説明

プロジェクタの光源装置の製造方法、プロジェクタの光源装置の製造装置

【課題】リフレクタの破損を防止することができる光源装置の製造方法及び光源装置の製
造装置を提供すること。
【解決手段】リフレクタ12をリフレクタ保持装置20に対し規定圧力で固定する固定ス
テップと、リフレクタ12に対し、照度が最大になるようにランプ11を位置決めするラ
ンプ位置決めステップと、ランプ11を消灯する消灯ステップと、第1冷却時間t1の間
、リフレクタ12とランプ11を冷却する第1冷却ステップと、リフレクタ12とランプ
11を互いに固着する接着剤42を注入する接着剤注入ステップと、ランプ11を点灯し
、かつ、熱風を送風して接着剤42を固化する接着剤固化ステップと、ランプ11を消灯
し、かつ、熱風の送風を停止して待機時間t2の間待機する待機ステップと、冷風を送風
して、第2冷却時間t3の間リフレクタ12とランプ11を冷却する第2冷却ステップと
、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタの光源装置を構成するリフレクタとランプとを接合する工程、
及び、接合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、図14に示すように、プロジェクタ100は、筐体102及び投射レンズ10
4等を有する。プロジェクタ100は、筐体102に格納された投射レンズ104から画
像を投射するようになっている。
筐体102には、投射レンズ104が投射する画像を生成するために、図示しない電源
装置、光源装置、及び、レンズ、偏光変換素子、ダイクロイックミラー、反射ミラー及び
クロスダイクロイックプリズム等の各種部品が格納されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−4562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のプロジェクタ100の部品のうち、光源装置は、リフレクタと光源ランプから構
成される。リフレクタは楕円面状のガラス面に金属薄膜を蒸着形成して構成されている。
このようにリフレクタは脆い材料で構成されているから、リフレクタに光源ランプを接合
する工程において、リフレクタが破損する場合があるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、リフレクタの破損を防止することができる光源装置の製造方法及び
光源装置の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的は、第1の発明によれば、プロジェクタの光源装置の製造方法であって、リフ
レクタをリフレクタ保持装置に位置決めする位置決めステップと、前記リフレクタを前記
リフレクタ保持装置に対して、予め規定した規定圧力で押さえつけることができるリフレ
クタ押さえ装置によって固定する固定ステップと、ランプを点灯しつつ、前記ランプの照
度が最大になる位置において、前記リフレクタに対して、前記ランプを位置決めするラン
プ位置決めステップと、前記ランプを消灯する消灯ステップと、冷風を送風して予め規定
した第1冷却時間の間、前記リフレクタと前記ランプを冷却する第1冷却ステップと、前
記リフレクタと前記ランプを互いに固着させるための接着剤を注入する接着剤注入ステッ
プと、前記ランプを点灯し、かつ、熱風を送風しつつ、前記接着剤を固化する接着剤固化
ステップと、前記ランプを消灯し、かつ、前記熱風の送風を停止して、予め規定した待機
時間の間、待機する待機ステップと、冷風を送風して、予め規定した第2冷却時間の間、
前記リフレクタと前記ランプを冷却する第2冷却ステップと、を有することを特徴とする
プロジェクタの光源装置の製造方法により達成される。
【0007】
第1の発明の構成によれば、前記接着剤固化ステップにおいて、前記ランプを点灯し、
かつ、熱風を送風しつつ、前記接着剤を固化するから、前記接着剤を迅速に固化させるこ
とができる。
さらに、前記製造方法は、前記第2冷却ステップの前に、前記待機ステップを有するか
ら、前記接着剤固化ステップにおいて、前記ランプの点灯によって発生する熱や、前記熱
風によって熱せられて膨張している前記リフレクタが、急に冷却されることによって破損
することを防止することができる。
そして、前記製造方法は、前記待機ステップの後に、前記第2冷却ステップを有するか
ら、急に冷却されることによって破損することを防止しつつ、前記リフレクタと前記ラン
プを迅速に冷却し、光源装置の製造効率を向上させることができる。
このように、第1の発明の構成によれば、リフレクタの破損を防止することができる。
【0008】
前記目的は、第2の発明によれば、プロジェクタの光源装置の製造装置であって、リフ
レクタを位置決めしつつ保持するリフレクタ保持装置と、前記リフレクタを前記リフレク
タ保持装置に対して、予め規定した規定圧力で押さえつけることができるリフレクタ押さ
え装置と、を有し、前記リフレクタ押さえ装置は、前記リフレクタの外側曲面部を押さえ
つける構成となっており、前記外側曲面部と接する位置によって、前記規定圧力を調整可
能に構成されていることを特徴とするプロジェクタの光源装置の製造装置によって達成さ
れる。
【0009】
第2の発明の構成によれば、前記リフレクタ押さえ装置は、前記外側曲面部と接する位
置によって、前記規定圧力を調整可能に構成されている。すなわち、前記リフレクタ押さ
え装置は、前記リフレクタが前記外側曲面部を有することを利用して、圧力の分散によっ
て、前記規定圧力を調整可能になっている。
このため、前記リフレクタ押さえ装置は、簡単な構成であるにも関わらず、前記規定圧
力を調整することができる。
【0010】
第3の発明は、第2の発明の構成において、前記リフレクタ押さえ装置は、前記リフレ
クタの外側曲面部の形状変化を吸収するための緩衝手段を有することを特徴とするプロジ
ェクタの光源装置の製造装置である。
【0011】
第3の発明の構成によれば、前記光源装置の製造工程において、前記リフレクタが熱膨
張等によって形状変化したとしても、その形状変化を吸収し、前記規定圧力で前記リフレ
クタを押さえつけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい
種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定す
る旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0013】
(実施の形態)
(光源装置10の構成)
図1は、本発明の実施の形態によって製造される光源装置10を示す概略斜視図である

図2は、光源装置10の概略側面図である。
図3は、図1の光源装置10を矢印A1方向から見た概略裏面図である。
【0014】
図1乃至図3に示すように、光源装置10は、光源ランプ11(以下、「ランプ11と
呼ぶ」及び楕円リフレクタ12(以下、「リフレクタ12」と呼ぶ)を有する。
リフレクタ12はリフレクタの一例であり、ランプ11はランプの一例である。
リフレクタ12には、挿入孔123が設けられており、ランプ11が挿入され、接着剤
で固定されるようになっている。
リフレクタ12は、反射面122aと、反射面122aの裏側に該当する外側曲面部1
2bを有する。外側曲面部12bは、外側曲面部の一例である。
【0015】
図4は、光源装置10の詳細な構成を示す側面図である。
図5は、ランプ11の詳細な構成を示す斜視図である。
光源装置10は、図4に示すように、リフレクタ12の内部に発光管としてのランプ1
1を配置した構成を具備している。なお、本発明において、光源装置10の光束射出方向
を前側または先端側とし、光源装置l0の光束射出方向と反対方向を後側または基端側と
して示す。発光管としての光源ランプllは、中央部が球状に膨出した石英ガラス管から
構成され、中央部分が発光部lll、この発光部111の前側及び後側の両側に延びる部
分が封止部ll21,ll22とされる。発光部ll1の内部には、内部に所定距離離間
配置される一対のタングステン製の電極111Aと、水銀、希ガス、及び少量のハロゲン
が封入されている。
発光部lllの前側及び後側の両側に延出する封止部1121,1122の内部には、
発光部111の電極と電気的に接続されるモリブデン製の金属箔112Aがそれぞれ挿入
され、ガラス材料等で封止されている。各金属箔112Aには、さらに電極引出線として
のリード線113が接続され、このリード線113は、ランプ11の外部まで延出してい
る。
そして、リ一ド線ll3に電圧を印加すると、図5に示すように、金属箔112Aを介
して電極lllA間に電位差が生じて放電が生じ、アーク像Dが生成し発光部111が発
光する。
図4に示すように、リフレクタ12は、光源ランプllの基端側〔後側〕の封止部11
21が挿通される首状部121及びこの首状部121から拡がる楕円面状の反射部122
を備えたガラス製の一体成形品である。
首状部121には、中央に挿入孔123が形成されており、この挿入孔123の中心に
封止部ll21が配置される。
反射部122は、楕円面状のガラス面に金属薄膜を蒸着形成して構成され、この反射部
122の反射面122Aは、可視光を反射して赤外線および紫外線を透過するコールドミ
ラーとされる。
【0016】
(光源装置10の製造方法)
まず、光源装置10の製造方法の概略を説明する。
光源装置10は、リフレクタ12にランプ11を固定することによって製造する。
リフレクタ12にランプ11を固定する際には、ランプ11の後側の封止部ll21を
リフレクタ12の挿入孔123に挿入し、挿入孔123内部にシリカ/アルミナを主成分
とする無機系接着剤を充填する。この無機系接着剤を固化することによって、リフレクタ
12とランプ11を互いに固着し、光源装置10を製造する。
なお、反射部122の光軸方向寸法は、ランプ11の長さ寸法よりも短くなっていて、
このようにリフレクタ12にランプ11を固定すると、ランプ11の前側の封止部112
2がリフレクタ12の光束射出開口から突出する。
【0017】
次に、主に図6、図7、図8、図9、図10、図11、図12及び図13を使用して、
光源装置10の製造方法の詳細を説明する。
図6は、光源装置10の製造方法を示す概略フローチャートである。
図7乃至図11は、リフレクタ保持装置20及びリフレクタ押さえ装置30等を示す概
略図である。リフレクタ保持装置20はリフレクタ保持装置の一例であり、リフレクタ押
さえ装置30はリフレクタ押さえ装置の一例である。
図12及び図13は、光源装置10の製造工程における状態を示す概略図である。
【0018】
まず、リフレクタ12を、図7のリフレクタ保持装置20に位置決めする(図6のステ
ップST1)。このステップST1は、位置決めステップの一例である。
図7に示すように、リフレクタ保持装置20は、内壁20a及び側壁20bを有する貫
通凹部Sを有する。また、リフレクタ保持装置20は、台座部20cに位置決め用ネジ2
0d及び20eを有する。リフレクタ保持装置20は、例えば、SUS304等のステン
レス鋼で構成されている。
リフレクタ押さえ装置30は、本体部30aと一体に押さえネジ保持部30bが設けら
れている。押さえネジ保持部30bはネジ30cが貫通するための孔(図示せず)が設け
られており、ネジ30cを固定することができるようになっている。ネジ30cの長さT
1は、6角ナット30fによってネジ30cをB1方向に前進又は、矢印B2方向に後退
させることによって調整することができる。ネジ30cの先端は、リフレクタ12と接触
してリフレクタ12を抑えるための拡径部30caとなっている。本体部30aは、軸L
1を中心に回転可能である。軸L1が矢印A1方向、又は矢印A2方向に回転することに
よって、拡径部30caも同様に回転する。
図7の状態から、拡径部30caが矢印A1方向に回転すると、図8の状態(以後、「
押さえ状態」と呼ぶ)になる。これに対して、図8の状態から、拡径部30caが矢印A
2方向に回転すると、図7の状態(以後、「開放状態」と呼ぶ)になる。
【0019】
図9(a)に示すように、リフレクタ押さえ装置30の開放状態において、リフレクタ
12をリフレクタ保持装置20に位置決めする。
図9(a)に示すように、リフレクタ12の外周部12aが内壁20aに接し、リフレ
クタ12の外側曲面部12bが位置決めネジ20d及び20eと接することによって、位
置決めされる。
図9(a)に示すように、位置決めネジ20d及び20eは台座部20cを基準として
同じ高さである。このため、図9(b)に示すように、リフレクタ12の外側曲面部12
bの最下点12baは、位置決めネジ20d及び20eの中間において位置決めされる。
言い換えれば、最下点12baと位置決めネジ20dとの距離d1と、最下点12baと
位置決めネジ20eとの距離d2とは等しい。
【0020】
ステップST1に続いて、リフレクタ12をリフレクタ押さえ装置30によって、リフ
レクタ保持装置20に固定する(図6のステップST2)。このステップST2は、固定
ステップの一例である。
ステップST2においては、図10に示すように、本体部30aが軸L1を中心に回転
することによって、拡径部30caがリフレクタ12の外側曲面部12bに接し、押さえ
つける。これにより、拡径部30caは、リフレクタ12をリフレクタ押さえ装置30に
対して、予め規定した規定圧力で押さえつけることができる。規定圧力は、例えば、25
0kgである。この規定圧力は、リフレクタ12を固定することができて、かつ、リフレ
クタ12を破損することがない圧力として規定されている。
【0021】
図11は、図10のB−B線概略断面図である。
図11は、拡径部30caが、リフレクタ12をリフレクタ押さえ装置30に対して、
押さえつける圧力を調整する方法を示す図である。
リフレクタ押さえ装置30は、ネジ30cの長さT1を変更することによって、拡径部
30caがリフレクタ12の外側曲面部12bに接する位置を変更することができるよう
になっている。
例えば、図11(a)に示すように、拡径部30caが、外側曲面部12bの部分12
b1において接する場合には、拡径部30caの端面30caaと押さえ力P1の方向が
一致する。なお、端面30caaの方向はネジ30cの軸と直角方向である。
このため、押さえ力P1はすべて、リフレクタ12を押さえつける力として作用する。
これに対して、図11(b)に示すように、拡径部30caが、外側曲面部12bの部
分12b2において接する場合には、拡径部30caの端面30caaと押さえ力P1の
方向が一致しない。このため、押さえ力P1はP2及びP3に分散し、力P2だけがリフ
レクタ12を押さえつける力として作用する。
このように、押さえ力P1を一定にしていても、拡径部30caがリフレクタ12の外
側曲面部12bに接する位置によって、リフレクタ12を押さえつける力を容易に調整す
ることができる。このため、製造担当者によって、リフレクタ12を押さえつける圧力が
ばらつくことを防止することができる。
【0022】
なお、本実施の形態とは異なり、図10(b)に示すように、ネジ30cの中間に、バ
ネ30d及びバネガイド30eを設けるようにしてもよい。これにより、リフレクタ12
の外側曲面部12bが熱膨張等によって形状変化した場合に、その形状変化を吸収するこ
とができる。すなわち、外側曲面部12bが形状変化した場合であっても、押さえ力P1
を一定に維持することができる。このバネ30dは、緩衝手段の一例である。
【0023】
ステップST2に続いて、ランプ11を点灯しつつ、照度が最大になる位置において、
リフレクタ12に対してランプ11を位置決めする(図6のステップST3)。このステ
ップST3は、ランプ位置決めステップの一例である。
図12及び図13は、図10のC−C線概略断面図である。
図12及び図13は、リフレクタ12に対してランプ11を取り付ける過程の状態を示
す概略図である。
図12(a)は、リフレクタ12のみを示している。
ステップST3においては、図12(b)に示すように、支持治具40を使用してリフ
レクタを支持した状態で、ランプ11を点灯しつつ、照度が最大になるように、リフレク
タ12に対してランプ11を位置決めする。
【0024】
ステップST3に続いて、ランプ11を消灯する(図6のステップST4)。このステ
ップST4は、消灯ステップの一例である。
続いて、第1冷却時間t1の間、待機する(図6のステップST5)。ステップST5
は、第1冷却ステップの一例である。第1冷却時間t1は、第1冷却時間の一例である。
ステップST5においては、図12(c)に示すように、送風機44によって冷風D1
を送付して、リフレクタ12とランプ11を冷却する(図6のステップST5)。このス
テップST5は、冷却ステップの一例である。
送風機44は、図示しない電熱装置を起動せずに、ファン44aを矢印C1方向に回転
させることによって、冷風D1を送風するようになっている。
第1冷却時間t1は、約5秒(s)である。この第1冷却時間t1は、後の工程におい
てリフレクタ12が破損することがない程度にリフレクタ12の温度が低下するために必
要十分な時間として規定されている。
【0025】
ステップST5に続いて、図12(d)に示すように、リフレクタ12とランプ11の
間に接着剤42を注入する(図6のステップST6)。このステップST6は、接着剤注
入ステップの一例である。接着剤42は接着剤の一例である。
ステップST6においては、ステップST4及びステップST5に引き続いてランプ1
1を消灯した状態であるから、リフレクタ12やランプ11が熱変形することはない。こ
のため、ステップST3において決めた位置がずれることはない。
【0026】
ステップST6に続いて、図13(a)に示すように、ランプ11を点灯し、かつ、送
風機44によって熱風D2を送風しつつ、接着剤42を固化する(図6のステップST7
)。このステップST7は、接着剤固化ステップの一例である。
ステップST7において、ランプ11を点灯するのは、ランプ11の点灯による熱によ
って、接着剤42の固化を促進するためである。熱風D2を送風するのもまた、接着剤4
2の固化を促進するためである。
送風機44は、図示しない電熱装置を起動しつつ、ファン44aを矢印C1方向に回転
させることによって、熱風D2を送風するようになっている。
【0027】
ステップST7に続いて、図13(b)に示すように、ランプ11を消灯し、かつ、熱
風の送風を停止して、待機時間t2の間、待機する(図6のステップST8)。このステ
ップST8は、待機ステップの一例である。待機時間t2は、待機時間の一例である。
待機時間t2は、約10秒(s)である。この待機時間t2は、後の工程においてリフ
レクタ12を冷風D1によって冷却しても破損することがない程度にリフレクタ12の温
度が低下するために必要十分な時間として規定されている。
この待機時間t2は、上述の第1冷却時間t1よりも長い。これは、ステップST7に
おいては、ランプ11の熱だけではなくて、熱風D1の熱によっても、リフレクタ12が
熱せられており、リフレクタ12の温度が第1冷却時間t1に入る直前(ステップST5
の直前)よりも待機時間t2に入る直前(ステップST8の直前)の方が高くなっている
からである。
例えば、第1冷却時間t1に入る直前のリフレクタ12の温度は摂氏234度であるの
に対して、待機時間t2に入る直前のリフレクタ12の温度は摂氏289度になっている

しかも、待機時間t2の間においては、リフレクタ12を徐々に冷却するために、送風
機44によって冷風を送風しないから、待機時間t2は、上述の第1冷却時間t1よりも
長いのである。
【0028】
ステップST8に続いて、図13(c)に示すように、送風機44によって冷風D1を
送風して、第2冷却時間t3の間、リフレクタ12とランプ11を冷却する(図6のステ
ップST9)。このステップST9は、第2冷却ステップの一例である。
第2冷却時間t3は、第2冷却時間の一例である。
第2冷却時間t3は、例えば、10秒である。この第2冷却時間t3は、リフレクタ1
2とランプ11とから構成される光源装置10をプロジェクタ100(図14参照)へ組
み込む際に、光源装置10やプロジェクタ100の他の部品に破損等の影響を与えない程
度にリフレクタ12及びランプ11の温度を低下させるために必要十分な時間として規定
されている。
送風機44は、図示しない電熱装置を起動せずに、ファン44aを矢印C1方向に回転
させることによって、冷風D1を送風するようになっている。
ステップST9が終了すると、光源装置10が完成し、プロジェクタ100(図14参
照)への組み込み工程へと移行する。
【0029】
光源装置10は、上述のように製造される。
上述のように、ステップST7において、ランプ11を点灯し、かつ、熱風D1を送風
しつつ、接着剤42を固化するから、接着剤42を迅速に固化させることができる。
さらに、ステップST8で待機時間t2の間、待機してから、ステップST9において
リフレクタ12とランプ11を冷却するから、ステップST7の接着剤の固化工程におい
て、ランプ11の点灯によって発生する熱や、熱風D2によって熱せられて膨張している
リフレクタ12が、急に冷却されることによって破損することを防止することができる。
そして、ステップST8で待機時間t2の間、待機した後に、ステップST9において
冷却するから、リフレクタ12が急に冷却されることによって破損することを防止しつつ
、リフレクタ12及びランプ11を迅速に冷却し、光源装置10の製造効率を向上させる
ことができる。
このように、本実施の形態の光源装置の製造方法によれば、リフレクタ12の破損を防
止することができる。
【0030】
また、リフレクタ押さえ装置30は、リフレクタ12の外側曲面部12bと接する位置
によって、規定圧力を調整可能に構成されている。すなわち、リフレクタ押さえ装置30
は、リフレクタ12が外側曲面部12bを有することを利用して、圧力の分散によって、
規定圧力を調整可能になっている。
このため、リフレクタ押さえ装置30は、簡単な構成であるにも関わらず、規定圧力を
調整することができる。
【0031】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互
に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】光源装置を示す概略斜視図。
【図2】光源装置の概略側面図。
【図3】図1の光源装置を矢印A1方向から見た概略裏面図。
【図4】光源装置の詳細な構成を示す側面図。
【図5】光源ランプの詳細な構成を示す斜視図。
【図6】光源装置の製造方法を示す概略フローチャート図。
【図7】リフレクタ保持装置及びリフレクタ押さえ装置等を示す概略図。
【図8】リフレクタ保持装置及びリフレクタ押さえ装置等を示す概略図。
【図9】リフレクタ保持装置及びリフレクタ押さえ装置等を示す概略図。
【図10】リフレクタ保持装置及びリフレクタ押さえ装置等を示す概略図。
【図11】リフレクタ保持装置及びリフレクタ押さえ装置等を示す概略図。
【図12】光源装置の製造工程における状態を示す概略図。
【図13】光源装置の製造工程における状態を示す概略図。
【図14】プロジェクタを示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0033】
10…光源装置、11…光源ランプ、12…楕円リフレクタ、20…リフレクタ保持装
置、30…リフレクタ押さえ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクタの光源装置の製造方法であって、
リフレクタをリフレクタ保持装置に位置決めする位置決めステップと、
前記リフレクタを前記リフレクタ保持装置に対して、予め規定した規定圧力で押さえつ
けることができるリフレクタ押さえ装置によって固定する固定ステップと、
ランプを点灯しつつ、前記ランプの照度が最大になる位置において、前記リフレクタに
対して、前記ランプを位置決めするランプ位置決めステップと、
前記ランプを消灯する消灯ステップと、
冷風を送風して予め規定した第1冷却時間の間、前記リフレクタと前記ランプを冷却する
第1冷却ステップと、
前記リフレクタと前記ランプを互いに固着させるための接着剤を注入する接着剤注入ス
テップと、
前記ランプを点灯し、かつ、熱風を送風しつつ、前記接着剤を固化する接着剤固化ステ
ップと、
前記ランプを消灯し、かつ、前記熱風の送風を停止して、予め規定した待機時間の間、
待機する待機ステップと、
冷風を送風して、予め規定した第2冷却時間の間、前記リフレクタと前記ランプを冷却
する第2冷却ステップと、
を有することを特徴とするプロジェクタの光源装置の製造方法。
【請求項2】
プロジェクタの光源装置の製造装置であって、
リフレクタを位置決めしつつ保持するリフレクタ保持装置と、
前記リフレクタを前記リフレクタ保持装置に対して、予め規定した規定圧力で押さえつ
けることができるリフレクタ押さえ装置と、を有し、
前記リフレクタ押さえ装置は、
前記リフレクタの外側曲面部を押さえつける構成となっており、
前記外側曲面部と接する位置によって、前記規定圧力を調整可能に構成されていること
を特徴とするプロジェクタの光源装置の製造装置。
【請求項3】
前記リフレクタ押さえ装置は、前記リフレクタの外側曲面部の形状変化を吸収するため
の緩衝手段を有することを特徴とする請求項2に記載のプロジェクタの光源装置の製造装
置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−250511(P2007−250511A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83966(P2006−83966)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】