説明

プロジェクタおよびプログラム

【課題】フリーズの再指示が容易で、不要な映像を表示する虞の少ないプロジェクタおよびプログラムを提供する。
【解決手段】制御部30は、フリーズの指示を受け付けた場合に、フリーズの指示を受け付けた後の所定の入力画像を投影バッファ40に展開して、以後の更新を行わない。このため、投影画像は固定される。制御部30は、フリーズ中、即ち、画像の固定投影中に再度フリーズの指示を受け付けた場合には、投影中の画像に代えて、再度のフリーズの指示を受け付けた後の所定の入力画像を投影バッファ40に展開し、固定投影する。これにより、フリーズを繰り返して指示すると、指示したタイミングの入力画像が順次固定投影される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタの中には、特定の時点の入力画像を投影し続けるフリーズ機能を備えるものがある(特許文献1参照)。プロジェクタは、フリーズが指示されると、上位装置から供給される画像が更新されても、記憶している1フレーム分の画像を更新すること無く繰り返し投影する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−215146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のプロジェクタでは、フリーズ中に再度フリーズを指示したい場合、フリーズを一旦解除した後に、再度フリーズを指示する必要がある。このため、再フリーズを指示する操作が煩雑である。また、フリーズを解除した際に、一次的に、投影したくない画像が投影されてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、フリーズの再指示が容易で、不要な映像を表示する虞の少ないプロジェクタおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るプロジェクタは、
入力画像を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した入力画像を投影する投影手段と、
前記投影手段による投影画像を固定するフリーズの指示を受け付ける受付手段と、
を備え、
前記投影手段は、前記受付手段で前記フリーズの指示を受け付けた場合に、投影画像をその時点の入力画像に固定し、画像の固定投影中に前記フリーズの指示を受け付けた場合には、投影中の画像に代えて、前記フリーズの指示を受け付けた後の所定の入力画像を固定して投影する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フリーズの再指示が容易で、不要な映像を表示する虞の少ないプロジェクタおよびプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係るプロジェクタ装置のブロック図である。
【図2】実施の形態1に係るプロジェクタ装置の制御部のブロック図である。
【図3】実施の形態1に係るプロジェクタ装置の制御部の投影制御動作のフローチャートである。
【図4】実施の形態1に係るプロジェクタ装置の制御部の操作信号受信時の処理のフローチャートである。
【図5】実施の形態1に係るプロジェクタ装置の動作を説明するためのタイミングチャートであり、(a)は、フリーズボタンを複数回連続して操作した場合の動作を、(b)は、フリーズボタン操作後、フリーズ解除ボタンを操作した後、フリーズボタンを再操作した際の動作を示す。
【図6】本発明の実施の形態2に係るプロジェクタ装置の制御部のブロック図である。
【図7】実施の形態2に係るプロジェクタ装置の制御部が、フリーズボタン又はフリーズ解除ボタンが操作された際に実行する画像転換処理動作のフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態3に係るプロジェクタ装置の制御部が、フリーズ中に実行する、フリーズ中制御動作のフローチャートである。
【図9】実施の形態3に係るプロジェクタ装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係るフリーズ機能を備えるプロジェクタ装置1を説明する。
プロジェクタ装置1は、コンピュータ等の外部装置から供給される画像(入力画像)をスクリーンに投影する装置であり、フリーズが指示される度に、フリーズが指示された後の所定の入力画像、例えばフリーズが指示された、その時点で外部装置から供給されている画像を固定して投影する機能を備える。
プロジェクタ装置1は、図1に示すように、画像受信部10、操作部20、制御部30、投影バッファ40、および投影部50を備える。
【0011】
画像受信部10は、アナログRGB信号等の画像信号を外部装置から受信し、受信した画像信号を、A/D(アナログデジタル)変換する等、制御部30で処理できる形式の画像データに変換し、制御部30に供給する。
【0012】
操作部20は、ユーザによって操作される複数の操作ボタン等を備え、操作ボタンの押操作に応じて、操作内容を示す操作信号を制御部30に供給する。操作部20は、投影画像を固定するためのフリーズを指示するフリーズボタン20Aと、フリーズの解除を指示するフリーズ解除ボタン20Bとを備える。
【0013】
制御部30は、操作部20から供給される操作信号による指示に従って、画像受信部10から供給された画像データを処理し、投影バッファ40に投影対象画像を定義する投影データを展開する。
【0014】
制御部30は、図2に示すように、プロセッサ31、記憶部32、入出力インタフェース33、およびバス34を備える。
【0015】
プロセッサ31は、CPU(Central Processing Unit)、内部メモリなどを備える。プロセッサ31は、記憶部32に記憶されている動作プログラムを実行し、画像受信部10から供給された画像データに台形補正等の処理を施して生成した投影データを投影バッファ40に展開する等、プロジェクタ装置1の一般的な投影動作を制御する。また、プロセッサ31は、フリーズボタン20Aの操作に応答して、その時点の画像データから生成した投影データを投影バッファ40に展開するフリーズ処理を実行する。投影動作とフリーズ処理の詳細については後述する。
【0016】
記憶部32は、RAM (Random Access Memory)、フラッシュメモリ等から構成され、プロセッサ31の処理プログラムを記憶すると共にプロセッサ31のワークメモリとして機能する。また、記憶部32は、投影画像を固定する(更新を停止する)フリーズ中であるか否かを示すフリーズフラグFを格納する。
【0017】
入出力インタフェース33は、画像受信部10からの画像データ及び操作部20からの操作信号を受信して、プロセッサ31に供給する。また、入出力インタフェース33は、プロセッサ31が出力した投影データを投影バッファ40に供給する。
【0018】
すなわち、画像受信部10が画像データを入出力インタフェース33を介してプロセッサ31に供給し、プロセッサ31が上述の所定の処理を施して投影データを入出力インタフェース33を介してバッファ40に展開する。また例えば操作部20のフリーズボタン20Aが操作信号を入出力インタフェース33を介してプロセッサ31に送信し、プロセッサ31は、後述するように記憶部32のフリーズフラグFのセットを行い、フリーズボタン20Aの操作に応答して、その時点の画像データから生成した投影データを入出力インタフェース33を介してバッファ40に展開する。
【0019】
バス34は、プロセッサ31、記憶部32、入出力インタフェース33の間でデータを伝送する。
【0020】
投影バッファ40は、RAM等から構成され、投影対象のフレーム画像を、例えば、ビットマップ形式で展開する。投影バッファ40は、例えば、RGB3原色について、それぞれ、2画像フレーム分の記憶領域が確保されており、一方の画像フレーム用領域に書き込まれたデータを表示中に、他方の画像フレーム用領域への書き込みが行われる。
【0021】
投影部50は、表示装置、光源、投影光学系などを備え、投影バッファ40に展開された画像データにより定義される画像を表示し、表示した画像をスクリーン等に投影する。
【0022】
次に、上記構成を有するプロジェクタ装置1の動作を説明する。
プロジェクタ装置1により画像を投影する場合、ユーザは、外部装置とプロジェクタ装置1の画像受信部10とをケーブル等で接続し、RGB映像信号等の画像信号を外部装置からプロジェクタ装置1に供給する。プロジェクタ装置1の画像受信部10は、供給された画像信号を受信し、A/D変換等を施して、画像データを制御部30に供給する。
【0023】
制御部30のプロセッサ31は、図3に示す投影制御処理を継続的に実行しており、まず、入出力インタフェース33を介して画像受信部10から供給された画像データを受信する(ステップS11)。
【0024】
次に、プロセッサ31は、投影画像を固定するフリーズ中であるか否かを、フリーズフラグFが記憶部32にセットされているか否かにより判別する(ステップS12)。なお、フリーズフラグFのセット・リセットについては、後述する。
【0025】
フリーズフラグFがリセットされており、フリーズ中でないと判別した場合(ステップS12:NO)、プロセッサ31は、ステップS11で受信した画像データに、台形補正等の所定の処理を施して投影データを生成し、投影バッファ40に展開する(ステップS13)。その後、処理は、ステップS11にリターンする。
【0026】
一方、フリーズフラグFがセットされており、フリーズ中であると判別した場合(ステップS12:YES)、ステップS13をスキップして、ステップS11にリターンする。
【0027】
投影部50は、表示フレーム毎に、投影バッファ40に展開された投影データを読み出し表示し、これを投影する。
【0028】
一方、ユーザが操作部20上のボタンを操作すると、操作部20は、操作信号を制御部30に出力する。制御部30の入出力インタフェース33は、操作信号の受信をプロセッサ31に通知する。プロセッサ31は、通知に応答して、図4に示す操作信号受信処理を開始し、まず、ユーザによる操作の内容を判別する(ステップS21)。
【0029】
フリーズボタン20Aが操作されたと判別した場合(ステップS21:フリーズ)、プロセッサ31は、その時点の画像データの1フレーム分に必要な処理を施して投影データを生成し、投影バッファ40に展開する(ステップS22)。次に、プロセッサ31は、フリーズフラグFを記憶部32にセットし(ステップS23)、処理を終了する。これにより、以後、フリーズフラグFがリセットされるまで、図3に示す投影制御処理においてステップS12でYESと判別され、ステップS13がスキップされるため、投影バッファ40への投影データの展開は行われず、図4のステップS22で展開した投影データが投影され続ける。このため、投影画像は、画像信号の変化にかかわらず、固定される。
【0030】
一方、ステップS21で、フリーズ解除ボタン20Bが操作されたと判別した場合(ステップS21:フリーズ解除)、プロセッサ31は、記憶部32にセットされているフリーズフラグFをリセットし(ステップS24)、処理を終了する。これにより、以後、図3に示す投影制御処理においてステップS12でNOと判別され、ステップS13が実行されるため、投影バッファ40に投影データが順次展開される。このため、画像信号の変化に応じて、投影データも更新される。
【0031】
なお、図4のステップS21で、フリーズボタン20Aおよびフリーズ解除ボタン20Bの操作以外の操作であると判別された場合(ステップS21:その他)、操作内容に対応する処理(ステップS25)を実行し、処理を終了する。
【0032】
以上の動作が実行されることにより、図5(a)のタイミングチャートに示すように、例えば、投影動作中に、フリーズボタン20AがタイミングTaで押下された場合、以後、投影画像は更新されず、タイミングTaでプロジェクタ装置1に供給されていた画像が固定的に投影される。このフリーズ状態において、タイミングTbでフリーズボタン20Aが再度押下された場合、タイミングTbでプロジェクタ装置1に供給されていた画像に書き換えられ、以後固定的に投影される。
【0033】
制御部30は、フリーズの指示を受け付けた場合に、その時点の入力画像から生成した投影データを投影バッファ40に展開して、以後の更新を行わない。このように、フリーズ中、即ち、画像の固定投影中に再度フリーズの指示を受け付けた場合には、投影中の画像に代えて、その時点の入力画像が固定投影される。即ち、フリーズを繰り返して指示すると、指示したタイミングの入力画像が順次固定投影される。従って、このように、フリーズ中に再フリーズを指示する操作が容易である。
【0034】
一方、従来のプロジェクタのように、フリーズを一旦解除してからフリーズを再度指示する場合、図5(b)に示すように、タイミングTcでフリーズボタン20Aを押下すると、タイミングTcでプロジェクタ装置1に供給されていた画像が投影される。その後フリーズを一旦解除してからフリーズを再度指示すると、タイミングTdでフリーズ解除ボタン20Bを押下してフリーズを解除してから、フリーズボタン20Aを押下するタイミングTeまでの間に、入力画像がそのまま表示されてしまう。このため、意図しない画像を投影してしまう虞がある。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態1に係るプロジェクタ装置1によれば、フリーズボタン20Aが操作されて、フリーズが指示されると、その時点での入力画像が投影される。従って、フリーズ中に再度フリーズを指示する場合の操作が容易であり、操作性が高い。また、フリーズ時の不要画像の表示、漏洩を防止することが可能となる。
【0036】
(実施の形態2)
実施の形態1に係るプロジェクタ装置1においては、フリーズ中に再度フリーズが指示された場合或いはフリーズが解除された場合、時間的に不連続の画像を単純に切り替えて投影する。この画像変化により、観者に違和感を与える虞がある。このような問題を解決するため、例えばフリーズ中に再フリーズする際及び/又はフリーズを解除する際に、ワイプ、スライドイン、ディゾルブなどの画面切替効果処理(画面転換技法)を施して投影することも可能である。
【0037】
以下、このような画像処理機能を備えるプロジェクタ装置1について説明する。
実施の形態2に係るプロジェクタ装置1の基本構成は、実施の形態1に係るプロジェクタ装置1と同一である。ただし、制御部30は、画面切替効果処理(画面転換処理)を実行する画面効果処理部として機能するため、図6に示すように、記憶部32が画面転換前の画像データと画面転換後の画像データを記憶する。
【0038】
本実施の形態において、上記構成を有する制御部30は、操作ボタンが操作された場合に、その内容を判別し、フリーズボタン20A又はフリーズ解除ボタン20Bが操作されたと判別すると、図7に示す画面転換処理を開始する。
【0039】
まず、制御部30のプロセッサ31は、操作されたボタンがフリーズボタン20Aであるか、フリーズ解除ボタン20Bであるかを判別する(ステップS31)。
【0040】
フリーズボタン20Aが操作されたと判別した場合(ステップS31:フリーズ)、フリーズ中であるか否かを判別する(ステップS32)。
【0041】
フリーズフラグFがリセットされており、フリーズ中でないと判別した場合、即ち、新たにフリーズが指示されたと判別した場合(ステップS32:NO)、その時点の画像データの1フレーム分に必要な処理を施して投影データを生成し、投影バッファ40に展開すると共に記憶部32の第1フレームメモリに格納する(ステップS33)。続いて、プロセッサ31は、記憶部32にフリーズフラグFをセットする(ステップS34)。
【0042】
一方、ステップS32で、フリーズフラグFがセットされており、フリーズ中であると判別した場合、即ち、フリーズ中に再フリーズが指示されたと判別した場合(ステップS32:YES)、その時点の画像データの1フレーム分に必要な処理を施して投影データを生成し、記憶部32の第2フレームメモリに格納する(ステップS35)。
【0043】
続いて、予め設定されている画面切替効果(画面転換処理)の種類に応じて、第1フレームメモリに格納されているフレーム画像(今まで投影されていた画像)の画像データと第2フレームメモリに格納されているフレーム画像(今後投影すべき画像)の画像データとを用いて、画像効果を施した転換用画像の画像データを生成し、投影バッファ40に展開する(ステップS36)。
【0044】
次に、画像切替処理が終了したか否かを判別し(ステップS37)、終了していなければ(ステップS37:NO)、ステップS36にリターンして、同様の動作を繰り返す。
【0045】
これにより、例えば、第1フレームバッファに記憶されている切り替え前の画像をM%と第2フレームバッファに記憶されている切り替え後の画像を(100−M)%で混合して転換用画像を生成し、Mの値を0から100まで順次増加させながら転換用画像を生成して投影するといった処理が可能となる。
【0046】
画像切替処理が終了したと判別した場合は(ステップS37:YES)、今後の処理のために、第2フレームバッファに記憶されている切り替え後の画像を第1フレームバッファに移動し(ステップS38)、処理を終了する。
【0047】
一方、ステップS31で、操作の内容がフリーズ解除ボタン20Bの操作であると判別した場合(ステップS31:フリーズ解除)、フリーズ中であるか否かを判別する(ステップS39)。フリーズフラグFがリセットされており、フリーズ中でないと判別した場合(ステップS39:NO)、そのまま処理を終了する。
【0048】
一方、フリーズフラグFがセットされており、フリーズ中であると判別した場合、即ち、フリーズの解除が指示されたと判別した場合には(ステップS39:YES)、第1フレームメモリに格納されているフレーム画像(今まで投影されていた画像)の画像データと現在供給されている画像データとを用いて、画像効果を施した転換用画像の画像データを生成し、フレームバッファ40に展開する(ステップS40)。
【0049】
次に、画像切替処理が終了したか否かを判別し(ステップS41)、終了していなければ(ステップS41:NO)、ステップS40にリターンして、同様の動作を繰り返す。
【0050】
これにより、例えば、第1フレームバッファに記憶されている切り替え前の画像(今まで固定投影されていた画像)を(100−M)%と現在供給されている画像をM%で混合して転換用画像を生成し、Mの値を0から100まで順次増加させながら転換用画像を生成して投影するといった処理が可能となる。
【0051】
画像切替処理が終了したと判別した場合は(ステップS41:YES)、フリーズフラグFをリセットし(ステップS42)、さらに、第1及び第2フレームメモリをリセットし(ステップS43)、処理を終了する。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態2に係るプロジェクタ装置1によれば、フリーズ中に、再フリーズまたはフリーズ解除の指示を受け付けた際に、画像効果を施した転換用画像を投影することで、視覚効果の高いプレゼンテーションを実現することが可能となる。
【0053】
(実施の形態3)
上記第1及び第2の実施形態においては、フリーズ及びフリーズの解除を、ユーザが自ら指示する例を説明したが、フリーズ及び/又はフリーズ解除を自動的に設定することも可能である。例えば、外部装置の表示画像が変化中(例えば、マウスポインタの移動中)は投影画像をフリーズし、その後、外部装置の表示映像が静止すると、静止映像を固定表示するといった処理を実行するようにすることも可能である。
【0054】
以下、このような機能を備えるプロジェクタ装置1について説明する。
実施の形態3に係るプロジェクタ装置1の構成と基本動作は、実施の形態2に係るプロジェクタ装置1と同一である。
【0055】
そこで、以下、制御部30の本実施の形態において特徴的な動作を説明する。
【0056】
制御部30のプロセッサ31は、フリーズフラグFがセットされると、時分割処理等により、図8に示すフリーズ中処理を、図3及び図4に示す主処理と並行して実行する。フリーズ中処理を開始すると、プロセッサ31は、内部タイマを起動する(ステップS51)。
【0057】
次に、現在供給されている画像データを1フレーム分取りこみ、第1フレームメモリに格納する(ステップS52)。次に、今回保存したフレーム画像と1フレーム前のフレーム画像との差分画像を求め、差分画像から、画像の変化の有無を判別する(ステップS53)。画像の変化があると判別した場合には(ステップS54:YES)、ステップS51にリターンする。なお画像の変化の有無の判別は厳密である必要はなく、変化の程度が所定の範囲内であれば、画像の変化はないと判別するよう構成してもよい。
【0058】
一方、差分画像から画像の変化がないと判別した場合(ステップS54:NO)、タイマの計測時間が所定時間TDに達したか否かを判別する(ステップS55)。即ち、画像が変化しない状態が所定時間TD以上継続したか否かを判別する。タイマの計測時間が所定時間TDに達していないと判別した場合には(ステップS55:NO)、ステップS52にリターンし、上述と同様の動作を繰り返す。
【0059】
タイマの計測時間が所定時間TDに達していると判別した場合には(ステップS55:YES)、投影中の画像とステップS52で今回取り込んだ画像データとの差分画像を求め、投影中の画像とステップS52で今回取り込んだ画像データが同一か否かを判別する(ステップS56)。同一であると判別した場合には(ステップS56:YES)、ステップS51にリターンする。
【0060】
一方、投影中の画像と入力画像とが異なると判別した場合(ステップS56:NO)、ステップS52で今回取り込んだ画像データから生成した投影データを投影バッファ40に展開する(ステップS57)。その後、ステップS51にリターンして、上述と同様の動作を繰り返す。
【0061】
上述の動作を具体例を参照して説明する。
図9に示すように、タイミングTfでフリーズボタン20Aを押下することでフリーズを指示して投影画像を固定した後、外部装置上で次の表示画像を編集し(この間、外部装置の表示画像は変化する)、編集がタイミングTgで終了したと仮定する。
【0062】
この場合、タイミングTfからTgの間は、外部装置の表示画像が変動し、図8のステップS54でYESと判別されるため、タイミングTfでプロジェクタ装置1に供給されていた画像が固定的に投影され続ける。
【0063】
タイミングTgで編集が終了した後、外部装置の操作者が表示画像を編集しなかったとすると、タイミングTgから所定の時間TDが経過したタイミングThで、入力画像に変化がなく(ステップS54:NO)、タイマの計測時間が所定時間TDに達し(ステップS55:YES)、さらに、投影中の画像(タイミングTfでプロジェクタ装置1に供給されていた画像)とその時点でプロジェクタ装置1に供給されている画像とは異なっている(ステップS56:NO)と判別される。したがって、制御部30は、タイミングThでプロジェクタ装置1に供給されていた画像に1フレーム分に必要な処理を施して投影データを生成し、投影バッファ40に展開する(ステップS57)。これにより、編集終了後の画像が自動的に投影バッファ40に展開され、固定的に投影される。
【0064】
このように、本実施の形態によれば、投影画像をフリーズしている間にユーザが次の投影画像の準備をし、準備を完了した場合に、自動的に次の画像を投影する、といった動作が可能となる。
【0065】
本発明の実施の形態は上述の実施の形態に限られず、上述の実施の形態のうち複数の形態を任意に組み合わせたもので構成してもよい。
【0066】
また、前記のハードウェア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0067】
例えば、理解を容易にするため、フリーズボタン20A、フリーズ解除ボタン20Bを操作部20に配置する例を示したが、リモコンなどにこれらのボタンを配置してもよい。また、フリーズボタン20Aとは別に、フリーズ中の再フリーズを指示するための「再フリーズ」ボタンを配置してもよい。また、複数ボタンの組み合わせにより、フリーズ、再フリーズ/フリーズ解除を指示するようにしてもよく、或いは、画面のタッチ操作等の他の任意のユーザインタフェースを介してこれらを指示するようにしてもよい。
【0068】
また、実施の形態2および3では、通常の投影処理を行う制御部30により、画像転換処理、フリーズ中制御を合わせて実行するように構成したが、画像転換処理専用のプロセッサ(切り替え効果部)や、フリーズ中制御専用のプロセッサ等によりこれらの処理を実行してもよい。
【0069】
また、プロセッサとソフトウエアの協働によりこれらの処理・機能を実現するだけでなく、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウエアにより、これらの処理・機能を実現してもよい。プロジェクタ装置1の画像受信部10、操作部20,投影バッファ40、および投影部50等は、既知の任意の構成を使用可能である。
【0070】
フリーズの指示により、固定して投影する画像は、フリーズが指示されたタイミングで供給されていた入力画像(画像データ)に限定されない。フリーズの指示に応答して投影の対象として特定した入力画像を、フリーズが指示された時点の入力画像(画像データ)として扱うものとする。
【0071】
なお、プロセッサ31に前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROMなど)に格納して配布し、前記コンピュータプログラムを制御部30にインストールすることにより、前記の処理を実行するプロジェクタ装置1を構成してもよい。また、インターネットなどの通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に前記コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロードなどすることでプロジェクタ装置1を構成してもよい。
【0072】
また、プロジェクタ装置1の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0074】
(付記1)
入力画像を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した入力画像を投影する投影手段と、
前記投影手段による投影画像を固定するフリーズの指示を受け付ける受付手段と、
を備え、
前記投影手段は、前記受付手段で前記フリーズの指示を受け付けた場合に、投影画像をその時点の入力画像に固定し、画像の固定投影中に前記フリーズの指示を受け付けた場合には、投影中の画像に代えて、前記フリーズの指示を受け付けた後の所定の入力画像を固定して投影する、
ことを特徴とするプロジェクタ。
【0075】
(付記2)
投影中の画像と所定の入力画像とに基づいて転換用画像を生成する転換画像生成手段をさらに備え、
前記投影手段は、
画像の固定投影中にフリーズの指示を受け付けた場合に、前記転換画像生成手段により投影中の画像と前記フリーズの指示を受け付けた後の所定の入力画像とに基づいて生成された転換用画像を投影した後、入力画像を固定して投影する、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクタ。
【0076】
(付記3)
フリーズの解除の指示を受け付ける解除受付手段をさらに備え、
前記投影手段は、
画像の固定投影中にフリーズの解除の指示を受け付けた場合に、前記転換画像生成手段により投影中の画像と入力画像とに基づいて生成された転換用画像を投影した後、入力画像を投影する、
ことを特徴とする付記2に記載のプロジェクタ。
【0077】
(付記4)
前記受付手段でフリーズの指示を受け付けた後、所定の時間以上、前記入力画像が変化しておらず且つ投影画像と所定の時間以上変化していない前記入力画像とが異なるかどうかを判定する判定手段をさらに備え、
前記投影手段は、前記判定手段が、前記入力画像が所定の時間以上変化しておらず且つ投影中の画像と所定の時間以上変化していない入力画像とが異なると判定した場合に、当該入力画像を固定して投影する、
ことを特徴とする付記1、2または3に記載のプロジェクタ。
【0078】
(付記5)
投影装置を制御するコンピュータに、
投影画像を固定するフリーズの指示を受け付け、受け付けたフリーズの指示に応答して、投影画像を前記フリーズの指示を受け付けた後の所定の入力画像に固定し、画像の固定投影中にフリーズの指示を受け付けた場合には、投影中の画像に代えて、前記画像の固定投影中にフリーズの指示を受け付けた後の所定の入力画像を固定して投影する、
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0079】
1・・・プロジェクタ装置、10・・・画像受信部、20・・・操作部、30・・・制御部、40・・・投影バッファ、50・・・投影部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した入力画像を投影する投影手段と、
前記投影手段による投影画像を固定するフリーズの指示を受け付ける受付手段と、
を備え、
前記投影手段は、前記受付手段で前記フリーズの指示を受け付けた場合に、投影画像をその時点の入力画像に固定し、画像の固定投影中に前記フリーズの指示を受け付けた場合には、投影中の画像に代えて、前記フリーズの指示を受け付けた後の所定の入力画像を固定して投影する、
ことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
投影中の画像と所定の入力画像とに基づいて転換用画像を生成する転換画像生成手段をさらに備え、
前記投影手段は、
画像の固定投影中にフリーズの指示を受け付けた場合に、前記転換画像生成手段により投影中の画像と前記フリーズの指示を受け付けた後の所定の入力画像とに基づいて生成された転換用画像を投影した後、入力画像を固定して投影する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項3】
フリーズの解除の指示を受け付ける解除受付手段をさらに備え、
前記投影手段は、
画像の固定投影中にフリーズの解除の指示を受け付けた場合に、前記転換画像生成手段により投影中の画像と入力画像とに基づいて生成された転換用画像を投影した後、入力画像を投影する、
ことを特徴とする請求項2に記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記受付手段でフリーズの指示を受け付けた後、所定の時間以上、前記入力画像が変化しておらず且つ投影画像と所定の時間以上変化していない前記入力画像とが異なるかどうかを判定する判定手段をさらに備え、
前記投影手段は、前記判定手段が、前記入力画像が所定の時間以上変化しておらず且つ投影中の画像と所定の時間以上変化していない入力画像とが異なると判定した場合に、当該入力画像を固定して投影する、
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載のプロジェクタ。
【請求項5】
投影装置を制御するコンピュータに、
投影画像を固定するフリーズの指示を受け付け、受け付けたフリーズの指示に応答して、投影画像を前記フリーズの指示を受け付けた後の所定の入力画像に固定し、画像の固定投影中にフリーズの指示を受け付けた場合には、投影中の画像に代えて、前記画像の固定投影中にフリーズの指示を受け付けた後の所定の入力画像を固定して投影する、
処理を実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−79989(P2013−79989A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218419(P2011−218419)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】