説明

プレイマット

【課題】三項関係の第3の因子となって、遊びを通じて乳幼児のコミュニケーションの発達を促すことができるプレイマットを提供する。
【解決手段】プレイマット11は、床面上に載置されて水平方向に広がるマット部材12と、マット部材12の表面に配置される操作部材13と、マット部材12の表面の操作部材13と離れた位置に配置されて、操作部材13の操作に伴って動作する動作部材14と、マット部材12の内部または裏面に配置されて、操作部材13および動作部材14を動作的に連結する連結機構15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プレイマット、特に親と子供が一緒に遊ぶことのできるプレイマットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のプレイマットは、例えば、特開2005−13417号公報(特許文献1)に記載されている。同公報に記載されているプレイマットは、マットと、マットに覆着されるシーツと、シーツの表面に係止具によって着脱自在に取り付けられた複数の玩具とで構成される。そして、このプレイマットは、乳幼児の視覚、聴覚、触覚等を刺激し、乳幼児の健やかな成育を促すことができると記載されている。
【0003】
一方、乳幼児は、生後9ヶ月を経過した頃から、子供と大人という1対1の関係(二項関係)に第3の因子が加わって、自らが関心を持った物を相手と共有し同じ物を並んで眺めたり(共同注視)、視線を通じて相手の意図がどこに注がれているのかを読み取ったりする関係へ移行する。
【0004】
したがって、乳幼児の健やかな成育を促す玩具は、子供と大人との間に第3の因子として加わって三項関係を形成し、子供と大人とが共に興味を持って遊ぶことができるものであることが望ましい。
【特許文献1】特開2005−13417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記公報に記載されているプレイマットは、玩具をシーツの表面に係止したに過ぎないので、この玩具を通して、乳幼児の三項関係の中でのコミュニケーションの発達を促すのは困難であると考えられる。
【0006】
そこで、この発明の目的は、三項関係の第3の因子となって、遊びを通じて乳幼児のコミュニケーションの発達を促すことができるプレイマットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るプレイマットは、床面上に載置されて水平方向に広がるマット部材と、マット部材の表面に配置される操作部材と、マット部材の表面の操作部材と離れた位置に配置されて、操作部材の操作に伴って動作する動作部材と、マット部材の内部または裏面に配置されて、操作部材および動作部材を動作的に連結する連結機構とを備える。
【0008】
一実施形態として、連結機構は、一端が操作部材に連結され他端が動作部材に連結される線状部材を有する。また、連結機構は、操作部材の動きを増幅、および/または変換して動作部材に伝える増幅変換部材をさらに有するものであってもよい。
【0009】
他の実施形態として、操作部材は空気を送り出すポンプであり、マット部材はポンプによって送り出された空気を排出する排出口を有し、動作部材は排出口上に配置されており、連結機構はポンプから排出口に空気を供給する空気通路である。
【0010】
上記構成のプレイマットは、操作部材を操作すると離れた位置の動作部材が動くので、子供と大人とが共に興味を持って遊ぶことができる。特に、動作部材の動きを母親が見て、子供が母親の視線を追うというような共同注視を促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1および図2を参照して、この発明の一実施形態に係るプレイマット11を説明する。なお、図1はプレイマット11の平面図、図2はプレイマット11の分解図を側面から見た状態を示す図である。
【0012】
図1および図2を参照して、プレイマット11は、マット部材12と、操作部材13と、動作部材14と、連結機構15とを備える。
【0013】
マット部材12は、クッション性に富む2枚のマット12a,12bを張り合わせて形成されており、床面上に載置される。また、上側に配置されるマット12aには、操作部材13および動作部材14と連結機構15とを接続するための開口部が設けられており、下側に配置されるマット12bには、プレイマット11が床面上を滑ることがないように滑り止めが設けられている。なお、マット部材12は、子供と大人とがマット部材12の上で一緒に遊ぶことができるように1m四方程度の大きさとする。
【0014】
操作部材13は、マット12a上の任意の位置に配置され、所定の方法で操作することができる。なお、この実施形態の操作部材13は引き手である。動作部材14は、マット12a上の操作部材13から離れた位置に配置され、操作部材13の操作に伴って動作する。
【0015】
連結機構15は、マット12a,12bの間、すなわちマット部材12の内部に配置されて、操作部材13と動作部材14とを動作的に連結する。具体的には、操作部材13の動きを増幅および変換する増幅変換部材15aと、一端が操作部材13に連結され他端が増幅変換部材15aに連結される紐や棒等の線状部材15bとを有する。
【0016】
増幅変換部材15aは、直径の異なる2つの円板を同心円状に固定し、マット部材12に回転自在に固定される。そして、直径の大きい円板(大径円板)の円周上に動作部材14を固定し、直径の小さい円板(小径円板)の円周上に線状部材15bの他端を接続する。
【0017】
上記構成のプレイマット11は、操作部材13を引くと増幅変換部材15aが図1の時計回りに所定角度だけ回転する。動作部材14は、増幅変換部材15aの回転に伴って、大径円板の円周に沿って図1の時計回りに曲線運動する。
【0018】
ここで、操作部材13を線状部材15bを介して小径円板に接続し、動作部材14を大径円板に接続することによって、操作部材13を少し動かすだけで動作部材14が大きく移動することになる。すなわち、増幅変換部材15aは、操作部材13の変位量を増幅して動作部材14に伝える増幅部材として機能する。なお、増幅率は小径円板と大径円板との直径の比に比例して大きくなる。
【0019】
また、操作部材13を前後方向に引くことによって、動作部材14は大径円板の円周上を曲線運動する。すなわち、増幅変換部材15aは、操作部材13の前後方向への直線運動を左右方向の曲線運動に変換する運動変換部材として機能する。
【0020】
上記構成のプレイマット11は、操作部材13を引くことによって、操作部材13から離れた位置の動作部材14が動くので、子供と大人とが共に興味を持って一緒に遊ぶことができる。
【0021】
例えば、母親が操作部材13側(図1の左側)に、子供が動作部材14側(図1の右側)にそれぞれ座り、母親が操作部材13を引きながら動作部材14の動きを目で追うと、子供が母親の視線の動きを通じて母親が動作部材14の動きに注目していることを理解する。このように、子供が、自分、母親、プレイマット11の三項関係の中でコミュニケーションを発達させることができる。
【0022】
なお、上記構成のプレイマット11を初期状態(操作部材13を引く前の状態を指す)に戻す方法としては、動作部材14を手で持って移動させてもよいが、例えば、増幅変換部材15aを初期状態を維持する方向に付勢するコイルばね等の弾性部材をマット部材12と増幅変換部材15aとの間に配置することによって、操作部材13を離すと自動的に初期状態に戻るようにしてもよい。
【0023】
また、上記構成のプレイマット11では、増幅変換部材15aを介して操作部材13と動作部材14とを接続した例を示したが、これに限ることなく、任意の構造を採用することができる。例えば、操作部材13と動作部材14とを線状部材15bで直接接続し、一方を引くと他方が線状部材15bに引かれて動くような構造であってもよい。
【0024】
次に、図3および図4を参照して、この発明の他の実施形態に係るプレイマット21を説明する。なお、図3はプレイマット21の平面図、図4はプレイマット21の分解図を側面から見た状態を示す図である。また、プレイマット21は、図1および図2に示したプレイマット11と基本構成が共通するので、相違点を中心に説明する。
【0025】
プレイマット21は、マット22aに上下方向に貫通して空気を排出する排出口22cを有するマット部材22と、空気を送り出すポンプとして機能する操作部材23と、排出口22cの上に配置される動作部材24と、ポンプから排出口22cに空気を供給する空気通路として機能する連結機構25とを備える。
【0026】
このプレイマット21は、ポンプを操作するとポンプから送り出された空気が空気通路を通って排出口22cから排出される。このとき、排出口22cの上に載置された動作部材24は、空気の排出に伴って上下動する。
【0027】
上記構成によっても、操作部材23を押すまたは摘むことによって、動作部材24が上下動するので、子供と大人とが共に興味を持って一緒に遊ぶことができるプレイマット21を得ることができる。
【0028】
なお、上記の各実施形態においては、マット部材12,22を2枚のマットを張り合わせて形成した例を示したが、これに限ることなく、1枚のマットとしてもよい。この場合、マットの裏面に連結機構15,25を受け入れる凹部を設けることによって、プレイマットを安定して載置することができる。
【0029】
また、上記の各実施形態に示した連結機構15,25は、この発明に適用可能なものの一例であって、その他の様々な機構を採用することが可能である。例えば、図3および図4に示す実施形態において、排出口22cに笛を取り付けて、ポンプから供給される空気によって音がなるようにしてもよい。
【0030】
また、上記の各実施形態において、操作部材13,23は丸形、動作部材14,24は星形でそれぞれ示しているが、これに限ることなく、任意の形態とすることができる。例えば、動物や果物の形状とすることによって、乳幼児にさらに興味を持たせることができる。
【0031】
また、上記の各実施形態においては、簡単のために1つの操作部材13,23と1つの動作部材14,24のみを備えるプレイマット11,21の例を示したが、これに限ることなく、操作部材13,23および動作部材14,24を複数設けてもよい。
【0032】
このとき、マット12aの表面を物語の一場面とし、操作部材13,23および動作部材14,24の形状を物語の登場人物とする等して、プレイマット11,21にストーリー性を持たせることも乳幼児に興味を持たせるのに有効である。
【0033】
さらに、上記の各実施形態においては、1つの操作部材13,23にそれぞれ1つの動作部材14,24が連結された例を示したが、これに限ることなく、1つの操作部材に複数の動作部材が連結されていてもよいし、1つの動作部材に複数の操作部材が連結されていてもよいものとする。
【0034】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明は、子供と大人とが一緒に遊ぶことができるプレイマットに有利に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の一実施形態に係るプレイマットの平面図である。
【図2】図1のプレイマットの分解図を側面から見た状態を示す図である。
【図3】この発明の他の実施形態に係るプレイマットの平面図である。
【図4】図3のプレイマットの分解図を側面から見た状態を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
11,21 プレイマット、12,22 マット部材、12a,12b,22a,22b マット、22c 排出口、13,23 操作部材、14,24 動作部材、15,25 連結機構、15a 増幅変換部材、15b 線状部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に載置されて水平方向に広がるマット部材と、
前記マット部材の表面に配置される操作部材と、
前記マット部材の表面の前記操作部材と離れた位置に配置されて、前記操作部材の操作に伴って動作する動作部材と、
前記マット部材の内部または裏面に配置されて、前記操作部材および前記動作部材を動作的に連結する連結機構とを備える、プレイマット。
【請求項2】
前記連結機構は、一端が前記操作部材に連結され、他端が前記動作部材に連結される線状部材を有する、請求項1に記載のプレイマット。
【請求項3】
前記連結機構は、前記操作部材の動きを増幅、および/または変換して前記動作部材に伝える増幅変換部材をさらに有する、請求項2に記載のプレイマット。
【請求項4】
前記操作部材は、空気を送り出すポンプであり、
前記マット部材は、前記ポンプによって送り出された空気を排出する排出口を有し、
前記動作部材は、前記排出口上に配置されており、
前記連結機構は、前記ポンプから前記排出口に空気を供給する空気通路である、請求項1に記載のプレイマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−282842(P2007−282842A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113336(P2006−113336)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)
【Fターム(参考)】