説明

プログラムテスト支援装置、プログラムテスト支援方法、プログラムテスト支援プログラム

【課題】業務仕様を考慮し、かつ、ソフトウェアプログラムの品質を検査できる妥当な量のテストケースを生成する。
【解決手段】ソフトウェアプログラムに対して行う単体テストの観点を示すテスト項目の入力を受け付けて記憶し、予め記憶されたソフトウェアプログラムと、言語仕様と、業務仕様とに基づいて、定められたテストケース生成技法に基づいて、ソフトウェアプログラムに対して入力する値の組み合わせであるテストケースを生成し、生成したテストケース毎に、テストケースに対応するテスト項目を対応付ける対応関係の入力を受け付け、入力された対応関係に基づいて、テストケースが対応付けられていないテスト項目が存在するか否かを判定し、テストケースが対応付けられていないテスト項目が存在すると判定すると、警告を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェアプログラムの単体テストを支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理システムの開発は、設計、製造、テスト等の工程を経て行われるのが一般的である。テスト工程においては、そのコンピュータシステムを構成するモジュールであるソフトウェアプログラムにおける条件分岐や入出力の妥当性を検査する単体テストや、複数のモジュールを結合して複数モジュール間の連携を検査する結合テスト等などが行われる。特許文献1、2には、このようなテストを自動化する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−342054号公報
【特許文献2】特開平10−207727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、製造されたソフトウェアプログラムに基づいて単体テストのテストプログラムを自動生成する場合、例えばそのプログラム言語の言語仕様に基づいた限界値等を考慮したテストケースは網羅できるとしても、業務仕様に基づくテストケースを考慮したテストプログラムを生成することは困難である。また、ソフトウェアプログラムに入力する引数等の値の組み合わせを総当りで検査するテストケースを自動生成すると、膨大なテストケースが生成されることになり、テスト工程に過剰な工数が必要となってしまう。そこで、業務仕様を考慮し、かつ、ソフトウェアプログラムの品質を検査できる妥当な量のテストケースを生成することが望ましい。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、業務仕様を考慮し、かつ、ソフトウェアプログラムの品質を検査できる妥当な量のテストケースを生成するプログラムテスト支援装置、プログラムテスト支援方法、プログラムテスト支援プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、プログラム言語により記述され、入力される値に応じて定められた情報処理を行った処理結果を出力するソフトウェアプログラムの単体テストを支援するプログラムテスト支援装置であって、単体テストの対象であるソフトウェアプログラムが記憶されている試験対象記憶部と、ソフトウェアプログラムに対して行う単体テストの観点を示すテスト項目が記憶されるテスト項目記憶部と、ソフトウェアプログラムに対して入力する値の組み合わせであるテストケースが記憶されるテストケース記憶部と、値の、プログラム言語における型に応じた限界値を示す言語仕様が記憶されている言語仕様記憶部と、ソフトウェアプログラムが利用されるシステムにおける業務仕様に応じた値の境界値が含まれる業務仕様が記憶されている業務仕様記憶部と、テスト項目の入力を受け付けてテスト項目記憶部に記憶させるテスト項目登録部と、ソフトウェアプログラムと、言語仕様と、業務仕様とに基づいて、定められたテストケース生成技法に基づいてテストケースを生成してテストケース記憶部に記憶させるテストケース生成部と、テストケース生成部が生成したテストケース毎に、テストケースに対応するテスト項目を対応付ける対応関係の入力を受け付ける対応関係入力部と、対応関係入力部に入力された対応関係に基づいて、テストケースが対応付けられていないテスト項目が存在するか否かを判定する判定部と、判定部が、テストケースが対応付けられていないテスト項目が存在すると判定すると、警告を出力する警告部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、テストケース生成部は、テストケース生成技法であるAll−Pair法に基づいてテストケースを生成することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、テスト項目を条件として、テストケースを動作とするデシジョンテーブル形式のテストケース表を生成して出力するテストケース表生成部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、プログラム言語により記述され、入力される値に応じて定められた情報処理を行った処理結果を出力するソフトウェアプログラムの単体テストを支援し、単体テストの対象であるソフトウェアプログラムが記憶されている試験対象記憶部と、ソフトウェアプログラムに対して行う単体テストの観点を示すテスト項目が記憶されるテスト項目記憶部と、ソフトウェアプログラムに対して入力する値の組み合わせであるテストケースが記憶されるテストケース記憶部と、値の、プログラム言語における型に応じた限界値を示す言語仕様が記憶されている言語仕様記憶部と、ソフトウェアプログラムが利用されるシステムにおける業務仕様に応じた値の境界値が含まれる業務仕様が記憶されている業務仕様記憶部と、を備えたプログラムテスト支援装置のプログラムテスト支援方法であって、テスト項目の入力を受け付けてテスト項目記憶部に記憶させるステップと、ソフトウェアプログラムと、言語仕様と、業務仕様とに基づいて、定められたテストケース生成技法に基づいてテストケースを生成してテストケース記憶部に記憶させるステップと、生成したテストケース毎に、テストケースに対応するテスト項目を対応付ける対応関係の入力を受け付けるステップと、入力された対応関係に基づいて、テストケースが対応付けられていないテスト項目が存在するか否かを判定するステップと、テストケースが対応付けられていないテスト項目が存在すると判定すると、警告を出力するステップと、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、プログラム言語により記述され、入力される値に応じて定められた情報処理を行った処理結果を出力するソフトウェアプログラムの単体テストを支援し、単体テストの対象であるソフトウェアプログラムが記憶されている試験対象記憶部と、ソフトウェアプログラムに対して行う単体テストの観点を示すテスト項目が記憶されるテスト項目記憶部と、ソフトウェアプログラムに対して入力する値の組み合わせであるテストケースが記憶されるテストケース記憶部と、値の、プログラム言語における型に応じた限界値を示す言語仕様が記憶されている言語仕様記憶部と、ソフトウェアプログラムが利用されるシステムにおける業務仕様に応じた値の境界値が含まれる業務仕様が記憶されている業務仕様記憶部と、を備えたプログラムテスト支援装置のコンピュータに、テスト項目の入力を受け付けてテスト項目記憶部に記憶させるステップと、ソフトウェアプログラムと、言語仕様と、業務仕様とに基づいて、定められたテストケース生成技法に基づいてテストケースを生成してテストケース記憶部に記憶させるステップと、生成したテストケース毎に、テストケースに対応するテスト項目を対応付ける対応関係の入力を受け付けるステップと、入力された対応関係に基づいて、テストケースが対応付けられていないテスト項目が存在するか否かを判定するステップと、テストケースが対応付けられていないテスト項目が存在すると判定すると、警告を出力するステップと、を備えることを特徴とするプログラムテスト支援プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、ソフトウェアプログラムに対して行う単体テストの観点を示すテスト項目の入力を受け付けて記憶し、予め記憶されたソフトウェアプログラムと、言語仕様と、業務仕様とに基づいて、定められたテストケース生成技法に基づいて、ソフトウェアプログラムに対して入力する値の組み合わせであるテストケースを生成し、生成したテストケース毎に、テストケースに対応するテスト項目を対応付ける対応関係の入力を受け付け、入力された対応関係に基づいて、テストケースが対応付けられていないテスト項目が存在するか否かを判定し、テストケースが対応付けられていないテスト項目が存在すると判定すると、警告を出力するようにしたので、業務仕様を考慮し、かつ、ソフトウェアプログラムの品質を検査できる妥当な量のテストケースを生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態によるプログラムテスト支援装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態によるテスト対象のソフトウェアプログラムの例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態によるテストケース表雛形の例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態によるテストケース表の入力例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態によるテストケース表の入力例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態によるテストケース表の入力例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による業務仕様のデータ例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による言語仕様と業務仕様とのデータ例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態により生成されるテストケース候補値の例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態によるテストケース表の入力例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態によるテストケース表の入力例を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態によるテストプログラムの例を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態によるプログラムテスト支援装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態によるプログラムテスト支援装置100の構成を示すブロック図である。プログラムテスト支援装置100は、プログラム言語により記述され、入力される値に応じて定められた情報処理を行った処理結果を出力するソフトウェアプログラムの単体テストを支援するコンピュータ装置である。プログラムテスト支援装置100は、ユーザからの入力を受け付けるマウスやキーボード等の入力デバイスや、情報を表示するディスプレイ等を有する。試験対象記憶部101と、テストケース雛形記憶部102と、テストケース表生成部103と、テスト項目登録部104と、テスト項目記憶部105と、業務仕様記憶部107と、テストケース生成部108と、テストケース記憶部109と、対応関係入力部110と、判定部111と、警告部112と、テストプログラム生成部113とを備えている。
【0014】
試験対象記憶部101には、単体テストの対象であるソフトウェアプログラムが記憶される。図2は、試験対象記憶部101に記憶されているソフトウェアプログラムのソースコードの例を示す図である。ここでは、JAVA(登録商標)によって記述されたソフトウェアプログラムの例を示しているが、他のプログラム言語によって記述されたソフトウェアプログラムを試験対象としても良い。ここでは、SmplBLogicImplクラスのcalcSumメソッドを試験対象とする例を説明する。calcSumメソッドは、引数として渡されたIDの商品の単価と個数をもとに、配送料を加算した合計金額を計算する処理を行う。calcSumメソッドは、文字列型であるStringの変数であるitemIDと、整数型であるintの変数であるcntとを引数とする。図においては、符号aに示す箇所にクラス名が記載されており、符号bに示す箇所に戻り値の型が記載されており、符号cとdに示す箇所に引数が記載されている。
【0015】
テストケース表雛形記憶部102には、プログラムテスト支援装置100が生成するテストケース表の雛形が予め記憶される。図3は、テストケース雛形記憶部102に記憶されているテストケース表雛形の例を示す図である。このようなテストケース表雛形は、例えば表計算ソフトによるシートとして記憶されている。符号aに示す箇所には、試験対象の情報が入力される。符号bに示す箇所は、テスト項目を条件として、テストケースを動作とするデシジョンテーブル形式のテストケース表であり、テスト項目やテストケースが入力される。ここで、テスト項目とは、ソフトウェアプログラムに対して行う単体テストの観点を示す情報であり、例えば、「配送料が加算される条件の場合に正しい合計金額になること」のような情報である。テストケースは、ソフトウェアプログラムに対して入力する値の組み合わせであり、例えば、変数itemIDと変数cntとに入力する値の組み合わせである。
【0016】
テストケース表生成部103は、テストケース表雛形記憶部102から読み出したテストケース表雛形に各種情報を入力し、デシジョンテーブル形式のテストケース表を生成して出力する。図4は、図3において符号aに示した箇所に情報が入力された例を示す図である。ここには、試験対象のクラス名と、メソッド名と、引数と、戻り値と、テスト対象概要との情報が入力される。これらの情報は、ユーザから入力された情報が入力されるようにしても良いし、テストケース表生成部103が試験対象のソフトウェアプログラムから読み出して入力するようにしても良い。
【0017】
図5は、図3において符号bに示した箇所を示す図である。この箇所の上部には、テスト観点が入力され、テスト観点毎に具体的なテスト項目が対応付けられて入力される。これらの情報は、テスト対象のモジュール等やテスト方針等に応じて、予め記憶されたテスト観点を読み出して入力するようにしても良いし、ユーザから入力された情報を入力するようにしても良い。事前条件、入力値、期待結果の欄には、テストケース表生成部103が、テスト対象のモジュールに含まれる情報を読み出して入力する。組み合わせ条件の欄には、テストケースを生成する際の組み合わせに関する条件を指定することができる。例えば、テストケースの生成対象とする値を選択したり、テストケースから除外する値の組み合わせ等を指定したりすることができる。
【0018】
テスト項目登録部104は、ユーザからのテスト項目の入力を受け付けて、テスト項目記憶部105に記憶させる。テスト項目登録部104に記憶されたテスト項目は、テストケース表生成部103によって読み出されてテストケース表に入力される。図6は、テスト項目が入力されたテストケース表の例を示す図である。テスト項目の欄には、「配送料が加算される条件の場合に正しい合計金額になること」や、「配送料が加算されない条件の場合に正しい合計金額になること」等の情報が入力される。
テスト項目記憶部105には、テスト項目登録部104に入力されたテスト項目が記憶される。
【0019】
業務仕様記憶部106には、ソフトウェアプログラムが利用されるシステムにおける業務仕様に応じた引数や事前条件の境界値が含まれる業務仕様が記憶されている。図7は、業務仕様記憶部106に記憶されている業務仕様のデータ例を示す図である。例えば、月齢データの最小値「1」と最大値「12」と、日付データの最小値「1」と最大値「31」、うるう年の場合の2月の日付の特殊値としての「29」などが記憶される。
【0020】
言語仕様記憶部107には、引数や事前条件の値の、プログラム言語における型に応じた限界値を示す言語仕様が記憶される。例えば、図8の言語仕様の欄に示す様に、型がintであれば、言語仕様としての上限値と下限値とが対応付けられる。
【0021】
テストケース生成部108は、試験対象記憶部101に記憶されている試験対象のソフトウェアプログラムと、言語仕様記憶部107に記憶されている言語仕様と、業務仕様記憶部106に記憶されている業務仕様とを読み出し、読み出したソフトウェアプログラムと、言語仕様と、業務仕様とに基づいて、定められたテスト技法に基づいてテストケース候補値を生成してテストケース記憶部109に記憶させる。例えば、図7に示したような業務仕様から、図8の業務仕様の欄に示すように、最大値と最小値の間の値である正常値と、最大と最小との境界値と、特殊値とを判定する。また、テストケース生成部108は、図8に示したようなデータから、図9に示すような、テストケース候補値を生成する。ここでは、テストケース生成部108は、例えば同値分割や境界値分析等のテスト技法に基づいて、テストケース候補値を生成する。テストケース生成部108は、このように生成したテストケース候補値をテストケース記憶部109に記憶させる。テストケース記憶部109に記憶させたテストケース候補値は、テストケース表生成部103によって読み出され、図6に示すように、事前条件と入力値との値が入力される。
【0022】
また、テストケース生成部108は、定められたテストケース生成技法に基づいてテストケースを生成してテストケース記憶部109に記憶させる。テストケース生成技法とは、例えば、All−Pair法や直交表を用いた手法や、代表値のみの組み合わせから1変数のみ値を変更する等の手法が適用できる。このような値を組み合わせてテストケースを生成する際には、PICT(Pairwise Independent Combinatorial Testing tool)などのテストケース生成ツール等を使用することができる。テストケース生成部108は、このように生成したテストケースをテストケース記憶部109に記憶させる。テストケース記憶部109に記憶させたテストケースは、テストケース表生成部103によって読み出され、図10の符号aに示すように、テストケース表にプロットされて入力される。ここでは、「Y」の文字が入力された箇所の値を組み合わせることを示している。本実施形態では、テストケース生成ツール等を使用してテストケースを生成する例を示すが、テストケース表生成部103が、ユーザからの手動によるテストケースの入力を受け付けて、入力されたテストケースをテストケース記憶部109に記憶させるようにしても良い。ここで、図に示すように、テストケース表には、「Y」が入力された数を、行ごと、列ごとに示す「cnt」の項目を設けることができる。
テストケース記憶部109には、テストケース生成部108によって生成されたテストケース候補値やテストケースが記憶される。
【0023】
対応関係入力部110は、テストケース生成部108が生成したテストケース毎に、そのテストケースに対応するテスト項目を対応付ける対応関係の入力を受け付ける。例えば、図11は、テストケース表に入力された対応関係の例を示す図である。符号aに示すように、テストケースに対応するテスト項目の欄に、「Y」の文字を入力することにより対応関係を示している。また、このようなテストケースに応じた戻り値の入力を受け付け、戻り値の欄に入力する。
【0024】
判定部111は、対応関係入力部110に入力された対応関係に基づいて、テストケースが対応付けられていないテスト項目が存在するか否かを判定する。ここで、判定部111は、図11の符号aに示す箇所において、「Y」が入力された数を行毎に算出し、符号aの左のcnt列に入力する。ここで、cnt列に0が入力された行があれば、テスト項置くに対応するテストケースが生成されていないと考えられる。
【0025】
警告部112は、判定部111が、テストケースが対応付けられていないテスト項目が存在すると判定すると、警告を出力する。警告とは、例えば、警告文が表示されたポップアップ画面を表示するようにしても良いし、例えばcnt列が0である行を赤文字や網掛け等により強調するようにしても良い。警告部112が警告を出力すると、テストケース表生成部103が、警告に応じてユーザから追加入力される必要なテストケースを受け付けて、テストケース記憶部109に記憶させる。これにより、テスト項目の全てについてテストケースが対応付けられた後に、テストプログラムを生成するようにすることができる。
【0026】
テストプログラム生成部113は、生成されたテストケース表に基づいてテストプログラムを生成する。テストプログラム生成部113は、判定部111によってテストケースが対応付けられていないテスト項目が存在しないと判定された場合に、テストプログラムを生成するようにしても良い。図12は、テストプログラム生成部113が生成するテストプログラムのソースコードの例を示す図である。符号aの箇所には、対応するテスト項目が記載され、符号b、cの箇所にはテストケースに指定された引数が記載され、符号dの箇所には戻り値が記載される。ここでは、テスト対象のソフトウェアプログラムに対するドライバやスタブ等も生成される。
【0027】
次に、本実施形態によるプログラムテスト支援装置100の動作例を説明する。テストケース表生成部103は、テストケース表雛形記憶部102に記憶されているテストケース表雛形を読み出す(ステップS1)。そして、試験対象記憶部101に記憶されているテスト対象のソフトウェアプログラムを読み出し、ソフトウェアプログラムに含まれるコメントやクラス名等を読み出して、テストケース表に入力する(ステップS2)。テスト項目登録部104は、テスト項目の入力を受け付け、テスト項目記憶部105に記憶させる(ステップS3)。
【0028】
テストケース表生成部103は、言語仕様記憶部107に記憶された言語仕様と、業務仕様記憶部106に記憶された業務使用とを読み出し、同値分割や境界値分析等のテスト技法に基づいてテストケース候補値を算出し、テストケース表に入力する(ステップS4)。そして、テストケース表生成部103は、テストケース生成技法に基づいてテストケースを生成し、テストケース表に入力する(ステップS5)。対応関係入力部110は、テスト項目とテストケースとの対応関係の入力を受け付ける(ステップS6)。そして、判定部111が、テストケースが対応付けられていないテスト項目が存在するか否かを判定する(ステップS7)。
【0029】
ここで、判定部111が、テストケースが対応付けられていないテスト項目が存在すると判定すると、警告部112が警告を出力する(ステップS8)。テストケース表生成部103は新たなテストケースの入力を受け付け(ステップS9)、ステップS7に戻る。ステップS7において、判定部111が、テストケースが対応付けられていないテスト項目が存在しないと判定すると、テストプログラム生成部113が、テストケース表に基づいてテストプログラムを生成し(ステップS10)、処理を終了する。
【0030】
以上説明したように、本実施形態によれば、業務仕様を考慮し、かつ、ソフトウェアプログラムの品質を検査できる妥当な量のテストケースを生成し、このようなテストケースに基づくテストプログラムを生成することができる。これにより、過剰な量のテストを行わずに、テスト対象のプログラムの品質を検査することができる。また、テスト項目とテストケースとを視覚的に対応付けるテストケース表を生成するので、ユーザは、テストケース表をみながら、テストケースの過不足や妥当性を効率良く確認することができる。
【0031】
なお、本発明における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりプログラムテストの支援を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0032】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0033】
100 プログラムテスト支援装置
101 試験対象記憶部
102 テストケース表雛形記憶部
103 テストケース表生成部
104 テスト項目登録部
105 テスト項目記憶部
106 業務仕様記憶部
107 言語仕様記憶部
108 テストケース生成部
109 テストケース記憶部
110 対応関係入力部
111 判定部
112 警告部
113 テストプログラム生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラム言語により記述され、入力される値に応じて定められた情報処理を行った処理結果を出力するソフトウェアプログラムの単体テストを支援するプログラムテスト支援装置であって、
単体テストの対象であるソフトウェアプログラムが記憶されている試験対象記憶部と、
前記ソフトウェアプログラムに対して行う単体テストの観点を示すテスト項目が記憶されるテスト項目記憶部と、
前記ソフトウェアプログラムに対して入力する値の組み合わせであるテストケースが記憶されるテストケース記憶部と、
前記値の、前記プログラム言語における型に応じた限界値を示す言語仕様が記憶されている言語仕様記憶部と、
前記ソフトウェアプログラムが利用されるシステムにおける業務仕様に応じた前記値の境界値が含まれる業務仕様が記憶されている業務仕様記憶部と、
前記テスト項目の入力を受け付けて前記テスト項目記憶部に記憶させるテスト項目登録部と、
前記ソフトウェアプログラムと、前記言語仕様と、前記業務仕様とに基づいて、定められたテストケース生成技法に基づいて前記テストケースを生成して前記テストケース記憶部に記憶させるテストケース生成部と、
前記テストケース生成部が生成した前記テストケース毎に、当該テストケースに対応する前記テスト項目を対応付ける対応関係の入力を受け付ける対応関係入力部と、
前記対応関係入力部に入力された前記対応関係に基づいて、前記テストケースが対応付けられていない前記テスト項目が存在するか否かを判定する判定部と、
前記判定部が、前記テストケースが対応付けられていない前記テスト項目が存在すると判定すると、警告を出力する警告部と、
を備えることを特徴とするプログラムテスト支援装置。
【請求項2】
テストケース生成部は、前記テストケース生成技法であるAll−Pair法に基づいて前記テストケースを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラムテスト支援装置。
【請求項3】
前記テスト項目を条件として、前記テストケースを動作とするデシジョンテーブル形式のテストケース表を生成して出力するテストケース表生成部と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプログラムテスト支援装置。
【請求項4】
プログラム言語により記述され、入力される値に応じて定められた情報処理を行った処理結果を出力するソフトウェアプログラムの単体テストを支援し、単体テストの対象であるソフトウェアプログラムが記憶されている試験対象記憶部と、前記ソフトウェアプログラムに対して行う単体テストの観点を示すテスト項目が記憶されるテスト項目記憶部と、前記ソフトウェアプログラムに対して入力する値の組み合わせであるテストケースが記憶されるテストケース記憶部と、前記値の、前記プログラム言語における型に応じた限界値を示す言語仕様が記憶されている言語仕様記憶部と、前記ソフトウェアプログラムが利用されるシステムにおける業務仕様に応じた前記値の境界値が含まれる業務仕様が記憶されている業務仕様記憶部と、を備えたプログラムテスト支援装置のプログラムテスト支援方法であって、
前記テスト項目の入力を受け付けて前記テスト項目記憶部に記憶させるステップと、
前記ソフトウェアプログラムと、前記言語仕様と、前記業務仕様とに基づいて、定められたテストケース生成技法に基づいて前記テストケースを生成して前記テストケース記憶部に記憶させるステップと、
生成した前記テストケース毎に、当該テストケースに対応する前記テスト項目を対応付ける対応関係の入力を受け付けるステップと、
入力された前記対応関係に基づいて、前記テストケースが対応付けられていない前記テスト項目が存在するか否かを判定するステップと、
前記テストケースが対応付けられていない前記テスト項目が存在すると判定すると、警告を出力するステップと、
を備えることを特徴とするプログラムテスト支援方法。
【請求項5】
プログラム言語により記述され、入力される値に応じて定められた情報処理を行った処理結果を出力するソフトウェアプログラムの単体テストを支援し、単体テストの対象であるソフトウェアプログラムが記憶されている試験対象記憶部と、前記ソフトウェアプログラムに対して行う単体テストの観点を示すテスト項目が記憶されるテスト項目記憶部と、前記ソフトウェアプログラムに対して入力する値の組み合わせであるテストケースが記憶されるテストケース記憶部と、前記値の、前記プログラム言語における型に応じた限界値を示す言語仕様が記憶されている言語仕様記憶部と、前記ソフトウェアプログラムが利用されるシステムにおける業務仕様に応じた前記値の境界値が含まれる業務仕様が記憶されている業務仕様記憶部と、を備えたプログラムテスト支援装置のコンピュータに、
前記テスト項目の入力を受け付けて前記テスト項目記憶部に記憶させるステップと、
前記ソフトウェアプログラムと、前記言語仕様と、前記業務仕様とに基づいて、定められたテストケース生成技法に基づいて前記テストケースを生成して前記テストケース記憶部に記憶させるステップと、
生成した前記テストケース毎に、当該テストケースに対応する前記テスト項目を対応付ける対応関係の入力を受け付けるステップと、
入力された前記対応関係に基づいて、前記テストケースが対応付けられていない前記テスト項目が存在するか否かを判定するステップと、
前記テストケースが対応付けられていない前記テスト項目が存在すると判定すると、警告を出力するステップと、
を備えることを特徴とするプログラムテスト支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−248101(P2012−248101A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120854(P2011−120854)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】