の式を用いて本開示に係るフィルタモジュールについてモジュール有効表面積、有効媒体質量、および媒体充填密度のようなパラメータを計算した。
【0074】
記号の定義:
Ad=フィルタディスクの有効面積 ft2
Ar=プリーツリング番号rから得られる有効表面積 ft2
As=モジュールの有効表面積 ft2
C=セルの番号
D=ディスクの番号
Hp=一次プリーツの高さ in
Hr=リングrのプリーツの高さ in
Hs=特定の二次プリーツの高さ in
(先進的プリーツデザインでは、それぞれの二次プリーツの高さは、他の二次プリーツの高さと異なりうることに留意されたい。)
ID=コアの内径 in
IDp=プリーツの内径=コアの外径 in
IDr=リングrのプリーツの内径 in
IDs=内側シールの外径 in
L=媒体の長さ in
Lp=一次プリーツの長さ in
Lr=プリーツリングrのプリーツの長さ in
Ls=二次プリーツの長さ in
M=媒体およびハードウェアを含む全カートリッジの質量 lbs
Ma=有効媒体の質量 lbs
N=ろ材層の数
OD=モジュールの外径 in
ODp=プリーツの外径 in
ODr=プリーツリングrのプリーツの外径 in
ODs=外縁シールの内径 in
P=一次プリーツの数
Pr=プリーツリングrの半径方向プリーツの数
R=プリーツリングの全数
S=二次プリーツの数
T=プリーツの厚さ in
V=モジュールの体積 ft3
Va=有効媒体の体積 in3
Δd=1プリーツの厚さによる円周増加に必要とされる直径変化 in
h=モジュールの高さ in
ha=モジュールの有効高さ in
t=ろ材の厚さ in
td=下流側サポート層の厚さ in
tu=上流側サポート層の厚さ in
MPD=媒体充填密度 lbs/ft3
Gk=Gk係数 lbs
DCI=無次元比較添字
MUI=媒体利用指数 lbs/ft
ρ=ろ材の密度 lbs/in3
仮定:
o プリーツ付きフィルタエレメント上への端部キャップの注型封入により、両端で1.27cm(1/2in)の損失を生じる。
【0075】
o コアは、0.32cm(1/8in)の壁厚を有する。
【0076】
o 端部キャップは、直径がプリーツ外径よりも0.64cm(1/4in)大きい。
【0077】
o Lsの計算に制約を与える製造上の要件から、二次プリーツ高さH7以上を使用した。
【0078】
H7は、Lsに対する式中でH1の代わりに代入される。
【0079】
o 深層フィルタろ材の各層は、0.089センチメートル(0.035インチ)の厚さである。
【0080】
o 合計5層の深層フィルタろ材層を使用する。
【0081】
o 上流側サポート材料は、0.061センチメートル(0.024インチ)の厚さを有する。
【0082】
o 下流側サポート材料は、0.025センチメートル(0.010インチ)の厚さを有する。
【0083】
o 多くの異なるプリーツ高さを使用する。最も短いプリーツの高さは、2.54センチメートル(1インチ)である。
【0084】
式:
ha=h−1(2つの端部キャップ) in
IDp=ID+.25 in
ODp=OD−0.25 in
Hp=(ODp−IDp)/2 in
T=2×(N×t+td+tu) in
P=IDp×π/T
Lp=2×P×Hp in
S=(ODp−IDp)×π/T
Hs=[ODp−(IDp+S×T/π)]/2
Δd=T/π in
Ls=2×S×[H1−(S−1)×Δd/4] in
L=LP+Ls in
As=ha×L/144 ft2
Va=L×ha×t×N in3
Ma=Va×ρ lbs
V=OD2×π×h/(4×1728) ft3
MPD=Ma/V lbs/ft3
MUI=MPD×As lbs/ft
Gk=MUI×(t×N/12) lbs
DCI=Gk/M
式中、 ρ=0.0125 lbs/in2
第1の比較:
この第1の比較では、本開示の第1の実施形態をMillipore Millistack HCと称される両面凸状カートリッジデザインと比較する(図8参照)。この特定の両面凸状カートリッジデザインを比較のために選択した理由は、それが公知の先行技術製品の中で最も高い媒体充填密度を有すると考えられることにある。
【0085】
Millipore Millistack HCを記述した文献から次のデータを誘導した:
o カートリッジのOD=41cm(16in)
o カートリッジの高さ=18cm(7in)
o 有効表面積=17800sq cm(19.37sq ft)
o 8セル構成
Millipore Millistack HCの実際の製品から次のデータを測定観測した:
o カートリッジセルのOD=41cm(16in)
o 外縁シールの内径=38.74cm(15.25in)
o コアの直径=5.08cm(2in)
o 内側シールの外径=6.99cm(2.75in)
o 2層デザイン、上流側層=0.330cm(0.130in)および第2の層=0.343cm(0.135in)
o 組合せろ材の密度=0.343g/cm3(0.0124lbs/in3)
(5個の47mmディスクを切り出してサンプルを秤量することにより、この密度を計算した。平均で、二層組合せ層は、47mmディスク1個あたり4.0gの重量を有することがわかった。これは、0.343g/cm3(0.0124lbs/in3)に相当する。)
o 1個のセルの2面=合計16個の二層フィルタディスク
o アセンブリの非ろ材要素の質量=2.15kg(4.75lbs)
Millipore Millistack HCの計算結果:
C=8
D=2×C=16
Ad=(ODS2−IDS2)×π/(4×144) ft2
As=Ad×D=19.63 ft2
Asの計算値(1.82m2(19.63ft2))は、測定された特性に基づいており、計算値がより大きいので、文献値の代わりに使用される。
【0086】
表Iは、この第1の比較の計算結果を示している。同一のカートリッジ寸法で、本開示の第1の実施形態は、Millipore Millistack HCよりも14%大きい質量充填密度を有することがわかる。また、第1の実施形態は、Millipore Millistack HCよりも93%大きい質量利用指数、31%大きいGk係数、および59%大きいDCIを有することもわかる。さらに、本開示のこの第1の実施形態は、Millipore Millistack HCよりも14%大きい質量および69%大きい表面積を有することもわかる。質量が大きいほど、保持性が改良され;表面積が大きいほど、流束が減少することにより処理量が改良されるか、または処理速度が速くなる。
【0087】
第2の比較:
この第2の比較では、本開示の第2の実施形態をPall−Seitz SUPRAdiskと称される両面凸状カートリッジと比較する(図9参照)。
【0088】
Pall−Seitz SUPRAdiskを記述した文献から次のデータを誘導した:
o カートリッジのOD=28.4cm(11.2in)
o カートリッジの高さ=28〜33cm(11〜13in)(より小さいカートリッジ体積を生じることから28cm(11in)を計算に使用した。)
o 有効表面積=18000sq cm(19.4sq ft)
o 16セル構成
Paul−Seitz SUPRAdiskの実際の製品から次のデータを測定観測した:
o カートリッジセルのOD=28.4cm(11.2in)
o 外縁シールの内径=26.99cm(10.625in)
o コアのID=6.35cm(2.5in)
o 内側シールの外径=6.99cm(2.75in)
o 一層デザイン、上流側層=0.356cm(0.140in)
o 密度は0.376g/cm3(0.0136lbs/in3)と計算された
o セル1個あたり2個のフィルタディスク
o アセンブリの非媒体要素の質量=7.07
Pall−Seitz SUPRAdiskの計算結果
C=8
D=2×C=16
Ad=(ODS2−IDS2)×π/(4×144) ft2
As=Ad×D=19.4 ft2
Asの計算値(1.694cm2(18.24ft2))は、1.80cm2(19.4ft2)の文献値よりも小さいことに留意されたい。したがって、Asを必要とする計算では、より大きい値であることから文献値を使用した。
【0089】
表IIは、この第2の比較の計算結果を示している。同一のカートリッジ寸法で、本開示の第2の実施形態は、Pall−Seitz SUPRAdiskよりも42%大きい質量充填密度を有することがわかる。また、第2の実施形態は、Pall−Seitz SUPRAdiskよりも75%大きい質量利用指数、111%大きいGk係数、および206%大きいDCIを有することもわかる。さらに、第2の実施形態は、Pall−Seitz SUPRAdiskよりも42%大きい質量および23%大きい表面積を有することもわかる。
【0090】
第3の比較:
この第3の比較では、本開示の第3の実施形態をMeyerの米国特許第5,232,595号明細書により教示されるさまざまなデザインと比較する。米国特許第5,232,595号明細書には、半径方向プリーツ付きデザインの使用が教示されている。この場合、カートリッジは、単に1つの大きいリングを有するのではなく一連のより短いプリーツを生じる複数のサブリングを有していてもよいし有していなくてもよい。
【0091】
指標として上記の記号を使用し、次式を用いて米国特許第5,232,595号明細書の種々のパラメータを計算することが可能である:
ID1=ID+.25 (IDr ここで、r=1) in
ODr=IDr+1/R× (OD−ID1−R×.25) in
IDr=OD(r-1)+.25 (ここで、r>1) in
Lr=2×Hr×Pr in
L=ΣLr in
Va=L×ha×t×N in3
Ma=Va×ρ (ここで、ρ=0.0125lbs/in3) lbs
米国特許第5,232,595号明細書に記載の技術での有効表面積Asは、流入流に最も近いプリーツのリング(上流側リング)の有効面積として定義されることに留意されたい。計算目的で、流れは、カートリッジの外部から流入し、フィルタ中を貫流し、そしてコアから流出すると仮定する。したがって、マルチリングデザインで可能な最大表面積が得られる。
【0092】
米国特許第5,232,595号明細書に関係する仮定:
o それぞれのリングは、コアおよび外側リングよりなる。最内側セクションの外側リングは、次のセクションのコアである。
【0093】
o 媒体厚さ=0.102cm(0.040in)と仮定する。カートリッジは、リング1つあたり3層の0.102cm(0.040in)の厚さの媒体層を有する。これにより質量充填密度が最適化されるであろう。
【0094】
o それぞれのリングは、上流側サポートおよび下流側サポートの両方を有する:
■ 上流側サポート=0.061cm(0.024in)の厚さ;かつ
■ 下流側サポート=0.025cm(0.010in)の厚さ。
【0095】
o それぞれのリングサポートは、厚さ=0.318cm(0.125in)を有する。
【0096】
o リングにより形成されるそれぞれのセクションは、同一のプリーツ高さを有する。
【0097】
o 媒体密度=0.346g/cm3(0.0125lbs/in3)。
【0098】
表IIIは、この第3の比較の計算結果を示している。同一のカートリッジ寸法で、この第3の実施形態は、米国特許第5,232,595号明細書で教示された技術よりも少なくとも6%大きい質量充填密度を有することがわかる。また、この第3の実施形態は、米国特許第5,232,595号明細書で教示された技術よりも少なくとも38%大きい質量利用指数、少なくとも100%大きいGk係数、および少なくとも104%大きいDCIを有することがわかる。他の観測結果として、この第3の実施形態は、米国特許第5,232,595号明細書により教示されたものよりも少なくとも6%大きい質量および少なくとも14%大きい表面積を有する。
【0099】
先進的プリーツ技術を有する本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントが2種の両面凸型カートリッジと比較されている表IおよびIIのレビューから明らかなように、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの利点は、さらに自明なものになる。表Iでは、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントは、現在入手可能と考えられる最もよく知られている両面凸状カートリッジデザインと比較される。明らかなように、同一の物理的寸法で構築した場合、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントを表す第1の実施形態は、両面凸状カートリッジのDCIが0.34であるのに対してDCIが0.54であるので、先行技術の両面凸状カートリッジよりも明らかに良好な工学的装置である。したがって、0.34のDCIは、これまで達成可能であると考えられる両面凸状カートリッジで最も高い公知のDCIである。本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントは、0.64までのDCI値を達成することが可能であると考えられる。さらに、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントは、そのDCIが0.35〜0.64である場合、最も良好に利用されると考えられる。DCIは、それらの全カートリッジ乾燥重量およびそれぞれのカートリッジが空間内で占有する物理的体積に基づいて比較されるカートリッジを規格化する比較指標である。より大きいDCI値を得るために、より小さい体積およびより軽い構成要素の一方もしくは両方を有する必要があるので、これらの2つの因子は、使用容易性およびスペースの削減の要件に寄与する。DCIに含まれる他の因子は、全有効媒体質量、全有効表面積、および媒体の全有効厚さである。この場合も、より高いDCI値を達成するために、カートリッジは、多くの媒体、表面積、および全深さを有するものでなければならない。媒体質量は、カートリッジが考えられる任意の他の選択肢よりも良好に機能することを示す1つの指標である。なぜなら、より大きい質量では、より高濃度の吸着微粒子が存在すると考えられるからである。これらの吸着微粒子は、より多くの電荷部位を提供することにより深層媒体の吸着機能に寄与する。媒体質量に加えて、DCIはまた、面積をも考慮に入れる。フィルタの有する表面積が大きいほど、期待しうるフィルタ性能は良好である。より大きい表面積では、処理流量が一定に保持されると仮定すると、流束は低減される。単位面積あたりの流量として表される流束は、流体と電荷部位との接触時間を決定するうえで影響力が大きい。明らかに、流束が小さいほど接触時間が長いことを意味するので、深層媒体は、より効率的なものになる。接触時間に関係する他の影響力の大きい因子は、媒体の深さすなわち厚さである。DCIはまた、厚さをも考慮に入れる。深層媒体が厚いほど、ろ過される流体と媒体中の荷電部位との接触時間が長くなる。接触時間がこうして長くなると、より効率的なろ過が可能になるであろう。表Iでも同様に、評価された特定の両面凸状デザインと比較して、他の比較指標もまた、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの場合のほうが高いことは明らかである。おわかりのとおり、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの記載の代表的な実施形態では、Gk係数は6.28であり、MUIは427であり、MPDは12.87であり、一方、両面凸状カートリッジでは、4.78のGk係数、220のMUI、11.25のMPD、および11.25のMPDが得られる。これらの比較因子および指標はすべて、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントが表Iの両面凸状カートリッジと比較してすべてにわたり良好なデザインであることを示唆する。本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントに対してより大きい指標値が記録されたことから、より大きい表面積およびより大きい有効媒体質量を有するので、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントがより効率的であることが示唆される。この比較目的では、カートリッジの体積を同一に保持したが、デザインを単純にするために(部品を少なくするために)、カートリッジの全乾燥重量を低減させることにより、より高いDCI値を与えうることに留意することが重要である。繰り返しになるが、DCIは、媒体の有効質量が微粒子状吸着材の全質量と置き換えられたDCI2により表すことも可能である。この変更を加えると、この比較に対して同一の条件にはならないであろう。なぜなら、両カートリッジは、同一パーセントの微粒子状吸着材質量を有していないであろうと考えられるからである。DCI2は、とくに表IIIの他のデザイン比較において、より顕著なものとなろう。
【0100】
表Iの場合と同様に、表IIでは、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの第2の実施形態を他の両面凸型カートリッジと比較する。表IIでは、両面凸状カートリッジとほぼ同一の全体積を有する本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの第2の実施形態が比較されており、上述の両面凸状カートリッジよりも明らかに優れている。表IIでは、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの第2の実施形態が、0.49のDCI、4.19のGk値、287.5のMUI、および12のMPDを有し、DCIが0.16、Gk係数が1.98、MUIが164.2、MPDが8.47である表IIの両面凸型カートリッジよりも著しく大きいことがわかる。
【0101】
表IIIでは、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントを米国特許第5,232,595号明細書の実施形態の変形形態と比較する。米国特許第5,232,595号明細書には、半径方向プリーツ付き装置が開示されている。この場合、サブリングが存在してもしなくてもよく、プリーツ付きエレメントは、乾燥重量基準で多くとも50%の微粒子状吸着材を含有する。表IIIには、米国特許第5,232,595号明細書の実施形態の5サブリングまでの変形形態が示されている。これらの5つの変形形態を本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの第3の代表的な実施形態と比較する。本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの第3の実施形態は、0.49のDCI値、3.51のGk値、240.45のMUI、および11.72のMPDを有し、一方、偶然2つのサブリングを有する米国特許第5,232,595号明細書の実施形態の最良のケースは、0.24のDCI値、1.74のGk値、174.24のMUI、および11.09のMPD値を有する。この場合および米国特許第5,232,595号明細書の実施形態の他の変形形態では、同一の寸法になるように構築された本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの第3の代表的な実施形態は、より高い比較値を有し、性能および使用容易性の両特性の高い本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントを与えると考えられる。先に述べたように、ろ材の質量がろ材中の微粒子状吸着材の全質量と置き換えられたDCI2値も使用可能であると考えられる。本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントを用いれば、75%までの微粒子状吸着材を含有するろ材を作製することが可能である。しかしながら、米国特許第5,232,595号明細書には、それらの深層フィルタろ材中の50%までの微粒子状吸着材が教示されているにすぎない。このことに留意して、それに応じて構築された実施形態は、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントと米国特許第5,232,595号に従って作製された実施形態との間でDCI2値のさらに大きい差異を生じるであろう。
【0102】
繰り返しになるが、同一のサイズ、空間体積のフィルタ装置またはカートリッジにおいて、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントは、両面凸型深層フィルタカートリッジよりも、大きい媒体質量、より多くの微粒子状吸着材、より大きい面積を充填することが可能であり、かつ他のプリーツ付き深層フィルタろ材装置よりも、大きい質量、多くの微粒子状吸着材、および大きい面積を充填することが可能である。用途にもよるが、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントは、層の数を増大させることによりその全媒体厚さを増大させる能力を有することにも注目すべきである。本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの有するこれらの特性のおかげで、現在知られている他の技術と比較して所与のサイズでロバストかつより効率的な深層ろ過装置が提供される。さらに、対応する両面凸状深層フィルタカートリッジおよび他の深層フィルタカートリッジと比較した場合、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントは、先進的プリーツ技術の高充填性を利用していので、本開示に係る比較的小さいサイズのプリーツ付きフィルタエレメントで、同一の効率および性能を達成することが可能である。したがって、作業者が取り扱う重量、握り易いサイズのいずれに関しても、さらには対応する両面凸状深層フィルタカートリッジよりも少ない非ろ材構成要素が存在することからサイズおよび重量が小さくなることに起因して、少なくとも、輸送費の減少がもたらされるのでコストに関しても、より使いやすい深層フィルタカートリッジが提供される。このほかに、両面凸状カートリッジは、より大きい湿潤重量の原因となる湿分および流体をトラップする。このことによっても、両面凸状カートリッジは、使用後の取扱いが困難なものとなる。本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントを用いれば、ボイド体積のほとんどを排除することにより、以上のほとんどが回避されると考えられる。全体として、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントは、表の装置と比較した場合、取扱いがより容易であるフィルタ装置に組み込まれる潜在的により高い性能を有する深層フィルタの革新的な作製方法を提供すると考えられる。
【実施例】
【0103】
実施例1:
媒体形成に特定の実施例で、純度を改良するために逆浸透により処理された水(RO水)を用いて1%のスラリーを作製することにより、それぞれの深層フィルタろ材層を形成した。スラリー溶液は、当業者が熟知するように、乾燥重量基準で、26.8%の市販のクラフトパルプと7.3%の叩解パルプ(−250CSF(Canadian Standard Freeness)、米国特許第4,305,782号明細書に記載のとおり)と65.9%の0.02D’Arcy珪藻土(World Minerals Celite 507)とよりなるものであった。ポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂(Hercules Polycap 1884)を樹脂固形分重量基準で1.5%でスラリー固体に添加された。
【0104】
得られたスラリーを製紙機(Fourdrinier型)に供給した。スラリーを一定の厚さで移動スクリーン上に置いた。この処理のスクリーン速度は、91.44cm/min(3ft/min)であった。RO水のほとんどをスラリーから除去するために、スクリーンを真空スロット上に置いた。適用真空圧は、46〜51センチメートルHg(18〜20インチHg)の範囲内であった。次に、乾燥を開始するために、この湿潤状態の媒体を一連の赤外線ヒータ下に供給した。次に、媒体を一連の熱ローラに通して、さらなる処理に供すべく媒体を十分に乾燥させる処理を達成した。次に、得られた深層フィルタ媒体を厚紙コアに巻き取った。この時点で、媒体厚さを測定したところ、.048〜.053センチメートル(.019〜.021インチ)であった。
【0105】
深層フィルタろ材をプリーツ加工してフィルタエレメントを形成するために、上流側および下流側のサポート材料のロールと共に深層フィルタろ材ロールを巻出しステーションに機能的に配置した、上流側サポート層がBBA Fibernet Nonwovens TYPAR 3091Lであり、上流側媒体層、次の媒体層、および下流側媒体層が、特定例の媒体であり、そして最後に下流側サポート材料がDelstar 5 mil Delnet RC0707−24PPであるように、ロールを配置した。
【0106】
すべての層が互いに積重なって積層整合されるように、巻き出された深層フィルタろ材層およびサポート材料層を1対のローラ間に供給した。異なるプリーツ高さの送給が可能なプリータ(Rabofsky R178PC)を用いて、深層フィルタろ材およびサポート材料の多層を一緒にプリーツ加工した。プリーツ加工速度は、10プリーツ/分〜35プリーツ/分の範囲内であった。
【0107】
この特定の実施形態では、フィルタエレメントをヒートセットするために、プリータ中のヒータの上端プレートを100℃に設定し、底端プレートを100℃に設定した。1.7barの背圧を加えた。
【0108】
一次および二次のプリーツ高さのあらかじめ決められたセットをプリータの入口に送入し、次の名目上の一次および二次プリーツを作製した:
【0109】
【表1】
上記のプログラムを3サイクル反復させた。ハサミを用いて48〜50プリーツごとにプリーツ付き複合深層フィルタろ材を横方向に切断した。次に、2つの環状回転ブレードを用いて23.6センチメートル(9.29インチ)の幅になるように複合媒体の両側をトリミングした。次に、円筒型プリーツ付きフィルタエレメントを形成するために、従来のホットメルトグルー(3M Jet Melt 3792−LM)を用いて2つの自由プリーツ縁ならびにその間のそれぞれの連続した媒体層およびサポート層を継合した。
コアを縁封止プリーツ付きフィルタエレメントの中央領域に挿入した。
【0110】
フィルタエレメントおよびコアを溶融外面に圧入するときにフィルタエレメントの端部を十分に封入封止すべく、IRヒータを用いて端部キャップ自体を加熱して0.127センチメートル(0.050インチ)の好適な深さまで端部キャップキャビティの外面を溶融した。端部キャッピングが終了した後、フィルタモジュールは、端部アダプタに接合できる状態にある。ここで、226オーリングを用いて、ダブルオーリングピストン型アダプタの一方の面を端部キャップに、他方の面を盲キャップに接合した。これらのカートリッジのうちの2つを、それぞれ3019sqcm(3.25sqft)の利用可能表面積を有するように作製した。
【0111】
次に、得られたフィルタカートリッジをステンレス鋼CUNOフィルタハウジング型番1ZMS1中に配置して封止した。カートリッジにモラセス溶液を投入した。Grandma’s Molasses−”Robust Flavor”(Green Label)を1リットルあたり0.16グラムの濃度で水中に分散させた。選択された流量は、カートリッジエレメント1個あたり毎分3ガロンであった。これは、1平方メートルあたり毎分37.5リットルの流束を生じる。フィルタを横切る圧力低下を監視し、圧力低下が25psidに達されたときに試験を中止した。この第1のカートリッジは、915リットル毎平方で処理した後、この圧力低下に達した。第1のカートリッジと同一の方法で投入された第2のカートリッジは、972リットル毎平方で処理した後、この圧力低下に達した。
【0112】
実施例2: 特定例(実施例1)の媒体に記載されるプリーツなしフラットストックを、前に使用したロールのそれぞれからダイを用いる47mmディスクの形態に切断し、フィルタモジュールとプリーツ付きフィルタエレメントとで構成されたフィルタカートリッジを作製した。次に、フィルタディスクをCuno47mmハウジング部品番号70225−01中に配置した。この際、先に記載したようにロールを用いてフィルタエレメントを形成したときと同一の順序で媒体を配置し、ハウジングを封止した。もう1つのハウジングで、この処理を反復し、同様に集成された2つのハウジングを得た。1平方メートルあたり毎分37.5リットルの流束を生じる45.4ml/minの流れを用いて、水中に分散された16g/LのGrandma’s Molasses−”Robust Flavor”(Green Label)をフィルタに投入した。フィルタを横切る圧力低下を監視し、25PSIDの圧力差がフィルタを横切って記録されたときに試験を中止した。2つのハウジングで得られた処理量は、それぞれ、888および925リットル毎平方メートルであった。
【0113】
実施例3: 以上で試験したカートリッジの作製に使用したプリーツ付き媒体を用いて、47mmディスクをプリーツ付き材料から切り出した。最初に、フラットに置かれるようにプリーツ付き媒体を延伸し、次に、ダイを用いて47mmディスクの3層すべてを一度に切断し、プリーツパックの構成した。上流側および下流側のサポート材料を除去し、媒体の組合せを先の場合と同じように47mmハウジング内に配置し、上記の実施例2に記載したフラットストック試験と同様に投入を行った。得られた処理量を測定したところ、1平方メートルあたり毎分937リットルであった。
【0114】
最後に、以上の3つの実施例で得られた処理量を比較した。この結果、表IVに示されるように、媒体をプリーツ加工してもろ過性能は影響を受けないことがわかる。さらに、このプリーツ付き媒体をカートリッジの形態に構築した場合、プリーツ付き表面領域はすべて、利用可能である。結果から明らかなように、フラットストックろ材をプリーツ付きろ材に変換することにより性能の損失はみられなかった。
【0115】
本開示によれば、多量の吸着材微粒子状物質を有する吸着深層媒体は、プリーツ加工前に媒体を湿潤させる必要がなく、乾燥状態のプリーツ加工時、その構造保全性を保持しうる。より薄い深層フィルタろ材の多層を使用するという革新の結果、曲げ中立半径と比較して、各層の曲げ内半径および曲げ外半径における歪みが低減される。微粒子状物質のパーセントが50%を超えたとしても、このプリーツ加工は、亀裂を生じることなく達成される。したがって、ろ過操作における利用を妨げる構造的損傷を伴うことなく、深層フィルタろ材をプリーツ加工することが可能である。さらに、薄肉深層フィルタろ材の多層を組み合わせることにより、フィルタエレメントは、先行技術のモノリシック層と同一の全厚さを達成する。多層深層フィルタろ材は、プリーツ加工時、亀裂を生じない。なぜなら、個別層が互い自由に摺動するので、亀裂および分離または離層の問題が回避されるからである。この場合、高パーセントの吸着材微粒子状物質および高面積プリーツデザインを有する多重深層フィルタろ材層で形成されたフィルタモジュールを達成することが可能である。このフィルタモジュールは、得られる吸着深層フィルタろ材がこれまで達成可能であったものよりも実質的に大きい媒体充填密度および表面積を有する結果して、所与のカートリッジ体積で、より高い効率およびより良好な流量が得られるので、従来のフィルタモジュールよりも優れていることが確認された。
【0116】
実施形態に関連させて本開示の説明および例示を行ってきたが、以下の特許請求の範囲に規定されるようなプリーツ付きフィルタモジュール、プリーツ付き複合深層フィルタろ材、およびそれらに関連する種々の方法(ただし、これらに限定されるものではない)を含めて、このたび開示された実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、修正および変更を加えうることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】図1は、本開示の一実施形態に係るフィルタモジュールを含むフィルタカートリッジの部分破断斜視図である。
【図2】図2は、図1に示される実施形態に係るフィルタエレメントの斜視図である。
【図3】図3は、図1に示される実施形態に係るフィルタエレメントの部分斜視図である。
【図4】図4は、図1に示される実施形態に係るフィルタモジュールの部分断面図である。
【図5】図5は、本開示の他の実施形態に係るフィルタモジュールを含むフィルタカートリッジの部分破断斜視図である。
【図6A】図6Aは、図5に示される実施形態に係るフィルタモジュールの上面図であり、断面図を示すために部分的に破断されている。
【図6B】図6Bは、図5に示される実施形態に係るフィルタモジュールの詳細断面図である。
【図7】図7は、図1および5の実施形態に従って使用される巻出しステーションの概略図である。
【図8】図8は、先行技術に係る第1の両面凸状フィルタカートリッジの断面上面図である。
【図9】図9は、先行技術に係る第2の両面凸状フィルタカートリッジの断面上面図である。
【図10】図10は、先行技術に係るフィルタカートリッジの断面上面図である。
【図11】表Iは、第1の実施形態と図8に示される先行技術との比較である。
【図12】表IIは、第2の実施形態と図9に示される先行技術との比較である。
【図13】表IIIは、第3の実施形態と図10に示される先行技術との比較である。
【図14】表IXは、第3の実施形態と図10に示される先行技術との比較である。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年10月15日出願のHamlinらの米国仮出願第60/619,353号明細書(この開示は、本開示と矛盾しない範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする)の一部継続出願である。
【0002】
本開示は、一般的には、プリーツ付きろ材に関し、特定的には、流体をろ過するためのプリーツ付き吸着深層フィルタろ材およびそのようなプリーツ付きろ材を利用するフィルタカートリッジに関する。
【背景技術】
【0003】
ろ過は、流体(液体または気体)から粒子または混入物を分離する処理であり、流体を貫流させながら粒子を停止させたり捕獲したりする多孔性ろ材に流体を通すことにより達成可能である。ほとんどの従来のろ材は、2つの広義のカテゴリーに分類可能である。すなわち、流体混入物を表層で停止させる表層型ろ材と、媒体内つまり媒体の上流側面と下流側面との間で混入物を捕獲する深層型フィルタろ材と、に分類可能である。
【0004】
深層型フィルタろ材(特定的には、吸着深層フィルタろ材)は、かなり前から知られている。吸着深層型フィルタろ材では、流体をろ過するためのさまざまな材料(たとえば、セルロース)および任意のさまざまな吸着材微粒子状物質が使用される。ガラス繊維や合成繊維(たとえば、ポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維)のような他の材料も含まれうる。公知の吸着深層型フィルタろ材は、典型的には、30%〜50%のセルロースを含むが、セルロースは、全重量の10%程度の少量で含まれることもある。公知の深層フィルタろ材はまた、典型的には、50〜70重量%の微粒子状吸着材物質を含む。フィルタ性能は、深層フィルタろ材層中の微細な吸着材微粒子状物質の量を最大化することにより強化される。所定の目的に好適な公知の吸着材微粒子としては、珪藻土(すなわち、珪藻に由来するシリカのような脆砕性粉体を有する土壌)、パーライト、タルク、シリカゲル、活性炭、アスベスト、モレキュラーシーブ、クレーなどが挙げられる。これらの吸着材粒子は、その大部分が10μm未満の直径を有する。珪藻土やパーライトのようなケイ質材料が一般に使用される。さらに、選択吸着特性を付与したり強化したりするために吸着微粒子状材料に他の化学物質を含浸させることが可能であることも公知である。このほかに、深層フィルタろ材は、バインダ樹脂を含みうる。
【0005】
一般に、そのような吸着深層フィルタろ材は、両面凸型積層ディスクフィルタエレメントで使用されてきた(米国特許第6,712,966号明細書(その開示内容は、本開示と矛盾しない範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする)に示されるとおり)。吸着深層フィルタろ材は、ろ材に吸着させるのに十分な程度に混入物に接触させて流体流から混入物を効果的に除去すべく、合理的なフロースルー厚さを必要とする。深層型媒体の典型的な厚さは、2500〜7500μmの範囲内の厚さである。複数の両面凸状セルで構成される両面凸型フィルタユニットの所与のフィルタ体積置換に対して、最大表面積および最大媒体充填密度は、セル内にみられるサポートセパレータの厚さおよび許容流量を得るのに必要なセル間のスペースが原因で制限される。
【0006】
プリーツ加工は、所与のフィルタ体積で高い媒体充填密度を達成する一方法として認識されている。プリーツ付きフィルタは、典型的には、アコーディオンのように折り畳まれた比較的薄いセルロース系または合成の表層型ろ材で作製される。円筒型放射状プリーツ付きフィルタエレメントでは、プリーツの外側先端間に有意なスペースが存在しうる。この外側先端スペースを低減させてろ過表面積を増大させるために、スパイラルプリーツフィルタ(米国特許第6,598,749号明細書(その開示内容は、本開示と矛盾しない範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい)および同心状に配置されたプリーツ付きフィルタエレメントの複数のリング(米国特許第5,232,595号明細書(その開示内容は、本開示と矛盾しない範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい)が使用されてきた。2001年11月13日に発行されたOlsenの米国特許第6,315,130号明細書(本開示と矛盾しない範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする)には、円筒型フィルタの外径におけるプリーツ密度を増大させてろ過表面積を増大させるために、さまざまな高さのプリーツを使用することが教示されている。また、媒体の深さを増大させて各層ごとに異なるろ過特性を付与すべくフィルタカートリッジ内で異なるろ材層を使用することも公知である。
【0007】
プリーツ加工を行うには、かなりの曲げ半径が必要である。すなわち、プリーツを形成するためにろ材を鋭角で曲げることが必要である。このため、プリーツ付きフィルタは、典型的には、より厚い吸着深層フィルタろ材を用いずに、比較的薄い可撓性のセルロース系または合成の表層型ろ材で形成されてきた。樹脂含浸微孔性高分子メンブラン媒体、金属繊維媒体、または有孔金属媒体、さらには任意の以上の組合せでありうるメルトブロー高分子媒体、ニードルフェルト高分子媒体、またはスパンボンド高分子媒体、ウェットレイドガラス繊維媒体またはエアレイドガラス繊維媒体、セルロース系繊維媒体を含む表層型ろ材が、プリーツ加工を行うために使用されてきた。これらの表層型ろ材は、吸着深層フィルタろ材にみられるきわめて望ましい微粒子状吸着材が欠如している。
【0008】
しかしながら、そのような微粒子状物質が組み込まれた吸着深層型フィルタろ材は、脆性であり、典型的には、プリーツ加工時の曲げ半径における伸びに耐えることができない。たとえば、多量の微粒子状吸着材材料(60%以上の珪藻土)を有しかつ3.56mmの厚さを有するセルロース系ろ材をプリーツ加工しようと試みた場合、ろ材は亀裂を生じた。亀裂は、多量の珪藻土(DE)に起因するろ材の構造およびその剛性の結果である。ろ材中の繊維の構造に基づいて、媒体の全厚さは、一体となって曲がるであろう。そのような厚肉層の曲げ外半径は曲げ中立半径よりも有意に大きいので、曲げ外半径に沿ってかなりの引張り歪みが存在する。また、曲げ内半径は曲げ中立半径よりも有意に小さいので、曲げ内半径に沿ってかなりの圧縮歪みが存在する。ろ材中の繊維の亀裂および開裂は、ろ材が多量の微粒子状吸着材および少量のセルロースを含有することが原因となってこれらの高い歪みから生じる回避不能な結果である。ろ材が厚いほど、曲げ外半径と曲げ内半径との差が大きくなるので、外半径ではろ材の伸びが大きくなり、内半径ではろ材の圧縮が大きくなる。したがって、従来の吸着深層フィルタろ材をプリーツ加工すると、ろ材が亀裂を生じたり引き裂かれたりするので、ろ過能力および構造保全性の両方が失われることになる。両面凸型積層ディスクフィルタエレメントでは、深層型フィルタろ材を屈げないことによりこの問題が回避された。
【0009】
Meyerの米国特許第5,232,595号明細書(その開示内容は、本開示と矛盾しない範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする)には、プリーツ付き吸着深層型フィルタろ材が開示されている。特定的には、Meyerは、それぞれのろ材層の厚さが少なくとも1mmである深層プリーツ付きフィルタを開示している。Meyerはさらに、微粒子状吸着材の含有率が乾燥重量基準で50%以下であれば、吸着深層型フィルタろ材をプリーツ加工しうることを開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
吸着深層型フィルタモジュールで高い媒体充填密度が必要とされている。吸着深層型フィルタろ材の充填密度が高ければ、ろ過効率が改良される。吸着深層型フィルタモジュールで所与の媒体質量に対して表面積を増大させることもまた、必要とされている。所与の媒体質量に対して表面積を増大させれば、流量が高くなる。したがって、吸着深層型フィルタにおいて、高い媒体充填密度および増大された表面積の両方が重要である。しかしながら、典型的には、これらの望ましいフィルタ特性を達成するうえでトレードオフが存在する。したがって、表面積を犠牲にすることなく高い媒体充填密度を有する吸着深層型フィルタモジュールが必要とされている。さらに、実質的に全ろ材が利用されるように流体をろ過しうる吸着深層型フィルタモジュールに対する必要性が存在する。現状技術では、Olsenにより開示されたような高媒体密度プリーツデザインで吸着深層フィルタろ材を使用することはできず、その結果、高い媒体充填密度は、吸着深層型フィルタモジュールで達成されていない。現在の技術はまた、湿潤重量に関連する問題を抱えている。両面凸状カートリッジを使用した後、媒体の湿潤に起因して重量が増すので、取り扱いにくくなる。それに加えて、両面凸型カートリッジはまた、カートリッジの全重量に寄与する多くの部品を有する。より多量の流体をろ過する必要があって、より大きい直径の両面凸状カートリッジを使用する場合、両面凸型カートリッジに付随する他の問題は、サイズの問題になり、これらの両面凸状カートリッジはいずれも、カートリッジサイズに起因して、より多くのフロアスペースを使用し、取扱いもより困難なものになる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の実施形態は、複数のプリーツに形成された複合深層フィルタろ材を有するプリーツ付きフィルタエレメントを含む。ここで、この複合深層フィルタろ材は、十分に乾燥した状態で形成されたものである。複合深層フィルタろ材は、複数の深層フィルタろ材層を含み、複数の深層フィルタろ材層の各層は、吸着材微粒子状物質を含む。複数の深層フィルタろ材層の各層は、1300μm未満の厚さを有する。
【0012】
本開示の一態様において、複数の深層フィルタろ材層の各層の厚さは、950μm未満の厚さを有しうる。
【0013】
他の態様において、複数の深層フィルタろ材層は、3から20までの層の範囲内でありうる。
【0014】
本開示のさらなる態様において、複数の深層フィルタろ材層の少なくとも1層は、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を含みうる。複数の深層フィルタろ材層の少なくとも1層は、少なくとも60重量%の吸着材微粒子状物質を含みうる。複数の深層フィルタろ材層の少なくとも1層は、少なくとも70重量%の吸着材微粒子状物質を含みうる。
【0015】
本開示の他の態様において、複数の深層フィルタろ材層の各層は、セルロースを含みうる。また、吸着材微粒子状物質は、珪藻土、パーライト、タルク、活性炭、アスベストのうちの1つ、およびそれらの組合せを含みうる。
【0016】
さらに他の態様において、複合深層フィルタろ材は上流側媒体サポート層、下流側媒体サポート層、および微孔性層のうちの少なくとも1層を含みうる。
【0017】
本開示のさらに他の態様において、複数のプリーツは、円筒状プリーツ付きフィルタエレメントを形成するように略半径方向に延在する複数のプリーツを含みうる。半径方向に延在するプリーツは、外向き放射状一次プリーツおよび内向き放射状二次プリーツを含みうる。ここで、二次プリーツは、一次プリーツ間に介設され、各一次プリーツは、半径方向高さを有し、かつ各二次プリーツは、各一次プリーツの半径方向高さ未満の半径方向高さを有する。一次プリーツは、フィルタカートリッジの外周部をなすようにフィルタカートリッジの中心コアから延在するプリーツである。二次プリーツが2つの隣接する一次プリーツ対間に配置されるように複数のプリーツを構成することが可能である。2つの二次プリーツが2つの隣接する一次プリーツ対間に配置されるように複数のプリーツを構成することが可能である。また、1つの二次プリーツが2つの隣接する一次プリーツ間に配置されるように複数のプリーツを構成することも可能である。
【0018】
一態様において、円筒状プリーツ付きフィルタエレメントは、第1の動作モードで第1の半径方向に流体流を収容しかつ第2の動作モードで第1の半径方向の反対方向の第2の半径方向に流体流を収容するように適合化されうる。
【0019】
このほかのさらなる態様において、スパイラル配置を有する円筒状プリーツ付きフィルタエレメントを形成するように、半径方向に延在する複数のプリーツを湾曲させることが可能である。円筒状プリーツ付きフィルタエレメントは、内周および外周を有しうる。複数のプリーツは、内周に隣接する根元部および外周に隣接する折り山部を有しうる。また、隣接するプリーツの根元部および折り山部の少なくとも一方は、均一な周波数で半径方向に互いに離間して配置されうる。
【0020】
本開示の他の実施形態は、複数のプリーツに形成された複合深層フィルタを有するプリーツ付きフィルタエレメントを含む。複合深層フィルタは、複数の深層フィルタろ材層を含みうる。また、複数の深層フィルタろ材層の各層は、吸着材微粒子状物質を含みうる。複数の深層フィルタろ材層の少なくとも1層は、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を含みうる。複数の深層フィルタろ材層の各層は、1300μm未満の厚さを有しうる。
【0021】
本開示のさらなる実施形態のフィルタモジュールは、複数のプリーツに形成された複合深層フィルタろ材を有するプリーツ付きフィルタエレメントを含む。複数のプリーツは、円筒型プリーツ付きフィルタエレメントを形成する半径方向に延在する複数のプリーツを含む。円筒型プリーツ付きフィルタエレメントは、内周および外周を有する。複合深層フィルタろ材が、複数の深層フィルタろ材層を含み、複数の深層フィルタろ材層の各層が、吸着材微粒子状物質を含み、複数の深層フィルタろ材層の各層が、1300μm未満の厚さを有する。円筒型コアは、円筒型フィルタエレメントの内周内に同軸状に配置される。円筒型外側ケージは、円筒型フィルタエレメントの外周近傍に同軸状に配置される。
【0022】
本開示の他の実施形態は、プリーツ付きフィルタエレメントを作製する方法を含む。本方法は、1300μm未満の厚さを有する第1の深層フィルタろ材層を準備することと、1300μm未満の厚さを有する第2の深層フィルタろ材層を準備することと、を含む。本方法は第1の深層フィルタろ材層上に第2の深層フィルタろ材層を積層することと、積層された第1の深層フィルタろ材層および第2の深層フィルタろ材層をプリーツ加工することと、を含む。本方法はまた、各層が1300μm未満の厚さを有する第3の深層フィルタろ材層および第4の深層フィルタろ材層を準備することを含みうる。第1の深層フィルタろ材層および第2の深層フィルタろ材層の少なくとも一方は、900μm未満の厚さを有しうる。深層フィルタろ材層の少なくとも1層は、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を含みうる。プリーツ加工工程は、半径方向高さを有する複数の一次プリーツと各一次プリーツの半径方向高さ未満の半径方向高さを有する複数の二次プリーツとを準備することを含みうる。本方法はまた、少なくとも1層の媒体サポート層を準備することを含みうる。
【0023】
本開示のさらに他の実施形態は、プリーツ付きフィルタエレメントを作製する方法を含む。本方法は、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を有する第1の深層フィルタろ材層を準備することと、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を有する第2の深層フィルタろ材層を準備することと、を含む。本方法は、第1の深層フィルタろ材層上に第2の深層フィルタろ材層を積層することと、積層された第1の深層フィルタろ材層および第2の深層フィルタろ材層をプリーツ加工することと、を含む。第1の深層フィルタろ材層および第2の深層フィルタろ材層の少なくとも一方は、1300μm未満の厚さを有しうる。さらに、本方法は、各層が少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を有する第3の深層フィルタろ材層および第4の深層フィルタろ材層を準備することを含みうる。深層フィルタろ材層の少なくとも1層は、少なくとも60重量%の吸着材微粒子状物質を含みうる。
【0024】
本開示の他の目的および利点は、以下の説明、添付の図面、および添付の特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、図面について説明する。図面中、同じ参照番号は、本開示に係る類似の構造要素および/または特徴部を特定する。図1に、全体として参照番号8で示されるプリーツ付きフィルタモジュールを例示する。
【0026】
典型的なフィルタモジュールは、追加のサポート層および/または微孔性メンブラン層を併用してまたは併用せずに、同一のまたは異なる多孔度の単層または多層のろ材を含む。それに加えて、典型的なフィルタモジュールはまた、端部封止手段または端部キャップ40、サポート・排出手段、内側コア支持手段、およびオプションの外周サポート手段をも含む。次に、図1および2について説明する。フィルタモジュール8は、中央有孔ケージ20を取り囲みかつ有孔外側ケージ30で包囲された複数の長手方向プリーツ14を有する細長いプリーツ付き複合フィルタエレメント10を含む。コア20は、半径方向の力に対抗してフィルタエレメント10の内周を支持するとともに、曲げに対抗して軸方向の強度および剛性をフィルタモジュール8に付与するのに役立つ。外側ケージ30は、円筒型プリーツ付き構成のフィルタエレメント10のプリーツを保持し、コア20と同様に、外側ケージ30は、半径方向の力に対抗してフィルタエレメント10の外周を支持するとともに、曲げに対抗して軸方向の強度および剛性をフィルタモジュール8に付与するのに役立つ。プリーツを保持するために外側ケージ30以外の手段を備えうると考えられる。たとえば、フィルタモジュールの外周近傍にプリーツを保持するために、高分子ネット材料または高分子メッシュ材料を利用することが可能である。ハウジングアダプタは、フィルタモジュールの上側端部キャップおよび下側端部キャップと機能的に一体化され、フィルタモジュール8が利用されるろ過用途に依存して開状態(図示されるとおり)または閉状態をとりうる。
【0027】
図3に最良の形で示されるように、フィルタエレメント10は、複数の吸着深層型フィルタろ材層12を含む多層プリーツ加工可能媒体である。プリーツ加工可能媒体は、ろ材の構造保全性を損なうことなくプリーツ加工しうるように特定の厚さ範囲内で作製されたろ材を含む。本開示との関連では、吸着深層型フィルタろ材(深層フィルタろ材とも呼ばれる)は、流体流から混入物を捕獲するために吸着および吸収に部分的に依存する任意のフィルタマトリックスであるとみなされる。深層フィルタろ材はまた、孔径排除ろ過を行うことも可能である。深層フィルタろ材は、典型的には、少なくとも1種の微粒子状吸着材成分を含む。本開示との関連では、微粒子状吸着材材料は、フィルタマトリックスの非繊維状成分であるとみなされ、一般的には、顆粒状物質、機能化ビーズまたは機能化粉末のような微小個別粒子で構成され、その表層にまたはそれが存在する内部細孔構造中に混入物を蓄積する能力を有する。それに加えて、微粒子状吸着材はさらに、吸収性を呈する。典型的な微粒子状吸着材材料は、1〜200μmの範囲内の平均粒子サイズを有しうる。深層フィルタろ材中の微粒子状吸着材成分の量は、20〜80重量パーセントの範囲内でありうる。
【0028】
本開示では、個々の深層フィルタろ材層の厚さは、250μmから1300μm未満までの範囲内である。各層12の典型的な厚さは、750μmであろう。
【0029】
各吸着深層型フィルタろ材層12は、セルロースおよび吸着材微粒子状物質を含みうるが、これらに限定されるものではない。ガラス繊維やバインダ樹脂のような他の材料も含まれうる。深層フィルタろ材層12は、多量の吸着材微粒子状物質を含む。一態様において、層12は、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を含む。他の態様において、層12は、55〜85重量%の吸着材微粒子状物質を含む。60〜80重量%の範囲内の微粒子状物質が好ましい。所定の目的に好適な任意の公知の吸着材微粒子状物質を使用しうるが、珪藻土(DE)またはパーライトが好ましい。深層フィルタろ材層12は、電荷修飾材料、すなわち、処理前の表面に固有の特性とは異なる特定の表面電荷を付与するように陽イオン性もしくは陰イオン性の試剤で処理されているかまたは特定の部分を標的にして化学修飾されている任意の材料を含みうる。
【0030】
典型的には、深層フィルタろ材は、セルロース繊維および微粒子状吸着材物質の水性スラリーを用いてウェットレイド製紙操作により作製される。微粒子状吸着材は、電荷(イオン性相互作用)すなわち陽イオン交換媒体または陰イオン交換媒体、疎水性相互作用(それほど可溶性でない微粒子間の引力)、および/または抗体と抗原もしくはリガンドとレセプタの場合のような特定の化学親和力に基づいて微粒子の特異的捕獲を可能にする化学部分を含有しうる。これらの微粒子状吸着材は、当業者に公知のさまざまな材料で作製可能であり、この場合、吸着性および/または吸収性の機能基が、1〜200μmの大きさを有する微粒子状吸着材に実質的に不可逆的に結合される。不規則形状の微粒子状吸着材がより効果的に機能しうると予想されるが、それは本開示に課される要件ではない。セルロース繊維は、叩解パルプまたは未叩解パルプで構成可能である。未叩解パルプとは、エンドユーザによる二次叩解操作に付されていない市販のパルプのことであり、叩解パルプとは、パルプの性質を変化させるべくエンドユーザによる二次叩解に付された市販のパルプのことである。粘度調整剤、樹脂、またはラテックスをスラリーに添加しうる。他の選択肢として、深層フィルタろ材は、次の成分、すなわち、結合性高分子粒子、活性炭粒子、珪藻土、イオン交換樹脂、および高分子繊維のうちの1つ以上を有する高分子シート媒体を含みうる。
【0031】
フィルタエレメント10は、少なくとも2つの層12を含む。開示を限定するものではないが、フィルタエレメント10の全厚さは、おそらく2500μm〜7500μmの範囲内でありうると予想される。したがって、個々の層12が250μm〜500μmの厚さである場合、2500μmの厚さを有するフィルタエレメントの層の数は、5〜10の範囲内であろう。5000μmの厚さを有するフィルタエレメントの層の数は、この場合も250〜500μmの個別層の厚さを仮定して10〜20の範囲内であろう。
【0032】
フィルタエレメント10は、追加の層を含みうる。たとえば、図3に示されるように、スパンボンドポリプロピレンや織成もしくは不織のポリエステルのようなサポート媒体よりなる1層以上の外層16を深層フィルタろ材層12の両側に配置しうる。そのようなサポート媒体を用いれば、逆流/逆圧条件で支持を提供することが可能であり、さらには2つの隣接するプリーツが接触状態にあったとしてもそれらの間で流体流が妨害されないように保証することが可能である。上流側および下流側のサポート媒体層16は、同一のもしくは異なる構成をとりうる。外層16は、ろ材として作用することはない。
【0033】
フィルタエレメント10中の他の層(図示せず)は、深層フィルタろ材層からの微粒子状吸着材の移動を減少させるために使用されるメルトブロー材料の薄層を含みうる。このメルトブロー材料層を用いれば、深層フィルタろ材層12を覆う粒子の保持が増大しなくなる。さらに、図5に模式的に示されるように、典型的には0.1、0.2、0.45、0.65、または0.8μmの孔径を有するマイクロポーラス膜18を深層フィルタろ材層の下流に配置することが可能である。この状況では、深層フィルタろ材層は、マイクロポーラス膜フィルタに対するプレフィルタとして作用し、それにより、従来の二段階のろ過処理は、一段階に低減されるであろう。
【0034】
さらに、フィルタエレメント10は、異なるろ過特性を有する深層フィルタろ材層12を含みうる(たとえば、一方の層は、第2の層に対するプレフィルタとして作用する)。複数のろ材層12のろ過特性を変化させることにより、ろ過の改良を行うことが可能である。流れの方向に減少する多孔度を有する深層フィルタろ材層の配置を以下に記載の先進的プリーツ構成と組み合わせた場合、以下に規定される種々の係数および指数に対する値に基づいて、いくつかの主要な利点を実現することが可能である。所与の設置体積内の媒体充填密度(MPD)は、以前の両面凸状カートリッジデザインよりも、10%〜20%大きくすることが可能であり、媒体利用指数(MUI)は、74%〜90%大きくすることが可能であり、Gk係数は、30%〜110%大きくすることが可能であり、そして無次元比較指数(DCI)は、50%〜200%大きくすることが可能である。所与の設置体積内のろ材の表面積は、対応する両面凸状カートリッジデザインよりも35%〜75%大きい表面積にまで増大させることが可能である。他の予想される利点は、ろ材の表面積の増大により流束(単位面積あたりの流れ)が減少し、結果的に、吸着能力の増大が可能になることである。また、媒体の質量の増大により吸着能力が増大する。すなわち、言い換えれば、流束を一定に保持することにより、表面積を増大させれば、より高い流量を使用することが可能になる。
【0035】
これらの薄肉(1300μm以下)深層フィルタろ材層12のうちのいくつかの層は、従来の厚さ(2500〜7500μm)にほぼ等しい全吸着深層媒体厚さになるように積層することが可能である。得られた多層フィルタエレメント10は、当業界内で一般に使用される任意の通常のプリーツ加工機(たとえば、Rabofsky E2000)を用いてプリーツ加工可能である。
【0036】
高面積プリーツデザイン、すなわち、従来のプリーツデザインと比較して円筒型フィルタモジュール内のろ材の充填密度を増大させるデザインについて、以下で説明する。ここでは、図2について説明する。高面積プリーツデザイン(この例では、改変Wプリーツ構成)を有するフィルタエレメント10aが示されている。フィルタエレメント10aの改変Wプリーツデザインは、外側ケージ30におけるフィルタの利用可能な半径方向流路の数の増加に伴って、スパイラルプリーツフィルタに特有なフィルタ面積増加を提供することが明らかにされている。それに加えて、フィルタエレメント10aは、コア20と外側ケージ30との間のより大きい全フィルタ密度を提供し、より大きい全フィルタ密度によってプリーツ間の支持が改良され、プリーツの移動および結合の可能性が低減されることが明らかにされている。
【0037】
図2および4について説明する。円筒型フィルタエレメント10aは、複数の長手方向および半径方向に延在するプリーツ14を含み、各プリーツは、互いに連結された1対のプリーツ脚15を有する。プリーツ14は、外向き放射状一次プリーツ14Pおよび内向き放射状二次プリーツ14Sを含み、少なくとも1つの二次プリーツは、2つの隣接する一次プリーツ間に配置される。改変Wプリーツデザインの詳細は、Olsenの米国特許第6,315,130号明細書に見いだすことができる。図2および4において、プリーツ14は、説明のために実際よりも離間して配置された形で示されていることに留意すべきである。実際のフィルタエレメントでは、プリーツは、中心コア20の近傍で隣接プリーツが互いに接触するように互いにより近接して配置されるであろう。それによって、より多量のろ材が、コア20と外側ケージ30との間に嵌設される。
【0038】
流体流がフィルタエレメント10aを貫通して半径方向内向きに、すなわち、外側ケージ30からコア20の方向に流動するようにフィルタエレメント10aを使用する場合、コア20に当接するプリーツ脚の外面(内側面)は、フィルタエレメント10aの下流側面17を形成し、一方、外側ケージ30に当接するプリーツ脚の外面(外側面)は、フィルタエレメント10aの上流側面19を形成する。逆に、流体流がフィルタエレメント10aを貫通して半径方向外向きに、すなわち、コアから外側ケージの方向に流動するようにフィルタエレメント10aを使用する場合、プリーツ脚の内側面は、フィルタエレメント10aの上流側面を画定し、プリーツ脚の外側面は、フィルタエレメント10aの下流側面を画定する。フィルタエレメント10aのいずれの構成においても、相接プリーツ脚の隣接プリーツ面は、それらのそれぞれの高さにわたり実質的に互いに相互支持接触状態にある。
【0039】
一次プリーツ14Pに対する二次プリーツ14Sの配置の変更は可能である。たとえば、フィルタエレメント10aは、隣接する一次プリーツ対14P間にさまざまな高さの2つの二次プリーツ14Sを含むことが可能であり、またはフィルタエレメント10aは、すべての2つの隣接する一次プリーツ14P間に1つの二次プリーツ14Sを含むことが可能である。それに加えて、図示されていないが、フィルタエレメント10aは、隣接する一次プリーツ14P間にさまざまな数の二次プリーツ14Sを有することが可能であった。
【0040】
改変Wプリーツフィルタエレメントは、同一の内径および外径を有する従来の半径方向プリーツ付きフィルタエレメントよりもろ過に使用可能なはるかに大きい表面積を有することが明らかにされている。一般的には、改変Wプリーツフィルタエレメント10aは、従来の直線状半径方向プリーツ付きフィルタエレメントよりも30パーセント(30%)大きい表面積を有しうることが明らかにされている。それと比較して、従来のWプリーツ付きフィルタエレメントは、従来の直線状半径方向プリーツ付きフィルタエレメントよりも20パーセント(20%)大きい表面積を有するにすぎない。
【0041】
それに加えて、改変Wプリーツフィルタエレメント10aはまた、従来のWプリーツ付きフィルタ(2つの充填プリーツ対間に1/2プリーツの均一な反復パターンを有する)または従来の直線状半径方向プリーツ付きフィルタのいずれと比較しても、フィルタモジュール8のコア20と外側ケージ30との間により大きいかつより安定したフィルタ密度を提供する。
【0042】
改変Wプリーツフィルタエレメント10aのより大きいかつより安定したフィルタ密度の結果として、プリーツ間の支持が改良され、かつフィルタエレメントに加わる負荷の分布がより均一になる。したがって、より大きいかつより安定したフィルタ密度によって、プリーツの移動および結合が最小限に抑えられ、脈流系において粒子を保持するプリーツの能力が増大する。さらに、改変Wプリーツフィルタエレメントは、従来の直線状プリーツ付きフィルタエレメントよりも長いフィルタ寿命を提供することが明らかにされている。さらに、改変Wプリーツフィルタエレメントは、スパイラルプリーツフィルタエレメントよりも優れた利点を有することが明らかにされている。とくに、改変Wプリーツフィルタエレメントは、典型的には、フィルタモジュール8の外側ケージ30における利用可能なフィルタの半径方向流路の数の増加に伴って、スパイラルプリーツ付きフィルタエレメントと同様に、フィルタ面積およびフィルタ密度の増加を提供する。それに加えて、改変Wプリーツフィルタエレメントは、典型的には、ケージ内に挿入する前にプリーツをロールオーバすなわち「スパイラル化」しなければならないスパイラルプリーツフィルタエレメントよりも容易に外側ケージ内に挿入される。
【0043】
改変Wプリーツデザインはまた、逆流条件に耐えるフィルタエレメントの能力を増大させうる。比較的低い構造保全性を有する標準的プリーツ付きフィルタエレメントは、流体流がコア20から外側ケージ30の方向に流動する場合、圧潰前、プリーツを横切るごくわずかな圧力低下に耐えうるにすぎない。改変Wプリーツデザインを用いた場合、プリーツの最密充填箇所がフィルタエレメントの外周方向に移動するので、フィルタエレメントの構造保全性は増大され、それにより、標準的プリーツを有するフィルタエレメントと比較して、より多くのプリーツ間支持が提供される。最密充填箇所は最も短いプリーツの高さに位置すると予想される。
【0044】
フィルタエレメント10に対する改変Wプリーツデザインを以上に開示したが、本開示の範囲内には他のプリーツデザインが存在する。たとえば、他の選択肢の実施形態では、図5に示されるように、フィルタモジュール8は、スパイラルプリーツフィルタエレメント10bを含みうる。本開示に組み込むのに好適なプリーツ形状を有するスパイラルプリーツフィルタエレメント10bの例は、Paulらの米国特許第6,598,749号明細書(この開示は、本開示と矛盾しない範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている。Paulらにより開示されたように、それぞれのスパイラルプリーツの高さは、フィルタエレメント10b全体にわたり均一である必要はない。その結果として、プリーツのすべてが等しい高さでありかつモジュール内に蜜に充填された従来のスパイラルプリーツフィルタモジュールに対して、フィルタモジュール8の流動特性は改良される。それに加えて、不均一なプリーツ高さにすれば、比較的容易にかつ外側ケージ30の内側面に当接するプリーツの折り山を摩擦により牽引することなく、フィルタエレメント10bを支持ケージ内に軸方向に挿入することが可能になる。したがって、ろ材は、フィルタモジュール組立て時、損傷を受けないであろう。
【0045】
図6Aおよび6Bに最良の形で示されるように、フィルタエレメント10bの隣接するプリーツは、異なるプリーツ高さを有しうる。隣接するプリーツ14の根元11(すなわち、コア20に最も近いプリーツ部分)は、プリーツが1つおきにコア20に接触または実質的に接触するように、ずらして配置することが可能である。隣接するプリーツ14の根元11をこうしてずらして配置すると、コア20に隣接するフィルタエレメント10bの周に沿ってボイドまたはチャネルが形成される。その結果として、複数の長手方向に延在するチャネルは、フィルタエレメント10bの内周とコア20との間に画定される。隣接するプリーツ14の折り山13(すなわち、外側ケージ30に最も近いプリーツ部分)はすべて、実質的に外側ケージ30に接触しうる。
【0046】
フィルタエレメント10bの他の選択肢のスパイラルプリーツデザイン(図示せず)では、フィルタエレメント10bの外周と外側ケージ30との間に長手方向に延在するチャネルを形成するように、プリーツ14の折り山13をずらして配置することが可能である。フィルタエレメント10bの他の選択肢のスパイラルプリーツデザインでは、プリーツ14の根元11および折り山13の両方をずらして配置することにより、フィルタエレメント10bの内周および外周の両方に沿ってチャネルを形成することが可能である。これらの長手方向チャネルにより、フィルタモジュール8のケージを貫通する排出が強化される。したがって、フィルタエレメント10bを横切る差圧低下は、プリーツがすべて均一な高さを有しかつカートリッジコアの近傍に蜜に充填された従来のスパイラルプリーツフィルタエレメントを横切る差圧低下よりも小さい。
【0047】
改変Wプリーツデザインおよびスパイラルプリーツデザインに関してフィルタエレメント10の説明および例示を行ってきたが、本開示の範囲内には他のプリーツデザインが存在することは明らかである。さらに、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、開示されたプリーツデザインに修正および変更を加えることが可能である。
【0048】
本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメント10は、さまざまな技術により製造可能である。しかしながら、一般的には、プリーツ加工される深層フィルタろ材およびもしあればサポート媒体を別々のロール上に保存し、層のプリーツ加工時にプリーツ加工機に同時に供給して複合体の形態にすることが可能である。複合フィルタエレメントをプリーツ加工した後、複合層とくにそのサポート媒体がヒートセットされるように、フィルタエレメントを加熱することが可能である。
【0049】
図示されていないが、次に、プリーツ加工機から送出されたプリーツ付きヒートセットフィルタ複合体をフィルタエレメント10の目標寸法により決定されるプリーツの規定の長さまたは規定の数になるように切断可能である。次に、プリーツ付きフィルタエレメントの長尺物を円筒形状に形成し、超音波溶接などのような従来の手段によりプリーツ付きフィルタエレメントの長手方向の縁部を継ぎ目に沿って互いに封止し、プリーツ付きフィルタエレメントを円筒形状に保持する。次に、円筒型コア20を円筒型フィルタエレメント10に軸方向に挿入し、フィルタエレメントおよびコアを円筒型外側ケージ30に軸方向に挿入し、端部キャップ40をフィルタエレメント10の端部に結合し、図1および5に示されるような完全なフィルタモジュールアセンブリ8を形成することが可能である。
【0050】
図1および5に示されるように、フィルタモジュール8の円筒型コア20は、半径方向の力に対抗してフィルタエレメント10の内周を支持するとともに、曲げに対抗して軸方向の強度および剛性をフィルタエレメントに付与するのに役立つ。コア20は、従来のデザインでありうる。また、十分な強度を有しかつ流体のろ過に適合する任意の材料で作製可能である。コア開口26は、外側壁とコア20の中心コアとの間を流体が通過できるように、コア20を貫通する形で形成される。フィルタモジュール8の外側ケージ30は、流体が通過するように内設された外側ケージ開口36を有する従来のデザインでありうる。他の選択肢の外側ケージ(図示せず)は、伸長可能なメッシュスリーブ、多孔性の押出し管、またはコード材料、織成もしくは不織の材料よりなるラップを含む。外側ケージ30の作製に用いられる材料は、ろ過される流体およびろ過条件に基づいて選択可能である。
【0051】
通常、本開示に係るフィルタモジュール8は、両端部に端部キャップ40を備えるであろう。典型的には、ハウジングアダプタ41は、端部キャップ40に接合される。ハウジングアダプタ41は、盲端キャップまたは開端キャップでありうる。また、それらの作製に用いられる材料およびそれらの形状は、ろ過条件およびハウジングアダプタを端部キャップに連結させる部材の材料に基づいて選択可能である。端部キャップ40は、フィルタエレメント10に取り付け可能であり、コア20または外側ケージ30に取り付けることも可能である。従来技術を用いて、たとえば、エポキシ樹脂、熱接合、またはスピン溶接を用いて、図2に示されるようなろ材の構成要素に端部キャップ40を取り付けることが可能である。
【0052】
上述のプリーツ付きフィルタモジュールは、広範なパラメータを用いて作製可能である。典型的なパラメータとしては、200mm〜325mmの範囲内の外径を有するフィルタモジュールが挙げられうるが、現時点で、400mmを超える直径を有するモジュールも考えられる。ただし、これらに限定しようとするものではない。典型的な内径は、25mm〜100mmでありうる。フィルタモジュールの典型的な高さまたは長さは、100mmから500mm超の範囲内でありうる。典型的なフィルタエレメントは、2〜7層の深層フィルタろ材層を含み、各層は、少なくとも50重量%の吸着材微粒子材料を有する。先に述べたように、典型的な吸着材微粒子材料は、たとえば、珪藻土である。
【0053】
実施形態:
深層フィルタろ材の特定の代表的な一実施形態に従って、フィルタエレメントの形成方法について本明細書で説明する。それぞれの深層フィルタろ材層は、純度を改良するために逆浸透により処理された水(RO水)を用いて1%のスラリーを作製することにより形成される。典型的なスラリー溶液は、当業者の熟知するところであろうが、乾燥重量基準で、市販のクラフトパルプと6%の叩解パルプ(−250CSF(Canadian Standard Freeness)、米国特許第4,305,782号明細書に記載のとおり)と68%の珪藻土とよりなる。代表的な一配合物では、2つのタイプの樹脂(たとえば、米国特許第5,085,784号明細書に開示されているような代表的な電荷修飾処方の樹脂、米国特許第4,473,474号明細書にさらに開示されているような化学構造を有する(それぞれの開示は、本開示と矛盾しない範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとするである))が、それぞれ、5.2重量%および1.3重量%の樹脂固形分でスラリー固形分に添加される。当業者の熟知するところであろうが、他の電荷修飾樹脂を用いた他の配合物を使用することも可能である。
【0054】
得られたスラリーを80℃に加熱した後、スラリーを製紙機(Fourdrinier型)に供給した。スラリーの加熱は必須ではないが、より迅速な水の除去を可能にするであろう。その結果、特定のスラリー混合物にもよるが、処理速度を増大できる可能性がある。スラリーを一定の厚さで移動ベルト上に置いた。この処理の典型的なベルト速度は、0.5m/min〜10m/minの範囲内である。ベルトを真空チャンバ内に通してRO水のほとんどをスラリーから除去した。典型的には、適用真空圧は、25.4〜68.6センチメートルHg(10〜27インチHg)の範囲内であった。次に、乾燥を開始するために、この湿潤状態の媒体を一連の赤外線ヒータ下に供給した。次に、媒体を一連の熱ローラに通して、さらなる処理に供すべく媒体を十分に乾燥させる処理を終了した。次に、得られた深層フィルタ媒体を厚紙コアに巻き取った。処理のこの時点で、得られた深層フィルタろ材(重量基準で5.0%未満の水分含有率を有すると考えられた)は、30%〜50%の水分含有率を有する「湿潤状態」の深層フィルタろ材と比較して「乾燥状態」にあるとみなされる。実際上、重量基準で28%未満の水分含有率を有する得られた深層フィルタろ材はいずれも、「乾燥状態」の深層フィルタろ材であるとみなしうる。
【0055】
深層フィルタろ材をプリーツ加工してフィルタエレメントを形成するために、図7に示されるように、複数の深層フィルタろ材ロール52を上流側および下流側のサポート材料のそれぞれのロール54、56と一緒に巻出しステーション50に機能的に配置した。
【0056】
すべての層が互いに積重なって積層整合されるように、巻き出された深層フィルタろ材層およびサポート材料層を1対のローラ(図示せず)間に供給した。異なるプリーツ高さの送給が可能なプリータ、たとえば、Rabofsky R178PCまたはRabofsky E2000を用いて、深層フィルタろ材およびサポート材料の多層を一緒にプリーツ加工した。プリーツ加工速度は、10プリーツ/分〜35プリーツ/分の範囲内であった。
【0057】
プリーツ付きろ材層およびサポート材料層を軟化させてプリーツの固化を支援するために、通常、加熱プレートがプリータ内に設置される。ヒータ下から送出されて冷却されることによりプリーツの固化が起こるまで、加熱と併用して、プリーツ加工されたばかりの媒体を加圧下で拘束する。この圧力は、通常、加圧下でプリーツの上端を押圧するクリートを用いることによりプリーツの上端に加えられる。この圧力はまた、取扱い時、ろ材層およびサポート材料層の跳動を防止する。本明細書に記載の実施形態では、フィルタエレメントをヒートセットするために、プリータ中のヒータの上端プレートを110℃に設定し、底端プレートを115℃に設定した。20.6Kpaの背圧を加えた。
【0058】
ハサミを用いて36プリーツごとにプリーツ付き複合深層フィルタろ材を横方向に切断した。しかしながら、その代わりに鋭利なブレードやウォータジェットのようなより好適な切断システムを使用しうると予想される。次に、帯鋸を用いて10インチの幅になるように複合媒体の両側をトリミングした。この場合も、その代わりに回転ブレードやウォータジェットのようなより好適な切断システムを使用して、端部キャッピングのためのフラットかつ均一な外面を提供しうると予想される。
【0059】
次に、円筒型プリーツ付きフィルタエレメントを形成するために、従来のホットメルトグルー(3M Jet Melt 3792−LM)を用いて2つの自由プリーツ縁を継合した。射出オーバモールド成形、超音波溶接、またはポリプロピレン溶融などのようなより好適な継合システムが予想される。コアを縁封止プリーツ付きフィルタエレメントの中央領域に挿入した。
【0060】
端部キャッピングの前に、最初に、厚いポリプロピレンシートから作製された2つの端部キャップを機械加工して、ホットメルトを保持することが可能でありかつコアおよびプリーツ付きフィルタエレメントを受容することが可能である端部キャップキャビティを形成した。次に、押出機を用いて、ホットメルトを第1の端部キャップのキャビティ中に分配し、プリーツ付きフィルタエレメントをコアと共にこのキャビティに圧入し、そしてホットメルトを冷却させた。この処理を反復して第2の端部キャップをフィルタエレメントの他端に取り付けた。他の選択肢の端部キャッピング手順では、いくつかのエポキシ樹脂シリンジキットから分配されたエポキシ樹脂(LOCTITE QUICKSET)を用いて、端部キャップをフィルタエレメントおよびコアに取り付けた。
【0061】
さらなる他の選択肢の端部キャッピング手順では、フィルタエレメントおよびコアを溶融外面に圧入するときにフィルタエレメントの端部を十分に封入封止すべく、IRヒータを用いて端部キャップ自体を加熱して好適な深さまで端部キャップキャビティの外面を溶融しうると予想される。端部キャッピングが終了した後、フィルタモジュールは、必要になることもある端部アダプター(もしあれば)に連結できる状態にある。得られたフィルタカートリッジは、種々の濾過構成体の形態に集成できる状態にある。
【0062】
理論的検討:
本開示に係るいくつかの実施形態に関連する特性パラメータを決定するために、理論的検討を行った。理論的検討で使用したいくつかの因子を以下に定義する:
フィルタモジュールの排除体積: フィルタモジュールに占有される体積。
【0063】
媒体充填密度(MPD): 深層フィルタろ材の質量をフィルタモジュールの排除体積で割り算した値。
【0064】
媒体利用指数(MUI): 深層フィルタろ材の質量をフィルタモジュールの排除体積で割り算してフィルタモジュールの有効面積を掛け算した値。
【0065】
Gk係数(Gk):媒体利用指数(MUI)にすべての深層フィルタ層の有効深層フィルタろ材の厚さを掛け算した値。
【0066】
無次元比較指数(DCI): Gk係数を全カートリッジ重量で割り算した値であり、次式:
(深層フィルタろ材の質量)×(モジュールの有効フィルタ面積)×(すべての深層フィルタ層の有効深層フィルタろ材の厚さ)/(フィルタモジュールの排除体積)×(全カートリッジ重量)
で表すことが可能である。
【0067】
無次元比較指数2(DCI2): 深層フィルタろ材の質量の代わりに微粒子状吸着材の質量を使用する以外はDCIと同じ。
【0068】
媒体充填密度(MPD)は、ろ材の質量をフィルタモジュールの排除体積で割り算した値として定義される。この定義との関連では、質量は、有効質量(すなわち、使用時に利用しうる質量)を意味することに留意することが重要である。深層フィルタ、特定的には、微粒子状吸着材を有する深層フィルタは、電荷部位が多いほど、より良好に機能する(すなわち、より良好な保持性を有する)と考えられるので、この用語は重要である。荷電部位は、流れを損なうことなくこれらの微粒子状吸着材をどれくらい多く充填しうるかの関数である。フィルタモジュールの体積は、使用される装置の包絡サイズであり、可能なかぎり小さいサイズを有することが望ましい。なぜなら、そうすれば、使用時、フィルタ装置により占有される設置面積やスペースが小さくなると思われるからである。これらの2つの機能、すなわち、有効質量および排除体積を組み合わせて、MPD比較係数を形成し、2つの類似目的製品の属性を特定し比較した。この比較係数MPDを用いる場合、特定のフィルタ装置での値がより大きいということは、単純に、性能およびサイズの両方に関して、特定のフィルタ装置が、より低いMPD値を有するフィルタ装置よりも良好な工学的フィルタ装置であることを意味する。
【0069】
以上で定義した媒体利用指数(MUI)は、MPDにフィルタモジュールの全有効表面積を掛け算した値である。おわかりのとおり、これはMPDの延長である。MPDを使用することの欠点の1つは、微粒子状吸着材で満たされたバケツの例で明らかである。かなり大きな質量および非常に小さい包絡体積であるが、この装置の表面積は小さい。表面積は、ろ過用途では重要である。なぜなら、それは流束(単位面積あたりの流れ)を決定するからである。流束を小さくすると媒体との接触時間が増加するので、媒体のろ過性能は向上すると考えられる。流束を小さくすると、フィルタ装置内のろ材の所与のセクションを通過する流体の速度は遅くなる。この場合もMPDと同様に、MUIは、同目的フィルタカートリッジに対する比較指数である。MUI値が大きいほど、工学的フィルタ装置は良好であることが示唆される。なぜなら、値が大きいほど、質量、面積が大きく、かつより小さい包絡サイズで性能の向上を達成できるので使用容易性が大きいという事実に基づいて、より良好な性能であることが示唆される。
【0070】
この場合も、MUIがMPDの改良であったのと同様に、Gk係数もまた、MUIと比較して2つの同目的フィルタカートリッジを比較する改良された方法である。MPDにおいて質量がフィルタ性能に関して重要であったのと同様に、MUIにおいて面積が流束に関して重要であった。結果的に、流束に影響を及ぼした。それにより流体の速度が影響を受け、さらには接触時間が影響を受ける。Gk係数は、フィルタ性能に寄与するもう1つの因子である媒体の深さを含む。Gk係数は、MUIにフィルタ装置で使用される媒体の全有効厚さを掛け算した値である。媒体の厚さは、流体が下流側から流出するまで進入点(外面)から媒体を貫通して引いた垂線であると想定される。厚さまたは深さは重要である。なぜなら、それは、電荷部位と混入物との接触時間を増加させるからである。これは、結果的に、ろ液品質を改良する。すなわち、より良好な性能のフィルタをもたらす。MPDおよびMUIの場合と同様に、Gk値が大きいほど、性能およびサイズの両方に関して良好な工学的フィルタ装置が得られる。
【0071】
Gk係数により2つの同目的フィルタ装置間の良好な比較が行われるが、考慮すべきもう1つの因子が存在する。これは、フィルタ装置の全重量である。高いGk係数を有する装置を備えることは可能であるが、それはまた、ろ材以外の部品に起因してより高重量になる可能性がある。使用容易性を考慮した場合、この重量は、2つの同目的フィルタ装置間の真の比較を歪めるであろう。たとえば、より嵩高い部品を備えたカートリッジは、より軽量の部品を備えたカートリッジよりも高重量になるであろう。この現象に起因してかつ規格化上および実用上の理由で、Gk係数を全フィルタモジュール乾燥重量で割り算する。この操作の結果、無次元比較指数DCIが得られる。DCI値は最大で1、最小で0でありうるが、0または1は物理的に不可能である。この場合も、DCIは、媒体のろ過性、たとえば、その接触時間に関連する深さ、流束に及ぼすその影響に関連する面積、および電荷部位の数が存在する微粒子状吸着材の量に直接関連するので質量を包含する。DCIはまた、フィルタ装置の物理的属性、たとえば、サイズ(排除体積)および重量を包含する。これらの2つの因子は、製品の使用容易性に寄与する。これらの因子をすべて組み合わせると、フィルタ装置の性能および使用容易性に関する良好な指標が得られる。さらに、DCIはまた、媒体の質量の代わりに微粒子状吸着材の質量を使用しうると予想される。値はそれらに応じて変化するであろうが、本開示の有用性をさらに強調することが期待される。米国特許第5,232,595号明細書には50%以下の微粒子状吸着材レベルが教示されているのに対して、本開示では75%まで収容可能であるので、DCI2を用いた場合、ワンプリーツ付き構成体間の差は、より明確になるであろう。
【0072】
先に述べたように、MPDは、有効ろ材質量をフィルタモジュールの排除体積で割り算した値として定義される。次に、本開示の種々の実施形態に対して理論的に決定されたMPDを、他の公知の先行技術フィルタモジュールに対して計算されたMPDと比較する。その結果、試験した本開示の実施形態に対するMPDは、等しいカートリッジ体積を有する他の公知のセルロース・微粒子状吸着材深層型フィルタカートリッジシステムのときよりも12%大きい値(最小値として)から166%程度大きい値までの範囲内であることが示される。本開示を用いて、フィルタモジュールが他の公知のフィルタモジュールデザインよりも小さい体積を有するようにデザインしたとき、より高い媒体充填密度が達成されることもまた示された。
【0073】
本開示の種々の実施形態を他の公知のデザインと比較する実施例および計算を以下に提示する。特定的には、計算は、改変Wプリーツ構成に従ってプリーツ加工されたフィルタエレメントに基づく。参考のために、以下の式を用いて本開示に係るフィルタモジュールについてモジュール有効表面積、有効媒体質量、および媒体充填密度のようなパラメータを計算した。
【0074】
記号の定義:
Ad=フィルタディスクの有効面積 ft2
Ar=プリーツリング番号rから得られる有効表面積 ft2
As=モジュールの有効表面積 ft2
C=セルの番号
D=ディスクの番号
Hp=一次プリーツの高さ in
Hr=リングrのプリーツの高さ in
Hs=特定の二次プリーツの高さ in
(先進的プリーツデザインでは、それぞれの二次プリーツの高さは、他の二次プリーツの高さと異なりうることに留意されたい。)
ID=コアの内径 in
IDp=プリーツの内径=コアの外径 in
IDr=リングrのプリーツの内径 in
IDs=内側シールの外径 in
L=媒体の長さ in
Lp=一次プリーツの長さ in
Lr=プリーツリングrのプリーツの長さ in
Ls=二次プリーツの長さ in
M=媒体およびハードウェアを含む全カートリッジの質量 lbs
Ma=有効媒体の質量 lbs
N=ろ材層の数
OD=モジュールの外径 in
ODp=プリーツの外径 in
ODr=プリーツリングrのプリーツの外径 in
ODs=外縁シールの内径 in
P=一次プリーツの数
Pr=プリーツリングrの半径方向プリーツの数
R=プリーツリングの全数
S=二次プリーツの数
T=プリーツの厚さ in
V=モジュールの体積 ft3
Va=有効媒体の体積 in3
Δd=1プリーツの厚さによる円周増加に必要とされる直径変化 in
h=モジュールの高さ in
ha=モジュールの有効高さ in
t=ろ材の厚さ in
td=下流側サポート層の厚さ in
tu=上流側サポート層の厚さ in
MPD=媒体充填密度 lbs/ft3
Gk=Gk係数 lbs
DCI=無次元比較添字
MUI=媒体利用指数 lbs/ft
ρ=ろ材の密度 lbs/in3
仮定:
o プリーツ付きフィルタエレメント上への端部キャップの注型封入により、両端で1.27cm(1/2in)の損失を生じる。
【0075】
o コアは、0.32cm(1/8in)の壁厚を有する。
【0076】
o 端部キャップは、直径がプリーツ外径よりも0.64cm(1/4in)大きい。
【0077】
o Lsの計算に制約を与える製造上の要件から、二次プリーツ高さH7以上を使用した。
【0078】
H7は、Lsに対する式中でH1の代わりに代入される。
【0079】
o 深層フィルタろ材の各層は、0.089センチメートル(0.035インチ)の厚さである。
【0080】
o 合計5層の深層フィルタろ材層を使用する。
【0081】
o 上流側サポート材料は、0.061センチメートル(0.024インチ)の厚さを有する。
【0082】
o 下流側サポート材料は、0.025センチメートル(0.010インチ)の厚さを有する。
【0083】
o 多くの異なるプリーツ高さを使用する。最も短いプリーツの高さは、2.54センチメートル(1インチ)である。
【0084】
式:
ha=h−1(2つの端部キャップ) in
IDp=ID+.25 in
ODp=OD−0.25 in
Hp=(ODp−IDp)/2 in
T=2×(N×t+td+tu) in
P=IDp×π/T
Lp=2×P×Hp in
S=(ODp−IDp)×π/T
Hs=[ODp−(IDp+S×T/π)]/2
Δd=T/π in
Ls=2×S×[H1−(S−1)×Δd/4] in
L=LP+Ls in
As=ha×L/144 ft2
Va=L×ha×t×N in3
Ma=Va×ρ lbs
V=OD2×π×h/(4×1728) ft3
MPD=Ma/V lbs/ft3
MUI=MPD×As lbs/ft
Gk=MUI×(t×N/12) lbs
DCI=Gk/M
式中、 ρ=0.0125 lbs/in2
第1の比較:
この第1の比較では、本開示の第1の実施形態をMillipore Millistack HCと称される両面凸状カートリッジデザインと比較する(図8参照)。この特定の両面凸状カートリッジデザインを比較のために選択した理由は、それが公知の先行技術製品の中で最も高い媒体充填密度を有すると考えられることにある。
【0085】
Millipore Millistack HCを記述した文献から次のデータを誘導した:
o カートリッジのOD=41cm(16in)
o カートリッジの高さ=18cm(7in)
o 有効表面積=17800sq cm(19.37sq ft)
o 8セル構成
Millipore Millistack HCの実際の製品から次のデータを測定観測した:
o カートリッジセルのOD=41cm(16in)
o 外縁シールの内径=38.74cm(15.25in)
o コアの直径=5.08cm(2in)
o 内側シールの外径=6.99cm(2.75in)
o 2層デザイン、上流側層=0.330cm(0.130in)および第2の層=0.343cm(0.135in)
o 組合せろ材の密度=0.343g/cm3(0.0124lbs/in3)
(5個の47mmディスクを切り出してサンプルを秤量することにより、この密度を計算した。平均で、二層組合せ層は、47mmディスク1個あたり4.0gの重量を有することがわかった。これは、0.343g/cm3(0.0124lbs/in3)に相当する。)
o 1個のセルの2面=合計16個の二層フィルタディスク
o アセンブリの非ろ材要素の質量=2.15kg(4.75lbs)
Millipore Millistack HCの計算結果:
C=8
D=2×C=16
Ad=(ODS2−IDS2)×π/(4×144) ft2
As=Ad×D=19.63 ft2
Asの計算値(1.82m2(19.63ft2))は、測定された特性に基づいており、計算値がより大きいので、文献値の代わりに使用される。
【0086】
表Iは、この第1の比較の計算結果を示している。同一のカートリッジ寸法で、本開示の第1の実施形態は、Millipore Millistack HCよりも14%大きい質量充填密度を有することがわかる。また、第1の実施形態は、Millipore Millistack HCよりも93%大きい質量利用指数、31%大きいGk係数、および59%大きいDCIを有することもわかる。さらに、本開示のこの第1の実施形態は、Millipore Millistack HCよりも14%大きい質量および69%大きい表面積を有することもわかる。質量が大きいほど、保持性が改良され;表面積が大きいほど、流束が減少することにより処理量が改良されるか、または処理速度が速くなる。
【0087】
第2の比較:
この第2の比較では、本開示の第2の実施形態をPall−Seitz SUPRAdiskと称される両面凸状カートリッジと比較する(図9参照)。
【0088】
Pall−Seitz SUPRAdiskを記述した文献から次のデータを誘導した:
o カートリッジのOD=28.4cm(11.2in)
o カートリッジの高さ=28〜33cm(11〜13in)(より小さいカートリッジ体積を生じることから28cm(11in)を計算に使用した。)
o 有効表面積=18000sq cm(19.4sq ft)
o 16セル構成
Paul−Seitz SUPRAdiskの実際の製品から次のデータを測定観測した:
o カートリッジセルのOD=28.4cm(11.2in)
o 外縁シールの内径=26.99cm(10.625in)
o コアのID=6.35cm(2.5in)
o 内側シールの外径=6.99cm(2.75in)
o 一層デザイン、上流側層=0.356cm(0.140in)
o 密度は0.376g/cm3(0.0136lbs/in3)と計算された
o セル1個あたり2個のフィルタディスク
o アセンブリの非媒体要素の質量=7.07
Pall−Seitz SUPRAdiskの計算結果
C=8
D=2×C=16
Ad=(ODS2−IDS2)×π/(4×144) ft2
As=Ad×D=19.4 ft2
Asの計算値(1.694cm2(18.24ft2))は、1.80cm2(19.4ft2)の文献値よりも小さいことに留意されたい。したがって、Asを必要とする計算では、より大きい値であることから文献値を使用した。
【0089】
表IIは、この第2の比較の計算結果を示している。同一のカートリッジ寸法で、本開示の第2の実施形態は、Pall−Seitz SUPRAdiskよりも42%大きい質量充填密度を有することがわかる。また、第2の実施形態は、Pall−Seitz SUPRAdiskよりも75%大きい質量利用指数、111%大きいGk係数、および206%大きいDCIを有することもわかる。さらに、第2の実施形態は、Pall−Seitz SUPRAdiskよりも42%大きい質量および23%大きい表面積を有することもわかる。
【0090】
第3の比較:
この第3の比較では、本開示の第3の実施形態をMeyerの米国特許第5,232,595号明細書により教示されるさまざまなデザインと比較する。米国特許第5,232,595号明細書には、半径方向プリーツ付きデザインの使用が教示されている。この場合、カートリッジは、単に1つの大きいリングを有するのではなく一連のより短いプリーツを生じる複数のサブリングを有していてもよいし有していなくてもよい。
【0091】
指標として上記の記号を使用し、次式を用いて米国特許第5,232,595号明細書の種々のパラメータを計算することが可能である:
ID1=ID+.25 (IDr ここで、r=1) in
ODr=IDr+1/R× (OD−ID1−R×.25) in
IDr=OD(r-1)+.25 (ここで、r>1) in
Lr=2×Hr×Pr in
L=ΣLr in
Va=L×ha×t×N in3
Ma=Va×ρ (ここで、ρ=0.0125lbs/in3) lbs
米国特許第5,232,595号明細書に記載の技術での有効表面積Asは、流入流に最も近いプリーツのリング(上流側リング)の有効面積として定義されることに留意されたい。計算目的で、流れは、カートリッジの外部から流入し、フィルタ中を貫流し、そしてコアから流出すると仮定する。したがって、マルチリングデザインで可能な最大表面積が得られる。
【0092】
米国特許第5,232,595号明細書に関係する仮定:
o それぞれのリングは、コアおよび外側リングよりなる。最内側セクションの外側リングは、次のセクションのコアである。
【0093】
o 媒体厚さ=0.102cm(0.040in)と仮定する。カートリッジは、リング1つあたり3層の0.102cm(0.040in)の厚さの媒体層を有する。これにより質量充填密度が最適化されるであろう。
【0094】
o それぞれのリングは、上流側サポートおよび下流側サポートの両方を有する:
■ 上流側サポート=0.061cm(0.024in)の厚さ;かつ
■ 下流側サポート=0.025cm(0.010in)の厚さ。
【0095】
o それぞれのリングサポートは、厚さ=0.318cm(0.125in)を有する。
【0096】
o リングにより形成されるそれぞれのセクションは、同一のプリーツ高さを有する。
【0097】
o 媒体密度=0.346g/cm3(0.0125lbs/in3)。
【0098】
表IIIは、この第3の比較の計算結果を示している。同一のカートリッジ寸法で、この第3の実施形態は、米国特許第5,232,595号明細書で教示された技術よりも少なくとも6%大きい質量充填密度を有することがわかる。また、この第3の実施形態は、米国特許第5,232,595号明細書で教示された技術よりも少なくとも38%大きい質量利用指数、少なくとも100%大きいGk係数、および少なくとも104%大きいDCIを有することがわかる。他の観測結果として、この第3の実施形態は、米国特許第5,232,595号明細書により教示されたものよりも少なくとも6%大きい質量および少なくとも14%大きい表面積を有する。
【0099】
先進的プリーツ技術を有する本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントが2種の両面凸型カートリッジと比較されている表IおよびIIのレビューから明らかなように、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの利点は、さらに自明なものになる。表Iでは、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントは、現在入手可能と考えられる最もよく知られている両面凸状カートリッジデザインと比較される。明らかなように、同一の物理的寸法で構築した場合、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントを表す第1の実施形態は、両面凸状カートリッジのDCIが0.34であるのに対してDCIが0.54であるので、先行技術の両面凸状カートリッジよりも明らかに良好な工学的装置である。したがって、0.34のDCIは、これまで達成可能であると考えられる両面凸状カートリッジで最も高い公知のDCIである。本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントは、0.64までのDCI値を達成することが可能であると考えられる。さらに、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントは、そのDCIが0.35〜0.64である場合、最も良好に利用されると考えられる。DCIは、それらの全カートリッジ乾燥重量およびそれぞれのカートリッジが空間内で占有する物理的体積に基づいて比較されるカートリッジを規格化する比較指標である。より大きいDCI値を得るために、より小さい体積およびより軽い構成要素の一方もしくは両方を有する必要があるので、これらの2つの因子は、使用容易性およびスペースの削減の要件に寄与する。DCIに含まれる他の因子は、全有効媒体質量、全有効表面積、および媒体の全有効厚さである。この場合も、より高いDCI値を達成するために、カートリッジは、多くの媒体、表面積、および全深さを有するものでなければならない。媒体質量は、カートリッジが考えられる任意の他の選択肢よりも良好に機能することを示す1つの指標である。なぜなら、より大きい質量では、より高濃度の吸着微粒子が存在すると考えられるからである。これらの吸着微粒子は、より多くの電荷部位を提供することにより深層媒体の吸着機能に寄与する。媒体質量に加えて、DCIはまた、面積をも考慮に入れる。フィルタの有する表面積が大きいほど、期待しうるフィルタ性能は良好である。より大きい表面積では、処理流量が一定に保持されると仮定すると、流束は低減される。単位面積あたりの流量として表される流束は、流体と電荷部位との接触時間を決定するうえで影響力が大きい。明らかに、流束が小さいほど接触時間が長いことを意味するので、深層媒体は、より効率的なものになる。接触時間に関係する他の影響力の大きい因子は、媒体の深さすなわち厚さである。DCIはまた、厚さをも考慮に入れる。深層媒体が厚いほど、ろ過される流体と媒体中の荷電部位との接触時間が長くなる。接触時間がこうして長くなると、より効率的なろ過が可能になるであろう。表Iでも同様に、評価された特定の両面凸状デザインと比較して、他の比較指標もまた、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの場合のほうが高いことは明らかである。おわかりのとおり、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの記載の代表的な実施形態では、Gk係数は6.28であり、MUIは427であり、MPDは12.87であり、一方、両面凸状カートリッジでは、4.78のGk係数、220のMUI、11.25のMPD、および11.25のMPDが得られる。これらの比較因子および指標はすべて、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントが表Iの両面凸状カートリッジと比較してすべてにわたり良好なデザインであることを示唆する。本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントに対してより大きい指標値が記録されたことから、より大きい表面積およびより大きい有効媒体質量を有するので、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントがより効率的であることが示唆される。この比較目的では、カートリッジの体積を同一に保持したが、デザインを単純にするために(部品を少なくするために)、カートリッジの全乾燥重量を低減させることにより、より高いDCI値を与えうることに留意することが重要である。繰り返しになるが、DCIは、媒体の有効質量が微粒子状吸着材の全質量と置き換えられたDCI2により表すことも可能である。この変更を加えると、この比較に対して同一の条件にはならないであろう。なぜなら、両カートリッジは、同一パーセントの微粒子状吸着材質量を有していないであろうと考えられるからである。DCI2は、とくに表IIIの他のデザイン比較において、より顕著なものとなろう。
【0100】
表Iの場合と同様に、表IIでは、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの第2の実施形態を他の両面凸型カートリッジと比較する。表IIでは、両面凸状カートリッジとほぼ同一の全体積を有する本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの第2の実施形態が比較されており、上述の両面凸状カートリッジよりも明らかに優れている。表IIでは、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの第2の実施形態が、0.49のDCI、4.19のGk値、287.5のMUI、および12のMPDを有し、DCIが0.16、Gk係数が1.98、MUIが164.2、MPDが8.47である表IIの両面凸型カートリッジよりも著しく大きいことがわかる。
【0101】
表IIIでは、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントを米国特許第5,232,595号明細書の実施形態の変形形態と比較する。米国特許第5,232,595号明細書には、半径方向プリーツ付き装置が開示されている。この場合、サブリングが存在してもしなくてもよく、プリーツ付きエレメントは、乾燥重量基準で多くとも50%の微粒子状吸着材を含有する。表IIIには、米国特許第5,232,595号明細書の実施形態の5サブリングまでの変形形態が示されている。これらの5つの変形形態を本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの第3の代表的な実施形態と比較する。本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの第3の実施形態は、0.49のDCI値、3.51のGk値、240.45のMUI、および11.72のMPDを有し、一方、偶然2つのサブリングを有する米国特許第5,232,595号明細書の実施形態の最良のケースは、0.24のDCI値、1.74のGk値、174.24のMUI、および11.09のMPD値を有する。この場合および米国特許第5,232,595号明細書の実施形態の他の変形形態では、同一の寸法になるように構築された本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの第3の代表的な実施形態は、より高い比較値を有し、性能および使用容易性の両特性の高い本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントを与えると考えられる。先に述べたように、ろ材の質量がろ材中の微粒子状吸着材の全質量と置き換えられたDCI2値も使用可能であると考えられる。本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントを用いれば、75%までの微粒子状吸着材を含有するろ材を作製することが可能である。しかしながら、米国特許第5,232,595号明細書には、それらの深層フィルタろ材中の50%までの微粒子状吸着材が教示されているにすぎない。このことに留意して、それに応じて構築された実施形態は、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントと米国特許第5,232,595号に従って作製された実施形態との間でDCI2値のさらに大きい差異を生じるであろう。
【0102】
繰り返しになるが、同一のサイズ、空間体積のフィルタ装置またはカートリッジにおいて、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントは、両面凸型深層フィルタカートリッジよりも、大きい媒体質量、より多くの微粒子状吸着材、より大きい面積を充填することが可能であり、かつ他のプリーツ付き深層フィルタろ材装置よりも、大きい質量、多くの微粒子状吸着材、および大きい面積を充填することが可能である。用途にもよるが、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントは、層の数を増大させることによりその全媒体厚さを増大させる能力を有することにも注目すべきである。本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントの有するこれらの特性のおかげで、現在知られている他の技術と比較して所与のサイズでロバストかつより効率的な深層ろ過装置が提供される。さらに、対応する両面凸状深層フィルタカートリッジおよび他の深層フィルタカートリッジと比較した場合、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントは、先進的プリーツ技術の高充填性を利用していので、本開示に係る比較的小さいサイズのプリーツ付きフィルタエレメントで、同一の効率および性能を達成することが可能である。したがって、作業者が取り扱う重量、握り易いサイズのいずれに関しても、さらには対応する両面凸状深層フィルタカートリッジよりも少ない非ろ材構成要素が存在することからサイズおよび重量が小さくなることに起因して、少なくとも、輸送費の減少がもたらされるのでコストに関しても、より使いやすい深層フィルタカートリッジが提供される。このほかに、両面凸状カートリッジは、より大きい湿潤重量の原因となる湿分および流体をトラップする。このことによっても、両面凸状カートリッジは、使用後の取扱いが困難なものとなる。本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントを用いれば、ボイド体積のほとんどを排除することにより、以上のほとんどが回避されると考えられる。全体として、本開示に係るプリーツ付きフィルタエレメントは、表の装置と比較した場合、取扱いがより容易であるフィルタ装置に組み込まれる潜在的により高い性能を有する深層フィルタの革新的な作製方法を提供すると考えられる。
【実施例】
【0103】
実施例1:
媒体形成に特定の実施例で、純度を改良するために逆浸透により処理された水(RO水)を用いて1%のスラリーを作製することにより、それぞれの深層フィルタろ材層を形成した。スラリー溶液は、当業者が熟知するように、乾燥重量基準で、26.8%の市販のクラフトパルプと7.3%の叩解パルプ(−250CSF(Canadian Standard Freeness)、米国特許第4,305,782号明細書に記載のとおり)と65.9%の0.02D’Arcy珪藻土(World Minerals Celite 507)とよりなるものであった。ポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂(Hercules Polycap 1884)を樹脂固形分重量基準で1.5%でスラリー固体に添加された。
【0104】
得られたスラリーを製紙機(Fourdrinier型)に供給した。スラリーを一定の厚さで移動スクリーン上に置いた。この処理のスクリーン速度は、91.44cm/min(3ft/min)であった。RO水のほとんどをスラリーから除去するために、スクリーンを真空スロット上に置いた。適用真空圧は、46〜51センチメートルHg(18〜20インチHg)の範囲内であった。次に、乾燥を開始するために、この湿潤状態の媒体を一連の赤外線ヒータ下に供給した。次に、媒体を一連の熱ローラに通して、さらなる処理に供すべく媒体を十分に乾燥させる処理を達成した。次に、得られた深層フィルタ媒体を厚紙コアに巻き取った。この時点で、媒体厚さを測定したところ、.048〜.053センチメートル(.019〜.021インチ)であった。
【0105】
深層フィルタろ材をプリーツ加工してフィルタエレメントを形成するために、上流側および下流側のサポート材料のロールと共に深層フィルタろ材ロールを巻出しステーションに機能的に配置した、上流側サポート層がBBA Fibernet Nonwovens TYPAR 3091Lであり、上流側媒体層、次の媒体層、および下流側媒体層が、特定例の媒体であり、そして最後に下流側サポート材料がDelstar 5 mil Delnet RC0707−24PPであるように、ロールを配置した。
【0106】
すべての層が互いに積重なって積層整合されるように、巻き出された深層フィルタろ材層およびサポート材料層を1対のローラ間に供給した。異なるプリーツ高さの送給が可能なプリータ(Rabofsky R178PC)を用いて、深層フィルタろ材およびサポート材料の多層を一緒にプリーツ加工した。プリーツ加工速度は、10プリーツ/分〜35プリーツ/分の範囲内であった。
【0107】
この特定の実施形態では、フィルタエレメントをヒートセットするために、プリータ中のヒータの上端プレートを100℃に設定し、底端プレートを100℃に設定した。1.7barの背圧を加えた。
【0108】
一次および二次のプリーツ高さのあらかじめ決められたセットをプリータの入口に送入し、次の名目上の一次および二次プリーツを作製した:
【0109】
【表1】
上記のプログラムを3サイクル反復させた。ハサミを用いて48〜50プリーツごとにプリーツ付き複合深層フィルタろ材を横方向に切断した。次に、2つの環状回転ブレードを用いて23.6センチメートル(9.29インチ)の幅になるように複合媒体の両側をトリミングした。次に、円筒型プリーツ付きフィルタエレメントを形成するために、従来のホットメルトグルー(3M Jet Melt 3792−LM)を用いて2つの自由プリーツ縁ならびにその間のそれぞれの連続した媒体層およびサポート層を継合した。
コアを縁封止プリーツ付きフィルタエレメントの中央領域に挿入した。
【0110】
フィルタエレメントおよびコアを溶融外面に圧入するときにフィルタエレメントの端部を十分に封入封止すべく、IRヒータを用いて端部キャップ自体を加熱して0.127センチメートル(0.050インチ)の好適な深さまで端部キャップキャビティの外面を溶融した。端部キャッピングが終了した後、フィルタモジュールは、端部アダプタに接合できる状態にある。ここで、226オーリングを用いて、ダブルオーリングピストン型アダプタの一方の面を端部キャップに、他方の面を盲キャップに接合した。これらのカートリッジのうちの2つを、それぞれ3019sqcm(3.25sqft)の利用可能表面積を有するように作製した。
【0111】
次に、得られたフィルタカートリッジをステンレス鋼CUNOフィルタハウジング型番1ZMS1中に配置して封止した。カートリッジにモラセス溶液を投入した。Grandma’s Molasses−”Robust Flavor”(Green Label)を1リットルあたり0.16グラムの濃度で水中に分散させた。選択された流量は、カートリッジエレメント1個あたり毎分3ガロンであった。これは、1平方メートルあたり毎分37.5リットルの流束を生じる。フィルタを横切る圧力低下を監視し、圧力低下が25psidに達されたときに試験を中止した。この第1のカートリッジは、915リットル毎平方で処理した後、この圧力低下に達した。第1のカートリッジと同一の方法で投入された第2のカートリッジは、972リットル毎平方で処理した後、この圧力低下に達した。
【0112】
実施例2: 特定例(実施例1)の媒体に記載されるプリーツなしフラットストックを、前に使用したロールのそれぞれからダイを用いる47mmディスクの形態に切断し、フィルタモジュールとプリーツ付きフィルタエレメントとで構成されたフィルタカートリッジを作製した。次に、フィルタディスクをCuno47mmハウジング部品番号70225−01中に配置した。この際、先に記載したようにロールを用いてフィルタエレメントを形成したときと同一の順序で媒体を配置し、ハウジングを封止した。もう1つのハウジングで、この処理を反復し、同様に集成された2つのハウジングを得た。1平方メートルあたり毎分37.5リットルの流束を生じる45.4ml/minの流れを用いて、水中に分散された16g/LのGrandma’s Molasses−”Robust Flavor”(Green Label)をフィルタに投入した。フィルタを横切る圧力低下を監視し、25PSIDの圧力差がフィルタを横切って記録されたときに試験を中止した。2つのハウジングで得られた処理量は、それぞれ、888および925リットル毎平方メートルであった。
【0113】
実施例3: 以上で試験したカートリッジの作製に使用したプリーツ付き媒体を用いて、47mmディスクをプリーツ付き材料から切り出した。最初に、フラットに置かれるようにプリーツ付き媒体を延伸し、次に、ダイを用いて47mmディスクの3層すべてを一度に切断し、プリーツパックの構成した。上流側および下流側のサポート材料を除去し、媒体の組合せを先の場合と同じように47mmハウジング内に配置し、上記の実施例2に記載したフラットストック試験と同様に投入を行った。得られた処理量を測定したところ、1平方メートルあたり毎分937リットルであった。
【0114】
最後に、以上の3つの実施例で得られた処理量を比較した。この結果、表IVに示されるように、媒体をプリーツ加工してもろ過性能は影響を受けないことがわかる。さらに、このプリーツ付き媒体をカートリッジの形態に構築した場合、プリーツ付き表面領域はすべて、利用可能である。結果から明らかなように、フラットストックろ材をプリーツ付きろ材に変換することにより性能の損失はみられなかった。
【0115】
本開示によれば、多量の吸着材微粒子状物質を有する吸着深層媒体は、プリーツ加工前に媒体を湿潤させる必要がなく、乾燥状態のプリーツ加工時、その構造保全性を保持しうる。より薄い深層フィルタろ材の多層を使用するという革新の結果、曲げ中立半径と比較して、各層の曲げ内半径および曲げ外半径における歪みが低減される。微粒子状物質のパーセントが50%を超えたとしても、このプリーツ加工は、亀裂を生じることなく達成される。したがって、ろ過操作における利用を妨げる構造的損傷を伴うことなく、深層フィルタろ材をプリーツ加工することが可能である。さらに、薄肉深層フィルタろ材の多層を組み合わせることにより、フィルタエレメントは、先行技術のモノリシック層と同一の全厚さを達成する。多層深層フィルタろ材は、プリーツ加工時、亀裂を生じない。なぜなら、個別層が互い自由に摺動するので、亀裂および分離または離層の問題が回避されるからである。この場合、高パーセントの吸着材微粒子状物質および高面積プリーツデザインを有する多重深層フィルタろ材層で形成されたフィルタモジュールを達成することが可能である。このフィルタモジュールは、得られる吸着深層フィルタろ材がこれまで達成可能であったものよりも実質的に大きい媒体充填密度および表面積を有する結果して、所与のカートリッジ体積で、より高い効率およびより良好な流量が得られるので、従来のフィルタモジュールよりも優れていることが確認された。
【0116】
実施形態に関連させて本開示の説明および例示を行ってきたが、以下の特許請求の範囲に規定されるようなプリーツ付きフィルタモジュール、プリーツ付き複合深層フィルタろ材、およびそれらに関連する種々の方法(ただし、これらに限定されるものではない)を含めて、このたび開示された実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、修正および変更を加えうることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】図1は、本開示の一実施形態に係るフィルタモジュールを含むフィルタカートリッジの部分破断斜視図である。
【図2】図2は、図1に示される実施形態に係るフィルタエレメントの斜視図である。
【図3】図3は、図1に示される実施形態に係るフィルタエレメントの部分斜視図である。
【図4】図4は、図1に示される実施形態に係るフィルタモジュールの部分断面図である。
【図5】図5は、本開示の他の実施形態に係るフィルタモジュールを含むフィルタカートリッジの部分破断斜視図である。
【図6A】図6Aは、図5に示される実施形態に係るフィルタモジュールの上面図であり、断面図を示すために部分的に破断されている。
【図6B】図6Bは、図5に示される実施形態に係るフィルタモジュールの詳細断面図である。
【図7】図7は、図1および5の実施形態に従って使用される巻出しステーションの概略図である。
【図8】図8は、先行技術に係る第1の両面凸状フィルタカートリッジの断面上面図である。
【図9】図9は、先行技術に係る第2の両面凸状フィルタカートリッジの断面上面図である。
【図10】図10は、先行技術に係るフィルタカートリッジの断面上面図である。
【図11】表Iは、第1の実施形態と図8に示される先行技術との比較である。
【図12】表IIは、第2の実施形態と図9に示される先行技術との比較である。
【図13】表IIIは、第3の実施形態と図10に示される先行技術との比較である。
【図14】表IXは、第3の実施形態と図10に示される先行技術との比較である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプリーツに形成された複合深層フィルタろ材と、ここで、前記複合深層フィルタろ材が、複数の深層フィルタろ材層を含み、前記複数の深層フィルタろ材層の各層が、吸着材微粒子状物質を含み、前記複合深層フィルタろ材の各層が、1300μm以下の厚さを有し;
前記複合深層フィルタろ材に機能的に結合されて前記複合深層フィルタろ材の端部を封止する端部キャップと;
を含む、プリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項2】
前記プリーツ付きフィルタモジュールのDCIが、0.40以上である、請求項1に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項3】
いかなる吸着材微粒子状物質をも含まない多くとも2層の追加のろ材層、
を含む、請求項1に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項4】
前記プリーツ付きフィルタモジュールのDCI2が、0.30以上である、請求項1に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項5】
前記プリーツ付きフィルタモジュールのMPDが、11.5以上である、請求項1に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項6】
前記複数の深層フィルタろ材層の各層が、50重量%以上の吸着材微粒子状物質を含有する、請求項1に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項7】
前記プリーツ付きフィルタモジュールが、
上流側サポート層と;
前記複合深層フィルタろ材に隣接する下流側サポート層と;
を含む、請求項1に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項8】
前記複数の深層フィルタろ材層が、
少なくとも3から多くとも20までの層;
を含む、請求項1に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項9】
複数のプリーツに形成された複合深層フィルタろ材と、ここで、前記複合深層フィルタろ材が、複数の深層フィルタろ材層を含み、前記複数の深層フィルタろ材層の各層が、吸着材微粒子状物質を含み、前記複数の深層フィルタろ材層の各層が、1300μm以下の厚さを有し、前記複数のプリーツが、外向き放射状一次プリーツと内向き放射状二次プリーツとを含み、前記二次プリーツが、前記一次プリーツ間に介設され、それぞれの一次プリーツが、半径方向高さを有し、それぞれの二次プリーツが、それぞれの一次プリーツの半径方向高さ未満の半径方向高さを有し;
前記複合深層フィルタろ材に機能的に結合されて前記複合深層フィルタろ材の端部を封止する端部キャップと;
を含む、プリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項10】
前記プリーツ付きフィルタモジュールのDCIが、0.40以上である、請求項9に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項11】
いかなる吸着材微粒子状物質をも含まない多くとも2層の追加のろ材層、
を含む、請求項9に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項12】
前記フィルタモジュールのDCIが、0.30以上である、請求項9に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項13】
前記モジュールのMPDが、11.5以上である、請求項9に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項14】
前記深層フィルタろ材が、50重量%以上の吸着材微粒子状物質を含有する、請求項9に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項15】
前記プリーツ付きフィルタモジュールが、
上流側サポート層と;
前記複合深層フィルタろ材に隣接する下流側サポート層と;
を含む、請求項9に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項16】
前記複数の深層フィルタろ材層が、
少なくとも3から多くとも20までの層、
を含む、請求項9に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項17】
複数のプリーツの構成が、
2つの隣接する一次プリーツ対間に配置された1つの二次プリーツを有する構成、2つの隣接する一次プリーツ対間に配置された2つの二次プリーツを有する構成、および2つの隣接する一次プリーツ間に配置された1つの二次プリーツを有する構成、
を含む群から選択される、請求項に記載のフィルタモジュール。
【請求項18】
吸着材微粒子状物質を含みかつ1300μm未満の厚さを有する第1の深層フィルタろ材層を準備することと;
吸着材微粒子状物質を含みかつ1300μm未満の厚さを有する第2の深層フィルタろ材層を準備することと;
前記第1の深層フィルタろ材層上に前記第2の深層フィルタろ材層を積層することと;
積層された第1の深層フィルタろ材層および第2の深層フィルタろ材層をプリーツ加工することと;
を含む、複合深層フィルタろ材を作製する方法。
【請求項19】
各層が、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を有する第3の深層フィルタろ材層および第4の深層フィルタろ材層を準備すること、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
複数の深層フィルタろ材層を含み、ここで、前記複数の深層フィルタろ材層の各層が、1300μm未満の厚さを有しかつ吸着材微粒子状物質を含み、前記複数の深層フィルタろ材層の少なくとも1層が、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を含む、プリーツ付き複合深層フィルタろ材。
【請求項1】
複数のプリーツに形成された複合深層フィルタろ材と、ここで、前記複合深層フィルタろ材が、複数の深層フィルタろ材層を含み、前記複数の深層フィルタろ材層の各層が、吸着材微粒子状物質を含み、前記複合深層フィルタろ材の各層が、1300μm以下の厚さを有し;
前記複合深層フィルタろ材に機能的に結合されて前記複合深層フィルタろ材の端部を封止する端部キャップと;
を含む、プリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項2】
前記プリーツ付きフィルタモジュールのDCIが、0.40以上である、請求項1に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項3】
いかなる吸着材微粒子状物質をも含まない多くとも2層の追加のろ材層、
を含む、請求項1に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項4】
前記プリーツ付きフィルタモジュールのDCI2が、0.30以上である、請求項1に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項5】
前記プリーツ付きフィルタモジュールのMPDが、11.5以上である、請求項1に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項6】
前記複数の深層フィルタろ材層の各層が、50重量%以上の吸着材微粒子状物質を含有する、請求項1に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項7】
前記プリーツ付きフィルタモジュールが、
上流側サポート層と;
前記複合深層フィルタろ材に隣接する下流側サポート層と;
を含む、請求項1に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項8】
前記複数の深層フィルタろ材層が、
少なくとも3から多くとも20までの層;
を含む、請求項1に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項9】
複数のプリーツに形成された複合深層フィルタろ材と、ここで、前記複合深層フィルタろ材が、複数の深層フィルタろ材層を含み、前記複数の深層フィルタろ材層の各層が、吸着材微粒子状物質を含み、前記複数の深層フィルタろ材層の各層が、1300μm以下の厚さを有し、前記複数のプリーツが、外向き放射状一次プリーツと内向き放射状二次プリーツとを含み、前記二次プリーツが、前記一次プリーツ間に介設され、それぞれの一次プリーツが、半径方向高さを有し、それぞれの二次プリーツが、それぞれの一次プリーツの半径方向高さ未満の半径方向高さを有し;
前記複合深層フィルタろ材に機能的に結合されて前記複合深層フィルタろ材の端部を封止する端部キャップと;
を含む、プリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項10】
前記プリーツ付きフィルタモジュールのDCIが、0.40以上である、請求項9に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項11】
いかなる吸着材微粒子状物質をも含まない多くとも2層の追加のろ材層、
を含む、請求項9に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項12】
前記フィルタモジュールのDCIが、0.30以上である、請求項9に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項13】
前記モジュールのMPDが、11.5以上である、請求項9に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項14】
前記深層フィルタろ材が、50重量%以上の吸着材微粒子状物質を含有する、請求項9に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項15】
前記プリーツ付きフィルタモジュールが、
上流側サポート層と;
前記複合深層フィルタろ材に隣接する下流側サポート層と;
を含む、請求項9に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項16】
前記複数の深層フィルタろ材層が、
少なくとも3から多くとも20までの層、
を含む、請求項9に記載のプリーツ付きフィルタモジュール。
【請求項17】
複数のプリーツの構成が、
2つの隣接する一次プリーツ対間に配置された1つの二次プリーツを有する構成、2つの隣接する一次プリーツ対間に配置された2つの二次プリーツを有する構成、および2つの隣接する一次プリーツ間に配置された1つの二次プリーツを有する構成、
を含む群から選択される、請求項に記載のフィルタモジュール。
【請求項18】
吸着材微粒子状物質を含みかつ1300μm未満の厚さを有する第1の深層フィルタろ材層を準備することと;
吸着材微粒子状物質を含みかつ1300μm未満の厚さを有する第2の深層フィルタろ材層を準備することと;
前記第1の深層フィルタろ材層上に前記第2の深層フィルタろ材層を積層することと;
積層された第1の深層フィルタろ材層および第2の深層フィルタろ材層をプリーツ加工することと;
を含む、複合深層フィルタろ材を作製する方法。
【請求項19】
各層が、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を有する第3の深層フィルタろ材層および第4の深層フィルタろ材層を準備すること、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
複数の深層フィルタろ材層を含み、ここで、前記複数の深層フィルタろ材層の各層が、1300μm未満の厚さを有しかつ吸着材微粒子状物質を含み、前記複数の深層フィルタろ材層の少なくとも1層が、少なくとも50重量%の吸着材微粒子状物質を含む、プリーツ付き複合深層フィルタろ材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−516753(P2008−516753A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536882(P2007−536882)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/036814
【国際公開番号】WO2006/044532
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(506067903)スリーエム イノベーティブ プロパティーズ カンパニー (23)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/036814
【国際公開番号】WO2006/044532
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(506067903)スリーエム イノベーティブ プロパティーズ カンパニー (23)
【Fターム(参考)】
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