説明

プロジェクター、及びプロジェクターの制御方法

【課題】プロジェクターの異常発生による警告表示を見落としてしまうことで、異常発生要因が取り除かれていないままプロジェクターを使い続けてしまうことを防止する。
【解決手段】プロジェクター1の制御手段20は、異常検知手段40が異常発生を検知した場合に、異常検知フラグ21aをセットし、当該プロジェクター1が電源オフの状態において、前記異常検知フラグ21aがセットされている場合には、前記遠隔操作よる電源オン操作を検出すると、前記電源オン操作を無効にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、及びプロジェクターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を投写するプロジェクターにおいて、プロジェクター内部の温度が上昇した場合など異常が発生した場合に警告し、強制的に電源をオフする機能が使われている。
特許文献1には、異常により終了した場合に、次回の電源オン時に警告表示するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−279908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プレゼンテーションなどにおいて、ユーザーがプロジェクターから離れた場所で、リモートコントローラー(リモコン)により遠隔操作している場合では、警告表示自体を見落としてしまい、異常発生要因が取り除かれていないにもかかわらず、プロジェクターを使い続けてしまう虞があった。そのために、プロジェクターの使用中に再度異常が発生し、プロジェクターが故障してしまう虞もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、被投写面に画像を投写するプロジェクターであって、光源から射出された光を画像情報に応じて変調して投写する画像投写手段と、当該プロジェクターの異常発生を検知する異常検知手段と、前記異常検知手段により異常発生が検知された場合にセットされる異常検知フラグと、前記異常検知フラグを記憶する記憶手段と、当該プロジェクターの本体に備えられ、入力操作を受け付ける本体操作手段と、当該プロジェクターを遠隔操作するための操作信号を受信する操作信号受信手段と、前記本体操作手段が受け付けた前記入力操作、および前記操作信号受信手段が受信した操作信号に基づいて、当該プロジェクターの動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記異常検知手段が前記異常発生を検知した場合に、前記異常検知フラグをセットし、前記制御手段は、当該プロジェクターが電源オフの状態において、前記異常検知フラグがセットされている場合には、前記遠隔操作よる電源オン操作を検出すると、前記電源オン操作を無効にすることを特徴とする。
【0007】
本適用例によれば、異常検知手段によってプロジェクターに異常発生したことを検知した場合に異常検知フラグがセットされ、プロジェクターが電源オフの状態において、遠隔操作による電源オン操作を検出すると、遠隔操作による電源オン操作が無効となる。
これにより、ユーザーがプロジェクターから離れた場所でリモコンなどにより遠隔操作をしている場合でも、異常発生の警告表示を見落としてプロジェクターを使い続けてしまうことを防止することが可能になる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、当該プロジェクターは、報知手段を備え、当該プロジェクターが電源オフの状態において、前記異常検知フラグがセットされている場合には、前記報知手段は第1報知を行うことを特徴とする。これにより、プロジェクターの使用中に再度異常が発生し、プロジェクターが故障するのを防止することが可能となる。
【0009】
本適用例によれば、プロジェクターの異常発生により異常検知フラグがセットされた後は、電源オフの状態において報知手段により第1報知が行われるので、ユーザーに異常発生を認識させ、異常原因を取り除くことを促すことが可能となる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、当該プロジェクターが電源オフの状態において、前記異常検知フラグがセットされている場合に、前記制御手段が前記遠隔操作による電源オン操作を検出すると、前記報知手段はさらに第2報知を行うことを特徴とする。
【0011】
本適用例によれば、プロジェクターの異常発生により異常検知フラグがセットされた後は、遠隔操作により電源オン操作をしようとすると、報知手段により第2報知が行われるので、ユーザーに異常発生を認識させ、異常原因を取り除くことを促すことが可能となる。
【0012】
[適用例4]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、当該プロジェクターが電源オフの状態において、前記異常検知フラグがセットされている場合には、前記制御手段は、前記本体操作手段による電源オン操作を受け付けると、当該プロジェクターを起動した後、前記異常発生を通知する警告メッセージを前記画像投写手段に投写させることを特徴とする。
【0013】
本適用例によれば、遠隔操作による電源オン操作が無効とされている状態でも、本体操作手段による電源オン操作でプロジェクターを起動し、異常発生を通知する警告メッセージによってユーザーに異常発生内容を確認させ、異常要因を取り除くことを促すことが可能となる。これにより、プロジェクターが故障するのを防止することが可能となる。
【0014】
[適用例5]本適用例に係るプロジェクターの制御方法は、被投写面に画像を投写するプロジェクターの制御方法であって、光源から射出された光を画像情報に応じて変調して投写する画像投写手段と、当該プロジェクターの異常発生を検知する異常検知手段と、前記異常検知手段により異常発生が検知された場合にセットされる異常検知フラグと、前記異常検知フラグを記憶する記憶手段と、当該プロジェクターの本体に備えられ、入力操作を受け付ける本体操作手段と、当該プロジェクターを遠隔操作するための操作信号を受信する操作信号受信手段と、を備え、前記異常検知手段により、前記異常発生が検知された場合に、前記異常検知フラグをセットする異常検知ステップと、当該プロジェクターが電源オフの状態において、前記異常検知フラグがセットされている場合には、前記操作信号による電源オン操作を受け付けると、前記電源オン操作を無効にする電源オン無効ステップと、を有することを特徴とする。
【0015】
本適用例によれば、異常検知手段によってプロジェクターに異常発生したことを検知した場合に異常検知フラグがセットされ、プロジェクターが電源オフの状態において、遠隔操作による電源オン操作を検出すると、遠隔操作による電源オン操作が無効となる。
これにより、ユーザーがプロジェクターから離れた場所でリモコンなどにより遠隔操作をしている場合でも、異常発生の警告表示を見落としてプロジェクターを使い続けてしまうことを防止することが可能となる。これにより、プロジェクターの使用中に再度異常が発生し、プロジェクターが故障するのを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】プロジェクターの斜視図。(a)は前面から見た図。(b)は背面から見た図。
【図2】プロジェクターの回路構成を示すブロック図。
【図3】プロジェクターの電源オン時の動作を示すフローチャート。
【図4】プロジェクターに電力が供給されたときの動作を示すフローチャート。
【図5】プロジェクターに異常が発生したときの動作を示すフローチャート。
【図6】プロジェクターの電源オフ時の動作を示すフローチャート。
【図7】異常発生時に投写するメッセージ。(a)はリモコンによる電源オン禁止を警告するメッセージを示し、(b)は動作中の異常発生検知時に警告するメッセージを示す図。
【図8】プロジェクターの本体操作手段のキーを示す図。
【図9】プロジェクターのリモコンの操作キーを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態であるプロジェクターについて説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態における特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
(第1実施形態)
図1は本実施形態のプロジェクターの斜視図であり、(a)は前面から見た図、(b)は背面から見た図である。
図1(a)、(b)に示すように、プロジェクター1は、上面2t、前面2f、背面2bなどを有する筐体2によって装置本体が覆われた構成となっている。なお、本実施形態においては、プロジェクター1に対して、投写方向でもある前面2f方向を前方とし、前面2fの反対側である背面方向を後方とする。
【0019】
筐体2の上面2tには、ユーザーにより入力操作が行われる複数の操作キーを備えた本体操作手段23が備えられている。前面2fには、前方に向かって画像光を投写する投写レンズ13が備えられている。背面2bには画像信号入力手段5、及び電源端子6が備えられている。また、前面2fおよび背面2bにはリモートコントローラー(リモコン)25による遠隔操作を受け付ける操作信号受信手段24が備えられている。
【0020】
図2は、本実施形態のプロジェクターの回路構成を示すブロック図である。
図2に示すように、プロジェクター1は、画像投写手段10、制御手段20、記憶手段21、光源制御手段22、本体操作手段23、操作信号受信手段24、画像信号入力手段5、画像信号処理手段3、OSD処理手段4、電源端子6、電源部7、報知手段30、異常検知手段40等で構成されており、これらは筐体2の内部に収容されている。
【0021】
画像投写手段10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R、12G、12B、投写光学系としての投写レンズ13、液晶駆動手段14等を含んでいる。画像投写手段10は、光源11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R、12G、12Bで変調し、投写レンズ13から投写することによってスクリーンSC等に画像を表示する。
【0022】
光源11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R、12G、12B側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。
光源11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R、12G、12Bに入射する。
【0023】
液晶ライトバルブ12R、12G、12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R、12G、12Bには、マトリックス状に配列された複数の画素(図示せず)が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。
【0024】
液晶駆動手段14が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R、12G、12Bを透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。
【0025】
形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラーの画像光となった後、投写レンズ13によってスクリーンSC等に拡大投写される。
【0026】
なお、上記実施形態では、画像投写手段10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R、12G、12Bを用いた透過型液晶方式の投写光学系を例示したが、反射型液晶表示方式やマイクロミラーデバイス方式(ライトスイッチ表示方式)など、他の表示方式の光変調装置を採用しても良い。
【0027】
制御手段20は、図示しないCPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)等を備え、記憶手段21に記憶されている制御プログラム(図示せず)に従って動作することによりプロジェクター1の動作を統括制御する。つまり、制御手段20は、記憶手段21とともにコンピューターとして機能する。
【0028】
記憶手段21は、フラッシュメモリーやFeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリー)等の書き換え可能な不揮発性のメモリーにより構成されている。記憶手段21には、プロジェクター1の動作を制御するための制御プログラムや、プロジェクター1の動作条件等を規定する各種設定データ等が記憶されている。
本実施形態では、異常検知手段40がプロジェクター1に異常が発生したことを検知した場合にセットされる異常検知フラグ21aが保存される。
【0029】
本体操作手段23は、プロジェクター1の本体筐体外面に備えられ、ユーザーからの入力操作を受け付けるものであり、ユーザーがプロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。
図8に示すように、本体操作手段23が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを交互に切り替えるための電源キー23aや、画像信号入力手段5に入力される複数の画像入力端子を切り替えるための入力切替キー23b、各種設定を行うための設定メニューを重畳表示させるメニューキー23c、メニューからユーザーが設定項目を選択するカーソルキー23d、決定キー23e、エスケープキー23f、ヘルプキー23g等がある。
ユーザーが本体操作手段23の各種操作キーを操作すると、本体操作手段23は、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御手段20に出力する。
【0030】
操作信号受信手段24は、遠隔操作で入力操作を行うリモートコントローラー(リモコン/RCとも称する)25からの操作信号を受信し、ユーザーの操作内容に応じた、操作信号を制御手段20に出力する。
図9に示すように、リモコン25が備える操作キーとしては、本体操作手段23と同等である、電源キー25a、入力切替キー25b、メニューキー25c、カーソルキー25d、決定キー25e、エスケープキー25f、ヘルプキー25gのキーに加え、画面ミュートキー25h、画面縦横比切替キー25i、カラーモード切替キー25j、番号入力キー25k等がある。
【0031】
異常検知手段40は、各種センサーなどで構成され、プロジェクター1に異常が発生したことを検知し、制御手段20に通知する。
異常検知手段40が検知する異常の種類としては、プロジェクター1の筐体内の温度が所定値以上になった場合の高温異常、プロジェクター1の光源を冷却するためのファンが正しく動作しなかった場合のファン異常などがあり、異常が発生した場合、異常検知フラグ21aがセットされる。
【0032】
画像信号入力手段5は、上述したように複数の画像入力端子を備えており、各画像入力端子より、ビデオ再生装置やパーソナルコンピューター等、外部の画像出力装置から、図示しないケーブルを介して画像情報が入力される。
【0033】
画像信号処理手段3は、画像信号入力手段5から入力される画像情報を、液晶ライトバルブ12R、12G、12Bの各画素の階調を表す画像情報に変換する。ここで、変換された画像情報は、赤(R)、緑(G)、青(B)の色光別になっており、各液晶ライトバルブ12R、12G、12Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素を透過し射出する光の強弱(階調)が規定される。
【0034】
OSD処理手段4は、制御手段20の指示に基づいて、投写画像上に、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を重畳して表示するための処理を行う。OSD処理手段4は、図示しないOSDメモリーを備えており、OSD画像を形成するための図形やフォント等を表すOSD画像情報を記憶している。
制御手段20が、OSD画像の重畳表示を指示すると、OSD処理手段4は、必要なOSD画像情報をOSDメモリーから読み出し、投写画像上の所定の位置にOSD画像が重畳されるように、画像信号処理手段3から入力される画像情報にこのOSD画像情報を合成する。OSD画像情報が合成された画像情報は、液晶駆動手段14に出力される。
なお、制御手段20からOSD画像を重畳する旨の指示がない場合には、OSD処理手段4は、画像信号処理手段3から入力される画像情報を、そのまま液晶駆動手段14に出力する。
【0035】
液晶駆動手段14は、本実施形態における画像形成部であり、OSD処理手段4から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R、12G、12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R、12G、12Bは、画像情報に応じた画像を形成し、この画像が投写レンズ13から投写される。
【0036】
電源部7には、AC100V等の電力が電源端子6を介して外部から供給される。電源部7は、例えば商用電源(交流電源)を所定の電圧の直流電源に変換して、プロジェクター1の各部に電力を供給する。また、電源部7は、制御手段20の指示に基づいて、画像の投写に必要な電力(動作電力)を各部に供給する状態(電源オン状態)と、動作電力の供給を停止して、電源をオンにするための操作を待機する状態(スタンバイ状態)とを切り替えることができる。
【0037】
報知手段30は、LED(Light emitting diode)や、ブザーなどで構成され、制御手段20の指示により異常検知状態を報知する。報知手段30が報知する報知状態としては、プロジェクター1が電源オフの状態において異常検知フラグ21aがセットされている場合に報知する第1報知と、第1報知の状態において、リモコンによる電源オン操作を検出した場合に報知する第2報知がある。これら2つの報知はLEDによる点灯パターン、発光色やブザーの鳴動パターンなどで区別される。
【0038】
光源制御手段22は、制御手段20の指示に基づいて、光源11に対する電力の供給と停止とを制御し、光源11の点灯、及び消灯を切り替える。
【0039】
本実施形態のプロジェクター1は、上記のように構成されているため、電源端子6に電源ケーブル(図示せず)が接続され、電源部7に電力が供給されると、電源部7は、少なくとも制御手段20、記憶手段21、本体操作手段23、及び操作信号受信手段24に電力(スタンバイ電力)の供給を行い、制御手段20は、この電力供給を受けて、制御プログラムに従った動作を開始する。
【0040】
電力が供給された直後には、プロジェクター1は、スタンバイ状態(電源オフ状態ともいう。)であり、光源11を消灯させた状態を維持している。そして、本体操作手段23、又はリモコン25に備わる電源キー23a,25aのいずれかがユーザーにより操作されると、制御手段20は、電源部7に指示をして、各部への動作電力の供給を開始させ、プロジェクター1を電源オン状態に移行させる。
本実施形態においてのスタンバイ状態が、電源オフの状態に相当する。さらにスタンバイ状態より電源オン状態に移行させる操作が、電源オン操作に相当する。
【0041】
次に、本実施形態のプロジェクター1の動作を、図3から図6のフローチャートを用いて説明する。
(電源オン操作)
図3はプロジェクター1の電源オン時の動作を示すフローチャートである。
図3に示すように、プロジェクター1がスタンバイ状態において、本体操作手段23またはリモコン25の操作信号により電源オン操作を検出すると(ステップS101)、制御手段20は、異常検知フラグ21aがセットされているか否かを調べる(ステップS102)。異常検知フラグ21aがセットされている場合(ステップS102:Y)、ステップS103に遷移する。異常検知フラグ21aがセットされていない場合(ステップS102:N)、ステップS107に遷移する。
【0042】
ステップS103において制御手段20は、ステップS101において検出された電源オン操作がリモコン25によるものか否かを調べる。リモコン25の電源オン操作による場合(ステップS103:Y)、ステップS105に遷移する。リモコン25による電源オン操作でない場合、即ち本体操作手段23の電源オン操作による場合(ステップS103:N)、ステップS104に遷移する。
【0043】
ステップS105において制御手段20は、報知手段30に所定時間(例えば5秒)、第2報知を行わせた後、プロジェクター1をスタンバイ状態に移行させ(ステップS106)、本動作フローを終了する。
【0044】
ステップS104において制御手段20は、詳しくは後述する報知手段30による第1報知を終了させ、ステップS107に遷移する。
【0045】
ステップS107において制御手段20は、光源制御手段22により光源11を点灯させ、プロジェクター1を電源オンの状態に移行させた後、ステップS108に遷移する。
【0046】
ステップS108において制御手段20は、異常検知フラグ21aがセットされているか否かを調べる。異常検知フラグ21aがセットされている場合(ステップS108:Y)、異常発生によりリモコンによる電源オンが禁止されている警告メッセージM1を画像投写手段10に投写させ(ステップS109)、ステップS110に遷移する。
このときの警告メッセージM1を図7(a)に示す。一方、異常検知フラグ21aがセットされていない場合(ステップS108:N)、ステップS110に遷移する。
【0047】
ステップS110において制御手段20は、異常検知フラグ21aをクリアし、ステップS111に遷移する。
【0048】
ステップS111において制御手段20は、画像信号入力手段5から入力される画像データを画像投写手段10に投写させ(投写開始)、本動作フローを終了する。
【0049】
(電力供給)
図4はプロジェクター1に電力が供給されたときの動作を示すフローチャートである。
図4に示すように、プロジェクター1に電力が供給されると(ステップS201)、制御手段20は、異常検知フラグ21aがセットされているか否かを調べる(ステップS202)。異常検知フラグ21aがセットされている場合(ステップS202:Y)、ステップS203に遷移する。異常検知フラグ21aがセットされていない場合(ステップS202:N)、ステップS205に遷移する。
【0050】
ステップS203において制御手段20は、報知手段30に第1報知を行わせ、ステップS205に遷移する。
【0051】
ステップS205において制御手段20は、プロジェクター1をスタンバイ状態に移行させ、本動作フローを終了する。
【0052】
(異常検知)
図5はプロジェクター1の動作中に異常検知手段40がプロジェクター1に異常が発生したことを検知した場合の動作を示すフローチャートである。
図5に示すように、プロジェクター1の投写中にプロジェクター1に異常が発生したことを異常検知手段40が検知すると(ステップS301)、制御手段20は、異常検知フラグ21aをセットし(ステップS302)、ステップS303に遷移する。
【0053】
ステップS303において制御手段20は、プロジェクター1に異常が発生したことを通知する警告メッセージM2を画像投写手段10に投写させ、ステップS304に遷移する。このときの警告メッセージM2を図7(b)に示す。
【0054】
ステップS304において本動作フローを終了する。
【0055】
(電源オフ操作)
図6はプロジェクター1の電源オフ時の動作を示すフローチャートである。
図6に示すように、プロジェクター1が投写中に、本体操作手段23またはリモコン25の操作信号により電源オフ操作を検出すると(ステップS401)、制御手段20は、光源制御手段22により光源11を消灯させるとともにスタンバイ状態に移行させ(ステップS402)、次のステップS403に遷移する。
【0056】
ステップS403において制御手段20は、異常検知フラグ21aがセットされているか否かを調べる。異常検知フラグ21aがセットされている場合(ステップS403:Y)、制御手段20は報知手段30に第1報知を行わせ(ステップS404)、ステップS405に遷移する。
一方、異常検知フラグ21aがセットされていない場合(ステップS403:N)、ステップS405に遷移する。
【0057】
ステップS405において制御手段20は、プロジェクター1のスタンバイ状態を継続させ、本動作フローを終了する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、異常検知手段40がプロジェクター1に異常発生したことを検知した場合に異常検知フラグ21aがセットされ、プロジェクター1が電源オフの状態でリモコン25による電源オン操作を検出すると、リモコン25による電源オン操作が無効となる。
これにより、ユーザーがプロジェクター1から離れた場所でリモコン25などにより遠隔操作している場合でも、異常発生の警告表示を見落としてプロジェクター1を使い続けてしまうことを防止することが可能になる。
【0059】
また、異常発生により異常検知フラグ21aがセットされた後は、電源オフの状態で第1報知が、さらにリモコン25を使って電源オン操作をしようとした場合は第2報知により異常発生が報知されるので、ユーザーに異常発生を認識させ、異常原因を取り除くことを促すことが可能となる。これにより、プロジェクターの使用中に再度異常が発生し、プロジェクターが故障するのを防止することが可能となる。
【0060】
また、上述した、リモコン25による電源オン操作が無効とされている状態でも、本体操作手段23による電源オン操作でプロジェクター1を使用することができるので、異常発生により異常検知フラグ21aがセットされた後にプロジェクター1の電源をオンし、異常発生内容を確認させることが可能となる。
【0061】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
(変形例1)
上述した実施形態においては、異常検知フラグ21aがセットされた状態において、リモコン25による電源オン操作を検出した場合に報知手段30により第2報知を行っているが、本体操作手段23による電源オン操作を検出した場合にも所定時間報知を行った後、電源をオンするようにしてもよい。
これにより、普段はリモコン25を使わずに本体操作手段23によって電源オン操作を行っているユーザーにも、異常発生を確実に通知することが可能となる。
【符号の説明】
【0062】
1…プロジェクター、3…画像信号処理手段、4…OSD処理手段、5…画像信号入力手段、6…電源端子、7…電源部、10…画像投手段、11…光源、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…液晶駆動手段、20…制御手段、21…記憶手段、21a…異常検知フラグ、22…光源制御手段、23…本体操作手段、24…操作信号受信手段、25…リモートコントローラー(リモコン/RC)、30…報知手段、40…異常検知手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被投写面に画像を投写するプロジェクターであって、
光源から射出された光を画像情報に応じて変調して投写する画像投写手段と、
当該プロジェクターの異常発生を検知する異常検知手段と、
前記異常検知手段により異常発生が検知された場合にセットされる異常検知フラグと、
前記異常検知フラグを記憶する記憶手段と、
当該プロジェクターの本体に備えられ、入力操作を受け付ける本体操作手段と、
当該プロジェクターを遠隔操作するための操作信号を受信する操作信号受信手段と、
前記本体操作手段が受け付けた前記入力操作、および前記操作信号受信手段が受信した操作信号に基づいて、当該プロジェクターの動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記異常検知手段が前記異常発生を検知した場合に、前記異常検知フラグをセットし、
前記制御手段は、当該プロジェクターが電源オフの状態において、前記異常検知フラグがセットされている場合には、前記遠隔操作よる電源オン操作を検出すると、前記電源オン操作を無効にすることを特徴とする、プロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
当該プロジェクターは、報知手段を備え、
当該プロジェクターが電源オフの状態において、前記異常検知フラグがセットされている場合には、前記報知手段は第1報知を行うことを特徴とする、プロジェクター。
【請求項3】
請求項2に記載のプロジェクターであって、
当該プロジェクターが電源オフの状態において、前記異常検知フラグがセットされている場合に、前記制御手段が前記遠隔操作による電源オン操作を検出すると、前記報知手段はさらに第2報知を行うことを特徴とする、プロジェクター。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
当該プロジェクターが電源オフの状態において、前記異常検知フラグがセットされている場合には、前記制御手段は、前記本体操作手段による電源オン操作を受け付けると、当該プロジェクターを起動した後、前記異常発生を通知する警告メッセージを前記画像投写手段に投写させることを特徴とする、プロジェクター。
【請求項5】
被投写面に画像を投写するプロジェクターの制御方法であって、
光源から射出された光を画像情報に応じて変調して投写する画像投写手段と、
当該プロジェクターの異常発生を検知する異常検知手段と、
前記異常検知手段により異常発生が検知された場合にセットされる異常検知フラグと、
前記異常検知フラグを記憶する記憶手段と、
当該プロジェクターの本体に備えられ、入力操作を受け付ける本体操作手段と、
当該プロジェクターを遠隔操作するための操作信号を受信する操作信号受信手段と、を備え、
前記異常検知手段により、前記異常発生が検知された場合に、前記異常検知フラグをセットする異常検知ステップと、
当該プロジェクターが電源オフの状態において、前記異常検知フラグがセットされている場合には、前記操作信号による電源オン操作を受け付けると、前記電源オン操作を無効にする電源オン無効ステップと、
を有することを特徴とする、プロジェクターの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−230292(P2012−230292A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99247(P2011−99247)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】