プレスフィット端子とプレスフィット端子の挿入方法
【課題】金属剥離による異物の発生を防止するプレスフィット端子およびプレスフィット端子の挿入方法を提供する。
【解決手段】プレスフィット端子を基板に設けられたスルーホールに接続する方法であって、プレスフィット端子に予め外力を加えて、当該プレスフィット端子のスルーホールに挿入される部分の外径を狭める向きに弾性変形させる工程と、プレスフィット端子の弾性変形を維持した状態で、スルーホールに接触しないように、当該スルーホールに、プレスフィット端子を挿入する工程と、プレスフィット端子への外力を除去して、プレスフィット端子の弾性力により当該プレスフィット端子と基板のスルーホールとを接続する工程とを含む。
【解決手段】プレスフィット端子を基板に設けられたスルーホールに接続する方法であって、プレスフィット端子に予め外力を加えて、当該プレスフィット端子のスルーホールに挿入される部分の外径を狭める向きに弾性変形させる工程と、プレスフィット端子の弾性変形を維持した状態で、スルーホールに接触しないように、当該スルーホールに、プレスフィット端子を挿入する工程と、プレスフィット端子への外力を除去して、プレスフィット端子の弾性力により当該プレスフィット端子と基板のスルーホールとを接続する工程とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレスフィット端子およびプレスフィット端子を基板の挿入穴に挿入する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基板等に取り付けて使用されるコネクタとして、プレスフィット端子を有するものが知られている。プレスフィット端子は、スルーホール径よりやや広幅に形成されたプレスフィット部を有し、基板に設けられたスルーホールに端子を圧入し、プレスフィット部をスルーホールに接触させることにより、スルーホールに接続される。このようなプレスフィット端子として、例えば、特許文献1は、スルーホールに端子を圧入する際、貫通穴が形成されたプレスフィット部の幅が、スルーホールによって狭められて圧入が進行する、プレスフィット端子を開示している。図12に、特許文献が開示するプレスフィット端子900の斜視図を示す。また、特許文献2は、基部から端子が2本分岐する形状のプレスフィット端子を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−123415号公報
【特許文献2】特開2005−174654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のプレスフィット端子においては、プレスフィット端子を基板のスルーホールに圧入する際、プレスフィット端子とスルーホール内壁とが接触しながら圧入が進行する。この際、プレスフィット端子やスルーホール内壁の金属が削られ、剥離した金属が周囲に付着し、異物として製品の品質に悪影響を与えるおそれがあった。
【0005】
本発明は、金属剥離による異物の発生を防止するプレスフィット端子およびプレスフィット端子の挿入方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面は、プレスフィット端子を基板に設けられたスルーホールに接続する方法であって、プレスフィット端子に予め外力を加えて、当該プレスフィット端子のスルーホールに挿入される部分の外径を狭める向きに弾性変形させる工程と、プレスフィット端子の弾性変形を維持した状態で、スルーホールに接触しないように、当該スルーホールに、プレスフィット端子を挿入する工程と、プレスフィット端子への外力を除去して、プレスフィット端子の弾性力により当該プレスフィット端子と基板のスルーホールとを接続する工程とを含む。
【0007】
また、本発明の他の局面は、プレスフィット端子であって、一端が基板のスルーホールに挿入される第1の端子部と、一端が基板のスルーホールに挿入される第2の端子部と、第1の端子部および第2の端子部の各他端において接続する基部とを備え、第1の端子部および第2の端子部は、全体としてU字型の形状を有するよう、基部の近傍に曲線形状の部分を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プレスフィット端子を基板のスルーホールに接触することなく挿入することができ、金属剥離による異物の発生を防止するプレスフィット端子およびプレスフィット端子の挿入方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1および第2の実施形態に係るプレスフィット端子の上面図および正面図
【図2】本発明の第1の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続工程を示す図
【図3】本発明の第1の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続工程を示す図
【図4】本発明の第1の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続工程を示す図
【図5】本発明の第1の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続工程を示す図
【図6】本発明の第1の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続状態を示す図
【図7】本発明の第2の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続工程を示す図
【図8】本発明の第2の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続工程を示す図
【図9】本発明の第2の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続工程を示す図
【図10】本発明の第2の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続工程を示す図
【図11】本発明の第2の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続状態を示す図
【図12】従来のプレスフィット端子の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態を説明する。本実施形態に係るプレスフィット端子100について説明する。図1の(a)は、プレスフィット端子100の上面図である。図1の(b)は、プレスフィット端子100の正面図である。プレスフィット端子100は、第1の端子部101と第2の端子部102とが、基部103に接続している。第1の端子部101は、基板のスルーホールに挿入される第1の挿入部104と、第1の挿入部104より基部103側の、第2の端子部102と反対側の位置に形成されたストッパ105とを含む。また、第2の端子部102は、基板のスルーホールに挿入される第2の挿入部106と、第2の挿入部106より基部103側の、第1の端子部101と反対側の位置に形成されたストッパ107とを含む。
【0011】
以下に、プレスフィット端子100をスルーホールに接続する方法について、図2を参照して説明する。
【0012】
まず、スルーホール201が形成された基板200を準備するとともに、図2の(a)に示すように、プレスフィット端子100の第1の端子部101および第2の端子部102を、外方から治具300で挟む。治具300は第1および第2の端子保持部を有し、第1の端子保持部は、第1の端子部101の、ストッパ105より基部103側の近傍およびストッパ105の端面に当接する。また、治具300の第2の端子保持部は、第2の端子部102の、ストッパ107より基部103側の近傍およびストッパ107の端面に当接する。図2の(b)に、治具300が第1の端子部101および第2の端子部102を挟む様子を示す断面図を示す。
【0013】
次に、図3の(a)に示すように、治具300によって、第1の端子部101と第2の端子部102との距離を縮める方向に押圧し、第1の端子部101と第2の端子部102とを弾性変形させ、第1の挿入部104および第2の挿入部106間の外方側の端部間の距離を、スルーホール201の内径より小さくする。図3の(b)に、治具300が第1の端子部101および第2の端子部102を挟んで弾性変形させる様子を示す断面図を示す。
【0014】
次に、図4に示すように、治具300による押圧を維持しながら、基板200のスルーホール201に、第1の挿入部104および第2の挿入部106を挿入する。このとき、適切に位置決めをすることにより、スルーホール201の内壁に、第1の挿入部104および第2の挿入部106が接触しないようにすることができる。
【0015】
次に、図5に示すように、治具300による押圧を停止すると、弾性変形していた第1の端子部101と第2の端子部102とが、復元する。これにより、第1の挿入部104および第2の挿入部106とが、弾性力によってスルーホール201の内壁に対して一定の接触圧を維持して接触し、プレスフィット端子100とスルーホール201との接続が完了する。図6に、接続完了時のスルーホール201近傍の拡大断面図を示す。第1の挿入部104および第2の挿入部106から、スルーホール201の内壁に対し、矢印に示す向きに弾性力が作用する。
【0016】
なお、第1の挿入部104および第2の挿入部106が、弾性力によってスルーホール201に対して一定の接触圧を維持して接触するためには、押圧していないときの第1の挿入部104および第2の挿入部106の外方側端部間の距離が、スルーホール201の内径より大きければよい。
【0017】
また、第1の端子部101と第2の端子部102とは、基部103との接続部分の近傍において曲線形状を有する部分をそれぞれ有し、全体としてU字型を形成する形状であることが好ましい。これにより、コの字型にした場合等に比べ、押圧時に応力が広範に分散するため、大きな弾性力を得ることができる。
【0018】
本実施形態においては、プレスフィット端子100を予め弾性変形させておくことにより、第1の挿入部104および第2の挿入部106をスルーホール201に挿入する際、第1の挿入部104および第2の挿入部106と、スルーホール201の内壁とが接触することなく挿入が進行する。仮に、第1の挿入部104または第2の挿入部106が、スルーホール201の内壁と接触したとしても、接触圧は従来に比べ低減される。そのため、第1の挿入部104、第2の挿入部106またはスルーホール201の内壁の金属が削られ、剥離した金属が周囲に付着し、異物として製品の品質に悪影響を与えることを防止できる。
【0019】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態においては、プレスフィット端子100を接続するスルーホールの構造が異なる点で、第1の実施形態と異なるが、その他の点は第1の実施形態と同様である。
【0020】
以下に、プレスフィット端子100をスルーホールに接続する方法について、図7−図11を参照して説明する。第1の実施形態と同様の構成については、第1の実施形態と同様の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0021】
図7の(a)に示すように、本実施形態においては、基板400が、プレスフィット端子100と接続するスルーホールを2つ有する。
【0022】
まず、第1のスルーホール401および第2のスルーホール402が形成された基板400を準備するとともに、図7の(a)に示すように、第1の実施形態と同様、プレスフィット端子100の第1の端子部101および第2の端子部102を、外方から治具300で挟む。図7の(b)に、治具300が第1の端子部101および第2の端子部102を挟む様子を示す断面図をあわせて示す。
【0023】
次に、図8の(a)に示すように、治具300によって、第1の端子部101と第2の端子部102との距離を縮める方向に押圧し、第1の端子部101と第2の端子部102とを弾性変形させる。この際、第1の挿入部104および第2の挿入部106の外方側の端部間の距離を、第1のスルーホール401および第2のスルーホール402の内壁間の最大距離より小さくし、かつ、第1の挿入部104および第2の挿入部106の内方側の端部間の距離を、第1のスルーホール401および第2のスルーホール402の内壁間の最小距離より大きくする。図8の(b)に、治具300が第1の端子部101および第2の端子部102を挟んで弾性変形させる様子を示す断面図をあわせて示す。
【0024】
次に、図9に示すように、治具300による押圧を維持しながら、基板400の第1のスルーホール401に、第1の挿入部104を挿入し、第2のスルーホール402に第2の挿入部106を挿入する。このとき、適切に位置決めをすることにより、第1のスルーホール401の内壁に第1の挿入部104が接触しないよう、かつ、第2のスルーホール402の内壁に第2の挿入部106が接触しないようにすることができる。
【0025】
次に、図10に示すように、治具300による押圧を停止すると、弾性変形していた第1の端子部101と第2の端子部102とが、復元しようとする。これにより、第1の挿入部104および第2の挿入部106とが、弾性力によってそれぞれ第1のスルーホール401および第2のスルーホール402の内壁に対して一定の接触圧を維持して接触し、プレスフィット端子100と第1のスルーホール401および第2のスルーホール402との接続が完了する。図11の(e)に、接続完了時の第1のスルーホール401および第2のスルーホール402近傍の拡大断面図を示す。第1の挿入部104および第2の挿入部106から、第1のスルーホール401および第2のスルーホール402の内壁に対し、矢印に示す向きに弾性力が作用する。
【0026】
なお、第1の挿入部104および第2の挿入部106が、弾性力によってそれぞれ第1のスルーホール401および第2のスルーホール402に対して一定の接触圧を維持して接触するためには、押圧していないときの第1の挿入部104と第2の挿入部106の外方側端部間の距離が、第1のスルーホール401および第2のスルーホール402の内壁間の最大距離より大きければよい。
【0027】
本実施形態においては、プレスフィット端子100を予め弾性変形させておくことにより、第1の挿入部104および第2の挿入部106を、それぞれ第1のスルーホール401および第2のスルーホール402に挿入する際、第1の挿入部104および第2の挿入部106が、それぞれ第1のスルーホール401および第2のスルーホール402の内壁に接触することなく挿入が進行する。もしくは、第1の挿入部104または第2の挿入部106が、第1のスルーホール401または第2のスルーホール402の内壁と接触したとしても、接触圧は従来に比べ低減される。そのため、第1の挿入部104、第2の挿入部106、第1のスルーホール401または第2のスルーホール402の内壁の金属が削られ、剥離した金属が周囲に付着し、異物として製品の品質に悪影響を与えることを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、基板等に取り付けて使用されるコネクタの端子に有用である。
【符号の説明】
【0029】
100 プレスフィット端子
101 第1の端子部
102 第2の端子部
103 基部
104 第1の挿入部
105、107 ストッパ
106 第2の挿入部
200、400 基板
201、401、402 スルーホール
300 治具
900 プレスフィット端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレスフィット端子およびプレスフィット端子を基板の挿入穴に挿入する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基板等に取り付けて使用されるコネクタとして、プレスフィット端子を有するものが知られている。プレスフィット端子は、スルーホール径よりやや広幅に形成されたプレスフィット部を有し、基板に設けられたスルーホールに端子を圧入し、プレスフィット部をスルーホールに接触させることにより、スルーホールに接続される。このようなプレスフィット端子として、例えば、特許文献1は、スルーホールに端子を圧入する際、貫通穴が形成されたプレスフィット部の幅が、スルーホールによって狭められて圧入が進行する、プレスフィット端子を開示している。図12に、特許文献が開示するプレスフィット端子900の斜視図を示す。また、特許文献2は、基部から端子が2本分岐する形状のプレスフィット端子を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−123415号公報
【特許文献2】特開2005−174654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のプレスフィット端子においては、プレスフィット端子を基板のスルーホールに圧入する際、プレスフィット端子とスルーホール内壁とが接触しながら圧入が進行する。この際、プレスフィット端子やスルーホール内壁の金属が削られ、剥離した金属が周囲に付着し、異物として製品の品質に悪影響を与えるおそれがあった。
【0005】
本発明は、金属剥離による異物の発生を防止するプレスフィット端子およびプレスフィット端子の挿入方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面は、プレスフィット端子を基板に設けられたスルーホールに接続する方法であって、プレスフィット端子に予め外力を加えて、当該プレスフィット端子のスルーホールに挿入される部分の外径を狭める向きに弾性変形させる工程と、プレスフィット端子の弾性変形を維持した状態で、スルーホールに接触しないように、当該スルーホールに、プレスフィット端子を挿入する工程と、プレスフィット端子への外力を除去して、プレスフィット端子の弾性力により当該プレスフィット端子と基板のスルーホールとを接続する工程とを含む。
【0007】
また、本発明の他の局面は、プレスフィット端子であって、一端が基板のスルーホールに挿入される第1の端子部と、一端が基板のスルーホールに挿入される第2の端子部と、第1の端子部および第2の端子部の各他端において接続する基部とを備え、第1の端子部および第2の端子部は、全体としてU字型の形状を有するよう、基部の近傍に曲線形状の部分を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プレスフィット端子を基板のスルーホールに接触することなく挿入することができ、金属剥離による異物の発生を防止するプレスフィット端子およびプレスフィット端子の挿入方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1および第2の実施形態に係るプレスフィット端子の上面図および正面図
【図2】本発明の第1の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続工程を示す図
【図3】本発明の第1の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続工程を示す図
【図4】本発明の第1の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続工程を示す図
【図5】本発明の第1の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続工程を示す図
【図6】本発明の第1の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続状態を示す図
【図7】本発明の第2の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続工程を示す図
【図8】本発明の第2の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続工程を示す図
【図9】本発明の第2の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続工程を示す図
【図10】本発明の第2の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続工程を示す図
【図11】本発明の第2の実施形態に係るプレスフィット端子とスルーホールとの接続状態を示す図
【図12】従来のプレスフィット端子の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態を説明する。本実施形態に係るプレスフィット端子100について説明する。図1の(a)は、プレスフィット端子100の上面図である。図1の(b)は、プレスフィット端子100の正面図である。プレスフィット端子100は、第1の端子部101と第2の端子部102とが、基部103に接続している。第1の端子部101は、基板のスルーホールに挿入される第1の挿入部104と、第1の挿入部104より基部103側の、第2の端子部102と反対側の位置に形成されたストッパ105とを含む。また、第2の端子部102は、基板のスルーホールに挿入される第2の挿入部106と、第2の挿入部106より基部103側の、第1の端子部101と反対側の位置に形成されたストッパ107とを含む。
【0011】
以下に、プレスフィット端子100をスルーホールに接続する方法について、図2を参照して説明する。
【0012】
まず、スルーホール201が形成された基板200を準備するとともに、図2の(a)に示すように、プレスフィット端子100の第1の端子部101および第2の端子部102を、外方から治具300で挟む。治具300は第1および第2の端子保持部を有し、第1の端子保持部は、第1の端子部101の、ストッパ105より基部103側の近傍およびストッパ105の端面に当接する。また、治具300の第2の端子保持部は、第2の端子部102の、ストッパ107より基部103側の近傍およびストッパ107の端面に当接する。図2の(b)に、治具300が第1の端子部101および第2の端子部102を挟む様子を示す断面図を示す。
【0013】
次に、図3の(a)に示すように、治具300によって、第1の端子部101と第2の端子部102との距離を縮める方向に押圧し、第1の端子部101と第2の端子部102とを弾性変形させ、第1の挿入部104および第2の挿入部106間の外方側の端部間の距離を、スルーホール201の内径より小さくする。図3の(b)に、治具300が第1の端子部101および第2の端子部102を挟んで弾性変形させる様子を示す断面図を示す。
【0014】
次に、図4に示すように、治具300による押圧を維持しながら、基板200のスルーホール201に、第1の挿入部104および第2の挿入部106を挿入する。このとき、適切に位置決めをすることにより、スルーホール201の内壁に、第1の挿入部104および第2の挿入部106が接触しないようにすることができる。
【0015】
次に、図5に示すように、治具300による押圧を停止すると、弾性変形していた第1の端子部101と第2の端子部102とが、復元する。これにより、第1の挿入部104および第2の挿入部106とが、弾性力によってスルーホール201の内壁に対して一定の接触圧を維持して接触し、プレスフィット端子100とスルーホール201との接続が完了する。図6に、接続完了時のスルーホール201近傍の拡大断面図を示す。第1の挿入部104および第2の挿入部106から、スルーホール201の内壁に対し、矢印に示す向きに弾性力が作用する。
【0016】
なお、第1の挿入部104および第2の挿入部106が、弾性力によってスルーホール201に対して一定の接触圧を維持して接触するためには、押圧していないときの第1の挿入部104および第2の挿入部106の外方側端部間の距離が、スルーホール201の内径より大きければよい。
【0017】
また、第1の端子部101と第2の端子部102とは、基部103との接続部分の近傍において曲線形状を有する部分をそれぞれ有し、全体としてU字型を形成する形状であることが好ましい。これにより、コの字型にした場合等に比べ、押圧時に応力が広範に分散するため、大きな弾性力を得ることができる。
【0018】
本実施形態においては、プレスフィット端子100を予め弾性変形させておくことにより、第1の挿入部104および第2の挿入部106をスルーホール201に挿入する際、第1の挿入部104および第2の挿入部106と、スルーホール201の内壁とが接触することなく挿入が進行する。仮に、第1の挿入部104または第2の挿入部106が、スルーホール201の内壁と接触したとしても、接触圧は従来に比べ低減される。そのため、第1の挿入部104、第2の挿入部106またはスルーホール201の内壁の金属が削られ、剥離した金属が周囲に付着し、異物として製品の品質に悪影響を与えることを防止できる。
【0019】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態においては、プレスフィット端子100を接続するスルーホールの構造が異なる点で、第1の実施形態と異なるが、その他の点は第1の実施形態と同様である。
【0020】
以下に、プレスフィット端子100をスルーホールに接続する方法について、図7−図11を参照して説明する。第1の実施形態と同様の構成については、第1の実施形態と同様の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0021】
図7の(a)に示すように、本実施形態においては、基板400が、プレスフィット端子100と接続するスルーホールを2つ有する。
【0022】
まず、第1のスルーホール401および第2のスルーホール402が形成された基板400を準備するとともに、図7の(a)に示すように、第1の実施形態と同様、プレスフィット端子100の第1の端子部101および第2の端子部102を、外方から治具300で挟む。図7の(b)に、治具300が第1の端子部101および第2の端子部102を挟む様子を示す断面図をあわせて示す。
【0023】
次に、図8の(a)に示すように、治具300によって、第1の端子部101と第2の端子部102との距離を縮める方向に押圧し、第1の端子部101と第2の端子部102とを弾性変形させる。この際、第1の挿入部104および第2の挿入部106の外方側の端部間の距離を、第1のスルーホール401および第2のスルーホール402の内壁間の最大距離より小さくし、かつ、第1の挿入部104および第2の挿入部106の内方側の端部間の距離を、第1のスルーホール401および第2のスルーホール402の内壁間の最小距離より大きくする。図8の(b)に、治具300が第1の端子部101および第2の端子部102を挟んで弾性変形させる様子を示す断面図をあわせて示す。
【0024】
次に、図9に示すように、治具300による押圧を維持しながら、基板400の第1のスルーホール401に、第1の挿入部104を挿入し、第2のスルーホール402に第2の挿入部106を挿入する。このとき、適切に位置決めをすることにより、第1のスルーホール401の内壁に第1の挿入部104が接触しないよう、かつ、第2のスルーホール402の内壁に第2の挿入部106が接触しないようにすることができる。
【0025】
次に、図10に示すように、治具300による押圧を停止すると、弾性変形していた第1の端子部101と第2の端子部102とが、復元しようとする。これにより、第1の挿入部104および第2の挿入部106とが、弾性力によってそれぞれ第1のスルーホール401および第2のスルーホール402の内壁に対して一定の接触圧を維持して接触し、プレスフィット端子100と第1のスルーホール401および第2のスルーホール402との接続が完了する。図11の(e)に、接続完了時の第1のスルーホール401および第2のスルーホール402近傍の拡大断面図を示す。第1の挿入部104および第2の挿入部106から、第1のスルーホール401および第2のスルーホール402の内壁に対し、矢印に示す向きに弾性力が作用する。
【0026】
なお、第1の挿入部104および第2の挿入部106が、弾性力によってそれぞれ第1のスルーホール401および第2のスルーホール402に対して一定の接触圧を維持して接触するためには、押圧していないときの第1の挿入部104と第2の挿入部106の外方側端部間の距離が、第1のスルーホール401および第2のスルーホール402の内壁間の最大距離より大きければよい。
【0027】
本実施形態においては、プレスフィット端子100を予め弾性変形させておくことにより、第1の挿入部104および第2の挿入部106を、それぞれ第1のスルーホール401および第2のスルーホール402に挿入する際、第1の挿入部104および第2の挿入部106が、それぞれ第1のスルーホール401および第2のスルーホール402の内壁に接触することなく挿入が進行する。もしくは、第1の挿入部104または第2の挿入部106が、第1のスルーホール401または第2のスルーホール402の内壁と接触したとしても、接触圧は従来に比べ低減される。そのため、第1の挿入部104、第2の挿入部106、第1のスルーホール401または第2のスルーホール402の内壁の金属が削られ、剥離した金属が周囲に付着し、異物として製品の品質に悪影響を与えることを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、基板等に取り付けて使用されるコネクタの端子に有用である。
【符号の説明】
【0029】
100 プレスフィット端子
101 第1の端子部
102 第2の端子部
103 基部
104 第1の挿入部
105、107 ストッパ
106 第2の挿入部
200、400 基板
201、401、402 スルーホール
300 治具
900 プレスフィット端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレスフィット端子を基板に設けられたスルーホールに接続する方法であって、
前記プレスフィット端子に予め外力を加えて、当該プレスフィット端子の前記スルーホールに挿入される部分の外径を狭める向きに弾性変形させる工程と、
前記プレスフィット端子の弾性変形を維持した状態で、前記スルーホールに接触しないように、当該スルーホールに、前記プレスフィット端子を挿入する工程と、
前記プレスフィット端子への外力を除去して、前記プレスフィット端子の弾性力により当該プレスフィット端子と前記基板のスルーホールとを接続する工程とを含む、方法。
【請求項2】
プレスフィット端子であって、
一端が基板のスルーホールに挿入される第1の端子部と、
一端が基板のスルーホールに挿入される第2の端子部と、
前記第1の端子部および前記第2の端子部の各他端において接続する基部とを備え、
前記第1の端子部および前記第2の端子部は、全体としてU字型の形状を有するよう、前記基部の近傍に曲線形状の部分を含む、プレスフィット端子。
【請求項1】
プレスフィット端子を基板に設けられたスルーホールに接続する方法であって、
前記プレスフィット端子に予め外力を加えて、当該プレスフィット端子の前記スルーホールに挿入される部分の外径を狭める向きに弾性変形させる工程と、
前記プレスフィット端子の弾性変形を維持した状態で、前記スルーホールに接触しないように、当該スルーホールに、前記プレスフィット端子を挿入する工程と、
前記プレスフィット端子への外力を除去して、前記プレスフィット端子の弾性力により当該プレスフィット端子と前記基板のスルーホールとを接続する工程とを含む、方法。
【請求項2】
プレスフィット端子であって、
一端が基板のスルーホールに挿入される第1の端子部と、
一端が基板のスルーホールに挿入される第2の端子部と、
前記第1の端子部および前記第2の端子部の各他端において接続する基部とを備え、
前記第1の端子部および前記第2の端子部は、全体としてU字型の形状を有するよう、前記基部の近傍に曲線形状の部分を含む、プレスフィット端子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−69518(P2013−69518A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206887(P2011−206887)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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