説明

プロセスチーズ類及びその製造方法

【課題】簡便に製造することが可能な短時間の加熱処理で良好な焦げ色を呈するプロセスチーズ類及びその製造方法の提供する。
【解決手段】直径10mm×高さ20mmの円柱状に切り出し、ろ紙上で90℃、120分間保持した際のオイルオフ面積が3〜25cmであり、かつ糖類を0.1〜5.0重量%含有することを特徴とするプロセスチーズ類。該プロセスチーズ類は、従来よりも簡易な製造工程で得ることが出来、かつ、短時間の加熱処理によって良好な焦げ色を呈するという効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なプロセスチーズ類に関する。
【背景技術】
【0002】
チーズはタンパク質、脂質、カルシウム等のミネラル、ビタミン等の各種栄養素をバランスよく含んでおり、その需要も年々拡大している。チーズの消費形態としてはそのまま食する以外にも、グラタンやピザ、トースト等のトッピングとして用いられることも多い。このように、チーズをグラタンやピザ、トースト等にトッピングして消費する場合、チーズ表面に適度に焦げ目をつけることで、独特の焼成風味や見た目のおいしさ等を付与することができる。このため、チーズ表面に好ましい焦げ目をつける方法がいくつか提案されている。例えば、引用文献1では、チーズに還元糖およびアミノ酸を含有させることにより電子レンジ加熱の際にアミノカルボニル反応により望ましい焦げ色を呈するチーズ様食品が開示されている。また、引用文献2にはチーズ表面に糖類及びカルボキシル基を有する弱酸及び/又はその塩を付着させることによって短時間の加熱調理により褐変し、良好な焦げ目と香ばしい焼成風味を呈するチーズが開示されている。
しかしながら、引用文献1ではプロセスチーズ類の原料として通常使用しないアミノ酸を添加する必要があること、また、原料となるチーズ類を加熱乳化後に糖類を添加する必要があるなど、製造適性の面で課題があった。一方、引用文献2の方法では、シュレッド加工等の加工を行った後のチーズに糖類及びカルボキシル基を有する弱酸及び/またはその塩をまぶすという製造工程を経るため、チーズ表面に均一に付着させることが困難であり、結果的に焦げ色にバラつきが生じるものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-215470号公報
【特許文献2】特開2003−225052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、従来短時間の加熱処理で良好な焦げ色を呈するプロセスチーズ類を製造する場合、特殊な原料を配合するか、あるいは煩雑な製造工程を経る必要が有るものであった。そこで本願発明は、より簡便に製造することが可能な短時間の加熱処理で良好な焦げ色を呈するプロセスチーズ類及びその製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を鑑み、鋭意研究を進めたところ、原料配合と乳化条件を工夫することにより、通常のプロセスチーズ類とほぼ同等の製造工程によって製造することが出来る、短時間の加熱処理で良好な焦げ色を呈するプロセスチーズ類を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の態様を含むものである。
(1)直径10mm×高さ20mmの円柱状に切り出し、ろ紙上で90℃、120分間保持した際のろ紙上のオイルオフ面積が3〜25cmであり、かつ糖類を0.1〜5.0重量%含有することを特徴とするプロセスチーズ類。
(2)溶融塩の添加量が0.1〜3.0重量%であることを特徴とする(1)記載のプロセスチーズ類。
(3)原料チーズとして熟度指数が15以下のグリーンチーズを20重量%以上配合することを特徴とする(1)乃至(2)記載のプロセスチーズ類。。
(4)前記糖類が、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アミノ糖又は糖誘導体から選択されるいずれか1以上である(1)記載のプロセスチーズ類。
(5)熟度指数15以下のグリーンチーズを20重量%以上配合した原料チーズに、溶融塩を0.1〜3.0重量%、糖類を0.1〜5.0重量%配合し、乳化状態を制御することによる、加熱時に焦げ性を有するプロセスチーズ類の製造方法。
(6)熟度指数15以下のグリーンチーズを20重量%以上配合した原料チーズに、溶融塩を0.1〜3.0重量%、糖類を0.1〜5.0重量%配合するプロセスチーズ類の製造方法であって、乳化状態を制御することによって、プロセスチーズ類を直径10mm×高さ20mmの円柱状に切り出し、ろ紙上で90℃、120分間保持した際のろ紙上のオイルオフ面積を3〜25cmとすることを特徴とするプロセスチーズ類の製造方法。
(7)前記乳化状態の制御が、原料チーズの熟度、溶融塩量、乳化時間、乳化温度の制御によって行なわれることを特徴とする(5)又は(6)記載のプロセスチーズ類の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のプロセスチーズ類は、従来よりも簡易な製造工程で得ることが出来、かつ、短時間の加熱処理によって良好な焦げ色を呈するという効果を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において、「プロセスチーズ類」とは、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)、および公正競争規約で定めるプロセスチーズ、チーズフード、または乳等を主要原料とする食品の規格のうちいずれかに該当するものであって、一般にプロセスチーズ類あるいはプロセスチーズ様食品とされるものをすべて包含するものとする。
【0009】
本発明のプロセスチーズ類の原料チーズとしては、特にこれに限定されるものではないが、通常プロセスチーズ類の製造に使用される硬質又は半硬質のナチュラルチーズを用いることが可能である。硬質又は半硬質のナチュラルチーズとしては、ゴーダチーズ、チェダーチーズ等を例示することができ、2種類以上の原料ナチュラルチーズを混合して使用することも可能である。また、プロセスチーズ類を原料の一部として用いることも可能である。本発明のプロセスチーズ類においては、原料ナチュラルチーズとして熟度指標15以下のいわゆるグリーンチーズを20重量%以上含有させることが好ましい。このようなグリーンチーズ類はプロセスチーズ類に糸引き性を付与するために使用されるが、本発明の目的である焦げ色の付与を目的として添加された例はない。
なお、チーズ類の熟度指標は以下の式によって計算した値である。
熟度指標(%)=(可溶性窒素量/全窒素量)×100
【0010】
本発明で用いる溶融塩としては、一般的にチーズ類の製造に使用されるようなクエン酸塩、リン酸塩等を例示することができる。これらは最終的に得られるチーズ類及び製造工程において必要な物性、風味等を得られるような設計、配合をすれば良く、特に限定されるようなものではない。イオン交換作用の強弱、解膠作用の強弱、抗菌効果の有無等、それぞれ特徴を持った溶融塩を1種ないしは2種以上併用使用しても良い。また、予めそれらを配合した溶融塩も使用することができる。
【0011】
また、本発明においては、副原料として脱脂粉乳などの乳製品、乳成分、安定剤、乳化剤、澱粉、加工澱粉、植物性脂肪、糖質類、香辛料、香料等、プロセスチーズ類の製造に用いられる副原料はいずれも使用可能である。これらの副原料は物性調整や風味調整を目的として使用されるが、特に必要が無ければ用いなくても良い。
【0012】
本発明においては、プロセスチーズ類中に糖類を0.1〜5.0重量%含有するように調整する。糖類含量の調整は、最終的に0.1〜5.0重量%の含有量となればよく、原料にラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アミノ糖又は糖誘導体を直接配合しても良いし、例えばホエイ粉等の糖類を含む原材料を配合してもよい。また、モザレラチーズ等の比較的糖類含量の多い原料チーズを配合して最終含有量を調整することも可能である。
【0013】
本願明細書では乳化状態の指標として、直径10mm×高さ20mmの円柱状に切り出してろ紙(JIS P 3801に規定される5種C規格、0.22mm厚)上に静置し、90℃で120分間保持した後、チーズをろ紙上から除いて、ろ紙に染み出したオイルの面積(オイルオフ面積)を測定した。このオイルオフ面積が小さいほど(オイルオフ量が少ないほど)強い乳化状態であり、オイルオフ面積が大きいほど(オイルオフ量が多いほど)弱い乳化状態であるといえる。本発明ではこのオイルオフ面積が3〜25cmの範囲とすることに特徴がある。一般的なプレーンタイプのプロセスチーズ類の場合、この条件化ではほとんどオイルオフは発生せず、オイルオフ面積は3cm未満である。一方「とろけるタイプ」のプロセスチーズ類は、弱い乳化状態を維持することにより、加熱時に良好な糸引き性を付与するものであるため、この条件化では多量のオイルオフが発生し、オイルオフ面積は25cmよりも大きくなる。本発明では、このオイルオフ量が「プレーンタイプ」と「とろけるタイプ」の中間の値を示すように調製する。このような乳化状態の調整は、原料に添加する溶融塩の種類や量による調整のほか、加熱乳化時の剪断力や、乳化時間、乳化温度によって調整することが出来る。
【0014】
本発明における乳化処理は、通常プロセスチーズ類の乳化に用いられる乳化機、例えば高速剪断乳化釜等を用いることができる。乳化条件については、溶融塩や原材料の配合を考慮し、前述のオイルオフ面積の範囲に入るように適宜調整すればよい。
乳化工程によって得られたプロセスチーズ類については、スライス形状やブロック形状、短冊状、ダイス状等、任意の形状に加工することが可能である。
【0015】
以下に本発明の実施例を示して詳細に説明する。ただし、実施例は本発明の態様の1つであり、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
原料チーズとして、チェダーチーズ20kg、熟度指数10のグリーンチーズ10kgを粉砕、混合した。混合したチーズ30kgをケトル型乳化機に投入し、クエン酸ナトリウム90g、リン酸ナトリウム180g、ホエイ粉300gを添加した後、最終の水分含量が47%となるように水を添加し、80rpmで撹拌しながら、80℃になるまで加熱した。加熱後にスライス形状に充填し、急冷してプロセスチーズ類(実施例品1)を得た。得られたプロセスチーズ類についてオイルオフ量を測定したところ、24.9cmであった。また糖類含量は2.5%であった。
【実施例2】
【0017】
原料チーズとして、チェダーチーズ20kg、熟度指数10のグリーンチーズ10kgを粉砕、混合した。混合したチーズ30kgをケトル型乳化機に投入し、クエン酸ナトリウム90g、リン酸ナトリウム240g、ホエイ粉300gを添加した後、最終の水分含量が47%となるように水を添加し、80rpmで撹拌しながら、80℃になるまで加熱した。加熱後にスライス形状に充填し、急冷してプロセスチーズ類(実施例品2)を得た。得られたプロセスチーズ類についてオイルオフ量を測定したところ、10.8cmであった。また糖類含量は2.5%であった。
【実施例3】
【0018】
原料チーズとして、チェダーチーズ20kg、熟度指数10のグリーンチーズ10kgを粉砕、混合した。混合したチーズ30kgをケトル型乳化機に投入し、クエン酸ナトリウム90g、リン酸ナトリウム300g、ホエイ粉300gを添加した後、最終の水分含量が47%となるように水を添加し、80rpmで撹拌しながら、80℃になるまで加熱した。加熱後にスライス形状に充填し、急冷してプロセスチーズ類(実施例品3)を得た。得られたプロセスチーズ類についてオイルオフ量を測定したところ、6.6cmであった。また糖類含量は2.5%であった。
【実施例4】
【0019】
原料チーズとして、チェダーチーズ20kg、熟度指数10のグリーンチーズ10kgを粉砕、混合した。混合したチーズ30kgをケトル型乳化機に投入し、クエン酸ナトリウム90g、リン酸ナトリウム360g、ホエイ粉300gを添加した後、最終の水分含量が47%となるように水を添加し、80rpmで撹拌しながら、80℃になるまで加熱した。加熱後にスライス形状に充填し、急冷してプロセスチーズ類(実施例品4)を得た。得られたプロセスチーズ類についてオイルオフ量を測定したところ、3.1cmであった。また糖類含量は2.5%であった。
【0020】
[比較例1]
原料チーズとして、チェダーチーズ20kg、熟度指数10のグリーンチーズ10kgを粉砕、混合した。混合したチーズ30kgをケトル型乳化機に投入し、クエン酸ナトリウム90g、ホエイ粉300gを添加した後、最終の水分含量が47%となるように水を添加し、80rpmで撹拌しながら、80℃になるまで加熱した。加熱後にスライス形状に充填し、急冷してプロセスチーズ類(比較例品1)を得た。得られたプロセスチーズ類についてオイルオフ量を測定したところ、28.0cmであった。また糖類含量は2.5%であった。
【0021】
[比較例2]
原料チーズとして、チェダーチーズ20kg、熟度指数10のグリーンチーズ10kgを粉砕、混合した。混合したチーズ30kgをケトル型乳化機に投入し、クエン酸ナトリウム90g、リン酸ナトリウム660g、ホエイ粉300gを添加した後、最終の水分含量が47%となるように水を添加し、80rpmで撹拌しながら、80℃になるまで加熱した。加熱後にスライス形状に充填し、急冷してプロセスチーズ類(比較例品2)を得た。得られたプロセスチーズ類についてオイルオフ量を測定したところ、オイルオフは生じていなかった。また糖類含量は2.5%であった。
【0022】
[試験例1](オイルオフ量と焦げ色の比較試験)
実施例品1〜4、比較例品1、2のプロセスチーズ類について、以下の方法で焦げ色評価試験を行った。評価は、10cm四方のプロセスチーズ類をアルミホイルに載置し、1000Wのトースターで3分間加熱したものについて、官能評価を実施した。評価は、焦げていないものを×、良好な焦げ色のものを○、過剰に焦げたものを△とした。結果を表1に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
表1の結果から、実施例品1乃至4では良好な焦げ色を呈したが、オイルオフ量が28.0cmと弱い乳化状態の比較例品1及びオイルオフ量が0.0cmで全くオイルオフが生じない強い乳化状態の比較例品2では、焦げ色がつかなかった。以上のことより、良好な焦げ色を呈するためには、弱すぎず、強すぎず、中間程度の乳化状態(オイルオフ量25.0cm〜3.0cm程度)に調整する必要が有ることが明らかとなった。
【実施例5】
【0025】
原料チーズとして、チェダーチーズ20kg、熟度指数10のグリーンチーズ10kgを粉砕、混合した。混合したチーズ30kgをケトル型乳化機に投入し、クエン酸ナトリウム90g、リン酸ナトリウム180g、最終の糖類含有率が0.1%(実施例品5)、0.3%(実施例品6)、1%(実施例品7)、5%(実施例品8)となるようにそれぞれ乳糖を添加した後、最終の水分含量が47%となるように水を添加し、80rpmで撹拌しながら、80℃になるまで加熱した。加熱後にスライス形状に充填し、急冷してプロセスチーズ類を得た。得られたプロセスチーズ類についてオイルオフ量を測定したところ、22.4cm(実施例品5)、23.0cm(実施例品6)、21.6cm(実施例品7)、24.6cm(実施例品8)であった。
【0026】
[比較例3]
原料チーズとして、チェダーチーズ20kg、熟度指数10のグリーンチーズ10kgを粉砕、混合した。混合したチーズ30kgをケトル型乳化機に投入し、クエン酸ナトリウム90g、リン酸ナトリウム180g、最終の糖類含有率が0%(比較例品3)、10.0%(比較例品4)となるようにそれぞれ乳糖を添加した後、最終の水分含量が47%となるように水を添加し、80rpmで撹拌しながら、80℃になるまで加熱した。加熱後にスライス形状に充填し、急冷してプロセスチーズ類を得た。得られたプロセスチーズ類についてオイルオフ量を測定したところ、21.2cm(比較例品3)、23.6cm(比較例品4)であった。
【0027】
[試験例2](糖類含量と焦げ色の比較試験)
実施例品5乃至8、比較例品3、4について、試験例1と同様の方法により焦げ色評価試験を実施した。また、それぞれについて、風味食感評価を実施した。風味食感評価は、訓練されたパネラー10名により、良好なものを2点、問題ないものを1点、風味や食感に問題があるものを0点として評価し、パネラー10名の総得点が、10点以上のものを○、10点未満のものを×とした。結果を表2に示す。
【0028】
【表2】

【0029】
表2の結果から、糖類含有率が0.1%以上である実施例品5乃至8、比較例品4では良好な焦げ色を呈したが、糖類含有率が0.0%の比較例品3では、焦げ色がつかなかった。一方、糖類含有率10.0の比較例品4は、良好な焦げ色を呈するものの、糖類を過剰に含むため、風味が悪化し、またざらついた食感となることが明らかとなった。以上のことより、良好な焦げ色を呈するためには、糖類含有率は0.1%以上であることが必要であり、また風味・物性の面からは糖類含有率を5.0%未満とすることがより好ましいことが明らかとなった。
【実施例6】
【0030】
原料チーズとして、ゴーダチーズ24kg、熟度指数15のグリーンチーズ6kgを粉砕、混合した。混合したチーズ30kgをケトル型乳化機に投入し、クエン酸ナトリウム90g、リン酸ナトリウム360g、ホエイ粉300gを添加した後、最終の水分含量が47%となるように水を添加し、80rpmで撹拌しながら、80℃になるまで加熱した。加熱後にスライス形状に充填し、急冷してプロセスチーズ類を得た。得られたプロセスチーズ類についてオイルオフ量を測定したところ、4.1cmであった。また糖類含量は3.5%であった。得られたプロセスチーズについて焦げ色評価試験を行ったところ、良好な焦げ色を呈した。
【実施例7】
【0031】
原料チーズとして、ゴーダチーズ15kg、熟度指数15のグリーンチーズ15kgを粉砕、混合した。混合したチーズ30kgにクエン酸ナトリウム90g、リン酸ナトリウム200g、ホエイ粉300gを添加した後、最終の水分含量が47%となるように水を添加し、サーモシリンダー型乳化機で300rpmで撹拌しながら、80℃になるまで加熱した。加熱後にスライス形状に充填し、急冷してプロセスチーズ類を得た。得られたプロセスチーズ類についてオイルオフ量を測定したところ、12.8cmであった。また糖類含量は2.0%であった。得られたプロセスチーズについて焦げ色評価試験を行ったところ、良好な焦げ色を呈した。
【実施例8】
【0032】
原料チーズとして、モッツァレラチーズ18kg、熟度指数15のグリーンチーズ12kgを粉砕、混合した。混合したチーズ30kgにクエン酸ナトリウム90g、リン酸ナトリウム300gを添加した後、最終の水分含量が47%となるように水を添加し、サーモシリンダー型乳化機で300rpmで撹拌しながら、80℃になるまで加熱した。加熱後のチーズを急冷し、短冊形状に切り出してプロセスチーズ類を得た。得られたプロセスチーズ類についてオイルオフ量を測定したところ、5.7cmであった。また糖類含量は1.8%であった。得られたプロセスチーズについて焦げ色評価試験を行ったところ、良好な焦げ色を呈した。
【実施例9】
【0033】
原料チーズとして、ゴーダチーズ24kg、熟度指数15のグリーンチーズ6kgを粉砕、混合した。混合したチーズ30kgをケトル型乳化機に投入し、クエン酸ナトリウム900g、ホエイ粉300gを添加した後、最終の水分含量が47%となるように水を添加し、80rpmで撹拌しながら、80℃になるまで加熱した。加熱後にブロック形状に充填し、急冷してプロセスチーズ類を得た。得られたプロセスチーズ類についてオイルオフ量を測定したところ、6.8cmであった。また糖類含量は2.8%であった。得られたプロセスチーズについて焦げ色評価試験を行ったところ、良好な焦げ色を呈した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径10mm×高さ20mmの円柱状に切り出し、ろ紙上で90℃、120分間保持した際のろ紙上のオイルオフ面積が3〜25cmであり、かつ糖類を0.1〜5.0重量%含有することを特徴とするプロセスチーズ類。
【請求項2】
溶融塩の添加量が0.1〜3.0重量%であることを特徴とする請求項1記載のプロセスチーズ類。
【請求項3】
原料チーズとして熟度指数が15以下のグリーンチーズを20重量%以上配合することを特徴とする請求項1乃至2記載のプロセスチーズ類。
【請求項4】
前記糖類が、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アミノ糖又は糖誘導体から選択されるいずれか1以上である請求項1記載のプロセスチーズ類。
【請求項5】
熟度指数15以下のグリーンチーズを20重量%以上配合した原料チーズに、溶融塩を0.1〜3.0重量%、糖類を0.1〜5.0重量%配合し、乳化状態を制御することによる、加熱時に焦げ性を有するプロセスチーズ類の製造方法。
【請求項6】
熟度指数15以下のグリーンチーズを20重量%以上配合した原料チーズに、溶融塩を0.1〜3.0重量%、糖類を0.1〜5.0重量%配合するプロセスチーズ類の製造方法であって、乳化状態を制御することによって、プロセスチーズ類を直径10mm×高さ20mmの円柱状に切り出し、ろ紙上で90℃、120分間保持した際のろ紙上のオイルオフ面積を3〜25cmとすることを特徴とするプロセスチーズ類の製造方法。
【請求項7】
前記乳化状態の制御が、原料チーズの熟度、溶融塩量、乳化時間、乳化温度の制御によって行なわれることを特徴とする請求項5又は請求項6記載のプロセスチーズ類の製造方法。

【公開番号】特開2013−94157(P2013−94157A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243332(P2011−243332)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(711002926)雪印メグミルク株式会社 (65)
【Fターム(参考)】