説明

プレファブ管の接続構造

【課題】プレファブ工法やユニット工法等を用いて配管設備の設置作業を効率的に行なうことが可能となるプレファブ管の接続構造を提供する。
【解決手段】プレファブ管の接続構造は、端部に拡径部13が設けられたプレファブ管12と、一端が拡径部13に挿入されるプレファブ管11とを接続するものであり、プレファブ管11,12を固定するネジ16と、拡径部13内に位置するプレファブ管11の外周面上であってプレファブ管11の開口端から離れた位置に設けられネジ16を受け入れる凹部19aを有する隆起部19と、該隆起部19とプレファブ管11の開口端との間に位置するプレファブ管11の外周面と拡径部13との間に設置されたシール部材18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、典型的には建築物内に配設される配管同士を接続する際に使用可能なプレファブ管の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物内には、一般に給水や給湯等を行なうべく水や湯等の流体を流通させることが可能な様々な配管設備が設置される。この配管設備の設計および設置工事は、建築工事の品質および工期を左右する大きな要因となる。ところが、建築物の基礎工事や、鉄骨の組立作業等に工期の大部分が費やされることが多いため、現実には、残された短い期間の中で配管設備の設置工事を行なうことを要求されることが多い。
【0003】
そこで、従来から、短い工期で配管設備の設置工事を行なうべく、プレファブ管やモジュール管と呼ばれる配管同士を接続可能な様々な形状の接続管を作製し、当該プレファブ管等を用いて効率的に配管設備を構築するプレファブ工法やユニット工法等の手法が提案されている。
【0004】
プレファブ工法は、上記のようなプレファブ管やモジュール管を予め工場等の工事現場以外の場所で作製しておき、これらを工事現場に搬入して配管の組立てを行ない、配管設備を設置するものである。他方、ユニット工法は、たとえば対象となる建築物の設計図から作成されたアイソメトリック図や配管製作図に基づいて、工場等の工事現場以外の場所でプレファブ管やモジュール管を用いて配管ユニットを作製し、この配管ユニットを工事現場に搬入して、他の機器と接続したり、配管ユニット同士を接続する等して配管設備を設置するものである。
【0005】
上記のプレファブ工法やユニット工法等においても、配管同士は何らかの手法で接続されることとなるが、配管同士の接続手法としては、たとえば特開平9−229260号公報等に記載の手法がある。
【特許文献1】特開平9−229260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような従来のプレファブ工法やユニット工法等を採用して配管設備の設置を行なう際には、配管ユニットを他の機器等と接続したり、プレファブ管やモジュール管を取り付けたりする際に、管同士を正確に位置合わせした状態で保持し、この状態でフランジ等に形成された貫通孔にボルトを通してナットで固定する必要がある。このため、配管の取付けが完了するまでの間、管を保持する作業者と、ボルト締めを行なう作業者とを要し、多くの作業者が必要となるばかりでなく、管を保持しながらボルト締めを行なう必要があり作業効率も低下する。特に、管同士が正確に位置合せされていなければ、フランジ等に形成された貫通孔にボルトを通すことができない場合もあり、このような場合には管同士を固定するのに多大の時間を要することとなる。
【0007】
また、配管作業は、配管図面に従った管形状、管の姿勢を保持した状態での接続・取外しが必要とされる。従来の接続・取外し作業では、継手に管を差し込み、管側を回転して接続するため、異形管と異形管との接続・取外しでは管の姿勢と方向を保てない場合がある。
【0008】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、プレファブ工
法やユニット工法等を用いて配管設備の形状・姿勢を保持しながら、その設置および取外し作業を効率的に行なうことが可能となるプレファブ管の接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るプレファブ管の接続構造は、端部に拡径部が設けられた第1プレファブ管と、一端が前記拡径部に挿入される第2プレファブ管とを接続するプレファブ管の接続構造である。
【0010】
1つの局面では、本発明に係るプレファブ管の接続構造は、第1プレファブ管と第2プレファブ管とを固定する固定部材と、拡径部内に位置する第2プレファブ管の外周面上であって第2プレファブ管の開口端から離れた位置に設けられ固定部材を受け入れる凹部を有する隆起部と、該隆起部と第2プレファブ管の開口端との間に位置する第2プレファブ管の外周面と拡径部との間に設置されたシール部材とを備える。そして、拡径部に固定部材を受け入れる貫通孔を設け、第2プレファブ管の一端を拡径部内に挿入した状態で、該貫通孔と上記凹部とに外部から固定部材を装着することで、第1プレファブ管と第2プレファブ管とを固定する。
【0011】
他の局面では、本発明に係るプレファブ管の接続構造は、拡径部内に位置する第2プレファブ管の外周面上であって第2プレファブ管の開口端から離れた位置に設けられた凸部と、拡径部の内周面に設けられ第2プレファブ管の一端を拡径部内に挿入した際に凸部を係止可能な係止部と、凸部と第2プレファブ管の開口端との間に位置する第2プレファブ管の外周面と拡径部との間に設置されたシール部材と、係止部よりも拡径部の開口端側に拡径部を貫通して設けられ第2プレファブ管に近づく方向と第2プレファブ管から離れる方向とに進退可能な可動部材と、拡径部に設けられ可動部材を第2プレファブ管側に付勢可能な弾性部材と、可動部材の外周面上から拡径部の外周面上に延在するように巻き付けられる巻付部材と備える。そして、可動部材の先端部に上記凸部の通過を許容するテーパ面を設け、第2プレファブ管の一端を拡径部内に挿入する際には凸部でテーパ面を押圧しながら可動部材を第2プレファブ管から離れる方向に移動させ、凸部の通過後に弾性部材からの付勢力により可動部材を第2プレファブ管側に戻すように移動させ、この状態で巻付部材を拡径部の外周面に巻き付けることで、第1プレファブ管と第2プレファブ管とを固定する。
【0012】
さらに他の局面では、本発明に係るプレファブ管の接続構造は、拡径部内に位置する第2プレファブ管の外周面上であって第2プレファブ管の開口端から離れた位置に設けられ拡径部の端部に係止される凸部と、凸部と第2プレファブ管の開口端との間に位置する第2プレファブ管の外周面と拡径部との間に設置されたシール部材と、拡径部の外周面上から凸部の表面上に延在し拡径部と凸部とを連結する連結部材と、連結部材と拡径部とを固定する固定部材と備える。そして、連結部材と拡径部とに固定部材を受け入れる貫通孔をそれぞれ設け、第2プレファブ管の一端を拡径部内に挿入することで拡径部の開口端側の端面に上記凸部を係止した状態で拡径部の外周面上から凸部の表面上に延在するように連結部材を配置し、貫通孔に外部から固定部材を装着することで、第1プレファブ管と第2プレファブ管とを固定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るプレファブ管の接続構造によれば、一方のプレファブ管の端部を他方のプレファブ管の拡径部に挿入した状態で外部から固定部材や巻付部材を装着するだけでプレファブ管同士を接続することができるので、プレファブ工法やユニット工法等を用いて配管設備の形状・姿勢を保持しながら、その設置および取外し作業を効率的に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図1〜図8を用いて、本発明の実施の形態について説明する。以下の各実施の形態において説明するプレファブ管の接続構造は、前述のプレファブ工法やユニット工法等に適用されるものであり、特に建築物内に設置され水や湯等の流体を移送する配管設備を設置する際に有用である。
【0015】
図1と図2は、本発明の実施の形態におけるプレファブ管の接続構造10を含む配管構造1の形状例を示す部分断面側面図である。
【0016】
図1に示す配管構造1は、プレファブ管11,12と、このプレファブ管11,12の接続構造10とを備える。プレファブ管11は、図1の例では、溶接部2を介して直管やエルボー管等の複数の配管を接合することにより作製されている。他方、プレファブ管12は、主に直管を用いて作製される。このように複数の管を接続することでプレファブ管を構成してもよいが、プレファブ管を単一の管で構成してもよい。図2の例では、プレファブ管11は複数の枝管3を有し、この枝管3にプレファブ管12を接続している。
【0017】
なお、図1や図2に示す配管構成以外の様々な形態の配管構成に対し下記の各実施の形態の接続構造を適用することができる。たとえば、複数のプレファブ管を接続してモジュール化し、プレファブ管を用いて当該配管モジュール同士、あるいは配管モジュールとプレファブ管とを接続する際に、各実施の形態のプレファブ管の接続構造を適用することが考えられる。また、複数のプレファブ管を接続して配管ユニットを作製し、モジュール管を用いて配管ユニット同士、配管ユニットと各種機器、または、配管ユニット化する上でモジュール管もしくはプレファブ管とを接続する場合にも各実施の形態のプレファブ管の接続構造を適用することができる。
【0018】
(実施の形態1)
図3は、本発明の実施の形態1におけるプレファブ管11,12の接続構造10の部分断面側面図であり、図4は、本実施の形態1におけるプレファブ管11,12を示す斜視図である。
【0019】
図3に示すように、プレファブ管12(第1プレファブ管)は、一方の端部に拡径部13を有する。図3の例では、拡径部13は、プレファブ管12の管本体に、該管本体よりも径の大きい管状部材を溶接することで形成しているが、拡径部13を管本体と一体的に成形することも考えられる。該拡径部13は、開口端側に近づくにつれて段階的に拡径され、図3の例では2段階に拡径されている。
【0020】
また、拡径部13は、内周に複数のリブ(立壁部)20を有し、該リブ20間に後述するシール部材18を収納可能なシール部材収納室(収納凹部)18aを有する。リブ20は、拡径部13の内周の全周にわたって形成されており、その結果、環状のシール部材収納室18aが形成される。このシール部材収納室18aには、図3および図4に示すように、シール部材18が嵌着される。シール部材18としては、たとえばOリングを採用することができる。
【0021】
なお、図3および図4の例では、2つのシール部材収納室18aを設け、該シール部材収納室18a内にそれぞれシール部材18を設置した場合を例示しているが、シール部材収納室18aおよびシール部材18の数は、単数でも複数でもよく、任意に設定可能である。
【0022】
さらに、拡径部13は、その開口端近傍に貫通孔17を有する。この貫通孔17内には
後述する固定部材を受け入れる。固定部材としてネジを用いる場合、貫通孔17の内周面には、固定部材と螺合するネジ部を形成してもよいが、ネジ部を省略することもできる。貫通孔17の内周にネジ部を形成しない場合には、貫通孔17の径を、固定部材としてのネジの軸部の径より大きくしてもよい。
【0023】
プレファブ管11(第2プレファブ管)とプレファブ管12とは、図3および図4の例では、固定部材であるネジ16を介して互いに固定される。図3および図4の例では、4つのネジを用いる場合を例示しているが、ネジの数は任意に設定可能である。また、外部から装着してプレファブ管11,12を互いに固定できるものであれば、ネジ以外の固定部材を使用することも可能である。
【0024】
プレファブ管11の外周面上には隆起部19を形成する。該隆起部19は、プレファブ管11,12を接続した際に、拡径部13内に位置するプレファブ管11の外周面上であってプレファブ管11の一方の開口端から離れた位置に設けられ、たとえば固定部材を螺着可能な程度の幅(プレファブ管11の軸方向における長さ)を有する。図4に示すように、隆起部19は、プレファブ管11の外周面の全周にわたって形成されているが、プレファブ管11の外周面上に、その周方向に断続的に隆起部19を形成してもよい。
【0025】
隆起部19は、環状部材をプレファブ管11の外周面上に固着することで形成することができる。固着方法としては、たとえば溶接が考えられる。このように別部材をプレファブ管11の外周面上に取付けることで隆起部19を形成することが典型的であるが、プレファブ管11を変形させる等して隆起部19を形成することも考えられる。
【0026】
隆起部19の外周部には、図3および4に示すように、固定部材であるネジ16を受け入れる凹部19aを設ける。この凹部19aは、典型的には、貫通孔17に対応した位置に、貫通孔17と同数だけ設けられる。凹部19aの内周面にはネジ部が形成され、凹部19aにネジ16を螺着することができる。
【0027】
次に、本実施の形態1のプレファブ管の接続方法について説明する。
まず、プレファブ管11,12を、建築物内における工事現場とは異なる工場等で予め作製し、工事現場に搬入する。そして、プレファブ管12の拡径部13内にプレファブ管11一端を挿入し、その際に拡径部13の貫通孔17と、隆起部19の表面に設けた凹部19aとを位置合わせする。この状態で、貫通孔17と凹部19aとに外部からネジ16を装着する。それにより、プレファブ管11とプレファブ管12とを固定することができる。
【0028】
このように一方のプレファブ管の端部を他方のプレファブ管の拡径部に挿入した状態で外部からネジのような固定部材を装着するだけでプレファブ管同士を接続することができるので、プレファブ工法やユニット工法等を用いて配管設備の形状・姿勢を保持しながら、その設置および取外し作業を効率的に行なうことができる。
【0029】
(実施の形態2)
次に、図5と図6を用いて、本発明の実施の形態2について説明する。図5は、本実施の形態2におけるプレファブ管の接続構造10を示す部分断面側面図であり、図6は、該プレファブ管の接続構造10の正面図である。
【0030】
図5に示すように、プレファブ管12は、一方の端部に拡径部13を有する。該拡径部13は、実施の形態1の場合と同様に、プレファブ管12の管本体に、該管本体よりも径の大きい管状部材を溶接することで形成しているが、拡径部13を管本体と一体的に成形することも考えられる。該拡径部13は、開口端側に近づくにつれて段階的に拡径され、
図5の例でも、2段階に拡径されている。
【0031】
また、拡径部13は、内周に複数のリブ20を有し、該リブ20間に後述するシール部材18を収納可能なシール部材収納室18aを有する。リブ20は、拡径部13の内周の全周にわたって形成されており、その結果、環状のシール部材収納室18aが形成される。シール部材18は、後述する凸部14とプレファブ管11の開口端との間に位置するプレファブ管11の外周面と、拡径部13との間に設置される。このシール部材18としては、たとえばOリングを採用することができる。なお、本実施の形態の場合も、シール部材収納室18aおよびシール部材18の数は、単数でも複数でもよい。
【0032】
さらに、拡径部13は、その開口端近傍に貫通孔17aを有する。この貫通孔17a内に、後述する可動部材9を受け入れる。この貫通孔17aは、図5および図6の例では、プレファブ管12の周方向に延在する平面視略矩形の長孔であり、プレファブ管12の周方向に180度ずれた位置に設けられているが、貫通孔17aの数および位置も任意に設定可能である。
【0033】
上記の貫通孔17a内に装着される可動部材9は、典型的には板状部材で構成され、拡径部13の内周に設けられるリブ20の中で最も拡径部13の開口端側に位置するリブ20よりも拡径部13の開口端側に、拡径部13を貫通して設けられ、プレファブ管11に近づく方向とプレファブ管11から離れる方向とに進退可能である。
【0034】
可動部材9をプレファブ管11から離れる方向に移動可能とすることで、後述する凸部14で可動部材9を押し上げながら可動部材9下を通過させることができる。それにより、プレファブ管11の一端を拡径部13内に挿入した際に、可動部材9よりも拡径部13の内方に達するように凸部14を移動させることができる。
【0035】
また、可動部材9をプレファブ管11に近づく方向に移動可能とすることで、凸部14の通過後に可動部材9をプレファブ管11に近づく方向に移動させることができ、拡径部13の内部から開口端に向かう方向に、凸部14と可動部材9とが順に並ぶようにこれらを配置することができる。それにより、プレファブ管11,12の接続後にプレファブ管11にプレファブ管12から抜き出す方向の力が作用した場合でも、可動部材9で凸部14を係止することができ、プレファブ管11の抜けを防止することができる。
【0036】
可動部材9の先端には、凸部14の通過を許容するテーパ面9aを設ける。このテーパ面9aは、プレファブ管11の開口端に近づくにつれて可動部材9の先端がプレファブ管11の外周面に近づくように傾斜した傾斜面で構成される。このようなテーパ面9aを設けることにより、凸部14をスムーズに通過させることができる。
【0037】
可動部材9は、弾性部材8を介して拡径部13に取付けられる。弾性部材8は、可動部材9をプレファブ管11側に付勢する。弾性部材8としては、たとえば金属製の線材や板材(バネ材)を採用することができる。図5の例では、可動部材9の外周面に凹部を設け、拡径部13の外周面上から可動部材9の外周面の凹部内に延在するように弾性部材8を設置し、該弾性部材8の両端を拡径部13の外周面に固定している。また、可動部材9の外周面の凹部の上端をかしめ(塑性変形させる)たり、何らかの部材を用いて固定する等して弾性部材8を可動部材9から外れないようにする必要がある。なお、可動部材9をプレファブ管11に近づく方向に付勢できるものであれば、上記の金属製の線材や板材以外の任意の部材を採用可能である。
【0038】
また、本実施の形態では、最も拡径部13の開口端側に位置するリブ20は、プレファブ管12の拡径部13内にプレファブ管11一端を挿入した際に、後述する凸部14を係
止する係止部としても機能し得る。このリブ20の存在により、プレファブ管11が必要以上にプレファブ管12内に挿入されないようにするとともに、凸部14の位置決めをも行なうことができる。
【0039】
拡径部13の外周面には、環状の凹部15を設ける。この凹部15には、後述する帯状の巻付部材21を受け入れる。図5および図6の例では、巻付部材21は、半円状の第1と第2巻付部材21a,21bを組み合わせて作製される。各巻付部材21a,21bは端部に円筒状の接続部21cをそれぞれ有している。各巻付部材21a,21bの接続部21cは、たとえば拡径部13の外周上に両巻付部材21a,21bを装着した際に、プレファブ管12の軸方向にずれた位置に配置され、両巻付部材21a,21bの接続部21cを上記軸方向に重ね合わせることができ、かつこの重ね合わせた状態の接続部21cにピン等の接続具を挿着可能となるように各巻付部材21a,21bに設けられる。このように拡径部13の外周上に両巻付部材21a,21bを装着して両接続部21cを重ね合わせた状態で、両接続部21cを連ねて形成された円筒状の空間内にピン等の接続具を挿着することで、第1と第2巻付部材21a,21bを接続することができ、該第1と第2巻付部材21a,21bを拡径部13の外周面に固定することができる。なお、拡径部13の外周面に巻き付けることができるものであれば、図5や図6に示す構造以外の任意の構造の巻付部材を採用することができる。
【0040】
上記の巻付部材21は、可動部材9の外周面上から拡径部13の外周面上に延在するように拡径部13の外周面に巻き付けられるので、この巻付部材16によっても可動部材9を拡径部13に対して固定することができ、また結果的に可動部材9を介してプレファブ管11,12を固定することができる。
【0041】
プレファブ管11の外周面上には凸部14を形成する。該凸部14は、プレファブ管11,12を接続した際に、拡径部13内に位置するプレファブ管11の外周面上であってプレファブ管11の一方の開口端から離れた位置に設けられる。図6に示すように、凸部14は、プレファブ管11の外周面の全周にわたって形成されているが、プレファブ管11の外周面上に、その周方向に断続的に凸部14を形成してもよい。
【0042】
凸部14は、環状部材をプレファブ管11の外周面上に固着することで形成することができる。固着方法としては、たとえば溶接が考えられるが、実施の形態1と同様に、プレファブ管11を変形させることで、凸部14を形成することも考えられる。
【0043】
次に、本実施の形態2のプレファブ管の接続方法について説明する。
まず、実施の形態1と同様に、プレファブ管11,12を、建築物内における工事現場とは異なる工場等で予め作製し、工事現場に搬入する。そして、プレファブ管12の拡径部13内にプレファブ管11一端を挿入する。このとき、プレファブ管11の外周に設けた凸部14で可動部材9先端のテーパ面9aを押圧しながら可動部材9をプレファブ管11から離れる方向に移動させる。凸部14の通過後には、弾性部材8からの付勢力により可動部材9をプレファブ管11側に戻すように移動させることができる。その結果、凸部14と可動部材9とがプレファブ管11の軸方向に並ぶように配置される。この状態で巻付部材16を拡径部13の外周面上に装着する。具体的には、第1と第2巻付部材21a,21bを拡径部13の外周面上に装着する。そして、各巻付部材21a,21bの接続部21cを位置合わせし、接続部21c内に接続具を挿着する。それにより、第1と第2巻付部材21a,21bを接続するとともに、これらを拡径部13の外周面に巻き付けることができ、結果的にプレファブ管11とプレファブ管12とを固定することができる。
【0044】
このように一方のプレファブ管の端部を他方のプレファブ管の拡径部に挿入した状態で外部から巻付部材を他方のプレファブ管の拡径部の外周面上に装着し、ピンのような接続
具を巻付部材に挿着するだけでプレファブ管同士を接続することができるので、本実施の形態2の場合も、プレファブ工法やユニット工法等を用いて配管設備の形状・姿勢を保持しながら、その設置および取外し作業を効率的に行なうことができる。
【0045】
(実施の形態3)
次に、図7と図8を用いて、本発明の実施の形態3について説明する。図7は、本実施の形態3におけるプレファブ管の接続構造10を示す部分断面側面図であり、図8は、該プレファブ管の接続構造10の正面図である。
【0046】
図7に示すように、プレファブ管12は、一方の端部に拡径部13を有する。該拡径部13は、実施の形態1の場合と同様に、プレファブ管12の管本体に、該管本体よりも径の大きい管状部材を溶接することで形成しているが、拡径部13を管本体と一体的に成形することも考えられる。
【0047】
拡径部13は、内周にシール部材18を収納可能なシール部材収納室18aを有する。本実施の形態3においても、シール部材収納室18aは、環状であり、拡径部13の内周の全周にわたって形成される。シール部材18は、後述する凸部14aとプレファブ管11の開口端との間に位置するプレファブ管11の外周面と、拡径部13との間に設置される。このシール部材18としては、たとえばOリングを採用することができる。なお、本実施の形態の場合も、シール部材収納室18aおよびシール部材18の数は、単数でも複数でもよい。
【0048】
また、拡径部13は、その開口端近傍に貫通孔17bを有する。この貫通孔17b内に固定部材であるネジ16aを受け入れる。貫通孔17bの内周面にはネジ部を形成し、ネジ16aを拡径部13に螺着できるようにする。
【0049】
プレファブ管11とプレファブ管12とは、上記のネジ16aを介して互いに固定される。図7および図8の例では、2つのネジを用いる場合を例示しているが、ネジの数は任意に設定可能である。また、外部から装着してプレファブ管11,12を互いに固定できるものであれば、ネジ以外の固定部材を使用することも可能である。
【0050】
拡径部13の外周面には、凹部7を設ける。この凹部7には、後述する連結部材6の一部を受け入れる。図7および図8の例では、連結部材6としては、半円状の外周形状を有する1組の連結部材を使用している。各連結部材6は、拡径部13の外周面上から後述する凸部14aの表面上に延在し、拡径部14と凸部14aとを連結し、幅方向(プレファブ管の軸方向)の一端に係合部6aと、他端に係合部6bと、貫通孔6cとを有する。
【0051】
連結部材6の係合部6aは、プレファブ管11の開口端から離れた側の凸部14aの側面(プレファブ管の軸方向における端面)上に延在し、プレファブ管の軸方向に凸部14aと係合する。他方、係合部6bの一部は、拡径部13の外周面の凹部7内に嵌入され、係合部6bは、プレファブ管の軸方向に拡径部13と係合する。貫通孔6cは、貫通孔17bと対応する位置に設けられ、固定部材であるネジ16aを受け入れる。貫通孔6cの内周にはネジ部を形成してもよいが、ネジ部を省略することもできる。貫通孔6cの内周にネジ部を形成しない場合には、貫通孔6cの径をネジ16aの軸部の径より大きくしてもよい。
【0052】
プレファブ管11の外周面上には凸部14aを形成する。該凸部14aは、プレファブ管11,12を接続した際に、拡径部13内に位置するプレファブ管11の外周面上であってプレファブ管11の一方の開口端から離れた位置に設けられる。図7に示すように、凸部14aは、拡径部13の開口端側の端面に係止される。ここで、拡径部13をプレフ
ァブ管12本体とは別部材で構成することで拡径部13の厚みを大きくして拡径部13の開口端側の端面の面積を大きくすることができ、また凸部14aの高さを拡径部13の厚みと同程度のものとすることで拡径部13の端面と凸部14aとの当接面積を大きくすることができるので、上記拡径部13の端面で凸部14aを安定して係止することができる。
【0053】
なお、図7および図8の例では、凸部14aはプレファブ管11の外周面の全周にわたって形成されているが、プレファブ管11の外周面上に、その周方向に断続的に凸部14aを形成してもよい。
【0054】
凸部14aは、環状部材をプレファブ管11の外周面上に固着することで形成することができる。固着方法としては、たとえば溶接が考えられるが、実施の形態1と同様に、プレファブ管11を変形させることで、凸部14aを形成することも考えられる。
【0055】
次に、本実施の形態3のプレファブ管の接続方法について説明する。
まず、実施の形態1と同様に、プレファブ管11,12を、建築物内における工事現場とは異なる工場等で予め作製し、工事現場に搬入する。そして、プレファブ管12の拡径部13内にプレファブ管11一端を挿入する。このとき、プレファブ管11の外周に設けた凸部14aを拡径部13の開口端側の端面に当接(係止)することで、プレファブ管11をプレファブ管12に対し位置決めすることができる。この状態で、拡径部13の外周面上から凸部14aの外周上および凸部14aの端面上にわたって延在するように連結部材6を設置し、連結部材6の貫通孔6cと、拡径部13の貫通孔17bとを位置合わせする。そして、外部から貫通孔6c,17にネジ16aを装着する。それにより、連結部材6を介して拡径部13と凸部14aとを固定することができ、結果としてプレファブ管11とプレファブ管12とを固定することができる。
【0056】
このように一方のプレファブ管の端部を他方のプレファブ管の拡径部に挿入した状態で、外部から連結部材を拡径部の外周面上から一方のプレファブ管の凸部の外周面上にわたって装着し、連結部材と拡径部とに対し固定部材を外部から装着するだけでプレファブ管同士を接続することができるので、本実施の形態3の場合も、プレファブ工法やユニット工法等を用いて配管設備の形状・姿勢を保持しながら、その設置および取外し作業を効率的に行なうことができる。
【0057】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、各実施の形態の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
【0058】
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態におけるプレファブ管の接続構造を備えた配管構造の一例を示す部分断面側面図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるプレファブ管の接続構造を備えた配管構造の他の例を示す部分断面側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるプレファブ管の接続構造の部分断面側面図である。
【図4】実施の形態1において使用可能なプレファブ管の形状例を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態2におけるプレファブ管の接続構造の部分断面側面図である。
【図6】図5に示す配管接続構造の正面図である。
【図7】本発明の実施の形態3におけるプレファブ管の接続構造の部分断面側面図である。
【図8】図7に示す配管接続構造の正面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 配管構造、2 溶接部、3 枝管、6 連結部材、6a,6b 係合部、6c,17,17a 貫通孔、7,15,19a 凹部、8 弾性部材、9 可動部材、9a テーパ面、10 接続構造、11,12 プレファブ管、13 拡径部、14 凸部、16,16a ネジ、18 シール部材、18a シール部材収納室、19 隆起部、20 リブ、21 巻付部材、21a 第1巻付部材、21b 第2巻付部材、21c 接続部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に拡径部が設けられた第1プレファブ管と、一端が前記拡径部に挿入される第2プレファブ管とを接続するプレファブ管の接続構造であって、
前記第1プレファブ管と前記第2プレファブ管とを固定する固定部材と、
前記拡径部内に位置する前記第2プレファブ管の外周面上であって前記第2プレファブ管の開口端から離れた位置に設けられ、前記固定部材を受け入れる凹部を有する隆起部と、
前記隆起部と前記第2プレファブ管の開口端との間に位置する前記第2プレファブ管の外周面と、前記拡径部との間に設置されたシール部材とを備え、
前記拡径部に前記固定部材を受け入れる貫通孔を設け、前記第2プレファブ管の一端を前記拡径部内に挿入した状態で、該貫通孔と前記凹部とに外部から前記固定部材を装着することで、前記第1プレファブ管と前記第2プレファブ管とを固定するようにした、プレファブ管の接続構造。
【請求項2】
端部に拡径部が設けられた第1プレファブ管と、一端が前記拡径部に挿入される第2プレファブ管とを接続するプレファブ管の接続構造であって、
前記拡径部内に位置する前記第2プレファブ管の外周面上であって前記第2プレファブ管の開口端から離れた位置に設けられた凸部と、
前記拡径部の内周面に設けられ、前記第2プレファブ管の一端を前記拡径部内に挿入した際に前記凸部を係止可能な係止部と、
前記凸部と前記第2プレファブ管の開口端との間に位置する前記第2プレファブ管の外周面と、前記拡径部との間に設置されたシール部材と、
前記係止部よりも前記拡径部の開口端側に前記拡径部を貫通して設けられ、前記第2プレファブ管に近づく方向と前記第2プレファブ管から離れる方向とに進退可能な可動部材と、
前記拡径部に設けられ前記可動部材を前記第2プレファブ管側に付勢可能な弾性部材と、
前記可動部材の外周面上から前記拡径部の外周面上に延在するように巻き付けられる巻付部材と備え、
前記可動部材の先端部に前記凸部の通過を許容するテーパ面を設け、前記第2プレファブ管の一端を前記拡径部内に挿入する際には前記凸部で前記テーパ面を押圧しながら前記可動部材を前記第2プレファブ管から離れる方向に移動させ、前記凸部の通過後に前記弾性部材からの付勢力により前記可動部材を前記第2プレファブ管側に戻すように移動させ、この状態で前記巻付部材を前記拡径部の外周面に巻き付けることで、前記第1プレファブ管と前記第2プレファブ管とを固定するようにした、プレファブ管の接続構造。
【請求項3】
端部に拡径部が設けられた第1プレファブ管と、一端が前記拡径部に挿入される第2プレファブ管とを接続するプレファブ管の接続構造であって、
前記拡径部内に位置する前記第2プレファブ管の外周面上であって前記第2プレファブ管の開口端から離れた位置に設けられ、前記拡径部の端部に係止される凸部と、
前記凸部と前記第2プレファブ管の開口端との間に位置する前記第2プレファブ管の外周面と、前記拡径部との間に設置されたシール部材と、
前記拡径部の外周面上から前記凸部の表面上に延在し、前記拡径部と前記凸部とを連結する連結部材と、
前記連結部材と前記拡径部とを固定する固定部材と備え、
前記連結部材と前記拡径部とに前記固定部材を受け入れる貫通孔をそれぞれ設け、前記第2プレファブ管の一端を前記拡径部内に挿入することで前記拡径部の開口端側の端面に前記凸部を係止した状態で前記拡径部の外周面上から前記凸部の表面上に延在するように前記連結部材を配置し、前記貫通孔に外部から前記固定部材を装着することで、前記第1
プレファブ管と前記第2プレファブ管とを固定するようにした、プレファブ管の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−205412(P2007−205412A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23036(P2006−23036)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000148726)株式会社多久製作所 (8)
【Fターム(参考)】