説明

プログラム制御システム

【課題】携帯通信端末にインストールされ、車両の走行に関連するプログラムの動作を制御することができるプログラム制御システムを提供する。
【解決手段】無線通信装置15は、自動車1のバッテリ13に接続される。無線通信装置15は、バッテリ13から電力が供給された場合、自動車1が電力を供給できることを通知するプログラム起動信号を携帯通信端末2に対して定期的に送信する。携帯通信端末2は、プログラム起動信号を受信した場合、携帯通信端末2にインストールされ、自動車1の走行に関連し、予め登録されたプログラムが起動しているか否かを判定する。登録されたプログラムが起動していない場合、携帯通信端末1は、起動していないと判定されたプログラムを起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム制御システムに関し、さらに詳しくは、携帯通信端末にインストールされたプログラムの動作を制御するプログラム制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドライブレコーダは、自動車などの車両前方の景色の録画や、車内または車外の音声の録音などを行う装置である。ドライブレコーダが記録したデータを利用することにより、交通事故の原因の特定が容易となる。ドライブレコーダを車両に搭載することにより、安全運転に対する運転者の意識が向上するというメリットもある。
【0003】
スマートフォンなどの携帯通信端末は、カメラ機能を備えている。特許文献1に記載されているように、携帯通信端末のカメラ機能を利用することにより、携帯通信端末をドライブレコーダとして利用することが可能である。この場合、携帯通信端末に、ドライブレコーダ用のアプリケーションプログラム(以下、「レコーダプログラム」と呼ぶ。)をインストールしておく必要がある。
【0004】
運転者は、ダッシュボードなどの上に携帯通信端末を固定し、携帯通信端末を操作してレコーダプログラムを起動させる。レコーダプログラムは、カメラにより撮影された撮影画像データをメモリに格納する。メモリに格納された画像データは、携帯電話通信網などを介して、予め設定された送信先に送信される。
【0005】
しかし、運転者がレコーダプログラムを起動する操作を忘れる場合がある。この場合、携帯通信端末がダッシュボードの上に固定されていたとしても、撮影画像データは、メモリに格納されない。この状態において、車両が関与する交通事故が発生した場合、交通事故の原因の特定が困難となる。
【0006】
特許文献2には、自動車内に装備されたハンズフリー機器に接続された場合、カーナビゲーション用のアプリケーションプログラム(以下、「ナビプログラム」と呼ぶ。)を起動させる携帯通信端末が記載されている。しかし、運転手がハンズフリー機器に携帯端末を接続し忘れた場合、携帯端末は、ナビプログラムを起動させることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−34215公報
【特許文献2】特開2007−163386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、携帯通信端末にインストールされ、車両の走行に関連するプログラムの動作を制御することができるプログラム制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明のプログラム制御システムは、携帯通信端末と、無線通信装置とを備える。無線通信装置は、車両に取り付けられ、携帯通信端末と無線通信可能である。無線通信装置は、電源管理部と、通知部とを備える。電源管理部は、車両が電力を供給できるか否かを確認する。通知部は、車両が電力を供給できる場合、車両が電力を供給できることを携帯通信端末に通知するプログラム起動信号を送信する。携帯通信端末は、判定部と、プログラム起動部とを備える。判定部は、プログラム起動信号を受信した場合、携帯通信端末にインストールされ、車両の走行に関連し、予め登録されたプログラムが起動しているか否かを判定する。プログラム起動部は、プログラムが起動していないと判定された場合、プログラムを起動する。
【0010】
本発明よれば、無線通信装置は、車両が電力を供給できることを確認できた場合、携帯通信端末にプログラム起動信号を送信する。携帯通信端末は、プログラム起動信号を受信した場合、車両の走行に関連し、予め登録されたプログラムが起動しているか否かを判定する。プログラムが起動していなければ、携帯通信端末は、プログラムを起動する。これにより、車両の運転手が、携帯通信端末に対して車両の走行に関連するプログラムを起動する操作をしなくても、運転手が車両を運転する際に、車両の走行に関連するプログラムを起動させることができる。
【0011】
好ましくは、通知部は、プログラム起動信号を定期的に携帯通信端末に送信する。携帯通信端末は、さらに、プログラム終了部を備える。プログラム終了部は、プログラム起動信号を所定の期間継続して受信できない場合、プログラムを終了させる。
【0012】
これにより、運転手が、車両の運転を終了した際に、車両の走行に関連するプログラムを自動的に終了させることができる。
【0013】
好ましくは、電源管理部は、車両のイグニッションスイッチがアクセサリ又はオンに設定されている場合、プログラム起動信号を携帯通信端末に送信する。
【0014】
これにより、車両のエンジンが駆動しているか否かに関係なく、車両から電力が供給可能であれば、レコーダプログラムを起動させることができる。
【0015】
本発明の携帯通信端末は、本発明のプログラム制御システムに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態によるプログラム制御システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示す無線通信装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図1に示す携帯通信端末の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図1に示す携帯通信端末が自動車に設置される様子を示す図である。
【図5】図2に示す通知プログラムのフローチャートである。
【図6】図3に示す判定プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
[全体構成]
図1は、本実施の形態に係るプログラム制御システム100の構成を示す機能ブロック図である。図1を参照して、プログラム制御システム100は、携帯通信端末2と、ECU(Electrical Control Unit)11と、イグニッションスイッチ12と、バッテリ13と、エンジン14と、無線通信装置15とを備える。プログラム制御システム100は、携帯通信端末2のカメラ機能を用いて、自動車1の前方の景色を撮影して記録する。
【0019】
ECU11と、イグニッションスイッチ12と、バッテリ13と、エンジン14と、無線通信装置15とは、自動車1の装備である。携帯通信端末2は、運転手が自動車1を運転する際に自動車1に取り付けられる。
【0020】
ECU11は、マイクロコンピュータであり、自動車1の各種機器(エンジン14など)の動作を制御する。イグニッションスイッチ12は、ECU11及びバッテリ13に接続される。イグニッションスイッチ12は、運転手の操作により、オフ、アクセサリ、オン及びスタートのいずれかにセットされる。
【0021】
バッテリ13は、鉛蓄電池やリチウムイオン電池などの二次電池であり、エンジン14により充電される。バッテリ13は、ECU11及び無線通信装置15など、自動車1に搭載された電気機器に電力を供給する。イグニッションスイッチ12がアクセサリに設定された場合、バッテリ13は、エンジン14から充電を受けることなく、ECU11などに電力を供給する。イグニッションスイッチ12がオンまたはスタートに設定された場合、バッテリ13は、エンジン14から充電を行いつつ、ECU11などに電力を供給する。
【0022】
エンジン14は、自動車1の動力源であり、ECU11によって制御される。イグニッションスイッチ12がスタートに設定された場合、エンジン14は、ECU11の制御に基づいて駆動する。
【0023】
無線通信装置15は、バッテリ13に接続される。無線通信装置15は、バッテリ13から電力を供給されている場合、自動車1から電力が供給されていることを通知するプログラム起動信号を携帯通信端末2に送信する。
【0024】
携帯通信端末2は、スマートフォンなどの携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)、又はタブレット型の端末などであり、撮影機能を有する携帯機器である。携帯通信端末2は、自動車1が電力を供給可能な状態にある場合、後述するレコーダプログラムを起動して、車両の前方の景色を撮影する。これにより、携帯通信端末2は、自動車1のドライブレコーダとして機能する。携帯通信端末2は、自動車1以外の他の自動車のドライブレコーダとして使用されることはない。この理由については後述する。
【0025】
図2は、無線通信装置15の構成を示す機能ブロック図である。図2を参照して、無線通信装置15は、CPU(Central Processing Unit)151と、RAM(Random Access Memory)152と、無線通信部153と、メモリ154と、電源プラグ155と、電源管理部156とを備える。
【0026】
CPU151は、RAM152にロードされたプログラムを実行して、無線通信装置15を制御する。RAM152は、無線通信装置15のメインメモリである。
【0027】
無線通信部153は、Bluetooth(登録商標)又は無線LANに対応しており、携帯通信端末2との間で無線通信を行う。
【0028】
メモリ154は、不揮発性のフラッシュメモリである。メモリ154は、通知プログラム31と、端末識別データ32とを格納する。通知プログラム31は、無線通信装置15が起動している間(自動車1が電力を供給できる間)、常時起動しているプログラムである。通知プログラム31は、携帯通信端末2に対して、バッテリ13が電力供給可能なことを通知するプログラム起動信号を定期的に送信するプログラムである。端末識別データ32は、携帯通信端末2を一意に識別できるデータである。携帯通信端末2のMACアドレスなどが、端末識別データ32として設定される。
【0029】
電源プラグ155は、バッテリ13に接続されたシガーソケット(図示省略)に挿入される。これにより、無線通信装置15は、バッテリ13から電力の供給を受けることができる。電源プラグ155は、バッテリ13に直接接続されてもよい。
【0030】
電源管理部156は、電源プラグ155を介して電力が供給された場合、CPU151及びRAM152を起動させる装置である。つまり、電源管理部156は、車両が電力を供給可能であることを確認した場合、無線通信装置15全体を起動させる。
【0031】
図3は、携帯通信端末2の構成を示す機能ブロック図である。図3を参照して、携帯通信端末2は、CPU21と、RAM22と、表示パネル23と、タッチパネル24と、カメラ25と、無線通信部26と、メモリ27と、加速度センサ28と、GPS(Global Positioning System)29とを備える。
【0032】
CPU21は、RAM22にロードされたプログラムを実行して、携帯通信端末2を制御する。RAM22は、携帯通信端末2のメインメモリである。
【0033】
表示パネル23は、液晶パネルなどであり、操作画面及びカメラ25により撮影された映像などを表示する。タッチパネル24は、表示パネル23の上に設置され、ユーザが触れた位置を操作情報として出力する。カメラ25は、車両の前方の景色を撮影して、撮影画像データ43を作成する。
【0034】
無線通信部26は、携帯電話の無線ネットワークを介して、サーバ(図示省略)に撮影画像データ43を送信する。サーバは、携帯通信端末2から送信された撮影画像データ43を蓄積する。なお、撮影画像データ43の送信先は、PC(Personal Computer)であってもよい。つまり、撮影画像データ43は、予め設定された送信先に送信されればよい。また、無線通信部26は、Bluetooth(登録商標)又は無線LANに対応しており、無線通信装置15と通信を行う。GPS29は、携帯通信端末2の現在地を示す位置情報を出力する。
【0035】
メモリ27は、フラッシュメモリまたはハードディスク装置など、不揮発性で大容量の記憶装置である。メモリ27は、レコーダプログラム41と、判定プログラム42と、撮影画像データ43と、ナビプログラム44とを格納する。
【0036】
レコーダプログラム41は、携帯通信端末2をドライブレコーダとして機能させるプログラムである。すなわち、レコーダプログラム41は、カメラ25により撮影された撮影画像データ43に、撮影時刻と携帯通信端末2の位置情報とを対応付ける。レコーダプログラム41は、撮影時刻及び位置情報に対応付けられた撮影画像データ43をメモリ27に格納する。メモリ27に格納された撮影画像データ43は、レコーダプログラム41によりサーバ(図示省略)へ送信される。ナビプログラム44は、携帯通信端末2の位置情報を用いて、運転手に自動車1の走行ルートを指示するプログラムである。判定プログラム42は、プログラム起動信号を無線通信端末15から受信した場合、携帯通信端末2にインストールされ、自動車1の走行に関連し、予め登録されたプログラムが起動しているか否かを示すプログラムである。レコーダプログラム41及びナビプログラム44が、自動車1の走行に関連するプログラムとして、判定プログラム42に登録されている。
【0037】
加速度センサ28は、携帯通信端末2の加速度を測定する。レコーダプログラム41は、加速度センサ28により測定された加速度に基づいて、メモリ27に格納された撮影画像データ43をサーバ(図示省略)に送信するか否かを判定する。
【0038】
図4は、自動車1に取り付けられた携帯通信端末2を示す図である。図4を参照して、クレードル52は、ダッシュボード51の上に固定される。クレードル52が固定される位置は、携帯通信端末2及びクレードル52が運転手の視界の妨げとならない位置である。携帯通信端末2は、カメラ25が車両の前方を撮影できるように、クレードル52にはめ込まれる。このようにして、携帯通信端末2が自動車1に取り付けられることにより、GPS29が取得する位置情報を、自動車1の位置情報として使用できる。カメラ25と、表示パネル23とは、携帯通信端末2の筐体20の互いに反対側となる位置に取り付けられている。
【0039】
なお、カメラ25は、自動車1の前方でなく、他の方向を撮影してもよい。例えば、カメラ25は、自動車1の後部座席の様子を撮影してもよい。この場合、携帯通信端末2は、運転席のヘッドレストの後側に取り付けられる。また、カメラ25は、自動車1の後方の景色を撮影してもよい。この場合、携帯通信端末2は、後部座席のさらに後方に設置される。
【0040】
[プログラム制御システム100の動作]
{無線通信装置15の動作}
以下、無線通信装置15の動作を詳しく説明する。初期状態として、運転手は、自動車1に乗車しておらず、イグニッションスイッチ12は、オフの位置に設定されているとする。つまり、バッテリ13は、ECU11及び無線通信装置15などに電力を供給していない。
【0041】
運転手は、携帯通信端末2を持って自動車1に乗り、イグニッションスイッチ12をアクセサリ又はスタートの位置に回す。イグニッションスイッチ12がスタートの位置に設定された場合、ECU11は、エンジン14を駆動させる。駆動したエンジン14は、バッテリ13を充電する。バッテリ13は、電源プラグ155を介して、無線通信装置15に電力を供給する。この後、イグニッションスイッチ12はオンに設定されるが、バッテリ13は、無線通信装置15への電力の供給を継続する。
【0042】
イグニッションスイッチ12がアクセサリに設定された場合、バッテリ13は、エンジン14から充電を受けることなく、無線通信装置15に電力を供給する。
【0043】
電源管理部156は、電源プラグ155を介して電力が供給されたため、自動車1が電力を供給可能であると判断する。電源管理部156は、CPU151及びRAM152に電力を供給して、無線通信装置15を起動させる。CPU151は、通知プログラム31をメモリ154からRAM152へロードして、通知プログラム31を実行する。
【0044】
図5は、通知プログラム31の処理内容を示すフローチャートである。図5を参照して、通知プログラム31の動作について詳しく説明する。
【0045】
通知プログラム31は、携帯通信端末2の端末識別データ32をメモリ154から取得する(ステップS11)。通知プログラム31は、取得した端末識別データ32を用いて、自動車1が電力を供給できることを携帯通信端末2通知するプログラム起動信号を送信する(ステップS12)。プログラム起動信号の送信先には、端末識別データ32(携帯通信端末2のMACアドレス)が設定される。プログラム起動信号の送信元を示す情報として、無線通信装置15のMACアドレスが設定される。携帯通信端末2は、プログラム起動信号の送信先が自端末のMACアドレスに設定されていた場合、プログラム起動信号を受信したと判定する。
【0046】
通知プログラム31は、ステップS12においてプログラム起動信号を送信してから所定時間(たとえば10秒)が経過したか否かを確認する(ステップS13)。所定時間が経過した場合(ステップS13においてYes)、通知プログラム31は、ステップS12と同様に、プログラム起動信号を携帯通信端末2に送信する(ステップS14)。通知プログラム31は、終了指示が入力されるまで(ステップS15においてYes)、ステップS13及びS14の処理を繰り返し実行する。この結果、プログラム起動信号が、定期的に携帯通信端末2へ送信される。
【0047】
運転手が自動車1の運転を終了し、イグニッションスイッチ12をオフの位置に回した場合、バッテリ13は、電力の供給を停止する。通知プログラム31は、電力の供給が停止したため(ステップS15においてYes)、図4に示す処理を終了する。
【0048】
{携帯通信端末2の動作}
図6は、携帯通信端末2により実行される判定プログラム42のフローチャートである。初期状態として、携帯通信端末2において、判定プログラム42が既に起動しているとする。判定プログラム42は、携帯通信端末2の電源がオンされている間、常に動作する常駐プログラムである。上述のように、判定プログラム42には、起動及び終了を制御する対象として、レコーダプログラム41及びナビプログラム44が登録されている。
【0049】
まず、判定プログラム42の動作の概略を説明する。判定プログラム42は、プログラム起動信号を無線通信端末15から受信した場合、登録されたプログラム(レコーダプログラム41及びナビプログラム44)が起動しているか否かを判定する。登録されたプログラムが起動していない場合、判定プログラム42は、起動していないと判定されたプログラムを起動させる。これにより、運転手が自動車1を運転するときに、レコーダプログラム41及びナビプログラム44を起動する操作を忘れたとしても、確実にこれらのプログラムを起動させることができる。
【0050】
判定プログラム42は、登録されたプログラムが起動している場合、予め設定された時間内にプログラム起動信号を受信しているか否かを確認する。判定プログラム42は、設定された時間内にプログラム起動信号を受信できない場合、運転手が自動車1の運転を終了したと判断して、登録されたプログラムを終了させる。これにより、運転手が、レコーダプログラム41及びナビプログラム44を終了する操作を忘れたとしても、これらのプログラムを自動的に終了させることができる。
【0051】
以下、図6を参照しながら、判定プログラム42が、レコーダプログラム41の起動及び終了の制御を行う場合を例にして、判定プログラム42の動作について詳しく説明する。判定プログラム42は、無線通信装置15からプログラム起動信号を受信したか否かを監視している(ステップS21)。具体的には、判定プログラム42は、受信したプログラム起動信号に設定された送信先が、携帯通信端末2の端末識別データ32である場合、プログラム起動信号を受信したと判定する。これにより、他の携帯通信端末が、プログラム起動信号を受信したとしても、自端末(他の携帯通信端末)にインストールされているレコーダプログラム41及びナビプログラム44を誤って起動することを防ぐことができる。また、他の自動車に設置された無線通信装置15は、携帯通信端末2と異なる端末の端末識別データ32を保持している。したがって、携帯通信端末2は、他の自動車に設置された無線通信装置15からプログラム起動信号を受信したとしても、レコーダプログラム41及びナビプログラム44を誤って起動することはない。
【0052】
プログラム起動信号を受信した場合(ステップS21においてYes)、判定プログラム42は、レコーダプログラム41の起動フラグが0に設定されているか否かを確認する(ステップS22)。起動フラグは、レコーダプログラム41及びナビプログラム44のそれぞれに対して設定されており、登録されたプログラムが起動しているか否かを示すデータである。起動フラグは、判定プログラム42の変数として設定されている。レコーダフラグ41の起動フラグの初期値は、レコーダプログラム41が動作していないことを示す0に設定されている。以下、特に説明のない限り、レコーダフラグ41の起動フラグを、単に、「起動フラグ」と呼ぶことにする。
【0053】
起動フラグが0に設定されている場合(ステップS22においてYes)、判定プログラム42は、レコーダプログラム41が起動していないと判断し、レコーダプログラム41を起動させる(ステップS23)。判定プログラム42は、起動フラグを、レコーダプログラム41が起動していることを示す1に設定する(ステップS24)。
【0054】
レコーダプログラム41は、カメラ25が撮影した撮影画像データ43をメモリ27に格納する処理を開始する。レコーダプログラム41は、加速度センサ28から出力される加速度が所定のしきい値を超えた場合などに、メモリ27に格納されている撮影画像データ43をサーバ(図示省略)に送信する。
【0055】
判定プログラム42は、図示しないタイマプログラムを起動する(ステップS25)。タイマプログラムは、設定された時間(イベント発生時間)ごとにタイマイベントを発生させる。イベント発生時間は、たとえば30秒に設定される。判定プログラム42は、タイマプログラムを起動した後に、タイマプログラムの経過時間を0に設定する(ステップS26)。これにより、タイマプログラムは、経過時間が0に設定されてからイベント発生時間を経過した場合、タイマイベントを発生させる。
【0056】
ここで、ステップS22の説明に戻る。起動フラグが1に設定されている場合(ステップS22においてNo)、判定プログラム42は、レコーダプログラム41が既に起動していると判断する。この場合、携帯通信端末2は、レコーダプログラム41が起動している状態で、プログラム起動信号を受信しているため、運転手が自動車1を運転していると判断する。このため、判定プログラム42は、プログラム起動信号を受信したタイミングから再び経過時間を計測するために、ステップS26に進む。
【0057】
判定プログラム42は、携帯通信端末2の電源をオフする操作など、強制終了が指示された場合(ステップS27においてYes)、図6に示す処理を終了する。上述のように、判定プログラム42は、常駐プログラムであるため、強制終了が指示されない限り、図6に示す処理を終了しない。
【0058】
このように、判定プログラム42は、プログラム起動信号を受信した場合、レコーダプログラム41を起動させる。したがって、運転手がレコーダプログラム41を起動させる操作を忘れたとしても、レコーダプログラム41を確実に起動させることができる。
【0059】
ここで、ステップS21の説明に戻る。判定プログラム42は、プログラム起動信号を受信しない場合(ステップS21においてNo)、タイマイベントが発生したか否かを確認する(ステップS28)。タイマイベントが発生していない場合(ステップS28においてNo)、判定プログラム42は、ステップS27に進む。
【0060】
一方、タイマイベントが発生した場合(ステップS28においてYes)、携帯通信端末2は、イベント発生時間が経過してもプログラム起動信号を受信できていないことになる。つまり、無線通信装置15が、バッテリ13から電力の供給を受けることができないため(イグニッションスイッチ12がオフに設定されたため)、プログラム起動信号を携帯通信端末2に送信することができない。この場合、運転手が自動車1の運転を終了したと考えられる。
【0061】
そこで、判定プログラム42は、起動フラグが1に設定されているか否かを確認する(ステップS29)。起動フラグが1に設定されている場合(ステップS29においてYes)、レコーダプログラム41が起動中である。判定プログラム42は、レコーダプログラム41を終了させ(ステップS30)、起動フラグを0に設定する(ステップS31)。レコーダプログラム41は、判定プログラム42の終了指示を受け付けた場合、メモリ27に格納されている撮影画像データ43を図示しないサーバに送信して終了する。
【0062】
このように、判定プログラム42は、イベント発生時間が経過してもプログラム起動信号を受信できない場合、レコーダプログラム41を終了させる。これにより、運転手が、携帯通信端末2に対して、レコーダプログラム41を終了させる操作をすることを忘れたとしても、確実にレコーダプログラム41を終了させることができる。
【0063】
判定プログラム42は、ナビプログラム44についても、図6に示す処理を実行する。具体的には、判定プログラム42は、ナビプログラム44の起動フラグに基づいて、図6に示すステップS22〜S24及びS29〜S31の処理を実行する。これにより、判定プログラム42は、レコーダプログラム41と同様に、ナビプログラム44の起動及び終了を制御することができる。
【0064】
上記実施の形態では、無線通信装置15が、バッテリ13から電力の供給を受けているか否かを判断する例を説明した。しかし、ECU11が、無線通信装置15に対して、イグニッションスイッチの位置を通知してもよい。通知プログラム31は、イグニッションスイッチ12の位置がアクセサリまたはオンに設定されている旨をECU11から通知された場合、プログラム起動信号の送信を開始する。通知プログラム31は、イグニッションスイッチ12の位置がオフに設定されている旨をECU11から通知された場合、プログラム起動信号の送信を停止する。つまり、電源管理部156は、自動車1が電力を供給可能であるか否かを確認できればよい。
【0065】
このように、無線通信装置15は、ECU11からの通知を受け付ける場合、電源プラグ155を介してバッテリ13に接続されなくても、バッテリ13が電力を供給できるか否かを確認することができる。ただし、無線通信装置15は、バッテリ13が電力の供給を受けない場合、携帯通信端末2に対してプログラム起動信号を定期的に送信できるように、電池などの電源を備えておく必要がある。
【0066】
上記実施の形態では、通知プログラム31が、定期的にプログラム起動信号を送信する例を説明した。しかし、通知プログラム31は、プログラム起動信号を所定回数繰り返して送信した後に、プログラム起動信号の送信を停止してもよい。この場合、通知プログラム31は、バッテリ13からの電力の供給が停止した後に、電力の供給が停止したことを通知する供給停止信号を携帯通信端末2に送信する。携帯通信端末2は、供給停止信号を受信した場合、レコーダプログラム41を停止させる。これにより、プログラム起動信号の送信回数を削減することが可能となる。
【0067】
上記実施の形態では、携帯通信端末2が車両の前方の景色を撮影する例を説明した。しかし、プログラム制御システム100は、携帯通信端末2の他に、無線通信機能を有する一つ以上のカメラを備えてもよい。この場合、カメラは、無線通信機能を用いて、撮影した画像データを携帯通信端末2に送信する。レコーダプログラム41は、カメラから送信された画像データを、撮影画像データ43としてメモリ27に格納する。これにより、プログラム制御システム100は、自動車1の前方の景色だけでなく、後方の景色又は車内の様子などを記録することが可能となる。
【0068】
また、プログラム制御システム100が一つ以上のカメラを備える場合、携帯通信端末2は、車両の前方の景色を撮影しなくてもよい。この場合、レコーダプログラム41は、カメラから送信された画像データをメモリ27に格納する。
【0069】
上記実施の形態では、判定プログラム42は、レコーダプログラム41を停止させる処理(ステップS28〜S31)を実行しなくてもよい。つまり、判定プログラム42は、プログラム起動信号を受信した場合に、レコーダプログラム41を起動させればよい。これにより、自動車1の走行状況を記録できないという事態を回避することができる。
【0070】
上記実施の形態では、レコーダプログラム41及びナビプログラム44は、GPS29から出力される位置情報を利用する例を説明した。しかし、レコーダプログラム41及びナビプログラム44は、自動車1に別途取り付けられたGPS装置から出力される位置情報を用いてもよい。
【0071】
上記実施の形態では、判定プログラム42に登録されるプログラムの例として、レコーダプログラム41及びナビプログラム44を説明した。しかし、判定プログラム42は、EMS(Eco−drive Management SYSTEM)プログラムを登録してもよい。EMSプログラムは、自動車1の速度、エンジン14の回転数などの情報を収集して記録する。このように、判定プログラム42は、レコーダプログラム41及びEMSプログラムのように、車両の走行状況を記録するプログラムを登録する。また、判定プログラム42は、ナビプログラム44など、自動車1の運転を支援するプログラムを登録しておいてもよい。レコーダプログラム41、ナビプログラム44及びEMSプログラムは、自動車1の位置情報を利用する。すなわち、判定プログラム42に登録されるプログラムは、自動車1の位置情報を利用するプログラムであるともいえる。
【0072】
上記実施の形態では、携帯通信端末2は、車両に固定されたクレードル52にはめ込まれることにより、車両に取り付けられる例を説明した。しかし、携帯通信端末2は、車両に取り付けられなくてもよい。たとえば、同乗者が携帯通信端末2を持っていてもよいし、運転手が携帯通信端末2を助手席の上に置いてもよい。つまり、携帯通信端末2は、プログラム起動信号を受信できる位置に存在すればよい。
【0073】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 自動車
2 携帯通信端末
15 無線通信装置
21、151 CPU
22、152 RAM
26,153 無線通信部
31 通知プログラム
41 レコーダプログラム
42 判定プログラム
43 撮影画像データ
44 ナビプログラム
100 プログラム制御システム
156 電源管理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯通信端末と、
車両に取り付けられ、前記携帯通信端末と無線通信可能な無線通信装置とを備え、
前記無線通信装置は、
前記車両が電力を供給できるか否かを確認する電源管理部と、
前記車両が電力を供給できる場合、前記車両が電力を供給できることを前記携帯通信端末に通知するプログラム起動信号を送信する通知部とを備え、
前記携帯通信端末は、
前記プログラム起動信号を受信した場合、前記携帯通信端末にインストールされ、前記車両の走行に関連し、予め登録されたプログラムが起動しているか否かを判定する判定部と、
前記プログラムが起動していないと判定された場合、前記プログラムを起動するプログラム起動部とを備えるプログラム制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラム制御システムであって、
前記通知部は、前記プログラム起動信号を定期的に前記携帯通信端末に送信し、
前記携帯通信端末は、さらに、
前記プログラム起動信号を所定の期間継続して受信できない場合、前記プログラムを終了させるプログラム終了部を備えるプログラム制御システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプログラム制御システムであって、
前記電源管理部は、前記車両のイグニッションスイッチがアクセサリ又はオンに設定されている場合、前記プログラム起動信号を携帯通信端末に送信するプログラム制御システム。
【請求項4】
携帯通信端末であって、
車両に取り付けられた無線通信装置から、前記車両が電力を供給できることを通知する信号を受信した場合、前記携帯通信端末にインストールされ、前記車両の走行に関連し、予め登録されたプログラムが起動しているか否かを判定する判定部と、
前記プログラムが起動していないと判定された場合、前記プログラムを起動するプログラム制御部とを備える携帯通信端末。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−65199(P2013−65199A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203428(P2011−203428)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(509215765)株式会社パイ・アール (3)
【Fターム(参考)】