プレチャンバー点火プラグ
【課題】プレチャンバー点火プラグの点火性能を改善する。
【解決手段】プレチャンバー点火プラグ68aはハウジング76a、中心電極78a、接地電極80aおよび点火室カップ82aを含んでいる。ハウジング76aはエンジンの点火プラグ穴70へねじ込むように構成されている。中心電極78aはハウジング76aの中心から延びている。接地電極80aは、ハウジング76aから放射状に内部へ延びている。点火室カップ82aは、ハウジング76aに取り付けられている。ハウジング76aは、ハウジング76aを少なくとも部分的に通して放射状に延びるガス通し空洞室100aを区画する。
【解決手段】プレチャンバー点火プラグ68aはハウジング76a、中心電極78a、接地電極80aおよび点火室カップ82aを含んでいる。ハウジング76aはエンジンの点火プラグ穴70へねじ込むように構成されている。中心電極78aはハウジング76aの中心から延びている。接地電極80aは、ハウジング76aから放射状に内部へ延びている。点火室カップ82aは、ハウジング76aに取り付けられている。ハウジング76aは、ハウジング76aを少なくとも部分的に通して放射状に延びるガス通し空洞室100aを区画する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の点火プラグに関し、より詳細には、ガス通し空洞室をもつプレチャンバー点火プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
この項は、本発明に関連する背景技術を開示するが、それは公知の従来技術として開示されるものではない。
【0003】
点火プラグは、典型的には、エンジンの点火プラグ穴にねじ込まれるハウジングと、このハウジングの中心から軸方向に延び出す中心電極、およびハウジングから放射状に内部へ延び出す接地電極とを備える。点火プラグがエンジンに装着された状態では、中心電極と接地電極とは、エンジンのシリンダ内のガスに対して露出した状態におかれる。点火プラグは、中心電極と接地電極の間に火炎核を生成し、生成される炎は、シリンダ内に伝播してゆく。
【0004】
プレチャンバー点火プラグは、予室付点火プラグ、あるいは点火室付点火プラグなどとも呼ばれる。プレチャンバー点火プラグは、ハウジングに装着され、中心電極と接地電極とを囲み収容する点火室カップを含んでいる。点火室カップは、点火室キャップとも呼ぶことができる。吸気行程の間に、未燃焼ガスは、点火室カップの底面を通って軸方向に延びる1つまたは複数のオリフィスを通して流れる。燃焼にあたり、プレチャンバー点火プラグは、中心電極と接地電極との間における点火火花の生成によって未燃焼ガスに点火する。動力行程の間に、すなわち燃焼行程の間に、点火火花に起因する火炎噴流は、オリフィスを通して流れて、プレチャンバー点火プラグの外部のシリンダ内の未燃焼ガスに点火する。特許文献1−4は上記の背景技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4982070号明細書
【特許文献2】米国特許第4987868号明細書
【特許文献3】米国特許第6460506号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10144976号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術のプレチャンバー点火プラグでは、点火室に残留する燃焼済ガスが点火を妨げるおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、点火性能が改善されたプレチャンバー点火プラグを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、強力な火炎噴流を生成するために点火室の容積を大きくした場合でも、点火室に残留した燃焼済ガスに起因する点火性能の低下を抑制することができるプレチャンバー点火プラグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0010】
この項は、本発明に関する概略的な開示を与えるが、その全範囲またはその全特徴の包括的な開示ではない。
【0011】
プレチャンバー点火プラグはハウジング、中心電極、接地電極および点火室カップを含んでいる。ハウジングはエンジンの点火プラグ穴へねじ込むように構成されている。中心電極はハウジングの中心から軸方向に延びている。接地電極は、ハウジングから放射状に内部へ延びている。点火室カップは、ハウジングに取り付けられている。ハウジングは、ハウジングを少なくとも部分的に通して放射状に延びるガス通し空洞室を区画する。
【0012】
ガス通し空洞室はハウジングを完全に通して延びる場合がある。
【0013】
ガス通し空洞室は、ハウジングの周囲のまわりに等間隔に配置されたN個の筒状の空洞室を含む場合がある。Nは1より大きい整数であり、例えば4とすることができる。
【0014】
ガス通し空洞室は点火火花が中心電極と接地電極との間で生成されるときに、ハウジング内に存在する燃焼済ガスを収容するように構成されうる。
【0015】
中心電極は、第1端部と、第1端部と反対側の第2の端部を有することができる。また、中心電極は本体部分と先端部分を含むことができる。本体部分は、第1端部から先端部分へ延びる場合がある。先端部分は、本体部分から第2端部へ延びる場合がある。
【0016】
中心電極の本体部分は第1の高さを有することができる。ガス通し空洞室は、第1の高さとほぼ等しい第2の高さを有することができる。
【0017】
ガス通し空洞室の第2の高さと、中心電極の本体部分の第1の高さとは、軸方向に関して整合して位置付けられる場合がある。
【0018】
ハウジングと点火室カップは所定の容積を区画しており、中心電極と接地電極とは容積の1/2の中に配置されている場合がある。
【0019】
中心電極と接地電極とは容積の1/3の中に配置されている場合がある。
【0020】
ハウジングは、ガス通し空洞室と流体的に連通した二次ガス空洞室を区画する場合がある。この二次ガス空洞室はハウジングの内側の表面を通ることなくハウジングの内部に放射状に延びることができる。
【0021】
ガス通し空洞室は、U字状の形を有することができる。
【0022】
ガス通し空洞室および二次ガス空洞室は、軸方向に関して、中心電極と整合して位置付けられ、かつ、接地電極の少なくとも一部と整合して位置付けられる場合がある。
【0023】
ガス通し空洞室および二次ガス空洞室は点火火花が中心電極と接地電極との間で生成されるときに、ハウジング内に存在する燃焼済ガスを収容するように構成されている場合がある。
【0024】
この発明を適用可能な分野はここでの開示によって明らかにされる。この発明の概要における説明と具体的な例示とは、具体的な説明を与える用途だけを意図したものであって、本発明の技術的範囲を限定することを意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】図1Aは、従来技術に係る点火プラグの側面図である。
【図1B】図1Bは、従来技術に係る点火室カップの断面図である。
【図1C】図1Cは、従来技術に係る点火プラグの部分断面図である。
【図1D】図1Dは、従来技術に係る点火プラグの側面図である。
【図2A】図2Aは、従来技術に係る点火プラグの部分的な断面図であって、第1の点火火花が発生している状態を示す。
【図2B】図2Bは、従来技術に係る点火プラグの部分的な断面図であって、燃焼行程における状態を示す。
【図2C】図2Cは、従来技術に係る点火プラグの部分的な断面図であって、第2の点火火花が発生している状態を示す。
【図3】図3は、従来技術に係る点火プラグの部分的な断面図であって、第1の点火位置をもつ従来技術を示す。
【図4A】図4Aは、この明細書において開示される点火プラグの部分的な断面図であって、第2の点火位置をもつ点火プラグを示す。
【図4B】図4Bは、この明細書において開示される点火プラグの部分的な断面図であって、点火火花が発生している状態を示す。
【図5A】図5Aは、本発明を適用した第1実施形態に係るプレチャンバー点火プラグの部分的な側面図であって、ガス通し室を有するプレチャンバー点火プラグを示し、点火室カップにおける構成要素の配置を透視によって示す。
【図5B】図5Bは、第1実施形態に係るプレチャンバー点火プラグの下側から見た模式図であって、点火室キャップにおける構成要素の配置を部分的な断面、もしくは部分的な透視によって示す。
【図5C】図5Cは、第1実施形態に係るプレチャンバー点火プラグの側面図であって、点火室カップにおける構成要素の配置を透視によって示す。
【図5D】図5Dは、第1実施形態に係るプレチャンバー点火プラグの側面から見た部分的な断面図であって、点火火花が発生している状態を示す。
【図6A】図6Aは、本発明を適用した第2実施形態に係るプレチャンバー点火プラグの部分的な側面図であって、ガス通し空洞室と二次ガス空洞室とを有するプレチャンバー点火プラグを示し、点火火花が発生している状態を示す。
【図6B】図6Bは、第2実施形態に係るプレチャンバー点火プラグの部分的な側面図であって、点火室カップにおける構成要素の配置を透視によって示し、吸気行程における状態を示す。
【図6C】図6Cは、第2実施形態に係るプレチャンバー点火プラグの部分的な側面図であって、点火室カップにおける構成要素の配置を透視によって示す。
【図6D】図6Dは、第2実施形態に係るプレチャンバー点火プラグの下側から見た模式図であって、点火室キャップにおける構成要素の配置を部分的な断面、もしくは部分的な透視によって示す。
【0026】
ここに説明された図面は、選択された実施形態を図示するためだけのものであって、すべての実用的な可能性を示すものではない。そして、ここに説明された図面は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。複数の図面の図示にわたって、対応する参照符号は、対応する部分を指している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、図面を参照しながら開示された発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0028】
以下、本発明の複数の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
図1Aにおいて、従来技術による点火プラグ10はインシュレータ12、六角ナットが形成された頭部14、ガスケット16、ハウジング18、中心電極20、および接地電極22を備える。インシュレータ12は、中心電極20に図示されない点火プラグワイヤーを接続するための図示されない端子を取り囲んでいる。図示されないエンジンのシリンダヘッドの点火プラグ穴に点火プラグ10を締め付けたり、緩めたりするために、六角ナットが形成された頭部14にはソケットレンチを嵌め込むことができる。ガスケット16は、点火プラグ穴を密閉するためにシリンダヘッドに対して押し付けられる。
【0030】
ハウジング18はエンジンの点火プラグ穴へねじ込むように構成されている。例えば、ハウジング18は点火プラグ穴の雌ねじと噛合うように調整され、構成された外ねじを備える。中心電極20はハウジング18の中心から軸方向に延び出している。接地電極22は、ハウジング18から放射状に内部へ延びている。点火プラグ10が点火プラグ穴に装着された状態では、中心電極20と接地電極22とは、エンジンのシリンダ内のガスに対して露出した状態におかれる。点火プラグ10は、中心電極20と接地電極22の間に火炎核を生成し、生成される炎は、シリンダ内に伝播してゆく。図1Bにおいて、従来技術による点火室カップ24は、点火室カップ24の底面を通って軸方向に延びるひとつ以上のオリフィス26を区画し提供している。
【0031】
図1Cにおいて、従来技術によるプレチャンバー点火プラグ28はインシュレータ30、六角ナットが形成された頭部32、ガスケット34、ハウジング36、中心電極38、接地電極40、および点火室カップ42を備える。インシュレータ30は、中心電極38に図示されない点火プラグワイヤーを接続するための図示されない端子を取り囲んでいる。図示されないエンジンのシリンダヘッドの点火プラグ穴にプレチャンバー点火プラグ28を締め付けたり、緩めたりするために、六角ナットが形成された頭部32にはソケットレンチを嵌め込むことができる。ガスケット34は、点火プラグ穴を密閉するためにシリンダヘッドに対して押し付けられる。
【0032】
ハウジング36はエンジンの点火プラグ穴へねじ込むように構成されている。中心電極38はハウジング36の中心から軸方向に延びている。接地電極40は、ハウジング36から放射状に内部へ延びている。プレチャンバー点火プラグ28は、中心電極38と接地電極40の間に火炎核を生成し、生成される炎は、シリンダ内に伝播してゆく。
【0033】
点火室カップ42は溶接部44を使用して、ハウジング36に装着されている。また、点火室カップ42は中心電極38および接地電極40を囲み、収容している。吸気行程の間に、未燃焼ガスは、点火室カップ42の底面を通って軸方向に延びるひとつまたは複数のオリフィス46を通して流れる。よって、未燃焼ガスは、点火室カップ42内に流れ込む。燃焼にあたり、プレチャンバー点火プラグ28は、中心電極38と接地電極40との間における点火火花の生成によって未燃焼ガスに点火する。動力行程の間に、すなわち燃焼行程の間に、点火火花に起因する火炎噴流は、オリフィス46を通して流れて、プレチャンバー点火プラグ28の外部のシリンダ内の未燃焼ガスに点火する。
【0034】
図1Dにおいて、従来技術に係るプレチャンバー点火プラグ28aは、上述のプレチャンバー点火プラグ28に実質的な類似関係にある。以下の説明では、図1Dに図示された相違点、および追加点だけが説明される。中心電極38aは先端部分48aを含んでいる。また、接地電極40aは先端部分50aを含んでいる。中心電極38aおよび接地電極40aは、中心電極38および接地電極40に比べて、それらよりも上側にずらして位置付けられている。
【0035】
ハウジング36aと点火室カップ42aとの内側の表面、および中心電極38aと接地電極40aとの外側の表面は、点火室52aを区画し、提供している。点火室52aは、先端部分48aと先端部分50aとの間の火花ギャップよりも上側、すなわちインシュレータ30a側と、火花ギャップよりも下側、すなわち点火室カップ42a側との両方に容積を有する。下側容積は、上側容積おりも明らかに大きい。複数のオリフィス46は、下側容積に連通している。しかも、複数のオリフィス46は、下側容積の中の下部にだけ連通している。よって、上側容積は、オリフィス46から遠く離れている。上側容積は、ハウジング36aとインシュレータ30aと中心電極38aとによって区画される。上側容積は、筒状または円筒状の空間である。中心電極38aと接地電極40aとは、図中の上方へずらされているから、プレチャンバー点火プラグ28aの点火室52aの容積は、プレチャンバー点火プラグ28の中の点火室の容積より大きい。中心電極38aおよび接地電極40aの体積も、点火室52aの容積を増加させるために縮小されている。
【0036】
図2Aにおいて、プレチャンバー点火プラグ28aはエンジン54に装着された状態で図示されている。エンジン54の最初の吸気行程の間に、未燃焼ガス56がオリフィス46aを通して点火室52aの中に流入する。燃焼にあたり、プレチャンバー点火プラグ28aは、中心電極38aと接地電極40aとの間に点火火花57を生成することによって、点火室52a内の未燃焼ガス56に点火する。
【0037】
図2Bを追加的に参照することにより、点火火花から生じた火炎噴流は点火室52aの内部にわたって伝播し、オリフィス46aを通して伝播し、さらに、生じた火炎噴流はシリンダ内にわたって伝播する。この結果、点火火花から生じた火炎噴流は、未燃焼ガス56を燃焼させ、シリンダ内に燃焼済ガス58を残す。エンジン54の動力行程、すなわち燃焼行程の間に、未燃焼ガスの上記の燃焼はシリンダ内の圧力を上昇させ、トルクを生成するために、シリンダ内の図示されないピストンを駆動する。エンジン54の排気行程の間に、燃焼済ガス58の一部は点火室52aから引き出され、取り除かれる。
【0038】
図2Cにおいて、エンジン54の後続の吸入行程の間に、未燃焼ガス60がオリフィス46aを通して点火室52aに流れ込むとき、燃焼済ガス58の一部は点火室52aに残っている。燃焼にあたり、プレチャンバー点火プラグ28aは、中心電極38aと接地電極40aとの間における点火火花62の生成によって未燃焼ガス60に点火する。
【0039】
図3において、プレチャンバー点火プラグ28aによる燃焼効率に影響する要因は、点火火花位置、点火室の容積、およびオリフィス直径を含む。点火火花位置は、点火室52aの上部の端から中心電極38aの先端部分48aの下側端部までの距離64によって示される。点火室52aの容積は、点火室52aの容積である。ハウジングと点火室カップは所定の容積をもつ点火室52aを区画している。オリフィス直径は、ひとつ以上のオリフィス46aのひとつ以上の直径66である。
【0040】
図4Aにおいて、ここに開示されたプレチャンバー点火プラグ68は、エンジン72の点火プラグ穴70に設置されている。エンジン72は天然ガス機関のような火花点火機関である。天然ガス機関は、高い燃焼効率と少ない排気成分とを実現するために、長い耐久寿命と高い点火性能とをもつ点火プラグを必要とする。プレチャンバー点火プラグ68は、これらの必要条件を満たすように設計される。
【0041】
プレチャンバー点火プラグ68は、端子を含むインシュレータ74、ハウジング76、中心電極78、接地電極80、および点火室カップ82を備える。端子を含むインシュレータ74は、ハウジング76の上端から突出しており、中心電極78に、図示されない点火プラグワイヤーを接続するために利用される。ハウジング76はエンジンの点火プラグ穴70へねじ込むように構成されている。例えば、ハウジング76は点火プラグ穴70の雌ねじと噛合うように調整され、構成された外ねじを備える。
【0042】
中心電極78はハウジング6の中心から延びている。接地電極80は、ハウジング76から放射状に内部へ延びている。点火室カップ82は溶接部84を使用して、ハウジング76に装着されている。溶接部84は、レーザー溶接部によって形成することができる。点火室カップ82は中心電極78および接地電極80を囲む。点火室カップ82は、点火室カップ82の底面を通って軸方向に延びるひとつ以上のオリフィス86を区画している。中心電極78は先端部分88を含んでいる。また、接地電極80は先端部分90を含んでいる。ハウジング76および点火室カップ82の内側の表面は、点火室92を区画し、提供している。
【0043】
プレチャンバー点火プラグ68の中心電極78の高さは、図3のプレチャンバー点火プラグ28aの中心電極38aの高さより小さい。その結果、距離94によって示されたプレチャンバー点火プラグ68の火花点火位置は、距離64によって示されたプレチャンバー点火プラグ28aの火花点火位置とは異なる。距離94は、距離64より小さい。このような距離関係を図示するために、プレチャンバー点火プラグ28aの中心電極38aおよび接地電極40aは、破線によって図示されている。距離94に起因して、中心電極78および接地電極80は、点火室92の容積の1/2以下の中に配置されている。例えば、中心電極78と接地電極80とは、点火室92の容積の1/3の中に配置されている。図示されるように、中心電極78および接地電極80を収容する容積部分は、点火室92の上部に位置している。
【0044】
プレチャンバー点火プラグ28aの点火火花位置とプレチャンバー点火プラグ68の点火火花位置との間の違いにより、プレチャンバー点火プラグ68の点火室92の容積は、プレチャンバー点火プラグ28aの中の点火室52aの容積より大きい。その結果、プレチャンバー点火プラグ68の火炎噴流の速度は、プレチャンバー点火プラグ28aの火炎噴流の速度より高い。これは、エンジン72の燃焼効果を改善する。
【0045】
図4Bにおいて、未燃焼ガス96は吸入行程の間に、オリフィス86を通って点火室92に流れ込む。未燃焼ガス96が点火室92に入るとき、点火室92は先の燃焼行程から残された燃焼済ガス98を収容していることがある。したがって、燃焼にあたっては、中心電極78および接地電極80は燃焼済ガス98によって包囲されることがあり、したがって、未燃焼ガス96に点火することができずに失火を生じるおそれがある。
【0046】
図5Aから図5Dにおいて、プレチャンバー点火プラグ68を基礎的な構成とし、それに類似の、プレチャンバー点火プラグ68aを説明する。プレチャンバー点火プラグ68aは、この明細書により開示された発明の実施形態である。以下の説明では、主として、先行いて説明された構成との相違点、および追加点が説明される。
【0047】
プレチャンバー点火プラグ68aは、エンジン72にねじ込まれるハウジング76aと、ハウジング76a内に支持され中心電極78aを保持するインシュレータ74aとを有する。プレチャンバー点火プラグ68aは、オリフィス86aが形成された点火室キャップ82aを有する。点火室キャップ82aは、溶接部84aによってハウジング76aに装着されている。プレチャンバー点火プラグ68aのハウジング76aは、ハウジング76aを通して、すなわち貫通するように放射状に延びる少なくともひとつのガス通し空洞室100aを区画する。ガス通し空洞室100aは点火火花101aが中心電極78aと接地電極80aとの間で生成されるときに、ハウジング76a内に存在する燃焼済ガスを収容するように構成されている。言い換えると、ガス通し空洞室100aは、点火室92aに残された燃焼済ガス98が流れ込むことができる追加的な容積を提供することにより、中心電極78aと接地電極80aとの周囲にまで未燃焼ガス96が到達することを許容する。ガス通し空洞室100aによって提供される追加的な空洞室の容積は、中心電極78aと接地電極80aとの周囲にまで未燃焼ガス96が到達できるように設定されている。
【0048】
ハウジング76aの内面と中心電極78aとインシュレータ74aとは、点火室92a内において、環状の上部容積室、言い換えると環状の上部点火室を区画している。上部点火室は、上方向へ向けて閉じられている。ガス通し空洞室100aは、上部点火室から径方向外側に延び出す追加容積を提供する。ガス通し空洞室100aは、追加的な空洞室とも呼ぶことができる。追加的な空洞室は、上部点火室より径方向外側に位置している。未燃焼ガスは、オリフィス86aを通して点火室92aに流れ込み、点火室92a内を上に向けて流れる。中心電極78aと接地電極80aとの間、およびその近傍に残留していた燃焼済ガスは、未燃焼ガスに押されて径方向外側に流れ、ガス通し空洞室100aへ押し込まれる。
【0049】
図示されるように、ガス通し空洞室100aはハウジング76aを完全に通して延びる複数の筒状の穴によって提供されうる。ガス通し空洞室100aは、ハウジング76aを通して放射状に延びる。筒状の空洞室は、円形の穴によって提供される。空洞室の直径は、2mmから5mmとすることができる。代替的に、ガス通し空洞室100aは非円形の穴によって提供することができる。このような円形または非円形の空洞室は、ハウジング76aを少なくとも部分的に通して延びることができる。さらに、図5Bの中で端的に図示されるように、円形か非円形の穴はハウジング76aの周囲のまわりに等間隔に配置することができる。ガス通し空洞室100aは、N個の筒状の空洞室を含むことができる。このNは1より大きい整数である。例えば、Nは、4である。
【0050】
中心電極78aは、本体部分と、先端部分90aとを備えることができる。中心電極78aは、本体部分と先端部分90aとだけから構成されうる。中心電極78aの本体部分は第1の高さを有し、ガス通し空洞室100aは、第1の高さとほぼ等しい第2の高さを有する。中心電極78bは、第1端部と、第1端部の反対側の第2端部とを有することができる。本体部分は、第1端部から先端部分90aへ延びており、先端部分90aは、本体部分から第2端部へ延びている。加えて、図示されるように、ガス通し空洞室100aの第2の高さは、プレチャンバー点火プラグの軸方向に関して、中心電極78aの本体部分の第1の高さと整合するように、言い換えると、径方向に沿って見たときに重複するように、位置付けられている。ガス通し空洞室100aは、軸方向に関して、中心電極78aの本体部分と整合して位置付けられている。多様な実施形態において、ガス通し空洞室100aの高さは、中心電極78aの本体部分の高さとは異なるかもしれないし、および/または、ガス通し空洞室100aの高さは、中心電極78aの本体部分の高さから軸方向にずれて位置付けられることがある。
【0051】
図5Dに端的に図示されるように、未燃焼ガス96は吸入行程の間に、オリフィス86aを通して点火室92aに流れ込む。未燃焼ガス96が点火室92aに流れ込むにつれて、未燃焼ガス96は点火室92aの上端部に向けて燃焼済ガス98を押し込み、さらに、ガス通し空洞室100aの中へ燃焼済ガス98を押し込む。したがって、燃焼にあたっては、中心電極78aおよび接地電極80aは未燃焼ガス96によって包囲され、したがって、未燃焼ガス96に点火する。このように、ガス通し空洞室100aは、プレチャンバー点火プラグ68aの点火火花位置に起因して生じるかもしれない失火を抑制する。この結果、点火火花位置に起因する燃焼効率における改良が実現される。
【0052】
図6Aから図6Dを参照して、プレチャンバー点火プラグ68aと同様のプレチャンバー点火プラグ68bを説明する。プレチャンバー点火プラグ68aは、この明細書により開示された発明の実施形態である。以下の説明では、主として、図5Aの図示との相違点、および追加点が説明される。
【0053】
プレチャンバー点火プラグ68bは、エンジン72にねじ込まれるハウジング76bと、ハウジング76b内に支持され中心電極78bを保持するインシュレータ74bとを有する。プレチャンバー点火プラグ68bは、オリフィス86bが形成された点火室キャップ82bを有する。点火室キャップ82bは、溶接部84bによってハウジング76bに装着されている。プレチャンバー点火プラグ68bは、二次ガス空洞室102bを区画し、提供する。ハウジング76bは、ガス通し空洞室100bと流体的に連通した二次ガス空洞室102bを区画する。この二次ガス空洞室102bはハウジング76bの内側の表面を通ることなくハウジング76bの内部に放射状に延びる。言い換えると、二次ガス空洞室102bは、ハウジング76bの外側の表面から、ハウジング76bの径方向外側の部分だけに凹部として形成されている。
【0054】
図6Aに図示されるように、ガス通し空洞室100bおよび二次ガス空洞室102bは点火火花103bが中心電極78bと接地電極80bとの間で生成されるときに、ハウジング76b内に存在する燃焼済ガスを収容するように構成されている。二次ガス空洞室102bは、ガス通し空洞室100bに対して追加される追加的な容積を提供する。二次ガス空洞室102bは、燃焼済ガスを収容するための容積を、ガス通し空洞室100bだけによって提供される容積から、増加させる。言い換えると、ガス通し空洞室100bおよび二次ガス空洞室102bは、点火室92に残された燃焼済ガス98が流れ込むことができる追加的な容積を提供することにより、中心電極78bと接地電極80bとの周囲にまで未燃焼ガス96が到達することを許容する。
【0055】
ガス通し空洞室100bおよび二次ガス空洞室102bによって提供される追加的な空洞室の容積は、中心電極78bと接地電極80bとの周囲にまで未燃焼ガス96が到達できるように設定されている。この実施形態では、ガス通し空洞室100bおよび二次ガス空洞室102bによって、追加的な空洞室が提供されている。ガス通し空洞室100bおよび二次ガス空洞室102bは、プレチャンバー点火プラグ68aの軸方向に関して、中心電極78bと整合して、言い換えると径方向に沿って見ると重複するように、位置付けられている。さらに、ガス通し空洞室100bおよび二次ガス空洞室102bは、軸方向に関して、接地電極80bの少なくとも一部と整合して、すなわち径方向に沿って見ると重複するように、位置付けられている。ガス通し空洞室100bおよび二次ガス空洞室102bは、軸方向に関して、中心電極78bと整合し、かつ、接地電極80bの少なくとも一部と整合するように位置付けられている。
【0056】
図6Cおよび図6Dで示されるように、二次ガス空洞室102bはU字状の形を有することができる。この二次ガス空洞室102bの形状は、D字状とも呼ぶことができる。二次ガス空洞室102bは、プレチャンバー点火プラグ68aの径方向外側から見た場合に、プレチャンバー点火プラグ68aの上部に周方向に延びるまっすぐな上縁を有し、プレチャンバー点火プラグ68aの下部に湾曲したU字状の下縁を有する。上縁のほぼ中央には、ガス通し空洞室100bが位置付けられている。よって、ガス通し空洞室100bと、二次ガス空洞室102bとは、点火室92bから、径方向外側に向けて延び、その後、下方向、すなわち燃焼室の方向に向けて延びる空洞室を区画し、提供している。
【0057】
ハウジング76bの周方向に関する二次ガス空洞室102bの最大幅は、上縁において与えられている。ハウジング76bの周方向に関する二次ガス空洞室102bの最大幅は、ハウジング76bの周方向に関するガス通し空洞室100bの最大幅よりも大きい。このため、ガス通し空洞室100bと、二次ガス空洞室102bとは、点火室92bから、径方向外側に向けて延び、その後、周方向に向けて広がる空洞室を区画し、提供している。
【0058】
二次ガス空洞室102bは、ハウジング76bの軸方向および周方向に関して、ガス通し空洞室100bよりも大きい空洞室を提供する。二次ガス空洞室102bは、ハウジング76bの径方向外側の部分にだけ形成されているから、二次ガス空洞室102bが提供する径方向の大きさ、すなわち径方向深さは浅い。しかし、二次ガス空洞室102bは、ガス通し空洞室100bから見て、ハウジング76bの径方向外側、すなわち点火室92bから遠く離れ、かつエンジン72に近い部位において、拡張された空洞を提供する。
【0059】
ガス通し空洞室100bは、円筒内面によって区画されている。これに代えて、ガス通し空洞室100bも、U字状、またはD字状と呼びうる形状を有していてもよい。
【0060】
以上に述べた実施形態の説明は、図示と説明のために与えられたものである。そこには、発明を限定する意図や、網羅的にする意図はない。それぞれの個別の構成要素、または特定の実施形態の特徴は、その特定の実施形態に限定されない。しかし、具体的に図示され説明されていない限り、適用可能であれば、それらは互いに入れ替え可能であり、特定の選ばれた実施形態において利用可能である。それぞれの個別の構成要素、または特定の実施形態の特徴は、多くの手法に変形可能でもある。それらの変形例は本発明からの派生物として考慮されるべきではなく、すべてのそれらの変形例は本発明の技術的範囲に属するべきものとして意図されている。
【0061】
以上、開示された発明の好ましい実施形態について説明したが、開示された発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、開示された発明の技術的範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。開示された発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0062】
10、28、28a、68、68a、68b 点火プラグ、
18、36、36a、76、76a、76b ハウジング、
20、38、38a、78、78a、78b 中心電極、
22、40、40a、80、80a、80b 接地電極、
24、42、42a、82、82a、82b 点火室カップ、
26、46、46a、86、86a、86b オリフィス、
52a、92、92a、92b 点火室、
100a、100b ガス通し空洞室、
102b 二次ガス空洞室。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の点火プラグに関し、より詳細には、ガス通し空洞室をもつプレチャンバー点火プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
この項は、本発明に関連する背景技術を開示するが、それは公知の従来技術として開示されるものではない。
【0003】
点火プラグは、典型的には、エンジンの点火プラグ穴にねじ込まれるハウジングと、このハウジングの中心から軸方向に延び出す中心電極、およびハウジングから放射状に内部へ延び出す接地電極とを備える。点火プラグがエンジンに装着された状態では、中心電極と接地電極とは、エンジンのシリンダ内のガスに対して露出した状態におかれる。点火プラグは、中心電極と接地電極の間に火炎核を生成し、生成される炎は、シリンダ内に伝播してゆく。
【0004】
プレチャンバー点火プラグは、予室付点火プラグ、あるいは点火室付点火プラグなどとも呼ばれる。プレチャンバー点火プラグは、ハウジングに装着され、中心電極と接地電極とを囲み収容する点火室カップを含んでいる。点火室カップは、点火室キャップとも呼ぶことができる。吸気行程の間に、未燃焼ガスは、点火室カップの底面を通って軸方向に延びる1つまたは複数のオリフィスを通して流れる。燃焼にあたり、プレチャンバー点火プラグは、中心電極と接地電極との間における点火火花の生成によって未燃焼ガスに点火する。動力行程の間に、すなわち燃焼行程の間に、点火火花に起因する火炎噴流は、オリフィスを通して流れて、プレチャンバー点火プラグの外部のシリンダ内の未燃焼ガスに点火する。特許文献1−4は上記の背景技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4982070号明細書
【特許文献2】米国特許第4987868号明細書
【特許文献3】米国特許第6460506号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10144976号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術のプレチャンバー点火プラグでは、点火室に残留する燃焼済ガスが点火を妨げるおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、点火性能が改善されたプレチャンバー点火プラグを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、強力な火炎噴流を生成するために点火室の容積を大きくした場合でも、点火室に残留した燃焼済ガスに起因する点火性能の低下を抑制することができるプレチャンバー点火プラグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0010】
この項は、本発明に関する概略的な開示を与えるが、その全範囲またはその全特徴の包括的な開示ではない。
【0011】
プレチャンバー点火プラグはハウジング、中心電極、接地電極および点火室カップを含んでいる。ハウジングはエンジンの点火プラグ穴へねじ込むように構成されている。中心電極はハウジングの中心から軸方向に延びている。接地電極は、ハウジングから放射状に内部へ延びている。点火室カップは、ハウジングに取り付けられている。ハウジングは、ハウジングを少なくとも部分的に通して放射状に延びるガス通し空洞室を区画する。
【0012】
ガス通し空洞室はハウジングを完全に通して延びる場合がある。
【0013】
ガス通し空洞室は、ハウジングの周囲のまわりに等間隔に配置されたN個の筒状の空洞室を含む場合がある。Nは1より大きい整数であり、例えば4とすることができる。
【0014】
ガス通し空洞室は点火火花が中心電極と接地電極との間で生成されるときに、ハウジング内に存在する燃焼済ガスを収容するように構成されうる。
【0015】
中心電極は、第1端部と、第1端部と反対側の第2の端部を有することができる。また、中心電極は本体部分と先端部分を含むことができる。本体部分は、第1端部から先端部分へ延びる場合がある。先端部分は、本体部分から第2端部へ延びる場合がある。
【0016】
中心電極の本体部分は第1の高さを有することができる。ガス通し空洞室は、第1の高さとほぼ等しい第2の高さを有することができる。
【0017】
ガス通し空洞室の第2の高さと、中心電極の本体部分の第1の高さとは、軸方向に関して整合して位置付けられる場合がある。
【0018】
ハウジングと点火室カップは所定の容積を区画しており、中心電極と接地電極とは容積の1/2の中に配置されている場合がある。
【0019】
中心電極と接地電極とは容積の1/3の中に配置されている場合がある。
【0020】
ハウジングは、ガス通し空洞室と流体的に連通した二次ガス空洞室を区画する場合がある。この二次ガス空洞室はハウジングの内側の表面を通ることなくハウジングの内部に放射状に延びることができる。
【0021】
ガス通し空洞室は、U字状の形を有することができる。
【0022】
ガス通し空洞室および二次ガス空洞室は、軸方向に関して、中心電極と整合して位置付けられ、かつ、接地電極の少なくとも一部と整合して位置付けられる場合がある。
【0023】
ガス通し空洞室および二次ガス空洞室は点火火花が中心電極と接地電極との間で生成されるときに、ハウジング内に存在する燃焼済ガスを収容するように構成されている場合がある。
【0024】
この発明を適用可能な分野はここでの開示によって明らかにされる。この発明の概要における説明と具体的な例示とは、具体的な説明を与える用途だけを意図したものであって、本発明の技術的範囲を限定することを意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】図1Aは、従来技術に係る点火プラグの側面図である。
【図1B】図1Bは、従来技術に係る点火室カップの断面図である。
【図1C】図1Cは、従来技術に係る点火プラグの部分断面図である。
【図1D】図1Dは、従来技術に係る点火プラグの側面図である。
【図2A】図2Aは、従来技術に係る点火プラグの部分的な断面図であって、第1の点火火花が発生している状態を示す。
【図2B】図2Bは、従来技術に係る点火プラグの部分的な断面図であって、燃焼行程における状態を示す。
【図2C】図2Cは、従来技術に係る点火プラグの部分的な断面図であって、第2の点火火花が発生している状態を示す。
【図3】図3は、従来技術に係る点火プラグの部分的な断面図であって、第1の点火位置をもつ従来技術を示す。
【図4A】図4Aは、この明細書において開示される点火プラグの部分的な断面図であって、第2の点火位置をもつ点火プラグを示す。
【図4B】図4Bは、この明細書において開示される点火プラグの部分的な断面図であって、点火火花が発生している状態を示す。
【図5A】図5Aは、本発明を適用した第1実施形態に係るプレチャンバー点火プラグの部分的な側面図であって、ガス通し室を有するプレチャンバー点火プラグを示し、点火室カップにおける構成要素の配置を透視によって示す。
【図5B】図5Bは、第1実施形態に係るプレチャンバー点火プラグの下側から見た模式図であって、点火室キャップにおける構成要素の配置を部分的な断面、もしくは部分的な透視によって示す。
【図5C】図5Cは、第1実施形態に係るプレチャンバー点火プラグの側面図であって、点火室カップにおける構成要素の配置を透視によって示す。
【図5D】図5Dは、第1実施形態に係るプレチャンバー点火プラグの側面から見た部分的な断面図であって、点火火花が発生している状態を示す。
【図6A】図6Aは、本発明を適用した第2実施形態に係るプレチャンバー点火プラグの部分的な側面図であって、ガス通し空洞室と二次ガス空洞室とを有するプレチャンバー点火プラグを示し、点火火花が発生している状態を示す。
【図6B】図6Bは、第2実施形態に係るプレチャンバー点火プラグの部分的な側面図であって、点火室カップにおける構成要素の配置を透視によって示し、吸気行程における状態を示す。
【図6C】図6Cは、第2実施形態に係るプレチャンバー点火プラグの部分的な側面図であって、点火室カップにおける構成要素の配置を透視によって示す。
【図6D】図6Dは、第2実施形態に係るプレチャンバー点火プラグの下側から見た模式図であって、点火室キャップにおける構成要素の配置を部分的な断面、もしくは部分的な透視によって示す。
【0026】
ここに説明された図面は、選択された実施形態を図示するためだけのものであって、すべての実用的な可能性を示すものではない。そして、ここに説明された図面は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。複数の図面の図示にわたって、対応する参照符号は、対応する部分を指している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、図面を参照しながら開示された発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0028】
以下、本発明の複数の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
図1Aにおいて、従来技術による点火プラグ10はインシュレータ12、六角ナットが形成された頭部14、ガスケット16、ハウジング18、中心電極20、および接地電極22を備える。インシュレータ12は、中心電極20に図示されない点火プラグワイヤーを接続するための図示されない端子を取り囲んでいる。図示されないエンジンのシリンダヘッドの点火プラグ穴に点火プラグ10を締め付けたり、緩めたりするために、六角ナットが形成された頭部14にはソケットレンチを嵌め込むことができる。ガスケット16は、点火プラグ穴を密閉するためにシリンダヘッドに対して押し付けられる。
【0030】
ハウジング18はエンジンの点火プラグ穴へねじ込むように構成されている。例えば、ハウジング18は点火プラグ穴の雌ねじと噛合うように調整され、構成された外ねじを備える。中心電極20はハウジング18の中心から軸方向に延び出している。接地電極22は、ハウジング18から放射状に内部へ延びている。点火プラグ10が点火プラグ穴に装着された状態では、中心電極20と接地電極22とは、エンジンのシリンダ内のガスに対して露出した状態におかれる。点火プラグ10は、中心電極20と接地電極22の間に火炎核を生成し、生成される炎は、シリンダ内に伝播してゆく。図1Bにおいて、従来技術による点火室カップ24は、点火室カップ24の底面を通って軸方向に延びるひとつ以上のオリフィス26を区画し提供している。
【0031】
図1Cにおいて、従来技術によるプレチャンバー点火プラグ28はインシュレータ30、六角ナットが形成された頭部32、ガスケット34、ハウジング36、中心電極38、接地電極40、および点火室カップ42を備える。インシュレータ30は、中心電極38に図示されない点火プラグワイヤーを接続するための図示されない端子を取り囲んでいる。図示されないエンジンのシリンダヘッドの点火プラグ穴にプレチャンバー点火プラグ28を締め付けたり、緩めたりするために、六角ナットが形成された頭部32にはソケットレンチを嵌め込むことができる。ガスケット34は、点火プラグ穴を密閉するためにシリンダヘッドに対して押し付けられる。
【0032】
ハウジング36はエンジンの点火プラグ穴へねじ込むように構成されている。中心電極38はハウジング36の中心から軸方向に延びている。接地電極40は、ハウジング36から放射状に内部へ延びている。プレチャンバー点火プラグ28は、中心電極38と接地電極40の間に火炎核を生成し、生成される炎は、シリンダ内に伝播してゆく。
【0033】
点火室カップ42は溶接部44を使用して、ハウジング36に装着されている。また、点火室カップ42は中心電極38および接地電極40を囲み、収容している。吸気行程の間に、未燃焼ガスは、点火室カップ42の底面を通って軸方向に延びるひとつまたは複数のオリフィス46を通して流れる。よって、未燃焼ガスは、点火室カップ42内に流れ込む。燃焼にあたり、プレチャンバー点火プラグ28は、中心電極38と接地電極40との間における点火火花の生成によって未燃焼ガスに点火する。動力行程の間に、すなわち燃焼行程の間に、点火火花に起因する火炎噴流は、オリフィス46を通して流れて、プレチャンバー点火プラグ28の外部のシリンダ内の未燃焼ガスに点火する。
【0034】
図1Dにおいて、従来技術に係るプレチャンバー点火プラグ28aは、上述のプレチャンバー点火プラグ28に実質的な類似関係にある。以下の説明では、図1Dに図示された相違点、および追加点だけが説明される。中心電極38aは先端部分48aを含んでいる。また、接地電極40aは先端部分50aを含んでいる。中心電極38aおよび接地電極40aは、中心電極38および接地電極40に比べて、それらよりも上側にずらして位置付けられている。
【0035】
ハウジング36aと点火室カップ42aとの内側の表面、および中心電極38aと接地電極40aとの外側の表面は、点火室52aを区画し、提供している。点火室52aは、先端部分48aと先端部分50aとの間の火花ギャップよりも上側、すなわちインシュレータ30a側と、火花ギャップよりも下側、すなわち点火室カップ42a側との両方に容積を有する。下側容積は、上側容積おりも明らかに大きい。複数のオリフィス46は、下側容積に連通している。しかも、複数のオリフィス46は、下側容積の中の下部にだけ連通している。よって、上側容積は、オリフィス46から遠く離れている。上側容積は、ハウジング36aとインシュレータ30aと中心電極38aとによって区画される。上側容積は、筒状または円筒状の空間である。中心電極38aと接地電極40aとは、図中の上方へずらされているから、プレチャンバー点火プラグ28aの点火室52aの容積は、プレチャンバー点火プラグ28の中の点火室の容積より大きい。中心電極38aおよび接地電極40aの体積も、点火室52aの容積を増加させるために縮小されている。
【0036】
図2Aにおいて、プレチャンバー点火プラグ28aはエンジン54に装着された状態で図示されている。エンジン54の最初の吸気行程の間に、未燃焼ガス56がオリフィス46aを通して点火室52aの中に流入する。燃焼にあたり、プレチャンバー点火プラグ28aは、中心電極38aと接地電極40aとの間に点火火花57を生成することによって、点火室52a内の未燃焼ガス56に点火する。
【0037】
図2Bを追加的に参照することにより、点火火花から生じた火炎噴流は点火室52aの内部にわたって伝播し、オリフィス46aを通して伝播し、さらに、生じた火炎噴流はシリンダ内にわたって伝播する。この結果、点火火花から生じた火炎噴流は、未燃焼ガス56を燃焼させ、シリンダ内に燃焼済ガス58を残す。エンジン54の動力行程、すなわち燃焼行程の間に、未燃焼ガスの上記の燃焼はシリンダ内の圧力を上昇させ、トルクを生成するために、シリンダ内の図示されないピストンを駆動する。エンジン54の排気行程の間に、燃焼済ガス58の一部は点火室52aから引き出され、取り除かれる。
【0038】
図2Cにおいて、エンジン54の後続の吸入行程の間に、未燃焼ガス60がオリフィス46aを通して点火室52aに流れ込むとき、燃焼済ガス58の一部は点火室52aに残っている。燃焼にあたり、プレチャンバー点火プラグ28aは、中心電極38aと接地電極40aとの間における点火火花62の生成によって未燃焼ガス60に点火する。
【0039】
図3において、プレチャンバー点火プラグ28aによる燃焼効率に影響する要因は、点火火花位置、点火室の容積、およびオリフィス直径を含む。点火火花位置は、点火室52aの上部の端から中心電極38aの先端部分48aの下側端部までの距離64によって示される。点火室52aの容積は、点火室52aの容積である。ハウジングと点火室カップは所定の容積をもつ点火室52aを区画している。オリフィス直径は、ひとつ以上のオリフィス46aのひとつ以上の直径66である。
【0040】
図4Aにおいて、ここに開示されたプレチャンバー点火プラグ68は、エンジン72の点火プラグ穴70に設置されている。エンジン72は天然ガス機関のような火花点火機関である。天然ガス機関は、高い燃焼効率と少ない排気成分とを実現するために、長い耐久寿命と高い点火性能とをもつ点火プラグを必要とする。プレチャンバー点火プラグ68は、これらの必要条件を満たすように設計される。
【0041】
プレチャンバー点火プラグ68は、端子を含むインシュレータ74、ハウジング76、中心電極78、接地電極80、および点火室カップ82を備える。端子を含むインシュレータ74は、ハウジング76の上端から突出しており、中心電極78に、図示されない点火プラグワイヤーを接続するために利用される。ハウジング76はエンジンの点火プラグ穴70へねじ込むように構成されている。例えば、ハウジング76は点火プラグ穴70の雌ねじと噛合うように調整され、構成された外ねじを備える。
【0042】
中心電極78はハウジング6の中心から延びている。接地電極80は、ハウジング76から放射状に内部へ延びている。点火室カップ82は溶接部84を使用して、ハウジング76に装着されている。溶接部84は、レーザー溶接部によって形成することができる。点火室カップ82は中心電極78および接地電極80を囲む。点火室カップ82は、点火室カップ82の底面を通って軸方向に延びるひとつ以上のオリフィス86を区画している。中心電極78は先端部分88を含んでいる。また、接地電極80は先端部分90を含んでいる。ハウジング76および点火室カップ82の内側の表面は、点火室92を区画し、提供している。
【0043】
プレチャンバー点火プラグ68の中心電極78の高さは、図3のプレチャンバー点火プラグ28aの中心電極38aの高さより小さい。その結果、距離94によって示されたプレチャンバー点火プラグ68の火花点火位置は、距離64によって示されたプレチャンバー点火プラグ28aの火花点火位置とは異なる。距離94は、距離64より小さい。このような距離関係を図示するために、プレチャンバー点火プラグ28aの中心電極38aおよび接地電極40aは、破線によって図示されている。距離94に起因して、中心電極78および接地電極80は、点火室92の容積の1/2以下の中に配置されている。例えば、中心電極78と接地電極80とは、点火室92の容積の1/3の中に配置されている。図示されるように、中心電極78および接地電極80を収容する容積部分は、点火室92の上部に位置している。
【0044】
プレチャンバー点火プラグ28aの点火火花位置とプレチャンバー点火プラグ68の点火火花位置との間の違いにより、プレチャンバー点火プラグ68の点火室92の容積は、プレチャンバー点火プラグ28aの中の点火室52aの容積より大きい。その結果、プレチャンバー点火プラグ68の火炎噴流の速度は、プレチャンバー点火プラグ28aの火炎噴流の速度より高い。これは、エンジン72の燃焼効果を改善する。
【0045】
図4Bにおいて、未燃焼ガス96は吸入行程の間に、オリフィス86を通って点火室92に流れ込む。未燃焼ガス96が点火室92に入るとき、点火室92は先の燃焼行程から残された燃焼済ガス98を収容していることがある。したがって、燃焼にあたっては、中心電極78および接地電極80は燃焼済ガス98によって包囲されることがあり、したがって、未燃焼ガス96に点火することができずに失火を生じるおそれがある。
【0046】
図5Aから図5Dにおいて、プレチャンバー点火プラグ68を基礎的な構成とし、それに類似の、プレチャンバー点火プラグ68aを説明する。プレチャンバー点火プラグ68aは、この明細書により開示された発明の実施形態である。以下の説明では、主として、先行いて説明された構成との相違点、および追加点が説明される。
【0047】
プレチャンバー点火プラグ68aは、エンジン72にねじ込まれるハウジング76aと、ハウジング76a内に支持され中心電極78aを保持するインシュレータ74aとを有する。プレチャンバー点火プラグ68aは、オリフィス86aが形成された点火室キャップ82aを有する。点火室キャップ82aは、溶接部84aによってハウジング76aに装着されている。プレチャンバー点火プラグ68aのハウジング76aは、ハウジング76aを通して、すなわち貫通するように放射状に延びる少なくともひとつのガス通し空洞室100aを区画する。ガス通し空洞室100aは点火火花101aが中心電極78aと接地電極80aとの間で生成されるときに、ハウジング76a内に存在する燃焼済ガスを収容するように構成されている。言い換えると、ガス通し空洞室100aは、点火室92aに残された燃焼済ガス98が流れ込むことができる追加的な容積を提供することにより、中心電極78aと接地電極80aとの周囲にまで未燃焼ガス96が到達することを許容する。ガス通し空洞室100aによって提供される追加的な空洞室の容積は、中心電極78aと接地電極80aとの周囲にまで未燃焼ガス96が到達できるように設定されている。
【0048】
ハウジング76aの内面と中心電極78aとインシュレータ74aとは、点火室92a内において、環状の上部容積室、言い換えると環状の上部点火室を区画している。上部点火室は、上方向へ向けて閉じられている。ガス通し空洞室100aは、上部点火室から径方向外側に延び出す追加容積を提供する。ガス通し空洞室100aは、追加的な空洞室とも呼ぶことができる。追加的な空洞室は、上部点火室より径方向外側に位置している。未燃焼ガスは、オリフィス86aを通して点火室92aに流れ込み、点火室92a内を上に向けて流れる。中心電極78aと接地電極80aとの間、およびその近傍に残留していた燃焼済ガスは、未燃焼ガスに押されて径方向外側に流れ、ガス通し空洞室100aへ押し込まれる。
【0049】
図示されるように、ガス通し空洞室100aはハウジング76aを完全に通して延びる複数の筒状の穴によって提供されうる。ガス通し空洞室100aは、ハウジング76aを通して放射状に延びる。筒状の空洞室は、円形の穴によって提供される。空洞室の直径は、2mmから5mmとすることができる。代替的に、ガス通し空洞室100aは非円形の穴によって提供することができる。このような円形または非円形の空洞室は、ハウジング76aを少なくとも部分的に通して延びることができる。さらに、図5Bの中で端的に図示されるように、円形か非円形の穴はハウジング76aの周囲のまわりに等間隔に配置することができる。ガス通し空洞室100aは、N個の筒状の空洞室を含むことができる。このNは1より大きい整数である。例えば、Nは、4である。
【0050】
中心電極78aは、本体部分と、先端部分90aとを備えることができる。中心電極78aは、本体部分と先端部分90aとだけから構成されうる。中心電極78aの本体部分は第1の高さを有し、ガス通し空洞室100aは、第1の高さとほぼ等しい第2の高さを有する。中心電極78bは、第1端部と、第1端部の反対側の第2端部とを有することができる。本体部分は、第1端部から先端部分90aへ延びており、先端部分90aは、本体部分から第2端部へ延びている。加えて、図示されるように、ガス通し空洞室100aの第2の高さは、プレチャンバー点火プラグの軸方向に関して、中心電極78aの本体部分の第1の高さと整合するように、言い換えると、径方向に沿って見たときに重複するように、位置付けられている。ガス通し空洞室100aは、軸方向に関して、中心電極78aの本体部分と整合して位置付けられている。多様な実施形態において、ガス通し空洞室100aの高さは、中心電極78aの本体部分の高さとは異なるかもしれないし、および/または、ガス通し空洞室100aの高さは、中心電極78aの本体部分の高さから軸方向にずれて位置付けられることがある。
【0051】
図5Dに端的に図示されるように、未燃焼ガス96は吸入行程の間に、オリフィス86aを通して点火室92aに流れ込む。未燃焼ガス96が点火室92aに流れ込むにつれて、未燃焼ガス96は点火室92aの上端部に向けて燃焼済ガス98を押し込み、さらに、ガス通し空洞室100aの中へ燃焼済ガス98を押し込む。したがって、燃焼にあたっては、中心電極78aおよび接地電極80aは未燃焼ガス96によって包囲され、したがって、未燃焼ガス96に点火する。このように、ガス通し空洞室100aは、プレチャンバー点火プラグ68aの点火火花位置に起因して生じるかもしれない失火を抑制する。この結果、点火火花位置に起因する燃焼効率における改良が実現される。
【0052】
図6Aから図6Dを参照して、プレチャンバー点火プラグ68aと同様のプレチャンバー点火プラグ68bを説明する。プレチャンバー点火プラグ68aは、この明細書により開示された発明の実施形態である。以下の説明では、主として、図5Aの図示との相違点、および追加点が説明される。
【0053】
プレチャンバー点火プラグ68bは、エンジン72にねじ込まれるハウジング76bと、ハウジング76b内に支持され中心電極78bを保持するインシュレータ74bとを有する。プレチャンバー点火プラグ68bは、オリフィス86bが形成された点火室キャップ82bを有する。点火室キャップ82bは、溶接部84bによってハウジング76bに装着されている。プレチャンバー点火プラグ68bは、二次ガス空洞室102bを区画し、提供する。ハウジング76bは、ガス通し空洞室100bと流体的に連通した二次ガス空洞室102bを区画する。この二次ガス空洞室102bはハウジング76bの内側の表面を通ることなくハウジング76bの内部に放射状に延びる。言い換えると、二次ガス空洞室102bは、ハウジング76bの外側の表面から、ハウジング76bの径方向外側の部分だけに凹部として形成されている。
【0054】
図6Aに図示されるように、ガス通し空洞室100bおよび二次ガス空洞室102bは点火火花103bが中心電極78bと接地電極80bとの間で生成されるときに、ハウジング76b内に存在する燃焼済ガスを収容するように構成されている。二次ガス空洞室102bは、ガス通し空洞室100bに対して追加される追加的な容積を提供する。二次ガス空洞室102bは、燃焼済ガスを収容するための容積を、ガス通し空洞室100bだけによって提供される容積から、増加させる。言い換えると、ガス通し空洞室100bおよび二次ガス空洞室102bは、点火室92に残された燃焼済ガス98が流れ込むことができる追加的な容積を提供することにより、中心電極78bと接地電極80bとの周囲にまで未燃焼ガス96が到達することを許容する。
【0055】
ガス通し空洞室100bおよび二次ガス空洞室102bによって提供される追加的な空洞室の容積は、中心電極78bと接地電極80bとの周囲にまで未燃焼ガス96が到達できるように設定されている。この実施形態では、ガス通し空洞室100bおよび二次ガス空洞室102bによって、追加的な空洞室が提供されている。ガス通し空洞室100bおよび二次ガス空洞室102bは、プレチャンバー点火プラグ68aの軸方向に関して、中心電極78bと整合して、言い換えると径方向に沿って見ると重複するように、位置付けられている。さらに、ガス通し空洞室100bおよび二次ガス空洞室102bは、軸方向に関して、接地電極80bの少なくとも一部と整合して、すなわち径方向に沿って見ると重複するように、位置付けられている。ガス通し空洞室100bおよび二次ガス空洞室102bは、軸方向に関して、中心電極78bと整合し、かつ、接地電極80bの少なくとも一部と整合するように位置付けられている。
【0056】
図6Cおよび図6Dで示されるように、二次ガス空洞室102bはU字状の形を有することができる。この二次ガス空洞室102bの形状は、D字状とも呼ぶことができる。二次ガス空洞室102bは、プレチャンバー点火プラグ68aの径方向外側から見た場合に、プレチャンバー点火プラグ68aの上部に周方向に延びるまっすぐな上縁を有し、プレチャンバー点火プラグ68aの下部に湾曲したU字状の下縁を有する。上縁のほぼ中央には、ガス通し空洞室100bが位置付けられている。よって、ガス通し空洞室100bと、二次ガス空洞室102bとは、点火室92bから、径方向外側に向けて延び、その後、下方向、すなわち燃焼室の方向に向けて延びる空洞室を区画し、提供している。
【0057】
ハウジング76bの周方向に関する二次ガス空洞室102bの最大幅は、上縁において与えられている。ハウジング76bの周方向に関する二次ガス空洞室102bの最大幅は、ハウジング76bの周方向に関するガス通し空洞室100bの最大幅よりも大きい。このため、ガス通し空洞室100bと、二次ガス空洞室102bとは、点火室92bから、径方向外側に向けて延び、その後、周方向に向けて広がる空洞室を区画し、提供している。
【0058】
二次ガス空洞室102bは、ハウジング76bの軸方向および周方向に関して、ガス通し空洞室100bよりも大きい空洞室を提供する。二次ガス空洞室102bは、ハウジング76bの径方向外側の部分にだけ形成されているから、二次ガス空洞室102bが提供する径方向の大きさ、すなわち径方向深さは浅い。しかし、二次ガス空洞室102bは、ガス通し空洞室100bから見て、ハウジング76bの径方向外側、すなわち点火室92bから遠く離れ、かつエンジン72に近い部位において、拡張された空洞を提供する。
【0059】
ガス通し空洞室100bは、円筒内面によって区画されている。これに代えて、ガス通し空洞室100bも、U字状、またはD字状と呼びうる形状を有していてもよい。
【0060】
以上に述べた実施形態の説明は、図示と説明のために与えられたものである。そこには、発明を限定する意図や、網羅的にする意図はない。それぞれの個別の構成要素、または特定の実施形態の特徴は、その特定の実施形態に限定されない。しかし、具体的に図示され説明されていない限り、適用可能であれば、それらは互いに入れ替え可能であり、特定の選ばれた実施形態において利用可能である。それぞれの個別の構成要素、または特定の実施形態の特徴は、多くの手法に変形可能でもある。それらの変形例は本発明からの派生物として考慮されるべきではなく、すべてのそれらの変形例は本発明の技術的範囲に属するべきものとして意図されている。
【0061】
以上、開示された発明の好ましい実施形態について説明したが、開示された発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、開示された発明の技術的範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。開示された発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0062】
10、28、28a、68、68a、68b 点火プラグ、
18、36、36a、76、76a、76b ハウジング、
20、38、38a、78、78a、78b 中心電極、
22、40、40a、80、80a、80b 接地電極、
24、42、42a、82、82a、82b 点火室カップ、
26、46、46a、86、86a、86b オリフィス、
52a、92、92a、92b 点火室、
100a、100b ガス通し空洞室、
102b 二次ガス空洞室。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの点火プラグ穴へねじ込むように構成されたハウジングと、
前記ハウジングの中心から延び出す中心電極と、
前記ハウジングから放射状に内部へ延びる接地電極と、
前記ハウジングに取り付けられた点火室カップとを備え、前記ハウジングは、前記ハウジングを少なくとも部分的に通して放射状に延びるガス通し空洞室を区画することを特徴とするプレチャンバー点火プラグ。
【請求項2】
前記ガス通し空洞室は前記ハウジングを完全に通して延びていることを特徴とする請求項1に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項3】
前記ガス通し空洞室は、前記ハウジングの周囲のまわりに等間隔に配置されたN個の筒状の空洞室を含み、前記Nは1より大きい整数であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項4】
前記Nは、4であることを特徴とする請求項3に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項5】
前記ガス通し空洞室は点火火花が前記中心電極と前記接地電極との間で生成されるときに、前記ハウジング内に存在する燃焼済ガスを収容するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項6】
前記中心電極は、第1端部と、前記第1端部の反対側の第2端部とを有し、かつ、前記中心電極は、本体部分と、先端部分とを備え、前記本体部分は、前記第1端部から前記先端部分へ延びており、前記先端部分は、前記本体部分から前記第2端部へ延びていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項7】
前記中心電極の前記本体部分は第1の高さを有し、前記ガス通し空洞室は、前記第1の高さとほぼ等しい第2の高さを有することを特徴とする請求項6に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項8】
前記ガス通し空洞室の前記第2の高さと、前記中心電極の前記本体部分の前記第1の高さとは、軸方向に関して整合して位置付けられていることを特徴とする請求項7に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項9】
前記ハウジングと前記点火室カップは所定の容積を区画しており、前記中心電極と前記接地電極とは前記容積の1/2の中に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項10】
前記中心電極と前記接地電極とは前記容積の1/3の中に配置されていることを特徴とする請求項9に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項11】
前記ハウジングは、前記ガス通し空洞室と流体的に連通した二次ガス空洞室を区画し、この二次ガス空洞室は前記ハウジングの内側の表面を通ることなく前記ハウジングの内部に放射状に延びることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項12】
前記ガス通し空洞室は、U字状の形を有することを特徴とする請求項11に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項13】
前記ガス通し空洞室および前記二次ガス空洞室は、軸方向に関して、前記中心電極と整合して位置付けられ、かつ、前記接地電極の少なくとも一部と整合して位置付けられていることを特徴とする請求項11または請求項12に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項14】
前記ガス通し空洞室および前記二次ガス空洞室は点火火花が前記中心電極と前記接地電極との間で生成されるときに、前記ハウジング内に存在する燃焼済ガスを収容するように構成されていることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれかに記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項15】
エンジンの点火プラグ穴へねじ込むように構成されたハウジングと、
前記ハウジングの中心から軸方向に延び、本体部分と先端部分とを含む中心電極と、
前記ハウジングから放射状に内部へ延びる接地電極と、
前記ハウジングに取り付けられた点火室カップとを備え、前記ハウジングと前記点火室カップは所定の容積を区画しており、前記ハウジングは、前記ハウジングを完全に通して放射状に延びるガス通し空洞室を区画しており、前記ガス通し空洞室は、軸方向に関して、前記中心電極の前記本体部分と整合して位置付けられており、前記中心電極と前記接地電極とは前記容積の1/3の中に配置されていることを特徴とするプレチャンバー点火プラグ。
【請求項16】
前記ガス通し空洞室は、前記ハウジングの周囲のまわりに等間隔に配置されたN個の筒状の空洞室を含み、前記Nは1より大きい整数であることを特徴とする請求項15に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項17】
前記ガス通し空洞室は点火火花が前記中心電極と前記接地電極との間で生成されるときに、前記ハウジング内に存在する燃焼済ガスを収容するように構成されていることを特徴とする請求項15または請求項16に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項18】
前記中心電極の前記本体部分は第1の高さを有し、前記ガス通し空洞室は、前記第1の高さとほぼ等しい第2の高さを有することを特徴とする請求項15から請求項17のいずれかに記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項19】
エンジンの点火プラグ穴へねじ込むように構成されたハウジングと、
前記ハウジングの中心から延び出す中心電極と、
前記ハウジングから放射状に内部へ延びる接地電極と、
前記ハウジングに取り付けられた点火室カップとを備え、
前記ハウジングと前記点火室カップは所定の容積を区画しており、
前記ハウジングは、ガス通し空洞室と、このガス通し空洞室と流体的に連通した二次ガス空洞室を区画し、前記ガス通し空洞室は、前記ハウジングを完全に通して放射状に延びており、前記二次ガス空洞室は、前記ハウジングの内側の表面を通ることなく前記ハウジングの内部に放射状に延びており、前記ガス通し空洞室および前記二次ガス空洞室は、軸方向に関して、前記中心電極と整合して位置付けられ、かつ、前記接地電極の少なくとも一部と整合して位置付けられており、
前記中心電極と前記接地電極とは前記容積の1/3の中に配置されていることを特徴とするプレチャンバー点火プラグ。
【請求項20】
前記ガス通し空洞室および前記二次ガス空洞室は点火火花が前記中心電極と前記接地電極との間で生成されるときに、前記ハウジング内に存在する燃焼済ガスを収容するように構成されていることを特徴とする請求項19に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項1】
エンジンの点火プラグ穴へねじ込むように構成されたハウジングと、
前記ハウジングの中心から延び出す中心電極と、
前記ハウジングから放射状に内部へ延びる接地電極と、
前記ハウジングに取り付けられた点火室カップとを備え、前記ハウジングは、前記ハウジングを少なくとも部分的に通して放射状に延びるガス通し空洞室を区画することを特徴とするプレチャンバー点火プラグ。
【請求項2】
前記ガス通し空洞室は前記ハウジングを完全に通して延びていることを特徴とする請求項1に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項3】
前記ガス通し空洞室は、前記ハウジングの周囲のまわりに等間隔に配置されたN個の筒状の空洞室を含み、前記Nは1より大きい整数であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項4】
前記Nは、4であることを特徴とする請求項3に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項5】
前記ガス通し空洞室は点火火花が前記中心電極と前記接地電極との間で生成されるときに、前記ハウジング内に存在する燃焼済ガスを収容するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項6】
前記中心電極は、第1端部と、前記第1端部の反対側の第2端部とを有し、かつ、前記中心電極は、本体部分と、先端部分とを備え、前記本体部分は、前記第1端部から前記先端部分へ延びており、前記先端部分は、前記本体部分から前記第2端部へ延びていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項7】
前記中心電極の前記本体部分は第1の高さを有し、前記ガス通し空洞室は、前記第1の高さとほぼ等しい第2の高さを有することを特徴とする請求項6に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項8】
前記ガス通し空洞室の前記第2の高さと、前記中心電極の前記本体部分の前記第1の高さとは、軸方向に関して整合して位置付けられていることを特徴とする請求項7に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項9】
前記ハウジングと前記点火室カップは所定の容積を区画しており、前記中心電極と前記接地電極とは前記容積の1/2の中に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項10】
前記中心電極と前記接地電極とは前記容積の1/3の中に配置されていることを特徴とする請求項9に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項11】
前記ハウジングは、前記ガス通し空洞室と流体的に連通した二次ガス空洞室を区画し、この二次ガス空洞室は前記ハウジングの内側の表面を通ることなく前記ハウジングの内部に放射状に延びることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項12】
前記ガス通し空洞室は、U字状の形を有することを特徴とする請求項11に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項13】
前記ガス通し空洞室および前記二次ガス空洞室は、軸方向に関して、前記中心電極と整合して位置付けられ、かつ、前記接地電極の少なくとも一部と整合して位置付けられていることを特徴とする請求項11または請求項12に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項14】
前記ガス通し空洞室および前記二次ガス空洞室は点火火花が前記中心電極と前記接地電極との間で生成されるときに、前記ハウジング内に存在する燃焼済ガスを収容するように構成されていることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれかに記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項15】
エンジンの点火プラグ穴へねじ込むように構成されたハウジングと、
前記ハウジングの中心から軸方向に延び、本体部分と先端部分とを含む中心電極と、
前記ハウジングから放射状に内部へ延びる接地電極と、
前記ハウジングに取り付けられた点火室カップとを備え、前記ハウジングと前記点火室カップは所定の容積を区画しており、前記ハウジングは、前記ハウジングを完全に通して放射状に延びるガス通し空洞室を区画しており、前記ガス通し空洞室は、軸方向に関して、前記中心電極の前記本体部分と整合して位置付けられており、前記中心電極と前記接地電極とは前記容積の1/3の中に配置されていることを特徴とするプレチャンバー点火プラグ。
【請求項16】
前記ガス通し空洞室は、前記ハウジングの周囲のまわりに等間隔に配置されたN個の筒状の空洞室を含み、前記Nは1より大きい整数であることを特徴とする請求項15に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項17】
前記ガス通し空洞室は点火火花が前記中心電極と前記接地電極との間で生成されるときに、前記ハウジング内に存在する燃焼済ガスを収容するように構成されていることを特徴とする請求項15または請求項16に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項18】
前記中心電極の前記本体部分は第1の高さを有し、前記ガス通し空洞室は、前記第1の高さとほぼ等しい第2の高さを有することを特徴とする請求項15から請求項17のいずれかに記載のプレチャンバー点火プラグ。
【請求項19】
エンジンの点火プラグ穴へねじ込むように構成されたハウジングと、
前記ハウジングの中心から延び出す中心電極と、
前記ハウジングから放射状に内部へ延びる接地電極と、
前記ハウジングに取り付けられた点火室カップとを備え、
前記ハウジングと前記点火室カップは所定の容積を区画しており、
前記ハウジングは、ガス通し空洞室と、このガス通し空洞室と流体的に連通した二次ガス空洞室を区画し、前記ガス通し空洞室は、前記ハウジングを完全に通して放射状に延びており、前記二次ガス空洞室は、前記ハウジングの内側の表面を通ることなく前記ハウジングの内部に放射状に延びており、前記ガス通し空洞室および前記二次ガス空洞室は、軸方向に関して、前記中心電極と整合して位置付けられ、かつ、前記接地電極の少なくとも一部と整合して位置付けられており、
前記中心電極と前記接地電極とは前記容積の1/3の中に配置されていることを特徴とするプレチャンバー点火プラグ。
【請求項20】
前記ガス通し空洞室および前記二次ガス空洞室は点火火花が前記中心電極と前記接地電極との間で生成されるときに、前記ハウジング内に存在する燃焼済ガスを収容するように構成されていることを特徴とする請求項19に記載のプレチャンバー点火プラグ。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【公開番号】特開2012−216507(P2012−216507A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−53576(P2012−53576)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【出願人】(500164385)デンソー インターナショナル アメリカ インコーポレーテッド (49)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【出願人】(500164385)デンソー インターナショナル アメリカ インコーポレーテッド (49)
【Fターム(参考)】
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