説明

プルランを含む速溶性医薬組成物

本発明はプルラン、可塑剤及び溶解促進剤を含む経口溶解カプセルを提供する。該カプセルは1以上の医薬品の迅速な送達のために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願書類は、アメリカを除く全ての国の指定に関して、出願人としてアメリカの大学であるカンザス大学、並びにアメリカのみを指定して出願人としてアメリカ国民であるRoger A. Rajewski及びJohn L. Haslamの名前でPCT国際特許出願として2008年4月4日に出願され、2007年4月5日に出願された米国特許仮出願第60/922,062号の優先権の主張を伴い、参照により本明細書に取り込む。
【0002】
本発明は、プルラン、可塑剤及び溶解促進剤を含む経口溶解カプセルを提供する。該カプセルは1以上の医薬品の迅速な送達のために使用される。
【背景技術】
【0003】
経口カプセルは体内に様々な薬剤を投与するために周知の剤形である。一般的に言えば、かかるカプセルは2つの基本的な成分を有し、すなわち、医薬的活性薬剤を含む充填剤及び充填剤を封入するシェル(shell、外殻構造)を有する。投与すると、様々な消化力の元で、シェルが崩壊されるにつれて、充填剤が放出され、体内に吸収される。
【0004】
多くの特定の構成成分が、様々なカプセル製剤のシェルを形成するために使用されている。ある基本的な成分はマトリックス、つまりフィルム形成物質であり、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ガム、またはプルランを含むその他のポリマー材料などがある。ある種のプルランカプセルが市販されており、例えば、Capsugel NPcaps(登録商標)カプセルはファイザー社より入手可能である。Capsugel NPcaps(登録商標)カプセルはプルラン、カラギーナン及び塩化カリウムを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/922,062号
【特許文献2】米国特許第4,820,506号
【特許文献3】米国特許第3,784,390号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、医薬品の迅速な送達のために、口腔でCapsugel NPcaps(登録商標)カプセルよりもより迅速に崩壊される硬質プルランカプセルを提供する。本開示は、さらに、口腔で迅速に崩壊する、ディップ成型工程における硬質カプセルの製造に使用されるのに良好な凝結特性(setting property)を有する組成物を形成する水性プルランフィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はプルラン、可塑剤及び溶解促進剤を含む経口溶解カプセルを提供する。一実施態様において、カプセルは、カプセルの総シェル固形物に対して約60から約99重量%の量でプルランを含む。
【0008】
一実施態様において、可塑剤はポリオール、好ましくはグリセロール、プロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、プルロニック(pluronic)及びマルチトールの少なくとも1つから選択される。特定の実施態様において、可塑剤はグリセロールである。別の実施態様において、可塑剤は、(C10-C20)-アルキルカルボキシレート、アルキレンカルボキシレート、アルキルエーテルカルボキシレート、脂肪アルコールサルフェート、脂肪アルコールエーテルサルフェート、アルキルアミドサルフェート及びスルホネート、脂肪酸アルキルアミドポリグリコールエーテルサルフェート、アルカンスルホネート、ヒドロキシアルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、イセチオネートのアシルエステル、アルファ‐スルホ脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルフェノールグリコールエーテルスルホネート、スルホコハク酸、スルホコハク酸モノエステル及びジエステル、脂肪アルコールエーテルフォスフェート、タンパク質/脂肪酸縮合生成物、アルキルモノグリセリドサルフェート及びスルホネート、アルキルグリセリドエーテルスルホネート、脂肪酸メチルタウリド、脂肪酸サルコシネート、スルホリシノレート、アシルグルタメート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤である。特定の実施態様において、可塑剤はラウリル硫酸ナトリウムである。可塑剤は、カプセルの総シェル固形物に対して約0.1から約20重量%の量で存在してもよい。
【0009】
溶解促進剤は、好ましくは、マルトース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、グルコン酸ラクトン、キシリトール、マルチトール、及びイソマルトの少なくとも1つから選択され、カプセルの総シェル固形物に対して約0.1から約35重量%の量で存在してもよい。
【0010】
本発明はさらに、プルランを含む経口溶解カプセルを含み、該カプセルは患者の口腔内で30秒未満の標準化されたブレークスルー(breakthrough)を有する。本発明はまた、プルランを含む経口溶解カプセルを提供し、前記カプセルは37℃の水中で25秒未満、あるいは約20秒未満;約18秒未満;約15秒未満;約13秒未満;または約11秒未満の標準化されたブレークスルー時間を有する。
【0011】
本発明はさらに、約70‐85重量%のプルラン、約5‐10重量%のグリセリン、約5‐10重量%のポリデキストロース、約5‐10重量%のマルトース及び約0.5‐2重量%のアセサルフェームを含むカプセル製剤を含む。
【0012】
本発明はさらに、約70‐85重量%のプルラン、約5‐10重量%のグリセリン、約5‐1-重量%のポリデキストロース、及び約10‐20重量%のソルビトールを含むカプセル製剤を含む。
【0013】
さらに提供されるものには、プルラン、1以上の可塑剤、及び1以上の溶解促進剤を含む硬質カプセルシェルを含む医薬組成物がある;ここで、硬質カプセルシェルは、1以上の医薬品及び1以上の賦形剤を含むカプセル充填製剤で充填される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】様々なカプセル製剤に対する37℃での平均的なカプセル崩壊時間を示す図である。
【図2】25℃及び37℃での市販のCapsugel NPcaps(登録商標)カプセルと比較した処方Aカプセルに対する平均的なカプセル崩壊時間を示す図である。
【図3】37℃での市販のCapsugel NPcaps(登録商標)カプセルと比較した処方Aカプセルに対する平均的なカプセル溶解プロファイルを示す図である。
【図4】腸溶性コーティングされた実施例11のカプセル(20JLH49)からの、同様に腸溶性コーティングされた市販のCapsugel(登録商標)ゼラチンカプセルと比較しての、カフェインの放出を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、プルラン、1以上の可塑剤、及び1以上の溶解促進剤を含む、速溶性のカプセルまたはフィルム容器(receptacle)を対象とする。速溶性プルランカプセルまたはフィルム容器は、患者に1以上の医薬品を迅速に投与するために使用してもよい。本発明は、カプセル充填製剤中に、治療上有効量の1以上の医薬品をカプセルが含有することを意図する。
【0016】
用語「治療上有効量」は、疾患の進行を総合的にまたは部分的に治療し、あるいは疾患の1以上の症状を少なくとも部分的に軽減する医薬品の量を記載するために使用される。治療上有効量はまた、予防に有効な量であってもよい。治療に有効な量は、患者の大きさや性別、治療されるべき疾患、疾患の重篤度及び求める結果に依存するであろう。所定の患者及び疾患に対しては、治療上有効量は当業者に周知の方法によって決定される。
【0017】
用語:治療されるべき「患者」または「対象」は、好ましくは家庭用動物または家畜動物などの哺乳類である。より好ましくは、患者はヒトである。
【0018】
用語「崩壊する」は、部分、またはゆるい凝集に壊れることを指す。従って、カプセルは完全に溶解する前に崩壊してその内容物を放出してもよい。崩壊時間はブレークスルー時間に相当する。
【0019】
用語「完全に溶解する」は、固体の状態から完全に液体である溶液に変化することを意味する。用語「溶解する」は、溶解の割合を指すものとして解釈されてもよい;例えば用語「70%の溶解」の使用は、30%の固体及び70%の溶液であるカプセルシェルまたはフィルム組成物を指す。
【0020】
用語「カプセル」は硬質シェル医薬カプセルを指す。カプセルは、医薬品及びカプセル充填製剤の充填のためにカプセル充填機器類における使用のために適合可能であってもよい。カプセルはボディー部分とキャップからなる。
【0021】
用語「経口溶解カプセル」は、カプセルを摂取するために噛んだりまたは液体を飲む必要なしに、患者の口腔中の唾液に崩壊するカプセルを指す。
【0022】
プルランは、デンプンシロップ上で特定の酵母を生育させることにより細胞外に産生される、天然で、粘性のある、水溶性多糖である。プルランは、真菌であるAureobasidium pullulansによりデンプンの発酵工程を介して産生されることが可能である。特に、プルランは、マルトトリオース単位からなる多糖の線状ポリマーである。マルトトリオースの3つのグルコース単位はα‐1,4グリコシド結合により連結され、連続したマルトトリオース単位はα‐1,6グリコシド結合により互いに連結される。プルランは食用性の、ほとんど無味のポリマーである。
【0023】
一態様において、プルランは、約50から500kDaの間、約100から400kDaの間、約150から300kDaの間、そして好ましくは約180から250kDaの間の分子量を有する。他の態様において、分子量は約50kDaを超えて、約100kDaを超えて、約150kDaを超えて、または約200kDaを超える。
【0024】
一態様において、硬質カプセルシェルは、カプセルの総シェル固形物の約50から約99重量%のプルランを含む。さらなる態様において、容器は、約60から90重量%のプルラン、または70から80重量%のプルランを含む。
【0025】
プルランに加えて、本開示の硬質カプセルはさらに1以上の可塑剤及び1以上の溶解促進剤を含む。これらの添加剤は、それらの物理的な性質を制御するためにシェル中に含まれる。
【0026】
可塑剤はシェルの軟性または柔軟性を制御するために添加される。特定量の可塑剤を添加して、シェルが過度に脆弱になることを避ける。一態様において、可塑剤はグリセロール、プロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、プルロニック及びマルチトールからなる群から選択されるポリオールである。特定の態様において、可塑剤はグリセロールである。一態様において、可塑剤はカプセルの総シェル固形物の約0.1重量%から約20重量%でカプセルシェル中に存在する。特定の態様において、可塑剤は該カプセルシェル固形物の約5から約10重量%である。
【0027】
溶解促進剤は、口腔内で、または水中で、カプセルまたはフィルムの崩壊を促進し、及び/または溶解の速度を上昇させるために添加される。溶解促進剤はマルトース、ラクトース、ソルビトール、グルコン酸ラクトン、マンニトール、キシリトール、マルチトール及びイソマルトから選択してもよい。一態様において、溶解促進剤は該カプセルシェル固形物の約0.1重量%から約35重量%で存在する。
【0028】
一態様において、硬質カプセルシェルは任意選択でさらに補強剤を含む。補強剤はポリデキストロース、セルロースまたはその誘導体、マルトデキストリン、グアーガム、ゼラチン、アルギン酸塩、及びアラビアゴムからなる群から選択される。補強剤はカプセルシェルの重量の約0から約20重量%で存在する。特定の態様において、補強剤はポリデキストロースである。
【0029】
一態様において、硬質カプセルシェルは任意選択でさらに1以上の甘味剤を含む。甘味剤は固体の天然または合成の甘味剤から選択してもよい。天然の糖はスクロース、デキストロース、フルクトース、ラクトース、マルトース、グルコースシロップ、転化糖、及び加水崩壊ラクトースから選択してもよい。合成甘味剤はアスパルテーム、チクロ、サッカリン、アセサルフェーム塩、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、スクラロース、アリテーム、アステビア(astevia)、タリン、グリチルリシン(glcyrrhizin)、タウマチン、キシリトール、及びこれらの混合物から選択してもよい。本明細書で使用される用語:サッカリンにはサッカリンそれ自身、サッカリン酸、及びサッカリンナトリウムなどのサッカリン塩が含まれる。一態様において、甘味剤はアセサルフェームKである。甘味剤はカプセルシェルの重量の約0から約5重量%で存在する。
【0030】
一態様において、硬質カプセルシェルは任意選択でさらに1以上の香味剤を含む。使用してもよい香味剤には、天然及び人工的な香味料などの、当業者に周知の香味剤が含まれる。これらの香味剤は、合成の香味油及び香りのある芳香族化合物及び/または油、植物、葉、花、果物由来の含油樹脂及び抽出物など、及びこれらの組合せから選択してもよい。非制限的な代表的な香味油には、スペアミント油、シナモン油、ウィンターグリーン油(サリチル酸メチル)、ペパーミント油、クローブ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、オールスパイス油、セージ油、メース油、苦扁桃油、及びカッシア油が含まれる。さらに有用な香味剤は、人工的な、天然の及び合成の果実フレーバーであって、例えばバニラなど、及び以下に制限されないが、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツを含む柑橘類の油、及びリンゴ、西洋梨、桃、ブドウ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、アプリコットなどを含む果実エキスがある。これらの果実剤は液体または固体の形態で使用してもよく、個々的にまたは混合して使用してもよい。一般的に使用される香味剤には、ペパーミント、メンソール、人工的なバニラ、シナモンの誘導体などのミント、及び様々な果実フレーバーが、個々的にまたは混合して使用されるかに関わらず、含まれる。アルデヒド及びエステルであって例えば、シンナミルアセテート、桂皮アルデヒド、シトラールジエチルアセタール、ジヒドロカルビルアセテート、オイゲニルホルメート、p-メチルアミゾール(p-methylamisol)などを含むその他の有用な香味剤を使用してもよい。香味剤はカプセルシェル固形物の約0から約5重量%で存在する。
【0031】
一態様において、硬質カプセルシェルは任意選択でさらに1以上の唾液分泌促進剤を含む。1以上の唾液分泌促進剤を任意選択でカプセルシェルに添加することが可能である。複数の唾液分泌促進剤が米国特許第4,820,506号に記述され、参照により本明細書に取り込まれる。制限はされないが、唾液分泌促進剤には特定の有機酸及び甘味剤が含まれる。有機酸の唾液分泌促進剤には、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸及び酒石酸が含まれる。好ましい有機酸はクエン酸、リンゴ酸及びアスコルビン酸である。唾液分泌促進剤としての使用に関して最も一般的な甘味剤は糖であって、例えばグルコース、デキストロース、フルクトース、ラクトース、マルトース、キシロース、スクロース、コーンシュガーシロップ、及びその他の甘味のモノ-またはジ-の単糖類や、人工的な甘味剤であって、例えばアセサルフェーム、アスパルテーム、サッカリンなどや、キシリトール及びその他のポリオールがある。唾液分泌促進剤として使用することで知られている好ましい甘味剤には、マルトース、アセサルフェーム、アスパルテーム及びサッカリンが挙げられる。カプセルシェル中の唾液分泌促進剤の量は約0から約15重量%である。一態様において、唾液分泌促進剤はカプセルシェルの重量の約0.1重量%から約5重量%で存在する。
【0032】
一態様において、硬質カプセルシェルは任意選択でさらに1以上の着色剤及び乳白剤を含む。着色剤には、例としてであって非制限的なものとして、二酸化チタン、タルク、FD&C Red No.3、FD&C Red No.20、FD&C Yellow No.6、FD&C Blue No.2、FD&C Green No.5、FD&C Orange No.5、FD&C Red No.8、キャラメル、酸化鉄、その他のFD&C染料、レーキのような化合物、並びにブドウの皮の抽出物、赤カブの粉末、ベータカロチン、アンナット、カルミン、ターメリック、パプリカなどの天然の着色剤並びに当該技術分野において周知のその他の物質が挙げられる。使用される着色剤の量は所望により変化するであろう。
【0033】
乳白剤には、コーティングを不透明にするために使用される化合物が挙げられる。乳白剤は単独または着色剤と組み合わせて使用してもよい。かかる化合物には、例としてであって非制限的なものとして、二酸化チタン、タルク及び当該技術分野において周知のその他の物質が挙げられる。
【0034】
一態様において、プルランカプセル製剤は、医薬品の迅速な送達のために、患者の口腔内で唾液中で迅速な崩壊性及び溶解性を示す。かかるカプセルは、一杯の水を飲み込んだり、または消費しなければならないこともなしに、薬剤の送達のためのプラットフォーム(platform)を提供する。一態様において、該カプセルは、患者の口腔内で30秒未満で崩壊する。
【0035】
他の態様において、プルランカプセルは水中で迅速な崩壊性及び溶解性を示す。かかるカプセルは、体腔内で飲用行動または摂取を介して、摂取用の水との内容物の迅速な混合のためのプラットフォーム(platform)を提供する。一態様において、硬質カプセルは25秒未満で37℃の水中に崩壊する。37℃での市販の及び従来的なカプセルと比較しての本発明の特定の実施態様用崩壊データを図1に示す。25℃及び37℃の両方での市販のCapsugel NPcaps(登録商標)カプセルと比較しての処方Aの崩壊時間を図2に示す。
【0036】
一態様において、硬質カプセルの70%が5分未満で37℃の水中に溶解する。37℃での市販のCapsugel NPcaps(登録商標)カプセルと比較しての処方Aの溶解時間を図3に示す。
【0037】
他の態様において、カプセルはさらに胃腸管に送達するための腸溶性コーティングを含む。この態様において、該カプセルは胃のpHからの保護のために腸溶性コーティングされ、小腸に入るとすぐに、内容物の迅速な送達を提供する。一態様において、包装手段は製剤処方を含み、医薬品の、迅速な、経口の、口腔の、舌下の、歯肉の、咽頭の、経鼻の、洞の、眼の、直腸の、または膣内の投与のために使用される。
【0038】
他の態様において、カプセルシェルは約50から150ミクロン、80から120ミクロン、90から110ミクロン、及び好ましくは95から105ミクロンの間の厚さを有する。
【0039】
一実施態様において、カプセルは、小腸内の1以上の医薬品の迅速な送達のために腸溶性コーティングされる。腸溶性コーティング層は、標準的なコーティング技術を用いてプルランを含む製剤上に適用してもよい。腸溶性コーティング材料は有機または水性溶媒中に溶解または分散させてもよく、1以上の以下の物質を含んでもよい:メタクリル酸コポリマー(例えばEudragit)、セラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルローストリメリト酸、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、セルローストリアセチルフタレート、ナトリウムセルロースアセテートフタレート、セルロースエステルフタレート、セルロースエーテルフタレート、メチルセルロースフタレート、セルロースエステル‐エーテルフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレートのアルカリ塩、セルロースアセテートフタレートのアルカリ土類塩、セルロースアセテートフタレートのカルシウム塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートのアンモニウム塩、セルロースアセテートヘキサヒドロフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート、及びポリビニルアセテートフタレート、またはその他の適当な腸溶性コーティングポリマー。腸溶性物質は周期的にアップデートされるRemington’s Pharmaceutical Sciences において論じられている。
【0040】
腸溶性コーティングが溶解するpHは、選択したポリマーまたはポリマーの組み合わせ及び/またはペンダント基の比率によって制御され得る。例えば、ポリマーフィルムの溶解特性はエステル基に対する遊離型のカルボキシル基の割合によって変化され得る。腸溶性コーティング層はまた、トリエチルシトレート、ジブチルフタレート、トリアセチン、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、またはその他の可塑剤などの医薬的に許容可能な可塑剤をも含有する。分散剤、着色剤、抗接着剤及び消泡剤などの添加剤もまた含んでもよい。腸溶性コーティングは圧縮コーティング、成型、スプレー法、ディッピング法、及び/または空気懸濁、または空気混和法によって適用してもよい。
【0041】
腸溶性コーティングを適用する1つの方法は、パンコーティングによるものであり、ここで、該腸溶性コーティングは回転パンの混和に伴ってカプセル上に腸溶性組成物をスプレーすることによって適用される。腸溶性コーティングを適用する他の方法は、流動床コーティングによるものである。腸溶性コーティング物質を、有機溶媒、水性溶媒、あるいは有機溶媒及び水性溶媒の混合物を含む溶媒を使用することによってカプセルに適用してもよい。腸溶性コーティングを適用する際に適切な例示的な溶媒には、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化溶媒、脂環式化合物の溶媒、芳香族化合物の溶媒、複素環式化合物の溶媒、水性溶媒、及びこれらの混合物が含まれる。好ましい実施態様では、腸溶性コーティングは、水性分散体でのアクリルベースまたはポリ(ビニルアセテート)フタレートベースのコーティングポリマーからなる。好ましい実施態様において、コーティングは、最終剤形の約5から15%の厚みを有する。
【0042】
本開示は、さらに、プルラン、1以上の可塑剤、及び1以上の溶解促進剤を含む速溶性フィルムを提供する。フィルムは医薬品の送達のために、容器(receptacle)またはエンベロープ(envelope)を形成させるために使用される。フィルムは、本明細書で記述されるフィルムブレークスルー試験を用いて、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、または7秒未満の、標準化した100ミクロンフィルムの水性フィルムブレークスルー時間を示す。更なる別の態様において、本明細書に記述される試験を利用してカプセルより試験化合物としてのDipac(登録商標)糖の完全な放出のために、容器は100、95、90、85、80、75、70、65、60、55または50秒未満の、標準化した100ミクロンのフィルム水性放出時間を示すカプセルである。内容物は、好ましくは、患者の口腔、鼻腔、直腸、眼、または膣中に容器を置いてから約7から20秒の間に放出され始める。
【0043】
本開示は、さらに、硬質カプセルシェルを含む医薬組成物を提供し、該カプセルシェルはプルラン、1以上の可塑剤、及び1以上の溶解促進剤を含み、ここで、該硬質カプセルシェルは1以上の医薬品及び1以上の賦形剤を含むカプセル充填製剤によって充填される。
【0044】
一実施態様において、カプセルシェルは約65から99重量%のプルラン、0.1から10重量%のグリセリン、0.1から20重量%のポリデキストロース、0から20重量%のマルトース及び0から5重量%の甘味剤を含む。別の実施態様において、マルトースはソルビトールで置換される。別の実施態様においてマルトースはラクトースで置換される。ある特定の実施態様では、カプセルの総シェル固形物の割合に対して、76重量%のプルラン、7.6重量%のグリセリン、7.6重量%のポリデキストロース、7.6%のマルトース、及び0.8%の甘味剤を含むカプセルシェルが提供される。別の特定の実施態様において、71重量%のプルラン、7重量%のグリセリン、7重量%のポリデキストロース、及び14重量%のソルビトールを含むカプセルシェルが提供される。
【0045】
カプセル充填製剤
カプセル充填製剤は1以上の医薬品及び1以上の賦形剤を含む。カプセル充填製剤中に使用される例示的な医薬品は、以下に制限されないが、以下の1以上から選択される:
【0046】
以下に限定されないが、ニトログリセリン、二硝酸イソソルビド及び一硝酸イソソルビドなどの有機硝酸塩;硫酸キニジン;プロカインアミド;ベンドロフルメチアジド、クロロチアジド、及びハイドロクロロチアジドなどのチアジド;ニフェジピン;ニカルジピン;チモロール、及びプロプラノロールなどのアドレナリン遮断薬;ベラパミル;ジルチアゼム;カプトプリル;クロニジン;及びプラゾシンなどを含む、心臓作用薬;
【0047】
以下に限定されないが、ニトログリセリン、二硝酸イソソルビド、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラット、キナプリル、リシノプリル、ラミプリル、ロサルタン、アムリノン、リノン(linnone)、ベスネリノン(vesnerinone)、ヒドララジン、ニコランジル、プロザシン、ドキサゾシン、ブナゾシン、タルヌロシン、ヨヒンビン、プロパノロール、メトプロロール、ナドロール、アテノロール、チモロール、エスモロール、ピンドロール、アセブトロール、ラベタロール、フェントールアミン、カウェジロール、ブシンドロール、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピン、及びドブタミン、またはクエン酸シルディナフィル(バイアグラ)のような性的不全薬を含む心臓作用薬;
【0048】
以下に限定されないが、アセタゾラミド、ジクロルフェンアミド、メタゾールアミド、フロセミド、ブメタニド、エタクリン酸トルセイムド、アゾセミド、ムゾールイミン、ピレタニド、トリプアミド、ベンドロフルメチアジド、ベンズチアジド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、トリクロルメチアジド、インダプアミド、メトラゾン、キネタゾン、アルニロリド、トリアムテレン、スピロノラクトン、カンレノン、及びカンレノアートカリウムを含む利尿薬;
【0049】
テストステロン;メチルテストステロン、及びフルオキシメステロンなどのアンドロゲン性ステロイド;
【0050】
抱合型エストロゲン、エステル化エストロゲン、エストロピペート、17‐ベータエストラジオール、17‐ベータ‐エストラジオールバレラート、エキリン、メストラノール、エストロン、エストリオール、17‐ベータ‐エチニルエストラジオール、及びジエチルスチルベストロールなどのエストロゲン;
【0051】
プロゲステロン、19‐ノルプロゲステロン、ノルエチンドロン、ノルエチンドロンアセタート、メレンゲストロール、クロルマジノン、エチステロン、メドロキシプロゲステロンアセタート、ヒドロキシプロゲステロンカプロアート、エチノジオールジアセタート、ノルエチノドレル、17‐アルファヒドロキシプロゲステロン、ジドロゲステロン、ジメチステロン、エチニルエストレノール、ノルゲストレル、デメゲストン、プロメゲストン、及びメゲストロールアセタートなどの黄体ホルモン薬;
【0052】
ブプレノルフィン、ナロキソン、ハロペリドール、フルフェナジン、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、コデイン、リドカイン、テトラカイン、ジクロニン、ジブカイン、コカイン、プロカイン、メピバカイン、ブピバカイン、エチドカイン、プリロカイン、ベンゾカイン、フェンタニル、及びニコチンなどの、例えば鎮静剤、抗鬱剤、鎮痛剤、抗不安剤及び麻酔剤のような中枢神経系薬;
【0053】
エトミダート、ケタミン、プロポホール、及びベノジアザピン(例えば、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、クロレゼパート、ハラゼパム、フルラゼパルン、クアゼパム、エスタゾラム、トリアゾラム、アルプロゾルム、ミダゾラム、テマゼパム、オキサゼパム、ロラゼパム)、ベンゾカイン、ジクロニン、ブピバカイン、エチドカイン、リドカイン、メピバカイン、プロモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパルカイン、ロピバカイン、及びテトラカインなどの麻酔薬。他に有用な薬にはアモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタルビタールメホバルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバキスビタール、チオペンタール、パラール、クロラール水和物、エトクロルビノール、クルテトイミド、メチプリロン、エチナマート、及びメプロバルナートを挙げてもよい;
【0054】
トラジン、セレンチル、メラリル、ミラジネチンダール、ペルミチル、プロリキシン、トリラホン、ステラジン、スプラジン、タラクタン、ナバン、クロザリル、ハルドール、ハルペロン、ロキシタン、モバン、オラプ、リスペルダール、アルプラゾラム、コルジアゼポキシド、クロネゼパム、クロレゼパート、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、ブスピロン、エラビル、アナトラニル、アダピン、シネクアン、トフラニル、スルモンチル、アセンジン、ノルプラミン、ペルトフラン、ルジオミル、パメロル、ビバクチル、プロザク、ルボキス、パキシル、ゾロフト、エフェキソル、ウェルブトリン、セルゾン、デシレル、ナルジル、パルナート、及びエルデプリルなどの精神治療薬;
【0055】
シスプラチン(CDDP)、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、イホスフアミド、メルファラン、クロランブシル、ビスルファン、ニトロソ尿素、ダクチノマイシン:ダウノウビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、タキソール、トランス白金、5‐フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、及びメトトレキサート、またはそれらの任意のアナログもしくは誘導体の変異体などの癌化学療法薬;
【0056】
ヒドロコルチゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、トリアムシノロン、メドリソン、プレドニゾロン、フルランドレノリド、プレドニゾン、ハルシノニド、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、ハルシノニド、メチルプレドニゾロン、フルドロコルチゾン、コルチコステロン、パラメタゾン、ベタメタゾン、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、フェンブフェン、フルルビプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、スプロフェン、インドメタシン、ピロキシカム、アスピリン、サリチル酸、ジフルニサール、メチルサリチラート、フェニルブタゾン、スリンダク、メフェナム酸、メクロフェナマートナトリウム、トルメチンなどの抗炎症薬;
【0057】
ジフェンヒドラミン、ジルネンヒドリナート、ペルフェナジン、トリプロリジン、ピリルアミン、クロルシクリジン、プロメタジン、カルビノキサミン、トリペレンアミン、ブロムフェニラミン、ヒドロキシジン、シクリジン、メクリジトル、クロルプレナリン、テルフェナジン、及びクロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン薬。他の抗ヒスタミン薬は、以下に制限されないが、シメチジン、ラニチジン、ジフェニドラミン、プリルアミン、プロメタジン、クロルフェニラミン、クロルシクリジン、テルフェナジン、カルビノキサミンマレアート、クレマスチンフマラート、ジフェンヒドラミンヒドロクロリド、ジメンヒドリナート、プリルアミンマレアート、トリペレンアミンヒドロクロリド、トリペレンアミンシトラート、クロルフェニラミンマレアート、ブロムフェニラミンマレアート、ヒドロキシジンパモアート、ヒドロキシジンヒドロクロリド、シクリジンラクタート、シクリジンヒドロクロリド、メクリジンヒドロクロリド、アクリバスチン、セチリジンヒドロクロリド、アステミゾール、レボカバスチンヒドロクロリド、及びロラタジンによって代表される;
【0058】
シメチジン、ラニチジン、ニザチジン、ファモチジン、オメプラゾール、ビスマス制酸薬、メトロニダゾール制酸薬、テトラサイクリン制酸薬、クラリスロマイシン制酸薬、アルミニウム、マグネシウムの水酸化物、重炭酸ナトリウム、重炭酸カルシウム及び他の炭酸塩、ケイ酸塩、及びリン酸塩;
【0059】
テオフィリン及びベータアドレナリン作動薬であって、例えばアルブテロール、テルブタリン、メタプロテレノール、リトドリン、カルブテロール、フェノテロール、キンテレノール、リミテロール、ソルメファモール、ソテレノール、トレトキノールなどの呼吸器系薬;
【0060】
ドーパミン、ノルエピネフリン、フェニルプロパノールアミン、フェニレフリン、偽エフェドリン、アンフェタミン、プロピルヘキセドリン、エピネフリンなどの交感神経作用薬(sympatholnimetics);
【0061】
ピロカルピンなどの縮瞳薬、コリン、アセチルコリン、メタコリン、カルバコール、ベタネコール、ピロカルピン、ムスカリン、及びアレコリンなどのコリン作動薬;
【0062】
アトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、メトスコポラミン、ホマトロピンメチルブロミド、メタンテリン、シクロペントラート、トロピカミド、プロパンテリン、アニソトロピン、ジシクロミン、オイカトロピンなどの抗ムスカリン性またはムスカリン性コリン作動薬;
【0063】
アトロピン、シクロペントラート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、オイカトロピン、ヒドロキシアンフェタミンなどの散瞳薬。抗生物質などの抗感染症薬であって挙げられるものには、ペニシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、スルファセトアミド、スルファメタジン、スルファジアジン、スルファメラジン、スルファメチゾール及びスルフィソキサゾールなど;抗ウイルス薬であって挙げられるものには、イドクスウリジンなど;抗菌剤であって例えばエリスロマイシン及びクラリスロマイシンなど;及びその他の抗感染症薬であって挙げられるものにはニトロフラゾンなど。以下に限定されないが、送達させてもよい抗真菌剤には、ケトコナゾール、フルコナゾール、ナイスタチン、イトラコナゾール、クロミトラゾール、及びアムホテリシンBが挙げられる。以下に限定されないが、使用してもよい抗ウイルス薬には、アシクロビル、トリフルリジン、イドキソムジン、ホスカルネット、ガンシクロビル、ジドブジン、ジデオキシシトシン、ジデオキシイノシン、スタブジン、ファムシクロビル、ジダノシン、ザルシタビン、リフィマンタジン、及びサイトカインなどが挙げられる;
【0064】
抗菌剤であって、例えばナフィシリン、オキサシリン、バンコマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、リファンピン、シプロフロキサシン、広域ペニシリン、アモキシシリン、ゲンタマイシン、セフトリアゾキソン、セフォタキシム、クロラムフェニコール、クラブナート、スルバクタム、プロベネシド、ドキシサイクリン、スペクチノマイシン、セフィキシム、ペニシリンG、ミノサイクリン、プラクタマーゼ阻害剤;メジオシリン、ピペラシリン、アズトレオナム、ノルフロキサシン、トリメトプリム、セフタジジム、及びダプソンなど;
【0065】
体液性剤であって、例えばPGEI、PGE2‐α、及びPGF2‐α、PGEI類似体ミソプロストールなどの、天然及び合成の、プロスタグランジンなど;
【0066】
アトロピン、メタンテリン、パパベリン、シンナメドリン、メトスコポラミンなどの抗痙攣剤;
【0067】
抗鬱剤であって、例えばイソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミン、イミプラミン、アミトリプチリン、トリミプラミン、ドキセピン、デシプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、アモキサピン、マプロチリン、トラゾドンなど;
【0068】
インシュリン及びメトホルミンなどの抗糖尿病薬;
【0069】
デキストロアンフェタミン、メタンフェタミン、フェニルプロパノールアミン、フェンフルラミン、ジエチルプロピオン、マジンドール、フェンテンニンなどの食欲減退薬;
【0070】
デキストロメトルファン、ヒドロブロミド、レボプロポキシフェンナプシラート、ノスカピン、カルブクタペンタン、カラミフェン、クロフェジアノール、偽エフェドリンヒドロクロリド、偽エフェドリンスルファート、偽エフェドリン、ジフェンヒドラミン、グラウシン、フォルコジン、及びベンゾナタートなどの薬剤を含む充血除去剤及び鎮咳薬;
【0071】
アンタゾリン、メタピリレン、クロルフェニラミン、ピリルアミン、フェニラミンなどの抗アレルギー薬;
【0072】
レセルピン、クロルプロマジンなどの精神安定薬、及びアルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロラゼプタート、ハラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クロナゼパム、フルラゼパム、トリアゾラム、ロラゼパム、ジアゼパムなどの抗不安薬のベンゾジアゼピン;
【0073】
チオプロパザート、クロルプロマジン、トリフルプロマジン、メソリダジン、ピペルアセタジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、トリフルオペラジン、クロルプロチキセン、チオチキセン、ハロペリドール、ブロムペリドール、ロキサピン、モリンドンなどの抗精神病薬;
【0074】
フェニルエフシン、エフェドリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリンなどの充血除去剤;
【0075】
アスピリン、サリチルアミドなどの解熱剤;
【0076】
ジヒドロエルゴタルニン、ピゾチリンなどの抗片頭痛薬;
【0077】
クロルプロマジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、プロメタジン、トリエチルペラジン、トリフルプロマジン、及びトリルネプラジン、オンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、アザセトロン、ドラステロンなどの吐き気や嘔吐の治療薬;
【0078】
4‐アミノキノリン、アルファアミノ-キノリン、クロロキン、ピリメタミンなどの抗マラリヤ薬;
【0079】
ミソプロストール、オメプラゾール、エンプロスチルなどの抗潰瘍薬;
【0080】
成長(ホルモン)放出因子などのペプチド。レボドパ、カルビドパ、アマンタジン、アポモルヒネ、ブロモクリプチン、セレギリン(デプレニル)、トリヘキシフェニジルヒドロクロリド、ベンズトロピンメシラート、プロシクリジンヒドロクロリド、バクロフェン、ジアゼパム、ダントロレンなどの、パーキンソン病、痙攣及び急性筋けいれん用薬;
【0081】
鎮痛剤であって挙げられるものにはオピオイド及びその他の薬剤であって、例えばモルヒネ、メピジン、デンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ナプロキセン、イソコム、ミドリン、アキソタール、フィリナール、フレニリン、エルゴート及びエルゴートの誘導体(ウィグライン、カフェルゴート、エルゴスタット、エルゴマル、ジヒドロエルゴタミン)、イミトレキス、及びケトプロフェンなど;
【0082】
タモキシフェンまたはヒトの絨毛性ゴナドトロピンなどの抗エストロゲン剤または抗ホルモン薬;
【0083】
薬剤は、遊離塩基または酸の形態、または塩、エステルの形態、または任意の他の薬理学的に許容可能な誘導体、鏡像異性的に純粋な形態(pure form)、分子複合体の成分としての互変異性体であってよい。組成物中に取り込まれる薬剤の量は、特定の薬剤、所望の治療効果、及びデバイスが治療を提供するための期間に応じて変化する。薬剤は様々な賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、充填剤、流動補助剤(flow aid)、風味マスキング剤、吸収促進剤、界面活性剤、香味剤、唾液分泌促進剤及びその他の当業者に周知の製剤を用いて製剤化してもよい。
【0084】
一態様において、薬剤はビタミン、補酵素または栄養補助食品である。
【0085】
カプセル充填製剤はさらに1以上の賦形剤を含んでもよい。一態様において、賦形剤は、充填剤としてまたは浸潤剤としてであって、例えば海面活性剤、糖、及び/または等張化剤などとして、提供可能な水溶性ポリマーまたは糖などの親水性賦形剤である。水性媒体と接触すると、水が崩壊しているカプセル中に浸透して、カプセル充填剤中の水溶性賦形剤を溶解させる。さらなる任意選択の賦形剤には1以上の崩壊剤、流動剤、潤滑剤及び風味マスクキングのためのフィルムコーティングが挙げられる。
【0086】
当業者であれば、投与されるべき薬剤、投与経路、用量、及び好ましい溶解速度などの様々な因子を考慮して、カプセル充填剤用薬剤組成物における使用のための、適切な賦形剤を選択可能である。例えば、賦形剤は、充填剤、放出調節剤、湿潤剤、等張化剤、またはこれらの組み合わせとして機能し得る。好ましい賦形剤には親水性ポリマー、湿潤剤及び糖が挙げられる。薬剤マトリックス中の賦形剤の量は、カプセル充填剤の重量に対して、約95重量%未満、より好ましくは約80重量%未満である。
【0087】
一実施態様において、親水性ポリマーは本明細書に記述される薬剤組成物中に使用することが可能である。親水性ポリマーには、合成と天然のポリマーのいずれもが、生物非崩壊性または生物崩壊性のいずれかが挙げられる。代表的な合成ポリマーには、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリレート、ポリリジン、ポロキサマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、及びポリエチオキサゾリンが挙げられる。代表的な天然ポリマーには、アルブミン、アルギナート、ゼラチン、アカシア、キトサン、セルロースデキストラン、フィコール、デンプン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、ヒアルロン酸、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デアセチル化キトサン、デキストランスルファート及びこれらの誘導体が挙げられる。好ましい親水性ポリマーには、PEG、ポリビニルピロリドン、ポロキサマー、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0088】
特定のカプセル充填用薬剤組成物における使用のために選択される親水性ポリマーは、ポリマー分子量、ポリマー親水性、及びポリマー固有の粘度などの様々な因子に基づく。親水性ポリマーは充填剤または浸潤剤として使用することが可能である。
【0089】
カプセル充填薬剤組成物に使用することが可能である代表的な糖には、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、グルシトール、ズルシトール、イノシトール、アラビニトール;アラビトール、ガラクチトール、イジトール、アリトール、フルクトース、ソルボース、グルコース、キシロース、トレハロース、アロース、デキストロース、アルトロース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、スクロース、マルトース、ラクトース、ラクツロース、フコース、ラムノース、メレジトース、マルトトリオース、及びラフィノースが挙げられる。好ましい糖には、マンニトール、ラクトース、スクロース、ソルビトール、トレハロース、グルコースが挙げられ、オスモル濃度を提供し、あるいは多孔質の薬剤マトリックスまたはマトリックス内の薬剤微粒子の湿潤を提供するために調節される。
【0090】
湿潤剤は崩壊しているカプセル中への水の浸入を促進して、薬剤または薬剤の粒子の湿潤を促進することにより溶解を促進するために、カプセル充填薬剤組成物中に使用可能である。湿潤剤の代表的な例には、ゼラチン、カゼイン、レシチン(フォスファチド)、アカシアガム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ろう、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、セトマクロゴール1000などのマクロゴールエーテル)、ポリオキシエチレンキャスターオイルの誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、TWEEN(商標))、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンステアレートが挙げられる。コロイド様二酸化ケイ素、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、非結晶性セルロース、マグネシウムアルミニウムシリケート、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられる。チロキサポール(超イオンまたは三重子としても知られる、アルキルアリールポリエーテルアルコールタイプの非イオン性液状ポリマー)は他の有用な湿潤剤である。これらの湿潤剤のほとんどは既知の医薬賦形剤であり、American Pharmaceutical AssociationとThe Pharmaceutical Society of Great Britain(The Pharmaceutical Press, 1986)によって共同で刊行された、Handbook of Pharmaceutical Excipients中に詳細が記載される。
【0091】
好ましい湿潤剤には、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、チロキサポール、ポロキサマーであって例えばPLURONIC(商標)F68、F127、及びF108などの、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーであるものなど、及びポリキサミンであって例えばTETRONIC(商標)908(POLOXAMINE(商標)908としても知られる)などの、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドとエチレンオキシドの連続的な添加による四官能基のブロックコポリマーであるもの(BASFより入手可能)、デキストラン、レシチン、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステルであって、例えばスルホコハク酸ナトリウムのジオクチルエステルであるAEROSOL(商標)OT(American Cyanamidより入手可能)など、ラウリル硫酸ナトリウムであるDUPONOL(商標)P(DuPontより入手可能)、アルキルアリールポリエーテルスルフォネートであるTRITON(商標)X‐200(Rohm and Haasより入手可能)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであるTWEEN(商標)20及びTWEEN(商標)80(ICI Specialty Chemicalsより入手可能)、ポリエチレングリコールであるCarbowax3550及び934(Union Carbideより入手可能)、スクロースステアレート及びスクロースジステアレートの混合物であるCrodesta F-110、及びCrodesta SL-40(いずれもCroda Inc.より入手可能)、及びC18 H37 CH2 (CON(CH3) CH2 (CHOH)4 CH2 OH)2であるSA90HCOが挙げられる。
【0092】
特に有用である湿潤剤には、Tetronic908、Tween、Pluronic F-68及びポリビニルピロリドンが挙げられる。他の有用な湿潤剤には、デカノニル-N-メチルグルクアミド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド;n-デシル-β-D-マルトピラノシド;n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド;n-ドデシルβ-D-マルトシド;ヘプタノイル-N-メチルグルクアミド;n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド;n-ヘプチル-β-D-チオグルコシド;n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド;ノナノイル-N-メチルグルクアミド;n-オクチル-β-D-グルコピラノシド;オクタノイル-N-メチルグルクアミド;n-オクチル-β-D-グルコピラノシド;及びオクチル-β-D-チオグルコピラノシドが挙げられる。他の好ましい湿潤剤には、Olin-10Gまたは界面活性剤10-Gとしても知られる、p-イソノニルフェノキシポリ(グリシドール)がある(Olin Chemicalsより10Gとして市販されている)。2以上の湿潤剤を組み合わせて使用してもよい。
【0093】
カプセル充填用薬剤組成物には、1以上の等張化剤を含んでもよく、それには例えば塩(例えば、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)あるいは糖(例えばマンニトール、デキストロース、スクロース、またはトレハロースなど)があり、溶液にした場合に、薬剤が患者の体組織の細胞と生理学的に適合可能であるように、低張溶液の薬剤を等張に調節してもよい。等張化剤の種類及び量は、既知の技法を用いて当業者により選択可能である。
【0094】
一態様において、カプセル充填製剤は任意選択でさらに1以上の甘味剤を含む。甘味剤は、概して、最終封入生成物の約0.1重量%から約70重量%で封入生成物中に存在する。甘味剤は前記に表した1以上の甘味剤から選択される。本発明の主題は、また、封入生成物中の活性成分としての混合した甘味料を有することを企図する。
【0095】
一態様において、カプセル充填製剤は任意選択でさらに1以上の香味剤を含む。香味剤は最終封入生成物の約0.1重量%から約5重量%で封入生成物中に任意選択で存在する。香味剤は前記に表した1以上の甘味剤から選択される。
【0096】
一態様において、カプセル充填製剤は任意選択でさらに1以上の崩壊剤を含む。崩壊剤には、固形の剤形で使用される化合物が含まれ、固体塊の、より容易に分散または溶解するより小さな粒子への崩壊を促進させる。例としてであって制限されないが、例示的な崩壊剤には、コーンスターチ、ポテトスターチ、これらのゼラチン化前のデンプン及び加工デンプンなどのデンプン、甘味剤、ベントナイトなどの粘度、微結晶性セルロース(例えばAvicel)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロースで低級置換されたもの、コロイド様二酸化ケイ素、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、セルロースポリアクリリン(polyacrilin)カリウム(例えば、Amberlite)、アルギン酸塩、ナトリウムスターチグリコレート、ガム、寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤ、キサンタン、ペクチン、トラガカント、寒天、ベントナイト、ポリビニルピロリドン及び当該技術分野において周知のその他の物質が挙げられる。
【0097】
一態様において、カプセル充填製剤は、任意選択でさらに1以上の流動剤または流動促進剤を含む。流動促進剤は固体の投薬用製剤に使用される薬剤であり、固体塊の流動性を促進する。例示としてであり限定的ではないが、かかる化合物にはコロイド様シリカ、コーンスターチ、タルク、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド様シリコン、三塩基性リン酸カルシウム、シリコンヒドロゲル及び当該技術分野において周知のその他の物質が挙げられる。
【0098】
カプセル充填剤は任意選択で圧縮タブレット、ビーズ、微粒子、発泡剤及び/または顆粒を含むことが企図される。一態様において、カプセル充填製剤は任意選択でさらに1以上の潤滑剤を含む。潤滑剤は、固形剤形で使用される物質に含まれることにより、圧縮の間の摩擦を減少させる。例示としてであり限定的ではないが、かかる化合物にはオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、タルク、鉱油、ステアリン酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、及び当該技術分野において周知のその他の物質が挙げられる。
【0099】
一態様において、カプセル充填製剤はさらに任意選択の発泡剤を含む。発泡剤は、ポリエチレングリコール、サポニン、脂肪酸のスクロースエステル、ポリオキシルステアレート、ポリオキシエチレン水素化キャスターオイル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノステアラート、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノラウラート、ポリソルベート、グリセリルモノステアラート、ラウリル硫酸ナトリウム及びラウロマクロゴールから成る群の1以上から選択される。
【0100】
一態様において、圧縮タブレット、ビーズ、微粒子、及び/または顆粒を含む任意選択のカプセル充填剤はさらにカプセル充填剤の味のマスキングのためのフィルムコーティングを含んでもよい。例えば、Colorconから入手できるOPADRY(登録商標)などの市販の粉末混合物からコーティングを調製してもよく、それは典型的には、ヒプロメロース、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、並びに着色剤であって例えば二酸化チタン及び酸化鉄を含む。味マスクキングのために使用されるさらなるフィルムにはEudragits及びエチルセルロースベースのフィルムが挙げられる。
【実施例】
【0101】
[実施例1]
プルランフィルムの調製
この実施例において、安全(「GRAS」)な材料として一般に受け入れられている多様な材料を含むプルランフィルムを調製した。フィルムの物理的特性及びフィルムブレークスルー時間を測定した。
【0102】
水中に添加材料を溶解させ、続いて水中でプルラン粉末を懸濁させ、プルランが溶解するまで懸濁物を温めることによってフィルムを調製した。全ての実験で使用されるプルランは、Hayashibara Co., LTDより入手した200 Kダルトンの分子量を有することが報告されているプルランPI-20であった。この手順を混合用にスターバーを用いて250mlビーカー中で実施した。ビーカーを非加熱スタープレート上で混合した後、加熱スタープレートに移した。溶液を50mlのコニカルポリプロピレン遠心分離菅中に注ぎ、約1分間、Fisher Scientific Marathon Centrifugeで3000から4000rpmで遠心分離して、存在する気泡の除去を促進した。透明な溶液をプレートグラス上に注ぎ、プレート上1mmの距離でナイフエッジ(knife edge)を止めるようにセットした。フィルムを室温で乾燥させた。乾燥後、フィルムをプレートから除去して、柔軟性、透明度(clarity)、フィルムの厚み及び「フィルムブレークスルー」時間を測定した。
【0103】
実施例は全て3グラムのプルラン及び20グラムの水及び3もしくは0.3グラムの添加材料を使用した。
【0104】
柔軟性をフィルムのごく一部分を複数回それ自身折り曲げることにより測定した。もし破壊されない場合にはフィルムは柔軟であると判断された。もし壊れた場合にはもろいとして記載された。
【0105】
フィルムの厚みを、Mitutoyo社製Digimatic caliperを使用してフィルムブレークスルーテストを行うことにより、使用するフィルム上の複数個所で測定した。
【0106】
フィルムブレークスルー時間は、以下に記載される器具及び技法を使用して、37℃の水中に設置した場合の、1グラムのタブレットがフィルムを通り抜けるために必要とされる時間から測定した。
【0107】
器具に固定されたフィルムの2インチの四角形の領域を測定に使用し、フィルム中に小穴を開けて空気が抜け出ることを可能にし、タブレットを頂部に設置して、器具を水に入れ、フィルムの浸水の時間をタブレットが膜を通り抜けた時に測定した。なぜならば、フィルムの全てが同じ厚みであるわけではないから、100ミクロンの厚みのフィルム用時間を回数で標準化することにより、フィルムブレークスルー時間の補正を行った。調査した材料には、ポリビニルアルコール(PVA 85-38)、ポリデキストロース、マルトース、グルコン酸ラクトン、グアーガム、グリセリン、アルブミン、ナトリウムデンプングリコレート、ソルビトール、及びPluronic F-127が挙げられる。標準化したフィルムブレークスルー時間は、添加材料のないプルランフィルムのそれと比較された。プルラン単独と比較して標準化したフィルムブレークスルー時間が減少した材料を表1にまとめる。
【0108】
【表1】

【0109】
[実施例2]
添加材料の量の変化
表1で最早のフィルムブレークスルー時間を有した10のフィルムを、それぞれの添加材料についてより高濃度でさらに調査した。最初の調査はプルラン量の10重量%であり、第2の調査はプルラン量の20重量%を使用して実施した。全実験において水は20グラムでありプルランは3グラムであった。フィルムブレークスルー時間を100ミクロンの厚みのフィルム用に標準化した。結果を、以下の表2にまとめる。表1のデータを参照のために含める。
【0110】
【表2】

【0111】
フィルムの透明度を透明、半透明または不透明として決定した。透明‐フィルムの後ろの物体がはっきりと認識できる;半透明‐フィルムの後ろの物体が、フィルムの直ぐ近くにある場合を除いて認識することができない;不透明‐非常にわずかな光透過性。
【0112】
フィルムの観察は以下の通りであった。PVAを増加させると、良好な強度と柔軟性を有する半透明のフィルムが生じた。ポリデキストロースを増加させると、半透明のフィルムが生じたが、該フィルムはもろかった。マルトースを増加させると、同様なフィルムが生じたが、該フィルムはより薄くかつよりもろかった。グルコン酸ラクトンを増加させると、同様なフィルムが生じたが、該フィルムはもろく、濃度の増加に伴ってより厚くなった。グアーガムを増加させると、半透明のフィルムが生じたが、該フィルムは滑らかではなかった。グリセリンを増加させると、同様な標準化したフィルムブレークスルー時間を有する、より遥かに厚いフィルムが生じた。アルブミンを増加させると、フィルムがガラスに張り付いた。ナトリウムデンプングリコレートを増加させると、半透明のフィルムが生じたが、該フィルムは滑らかではなかった。より高量のソルビトールにより、より早い標準化したフィルムブレークスルー時間を有する、両側が滑らかである透明なフィルムが生じた。Pluronic F-127を増加させることにより、滑らかなろう状の感触を有する半透明であるフィルムが生じた。
【0113】
透明で、柔軟性があり、かつ滑らかであるフィルムのために、PVA、ポリデキストロース、グリセリン、マルトース、グルコン酸ラクトン、及びソルビトールが好ましい。粗い半透明のフィルムのために、グアーガム、アルブミン、ナトリウムデンプングリコレート及びPluronic F-127が好ましい。
【0114】
[実施例3]
添加材料の混合物
本研究では、以下の添加材料が、各プルランの量の10重量%での生じるフィルムの特性を決定するために一組にされた:(1)PVA及びグリセリン;(2)PVA及びソルビトール;(3)PVA及びポリデキストロース;(4)PVA及びマルトース;(5)PVA及びグルコン酸ラクトン;(6)ポリデキストロース及びグリセリン;(7)ポリデキストロース及びマルトース;(8)ポリデキストロース及びグルコン酸ラクトン;(9)ポリデキストロース及びソルビトール;(10)マルトース及びグリセリン;(11)グルコン酸ラクトン及びグリセリン;(12)ソルビトール及びグリセリン;(13)グルコン酸ラクトン及びソルビトール;(14)マルトース及びソルビトール;並びに(15)マルトース及びグルコン酸ラクトン。全ての実験において水は20グラムでありプルランは3グラムであった。フィルムブレークスルー時間は100ミクロンの厚みのフィルム用に標準化される。結果を表3にまとめる。
【0115】
【表3】

【0116】
最早のブレークスルー時間を有するフィルムはマルトース及びポリデキストロース、グリセリン及びマルトース、あるいはグリセリン及びポリデキストロースを含む。
【0117】
[実施例4]
プルラン並びにグリセリン、マルトース、及びポリデキストロースの組み合わせを含むフィルム
本実施例の目的は、3つの添加材料の変動を組み込むことによって、先の実施例中で最速のフィルムブレークスルー時間を与えることである。本調査では、グリセリン、ポリデキストロース及びマルトースの量を、プルラン量の10から20重量%に変化させた。フィルムブレークスルー時間を100ミクロンの厚みのフィルム用に標準化した。結果を表4にまとめる。
【0118】
【表4】

【0119】
表4におけるフィルムのうち、最良の特性(強固で、柔軟性があってもろくない)を有するものとして決定されたものはフィルム番号1、3、4及び7であった。
【0120】
[実施例5]
プルラン並びに変動量のグリセリン、マルトース及びポリデキストロースを含むフィルム
本実施例ではグリセリン、ポリデキストロース、及びマルトースの量をプルラン量の10から15%に変化させて、フィルムの特性を比較した。フィルムブレークスルー時間を100ミクロンの厚みのフィルム用に標準化する。結果を表5にまとめる。
【0121】
【表5】

【0122】
フィルムの全てが迅速なフィルムブレークスルー時間と許容可能な特性を有した。
【0123】
[実施例6]
プルランカプセルの調製
本実施例では、カプセルシェル用成型としてピンバーを用いてプロトタイプのカプセルを調製した。ステンレス鋼のピンをカプセルボディー用に7.50mm(0.295インチ)及びカプセルキャップ用に7.55mm(0.297インチ)の直径に機械加工した。ピンバーを非常に反射性を有する表面になるまで磨いた。これらのピンバーは標準番号0のカプセルのサイズに近い。
【0124】
カプセルボディー及びキャップを調製するための処方を表6に説明する。
【0125】
【表6】

【0126】
カプセル製造用溶液を調製するために使用される手順は以下の通りである。撹拌用プレート及びスターバーを用いてビーカー中の水中にグリセリン、ポリデキストロース及びマルトースを溶解させた。プルランを添加し、へらで撹拌して水中でプルランを懸濁させた。プルランが溶解しかつ温度が60℃を超えるまで懸濁物を加熱した。溶液を50mLのプラスチック製コニカル遠心分離菅中に注ぎ、約3,000 rpm以上で遠心分離して存在する気泡の除去を促進した。遠心分離菅をウォーターバス中に設置し、約65℃まで加熱した。次いでピンバーを溶液中に浸け、除去されかつ過剰な溶液を抜き取った。次いでピンバーをプレート上に直立に設置して乾燥させた。カプセルフィルムを最終的な長さよりも長いピンバーの周囲で切断し、余剰部分をピンバーから除去した。次いで、ピンバー周囲で膨張してかつピンと張ることができるように分離させたカプセルボディーまたはキャップを、Teflon洗浄機を用いて、ピンから押して取り外した。
【0127】
カプセルボディー及びキャップを(番号0のカプセルと同様の)長さに切断し、該ボディー及びキャップを連結させて最終的なカプセルを形成させる。いくつかのバッチ由来の結果により、60から120ミクロンの範囲にあるフィルムの厚みを有するカプセルを得た。
【0128】
カプセルは口腔で溶解するように設計されているので、カプセルシェルに対して心地よい甘味を提供することが望ましいと考えられた。一連のカプセルを、人工的な甘味剤であるアセサルフェームK(医薬品における使用のための強力な甘味剤)を組入れることによって調製した。処方を表7に記載する。
【0129】
【表7】

【0130】
カプセルシェルを前述のように調製した。カプセルを、糖を圧縮及び錠剤化してDiPac(登録商標)Directで充填し、カプセルからの糖の放出時間を37℃の水中で撹拌することなく測定した。全てのカプセルが、1分未満、通常は20から50秒の間で内容物の大多数を放出させた。
【0131】
[実施例7]
先行技術のプルラン製剤との比較
本実施例では、米国特許第3,784,390号(Hayashibara Biochemical Laboratories, Incorporated, Okayama-ken, Japan)の実施例16に従って調製されたカプセルのフィルムブレークスルー時間を、本発明に従って調製されたそれらと比較させた。
【0132】
米国特許第3,784,390号特許の実施例16には、3部の(平均分子量250,000)の7%のプルランA溶液を1部のゼラチン溶液と70℃で混合させたものを含む溶液が記載されている。従って、このことは、3部の、100グラムの水あたり7グラムのプルラン溶液、及び1部の、100グラムの水あたり20グラムのゼラチン溶液を含む溶液に相当する。
【0133】
米国特許第3,784,390号特許の実施例16の第一パラグラフで特定される物質のカプセルを調製する試みは、溶液がピンに接着するのに充分に粘性がなかったので成功しなかった。いくつかの試みを行い、ピン上の物質上に、加熱した空気を吹き付けたり、また、ピンを冷却して、水を蒸発させるために表面を吹きつけたがうまくいかなかった。さらに、この製剤でフィルムを成型させる試みは、サンプルが異成分から成り、ギャップを含み、完全性を欠いているために、失敗した。
【0134】
米国特許第3,784,390号特許の実施例16の第二部分は、等量のプルラン及びゼラチン溶液及び1%のマルチトールを使用した。使用した物質の濃度は与えられていなかった。しかし、該実施例の第一の部分と同じ濃度であると仮定すると、これは、4グラムのプルラン、4グラムのゼラチン、0.08グラムのマルチトール及び30グラムの水を含む溶液に相当する。
【0135】
米国特許第3,784,390号特許の実施例16の第二パラグラフで特定される物質のカプセルを調製する試みは、溶液がピンに接着するのに充分な粘性がなかったので成功しなかった。いくつかの試みを行い、ピン上の物質上に、加熱した空気を吹き付けたり、また、ピンを冷却して、水を蒸発させるために表面を吹きつけたがうまくいかなかった。
【0136】
この製剤でフィルムを成型させる試みもまた成功しなかった。表8の製剤1及び2に従って、より低量の水を含むさらなる追加の溶液を調製した。ゼラチンのタイプが特定されていなかったので、ゼラチンを洗浄した酸と塩基の両方を調査した。
【0137】
【表8】

【0138】
さらに、本発明の製剤である処方Aを表9の処方に従って調製した。
【0139】
【表9】

【0140】
処方Aカプセル製剤は、実施例12に示されるように、測定可能であると理解される。
【0141】
表8における製剤1、2、3及び4を調製するために、マルチトールを水に溶解しプルランをマルチトール溶液に70℃で分散及び溶解させた。ゼラチンを次いで添加して、サンプル中の気泡を除去するために遠心分離させ、生じた溶液中に溶解させた。米国特許第3,784,390号特許の実施例16の製剤とは対照的に、これらの製剤は約70℃でカプセルピン上に張り付くのに充分に粘性であった。しかし、乾燥して約100ミクロンとなる目標のカプセルフィルムの厚みを達成するには、ピンを複数回浸漬(dip)させなければならなかった。製剤1から4のカプセルは、不透明で粗く、そしてもろく、複数の小亀裂を有していた。さらに、製剤3及び4のキャストフィルムもまた製造したが、該フィルムは不透明でもろかった。表8の製剤1及び2からキャストフィルムを製造する試みは成功しなかった。
【0142】
表9に従って処方Aカプセル製剤を調製するために、プルランを除く全ての材料を水に溶解させた。次いでプルランをこの溶液中に分散させて、該溶液を約65℃まで加熱してプルランを溶解させた。物質を遠心分離させて、サンプル中の気泡の除去を促進した。製剤は65から70℃で充分に粘性であったので、乾燥後に、約100ミクロンのカプセルフィルムの厚みを製造するピン上に物質の層を提供できた。本発明のカプセルは透明でかつ柔軟性があり、本発明の製剤から製造したキャストフィルムも同様である。
【0143】
[実施例8]
フィルムのフィルムブレークスルー
フィルムブレークスルー調査を、本明細書に記載しかつ示したフィルムブレークスルー器具を用いて既に記述したのと同様の手順を用いて実施した。フィルムブレークスルー時間を100ミクロンのフィルムのそれ用に標準化させ、各フィルムに対して4回試験を繰り返した。結果を表10にまとめる。
【0144】
【表10】

【0145】
[実施例9]
プルランカプセルの予備的な内容物放出時間
テストカプセルをFormulation Sugar(Domino Specialty Ingredients)を圧縮してかつ錠剤化してDiPac(登録商標)Directで充填させた。放出試験をUSP溶解フラスコに水を満たして37℃で実施したが撹拌はしなかった。約0.5gの糖を各カプセルに添加した。
【0146】
充填させたカプセルを水中に落とし、それを浮かせてフラスコの壁まで移動させた。カプセルからのDiPac(登録商標)糖の完全放出時間を測定した。放出の標準時間を標準化させた(nominal)100ミクロンの厚みのコーティングに基づいて計算し、各製剤について試験を3回実施した。表11は放出調査の結果をまとめたものである。
【0147】
【表11】

【0148】
分離した一連の実験において、同様の放出試験を表8の製剤3及び4並びに製剤A(表9)由来のカプセルについて実施した。各製剤を6-8回試験した。結果を表12にまとめる。標準化したデータをカプセルの壁の厚みを利用して計算した。
【0149】
【表12】

【0150】
[実施例10]
口の中でのカプセルの溶解調査
カプセルをDiPac(登録商標)を用いて前述したように調製し、口の中でのカプセルの完全なフィルム溶解時間に伴って記されるDiPac(登録商標)糖の最初の放出時間を測定した。表13にその結果をまとめる。
【0151】
【表13】

【0152】
前述の例は、米国特許第3,784,390号に記載される手順を用いてのカプセルの調製物が、その低い粘性及びピンへの接着性の欠如のために、ピンのディッピング(dipping)手順を用いて調製することができなかったことを示す。カプセルは、ディッピング溶液中のゼラチン‐プルランのより高濃度を用いてかつ複数のディッピングを用いて調製することができた。最速に溶解したカプセルは本発明のカプセルであり、ゼラチンタイプBで調製されたカプセルがそれに続き、最も遅かったものはゼラチンタイプAのカプセルであった。
【0153】
[実施例11]
本発明の腸溶性コーティングされたカプセル及びCAPSUGELゼラチンカプセルの調製並びに薬剤放出時間の決定
カフェインをカプセルに添加するマーカー薬剤として選択した。50 gのDiPac(登録商標)Directly Compactable Sugar及び1.8 gのカフェインの混合物を混合し、各カプセル(製剤AまたはCAPSUGEL(登録商標)ゼラチン不透明、クリーム)を約518mgの混合物で充填させた。キャップをカプセルボディーの上に置き(いずれのカプセルもNo. 0のカプセルである)、Acryl-Eze(登録商標)アクリル腸溶性コーティングシステム(Colorcon)でコーティングした。表14は腸溶性コーティング溶液の材料を示す。
【0154】
【表14】

【0155】
コーティング溶液を激しく撹拌し、次いでゆっくりと一晩撹拌した。カプセルを中心カラム(center column)を用いてUniGlatt流動床塗装機中でコーティングした。約380 gのコーティング溶液を、本発明の6つのカプセル及びコーティング操作用充填剤として使用される500 gの高密度ポリエチレン液滴を有する6つのCAPSUGEL(登録商標)カプセル上に適用した。本発明のカプセルは平均して70.5mgのコーティングを示し、CAPSUGEL(登録商標)カプセルは平均して67.1mgのコーティングを含有した。
【0156】
【表15】

【0157】
放出速度調査を、USP溶解パドルシステム(USP dissolution paddle system)を50 rpm、900mLのSimulated Gatric Fluid(酵素なし、「SGF」)及び900mLのSimulated Intestinal Fluid(酵素なし、SIF)を用いて、37℃で実施した。連続フローシステムを使用して1分のインターバルで3時間以上にわたり272 nm(カフェインの吸光度)をモニターした。カプセルを20メッシュ(mesh)のステンレス鋼のスクリーンの円筒状のケージ(1cm 直径×3 cm長)中に設置した。
【0158】
放出速度調査をUSP溶解パドルシステムを用いて37℃で実施した。カプセルを最初の2時間SGFにさらし、次いでSIF媒体にケージを移動させた。
【0159】
各カプセルに対して3回の運転を実施し、その結果をカプセルがSGF中にあった時間について図4に表す。カプセルがSGF中にあった2時間は吸光度に変化は観察されなかったので、コーティングの完全性が実証された。本発明の腸溶性コーティングされたカプセルから放出が開始されるカフェインの平均時間は約18分であり、CAPSUGEL(登録商標)カプセルからの放出の時間よりも早い。
【0160】
[実施例12]
カプセル崩壊時間:先行技術のカプセルとの比較
カプセルを、表9に記載されるように、プルラン(106.5 g)、グリセリン(10.65 g)、ポリデキストロース(10.65 g)、マルトース(10.65 g)及びアセサルフェームK(1.065 g)を用いて、処方Aカプセル製剤を用いて調製した。他のカプセル製剤を、記載される以外は同じ処方を用いて調製した。例えば、マルトースの量を変化させ、あるいはマルトースを記載されるソルビトールもしくはラクトースで置換させた。カプセルを、プルラン(106.5 g)、グリセリン(10.65 g)、ポリデキストロース(10.65 g)及びソルビトール(21.3 g)を用いて処方Bカプセル製剤を用いて調製した。空のカプセルを23℃の、56%の相対湿度のオーブン中で、プラスチック容器中に保存した。カプセルを充填する1週間から3ヶ月前に製造した。カプセルを崩壊調査を実施した日に充填した。カプセルを、マンニトール(Mannogem 2080)を用いて充填させた。各ボディー(それぞれ3回測定)及びキャップ(それぞれ2回測定)の厚み、空ボディー及びキャップの重量、及び充填させたカプセルの重量を測定した。USP崩壊法を使用した。記載されるように、崩壊媒体は37℃または25℃で900mLの水であった。白色マンニトール顆粒が最初にカプセルから放出されて、崩壊媒体中に浮く時間を観察することにより、ブレークスルー時間を視覚的にモニターした。6つのカプセルの崩壊時間を各カプセルの製剤に対して測定した。結果を表16A、B及びCに示す。
【0161】
【表16A】

【0162】
【表16B】

【0163】
【表16C】

【0164】
平均して、HPMCカプセルは2分と45秒で崩壊し、ゼラチンカプセルは1分30秒で崩壊し、及びCapsugel NPcaps(登録商標)カプセル(ゼラチンカプセルを擬態するように設計された市販のプルランカプセル)は43秒で崩壊した。処方Aカプセルの平均崩壊時間は14-23秒の範囲であり、約20秒であった。処方Bカプセルの平均崩壊時間は7-12秒の範囲であり、約9.17秒であった。添加されるその他の賦形剤が存在しないプルランのみで製造されたカプセルは平均して約27秒で崩壊した。
【0165】
第二の崩壊を、市販のCapsugel NPcaps(登録商標)カプセルと比較しての処方Aを用いて、25℃で行った。処方Aカプセル及びCapsugel NPcaps(登録商標)カプセルに対する25℃及び37℃での崩壊時間データを図2に示す。25℃及び37℃では、処方Aカプセルの崩壊は、Capsugel NPcaps(登録商標)カプセルのおよそ2倍の速さであった。
【0166】
[実施例13]
カプセル溶解:先行技術のカプセルとの比較
カプセルを、表9に記載されるように、プルラン(106.5 g)、グリセリン(10.65 g)、ポリデキストロース(10.65 g)、マルトース(10.65 g)及びアセサルフェームK(1.065 g)を用いて、処方Aカプセル製剤を用いて調製した。空のカプセルを23℃の、56%の相対湿度のオーブン中で、プラスチック容器中に保存した。カプセルを試験する1週間から3ヶ月前に製造した。カプセルを銅線で満たすことによりカプセルを重くして、カプセルが溶解用容器の底に沈むようにさせた。USP溶解パドル法を50 rpmで使用した。溶解媒体は37℃で900mLの水であった。溶解時間を、200 nmでのブランクに対して標準化させて、15秒ごとに200 nmでUV吸光度によりモニターした。データは3回運転させた処方Aカプセル及び2回運転させたCapsugel NPcaps(登録商標)カプセルの平均を含む。データを図3に示す。溶解の初速度は処方Aカプセルに対して1分あたり30%であり、NPカプセルに対して1分あたり6.9%であった。これは処方Aカプセルに対して4倍以上早い係数である。
【0167】
前述より、本発明が、本明細書において前述の通り説明した全ての目的(end及びobjective)を達成するために非常に適合されたものであり、本発明にとって自明でありかつ固有に備わっているその他の利点が伴われることが理解されるであろう。本発明の範囲から解離することなく、多くの可能な実施形態が本発明において為されるであろうが故に、本明細書において説明される本明細書中の全ての事項及び図が、例示としてであって制限される意味でないものとして解釈されると理解されるべきである。特定の実施態様が示されかつ議論される一方で、様々な改変が当然為されてよく、かつ本発明は、本明細書に記述される部分及び手段の特定の形態または態様には制限されないが、かかる制限が以下の請求項に含まれるようにする限りは除外される。さらに、特定の特徴及びサブコンビネーションが利用可能であって、他の特徴及びサブコンビネーションを参照することなしに採用され得ることが理解されるであろう。これは請求項によりかつ請求項の範囲内で企図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プルラン、可塑剤及び溶解促進剤を含む経口溶解カプセル。
【請求項2】
カプセルの総シェル固形物に対して、約60から約99重量%の量でプルランを含む請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記可塑剤がポリオールである請求項1に記載のカプセル。
【請求項4】
前記ポリオールがグリセロール、プロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、プルロニック及びマルチトールからなる群の少なくとも1つから選択される請求項3に記載のカプセル。
【請求項5】
前記可塑剤がグリセロールである請求項4に記載のカプセル。
【請求項6】
カプセルの総シェル固形物に対して、約0.1から約20重量%の量で可塑剤を含む請求項1に記載のカプセル。
【請求項7】
前記溶解促進剤がマルトース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、グルコン酸ラクトン、キシリトール、マルチトール、及びイソマルトの少なくとも1つから選択される請求項1に記載のカプセル。
【請求項8】
前記溶解促進剤がマルトース、ラクトース及びソルビトールの少なくとも1つから選択される請求項7に記載のカプセル。
【請求項9】
カプセルの総シェル固形物に対して、約0.1から約35重量%の量で溶解促進剤を含む請求項1に記載のカプセル。
【請求項10】
カプセルの総シェル固形物に対して、最高で約5重量%の甘味剤をさらに含む、請求項1に記載のカプセル。
【請求項11】
カプセルの総シェル固形物に対して、最高で約5重量%の香味剤をさらに含む、請求項1に記載のカプセル。
【請求項12】
カプセルの総シェル固形物に対して、最高で約5重量%の唾液分泌促進剤をさらに含む、請求項1に記載のカプセル。
【請求項13】
補強剤をさらに含む請求項1に記載のカプセル。
【請求項14】
前記補強剤がポリデキストロース、セルロース、セルロース誘導体、マルトデキストリン、グアーガム、ゼラチン、アルギン酸塩及びアラビアガムの少なくとも1つからなる群から選択される、請求項13に記載のカプセル。
【請求項15】
前記補強剤がポリデキストロースである請求項14に記載のカプセル。
【請求項16】
カプセルシェルの幅が約50から約200マイクロメートルの範囲にある、請求項1に記載のカプセル。
【請求項17】
患者の口腔内で30秒未満の標準化されたブレークスルーを有する、プルランを含む経口溶解カプセル。
【請求項18】
37℃で水中で25秒未満の標準化されたブレークスルー時間を有する、プルランを含む経口溶解カプセル。
【請求項19】
前記標準化されたブレークスルー時間が約20秒未満である請求項18に記載のカプセル。
【請求項20】
前記標準化されたブレークスルー時間が約18秒未満である請求項18に記載のカプセル。
【請求項21】
前記標準化されたブレークスルー時間が約15秒未満である請求項18に記載のカプセル。
【請求項22】
前記標準化されたブレークスルー時間が約13秒未満である請求項18に記載のカプセル。
【請求項23】
前記標準化されたブレークスルー時間が約11秒未満である請求項18に記載のカプセル。
【請求項24】
約70-85重量%のプルラン、約5-10重量%のグリセリン、約5-10重量%のポリデキストロース、約5-10重量%のマルトース及び約0.5-2重量%のアセサルフェームを含む請求項18に記載のカプセル。
【請求項25】
約65-75重量%のプルラン、約5-10重量%のグリセリン、約5-10重量%のポリデキストロース、及び約10-20重量%のソルビトールを含む請求項18に記載のカプセル。
【請求項26】
硬質カプセルシェルを含む医薬組成物であって、前記カプセルシェルが
i. プルラン、
ii. 1以上の可塑剤、及び
iii. 1以上の溶解促進剤
を含んでなり、ここで、前記硬質カプセルシェルが、1以上の医薬品及び1以上の賦形剤を含むカプセル充填製剤で充填される、医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−523594(P2010−523594A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502327(P2010−502327)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/059447
【国際公開番号】WO2008/124617
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(508176441)ユニバーシティ・オブ・カンザス (9)
【Fターム(参考)】