説明

プレートの培地に接種および画線するための方法および機器

プレートの培地に接種および画線するための機器であって、画線は、弾性的に可撓性を有して支持された離間された接触面の列を有する画線アプリケータを使用する。当該機器は、(a)予め定められた位置に二次元(x,y)で固定された概念上の作用線を有するプレート作業位置と、位置決めされたプレートを回転させて画線を行わせるプレート回転装置とを含む接種および画線ステーションと、(b)位置決めされたプレートの培地の表面を特定して、接種および画線の前に、当該プレートについて作用線の第3の次元(z)を決定することが可能なセンサと、(c)位置決めされたプレートの培地の表面上に、作用線に沿って接種物を投下することが可能な接種装置と、(d)位置決めされたプレートを画線のために回転させる前に、画線アプリケータの離間された接触面の列が位置決めされたプレートの培地の表面に作用線に沿って接触するように、画線アプリケータを動かすことが可能な画線装置とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本国際特許出願は、2007年1月12日に出願されたオーストラリア仮特許出願2007900146号の優先権を主張し、その内容はこの引用により本願に援用されるものとする。
【0002】
発明の分野
本発明は、医療診断目的などの主に実験室における診断目的のための、微生物試料の固体増殖培地への接種、および分離された細菌コロニーを生成するためのその後の接種物の画線に関する。特に本発明は、微生物実験室において使用するための方法および機器の両方に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
微生物(および特に細菌)の独立コロニーの分離は、多くの微生物実験室において重要な処置である。従来、この細菌の分離は熟練実験技師によって手作業で行なわれ、技師はまず微生物試料をペトリ皿の寒天などの固体増殖培地(以後単に、「寒天プレート」または単に「プレート」の「培地」と称する)の表面に投下し、次に手工具を用いて試料を培地の表面全体に亘って広げる(「画線」と呼ばれる)。
【0004】
手工具は典型的に、接種物の希釈度が増大する複数の画線を培地全体に亘って作るための末端ループを含む。希釈度が増大する画線は、一般に画線の尾部に向かって多数の単細胞を提供する傾向があり、これによって接種後の分離された微生物コロニーの成長が可能となる。これらの分離されたコロニーは次にコロニー形態が分析され得、これまでに同定されていない有機体のたとえば属、種および菌株を判定するのに必要な着色および他の処置を受け得る。
【0005】
このような接種および画線は非常に繰返しが多く、多くの病理学診断微生物学実験室において普通非常に大量に、たとえば1日に1,000から15,000プレートにも上る量で行われる。これは単調で面倒な作業であるため、誤りや不正確さが生じやすい。これは極めて明らかに、一部または完全自動化に適しているであろう作業である。
【0006】
文献にはこれらの実験室機能の最適な自動化方法についての提案が豊富に記載されているが、これらの提案の中で商用の実験室環境において実際に成功したものは殆どない。したがって、好適な実験室機器の実現の成功は今まで大抵の人々にとって困難であったと思われる。
【0007】
1970年代初頭以降、固体増殖培地の接種および画線を自動化するためのさまざまな機器を提案してきた特許文献の例は、「自動細菌標本画線装置(Automatic Bacterial Specimen Streaker)」と題された米国特許第3,778,351号(R.J. Rosov)、「細菌検査を自動的に行うための機器(Apparatus for Performing Bacteriological Tests Automatically)」と題された米国特許第3,844,896号(A.N. Sharpe)、「自動接種装置(Automatic Inoculation Device)」と題された米国特許第3,850,754号(J.R. Wilkins他)、「自動細菌標本画線装置およびそれを使用するための方法(Automatic Bacterial Specimen Streaker and Method for Using Same)」と題された米国特許第3,935,075号(R.C. Perry他)、「塗布装置および接種物を塗布する方法(Spreader Device and Method of Spreading Inoculant)」と題された米国特許第4,144,135号(P.J.L. Sequeira)、「寒天に画線するための方法および機器(Method and Apparatus for Str
eaking Agar)」と題された米国特許第4,287,301号(T.W. Astle)および「自動細菌コロニー移動機器(Automatic Bacterial Colony Transfer Apparatus)」と題された米国特許第4,613,573号(K.Shibayama他)である。出願人の知る限りでは、これらの提案はどれも首尾よく有効となっておらず、したがってこのような接種および画線について好適な自動化はいまだ得られていない。
【0008】
さらに他の先行技術による3つの最近の提案について議論が必要である。当該提案は、Vista Laboratories Ltd.による「培地に画線するための方法および機器(Method and Apparatus for Streaking a Culture Medium)」と題された米国特許第4,981,802号(C.ワイリー他(C. Wylie et al))、カナダ宇宙庁(Canadian Space Agency)による「標本容器からの細菌標本を培地に自動的に接種するための方法および機器(Method and Apparatus for Automatically Inoculating Culture Media With Bacterial Specimens From Specimen Containers)」と題された米国特許第6,617,146号(F.ナッカラート他(F. Naccarato et al))、およびMedvet Science Pty Ltdによる「微生物画線装置(Microbial Streaking Device)」と題された国際特許公報WO2005/071055(本出願人にライセンスされている)においてなされたものである。
【0009】
ワイリー特許は、接種および画線処理を部分的にのみ自動化する機器について記載しており、熟練実験技師が手作業で接種した固体増殖培地に画線するための機器を提供する。熟練実験技師は、接種物の物理的な位置をプレートの側面上で手作業で識別する(識別マークは画線機構によって後に検知され、画線をどこから開始するかが決定される)。さらに、ワイリーによって使用が提案されている画線機構は複雑なマルチヘッド機構であり、波状の画線経路をもたらすような単一刃工具による培地全体に亘る複数回動作に依拠する。したがってワイリーの機器は当然低速であり、自動化の課題に対して部分的にしか応えていない。
【0010】
ナッカラート特許は、標本容器の実現可能な多様な異なる形態の1つから固体増殖培地を(表面上のいずれかの位置において)単一刃接種し、その後培地の表面全体に亘る回旋状の経路に再び沿って従来の単一刃画線工具を使用することによって接種物を広げるための自動化された処理について記載している。画線工具は表面上のどこに接種物があるかを認識しているので、ナッカラートの機器は、接種物が表面上に配置されると接種物の正確な位置を記録し、その後当該記録位置に画線工具を案内する際に使用される、当然ながら複雑な装置の使用について記載している。これらの中間的な記録および案内工程は、接種と画線との間に行われるという意味で中間であり、処理全体における誤りの過度な危険性と不要な遅延とを生じさせると考えられる。
【0011】
Medvet Science社の公報は、新たな形態の画線工具を用いることによって自動化処理を向上させることを図っており、当該工具は(固体増殖培地の表面との接触のための)離間された接触面の列を含み、接触面は共通の支持部材によって弾性的に可撓性を有して支持されている。この画線工具は、1回の画線走査で培地の表面全体に亘ってより大量の接種物をより大きく広げることができ、かつ試料の希釈度がより緩やかに増大する領域を拡大することを可能にする。Medvet Science社の公報に記載の接種および画線機器は、画線工具の接触面がいつ培地表面に接触したかを判定するために圧力センサの使用を提案しているが、画線工具が表面上の接種物の位置を(二次元空間および三次元空間の両方について)どのようにして認識するかについては記載していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、固体増殖培地の表面において微生物試料を接種および画線するための自動化された機器と、固体増殖培地表面において微生物試料を接種および画線するための
方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の要約に移る前に、上記の先行技術の説明は本発明の内容を説明するための背景として与えられたに過ぎないことを認識する必要がある。上記の先行技術の説明は、言及された資料のいずれかがオーストラリアまたはその他の場所で公開されていたもしくは公知であった、または一般知識の一部であったという承認として見なされるものではない。
【0014】
また、機器とその様々な部分との空間的関係を規定するために用いられる用語のいくつかを説明することも有用である。この点に関して、本明細書全体に亘る空間的な言及は概して、直立の向きで最終的に接種および画線されるプレートに基づいており、プレートの培地の表面は概ね平坦で水平である。この環境を基礎として、機器およびそのいくつかの部分は「水平の」を基準として規定され得、「上部の」または「上向きに」および「下部の」または「下向きに」、さらに「垂直の」というさらなる言及も可能となる。この点に関して、x、yおよびz次元、そしてx方向(または軸)、y方向(または軸)およびz方向(または軸)という従来の幾何学的な空間的な言及も採用することができ、xおよびy方向は概ね水平であり、z方向は概ね垂直である。
【0015】
最後に、個別に(かつ使用環境下にない)最終的に権利主張され得る本発明のいくつかの局面は、個別に説明および理解するのが困難であり得る。したがって、以下の説明のいくつかでは、本発明およびその実施例を(たとえば、接種および画線のための機器内で培地を搬送するプレートとの)使用環境下で説明する。もちろん、本発明を規定するためのそのような説明の使用、および上述の空間的関係の使用は、意図が明確に記載されていない限り、限定事項として見なされず、もちろん使用環境のみの限定事項としても見なされない。
【0016】
発明の概要
本発明は、プレートの培地に接種および画線するための機器を提供する。画線は、弾性的に可撓性を有して支持された離間された接触面の列を有する画線アプリケータを使用する。当該機器は、
(a)接種および画線ステーションを含み、接種および画線ステーションは、
−予め定められた位置に二次元(x,y)で固定された概念上の作用線を有するプレート作業位置と、
−位置決めされたプレートを回転させて画線を行わせるプレート回転装置とを有し、さらに、
(b)位置決めされたプレートの培地の表面を特定して、接種および画線の前に、当該プレートについて作用線の第3の次元(z)を決定することが可能なセンサと、
(c)位置決めされたプレートの培地の表面上に、作用線に沿って接種物を投下することが可能な接種装置と、
(d)位置決めされたプレートを画線のために回転させる前に、画線アプリケータの離間された接触面の列が位置決めされたプレートの培地の表面に作用線に沿って接触するように、画線アプリケータを動かすことが可能な画線装置とを含む。
【0017】
接種および画線ステーション(以下、単に「ステーション」とも称する)は、機器の主要な機能が存在する当該機器内の構造によって規定され、当該構造はプレート作業位置の周りに概ね中心決めされる。一形態では、プレート作業位置は、当該機器におけるセンサの物理的な位置によって与えられる。センサは、理想的にはメインフレームに強固に装着される。この形態では、プレートを支持するためのプラットホームは好ましくは、培地表面が上方に開放した状態で、プラットホームに支持されているプレートが動作可能にセンサ近傍(理想的には真下)のプレート作業位置に位置決めされるように、プレート装填位
置からプレート作業位置に出入りするように動かす(たとえばy軸に沿って並進させる)ことが可能である。
【0018】
プラットホームは好ましくは、プラットホーム上へのプレートの適切な((かつ一定した)中心決めを確実にするためのプレート中央配置機構を有する。プレート中央配置機構は好ましくは、適切に配置されたカム装置によって駆動され、プレートクランピング機能を有する。また、プラットホームは好ましくは、少なくとも1つの配置基準点または面を与える。その使用は、センサの機能について記載する際に以下で明らかとなるであろう。
【0019】
この形態では、プレート回転装置はまた好ましくは、プラットホームに関連付けて設けられ、回転装置は、回転されたプレートを開始位置に戻すことが可能なホームフラッグを有する。このようなホームフラッグを設けることは、「ハーフ」プレートが「全」プレートに対向した状態の本発明の方法および機器の動作について有用であり、その説明は以下で行われる。
【0020】
接種および画線ステーションには、もちろん(上記のようにセンサに加えて)接種装置および画線装置の両方によって接近することができ、プレート作業位置に位置決めされたプレート(本明細書全体に亘って「位置決めされたプレート」と称し、典型的には、蓋が取外されたプレートすなわちプレート底部である)を、センサ、接種装置および画線装置の各々に動作可能に接近させることができる。「動作可能な」接近という言及については、この語句の使用は単に、ある要素による接近は当該要素がその所要の機能を実行することができるようなものであることを示しているに過ぎないことが理解されるであろう。
【0021】
上記のとおり、プレート作業位置は、予め定められた位置に二次元(x,y)で固定された概念上の作用線を含む。この作用線Xは、本明細書では「概念上の」作用線と称される。これは、作用線が、目に見える作用線ではなく、また位置決めされたプレートの培地表面の高さが決定されるまで三次元空間において定められた位置を持たないと仮定してのことである。機器の動作中に、接種物を投下するための接種装置と接種物に画線するための画線装置との両方によって動作可能に接近されるのは、この作用線である。
【0022】
好ましい形態では、作用線の予め定められた(x,y)位置は、位置決めされたプレートに関して、作用線が円形プレートの半径線となるように特定される。この形態では、画線中に、位置決めされたプレートをステーションのプレート回転装置によってその中心の周りを回転させることができ、画線アプリケータの接触面の列が培地表面全体に亘って位置決めされたプレートの中心の周りを移動する。ハーフプレートについては、2つの接種物付着物が作成され2つの画線動作が行われるように、2本のこのような半径線がプレートの各半分について1本ずつ通常決定される。
【0023】
プレート内の寒天などの培地の高さは、多くの要因に依存して変動すると認識される。たとえば、さまざまなプレートおよび固体増殖培地の供給者は、供給者ごとに幅広い多様な表面高さを有するたとえば寒天プレートを常に供給するだけでなく、同じ供給者が供給するプレートでさえも、培地の高さが変化する傾向がある。また、この目的で使用される培地の組成および年齢が異なることによっても、培地表面高さが異なるプレートが生じる傾向がある。
【0024】
したがって、またこのような高さの変動によって、すべてのプレートの培地表面の高さが同じ(したがって本発明の一形態において、上記のプラットホームの配置基準面上の同じ距離)であることを当てにすることは、本発明のような機器にとっては一般に不可能である。
【0025】
したがって、処理すべきプレート毎に三次元空間における同じ位置で培地の表面上に接種物を配置できることを当てにすることは、このような自動化された機器の接種装置にとっては実現可能ではなく、それを行なう機器において重大な問題および複雑さが生じ得る。もちろん、このような自動化された機器の画線装置については、三次元空間においてプレート毎に同じ位置で培地の表面上に(表面を削り取るのではなく接種物を広げるように)画線工具の接触面を配置する際における潜在的な問題および複雑さも存在する。
【0026】
接種装置に関しては、z次元(高さ)での接種装置の投下先端部の位置が不正確であることによって、接種物が過度に高い位置から投下される(したがって、要求通りに投下されない)か、または先端部が培地の表面を削り取るように表面と接触するようになることが認識される。画線装置に関しては、z次元(高さ)での接触面の位置が不正確であることによって、全く接種物と接触しないか、または画線工具が培地の表面における線路も削り取るように過度に接触することになる。
【0027】
したがって、また上記のとおり、本発明の機器は、位置決めされたプレートの培地表面を特定して、当該プレートについて、当該プレートの接種および画線前に作用線の第3の次元(z)を決定することが可能なセンサを含む。次いで当該センサは、表面高さの変動の可能性に対処しかつ上記の問題を回避するために、各位置決めされたプレートの培地表面の位置を、当該プレートの位置決め後かつ接種前に別個に決定することができる。
【0028】
好ましい形態において、センサは、位置決めされたプレートについて培地表面を検知し、培地表面までの距離を測定することが可能である。次いで、測定された距離が固定された基準面に参照付けられ、位置決めされたプレートの表面について一次元(z)で基準面を基準とする表面位置基準を決定する。この態様において、この表面位置基準の決定によって、少なくともz次元において表面が特定されることが認識される。これによって、少なくとも基準面を基準として、プレートの培地の高さが効果的に決定される。
【0029】
この点に関し、基準面は好ましくは、プレートがクランプされかつ支持されているプレートプラットホームの一部を成す面である。したがって、この形態では、表面位置基準の決定によって、プレートが載っているプレートプラットホームを基準として培地の表面高さが効果的に決定される。
【0030】
この表面位置基準は、概念上の作用線と併せて使用して、位置決めされたプレートの表面を横切る線を代表する三次元(x、y、z)における線を決定することができる。
【0031】
好ましい形態では、センサおよびその動作モードは、検出上限と検出下限とを設定して、上限と下限との間の検出範囲を規定するさらなるステップを含み得る。いくつかの形態では、検出上限は基準面より上にあり、検出下限は基準面より下にある。検出範囲は、較正の機会を与えることができ、たとえば多数の較正サブ範囲の識別を検出範囲内で適用できるようにする。たとえば、いくつかの形態では、プレート作業位置に位置決めされたプレートが依然としてその上に蓋を有しているかどうか、または恐らくプレートが上下反対にプレート作業位置に配置されたかどうかをこの方法が判断できることは必要でないまたは望ましくないかも知れない。したがって、培地の表面が位置すると見込まれる位置のすぐ上に上限があり、培地の表面が位置すると見込まれる位置のすぐ下に下限がある狭い検出範囲を採用することによって、プレート作業位置にあるプレートの検出可能な高さがこの狭い範囲の外にある場合はセンサは機能しないことになる。なぜなら、センサはプレートの蓋の表面またはプレート底部の表面を検出するからである。
【0032】
逆に、たとえば蓋が付いたプレートまたは逆さのプレートがプレート作業位置に配置されると警報を与えることが望ましい状況が存在し得る。好適に十分に広い検出範囲が設定
されていれば、センサは蓋の壁または底部壁の存在を検知し、プレートにおける培地の表面までの距離ではなく当該表面までの距離を測定する。したがって、警報状態(たとえば、蓋が付いたプレートまたは逆さのプレート)のための較正サブ範囲および非警報状態(蓋が取外された直立したプレート)のための較正サブ範囲を有する好適に広い検出範囲を設けることによって、較正サブ範囲は、(表面位置基準の決定および警報較正サブ範囲のうちの1つにおけるその存在によって)警報状態の識別をもたらすことができ、この方法の適切な機能を可能にする。
【0033】
位置決めされた(上述の態様でセンサによって特定された)プレートの培地の表面を横切る線によって代表される概念上の三次元作用線は、その位置決めされたプレートの培地のみに固有であり、プレート作業位置で処理される次のプレートの表面と比較すると、異なる三次元作用線であってもよい(実際には、そうである可能性が高い)。
【0034】
最後に、センサに関して、オーストラリア仮特許出願2007900147号の優先権を主張する、2008年1月11日に出願された「プレートの固体増殖培地の表面を特定するための方法および機器(Method and Apparatus for Locating the Surface of Solid
Growth Culture Media in a Plate)」と題された本出願人の国際特許出願を参照する。多様な形態のセンサがより充分に記載されているその内容全体を引用によって本明細書に援用する。本発明の機器のセンサが当該機器の動作において付加的な役割を果たし得ることも、この同時出願から認識される。たとえば、プレート作業位置において不正確に方向付けられたプレート、(位置決めプレートが存在すべき動作時点における)空のプレート作業位置、または(蓋の取外しがすでに行われているべき時に)蓋が取外されていないプレートを識別することが可能である。
【0035】
三次元空間における所与の位置決めされたプレートの倍地について、作用線の適切な位置を決定するためにセンサを使用しているため、本発明の機器は、位置決めされたプレートの培地表面上において当該作用線に(部分的にまたは完全に)沿って接種し、次いで画線アプリケータの離間された接触面の列が、再び当該作用線に沿って、使用される特定の画線工具と、使用される接種物および特定の固体増殖培地の組成とに好適な予め定められた接点圧で少なくとも接種物に(および好ましくは培地の表面自身にも)接触するように画線アプリケータを移動させることが可能であり、必要に応じて、かつ画線工具が不所望に培地表面を削り取らないように接種物が広げられる。
【0036】
この点に関し、画線アプリケータの接触面の列が「作用線に沿って」配置されると述べたが、この文言に厳密に幾何学的に一致することは必要ではないと認識されなければならない。特に、画線アプリケータの接触面の列は、作用線に密接する接種物(および/または表面)に接触し、プレートのその後の回転によって画線アプリケータが接種物中を通り、それによって接種物を広げるように位置決めされ得ることが認識される。したがって、画線アプリケータの離間された接触面の列は、作用線に沿ってまたは作用線の後方に近接して表面に接触することになると想定される。したがって、本明細書中の画線アプリケータに関する「作用線に沿って」という言及は、この想定を含むものと理解される。
【0037】
したがって本発明の機器の接種装置は、一般に液体の形態にある生物試料を取得して保持し、かつ位置決めされたプレートの培地表面に当該試料を移動させることが可能ないずれかの装置であり得る。一形態では、接種装置は、(上で採用した方向に関する用語を用いると)z方向と少なくともxおよびy方向の一方とに移動可能であるようにロボットシステムに搭載された合理的に典型的なピペット装置を含む。ピペット装置は好ましくは、ピペット本体に解放可能に固定された使い捨て可能な投下先端部を含み、先端部は、接種が行われると先端部を容易に廃棄することができる態様で固定されている。
【0038】
接種装置は好ましくは、さまざまな接種量についてプログラム可能であり、上記のプラットホームの配置基準点と、もちろん上記の概念上の作用線とを基準として、投下先端部の位置の高さを三次元空間において決定することが可能な位置高さ(z方向)参照システムを含む。
【0039】
接種装置は、サンプリング前に先端部の存在を(たとえば)視覚的にまたは電気的に監視することができるように、多様な上記の範囲の動作中に投下先端部を別個に撮像するための手段を付加的に含み得る。この点に関し、本発明の一形態では、この撮像手段は上記の位置高さ(z方向)参照システムを付加的に提供し得る。
【0040】
接種装置のピペットロボットシステムは好ましくは、ピペット装置を動かして、投下先端部供給部と、細菌試料ステーションと、接種および画線ステーション内のプレート作業位置と、先端部廃棄シュートとに接近することができ、かつ、先端部を固定させることができる好適な先端部固定手段も含む。先端部固定手段は、試料を取得して保持し、試料を投下し、次いで使用済の先端部を廃棄するのに使用される。したがって、接種装置のピペットロボットシステムは、本発明の機器によって処理されるプレートの各々についての動作範囲全体にわたってピペットを動かすことが認識される。
【0041】
さらに、上記の画線装置は好ましくは接種装置とは別個の装置であり、したがって好ましくは、(供給カートリッジから)画線アプリケータを取得して保持し、当該アプリケータをプレート作業位置と(概ねx面、y面のすべてにおいて)位置決めされたプレート近傍とに移動させるのに好適なアプリケータ操作ヘッドを含む独自のロボットシステムによって得られる。アプリケータ操作ヘッドは、次にアプリケータをz方向に移動させ、アプリケータの接触面の列を上記のように概念上の作用線に沿って(したがって位置決めされたプレートの培地表面の接種物上/内に)配置することが可能でなければならない。
【0042】
上記の自動化された画線機器との使用が好ましい画線アプリケータは、上記の「微生物画線装置(Microbial Streaking Device)」と題された国際特許公報WO2005/071055(Medvet Science Pty Ltd)(本出願人にライセンスされている)に概ね記載されており、その内容全体を引用によって本明細書に援用する。これらの画線アプリケータは、非常に浅い逆V字型の本体を共に構成する2つの主要な傾斜部を有するものの、概ね平坦な矩形形状であると言える。本体の上部は装着部を提供し、本体の下側部分は離間された接触面の列と弾性および可撓性を有する支持部材とを提供する。
【0043】
これを念頭に置くと、画線ロボットシステムのアプリケータ操作ヘッドは好ましくは、上記のアプリケータの装着部を把持しクランプすることができる開閉可能なクランピング部材を含み、アプリケータは、オーストラリア仮特許出願2007900144号の優先権を主張する、2008年1月11日に出願された「画線アプリケータカートリッジおよびそれを画線機器に接続するためのシステム(A Streaking Applicator Cartridge and a System for Connecting Same to a Streaking Apparatus)」と題された本出願人の国際特許出願に概略的に記載されている種類の供給カートリッジに設けられる。オーストラリア仮特許出願2007900144号の内容全体を引用によって本明細書に援用する。
【0044】
画線ロボットシステムの開閉可能なクランピング部材は、好ましくは、アプリケータ廃棄シュート付近に配置された固定排出ピンと相互作用することができる解放留め具を含み、ピンがラッチと係合することによってクランピング部材がアプリケータを解放し、アプリケータをアプリケータ廃棄シュートに落下させる。
【0045】
したがって本発明は、プレートの培地に接種および画線するための方法を付加的に提供する。画線は、弾性的に可撓性を有して支持された離間された接触面の列を含む画線アプ
リケータを使用する。当該方法は、
(a)接種および画線ステーション内のプレート作業位置にプレートを配置するステップを含み、プレート作業位置は、予め定められた位置に二次元(x,y)で固定された概念上の作用線を有し、さらに、
(b)位置決めされたプレートの培地表面を特定して、当該プレートの接種および画線前に、当該プレートについて作用線の第3の次元(z)を決定するステップと、
(c)位置決めされたプレートの培地表面上に、作用線に沿って接種物を投下するステップと、
(d)画線アプリケータの離間された接触面の列が位置決めされたプレートの培地表面に作用線に沿って接触するように画線アプリケータを動かすステップと、
(e)位置決めされたプレートを、画線のためにプレート作業位置において回転させるステップとを含む。
【0046】
本発明の好ましい形態の機器および方法は、プレートを通常の実験室構造において扱う能力を有する。従来は、接種および画線(以下「処理」と呼ぶ)の前および処理の後において、プレートが逆さの向きで格納される。説明目的で言えば、固体増殖培地プレートが蓋および底部を有し、蓋が下向きであり、かつ底部(寒天を含む)が最も上きに格納されるように、上下逆に格納されることは一般的なことである。これは、蓋の内側に生じ得る凝集物が培地の表面上に落下することを防止するためになされる。落下は、プレートが逆さの向きで格納されなければ起こり、培地と(処理の後での)微生物の接種物との結合性を損なう。
【0047】
したがって、本発明の機器は好ましくは付加的に、処理されていないプレート(以下「未処理プレート」と称する)を逆さの向きに保管することが可能なプレート供給部と、プレート供給部から逆さの未処理プレートを取得し、未処理プレートの底部が最も下であるとともにその蓋が取外されるように未処理プレートを方向付けし、かつ方向付けされ蓋が取外された未処理プレートの底部を、接種および画線ステーション内のプレート作業位置に移動させることが可能なプレート移動送り機構とを含む。当該機器のプレート供給部は複数の取出し可能なカセットによって構成され、各カセットは複数の未処理プレートを保持し、プレート移動機構に送ることが可能である。
【0048】
プレート移動送り機構は好ましくは方向付け機構を含み、方向付け機構は理想的には、蓋が取外されたプレート底部がプレート作業位置に移動される前に、蓋を取るとともに、少なくとも未処理プレートの底部を略水平軸について方向付けすることをもたらす。
【0049】
好ましくは、未処理プレートの底部がx方向またはy方向の一方における軸について180度で方向付けられてプレート底部を通常の直立の向き(作業向きと称する)にすることができるよう、保持プレートの少なくとも底部が当該軸について回転することができるように、対向する顎部が装着される。この形態では、未処理プレートの底部は好ましくは、概念上の筒部と交わる略水平軸について回転する。
【0050】
未処理プレートの底部をこの直立した向きまたは作業向きに保持すると、方向付け機構は好ましくは、上記のプラットホーム上に配置されるように動かすことができ、直立しかつ保持された未処理プレートの底部がプラットホーム上に下ろされ、それによって中央配置されかつクランプされ得る。一形態では、これらの動きはすべて1回の連続動作で行なわれ、未処理プレートの底部が元々の向きから蓋を離れて若干持ち上げられ(蓋は元々の向きに維持された状態)、次いで作業向きに方向付けられ、1回の動きでプラットホーム上に下ろされる。未処理プレートの底部は、上でも述べたように、プレート作業位置に動かされる用意ができたプラットホーム上に中心決めされかつクランプされた状態となることができる。
【0051】
認識されるように、次いで反転動作により、再びプレート底部を回転させることで蓋を再び取付けることができるプレート作業位置から、元々の逆さの向きに(好ましくは滑らかな連続動作で)処理済プレートの底部が動かされる。
【0052】
方向付け機構は、オーストラリア仮特許出願20072007900145号の優先権を主張する、2008年1月11日に出願された「固体増殖培地プレートを方向付けるための方法および機器(Method and Apparatus for Orientating a Solid Growth Culture Medium Plate)」と題された本出願人の国際特許出願において、より充分に記載されており、その内容全体を引用によって本明細書に援用する。
【0053】
本発明の機器は好ましくは、接種および画線された(処理済)プレートを再び逆さの向きで保管することが可能なプレート保管部と、処理済プレートの底部をプレート作業位置から回収し、処理済プレートの底部に蓋を再び取付けるとともに再び方向付けし、処理済プレートをプレート保管部に移動させることが可能なプレート移動保管機構とをさらに含む。一形態では、プレート保管部は複数の取出し可能なカセットによっても構成され、各カセットは、プレート移動保管機構から複数の処理済プレートを受取り、複数の処理済プレートを保管することが可能である。
【0054】
プレート移動保管機構に関し、プレート移動送り機構の一部である上記の方向付け機構は、好ましくは追加的に、処理済プレートの底部をプレート作業位置から回収し、処理済プレートの底部に蓋を再び取付けるとともに再び方向付けする役割を果たすことが認識される。これらのステップは、単純に、未処理プレートをプレート作業位置に移す方向付け機構について上述したステップの逆である。
【0055】
したがって、本発明は、プレートの固体増殖培地に接種および画線するための機器も提供する。画線は、弾性的に可撓性を有して支持された離間された接触面の列を含む画線アプリケータを使用する。当該機器は、
(a)未処理プレートを逆さの向きに保管することが可能なプレート供給部と、
(b)プレート供給部から逆さの未処理プレートを取得し、未処理プレートの底部が最も下であるとともにその蓋が取外されるように未処理プレートを方向付けし、かつ方向付けされ蓋が取外された未処理プレートの底部を、接種および画線ステーション内のプレート作業位置に移動させることが可能なプレート移動送り機構と、
(c)接種および画線ステーションとを含み、接種および画線ステーションは、
〜予め定められた位置に二次元(x,y)で固定された概念上の作用線を有するプレート作業位置と、
〜位置決めされたプレートを回転させて画線を行わせるプレート回転装置とを有し、さらに、
(d)位置決めされたプレートの培地の表面高さを特定して、当該プレートの接種および画線前に、当該プレートについて作用線の第3の次元(z)を決定することが可能なセンサと、
(e)位置決めされたプレートの培地表面上に、作用線に沿って接種物を投下することが可能な接種装置と、
(f)位置決めされたプレートを画線のために回転させる前に、画線アプリケータの離間された接触面の列が位置決めされたプレートの培地表面に作用線に沿って接触するように、画線アプリケータを動かすことが可能な画線装置と、
(g)処理済プレートを逆さの向きで保管することが可能なプレート保管部と、
(h)処理済プレートをプレート作業位置から回収し、蓋を取付けるとともに処理済プレートを逆さの向きに再び方向付けし、処理済プレートをプレート保管部に移動させることが可能なプレート移動保管機構とを備える。
【0056】
また、プレートの固体増殖培地に接種および画線するための方法も提供する。画線は、弾性的に可撓性を有して支持された離間された接触面の列を有する画線アプリケータを使用する。当該方法は、
(a)未処理プレートをプレート供給部に逆さの向きで保管するステップと、
(b)プレート供給部から逆さの未処理プレートを取得し、未処理プレートの底部が最も下であるとともにその蓋を外すように未処理プレートを方向付けし、かつ方向付けされ蓋が取外された未処理プレートを接種および画線ステーション内のプレート作業位置に移動させるステップとを含み、プレート作業位置は、予め定められた位置に二次元(x,y)で固定された概念上の作用線を有し、さらに、
(c)位置決めされたプレートの培地の表面を特定して、当該プレートの接種および画線前に、当該プレートについて作用線の第3の次元(z)を決定するステップと、
(d)位置決めされたプレートの培地表面上に、作用線に沿って接種物を供給するステップと、
(e)画線アプリケータの離間された接触面の列が位置決めされたプレートの培地表面に作用線に沿って接触するように、画線アプリケータを動かすステップと、
(f)プレート作業位置にある位置決めされたプレートを画線のために回転させるステップと、
(g)処理済プレートをプレート作業位置から回収し、蓋を取付けるとともに処理済プレートを逆さの向きに再び方向付けし、処理済プレートをプレート保管部に移動させるステップとを含む。
【0057】
上記の方法および機器は、「ハーフプレート」(「バイプレート」と称する場合もある)も処理するように有利に変更し得ることも認識される。ハーフプレートは上述のプレートと同様であるが、プレートの中心を横切る物理的な障壁、たとえば直立した壁を含み、壁は円形プレートを2つの半円部分に分割する。ハーフプレートは、2つの部分が同じ組成の固体増殖培地を有して同じもしくは異なる種類の試料で接種されることができるような、または(恐らく比較目的もしくは実験目的で)異なる種類の固体増殖培地を有して同じもしくは異なる種類の試料で接種されるような態様で使用することができる。ただし一部の状況では、ハーププレートの用途は単に空間または時間の節約であろう。
【0058】
本発明の方法および機器においてハーフプレートが使用される場合、さまざまな動作が繰返され、一部は変更されることが認識される。たとえば、(同じ投下先端部から同じ画線アプリケータを用いて)同じ試料が同じ種類の培地を含むプレートの各半分上に接種される状況においてハーフプレートの両方の部分を使用するには、接種は2回行われ、画線は2回行われることになる(各回とも、プレートの全回転ではなく半回転のみについて行われる)。
【0059】
したがって、プレートをまず全回転させることによって、(上記)センサは直立した壁を識別および特定し、次いで(二次元においてのみ)予め定められた概念上の作用線を基準とする開始位置にプレートを戻すことが可能となるであろう。作用線を三次元において特定するために最初の半分の表面が検知され、次いでその作用線に沿って接種される。次いで、プレートは別の(二次元においてのみ)予め定められた概念上の作用線を基準とする第2の開始位置まで回転される。次いで、作用線を三次元において特定するために第2の半分の表面が検知され、次いでその作用線に沿って接種され、次いで画線される。
【0060】
本発明の機器および方法への微生物試料の供給の説明に移り、供給システムは好ましくは、試料デッキ上の複数のラックに支持された複数の試料容器(試料管など)を含む(試料デッキは、試料ラックを投入および取出すために作業者によって利用可能である)。また、当該システムは好ましくは、試料ラックが接種装置に動作可能に接近できるように試
料ラックを操作することが可能な二軸試料操作搬送ロボットシステムも含む。試料そのものに関しては、液体もしくは半液体の形態である可能性が高いが、生物流体たとえば血液、尿、血漿および髄液、液体微生物培養物、生物抽出物、または環境試料たとえば水試料もしくは土壌洗浄試料でもあり得る。
【0061】
本発明の方法および機器の好ましい実施例の詳細な説明に移る前に、当業者によれば、好適な形態のバーコードアプリケータおよび適切なバーコードリーダを当該機器に含めることも望ましいことが認識される。好ましい形態では、各試料の存在および動作を適切に識別および記録するべく、バーコードラベルが(手作業でまたは自動的に)各試料容器に貼付けられている。また、処理済プレートをそこに塗布された試料と一致させ、当該処理済プレートを適切に識別し記録するために、好適なバーコードラベルを印刷して、処理済プレートがプレート作業位置から取出される際に処理済プレートに貼付けることができるよう、バーコードアプリケータは、理想的にはプレート移動保管機構に組込まれる。
【0062】
図面の簡単な説明
本発明に関わる一般概念を簡単に説明したので、本発明に係る好ましい実施例を次に説明する。しかし、以下の説明は上記説明の一般性を制限するものではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の好ましい実施例に従った自動画線機器の正面からの斜視図である。
【図2】図1の機器の後方からの斜視図である。
【図3a】図1の機器のためのプレート供給部およびプレート保管部の好ましい形態の部分斜視図である。
【図3b】図1の機器のためのプレート供給部およびプレート保管部の好ましい形態の部分斜視図である。
【図4a】図1の機器のための接種装置用のピペット先端部および試料供給システムの好ましい形態の部分斜視図である。
【図4b】図1の機器のための接種装置用のピペット先端部および試料供給システムの好ましい形態の部分斜視図である。
【図5】図1の機器用の画線アプリケータを取得する画線装置の好ましい形態の斜視図である。
【図6a】図1の機器用の方向付け装置の好ましい形態の部分斜視図である。
【図6b】図1の機器用の方向付け装置の好ましい形態の部分斜視図である。
【図7a】図1の機器による接種および画線中のプレート作業位置の好ましい配置の部分斜視図である。
【図7b】図1の機器による接種および画線中のプレート作業位置の好ましい配置の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
好ましい実施例の説明
図1および図2に(正面および後方から)例示される機器に関して、本発明の好ましい実施例を説明する。これらの図は不要な詳細を示しており、上で概説した本発明を存分に説明するために必要な深さの詳細までのみ説明する。
【0065】
さらに、後続の図3から図7の例示は、図1および図2の機器の異なる部分を各々示しており、各々は、上で概説した本発明を存分に説明するために充分詳細に再度説明される。この点に関し、「プレートの固体増殖培地の表面を特定するための方法および機器(Method and Apparatus for Locating the Surface of Solid Growth Culture Media in a Plate)」、「画線アプリケータカートリッジおよびそれを画線機器に接続するためのシステ
ム(A Streaking Applicator Cartridge and a System for Connecting Same to a Streaking Apparatus)」および「固体増殖培地プレートを方向付けるための方法および機器(Method and Apparatus for Orientating a Solid Growth Culture Medium Plate)」と題された、本願と同時出願された本出願人の同時係属国際特許出願を再び参照する。これらの全内容は、これらの部分のいくつかをより存分に説明し得るように引用によって本明細書に援用する。
【0066】
図1および図2に例示されているのは、プレートの固体増殖培地に接種および画線するための機器である。当該機器は、未処理プレートを当該機器に供給するための上側フレーム(図示せず)上に支持されている複数の入力プレートカセット10(カセット10aおよび10fのみが図示されている)を有するプレート供給部(概して文字Aで示す)と、当該機器からの処理済プレートを保管するために同じく上側フレームに支持されている複数の出力プレートカセット11(カセット11aおよび11fのみが図示されている)を有するプレート保管部(概して文字Bで示す)とを含む。図1には、概して文字Cで示す接種および画線ステーションも示される。
【0067】
プレート供給部Aおよびプレート保管部Bは、メインガントリ12の正面(図1)に存在するように上側フレームによって支持され、以下に説明するように、当該機器のさまざまな動作可能な往復台がメインガントリ12に沿って動く。接種および画線ステーションCのさまざまな部分は、図1または図2には示されていないが、下側フレームによって概ね支持されている。
【0068】
図1においてメインガントリ12に沿って摺動するように動作可能に係合されて示されるのはプレート供給往復台14aおよびプレート保管往復台14bであり、それぞれプレート移動送り機構およびプレート移動保管機構の一部を構成する。これらの往復台は、両方ともメインガントリ12に沿って(x方向に)移動してプレート(16aまたは16b)をプレート供給部Aから接種および画線ステーションCに、次いでプレート保管部Bに移動させるように構成される。往復台(14a,14b)は、その上の垂直なガイドレール(18a,18b)に沿ってプレート(16a,16b)を移動させ、プレート(16a,16b)をそれぞれのカセット(10a〜10fおよび11a〜11f)との間で、かつデュアルプレート方向付け機構(20a,20b)のいずれかもしくは両方との間でz方向に上昇および/または下降させるようにも構成される。
【0069】
この点に関し、往復台の各々は、搬送中のプレート16a,16bが上に載るプレート支持トレイ(22a,22b)を含むことがわかり、プレート支持トレイ(22a,22b)は、上述した移動のためにそれぞれの往復台に好適に装着される。また、本発明の実施例では、プレートは、その底部が最も上となりその蓋が最も下となるような逆さの向きでそれぞれのカセットに供給および保管されることもわかる。
【0070】
接種装置30および画線装置40もメインガントリ12に沿って移動するように構成されている。本実施例では、両方ともメインガントリに沿ってx方向に移動するように好適な往復台上に装着される。接種装置30はピペットロボットシステムであり、投下先端部の供給部32および多数の供給管36を含む試料供給システム34に接近し、かつ接種目的でプレート作業位置(このような位置の1つを図2に文字Dで示す)に接近することもできるように制御される。画線装置40は、画線アプリケータ供給部42に接近することができるように制御された画線ロボットシステムであり、本実施例では、4つの対応するカートリッジホルダ44に収容された4つのアプリケータ供給カートリッジ46を含む。
【0071】
本発明の機器の本実施例のこれらの部分のいくつかについてのより詳細な説明に移る前に、説明される図1および図2の最終的な全体的局面は、接種および画線ステーションC
である。本実施例では、当該機器の接種および画線ステーションCは、(図2のデュアルプレート作業位置Dにおいて明らかに符号16c,16dで示される)2枚のプレートを画線するためのデュアルプレート作業位置Dおよびデュアル回転装置(52a,52b)と、デュアルプレート方向付け機構(20a,20b)とを含み、その位置は、図1および図2においてすべて概略的に符号50aおよび50bで示される。図2は、デュアルセンサ(54a,54b)の下側のプレート作業位置Dにおいて、蓋が取外されたプレート16c,16dを概略的に示すが、図1はデュアル方向付け機構(20a,20b)によって方向付けされ蓋が取外されるデュアルプレート(16e,16f)を示す。もちろん、このような二重構造は本発明に係る機器について必須ではなく、このようなステーションおよび装置を1つ使用し得ると解釈される。このようなステーションおよび装置を3つもしくは4つまたはそれ以上含む機器も想定される。
【0072】
また、本実施例では、接種および画線ステーションCは、機器の主要な機能が存在する機器内の概略的な場所であることもわかる。この場所はプレート作業位置を概ね中心とする。また、本実施例では、プレート作業位置D自体は、当該機器におけるセンサ(54a,54b)の物理的な場所によって識別される(本質的には規定される)こともわかる。センサ(54a,54b)は、それぞれのセンサ装着フレーム(58a,58b)に強固に装着される。したがって、図1および図2を組み合わせると図1に示されるデュアルプラットホーム(60a,60b)と図2に示される位置にあるデュアルプラットホーム(62a,62b)との4つのプラットホームが示されているが、当該機器は、プレートを支持するためにデュアルプレートプラットホームも含む。この点に関し、これらの図の各々は、単に説明のために2つのプラットホームを(異なる位置に)示しており、本実施例の機器は、実際にはこのようなプラットホームを2つだけ含む。
【0073】
次に、図1および図2に示される機器の部分のいくつかについてのより詳細な説明に移り、プレート供給部Aおよびプレート保管部Bで使用するための好適な取外し可能なカセット(10a,11a)の例を示す図3aおよび図3bをまず参照する。各カセット(10a,11a)は、それらの内側チャンバ(70a,70b)内に複数のプレートを保持することが可能である。カセット10aは、その後の処理のために未処理プレートを機器に供給するためのものであり、カセット11aは、機器における接種および画線後に処理済プレートを保管するためのものである。図に見られるように、カセット(10a,11a)の各々はそれぞれの往復台(14a,14b)とも相互作用して、それぞれの内部係合およびプレート解放/固定手段(図示せず)によってプレートを下からそれぞれのトレイ(22a,22b)上に捕捉する。
【0074】
図4aおよび図4bに関し、上述したように、本発明の機器の接種装置30は、一般に液体の形態にある生物試料を取得して保持し、位置決めされたプレートの培地表面に当該試料を移動させることが可能ないずれかの装置であり得る。本実施例では、接種装置30は、z方向と、上述したようなメインガントリ12に沿ってxおよびy方向とに移動可能であるようにロボットシステム(図示せず)に搭載されたピペット装置31である。
【0075】
ピペット装置31は使い捨て可能な投下先端部33を含み、先端部33は、接種が行われると先端部33を容易に廃棄することができる態様で解放可能に固定されている。ピペット装置31は、さまざまな接種量についてプログラム可能であり、以下に説明するように基準面とプラットホーム(60a,60b,62a,62b)の基準点と、もちろん上記の概念上の作用線とを基準として、投下先端部33の位置の高さを三次元空間において決定することが可能な位置高さ(z方向)参照システム(図示せず)を含む。
【0076】
ピペットロボットシステムは、投下先端部33のラック35を含む投下先端部供給部32と、試料管36などの試料容器のラックを含む細菌試料ステーション34と、接種およ
び画線ステーションC内のプレート作業位置Dと、先端部廃棄シュート(図示せず)とに接近するようにピペット装置31を動かすことが可能であり、かつ先端部を固定させることができる好適な先端部固定手段も含む。先端部固定手段は、試料を取得して保持し、試料を投下し、次いで使用済の先端部33を廃棄するのに使用される。
【0077】
図5を参照し、画線装置40は接種装置30とは別個の装置であり、本実施例では、(カートリッジホルダ44の供給カートリッジ46から)画線アプリケータ45を取得および保持し、当該アプリケータ45をプレート作業位置Dと(概ねx面、y面のすべてにおいて)位置決めされたプレート近傍とに移動させるのに好適なアプリケータ操作ヘッド41を含む独自のロボットシステムによって得られる。アプリケータ操作ヘッド41は、次にアプリケータ45をz方向に移動させ、アプリケータ45の接触面の列(ここではアプリケータ45の最下部の湾曲部分47に沿って配置されるものとして表わされる)を上記のようにかつ本実施例に関して以下により良く説明されるように、概念上の作用線に沿って(したがって位置決めされたプレートの培地表面の接種物上/内に)配置することが可能でなければならない。
【0078】
上述したように、本発明の機器と使用することが好ましい画線アプリケータは、上記の「微生物画線装置(Microbial Streaking Device)」と題された国際特許公報WO2005/071055(Medvet Science Pty Ltd)(本出願人にライセンスされている)に概略的に記載されている画線アプリケータであり、その内容全体を引用によって本明細書に援用する。これらの画線アプリケータは、非常に浅い逆V字型の本体を共に構成する2つの主要な傾斜部を有するものの、概ね平坦な矩形形状であると言える。本体の上部49は装着部をもたらし、本体の下側湾曲部分47は離間された接触面の列をもたらし、その間に、図5に示される形態で複数の細長い部材から成る弾性および可撓性を有する支持部材が存在する。
【0079】
画線ロボットシステムのアプリケータ操作ヘッド41は、上記のアプリケータ45の装着部49を把持しクランプすることができる開閉可能なクランピング部材51を含み、アプリケータ45は、カートリッジホルダ44に保持された供給カートリッジ46に設けられ、両方とも上記の「画線アプリケータカートリッジおよびそれを画線機器に接続するためのシステム(A Streaking Applicator Cartridge and a System for Connecting Same to a Streaking Apparatus)」と題された本出願人の同時出願国際特許出願に概略的に記載されている種類のものである。
【0080】
画線ロボットシステムの開閉可能なクランピング部材51は、好ましくは、アプリケータ廃棄シュート(図示せず)付近に配置された固定排出ピン(図示せず)と相互作用することが可能な解放留め具(図示せず)を含み、ピンがラッチと係合することによってクランピング部材がアプリケータを解放し、アプリケータをアプリケータ廃棄シュートに落下させる。
【0081】
図6aおよび図6bに関し、本実施例の機器は、プレート(または少なくともプレート底部)を元々の向きの保持位置から作業向きに回転させることが可能なデュアル方向付け機構(図1および図2において符号50a,50bで大まかに示す)を含む。図6aおよび図6bは、これらの機構の一方50aをより詳細に示す。
【0082】
図6aは、センサ54aの近傍のプレート作業位置Dへのその後のプレート底部の移動のためにプレート16eを方向付けし蓋を取る動作を開始する機構50aを示す。図6bは、作業向きに方向付けされ、蓋が取外され、かつプレート16eの底部がプレート作業位置Dに存在するように移動された同じプレート16eを示す。
【0083】
プレート16eは蓋17および底部19を有し、この実施例では、単一の外周側壁21を有する円形のプレートである。当該方向付け機構20aは、自身の間にプレート16eを受入れかつ保持することができる対向する顎部(図6aで見ると下顎部80および上顎部82)を含む。これらの顎部の一方(この場合、下顎部80)は伸縮可能な真空作動蓋把持装置84であり、他方(上顎部82)は、プレート16eの底部19の直径以下の距離分だけ離間されている伸縮可能な細長い先枝部の対である。上顎部82はそれぞれの真空作動吸引カップの形態にある真空作動プレート底部把持装置も含む。
【0084】
プレート16eは、最初に顎部(80,82)の間に配置されると、「保持位置」として規定される位置で、それらの間に保持される。当該保持位置はプレート16eの上および下に概念上の筒部を規定する。この概念上の筒部は、プレート16eの側壁21によって形成される部分的な円形の筒部を延長したものであり、プレート16eの上および下に無限に続く。
【0085】
方向付け機構20aは、上顎部82が装着される顎部支持部材86を含む。上顎部82は、概念上の筒部と交わる略水平軸の周りをプレート16eが回転して元々の向きから作業向きにプレート底部19を方向付けするように、支持部材86上に装着される。また、顎部支持部材86は、プレート底部19が方向付け中に滑らかな連続動作で下方に動かされてプレートクランピング部材88と係合するようプレート底部19が上から(概念的な筒部内で)プレートプラットホーム60a上へと下ろされるように、略垂直(y方向)にも移動可能である。顎部82の先枝部は、プレート16eがクランプされる際にクランプされないように、プラットホーム60aの協働可能な形状のチャネル90内に緩く収容される。
【0086】
この実施例では、プレートクランピング部材88は、カム装置(図示せず)によって動作される3つの移動可能な突起の形態にある。これらの突起は、好ましくは、プラットホーム60a上でプレートの位置を中央に配置するためのプレート中央配置手段としても機能する。これは、プレート16eとのその後の動作について有用であり得る。
【0087】
次いで、動作時において、プレート底部19が一旦プラットホーム88にクランプされるとともにプラットホーム88において中央に配置されると、このクランプされたプレート底部19を、水平方向(y方向)に先枝部から離れ、方向付け機構20aから独立し、概念上の筒部から離れ、プレート作業位置Dに至るように移動させ得る。プレート作業位置Dでは、プレート16eの培地への接近が容易になされ得る。
【0088】
理解されるであろうように、次いで、反転動作により、プラットホーム60aは、(プレート作業位置Dでの処理の後かつ蓋17がない状態の)プレート16eのクランプされた底部19とともに、保持位置の概念的な筒部内のプレート作業位置Dから移動し、先枝部は再びプラットホーム60aのチャネル90の中に、プラットホーム60aのプレートクランピング部材88によって緩く収容される(かつ、プレート底部19の下に配される)。次いで、顎部支持部材20によって、プレート底部19を若干上昇させ、次いで蓋17の周辺で回転させてその元々の向きに戻すことにより、蓋17をプレート底部19に再び取付けることができる。
【0089】
方向付け機構50aは、「固体増殖培地プレートを方向付けるための方法および機器(Method and Apparatus for Orientating a Solid Growth Culture Medium Plate)」と題された本出願人の同時出願国際特許出願において、より充分に記載されている。
【0090】
最後に図7aおよび図7bを参照し、図1および図2において先に示したプレート作業位置Dで行われる動作について言及する。図7aを参照し、プレート底部19がプレート
作業位置Dにおいて中央に配置されクランプされた姿勢にある状態のプレートプラットホーム60aが例示されている。上記のように、プレートプラットホーム60aは、カム装置(図示せず)によって動作される3つの移動可能な突起の形態にあるプレートクランピング部材32を含み、これらの突起は、好ましくはプラットホーム60a上でプレート底部19の位置を中央に配置するためのプレート中央配置手段としても機能する。
【0091】
プレート作業位置Dは、予め定められた位置に二次元(x,y)で固定された(図6aでは破線によって示される)概念上の作用線Xと基準面Yとを含む。基準面Yは、図6aではプレートプラットホーム60aの面として示される(図7aの例示によれば、最終的にプレート作業位置D内に位置付けられる)。本発明では、概念上の作用線Xは予め定められた位置に二次元(x,y)で固定される。上述したように、この作用線は、本明細書では「概念上の」作用線と称される。これは、作用線が、目に見える作用線ではなく、またプレート底部19の培地の表面100の高さが決定されるまで三次元空間において定められた位置を持たないと仮定してのことである。
【0092】
図7aは、プレート底部19の表面100を特定するための機器を示し、センサ54aを含む。本発明のこの実施例において、概念上の作用線Xはもちろん予め定められた位置に二次元(x,y)で固定されており、プレート作業位置Dは、プレートプラットホーム60aの最上面である基準面Yを含む。
【0093】
センサ54aは、好ましくは概念上の作用線Xの中央にある(図7aでは特定されていない)検知領域内で、表面100上に集束ビームを与えることが可能な超音波ビーム集束要素を有する超音波検知装置55aを含む。センサ54aは、センサ支持アーム58aによって強固に装着され、それによって、プレート作業位置Dの概略位置を規定する。この形態で、センサ54aは理想的には、プレート作業位置Dの上方にくるようにかつそのすぐ下方でプレートプラットホーム60aに保持されたプレート底部19に動作可能に隣接するように装着され、プレート底部19の表面100は上向きに開放されている。
【0094】
したがってセンサの好ましい動作は、表面100を検知し、かつ表面100までの距離を測定することである。次いで、測定された距離を基準面Yに参照付けて、プレート底部19の表面100について一次元(z)で基準面Yを基準として表面位置基準を決定する。この態様で、表面100はこの表面位置基準を決定することによって少なくともz次元において特定され得ることが認識される。これによって、少なくともその基準面Yを基準としてプレート底部19の培地の高さが効果的に決定される。この点に関して、図からもわかるように、基準面Yは、プレートがクランプされかつ支持されるプレートプラットホーム60aの一部を成す面である。したがって、この実施例では、表面位置基準の決定によって、培地が載っているプレートプラットホーム60aを基準として培地の高さが効果的に決定される。
【0095】
次いで、この表面位置基準を、(先の図に示される)概念上の作用線Xと共に用いて、位置決めされたプレートの表面100を横切る線を代表する線Gを三次元(x,y,z)で決定することができる。
【0096】
本発明の機器の他の部分のように、センサ54aは、上記の「プレートの固体増殖培地の表面を特定するための方法および機器(Method and Apparatus for Locating the Surface of Solid Growth Culture Media in a Plate)と題された本出願人の国際特許出願において、より充分に説明されている。
【0097】
プレート底部19の培地の表面100を横切る線Gによって代表される概念上の三次元作用線は当該プレート底部19の培地にのみ固有であり、プレート作業位置Dで処理され
る次のプレートの表面と比べて異なる三次元作用線であってもよい(実際には、そうである可能性が高い)。ここで例示した好ましい形態では、概念上の作用線Xの予め定められた(x,y)位置は、円形のプレート底部19を基準として、概念上の作用線Xが円形のプレートの半径線となるように、つまり三次元(x,y,z)において作用線を代表する線Gについても同様となるように特定される。
【0098】
この形態において、図7aにも示すように、本発明の機器における接種装置30による培地の表面100の接種中に、三次元空間において位置決めされた所与のプレートの培地について、センサを用いて図7aで線Gによって代表される三次元作用線の適切な位置を決定することによって、投下先端部33が表面100から離れすぎずかつ表面100に近すぎることがない態様で、半径線Gに沿って培地の表面100上に生物試料を付着させることができる。この点において、生物試料が線に「沿って」投下される(または線に「沿って」接種される)という本明細書全体に亘る言及は、多様な形態の付着/接種を含むものと認識される。たとえば、試料は線の全長に沿って連続的に付着されてもよいし、または線に沿ってやや連続的に付着されてもよい。たとえば、必要に応じて点および/またはダッシュ線の形態で一連の離散的な付着物によって供給されてもよい。
【0099】
図7bを参照し、本発明の機器は次いで、画線アプリケータ45の離間された接触面の列が、再び線Gに沿って、使用される特定の画線アプリケータ45と使用される接種物および特定の固体増殖培地の組成とに好適な予め定められた接点圧でプレート底部19の培地の表面100上の少なくとも接種物に(および好ましくは培地の表面100自身にも)接触するように画線装置40を移動させることが可能であり、プラットホーム60aが矢印Hの方向に回転されると、画線アプリケータ45が不所望に培地表面を削り取らないように接種物が広げられる。
【0100】
結論として、ここで記載された構成に対する変更例および修正例が存在し得、それらも本発明の範囲内にあると理解されなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレートの培地に接種および画線するための機器であって、前記画線は、弾性的に可撓性を有して支持された離間された接触面の列を有する画線アプリケータを使用し、前記機器は、
(a)接種および画線ステーションを備え、接種および画線ステーションは、
−予め定められた位置に二次元(x,y)で固定された概念上の作用線を有するプレート作業位置と、
−位置決めされたプレートを回転させて画線を行わせるプレート回転装置とを含み、さらに、
(b)位置決めされたプレートの培地の表面を特定して、接種および画線の前に、当該プレートについて作用線の第3の次元(z)を決定することが可能なセンサと、
(c)位置決めされたプレートの培地の表面上に、作用線に沿って接種物を投下することが可能な接種装置と、
(d)位置決めされたプレートを画線のために回転させる前に、画線アプリケータの離間された接触面の列が位置決めされたプレートの培地の表面に作用線に沿って接触するように、画線アプリケータを動かすことが可能な画線装置とを備える、機器。
【請求項2】
プレートを支持するためのプラットホームを備え、プラットホームは、プラットホームに支持されているプレートが動作可能にセンサに隣接してプレート作業位置に位置決めされるように、プレート装填位置からプレート作業位置に出入りするように動かすことが可能である、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
プラットホームは、プレートをプラットホーム上に一定して中心決めするためのプレート中央配置機構を含む、請求項2に記載の機器。
【請求項4】
プレート中央配置機構は、プレートクランピング機能を有する、請求項3に記載の機器。
【請求項5】
プラットホームは基準面を与える、請求項2−4のいずれか1つに記載の機器。
【請求項6】
プレート回転装置はプラットホームに関連付けて設けられ、回転装置は、回転されたプレートを開始位置に戻すことが可能なホームフラッグを有する、請求項2−5のいずれか1つに記載の機器。
【請求項7】
プレート作業位置は、前記機器におけるセンサの物理的な位置によって得られ、センサはメインフレームに強固に装着される、請求項1−6のいずれか1つに記載の機器。
【請求項8】
センサは、培地の表面上に集束ビームを与えるための超音波ビーム集束要素を有する超音波検知装置である、請求項1−7のいずれか1つに記載の機器。
【請求項9】
ビームは、予め定められた(x、y)位置にある作用線を中心とする使用可能な領域内で集束される、請求項8に記載の機器。
【請求項10】
センサは表面を検知し、表面までの距離を測定し、測定された距離を基準面に参照付けて、当該表面について一次元(z)で基準面を基準とする表面位置基準を決定し、表面位置基準と概念上の作用線の固定された2つの次元とを用いて、概念上の作用線を三次元(x,y,z)で決定する、請求項5に従属する請求項8または9に記載の機器。
【請求項11】
接種装置は、z方向と、x方向およびy方向の少なくとも一方とに移動可能であるよう
にロボットシステムに搭載されたピペット装置を含む、請求項1−10のいずれか1つに記載の機器。
【請求項12】
ピペット装置は、ピペット本体に解放可能に固定された使い捨て可能な先端部を有する、請求項11に記載の機器。
【請求項13】
ピペット装置は、さまざまな接種量についてプログラム可能であり、プラットホームの配置基準面を基準とする位置高さ(z方向)参照システムを有する、請求項5に従属する請求項11または12に記載の機器。
【請求項14】
画線装置は、画線アプリケータを取得および保持し、かつ当該アプリケータを位置決めされたプレート近傍のプレート作業位置に移動させるのに適切なアプリケータ操作ヘッドを有するロボットシステムを含む、請求項1−13のいずれか1つに記載の機器。
【請求項15】
アプリケータ操作ヘッドは、アプリケータをz方向に移動させ、アプリケータの接触面の列を、概念上の作用線に沿って、位置決めされたプレートの培地表面上に配置することが可能である、請求項14に記載の機器。
【請求項16】
画線ロボットシステムのアプリケータ操作ヘッドは、画線アプリケータの装着部を把持しクランプすることができる開閉可能なクランピング部材を有する、請求項14または15に記載の機器。
【請求項17】
画線ロボットシステムの開閉可能なクランピング部材は、アプリケータ廃棄シュート付近に配置された固定排出ピンと相互作用することが可能な解放留め具を有し、ピンがラッチと係合することによってクランピング部材がアプリケータを解放し、アプリケータをアプリケータ廃棄シュートに落下させる、請求項16に記載の機器。
【請求項18】
添付の図面に関連して実質的に本明細書中で説明されたような、請求項1に記載の機器。
【請求項19】
プレートの培地に接種および画線するための方法であって、前記画線は、弾性的に可撓性を有して支持された離間された接触面の列を含む画線アプリケータを使用し、前記方法は、
(a)接種および画線ステーション内のプレート作業位置にプレートを配置するステップを含み、プレート作業位置は、予め定められた位置に二次元(x,y)で固定された概念上の作用線を有し、さらに、
(b)位置決めされたプレートの培地表面を特定して、当該プレートの接種および画線前に、当該プレートについて作用線の第3の次元(z)を決定するステップと、
(c)位置決めされたプレートの培地表面上に、作用線に沿って接種物を投下するステップと、
(d)画線アプリケータの離間された接触面の列が位置決めされたプレートの培地表面に作用線に沿って接触するように画線アプリケータを動かすステップと、
(e)位置決めされたプレートを、画線のためにプレート作業位置において回転させるステップとを含む、方法。
【請求項20】
プレート作業位置は基準面も有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
表面を検知し、表面までの距離を測定するためにセンサを用いて、測定された距離を基準面に参照付けて、当該表面について基準面を基準とする表面位置基準を一次元(z)で決定するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
表面位置基準と概念上の作用線の固定された2つの次元とを用いて、概念上の作用線を三次元(x,y,z)で決定するステップを含み、概念上の作用線は培地表面を代表する線である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
位置決めされたプレートの培地表面を横切る代表線に沿って接種物を投下するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
添付の図面に関連して実質的に本明細書中で説明されたような、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
プレートの固体増殖培地に接種および画線するための機器であって、前記画線は、弾性的に可撓性を有して支持された離間された接触面の列を含む画線アプリケータを使用し、前記機器は、
(a)未処理プレートを逆さの向きに保管することが可能なプレート供給部と、
(b)プレート供給部から逆さの未処理プレートを取得し、未処理プレートの底部が最も下であるとともにその蓋が取外されるように未処理プレートを方向付けし、かつ方向付けされ蓋が取外されたプレート底部を、接種および画線ステーション内のプレート作業位置に移動させることが可能なプレート移動送り機構と、
(c)接種および画線ステーションとを含み、接種および画線ステーションは、
〜予め定められた位置に二次元(x,y)で固定された概念上の作用線を有するプレート作業位置と、
〜位置決めされたプレートを回転させて画線を行わせるプレート回転装置とを含み、さらに、
(d)位置決めされたプレートの培地の表面高さを特定して、当該プレートの接種および画線前に、当該プレートについて作用線の第3の次元(z)を決定することが可能なセンサと、
(e)位置決めされたプレートの培地表面上に、作用線に沿って接種物を投下することが可能な接種装置と、
(f)位置決めされたプレートを画線のために回転させる前に、画線アプリケータの離間された接触面の列が位置決めされたプレートの培地表面に作用線に沿って接触するように、画線アプリケータを動かすことが可能な画線装置と、
(g)処理済プレートを逆さの向きで保管することが可能なプレート保管部と、
(h)処理済プレートをプレート作業位置から回収し、蓋を取付けるとともに処理済プレートを逆さの向きに再び方向付けし、処理済プレートをプレート保管部に移動させることが可能なプレート移動保管機構とを備える、機器。
【請求項26】
プレート供給部は複数の取出し可能なカセットによって構成され、各カセットは複数の未処理プレートを保持し、プレート移動機構に送ることが可能である、請求項25に記載の機器。
【請求項27】
プレート移動送り機構は方向付け機構を含み、方向付け機構は、蓋が取外された未処理プレートがプレート作業位置に移動される前に、少なくとも未処理プレートの底部を略水平軸について方向付けすることをもたらす、請求項25または26に記載の機器。
【請求項28】
方向付け機構は、対向するプレート受入れ顎部の対によって得られる、請求項27に記載の機器。
【請求項29】
顎部の少なくとも一方は、伸縮可能な真空作動装置によって得られ、一方は細長い先枝部の対によって得られる、請求項28に記載の機器。
【請求項30】
顎部の少なくとも一方はx方向またはy方向の一方における軸について回転するように装着され、顎部の間に保持された逆さの未処理プレートの少なくとも底部が、当該軸について180度で方向付けられてプレート底部を直立の向きにすることができる、請求項29に記載の機器。
【請求項31】
方向付け機構は、プラットホーム上に配置されるように動かすことが可能であり、直立しかつ保持された未処理プレートの底部がプラットホーム上に下ろされ得る、請求項30に記載の機器。
【請求項32】
未処理プレートは、プレート作業位置に動かされる用意ができたプラットホーム上に中央配置され、かつクランプされている、請求項31に記載の機器。
【請求項33】
プレート保管部は複数の取出し可能なカセットによって構成され、各カセットはプレート移動保管機構から複数の処理済プレートを受取り、複数の処理済プレートを保管することが可能である、請求項25−32のいずれか1つに記載の機器。
【請求項34】
方向付け機構はプレート移動保管機構の一部を構成し、処理済プレートの底部をプレート作業位置から回収し、蓋を取付けるとともに処理済プレートの底部を元々の逆さの向きに再び方向付けるように機能する、請求項27−32のいずれか1つに記載の機器。
【請求項35】
添付の図面に関連して実質的に本明細書中で説明されたような、請求項25に記載の機器。
【請求項36】
プレートの固体増殖培地に接種および画線するための方法であって、前記画線は、弾性的に可撓性を有して支持された離間された接触面の列を有する画線アプリケータを使用し、前記方法は、
(a)未処理プレートをプレート供給部に逆さの向きで保管するステップと、
(b)プレート供給部から逆さの未処理プレートを取得し、未処理プレートの底部が最も下であるとともにその蓋を外すように未処理プレートを方向付けし、かつ方向付けされ蓋が取外された未処理プレートを接種および画線ステーション内のプレート作業位置に移動させるステップとを含み、プレート作業位置は、予め定められた位置に二次元(x,y)で固定された概念上の作用線を有し、さらに、
(c)位置決めされたプレートの培地の表面を特定して、当該プレートの接種および画線前に、当該プレートについて作用線の第3の次元(z)を決定するステップと、
(d)位置決めされたプレートの培地表面上に、作用線に沿って接種物を投下するステップと、
(e)画線アプリケータの離間された接触面の列が位置決めされたプレートの培地表面に作用線に沿って接触するように、画線アプリケータを動かすステップと、
(f)プレート作業位置にある位置決めされたプレートを画線のために回転させるステップと、
(g)処理済プレートをプレート作業位置から回収し、蓋を取付けるとともに処理済プレートを逆さの向きに再び方向付けし、処理済プレートをプレート保管部に移動させるステップとを含む、方法。
【請求項37】
添付の図面に関連して実質的に本明細書中で説明されたような、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
請求項1−18のいずれか1つに記載の機器によって接種および画線されたプレート。
【請求項39】
請求項25−35のいずれか1つに記載の機器によって接種および画線されたプレート。
【請求項40】
請求項19−24のいずれか1つに記載の方法によって接種および画線されたプレート。
【請求項41】
請求項36または37に記載の方法によって接種および画線されたプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【公表番号】特表2010−515439(P2010−515439A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545039(P2009−545039)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000016
【国際公開番号】WO2008/083439
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(509192824)ラブテック・システムズ・リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】LABTECH SYSTEMS LIMITED
【Fターム(参考)】