説明

プレキャストセグメントのジョイント部材

【課題】プレキャストセグメントのジョイント部材を、より簡素で信頼性が高く、低廉に供給可能なものにする。
【解決手段】雄金物Mと雌インサートFとを備える。雌インサートFの受入部3は自重による移動可能に収容空間31に収められた球体32と、受入部3の奥方に向けた移動可能に受入部3内に収められて球体32の前記移動を阻止する阻止部材33とを有する。プレキャストセグメントPcの組立時に雌インサートFの受入部3に導入される雄金物Mの軸部1に押されて阻止部材33が受入部3の奥方に所定位置まで移動されたときに、球体32が自重により前記移動をしてこの球体32の内端32a側が軸部1の頸部15に引っかかる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
コンクリート構造物を構成するプレキャストセグメント同士を接合する継手金具として、係合凹段部を備えた雄型継手金具と、この雄型継手金具を受け入れる雌型継手金具とからなるものがある。(特許文献1参照)この特許文献1のものでは、雌型継手金具は内部に、一対の半円形体よりなる係止部材と、この一対の半円形体の外側にあってこの一対の半円形体を互いに近接する向きに締め付ける板バネ環体とを備えている。この板バネ環体の弾性変形により一対の半円形体間の距離を広げて雄型継手金具の先端側の通過、つまり、雌型継手金具内への雄型継手金具の導入が許容される。そして、この通過後の板バネ環体の弾性復帰によって雄型継手金具の係合凹段部に係止部材を係止させて、雄型継手金具の備えられたプレキャストセグメントと雌型継手金具の備えられたプレキャストセグメントとを接合させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特許第4493553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種のプレキャストセグメントのジョイント部材(継手金具)を、より簡素で信頼性が高く、低廉に供給可能なものにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、プレキャストセグメントのジョイント部材を、コンクリート構造物を構成するプレキャストセグメントのジョイント部材であって、
プレキャストセグメントの突き合わせ端面から突き出す軸部と、このプレキャストセグメントへの埋込部とを備えた雄金物と、
この雄金物の軸部の受入部を有すると共にこれに通じた受入口をプレキャストセグメントの突き合わせ端面に位置させるようにしてこのプレキャストセグメントに埋設される雌インサートとを備えてなり、
前記雄金物の軸部は頸部を備えていると共に、
前記雌インサートの受入部は、この受入部の内方に向けた自重による移動可能にその側部に形成された収容空間に収められた抜け止め部材と、受入部の奥方に向けた移動可能に受入部内に収められてこの抜け止め部材の前記移動を阻止する阻止部材とを有しており、
プレキャストセグメントの組立時に雌インサートの受入部に導入される雄金物の軸部に押されて阻止部材が受入部の奥方に所定位置まで移動されたときに、抜け止め部材が自重により前記移動をしてこの抜け止め部材の内端側が軸部の頸部に引っかかるようになっているものとした。
【0005】
かかるジョイント部材によれば、隣り合うプレキャストセグメントの一方に備えられた雌インサートの受入部に、隣り合うプレキャストセグメントの他方に備えられた雄金物の軸部を導入して、両プレキャストセグメントの突き合わせ端面を突き合わせたときに、前記抜け止め部材の自重による移動のみによって前記受入部から軸部が抜け出さない状態を作り出すことができる。したがって、ジョイント部材の構造は簡素であり、その構成部品点数も最小化でき、低廉に提供可能であると共に、信頼性の高い接合が可能である。
【0006】
前記阻止部材を弾性変形可能な材料により構成させておけば、前記のように隣り合うプレキャストセグメントの突き合わせ端面同士が突き合わされた状態において、雄金物の軸部の先端と雌インサートの受入部の内奥部との間には、この軸部に押されて弾性変形された阻止部材の納まる空間が確保されていれば足りることから、雌インサートの受入部の奥行きを必要最小限なものとすることができる。
【0007】
前記雌インサートにおける抜け止め部材を金属製の球体とし、
この抜け止め部材の収容空間を、受入部の側部を貫通する前記球体の収納穴と、受入部の内部に形成されると共に前記収納穴に連通された前記球体の外端側を収める深さの周回溝とから構成し、
前記収納穴を周回溝の周回方向に隣り合う収納穴との間に略等しい間隔を開けて三箇所以上設けると共に、各収納穴に前記球体を収め、
雄金物の軸部の頸部を前記球体の内端側を収める深さの周回溝により構成させるようにしておくこともある。
【0008】
雌インサートの受入部に雄金物の軸部を導入すると、この軸部に押されて阻止部材が受入部の奥方に移動し、軸部の周回溝が収納穴の内方に位置されると、上方に位置される球体は自重により移動しその外端側を収容空間に収め、かつ、その内端側を軸部の周回溝に収める。これにより、球体を介して雌インサートの受入部から雄金物の軸部が抜け出さない状態が作り出される。収納穴とこれに納まる球体を前記のように複数、少なくとも三箇所以上に備えるようにすることで、自重により前記のように移動する球体が必ず存在するようにすることができる。そして、このように移動した球体は軸部の周回溝と受入部の周回溝とによって形成されたドーナツ状の空間内を転動してさらに下方に移動される。
【0009】
この場合に、さらに、雌インサートの受入部に形成された収納穴を、その受入口側に位置される穴縁を、この受入部の周回溝における受入口側に位置される溝縁よりも、この受入口側に位置させるように形成させておくこともある。このようした場合、隣り合うプレキャストセグメントの一方に備えられた雌インサートの受入部に、隣り合うプレキャストセグメントの他方に備えられた雄金物の軸部を導入して、この一方のプレキャストセグメントの突き合わせ端面と他方のプレキャストセグメントの突き合わせ端面とが両者の間にやや隙間(前記穴縁と溝縁との寸法差相当の隙間)を開けて向き合わされた状態において、上方に位置される阻止部材が前記移動をして軸部の頸部に前記のように引っかかるようにすることができる。すなわち、突き合わせ端面を完全に突き合わせる直前の段階で隣り合うプレキャストセグメント同士を接合させることが可能とされる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、プレキャストセグメントのジョイント部材を、より簡素で信頼性が高く、低廉に供給可能なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は実施の形態にかかるジョイント部材の斜視図であり、雌インサートの受入部の外側に取り付けられる閉塞部材の記載を省略している。
【図2】図2は実施の形態にかかるジョイント部材をプレキャストセグメントに備えさせた様子を断面にして示しており、雄金物の軸部を雌インサートの受入部に導入させる直前の状態である。
【図3】図3は図2の要部を拡大して示している。
【図4】図4は図3の雌インサートの受入部をその軸中心線に直交する向きに断面にして示した断面図である。
【図5】図5は図4の状態から雌インサートの受入部に雄金物の軸部が導入され始めた状態を示した断面図である。
【図6】図6は雌インサートの受入部に雄金物の軸部が、球体の収容穴の内方に軸部の周回溝が至る位置まで導入された状態を示した断面図であり、隣り合うプレキャストセグメントの突き合わせ端面間には隙間が残されている。
【図7】図7は図6の状態を図4と同じ位置で断面にして示した断面図である。
【図8】図8は雌インサートの受入部に雄金物の軸部が入れ込みきられた状態を示した断面図であり、隣り合うプレキャストセグメントの突き合わせ端面同士は隙間なく突き合わされている。
【図9】図9は図8の状態を図4と同じ位置で断面にして示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1〜図9に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかるジョイント部材は、コンクリート構造物を構成するプレキャストセグメントPcに備えられてその組立時の連結に用いられるものである。かかるジョイント部材は、雄金物Mと雌インサートFとから構成される。雄金物M及び雌インサートFは金属から構成される。
【0013】
雄金物Mは、プレキャストセグメントPcの突き合わせ端面Pcaから突き出す軸部1と、このプレキャストセグメントPcへの埋込部2とを備えている。すなわち、雄金物Mの埋込部2は、プレキャストセグメントPcの製作時に、このプレキャストセグメントPcの図示しない型枠内に位置される。前記突き合わせ端面PcaはプレキャストセグメントPcの組立時に隣り合うプレキャストセグメントPcと接合される面である。一つのプレキャストセグメントPcの各突き合わせ端面Pcaに、必要に応じて、かかる雄金物M及び雌インサートFの一方及び双方が、必要な数分備えられる。
【0014】
図示の例では、雄金物Mの軸部1は、その軸中心線を、この突き合わせ端面Pcaに直交させるようにして、前記突き合わせ端面Pcaから突き出されるようになっている。図示の例では、埋込部2と軸部1とは分割されている。
【0015】
埋込部2は丸棒状をなし、その一端を前記突き合わせ端面Pcaと同面上に位置させるようにしてプレキャストセグメントPcに内蔵される。埋込部2の一端側は前記突き合わせ端面Pcaに筒口を位置させる筒状をなすように構成され、その内部には雌ネジ部20が形成されている。埋込部2の他端にはフランジ21が形成されている。
【0016】
軸部1も丸棒状をなす。軸部1は、一端側を細径部10とし、他端側を太径部11とし、両者の間に周回段差面12を備えている。細径部10の外周には前記雌ネジ部20に噛み合う雄ネジ部が形成されており、軸部1は周回段差面12が埋込部2の一端に突き当たる位置までこの埋込部2の前記雌ネジ部20の形成箇所内に細径部10をねじ込むことで埋込部2に組み合わされるようになっている。太径部11の先端と周回段差面12との間には周回溝13が形成されている。この周回溝13は後述の抜け止め部材となる球体32の半径と略等しい深さを備えると共に、溝幅方向での断面形状をこの球体32の外形に倣った半弧状としている。かかる周回溝13により、雄金物Mの軸部1は、その先端16とこの周回溝13との間を頭部14とし、この周回溝13の形成箇所を頸部15とするように構成されている。また、雄金物Mの軸部1の先端16をなす面とこの軸部1の周面とが接し合う縁部には面取り17が施されている。
【0017】
雌インサートFは、前記雄金物Mの軸部1の受入部3を有すると共にこれに通じた受入口30をプレキャストセグメントPcの突き合わせ端面Pcaに位置させるようにしてこのプレキャストセグメントPcに埋設される。すなわち、雌インサートFは、プレキャストセグメントPcの製作時に、このプレキャストセグメントPcの型枠内に位置される。
【0018】
かかる雌インサートFの受入部3は、この受入部3の内方に向けた自重による移動可能にその側部に形成された収容空間31に収められた抜け止め部材(後述の球体32)と、受入部3の奥方に向けた移動可能に受入部3内に収められてこの抜け止め部材の前記移動を阻止する阻止部材33とを有している。
【0019】
図示の例では、雌インサートFは、円筒状をなす受入部3と、丸棒状をなす脚部4とを備えている。受入部3の一方の筒端は開放されており、雄金物Mの軸部1の受入口30となっている。一方、他方の筒端は閉塞されている。脚部4は、その一端を受入部3の閉塞された筒端に一体に連接させている。脚部4の他端にはフランジ40が形成されている。
【0020】
そして、プレキャストセグメントPcの組立時に雌インサートFの受入部3に導入される雄金物Mの軸部1に押されて阻止部材33が受入部3の奥方に所定位置まで移動されたときに、抜け止め部材が自重により前記移動をしてこの抜け止め部材の内端32a側が軸部1の頸部15に引っかかるようになっている。このとき、抜け止め部材の外端32b側は前記収容空間31内に位置されている。
【0021】
この実施の形態にあっては、隣り合うプレキャストセグメントPc、Pcの一方に備えられた雌インサートFの受入部3に、隣り合うプレキャストセグメントPc、Pcの他方に備えられた雄金物Mの軸部1を導入して、この一方のプレキャストセグメントPcの突き合わせ端面Pcaと他方のプレキャストセグメントPcの突き合わせ端面Pcaとが突き合わされた状態において、上方に位置される阻止部材33が前記移動をして軸部1の頸部15に前記のように引っかかるようになっている。
【0022】
この実施の形態にあっては、前記阻止部材33は弾性変形可能な材料により構成されている。図示の例では、阻止部材33は、雌インサートFの受入部3の内径と略等しい外径と、この受入部3における前記収容空間31の形成箇所からこの受入部3の内奥部までの間に亘る長さとを備えた円柱状のプラスチックフォーム材から構成されている。また、前記のように隣り合うプレキャストセグメントPc、Pcの突き合わせ端面Pca同士が突き合わされた状態において、雄金物Mの軸部1の先端16と雌インサートFの受入部3の内奥部との間には、この軸部1に押されて弾性変形された阻止部材33の納まる空間34が確保されるようになっている。(図8)これにより、この実施の形態にあっては、雌インサートFの受入部3の奥行きを必要最小限なものとしている。
【0023】
この実施の形態にかかるジョイント部材によれば、隣り合うプレキャストセグメントPc、Pcの一方に備えられた雌インサートFの受入部3に、隣り合うプレキャストセグメントPc、Pcの他方に備えられた雄金物Mの軸部1を導入して、両プレキャストセグメントPc、Pcの突き合わせ端面Pcaを突き合わせたときに、前記抜け止め部材の自重による移動のみによって前記受入部3から軸部1が抜け出さない状態を作り出すことができる。雌インサートFの受入部3は前記抜け止め部材と阻止部材33を備えれば足り、したがって、ジョイント部材の構造は簡素であり、その構成部品点数も最小化でき、さらにコンパクトに構成でき、したがってまた低廉に提供可能であると共に、信頼性の高い接合が可能である。
【0024】
この実施の形態にあっては、前記雌インサートFにおける抜け止め部材は金属製の球体32として構成されている。また、この抜け止め部材の収容空間31は、受入部3の側部を内外に貫通する前記球体32の収納穴31aと、受入部3の内部に形成されると共に前記収納穴31aに連通された前記球体32の外端32b側を収める深さの周回溝31fとから構成されている。かかる収容空間31は、受入部3の奥行き方向略中程の位置に設けられている。前記収納穴31aは、前記球体32の直径と略等しい穴径の丸穴となっている。また、前記周回溝31fは、前記球体32の半径と略等しい深さを備えると共に、溝幅方向での断面形状をこの球体32の外形に倣った半弧状としている。また、前記収納穴31aは周回溝31fの周回方向に隣り合う収納穴31aとの間に略等しい間隔を開けて、図示の例では四箇所に設けられていると共に、各収納穴31aにそれぞれ前記球体32が収められている。受入部3に雄金物Mの軸部1を導入しない状態においては、前記阻止部材33により上方に位置される球体32も周回溝31fの溝口にその内端32aを位置させるようになっている。(図4)下方に位置される球体32は図中符号35で示される収納穴31aの外側の穴口31bを塞ぐ閉塞部材に接するようになっている。かかる閉塞部材35は収納穴31aに球体32を収めた後、この収納穴31aから球体32の抜け出しを阻止する構成のものであれば良い。かかる閉塞部材35は、例えば、受入部3の外側にはめられるゴムバンドや、スリーブ体によって構成することができる。
【0025】
一方、雄金物Mの軸部1は雌インサートFの受入部3の内径と略等しい外径を備えると共に、その頸部15は前記球体32の内端32a側を収める深さの周回溝13により構成されている。
【0026】
雌インサートFの受入部3に雄金物Mの軸部1を導入すると、この軸部1に押されて阻止部材33が受入部3の奥方に移動し、軸部1の周回溝13が収納穴31aの内方に位置されると、上方に位置される球体32は自重により移動しその外端32b側を収容空間31に収め、かつ、その内端32a側を軸部1の周回溝13に収める。これにより、球体32を介して雌インサートFの受入部3から雄金物Mの軸部1が抜け出さない状態が作り出される。収納穴31aとこれに納まる球体32を前記のように複数、少なくとも三箇所以上に備えるようにすることで、自重により前記のように移動する球体32が必ず存在するようにすることができる。図示の例では、四箇所の収納穴31aのうち、隣り合う二箇所の収納穴31a、31aの内側の穴口31cにテーパー面31dを形成してこの穴口31cを拡径化しており、これによりこの二箇所の収納穴31aのいずれか一方が水平方向に位置される場合でも、収められた球体32が自重により移動するようにしてある。図示の例では、四箇所の収納穴31aの二箇所が上下に、残りの二箇所が左右に位置される状態では、上側の収納穴31aにある球体32と、穴口にテーパー面31dを形成された図5において左側に位置される収納穴31aにある球体32とが前記移動を生じるようになっている。そして、このように移動した球体32は軸部1の周回溝13と受入部3の周回溝31fとによって形成されたドーナツ状の空間内を転動してさらに下方に移動される。(図7から図8)図示の例とは別に、収納穴31aに、前記閉塞部材35との間にプラスチックフォーム材などの弾性部材を弾性変形させた状態で、球体32を納めるようにしておくこともできる。このようにした場合、雌インサートFの受入部3への雄金物Mの軸部1の導入により阻止部材33が受入部3の奥方に移動したときに、かかる弾性部材の弾性復帰により前記のように水平方向に位置される収納穴31aに納められた球体32の移動が生じるようにすることができる。このようにした場合には、前記収納穴31aの内側の穴口31cにテーパー面31dを形成させる必要はなくなる。
【0027】
また、この実施の形態にあっては、雌インサートFの受入部3に形成された収納穴31aが、その受入口30側に位置される穴縁31eを、この受入部3の周回溝31fにおける受入口30側に位置される溝縁31gよりも、この受入口30側に位置させるように形成されている。
【0028】
これにより、この実施の形態にあっては、隣り合うプレキャストセグメントPc、Pcの一方に備えられた雌インサートFの受入部3に、隣り合うプレキャストセグメントPc、Pcの他方に備えられた雄金物Mの軸部1を導入して、この一方のプレキャストセグメントPcの突き合わせ端面Pcaと他方のプレキャストセグメントPcの突き合わせ端面Pcaとが両者の間にやや隙間s(前記穴縁31eと溝縁31gとの寸法差x相当の隙間s)を開けて向き合わされた状態において、上方に位置される阻止部材33が前記移動をして軸部1の頸部15に前記のように引っかかるようになっている。(図6及び図7)この状態においては、雄金物Mの軸部1の周回溝13と雌インサートFの受入部3の周回溝31fとは前記寸法差xにより整合しないため、上方にある球体32は前記のように転動しない。そして、この後、一方のプレキャストセグメントPcの突き合わせ端面Pcaと他方のプレキャストセグメントPcの突き合わせ端面Pcaとを突き合わせると、雄金物Mの軸部1の周回溝13と雌インサートFの受入部3の周回溝31fとが整合して上方にある球体32は前記のように転動される。(図8及び図9)
【符号の説明】
【0029】
M 雄金物
F 雌インサート
1 軸部
15 頸部
3 受入部
31 収容空間
32a 内端
33 阻止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物を構成するプレキャストセグメントのジョイント部材であって、
プレキャストセグメントの突き合わせ端面から突き出す軸部と、このプレキャストセグメントへの埋込部とを備えた雄金物と、
この雄金物の軸部の受入部を有すると共にこれに通じた受入口をプレキャストセグメントの突き合わせ端面に位置させるようにしてこのプレキャストセグメントに埋設される雌インサートとを備えてなり、
前記雄金物の軸部は頸部を備えていると共に、
前記雌インサートの受入部は、この受入部の内方に向けた自重による移動可能にその側部に形成された収容空間に収められた抜け止め部材と、受入部の奥方に向けた移動可能に受入部内に収められてこの抜け止め部材の前記移動を阻止する阻止部材とを有しており、
プレキャストセグメントの組立時に雌インサートの受入部に導入される雄金物の軸部に押されて阻止部材が受入部の奥方に所定位置まで移動されたときに、抜け止め部材が自重により前記移動をしてこの抜け止め部材の内端側が軸部の頸部に引っかかるようになっていることを特徴とするプレキャストセグメントのジョイント部材。
【請求項2】
阻止部材は弾性変形可能な材料により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプレキャストセグメントのジョイント部材。
【請求項3】
雌インサートにおける抜け止め部材は金属製の球体であり、
この抜け止め部材の収容空間は、受入部の側部を貫通する前記球体の収納穴と、受入部の内部に形成されると共に前記収納穴に連通された前記球体の外端側を収める深さの周回溝とから構成されており、
前記収納穴は周回溝の周回方向に隣り合う収納穴との間に略等しい間隔を開けて三箇所以上設けられていると共に、各収納穴に前記球体が収められており、
雄金物の軸部の頸部は前記球体の内端側を収める深さの周回溝により構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプレキャストセグメントのジョイント部材。
【請求項4】
雌インサートの受入部に形成された収納穴が、その受入口側に位置される穴縁を、この受入部の周回溝における受入口側に位置される溝縁よりも、この受入口側に位置させるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載のプレキャストセグメントのジョイント部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−172310(P2012−172310A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32189(P2011−32189)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000230010)ジオスター株式会社 (77)
【出願人】(500243808)阪部工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】