説明

プルダウン信号処理装置およびプルダウン信号処理方法

【課題】入力映像信号の特性に適した映像を表示できるように、プルダウン信号を検出等して処理する。
【解決手段】プルダウン信号処理装置は入力映像信号がプルダウン信号であるか否かを検出するプルダウン信号検出手段と、入力映像信号の種別を判定する信号種別判定手段と、入力映像信号のフレーム内における輝度の度数分布を検出する輝度ヒストグラム検出手段と、輝度ヒストグラム検出手段の検出結果に基づいて、入力映像信号のコントラストを検出するコントラスト検出手段と、内挿フレームを生成するフレーム内挿手段と、入力映像信号を構成するフレームと内挿フレームとを整列して出力するフレーム整列出力手段と、信号種別判定手段の判定結果およびコントラスト検出手段の検出結果に基づいて、フレーム内挿手段およびフレーム整列出力手段の動作を制御する出力フレーム制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プルダウン方式で生成されたプルダウン信号を検出等して処理するプルダウン信号処理装置およびプルダウン信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
映像信号の中には、映画フィルムに基づいて生成された映像信号が含まれていることがある。映画フィルムは毎秒24コマであるのに対して、標準テレビジョン方式の映像信号は毎秒30フレーム(毎秒60フィールド)の飛越し走査方式の映像信号である。そのため、映画フィルムに基づいて生成された映像信号は、2−3プルダウン方式または2−2プルダウン方式によって、標準テレビジョン方式の映像信号に変換されている。この種の映像信号の変換に関して、例えば特許文献1には、インターレース信号をフォーマット変換する場合に動きベクトルの検出誤差を少なくして動きをスムーズにする動画像フォーマット変換装置が開示されている。
【特許文献1】特開2005−167887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、入力映像信号が映画フィルムからテレシネ変換したプルダウン信号である場合、その入力映像信号を構成する同じフレームを映画フィルムの1コマの表示期間と同じ期間だけ表示することによって、映画フィルムと同様の動き(24コマ/秒の動き)を表現することができる。
【0004】
しかし、入力映像信号の中には、映画フィルムからテレシネ変換したプルダウン信号以外のプルダウン信号が含まれていることがある。このような入力映像信号についても、映画フィルムからテレシネ変換したプルダウン信号と同様の処理を行うと、スムーズさを欠き、動きのカクカク(カタカタ)した映像が表示されるという課題があった。また、映画フィルムからテレシネ変換したプルダウン信号でも、映像のコントラストが強いときは、動きのジャダー感(ぶれ感ともいう)の強い映像が表示されるという課題もあった。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたもので、入力映像信号の特性に適した映像を表示できるように、プルダウン信号を検出等して処理するプルダウン信号処理装置およびプルダウン信号処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、入力映像信号の連続するフレームの動きを検出して、入力映像信号がプルダウン信号であるか否かを検出するプルダウン信号検出手段と、プルダウン信号検出手段の検出結果に基づいて、入力映像信号が非プルダウン信号、映画フィルムからテレシネ変換した第1のプルダウン信号、その第1のプルダウン信号以外の第2のプルダウン信号のいずれであるかを判定する信号種別判定手段と、入力映像信号のフレーム内における輝度の度数分布を検出する輝度ヒストグラム検出手段と、輝度ヒストグラム検出手段の検出結果に基づいて、入力映像信号のコントラストを検出するコントラスト検出手段と、入力映像信号を構成する任意のフレーム間に内挿される内挿フレームを生成するフレーム内挿手段と、入力映像信号を構成するフレームとフレーム内挿手段が生成した内挿フレームとを整列して出力するフレーム整列出力手段と、信号種別判定手段の判定結果およびコントラスト検出手段の検出結果に基づいて、フレーム内挿手段およびフレーム整列出力手段の動作を制御する出力フレーム制御手段とを有するプルダウン信号処理装置を特徴とする。
【0007】
また、本発明は、入力映像信号の連続するフレームの動きを検出して、入力映像信号がプルダウン信号であるか否かを検出するプルダウン信号検出手段と、入力映像信号の色温度を検出する色温度検出手段と、プルダウン信号検出手段の検出結果および色温度検出手段の検出結果に基づいて、入力映像信号が非プルダウン信号、映画フィルムからテレシネ変換した第1のプルダウン信号、その第1のプルダウン信号以外の第2のプルダウン信号のいずれであるかを判定する信号種別判定手段と、入力映像信号を構成する任意のフレーム間に内挿される内挿フレームを生成するフレーム内挿手段と、入力映像信号を構成するフレームとフレーム内挿手段が生成した内挿フレームとを整列して出力するフレーム整列出力手段と、信号種別判定手段の判定結果に基づいて、フレーム内挿手段およびフレーム整列出力手段の動作を制御する出力フレーム制御手段とを有するプルダウン信号処理装置を提供する。
【0008】
さらに本発明は、入力映像信号の連続するフレームの動きを検出して、入力映像信号がプルダウン信号であるか否かを検出するプルダウン信号検出を行い、プルダウン信号検出の検出結果に基づいて、入力映像信号が非プルダウン信号、映画フィルムからテレシネ変換した第1のプルダウン信号、その第1のプルダウン信号以外の第2のプルダウン信号のいずれであるかを判定する信号種別判定を行い、入力映像信号のフレーム内における輝度の度数分布を検出する輝度ヒストグラム検出を行い、輝度ヒストグラム検出の検出結果に基づいて、入力映像信号のコントラストを検出するコントラスト検出を行い、入力映像信号を構成する任意のフレーム間に内挿される内挿フレームを生成するフレーム内挿を行い、入力映像信号を構成するフレームとフレーム内挿手段が生成した内挿フレームとを整列して出力するフレーム整列を行い、信号種別判定の判定結果およびコントラスト検出の検出結果に基づいて、フレーム内挿およびフレーム整列出力を制御するプルダウン信号処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
以上詳述したように、本発明によれば、入力映像信号の特性に適した映像を表示できるように、プルダウン信号を検出等して処理するプルダウン信号処理装置およびプルダウン信号処理方法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係るプルダウン信号処理装置2を備えた映像表示装置1の構成を示すブロック図である。映像表示装置1は、プルダウン信号処理装置2と、液晶表示パネル20とを有している。そして、映像表示装置1では、プルダウン信号処理装置2に入力映像信号S0が入力されて出力映像信号S10が出力され、その出力映像信号S10を用いることによって、液晶表示パネル20に映像が表示されるようになっている。
【0012】
プルダウン信号処理装置2は、プルダウン信号検出手段3と、色温度検出手段4と、輝度ヒストグラム検出手段5と、信号種別判定手段6と、コントラスト検出手段7と、フレーム内挿手段8と、フレーム整列出力手段9と、出力フレーム制御手段10とを有している。
【0013】
プルダウン信号検出手段3は、入力映像信号S0の連続するフレームの動きを検出し、その検出結果に基づき、入力映像信号S0がプルダウン信号であるか否かを検出する。色温度検出手段4は、入力映像信号S0の設定色温度を検出する。輝度ヒストグラム検出手段5は入力映像信号S0のフレーム内における輝度の度数分布を検出する。
【0014】
信号種別判定手段6は、プルダウン信号検出手段3の検出結果および色温度検出手段4の検出結果に基づいて、入力映像信号S0の種別を判定する。コントラスト検出手段7は、入力映像信号S0のコントラストを検出する。フレーム内挿手段8は入力映像信号S0を構成する任意のフレーム間に内挿される内挿フレームを生成する。
【0015】
フレーム整列出力手段9は、入力映像信号S0を構成するフレームと、内挿フレームとを整列して出力する。出力フレーム制御手段10は信号種別判定手段6の判定結果およびコントラスト検出手段7の検出結果に基づいて、フレーム内挿手段8およびフレーム整列出力手段9の動作を制御する。
【0016】
次に、以上の構成を有するプルダウン信号処理装置2の動作内容について詳しく説明する。
【0017】
まず、プルダウン信号検出手段3と、色温度検出手段4と、輝度ヒストグラム検出手段5と、フレーム内挿手段8およびフレーム整列出力手段9に入力映像信号S0が入力される。
【0018】
このとき、プルダウン信号検出手段3は、入力映像信号S0の連続するフレームの動きを検出するとともに、その検出結果に基づき、入力映像信号S0がプルダウン信号であるか否かを検出し、その検出結果を示す検出信号d1を信号種別判定手段6に出力する。
【0019】
例えば、入力映像信号S0が2−3プルダウン信号であった場合、同じフレームが2枚続いた後、次のフレームが3枚続くというパターンが繰り返される。そのため、入力映像信号S0を構成している連続する2枚のフレーム間の動きのパターンは「静−動−静−静−動」というパターンになる。プルダウン信号検出手段3は連続するフレームによって形成される上記のようなパターンを検出することによって、入力映像信号S0が2−3プルダウン信号であることを検出して、検出信号d1を出力することができる。例えば、検出信号d1は、入力映像信号S0がプルダウン信号の場合は“Y”、そうでない場合は“N”とすることができる。
【0020】
次に、色温度検出手段4は、入力映像信号S0の設定色温度を検出し、その検出結果を示す検出信号d2を信号種別判定手段6に出力する。映画フィルムの場合、色温度は低く設定されている場合が多い(約6500K)。これに対し、ビデオ素材の場合、色温度は高く設定されている場合が多い(約9300K)。色温度検出手段4は高輝度色相ヒストグラム検出手段を用いて白領域の色相を検出することで色温度を検出し、その検出結果を示す検出信号d2を出力することができる。高輝度色相ヒストグラム検出手段は、例えば、入力映像信号S0のフレーム内の画素で、輝度が任意の閾値以上の画素の色相の度数分布を検出する。
【0021】
また、輝度ヒストグラム検出手段5は、入力映像信号S0のフレーム内における輝度の度数分布を検出して、その検出結果を示す検出信号d3をコントラスト検出手段7に出力する。
【0022】
そして、信号種別判定手段6は、検出信号d1および検出信号d2に基づき、入力映像信号S0の種別を判定して、その判定結果に応じて種別信号g1、g2を出力フレーム制御手段10に出力する。信号種別判定手段6から出力される種別信号g1、g2は図2に示すようになっている。
【0023】
信号種別判定手段6はまず、検出信号d1により、入力映像信号S0がプルダウン信号であるか、非プルダウン信号であるかを判定する。ここで、信号種別判定手段6は検出信号d1が“N”のときは入力映像信号S0が非プルダウン信号であると判定し、検出信号d2如何を問わず種別信号g1を非プルダウン信号であることを示す“N”にして出力する。こうして信号種別判定手段6は第1の判定結果を出力する。
【0024】
また、検出信号d1が“Y”のときは検出信号d2にしたがい種別信号g2を変えて出力する。この場合、検出信号d2の示す色温度が任意の閾値以下の場合は種別信号g1をプルダウン信号であることを示す“Y”にして出力するとともに、種別信号g2を映画フィルムからテレシネ変換して得られるプルダウン信号(第1のプルダウン信号)であることを示す“C”にして出力する。こうして信号種別判定手段6は第2の判定結果を出力する。さらに、検出信号d2の示す色温度が任意の閾値よりも大きいときは種別信号g1をプルダウン信号であることを示す“Y”にして出力するとともに、種別信号g2を映画フィルムからテレシネ変換して得られるプルダウン信号以外のプルダウン信号(第2のプルダウン信号)であることを示す“E”にして出力する。こうして信号種別判定手段6は第3の判定結果を出力する。
【0025】
そして、コントラスト検出手段7は検出信号d3により、入力映像信号S0のコントラストを検出して、検出結果を示す検出信号g3を出力フレーム制御手段10に出力する。例えば、コントラスト検出手段7はある度数以上の最小輝度レベルと、ある度数以上の最大輝度レベルとの差をコントラストとして検出して検出信号d3を出力する。この場合、コントラスト検出手段7は最小輝度レベルと、最大輝度レベルとの差が任意の閾値以下のときは検出信号g3をコントラストが低いことを示す“L”で出力し、最小輝度レベルと、最大輝度レベルとの差が任意の閾値よりも大きいときは検出信号g3をコントラストが高いことを示す“H”で出力する。
【0026】
次に、出力フレーム制御手段10は、種別信号g1、g2および検出信号g3に基づき出力パターン信号k1、k2をそれぞれフレーム内挿手段8およびフレーム整列出力手段9に出力することによって、それぞれの動作を制御する。出力フレーム制御手段10から出力される出力パターン信号k1、k2は図3に示すようになっている。
【0027】
この場合、出力フレーム制御手段10は、種別信号g1が“N”のときは出力パターンを“P0”とする出力パターン信号k1、k2を出力する。また、種別信号g1が“Y”で、かつ種別信号g2が“C”のときは検出信号g3が“L”であれば出力パターンを“P1”とし、検出信号g3が“H”であれば出力パターンを“P2”として出力パターン信号k1、k2を出力する。さらに、種別信号g1が“Y”で、かつ種別信号g2が“E”のときは出力パターンを“P3”,“P4”,“P5”のいずれかにして出力パターン信号k1、k2を出力する。
【0028】
そして、フレーム内挿手段8は、出力フレーム制御手段10から出力される出力パターン信号k1に応じて内挿フレームFを生成してフレーム整列出力手段9に出力する。フレーム整列出力手段9は出力パターン信号k2に応じてフレームの整列を行い出力するフレーム整列出力を行う。
【0029】
以上のような動作を行うプルダウン信号処理装置2について、入力映像信号S0がプルダウン信号の場合を考える。図4は、入力映像信号S0および出力映像信号S10の出力パターンを模式的に示した図で、(b)が入力映像信号S0となるプルダウン信号を示し、(a)は入力映像信号S0の元になる映画フィルムを示している。なお、映画フィルムは24フレーム/秒、プルダウン信号が60フレーム/秒、出力映像信号S10は120フレーム/秒としている。また、図4では、入力映像信号S0および出力映像信号S10をそれぞれ構成しているフレームを矩形状の枠で示している。例えば、(b)では、“1”のフレームが3枚続いた後、“2”のフレームが2枚続いていることを示している。
【0030】
そして、(b)に示す入力映像信号S0がプルダウン信号処理装置2に入力されたとする。入力映像信号S0は、コントラストが強くないとすると、信号種別判定手段6から種別信号g1が“Y”で種別信号g2が“C”で出力されるとともに、コントラスト検出手段7から検出信号g3が“L”で出力される。そのため、出力フレーム制御手段10から出力パターンを“P1”とする出力パターン信号k1、k2が出力される。このときの入力映像信号S0は、映画フィルムからテレシネ変換したプルダウン信号であるが、コントラストは強くないので、フレーム内挿手段8によってもとのフレームと同じ内挿フレームは生成して、フレーム整列出力手段9が同じフレームを5枚ずつ表示するようにしてフレームの整列出力を行う(図4の(c−1))。このときの出力パターンでは、映画フィルムの1コマのフレーム表示期間と同じ期間だけ同じフレームが表示される。
【0031】
しかし、入力映像信号S0のコントラストが強いときは、信号種別判定手段6から種別信号g1が“Y”で種別信号g2が“C”で出力されるとともに、コントラスト検出手段7から検出信号g3が“H”で出力される。そのため、出力フレーム制御手段10から出力パターンを“P2”とする出力パターン信号k1、k2が出力される。このときの入力映像信号S0は、テレシネ変換したコントラストの強いプルダウン信号なので、フレーム内挿手段8が元の2枚のフレームの間に補間される補間フレーム“1.5”、“2.5”を1枚ずつ内挿フレームFとして生成するとともに、フレーム整列出力手段9が内挿フレームFを元のフレーム“1”、“2”の最後の部分の代わりに挿入して出力するフレーム整列出力を行う(図4の(c−2))。このときの出力パターンでは、映画フィルムの1コマのフレーム表示期間よりも内挿フレームFの分だけ短い期間で同じフレームが表示され、残りの期間に内挿フレームFが表示される。
【0032】
一方、入力映像信号S0として、テレシネ変換したプルダウン信号以外のプルダウン信号(例えば、アニメーションや、音楽のコンサートのプルダウン信号など)がプルダウン信号処理装置2に入力したとする。すると、信号種別判定手段6から種別信号g1が“Y”で種別信号g2が“E”で出力されるので、コントラスト検出手段7からの検出信号g3如何を問わず、出力フレーム制御手段10から出力パターンを“P3”、“P4”,“P5”のいずれかにする出力パターン信号k1、k2が出力される。
【0033】
出力パターンが“P3”の場合、フレーム内挿手段8が補間フレーム“1.5”、“2.5”を2枚ずつ内挿フレームFとして生成するとともに、フレーム整列出力手段9が内挿フレームFを元のフレーム“1”、“2”の一部の代わりに挿入して出力するフレーム整列出力を行う(図4の(c−3))。
【0034】
出力パターンが“P4”の場合、フレーム内挿手段8が補間フレーム“1.3”、“2.3”を2枚ずつ生成するとともに、補間フレーム“1.8”、“2.8”を1枚ずつ生成して、フレーム整列出力手段9がそれらの内挿フレームFを元のフレーム“1”、“2”の一部の代わりに挿入して出力するフレーム整列出力を行う(図4の(c−4))。
【0035】
出力パターンが“P5”の場合、フレーム内挿手段8が補間フレーム“1.2”、“1.4”、“1.6”、“1.8”、“2.2”、“2.4”、“2.6”、“2.8”を1枚ずつ生成するとともに、フレーム整列出力手段9がそれらの内挿フレームFを元のフレーム“1”、“2”の一部の代わりに挿入して出力するフレーム整列出力を行う(図4の(c−5))。
【0036】
出力パターンが“P3”、“P4”、“P5”の場合はいずれも入力映像信号S0が映画フィルムからテレシネ変換したプルダウン信号であるときに比べ、同じフレームを表示する期間が短くなるようにしてフレーム整列出力が行われている。
【0037】
図4では、プルダウン信号が第1のプルダウン信号の場合、コントラストの違いにより、2つの異なった出力パターンでフレームの整列出力が行われることが示されている。コントラストが強くないときは、図4の(c−1)に示すように、5フレームずつ同じフレームを続けて出力して映画フィルムと同じコマの動きの映像が表示されるようにしても、ジャダー感(ぶれ感)が感じられるようなことはない。
【0038】
しかしながら、テレシネ変換したプルダウン信号で、コントラストが強いときは、24フレーム/秒相当の動きでは、表示される映像を見たときにジャダー感(ぶれ感)が強く感じられることがある。このような場合のため、プルダウン信号処理装置2では、図4の(c−2)に示すように、4フレーム続けて同じフレームを出力した後、フレーム“1”とフレーム“2”の間に内挿フレームFを1枚出力してから次のフレーム“2”を4枚続けて出力するようにしている。こうすることにより、映像の動きが滑らかになるため、映画フィルムのコマの動きに近い状態を表現しながら、ジャダー感(ぶれ感)を低減した映像を表示することができる。
【0039】
一方、入力映像信号S0が映画フィルムをテレシネ変換したプルダウン信号ではない第2のプルダウン信号の場合、24フレーム/秒の動きに合わせる必要は無い。また、そのようにすると、かえって映像の動きがカクカクしたものとなり好ましくない。第2のプルダウン信号の場合は、できるだけ、映像の動きが滑らかになることが好ましい。
【0040】
そこで、プルダウン信号処理装置2では、図4のc−3、c−4、c−5に示すようにして内挿フレームを内挿するフレーム整列出力を行っている。いずれの場合も、映像の動きを滑らかにすることができるが、内挿フレーム数が多いほど動きは滑らかになる。このように、プルダウン信号処理装置2では、入力映像信号がプルダウン信号であるか否か、プルダウン信号である場合に映画フィルムをテレシネ変換したプルダウン信号なのかそれ以外のプルダウン信号であるのかといった入力映像信号の種別を検出し、その検出結果に応じたフレーム内挿およびフレームの整列出力を行っているので、入力映像信号の特性に適した映像を表示できるようになっている。
【0041】
ところで、入力映像信号S0がテレシネ変換したコントラストの強いプルダウン信号の場合、図4のc−6のようにして内挿フレームの生成およびフレームの整列出力を行ってもよい。図4のc−2では、映画フィルムの1コマのフレーム表示期間よりも短い期間で同一のフレームを表示し、残りの期間に内挿フレーム“1.5”が表示されるようにしている。
【0042】
図4のc−6では、入力映像信号S0(図4のb)の各フレームを2枚ずつくり返すとともにその最後のフレームを内挿フレームに置き換えて表示している。例えば、フレーム“1”は入力映像信号S0に3枚含まれているので、2枚ずつくり返すことによって6枚になるが、その6枚目を内挿フレーム“1.5”に置換している。こうしても、表示される映像の動きを滑らかにすることができる。
【0043】
しかも、図4のc−6のようにすると、図4のc−2のようにする場合よりも制御が容易になるという利点がある。この場合、映画フィルムの1コマのフレーム表示期間と同じ期間で表示される第1のフレーム(前述の場合はフレーム“1”)と、短い期間で表示される第2のフレーム(前述の場合はフレーム“2”)との間に内挿フレーム“1.5”が表示されるようにしてフレーム整列出力が行われている。
【0044】
なお、入力映像信号S0がプルダウン信号以外の場合は図5のようにしてフレームの整列出力が行われる。この場合、入力映像信号S0の各フレームから補間フレーム“1.5”、“2.5”、“3.5”、“4.5”、“5.5”を内挿フレームFとして生成するとともに、各フレームの間に内挿フレームFを挿入するようにしてフレーム整列出力が行われる。
【0045】
(変形例)
次に、図6は、別のプルダウン信号処理装置22を備えた映像表示装置21の構成を示すブロック図である。映像表示装置21は、映像表示装置1と比較してプルダウン信号処理装置22を有する点で相違している。プルダウン信号処理装置22はプルダウン信号処理装置2と比較して、バックライト制御装置11を有する点で相違している。
【0046】
バックライト制御装置11は、入力映像信号S0に応じて液晶表示パネル20のバックライトをどの程度点灯させるかといったバックライトの点灯を制御する。そして、バックライト制御装置11は、バックライトの点灯レベルを示す点灯制御信号bgを出力フレーム制御手段10に出力する。
【0047】
前述のプルダウン信号処理装置2では、出力フレーム制御手段10が信号種別判定手段6の判定結果およびコントラスト検出手段7の検出結果に基づいて、フレーム内挿手段8およびフレーム整列出力手段9の動作を制御していた。コントラスト検出手段7の検出結果は、入力映像信号S0のコントラストの検出結果を示していたが、入力映像信号S0のコントラストは点灯制御信号bgから検出することもできる。点灯制御信号bgはバックライトの点灯レベルを示すものであり、点灯制御信号bgにより、点灯レベルが高ければコントラストが高い、点灯レベルが高くなければコントラストが低いといった判定が可能だからである。
【0048】
そのため、出力フレーム制御手段10は、検出信号g3の代わりに点灯制御信号bgを用い、種別信号g1、g2および点灯制御信号bgに基づいて、フレーム内挿手段8およびフレーム整列出力手段9の動作を制御する。
【0049】
なお、図6に示すプルダウン信号処理装置22のように、輝度ヒストグラム検出手段5およびコントラスト検出手段7に加えてバックライト制御装置11を設けてもよいが、輝度ヒストグラム検出手段5およびコントラスト検出手段7の代わりにバックライト制御装置11を設けてよい。
【0050】
以上の説明は、本発明の実施の形態についての説明であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができる。又、各実施形態における構成要素、機能、特徴あるいは方法ステップを適宜組み合わせて構成される装置又は方法も本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係るプルダウン信号処理装置を備えた映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】信号種別判定手段から出力される種別信号の一例をまとめた表である。
【図3】出力フレーム制御手段から出力される出力パターン信号の一例をまとめた表である。
【図4】プルダウン信号の場合の入力映像信号および出力映像信号の出力パターンを模式的に示した図である。
【図5】非プルダウン信号の場合の入力映像信号および出力映像信号の出力パターンを模式的に示した図である。
【図6】別のプルダウン信号処理装置を備えた映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0052】
1,21…映像表示装置、2,22…プルダウン信号処理装置、3…プルダウン信号検出手段、4…色温度検出手段、5…輝度ヒストグラム検出手段、6…信号種別判定手段、7…コントラスト検出手段、8…フレーム内挿手段、9…フレーム整列出力手段、10…出力フレーム制御手段、20…液晶表示パネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力映像信号の連続するフレームの動きを検出して、前記入力映像信号がプルダウン信号であるか否かを検出するプルダウン信号検出手段と、
前記プルダウン信号検出手段の検出結果に基づいて、前記入力映像信号が非プルダウン信号、映画フィルムからテレシネ変換した第1のプルダウン信号、該第1のプルダウン信号以外の第2のプルダウン信号のいずれであるかを判定する信号種別判定手段と、
前記入力映像信号のフレーム内における輝度の度数分布を検出する輝度ヒストグラム検出手段と、
前記輝度ヒストグラム検出手段の検出結果に基づいて、前記入力映像信号のコントラストを検出するコントラスト検出手段と、
前記入力映像信号を構成する任意のフレーム間に内挿される内挿フレームを生成するフレーム内挿手段と、
前記入力映像信号を構成するフレームと前記フレーム内挿手段が生成した前記内挿フレームとを整列して出力するフレーム整列出力手段と、
前記信号種別判定手段の判定結果および前記コントラスト検出手段の検出結果に基づいて、前記フレーム内挿手段および前記フレーム整列出力手段の動作を制御する出力フレーム制御手段とを有することを特徴とするプルダウン信号処理装置。
【請求項2】
入力映像信号の連続するフレームの動きを検出して、前記入力映像信号がプルダウン信号であるか否かを検出するプルダウン信号検出手段と、
前記入力映像信号の色温度を検出する色温度検出手段と、
前記プルダウン信号検出手段の検出結果および前記色温度検出手段の検出結果に基づいて、前記入力映像信号が非プルダウン信号、映画フィルムからテレシネ変換した第1のプルダウン信号、該第1のプルダウン信号以外の第2のプルダウン信号のいずれであるかを判定する信号種別判定手段と、
前記入力映像信号を構成する任意のフレーム間に内挿される内挿フレームを生成するフレーム内挿手段と、
前記入力映像信号を構成するフレームと前記フレーム内挿手段が生成した前記内挿フレームとを整列して出力するフレーム整列出力手段と、
前記信号種別判定手段の判定結果に基づいて、前記フレーム内挿手段および前記フレーム整列出力手段の動作を制御する出力フレーム制御手段とを有することを特徴とするプルダウン信号処理装置。
【請求項3】
前記入力映像信号のフレーム内における輝度の度数分布を検出する輝度ヒストグラム検出手段と、
前記輝度ヒストグラム検出手段の検出結果に基づいて、前記入力映像信号のコントラストを検出するコントラスト検出手段とを更に有し、
前記出力フレーム制御手段は、前記信号種別判定手段の判定結果および前記コントラスト検出手段の検出結果に基づいて、前記フレーム内挿手段及び前記フレーム整列出力手段の動作を制御することを特徴とする請求項2記載のプルダウン信号処理装置。
【請求項4】
前記信号種別判定手段は、前記プルダウン信号検出手段が前記非プルダウン信号を示す検出結果を出力したときは前記入力映像信号が非プルダウン信号であることを示す第1の判定結果を出力し、前記プルダウン信号検出手段が前記プルダウン信号を示す検出結果を出力しかつ前記色温度検出手段の検出した前記色温度が閾値以下であったときは前記入力映像信号が前記第1のプルダウン信号であることを示す第2の判定結果を出力し、前記プルダウン信号検出手段が前記プルダウン信号を示す検出結果を出力しかつ前記色温度検出手段の検出した前記色温度が前記閾値よりも大きいときは前記入力映像信号が前記第2のプルダウン信号であることを示す第3の判定結果を出力することを特徴とする請求項2記載のプルダウン信号処理装置。
【請求項5】
前記出力フレーム制御手段は、前記信号種別判定手段から前記入力映像信号が前記第1のプルダウン信号であることを示す第2の判定結果が出力され、かつ前記コントラスト検出手段の検出した前記入力映像信号のコントラストが閾値以下であったときは映画フィルムの1コマのフレーム表示期間と同じ期間だけ同一のフレームが表示されるように前記フレーム内挿手段および前記フレーム整列出力手段の動作を制御し、前記信号種別判定手段から前記第2の判定結果が出力され、かつ前記入力映像信号のコントラストが前記閾値よりも大きいときは映画フィルムの1コマのフレーム表示期間よりも短い期間で同一のフレームを表示し、残りの期間に前記内挿フレームが表示されるように、前記フレーム内挿手段および前記フレーム整列出力手段の動作を制御することを特徴とする請求項3記載のプルダウン信号処理装置。
【請求項6】
前記出力フレーム制御手段は、前記信号種別判定手段から前記入力映像信号が前記第2のプルダウン信号であることを示す第3の判定結果が出力されたときは、前記入力映像信号が前記第1のプルダウン信号であるときに比べ、同一のフレームを表示する期間が短くなるようにして前記フレーム内挿手段および前記フレーム整列出力手段の動作を制御することを特徴とする請求項3記載のプルダウン信号処理装置。
【請求項7】
前記出力フレーム制御手段は、前記信号種別判定手段から前記入力映像信号が前記第1のプルダウン信号であることを示す第2の判定結果が出力され、かつ前記コントラスト検出手段の検出した前記入力映像信号のコントラストが閾値よりも大きいときは映画フィルムの1コマのフレーム表示期間と同じ期間で表示される第1のフレームと、短い期間で表示される第2のフレームとの間に前記内挿フレームが表示されるように、前記フレーム内挿手段および前記フレーム整列出力手段の動作を制御することを特徴とする請求項3記載のプルダウン信号処理装置。
【請求項8】
前記色温度検出手段は、前記入力映像信号のフレーム内における輝度が閾値以上の画素の色相の度数分布を検出する高輝度色相ヒストグラム検出手段を有することを特徴とする請求項2記載のプルダウン信号処理装置。
【請求項9】
前記フレーム整列出力手段から出力される出力映像信号を用いて映像を表示する映像表示手段を更に有する請求項1記載のプルダウン信号処理装置。
【請求項10】
入力映像信号の連続するフレームの動きを検出して、前記入力映像信号がプルダウン信号であるか否かを検出するプルダウン信号検出を行い、
前記プルダウン信号検出の検出結果に基づいて、前記入力映像信号が非プルダウン信号、映画フィルムからテレシネ変換した第1のプルダウン信号、該第1のプルダウン信号以外の第2のプルダウン信号のいずれであるかを判定する信号種別判定を行い、
前記入力映像信号のフレーム内における輝度の度数分布を検出する輝度ヒストグラム検出を行い、
前記輝度ヒストグラム検出の検出結果に基づいて、前記入力映像信号のコントラストを検出するコントラスト検出を行い、
前記入力映像信号を構成する任意のフレーム間に内挿される内挿フレームを生成するフレーム内挿を行い、
前記入力映像信号を構成するフレームと前記フレーム内挿手段が生成した前記内挿フレームとを整列して出力するフレーム整列を行い、
前記信号種別判定の判定結果および前記コントラスト検出の検出結果に基づいて、前記フレーム内挿および前記フレーム整列出力を制御することを特徴とするプルダウン信号処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−11342(P2010−11342A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171043(P2008−171043)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】