説明

プロジェクター支持装置

【課題】プロジェクターの外形や取り付け位置等に影響されずに安定した高さ調整ができ、また、プロジェクターを支持(保持)する保持部の傾きを抑制できるプロジェクター支持装置を提供する。
【解決手段】プロジェクター支持装置1は、ネジ溝を有する軸部351と、軸部351の両端部に形成されて軸部351を回動させる操作部(上操作部353、下操作部352)とを有する調整部35と、設置面に設置され、軸部351を上下方向に向け、軸部351の少なくとも一方の端部側を回動自在に支持するベース部3(第1ベース部31)と、プロジェクター2を保持する保持部(第1アーム6等)と、保持部を固定し、軸部351に螺合する螺合部を介してベース部3と連結する連結部5と、を備え、連結部5は、いずれか一方の操作部の回動に従動し、軸部351に沿って移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターを壁面などに設置するプロジェクター支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、投写レンズから射出された画像光を、反射ミラーで広角化して投写するプロジェクターが知られている。このようなプロジェクターは、スクリーン等の投写面に対して近距離から大画面で投写できるため、例えば、支持装置を用いてプロジェクターを壁面およびスクリーンの近くに支持固定する等の方法で使用されている。なお、支持装置は、プロジェクターの姿勢を調整する調整機構が設置されており、スクリーンに所定の大きさで画像を投写することができる(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1の支持装置(プロジェクター天吊り装置)は、壁面に設置されるベース基板、ベース基板に固定されるスライド受け基板、第1スライド基板、第2スライド基板および第2スライド基板に固定される調整用機構を備え、プロジェクターは、調整用機構に保持されている。そして、特許文献1の支持装置は、調整用機構により、6方向の調整、詳細には、上下調整、前後調整、左右調整、上下チルト調整、整水平ロール調整、および水平回転調整を行うことができる。なお、特許文献1における、上下調整は、ベース基板に設置される引掛支持部材に、引掛け部を介して引掛けられたスライド受け基板の固定ネジを緩めて、引掛支持部材を中心に引掛け部(スライド受け基板)を回動させることにより行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−2610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1での支持装置による上下調整は、固定ネジを緩めて、引掛支持部材を中心に引掛け部(スライド受け基板)を回動させる構造のため、プロジェクターを上下方向へ平行に移動させることは困難となる。また、プロジェクターがベース基板に対して外形が大きく、プロジェクターがベース基板(設置面)の近くに位置する場合等においては、調整操作するスペースが狭くなり、上下調整(高さ調整)を行うことが難しくなるという課題がある。また、ベース基板に対してプロジェクターを保持する保持部(第1スライド基板、第2スライド基板等)が傾かないように、特許文献1の上下調整を用いて調整することができるが、更に簡易な構成で、傾きを抑制できる構造が望まれていた。
【0006】
従って、プロジェクターの外形や取り付け位置等に影響されずに安定した高さ調整ができ、また、プロジェクターを支持(保持)する保持部の傾きを抑制できるプロジェクター支持装置が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクター支持装置は、プロジェクターを設置面に支持固定するプロジェクター支持装置であって、(a)ネジ溝を有する軸部と、軸部の両端部に形成されて軸部を回動させる操作部とを有する調整部と、(b)設置面に設置され、軸部を上下方向に向け、軸部の少なくとも一方の端部側を回動自在に支持するベース部と、(c)プロジェクターを保持する保持部と、(d)保持部を固定し、軸部に螺合する螺合部を介してベース部と連結する連結部と、を備え、連結部は、操作部の回動に従動し、軸部に沿って移動することを特徴とする。
【0009】
このようなプロジェクター支持装置によれば、調整部はネジ溝を有する軸部の両端部に操作部を有しており、また、軸部は上下方向に向けてベース部に設置される。また、軸部は、少なくとも一方の端部側をベース部に回動自在に支持される。この構成により、連結部を軸部に沿って上下方向に移動させるには、軸部の上下方向となる端部に形成される操作部を回動することで移動させることができる。これにより、プロジェクターの外形が大きい場合や、プロジェクターの取り付け位置が設置面に近い場合であっても、下側の操作部を操作するか、上側の操作部を操作するかのいずれかが行え、いずれの場合にも、連結部を軸部に沿って上下方向に移動させることができる。従って、プロジェクターの外形や取り付け位置等に影響されずに安定した高さ調整を行うことができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクター支持装置において、調整部は、連結部の左右方向の略中心に設置されていることが好ましい。
【0011】
このようなプロジェクター支持装置によれば、調整部が連結部の左右方向の略中心に設置されていることにより、上下方向の調整を行う場合、連結部の左右方向のバランスをとることができるため、ガタツキを抑えて滑らかに移動させることができる。また、回動せる際の操作部のトルクも安定させることができる。従って、更に安定した高さ調整を行うことができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクター支持装置において、軸部の他方の端部に形成される操作部は、ベース部の左右方向に延びて起立する第1起立部に有する孔部から延出していることが好ましい。
【0013】
このようなプロジェクター支持装置によれば、軸部の一方の端部側をベース部に回動自在に支持し、軸部の他方の端部に形成される操作部は、第1起立部の孔部から延出している。このように構成される操作部を回動することによっても、連結部を軸部に沿って上下方向に移動させることができる。そして、このような操作部により、調整部の一方のみを回動自在に支持し、他方は孔部から延出させるだけの構成とすることができ、操作部の構造及び調整部の設置を簡易とすることができる。
【0014】
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクター支持装置において、(a)連結部に螺合し、ベース部に対して連結部を固定及び固定を解除する固定ネジと、ベース部に対して連結部の移動を案内する案内ネジとを有するネジ部と、(b)ベース部の上下方向に延びて起立する第2起立部に有し、連結部の移動に併せてネジ部を移動可能に案内する長孔部と、を備えていることが好ましい。
【0015】
このようなプロジェクター支持装置によれば、ネジ部と長孔部とを備えることにより、連結部を移動させる際には、固定ネジの固定を解除して(締め付けを緩めて)、案内ネジが長孔部の周縁部を摺動することで移動させる。また、移動後は、固定ネジを固定する(締め付ける)ことで、連結部をベース部に固定させることができる。このような簡易な構成で、ベース部に対する連結部の移動時の安定した案内を行うことができると共に、ベース部に対して連結部を確実に固定することができる。
【0016】
[適用例5]上記適用例に係るプロジェクター支持装置において、長孔部は、上端部が下端部より設置面側に位置していることが好ましい。
【0017】
このようなプロジェクター支持装置によれば、長孔部は上端部が下端部より設置面側に位置していることにより、プロジェクターを保持する保持部がベース部に対して傾くことを、簡易な構成で補正することができ、プロジェクターを保持する保持部の傾きを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係るプロジェクター支持装置を用いてプロジェクターを設置した状態を模式的に示す斜視図。
【図2】プロジェクターを支持した状態のプロジェクター支持装置の斜視図。
【図3】プロジェクターを支持した状態のプロジェクター支持装置の斜視図。
【図4】プロジェクター支持装置の分解斜視図。
【図5】調整部を中心としたプロジェクター支持装置を示す斜視図。
【図6】角度調整保持部の斜視図。
【図7】第2実施形態に係る第1ベース部の概側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
【0020】
図1は、第1実施形態に係るプロジェクター支持装置1を用いてプロジェクター2を設置した状態を模式的に示す斜視図である。図1を参照して、本実施形態のプロジェクター支持装置1の概略構成を説明する。
【0021】
本実施形態のプロジェクター支持装置1は、設置面としての壁面に設置され、プロジェクター2を支持する。また、プロジェクター支持装置1は、図1に示すように、スクリーンSC等の投写面が設置された壁面において、スクリーンSCの上方の壁面に設置され、壁面から離間させてプロジェクター2を支持する。
【0022】
なお、以降では、説明の便宜上、壁面に対する法線方向を前後方向(Y方向)として、壁面から離れる方向を前方向(+Y方向)とし、壁面に向かう方向を後方向(−Y方向)とする。また、前後方向と垂直となり、壁面に平行となる鉛直方向を上下方向(Z方向)として、重力に逆らう方向を上方向(+Z方向)、重力に従う方向を下方向(−Z方向)とする。そして、前後方向および上下方向(鉛直方向)と垂直となる方向を左右方向(X方向)とし、壁面に向かって左側を左方向(−X方向)、右側を右方向(+X方向)とする。また、以降では、プロジェクター支持装置1を、単に支持装置1と略して適宜使用する。
【0023】
プロジェクター2は、詳細な説明は省略するが、光源装置、光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置、変調されて形成された画像光を射出する投写レンズ、および投写レンズから射出された画像光を反射して投写する非球面の反射ミラー等を備えている。
【0024】
プロジェクター2は、図1に示すように、支持装置1によって、底面2Aが上側となるように支持され、投写レンズから射出され、反射ミラーによって反射された画像光を底面2Aの反対側からスクリーンSCに投写する。本実施形態のプロジェクター2は、スクリーンSCに対して近距離から大画面で投写する、いわゆる短焦点型のプロジェクターとして構成されている。
【0025】
支持装置1は、壁面に設置されたスクリーンSCに対するプロジェクター2の位置を調整できるように構成されている。そして、スクリーンSCに対するプロジェクター2の位置を調整することにより、スクリーンSCの適正な表示範囲に画像が投写されるように、投写される画像の大きさを調整することができる。なお、支持装置1は、上下方向、前後方向、および左右方向の位置調整が行える。また、支持装置1は、上記に加えて、プロジェクター2の姿勢調整として、前後方向のチルト調整、水平方向のロール調整、および水平方向の回転調整が行える。詳細は後述する。
【0026】
図2、図3は、プロジェクター2を支持した状態のプロジェクター支持装置1の斜視図である。詳細には、図2は、プロジェクター2が最もスクリーンSCに近づいた状態(以降、「近接状態」という)を示す図であり、図3は、プロジェクター2がスクリーンSCから最も遠ざかった状態(以降、「遠隔状態」という)を示す図である。図4は、プロジェクター支持装置1の分解斜視図である。図2〜図4を参照して、支持装置1の構成に関して説明する。
【0027】
支持装置1は、図4に示すように、ベース部3、ベースカバー4(図2参照)、連結部5、第1アーム6、第2アーム7、および角度調整保持部8を備えている。
【0028】
ベース部3は、ベース部3以外の構成部材を壁面に固定する部材である。ベース部3は、板金で形成され、3体が連結して構成されている。ベース部3は、支持装置1のベース部3以外の構成部を保持する第1ベース部31と、第1ベース部31の両横に位置する第2ベース部32、第3ベース部33とで構成される。第2ベース部32、第3ベース部33は、第1ベース部31の壁面への固定を補助することで、支持装置1の壁面への固定を強化している。また、ベース部3を3体構造とすることにより、ベース部3を1体構造とする場合に比べて、支持装置1を輸送する際の梱包サイズを小型化している。
【0029】
第1ベース部31は、略矩形の板状の第1ベース部本体311と、第1ベース部本体311の上下端部で前方に起立して左右方向に延在する第1起立部としての上起立部312および下起立部313と、左右端部で前方に起立して上下方向に延在する第2起立部としての一対の左右の起立部314とを有して構成される。
【0030】
第1ベース部本体311には、壁面に第1ベース部31を固定するための固定ネジ(図示省略)を挿通する複数の挿通孔3111が形成されている。上起立部312は、中央部が更に前方に延出しており、その中央に楕円形状となる案内孔3121が形成されている。また、下起立部313も、中央部が更に前方に延出しており、その中央には、案内孔3121に相対するU字状溝3131が形成されている。
【0031】
なお、案内孔3121、U字状溝3131は、後述する調整部35を回動自在に支持する。また、案内孔3121とU字状溝3131との中心を結ぶ中心軸316(図4参照)は、Z軸方向に一致しており、本実施形態では、第1ベース部31の左右の略中心に設定されている。
【0032】
左右の起立部314は、上下方向に沿って直線状に並ぶ、長孔部としての上長孔3141と下長孔3142とがそれぞれ形成されている。なお、上長孔3141と下長孔3142とは、後述する連結部5を固定、および連結部5の上下方向への移動を案内する際に使用される。また、左右の起立部314の基部には、上下方向に沿って複数の、ネジ孔3143と係合孔3145がそれぞれ形成される。ネジ孔3143は、詳細には、バーリング加工され、ネジ切り加工が施されている。ネジ孔3143および係合孔3145は、第1ベース部31に第2ベース部32および第3ベース部33を接続する際に用いられる。
【0033】
第2ベース部32は、略矩形の板状の第2ベース部本体321と、第2ベース部本体321の右端部で前方に起立して上下方向に延在する起立部322と、上下端部で前方に起立して左右方向に延在する一対の起立部323と、左端部で前方に起立して上下方向に延在する起立部324とを有して構成される。
【0034】
第2ベース部本体321には、壁面に第2ベース部32を固定するための固定ネジ(図示省略)を挿通する複数の挿通孔3211が形成されている。起立部322の先端部には、第1ベース部31の係合孔3145に係合する、右方向に曲折して延出する係合片3221が形成されている。起立部322には、第1ベース部31に形成されるネジ孔3143に螺合する固定ネジN1を挿通する挿通孔(図示省略)が形成されている。
【0035】
第3ベース部33は、中心軸316を通るYZ平面を基準として、第2ベース部32と対称に各構成部が形成されている。第2ベース部本体321に第3ベース部本体331が対応し、起立部322,323,324に起立部332,333,334が対応する。また、起立部332には、固定ネジN1を挿通する挿通孔(図示省略)に対応する挿通孔(図示省略)と、係合片3221に対応する係合片3321が形成されている。
【0036】
ベース部3を壁面に設置する場合、第1ベース部31の左右の起立部314にそれぞれ形成される係合孔3145に、第2ベース部32、第3ベース部33の係合片3221,3321を係合させる。次に、第2ベース部32の起立部322および第3ベース部33の起立部332にそれぞれ形成される挿通孔に固定ネジN1を挿通し、第1ベース部31の左右の起立部314にそれぞれ形成されるネジ孔3143に螺合させることで、第1ベース部31に第2ベース部32と第3ベース部33とを接続させて一体とすることができる。
【0037】
その後、一体となったベース部3を壁面に当て、挿通孔3111,3211,3311に固定ネジ(図示省略)を挿通して、壁面内にねじ込むことで固定する。これにより、ベース部3は、第1ベース部本体311、第2ベース部本体321、第3ベース部本体331が、壁面に略平行な状態で固定される。
図5は、調整部35を中心としたプロジェクター支持装置1を示す斜視図である。なお、図5では、保持されるプロジェクター2は省略している。図2〜図5を参照して、連結部5、第1アーム6、および調整部35の構成に関して説明する。
【0038】
調整部35は、連結部5を上下方向に移動させる部材である。調整部35は、外周にネジ溝(図示省略)が形成される軸部351と、軸部351の下側の端部に形成される下操作部352と、上側の端部に形成される上操作部353とを有して構成されている。なお、下操作部352の上部の軸部351には、軸部351に螺合させて調整部35の上下方向の位置を固定する固定ナット354が設置されている。
【0039】
本実施形態の下操作部352は、詳細には、軸部351の下端部に形成され、六角柱状で軸部351の径より大きい径で形成されている。本実施形態の上操作部353は、詳細には、軸部351の上端部に延設され、六角柱状で軸部351の径より小さい径で形成される。
【0040】
連結部5は、図4、図5に示すように、第1ベース部31に対向する平面視矩形状の連結部本体51と、連結部本体51の上下端部で後方に起立して左右方向に延在する上起立部52および下起立部53を有している。また、連結部5は、連結部本体51の左右端部で後方に起立して上下方向に延在する一対の左右の起立部54を有している。また、連結部本体51の上側には、後述する第1アーム6の後端部が配置される矩形状の開口部55が形成されている。
【0041】
なお、第1アーム6の後端部は、この開口部55に挿通されて、左右の起立部54のそれぞれの内側面に溶接により固定される。これにより、連結部5と第1アーム6は一体となる。
【0042】
また、連結部5の上起立部52は、図4、図5に示すように、中央部が更に後方に延出しており、その中央に調整部35の軸部351を挿通する挿通孔521が形成されている。なお、挿通孔521が形成される上起立部52の内側面には、軸部351と螺合する螺合部として、ネジ溝を有するナット(図示省略)が溶接されて固定されている。また、下起立部53には、この挿通孔521に相対する位置に、同じく軸部351を挿通させる挿通孔(図示省略)が形成されている。
【0043】
連結部5の左右の起立部54は、第1ベース部31の左右の起立部314の内側に位置するように形成されている。連結部5の左右の起立部54には、起立部314の上長孔3141、下長孔3142からそれぞれ露出する2つの挿通孔541(図4参照)がそれぞれ形成される。そして、それぞれの挿通孔541が形成される左右の起立部54の内側面には、ネジ溝を有するナットNa1が溶接されて固定されている。
【0044】
壁面に固定された第1ベース部31に、調整部35および連結部5を組み込む方法に関して説明する。
最初に、調整部35の上操作部353を、連結部5の下起立部53に形成する挿通孔(図示省略)に挿通して、上起立部52のナット及び挿通孔521に挿通させる。これにより、軸部351をナットに螺合させる。そして、調整部35を回転させ、軸部351を挿通孔521から上方向にある程度延出させる。
【0045】
次に、第1ベース部31のU字状溝3131の内側面および外側面に、調整部35の固定ナット354と下操作部352が位置するように、調整部35をU字状溝3131に前方向から挿入する。このとき、上操作部353を第1ベース部31の案内孔3121に下方向から上方向に挿通させる。上操作部353は、案内孔3121に設置された場合、案内孔3121から延出する状態となる。
【0046】
これにより、調整部35は、U字状溝3131に回動自在に固定され、案内孔3121に上操作部353が回動自在に案内されて設置される。そして、調整部35は、螺合部としてのナットを介して軸部351に連結部5を螺合させることにより、第1ベース部31に連結させる。連結部5の左右の起立部54は、第1ベース部31の左右の起立部314の内側面に挟まれる状態となる。
【0047】
次に、第1ベース部31の上長孔3141、下長孔3142から、ネジ部としての固定ネジN2、案内ネジN3を挿通して、連結部5に固定する。詳細には、ワッシャーを有する固定ネジN2を、右の起立部314の上長孔3141に挿通し、対応する挿通孔541に挿通してナットNa1に螺合させる。固定ネジN2は、ナットNa1に螺合することにより、ネジ頭との間に上長孔3141を挟持することにより、連結部5を、第1ベース部31に固定する。
【0048】
案内ネジN3は、詳細な図示は省略するが、先端側にネジ溝を有し、ネジ頭側にはネジ溝が形成されていない円柱状部を有した、いわゆる段付きネジで構成されている。この案内ネジN3を、右の起立部314の下長孔3142に挿通し、対応する挿通孔541に挿通してナットNa1に螺合させて連結部5に固定する。また、他の案内ネジN3を、左の起立部314の上長孔3141、下長孔3142、および対応する挿通孔541にそれぞれ挿通して、ナットNa1に螺合させて連結部5に固定する。
【0049】
これにより、連結部5は、固定ネジN2を締め付けることにより、第1ベース部31に固定され、また、固定ネジN2を緩めることにより、第1ベース部31との固定が解除される。また、連結部5は、案内ネジN3の円柱状部が、上長孔3141、下長孔3142の周縁部に当接してスライド自在となることにより、上長孔3141、下長孔3142に沿って上下方向に案内される。
【0050】
上述したように、第1ベース部31に、調整部35および連結部5を組み込むことにより、調整部35は、連結部5の左右方向の略中心に設置される。そして、調整部35は、第1ベース部31に回動自在に固定される。また、第1アーム6を固定する連結部5は、調整部35に螺合し、第1ベース部31にスライド自在に連結する。この構成により、プロジェクター2の上下方向の位置を調整することが可能となる。
【0051】
ここで、支持装置1の調整部35によるプロジェクター2の上下方向の位置調整の方法を説明する。
上下方向の位置調整を行う場合、最初に、固定ネジN2の固定を緩めて、連結部5と第1ベース部31との固定を解除する。次に、調整部35の上操作部353および下操作部352のいずれか一方を、治具を用いて回転させることで、軸部351を回転させる。これにより、軸部351に螺合する連結部5は、案内ネジN3を介して上長孔3141、下長孔3142に沿って、軸部351の回転方向に応じて上方向または下方向にスライドする。プロジェクター2の上下方向の位置が設定できた場合、固定ネジN2を再び締め付けることにより、連結部5を第1ベース部31に固定することで、設定位置を維持する。以上により、連結部5に固定される第1アーム6が保持するプロジェクター2の上下方向の調整が行える。
【0052】
なお、調整部35の上操作部353または下操作部352のどちらを使用するかは、第1アーム6が保持するプロジェクター2が近接状態のときの、プロジェクター2とベース部3との隙間量により、操作し易い方を使用することで行うことができる。なお、後述するが、第1アーム6は、プロジェクター2を保持する保持部を構成しており、第1アーム6に接続する第2アーム7、角度調整保持部8を保持することで、プロジェクター2を保持する。
【0053】
上下方向の調整終了後には、ベースカバー4をベース部3に設置する。なお、ベースカバー4は、合成樹脂製であり、図2に示すように、ベース部3および連結部5を覆い、中央部には、第1アーム6が突出する開口部41が形成されている。ベースカバー4は、支持装置1の美観の向上や、第1アーム6からの第2アーム7の突出量を変える際や、角度調整保持部8の操作時などに、ベース部3や連結部5の鋭角な角部に作業者が触れないように形成されている。
【0054】
第1アーム6は、プロジェクター2を保持する保持部を構成している。第1アーム6は、板金で形成され、図3、図4に示すように、連結部5に後端部が固定され、前端部が前方向に突出する。詳細には、第1アーム6は、連結部5の連結部本体51に対して略垂直方向(Y方向)に突出する。第1アーム6は、XY平面に略沿う底面部61、底面部61の左右両端から上方向に湾曲して起立する左右の起立部62、および左右の起立部62の上端から底面部61と略平行となり、互いに近接する方向に屈曲された左右の上面部63を有している。
【0055】
底面部61の前側の中央部には、角度調整保持部8が近接状態で位置することとなる切り欠き611が設けられている。左右の上面部63には、前後方向に沿って、それぞれガイド孔631が形成されている。
【0056】
第2アーム7は、プロジェクター2を保持する保持部を構成している。第2アーム7は、第1アーム6に対して前後方向にスライド可能に形成され、スライドすることによって、第1アーム6に対する突出量を調整できる。言い換えると、第2アーム7は、第1アーム6に対するスライドにより、プロジェクター2の前後方向の調整を行うことができる。また、第2アーム7は、角度調整保持部8が前後方向に段階的に取り付け可能に構成されている。
【0057】
第2アーム7は、図3、図4に示すように、第1アーム6の底面部61、起立部62、および上面部63の内側にそれぞれ対応して位置し、断面相似状に形成される、底面部71、起立部72、および上面部73を有し、第1アーム6に挿通可能となる。また、第2アーム7は、前端部に合成樹脂製の先端カバー74を備えている。
【0058】
底面部71の前側の中央部には、角度調整保持部8が位置する切り欠き711が設けられている。左右の上面部73には、第1アーム6のガイド孔631から露出し、固定ネジN4および案内ネジN5が螺合する2つのネジ孔(図示省略)がそれぞれ設けられている。
【0059】
左の上面部73の2つのネジ孔のうち、前側のネジ孔には、固定ネジN4が螺合され、後側のネジ孔には、案内ネジN5が螺合される。同様に、右の上面部73の2つのネジ孔のうち、前側のネジ孔には、固定ネジN4が螺合され、後側のネジ孔には、案内ネジN5が螺合される。案内ネジN5は、案内ネジN3と同様に、先端側にネジ溝が形成され、ネジ頭側の基端部にネジ溝が形成されていない円柱状部を有して構成されている。
【0060】
固定ネジN4は、所望の位置にスライドした第2アーム7を固定する。案内ネジN5は、第2アーム7をスライドする際に、円柱状部がガイド孔631の周縁部に当接して第2アーム7を滑らかに案内する。第2アーム7は、滑らかにスライドできるように構成され、また、第1アーム6に対して、ガタツキの要因となる隙間が極力少なくなるように設定されている。
【0061】
なお、固定ネジN4、案内ネジN5は、第1アーム6に第2アーム7を挿通した後、ガイド孔631に挿通して上面部73のネジ孔に螺合される。図4においては、第2アーム7と第1アーム6とが分解された状態において、固定ネジN4、案内ネジN5が上面部73のネジ孔に螺合された状態を仮に示している。
【0062】
左右の上面部73は、図4に示すように、所定の距離を隔てて形成されており、前端部側には、角度調整保持部8を取り付けるための開口部731、および複数のネジ孔731a,731b,731cが設けられている。開口部731、およびネジ孔731a,731b,731cは、角度調整保持部8を前後方向に沿って段階的に取り付け可能とするために形成されている。
【0063】
ネジ孔731a,731b,731cは、詳細には、左右の上面部73にそれぞれ一対ずつ設けられ、上面部73の前端部近傍から後方向に向かって順次形成されている。また、図4に示すように、ネジ孔731aとネジ孔731bとの距離は、ネジ孔731bとネジ孔731cとの距離と同じ距離に設定され、第1アーム6に対して第2アーム7がスライド移動可能な距離より小さく構成されている。
【0064】
先端カバー74は、図4に示すように、前端部に配置され、底面部71、起立部72および上面部73の断面形状に倣う形状を有し、角部は、滑らかな曲面に形成されている。先端カバー74は、支持装置1の美観の向上や、支持装置1を調整する際に、底面部71、起立部72、上面部73の鋭角な角部に作業者が触れないように形成されている。
【0065】
第2アーム7は、前述したように、第1アーム6に挿通した後、第1アーム6のガイド孔631から固定ネジN4および案内ネジN5が挿通されて第1アーム6に固定される。第2アーム7は、固定ネジN4を緩めることによってスライド可能となり、プロジェクター2の前後方向の調整が行える。
【0066】
プロジェクター2の前後方向の調整を行う場合、前述したように、第2アーム7の固定ネジN4を緩めることによってスライドを行う、その際、案内ネジN5の円柱状部がガイド孔631の周縁部に当接して摺動することで滑らかにスライドできる。そして、固定ネジN4を締め付けることにより、第1アーム6に第2アーム7を固定することで、設定位置を維持する。
【0067】
図6は、角度調整保持部8の斜視図であり、(a)は、右側の上方斜めから見た図、(b)は、左側の上方斜めから見た図である。図2〜図6を参照して、角度調整保持部8の構成と動作に関して説明する。
【0068】
角度調整保持部8は、プロジェクター2を保持する保持部を構成している。角度調整保持部8は、図2、図3に示すように、第2アーム7に支持され、プロジェクター2を保持する。また、角度調整保持部8は、第2アーム7に対して前後方向に沿って段階的に取り付け可能に支持されている。角度調整保持部8は、プロジェクター2の底面2Aに固定される固定部材81、および固定部材81と第2アーム7とを連結する角度調整機構9を備えている。
【0069】
図3、図6に示すように、固定部材81は、板金で形成され、プロジェクター2の左右方向の位置を調整可能とするために、プロジェクター2を固定した状態で、角度調整機構9に対して左右方向にスライド可能に構成されている。
【0070】
固定部材81は、図6に示すように、プロジェクター2の底面2A(図3参照)と略平行に形成された底面部811、および底面部811の前後両端から上方向に起立する起立部812、および前後の起立部812の上端から底面部811と略平行となり、互いに近接する方向に屈曲された前後の上面部813を有している。
【0071】
底面部811には、プロジェクター2の底面2Aに設けられたネジ孔に対応する複数の挿通孔8111が形成され、前側の起立部812には、左右方向に沿う長孔8121が形成されている。
【0072】
固定部材81は、底面部811の挿通孔8111に固定ネジN6が挿通され、図2、図3に示すように、プロジェクター2に固定される。そして、固定部材81は、上面部813が角度調整機構9の後述する第1プレート91に係止され、第1プレート91に対して左右方向にスライド可能となっている。そして、固定部材81は、長孔8121に2つの固定ネジN7が挿通されて第1プレート91に固定される。長孔8121は、固定部材81がスライドした際にも、第1プレート91に形成された2つのネジ孔(図示省略)が露出するように形成されている。
【0073】
角度調整機構9は、プロジェクター2の姿勢の角度調整が可能に構成されている。詳細には、角度調整機構9は、X軸を中心とする回転方向の微調整(上下チルト調整)、Y軸を中心とする回転方向の微調整(水平ロール調整)、およびZ軸を中心とする回転方向の微調整(水平回転調整)が可能に構成されている。
【0074】
角度調整機構9は、図6に示すように、第1プレート91、第2プレート92、第3プレート93、回転機構94、第1シャフト95、第2シャフト96、第3シャフト97および3つのコイルバネ98等を備えている。そして、第1シャフト95、第2シャフト96、第3シャフト97の端部には、操作用の第1ダイヤル951、第2ダイヤル961、第3ダイヤル971がそれぞれ取り付けられている。
【0075】
第1プレート91、第2プレート92および第3プレート93は、板金で形成されている。第1プレート91は、前述したように、固定部材81が左右方向にスライド可能に構成されている。第1プレート91は、図6に示すように、固定部材81の上面部813が係止される平坦部911、およびこの平坦部911の前端部から下方に屈曲され、固定部材81の前側の起立部812の内側に位置する屈曲部912を有している。そして、この屈曲部912には、前述した固定部材81の長孔8121から露出する2つのネジ孔(図示省略)が形成されている。
【0076】
第2プレート92は、第1プレート91がZ軸を中心として回転可能となるように、第1プレート91の平坦部911の下方に接続される。
【0077】
第3プレート93は、図6に示すように、角度調整機構9の上側を構成する部材であり、図2、図3に示すように、第2アーム7の上面部73に固定される。第3プレート93は、上面部73に載置される載置部931、載置部931の前後両端から上方に屈曲された上屈曲部932、および載置部931の左右両端から下方に屈曲された一対の下屈曲部933を有している。
【0078】
載置部931には、図6に示すように、ネジが挿通される一対の挿通孔93ab,93bcが設けられている。挿通孔93ab,93bcは、第2アーム7のネジ孔731a,731b,731c(図4参照)に対応するように形成されている。具体的に、挿通孔93ab,93bcは、角度調整保持部8が、ネジ孔731a,731bを用いて第2アーム7に取り付けられる第1の取付位置、および角度調整保持部8が、ネジ孔731b,731cを用いて第2アーム7に取り付けられる第2の取付位置が可能に形成されている。つまり、角度調整保持部8は、第2アーム7に対し、前後方向に沿って2段階に取り付け可能に構成される。
【0079】
回転機構94は、第3プレート93の一対の下屈曲部933の間に配置され、第2プレート92と第3プレート93とを連結し、第2プレート92が第3プレート93に対してX軸およびY軸を中心として回転可能に構成されている。
【0080】
詳細な説明は省略するが、第1シャフト95は、中心軸がY方向に沿い、第1プレート91および第2プレート92に設けられた屈曲部に架橋され、コイルバネ98によって付勢されて配置される。第2シャフト96は、中心軸がX方向に沿い、第2プレート92および回転機構94に設けられた屈曲部に架橋され、コイルバネ98によって付勢されて配置される。第3シャフト97は、中心軸がY方向に沿い、第3プレート93および回転機構94に設けられた屈曲部に架橋され、コイルバネ98によって付勢されて配置される。
【0081】
角度調整保持部8は、第3プレート93が第2アーム7の上面部73に載置され、挿通孔93ab,93bcに挿通された固定ネジN6が、ネジ孔731a,731bに螺合された位置(第1の取付位置)、またはネジ孔731b,731cに螺合された位置(第2の取付位置)で第2アーム7に固定される。
【0082】
次に、プロジェクター支持装置1の調整方法に関して説明する。
支持装置1は、前述したように、調整部35により、上下方向の位置が調整される。また、第1アーム6に対して第2アーム7をスライドすることにより、前後方向の位置が調整される。
【0083】
支持装置1は、角度調整機構9により、第1プレート91に対して固定部材81がスライドされることによって左右方向の位置が調整される。そして、固定部材81に固定されているプロジェクター2は、支持装置1の調整方向に追従して移動し、スクリーンSCに投写される画像も移動する。
【0084】
支持装置1は、角度調整機構9によって、プロジェクター2の3方向の角度(姿勢)を調整する。詳細には、第1ダイヤル951が回転されると、第2プレート92に対して第1プレート91がZ軸を中心として回転する。そして、第1プレート91に固定されている固定部材81は、プロジェクター2と共にZ軸を中心として回転し、プロジェクター2の水平回転調整が行われる。
【0085】
第2ダイヤル961が回転されると、第1プレート91および第2プレート92は、回転機構94に対してY軸を中心として回転する。そして、第1プレート91に固定されている固定部材81は、プロジェクター2と共にY軸を中心として回転し、プロジェクター2の水平ロール調整が行われる。
【0086】
第3ダイヤル971が回転されると、第1プレート91および第2プレート92は、回転機構94に対してX軸を中心として回転する。そして、第1プレート91に固定されている固定部材81は、プロジェクター2と共にX軸を中心として回転し、プロジェクター2の上下チルト調整が行われる。
【0087】
このように、角度調整機構9は、X軸、Y軸、Z軸をそれぞれ中心としてプロジェクター2を回転させ、それぞれの方向におけるプロジェクター2の姿勢を微調整することができる。そして、スクリーンSCに投写される画像は、角度を含めた位置が微調整される。
【0088】
第2アーム7を第1アーム6に対してスライドし、プロジェクター2を後方向に調整する際、案内ネジN5(図4参照)がガイド孔631の後側の周縁部に当接(図示省略)する位置に移動されると、図2に示すように、支持装置1の壁面からの突出量は、最も小さくなる。そして、角度調整保持部8が第2の取付位置、すなわち、角度調整保持部8が第2アーム7のネジ孔731b,731c(図4参照)を用いて固定されると、プロジェクター2は、スクリーンSCに最も近づく近接状態となる。そして、スクリーンSCに投写される画像のサイズは、最も小さくなる。
【0089】
この近接状態から固定ネジN4が緩められ、第2アーム7が第1アーム6に対して前方へスライドされると、プロジェクター2は、徐々にスクリーンSCから遠ざかる方向に移動する。そして、固定ネジN4が締められると、第2アーム7は、第1アーム6に固定され、プロジェクター2は、その位置で維持される。そして、スクリーンSCに投写される画像のサイズは、近接状態における画像のサイズより大きく、スクリーンSCに対する距離に応じたサイズとなる。
【0090】
図3に示すように、案内ネジN5(図4参照)がガイド孔631の前側の周縁部に当接する位置に移動されると、支持装置1の壁面からの突出量は、最も大きな突出量となる。そして、角度調整保持部8が第1の取付位置、すなわち、角度調整保持部8が第2アーム7のネジ孔731a,731b(図4参照)を用いて固定されると、プロジェクター2は、スクリーンSCから最も遠ざかる遠隔状態となる。そして、スクリーンSCに投写される画像のサイズは、最も大きくなる。
【0091】
このように、支持装置1は、第2アーム7のスライドによる突出量の変更、および角度調整保持部8の取付位置(第1の取付位置または第2の取付位置)によって、スクリーンSCに対するプロジェクター2の距離を変更し、スクリーンSCに投写される画像のサイズを変更する。
【0092】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態の支持装置1によれば、調整部35はネジ溝を有する軸部351の両端部に操作部(上操作部353、下操作部352)を有しており、また、軸部351は上下方向に向けて第1ベース部31に設置される。また、軸部351は、下方向の端部側を第1ベース部31の下起立部313のU字状溝3131に回動自在に支持される。この構成により、連結部5を軸部351に沿って上下方向に移動させるには、軸部351の上下方向となる端部に形成されるいずれかの操作部(上操作部353または下操作部352)を回動することで移動させることができる。これにより、プロジェクター2の外形が大きい場合や、プロジェクター2の取り付け位置が設置面に近い場合であっても、下操作部352を操作するか、上操作部353を操作するかのいずれかが行え、いずれの場合にも、連結部5を軸部351に沿って上下方向に移動させることができる。従って、プロジェクター2の外形や取り付け位置等に影響されずに安定した高さ調整を行うことができる。
【0093】
本実施形態の支持装置1によれば、調整部35が連結部5の左右方向の略中心に設置されていることにより、上下方向の調整を行う場合、連結部5の左右方向のバランスをとることができるため、ガタツキを抑えて滑らかに移動させることができる。また、回動させる際の操作部(上操作部353、下操作部352)のトルクも安定させることができる。従って、安定した高さ調整を行うことができる。
【0094】
本実施形態の支持装置1によれば、軸部351の下方向の端部側を第1ベース部31に回動自在に支持し、軸部351の上方向の端部に形成される上操作部353は、上方向の軸部351の端部に延設されて形成されて第1起立部としての上起立部312の案内孔3121から延出している。このように構成される上操作部353を回動することによっても、連結部5を軸部351に沿って上下方向に移動させることができる。そして、このような上操作部353により、調整部35の一方のみを回動自在に支持し、他方は孔部から延出させて案内するだけの構成とすることができ、操作部の構造及び調整部35の設置を簡易とすることができる。
【0095】
本実施形態の支持装置1によれば、ネジ部(固定ネジN2、案内ネジN3)と長孔部(上長孔3141、下長孔3142)とを備えることにより、連結部5を移動する際には、固定ネジN2の固定を解除して(締め付けを緩めて)、案内ネジN3が上長孔3141、下長孔3142の周縁部を摺動することで移動させる。また、移動後は、固定ネジN2を固定する(締め付ける)ことで、連結部5を第1ベース部31に固定させることができる。このような簡易な構成で、第1ベース部31に対する連結部5の移動時の安定した案内を行うことができると共に、第1ベース部31に対して連結部5を確実に固定することができる。
(第2実施形態)
【0096】
図7は、第2実施形態に係る第1ベース部31の概側面図である。なお、図7は、第1ベース部31を簡略化して図示している。図7を参照して、本実施形態の第1ベース部31の概略構成を説明する。
【0097】
本実施形態の第1ベース部31は、左右の起立部314に形成される長孔部としての上長孔3147、下長孔3148の形状が、第1実施形態の上長孔3141、下長孔3142の形状と異なっている。その他の構成は、第1実施形態と同様となる。
【0098】
詳細には、上長孔3147は、上端部3147bが下端部3147aより、設置面側(第1ベース部本体311側)に位置するようにZ軸に対して傾斜して形成されている。同様に、下長孔3148は、上端部3148bが下端部3148aより、設置面側(第1ベース部本体311側)に位置するようにZ軸に対して傾斜して形成されている。
【0099】
この傾斜量は、連結部5に固定される第1アーム6が、第1ベース部31、連結部5、第1アーム6等の構成部材の加工精度や、支持装置1の組立て精度のバラツキや、プロジェクター2の重量等により、前端部側に行くに従い下方向に傾く(第1ベース部31に対して傾く)量を加味して、その傾く量を補正するように、傾斜量を設定している。
【0100】
上述した実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する他、以下の効果が得られる。
本実施形態の支持装置1によれば、長孔部(上長孔3147、下長孔3148)は上端部3147b,3148bが下端部3147a,3148aより設置面側に位置している。このような簡易な構成により、プロジェクター2を保持する第1アーム6が第1ベース部31に対して傾くことを補正することができるため、プロジェクター2を保持する第1アーム6等の保持部の傾きを抑制できる。これにより、第1ベース部31に対して第1アーム6等の保持部が傾いていることを認識し難くすることができるため、外観的な印象低下を抑制できる。
【0101】
なお、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0102】
前記第1実施形態の支持装置1において、調整部35を第1ベース部31の下起立部313に形成するU字状溝3131に回動自在に支持し、上起立部312に形成する案内孔3121に上操作部353を回動自在に案内している。しかし、U字状溝3131と案内孔3121とを上下逆にして形成してもよい。この場合、調整部35も上下を逆にする。
【0103】
前記第1実施形態の支持装置1において、調整部35は、連結部5の左右方向の略中心に設置されているが、中心に設置されなくてもよい。
【0104】
前記第1実施形態の支持装置1は、設置面として壁面に設置されるように構成されているが、床面や天井を設置面とし、この設置面に支持装置1を設置して床面や天井に画像を投影するように構成してもよい。
【0105】
前記第1実施形態の支持装置1において、ベース部3は、第1ベース部31と第2ベース部32と第3ベース部33との3つから構成されているが、1つのベース部で構成されていてもよい。
【0106】
前記第1実施形態の支持装置1において、第1ベース部31は、設置面に直接固定される構造となっているが、他のベース部に固定される構成とすることもでき、間接的に設置面に固定される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1…プロジェクター支持装置、2…プロジェクター、3…ベース部、5…連結部、6…第1アーム、7…第2アーム、8…角度調整保持部、31…第1ベース部、35…調整部、312…上起立部、313…下起立部、314…起立部、316…中心軸、351…軸部、352…下操作部、353…上操作部、3121…案内孔、3131…U字状溝、3141…上長孔、3142…下長孔、3147…上長孔、3147a…下端部、3147b…上端部、N2…固定ネジ、N3…案内ネジ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクターを設置面に支持固定するプロジェクター支持装置であって、
ネジ溝を有する軸部と、当該軸部の両端部に形成されて前記軸部を回動させる操作部とを有する調整部と、
前記設置面に設置され、前記軸部を上下方向に向け、前記軸部の少なくとも一方の端部側を回動自在に支持するベース部と、
前記プロジェクターを保持する保持部と、
前記保持部を固定し、前記軸部に螺合する螺合部を介して前記ベース部と連結する連結部と、を備え、
前記連結部は、前記操作部の回動に従動し、前記軸部に沿って移動することを特徴とするプロジェクター支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクター支持装置であって、
前記調整部は、前記連結部の左右方向の略中心に設置されていることを特徴とするプロジェクター支持装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクター支持装置であって、
前記軸部の他方の端部に形成される前記操作部は、前記ベース部の左右方向に延びて起立する第1起立部に有する孔部から延出していることを特徴とするプロジェクター支持装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のプロジェクター支持装置であって、
前記連結部に螺合し、前記ベース部に対して前記連結部を固定及び固定を解除する固定ネジと、前記ベース部に対して前記連結部の移動を案内する案内ネジとを有するネジ部と、
前記ベース部の上下方向に延びて起立する第2起立部に有し、前記連結部の移動に併せて前記ネジ部を移動可能に案内する長孔部と、
を備えていることを特徴とするプロジェクター支持装置。
【請求項5】
請求項4に記載のプロジェクター支持装置であって、
前記長孔部は、上端部が下端部より前記設置面側に位置していることを特徴とするプロジェクター支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−44853(P2013−44853A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181298(P2011−181298)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】