説明

プロジェクタ装置

【課題】特定条件下においてプロジェクタ装置への指示をコンピュータ装置への指示に切り換えて制御することにより、操作の煩雑さを削減すること。
【解決手段】コンピュータ装置からの映像を表示することが可能で、コンピュータ装置に接続された通信回線を通じて、コンピュータ装置に対する制御信号を送出可能なプロジェクタ装置において、プロジェクタの表示状態を判定する状態判定手段を備え、該状態判定手段に基づいてプロジェクタに対する制御入力を前記コンピュータ装置の制御信号に切り換える切換制御手段を備え、前記通信回線を介してコンピュータ装置に対し制御信号を送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ装置に繋がった表示装置、特にプロジェクタ装置に関するものであり、ユーザ操作効率の向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は一般的なプロジェクタ装置の構成図である。
【0003】
図1において、116はプロジェクタ装置、103はランプ装置であり、液晶パネル装置102を照らす。液晶パネル装置102は、例えばR,G,Bの各色成分別の映像信号を表示する。表示された映像信号は、レンズ装置101によってフォーカスやズーム調整され、スクリーン(非図示)に映像を結像する。液晶パネル装置102には反射型や透過型があるが、本発明に関してはどちらの構成にしても良い。
【0004】
104は安定した高電圧をコントロールし、ランプ装置103に電力供給するバラスト装置。105はその元となる電力を発生し、及びプロジェクタ装置116に電力供給する電源装置である。
【0005】
106は液晶パネル装置102を制御する液晶パネルドライバであり、映像信号を2次元的に液晶パネル102上に構成する。
【0006】
110はプロジェクタ装置116に入力された複数の映像信号から所望の映像を選択するセレクタ装置であり、一般にビデオ信号やコンポーネント信号、アナログRGB、デジタルRGB、その他の映像信号から1つを選択する。各映像信号は、選択される前に信号種によってそれぞれ必要とされる同期分離やアナログ−デジタル信号変換等をデコーダ装置111で行っておく。
【0007】
セレクタ装置110によって選択された映像信号は、インターレース・プログレッシブ変換、フレームレート変換、解像度変換、アスペクト変換等の各種画像処理を画像処理装置108で行う。その際、必要に応じてワーク領域としてフレームメモリ109を使用する。画像処理された映像信号には画像合成装置107によってオンスクリーンディスプレイ(OSD)表示が合成される。OSD表示とは、映像信号に対し、メニューやポインタやメッセージを画像合成する装置である。その後、映像信号は、前記液晶パネルドライバ106によって液晶パネル装置102の画素に対応付けられて映像となる。
【0008】
又、プロジェクタ装置116は、コンピュータと通信するための通信制御装置112を持ち、プロジェクタ装置116からコンピュータ装置118(上で動作するアプリケーションソフト)の制御、逆にコンピュータ装置118(上で動作するアプリケーションソフト)からプロジェクタ装置116の制御に使用される。通信制御装置112は、RS−232C、USB、IEEE1394、Ethernet等から構成することができる。
【0009】
更に、プロジェクタ装置116にはリモコン装置117からの制御が可能で、リモコン受信装置113が受信した制御コードによってプロジェクタ装置116の制御が行われる。同様に本体に装備されたパネル入力装置119によっても操作が可能である。
【0010】
以上の各装置は、システム制御装置114からの制御信号、データによってコントロールされる。システム制御装置114は、CPU(演算装置)、RAM、ROM等から成るプログラム制御可能なプロセッサユニットであり、システムバスやI/O装置から成る内部回線115を介して各装置と繋がっている。
【0011】
上記リモコン装置117の典型例として図2に模式図を示した。
【0012】
図2のリモコン201は以下のような機能ボタンを持つ。
【0013】
202はスクロールアップボタン、203はスクロールダウンボタンである。このスクロールボタン群は、図1のコンピュータ装置118上で動作するアプリケーションに対しスクロール処理を行わせるようにプロジェクタ装置に対して指示するものである。コンピュータ装置118側ではアプリケーションの動作に依存するが、一般にスクロール指示を受信すると1ページ単位又は半ページ単位でスクロール処理を行う。その様子を図3に示した。
【0014】
図3(a)ではコンピュータ装置の画面にウィンドウA、ウィンドウB、ウィンドウCからなる3つのウィンドウが表示されている状態を略表記したもので、ウィンドウAにフォーカスが当たっている状態を示している。この状態で、プロジェクタ装置116からスクロールアップが指示されると、図3(b)のようにスクロールする。ここでは半画面スクロール動作を示した。半画面同様一画面スクロールする設定も可能であるし、スクロールダウン指示の場合は、下向きにスクロール処理する。
【0015】
204は1行下スクロールボタン、205は1行上スクロールボタンである。コンピュータ装置118に対しプロジェクタ装置116を経由して1行上(又は下)スクロールを行うよう指示するボタンである。
【0016】
207はカーソルやマウスポインタの移動を指示するボタンである。上下左右の矢印ボタンはそれぞれの向きにカーソルやマウスポインタを移動させる。リモコン201から指示を受信したプロジェクタ装置116がコンピュータ装置118に対し、制御指示を送信する。
【0017】
これらスクロール指示は、プロジェクタ装置116がコンピュータ装置118のキーボード端子やマウス端子に接続する構成ならば、通信制御装置112はキーボードやマウスの出すコードを生成すれば良い。通信制御装置112からコンピュータ装置118に送出されるキーコードの一具体例を図5に示した。
【0018】
又、USB等の他の端子に接続する構成を採る場合には、コンピュータ装置118上で動作するドライバソフトを介在させ、通信制御装置112とコンピュータ装置118間でコードテーブルを取り決めておき、キーボードやマウスの操作が発生したとしてOSに処理させる。
【0019】
206はプロジェクタ装置に装備されたポインタ機能を開始するボタンである。ポインタ機能とは、図4に示すように投影中の画面にポインタやスポットライト効果を合成するものである。ポインタやスポットライトの表示中は、矢印キー207の入力はポインタやスポットライトの移動指示となる。
【特許文献1】特開平09−282097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
以上のようなプロジェクタ装置においては、パネル入力装置119やリモコン装置113からの入力がプロジェクタ装置116への指示であったり、又はコンピュータ装置118への指示であったりと、それぞれ独立した操作として定義されている。つまり、プロジェクタ装置のポインタを操作していても、表示内容の更新(つまり、スクロールやページ切り換え)が必要になった場合には、パネル装置やリモコン装置からコンピュータ装置にスクロール制御を行わせるべく、使用者が別操作ボタンを操作する必要があった。
【0021】
以上の点に鑑み本発明は、特定条件下においてプロジェクタ装置への指示をコンピュータ装置への指示に切り換えて制御することにより、操作の煩雑さを削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、コンピュータ装置からの映像を表示することが可能で、コンピュータ装置に接続された通信回線を通じて、コンピュータ装置に対する制御信号を送出可能なプロジェクタ装置において、プロジェクタの表示状態を判定する状態判定手段を備え、該状態判定手段に基づいてプロジェクタに対する制御入力を前記コンピュータ装置の制御信号に切り換える切換制御手段を備え、前記通信回線を介してコンピュータ装置に対し制御信号を送出することを特徴とする。
【0023】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、内蔵したコントロールパネルを有し、該コントロールパネルからの制御入力を、前記切換制御手段によって、外部接続されたコンピュータ制御に切り換えることを特徴とする。
【0024】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、遠隔操作可能なリモートコントロール装置を有し、該リモートコントロール装置からの制御入力を、前記切換制御手段によって、外部接続されたコンピュータ制御に切り換えることを特徴とする。
【0025】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、ポインタ表示機能を有し、ポインタ移動機能によってポインタ位置を移動可能で、ポインタ位置が特定条件となったときに、ポインタ移動制御入力を外部接続されたコンピュータ装置に対するスクロール制御信号に切り換えることを特徴とする。
【0026】
請求項5記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、ポインタ表示機能を有し、ポインタ移動機能によってポインタ位置を移動可能で、ポインタ位置が特定条件となったときに、ポインタ移動制御入力を外部接続されたコンピュータ装置に対するページ制御信号に切り換えることを特徴とする。
【0027】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れかに記載の発明において、前記切換制御手段は、プロジェクタに対する制御入力を外部接続されたコンピュータ装置の制御信号に切り換える切換制御手段の有効化・無効化を切り換えることが可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、プロジェクタ装置に対する制御を外部に接続されたコンピュータ装置の制御に関連付けることにより、操作を簡便化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0030】
<実施の形態1>
図6及び図8は請求項1〜4及び請求項6に係る発明の概略説明図である。
【0031】
図8は従来例の図7に代わるものであり、即ち方向キーが入力された時の処理を示している。方向キー以外の処理は従来例の図6と同様である。
【0032】
図6はリモコン装置117又はパネル入力装置119からのキー入力処理について示している。
【0033】
以下、図8を参照しながら説明する。
【0034】
S801はプロジェクタ装置116がポインタを表示中か判定し、ポインタ表示中でない場合はS802でコンピュータ装置118側のマウスカーソルを移動させる指示を送出する。
【0035】
S801でポインタ表示中の場合は、S803で本発明の機能が有効化されているか判断し、無効化されている場合はS808へ移る。有効化されている場合は、S804において、表示しているポインタが画面のどこに存在しているかを識別し、より上方向へ移動できない上辺近辺(以下、略上端)に存在すると判断した場合、S805でコンピュータ装置118へ1行下スクロール指示を送信する。つまり、ポインタが上に移動できない代わりに、表示内容を下方向に移動させ、相対的にポインタが上方向に移動した効果を出す。
【0036】
又、S804でポインタが略上端にない場合はS806でこれより下方向に移動できない下辺近辺(以下、略下端)に位置していると判断した場合は、S807でコンピュータ装置118に対し、上方向スクロール指示を出す。これにより、先と同様に相対的にポインタを下に移動させた効果を出す。
【0037】
ポインタが略上端、又は略下端にない場合は、方向キーの入力に応じてその方向へ表示中ポインタを移動させる(S808)。
【0038】
次に、図10を用いて効果を視覚的に説明する。
【0039】
図10において、(a)は矢印型のポインタが略下端に突き当たった状態を示している。この状態から、リモコン装置117又はパネル入力装置119により下方向へのポインタ移動指示が入力されると、下方向への移動ができないことを検出すると、コンピュータ側に上スクロール指示を出し、図10(b)に示したようにウィンドウの表示内容を上方向にスクロールさせる(図8におけるS801→S803→S806→S807)。ポインタが略上端にある場合での上方向キー入力は逆の動作を行う。
【0040】
<実施の形態2>
図6及び図9は請求項1〜3及び請求項5,66に係る発明の概略説明図である。
【0041】
図9は従来例の図7に代わるものであり、即ち方向キーが入力された時の処理を示している。方向キー以外の処理は図6と同様である。
【0042】
図6はリモコン装置117又はパネル入力装置119からのキー入力処理について示している。
【0043】
以下、図9を参照しながら説明する。
【0044】
S901はプロジェクタ装置116がポインタを表示中か判定し、ポインタ表示中でない場合はS902でコンピュータ装置116側のマウスカーソルを移動させる指示を送出する。
【0045】
S901でポインタ表示中の場合は、S903で本発明の機能が有効化されているか判断し、無効化されている場合はS910へ移る。有効化されている場合は、S904において、表示しているポインタが画面のどこに存在しているかを識別し、より上方向へ移動できない上辺近辺(以下、略上端)に存在すると判断した場合、S905でコンピュータへ1ページスクロール指示を送信する。その直後S906でプロジェクタ装置116が表示中のポインタ位置を略上端から下方向に移動させる。つまり、表示内容がページ単位で下方向に移動したことになるが、表示内容の連続性を考えた場合、ポインタを下方向に移動させるとポインタ表示位置と表示内容の追従が保たれたことになる。
【0046】
又、S904でポインタが略上端にない場合はS907でこれより下方向に移動できない下辺近辺(以下、略下端)に位置していると判断した場合は、S908でコンピュータ装置に対し、上方向スクロール指示を出す。続けてS909でプロジェクタ装置116が表示中のポインタ位置を略下端から略上端に移動させる。これにより、先と同様にページ切替をまたいでもポインタ表示は表示内容に連続的に追従していることになる。
【0047】
ポインタが略上端又は略下端にない場合は、方向キーの入力に応じてその方向へ表示中ポインタを移動させる(S910)。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係るプロジェクタ装置の概略を示した図である。
【図2】リモコン装置の典型的な機能を示した図である。
【図3】コンピュータ装置上のウィンドウ表示の典型例を示した図である。
【図4】プロジェクタ装置の表示するポインタの例を示した図である。
【図5】プロジェクタ装置がキーボードやマウスをエミュレーションする場合のコード表である。
【図6】従来のプロジェクタ装置におけるコンピュータ装置との関係をフローチャートで示した図である。
【図7】従来のプロジェクタ装置における方向キー入力に対する処理をフローチャートで示した図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る処理をフローチャートで示した図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る処理をフローチャートで示した図である。
【図10】本発明の実施の形態1の効果を視覚的に示した図である。
【符号の説明】
【0049】
101 レンズ装置
102 液晶パネル装置
103 ランプ装置
104 バラスト装置
105 電源装置
106 液晶パネルドライバ装置
107 画像合成装置
108 画像処理装置
109 フレームメモリ
110 セレクタ装置
111 デコーダ装置
112 通信制御装置
113 リモコン受信装置
114 システム制御装置
115 内部回線
116 プロジェクタ装置
117 リモコン装置
118 コンピュータ装置
119 パネル入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ装置からの映像を表示することが可能で、コンピュータ装置に接続された通信回線を通じて、コンピュータ装置に対する制御信号を送出可能なプロジェクタ装置において、
プロジェクタの表示状態を判定する状態判定手段を備え、該状態判定手段に基づいてプロジェクタに対する制御入力を前記コンピュータ装置の制御信号に切り換える切換制御手段を備え、前記通信回線を介してコンピュータ装置に対し制御信号を送出することを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項2】
内蔵したコントロールパネルを有し、該コントロールパネルからの制御入力を、前記切換制御手段によって、外部接続されたコンピュータ制御に切り換えることを特徴とする請求項1記載のプロジェクタ装置。
【請求項3】
遠隔操作可能なリモートコントロール装置を有し、該リモートコントロール装置からの制御入力を、前記切換制御手段によって、外部接続されたコンピュータ制御に切り換えることを特徴とする請求項1記載のプロジェクタ装置。
【請求項4】
ポインタ表示機能を有し、ポインタ移動機能によってポインタ位置を移動可能で、ポインタ位置が特定条件となったときに、ポインタ移動制御入力を外部接続されたコンピュータ装置に対するスクロール制御信号に切り換えることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載のプロジェクタ装置。
【請求項5】
ポインタ表示機能を有し、ポインタ移動機能によってポインタ位置を移動可能で、ポインタ位置が特定条件となったときに、ポインタ移動制御入力を外部接続されたコンピュータ装置に対するページ制御信号に切り換えることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のプロジェクタ装置。
【請求項6】
前記切換制御手段は、プロジェクタに対する制御入力を外部接続されたコンピュータ装置の制御信号に切り換える切換制御手段の有効化・無効化を切り換えることが可能であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のプロジェクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−4013(P2007−4013A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186457(P2005−186457)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】