説明

プロセス源からのオンラインサンプル採取

液体クロマトグラフィシステムのオンラインサンプルマネージャは、第一流入ポート、第二流入ポート、および排出ポートを有する流体T字管を含む。希釈剤ポンプは、希釈剤源から流体T字管の第一流入ポートまで希釈剤を移動させる。弁は、そこからプロセスサンプルを取得するためのプロセス源に接続された流体吸入ポートを有する。ポンプシステムは、弁から流体T字管の第二流入ポート内に取得されたプロセスサンプルを移動させ、そこでプロセスサンプルは、流体T字管の排出ポートから流出する希釈プロセスサンプルを生成するために、第一流入ポートに到達する希釈剤と融合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、全出願内容が参照により本願に組み込まれる、「On−line Sampling from a Process Source」と題される、2010年2月23日出願の、米国仮出願第61/307,024号明細書の、優先権および恩典を主張する。
【0002】
本発明は主に、液体クロマトグラフィシステムに関する。より具体的には、本発明は、プロセス源から直接サンプル採取するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
クロマトグラフィは、混合物をその構成成分に分離するための、一連の手法である。たとえば、液体クロマトグラフィ用途において、ポンプが液体溶媒の混合物を取り込んでサンプルマネージャに送達するが、そこでサンプルはその到達を待っている。一般的にサンプルは、分析される物質である。サンプルの例は、いくつかを挙げると、タンパク質、タンパク質前駆体、タンパク質断片、反応生成物、およびその他の化合物の、複合混合物を含む。
【0004】
様々な産業、このようなバイオ医薬品は、その反応またはその製造プロセスラインを評価するために、液体クロマトグラフィシステムを使用する。たとえば、製薬業者は、製造バッチが仕様通りに作られていることを確認するために、様々な時間にプロセスラインに沿って異なる場所でサンプルを採取することによってそのプロセスラインを監視するために、液体クロマトグラフィシステムを使用することができる。その他の製造業者は、反応が進むにつれて経時的にプロセスライン内の同じ場所でサンプルを採取して、特定の生化学反応をプロファイルするために、液体クロマトグラフィシステムを使用してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、分析のためにサンプルを取得する方式は、手作業中心である;個人がプロセスラインから手作業でサンプルを採取し、サンプルを液体クロマトグラフィシステムに入れ、注入および分析のためにこれを装填する。サンプルの取り扱いの間を通じて、サンプルを適切に標識するため、および分析過程を確実にきちんと記録するために注意を払わなければならず、さもなければ結果に不確定要素を導入する危険性がある。加えて、サンプルが注入前の希釈を必要とする場合、個人はまず、先に使用されたサンプルによる汚染を回避するために、希釈が行われるいかなる容器も洗浄しなければならない。さらに、手作業で行われる希釈はサンプルを浪費する可能性があり、これはしばしば高額なものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本発明は、第一流入ポート、第二流入ポート、および排出ポートを有する流体T字管を含む液体クロマトグラフィシステムのオンラインサンプルマネージャを特徴とする。希釈剤ポンプは、希釈剤源から流体T字管の第一流入ポートまで希釈剤を移動させる。弁は、そこからプロセスサンプルを取得するためのプロセス源に接続された流体吸入ポートを有する。ポンプシステムは、弁から流体T字管の第二流入ポート内に取得されたプロセスサンプルを移動させ、そこでプロセスサンプルは、流体T字管の排出ポートから流出する希釈プロセスサンプルを生成するために、第一流入ポートに到達する希釈剤と融合する。
【0007】
別の態様において、本発明は、溶媒ストリームを生成する溶媒送達システムと、そこから溶媒ストリームを受け取って溶媒ストリーム内に希釈プロセスサンプルを導入するために溶媒送達システムと流体連通しているオンラインサンプルマネージャと、を含む、液体クロマトグラフィシステムを特徴とする。サンプルマネージャは、第一流入ポート、第二流入ポート、および排出ポートを有する流体T字管を含む。希釈剤ポンプは、希釈剤源から流体T字管の第一流入ポートまで希釈剤を移動させる。弁は、そこからプロセスサンプルを取得するためのプロセス源に接続された流体吸入ポートを有する。ポンプシステムは、弁から流体T字管の第二流入ポート内に取得されたプロセスサンプルを移動させ、そこでプロセスサンプルは、流体T字管の排出ポートから流出する希釈プロセスサンプルを生成するために、第一流入ポートに到達する希釈剤と融合する。
【0008】
さらに別の態様において、本発明は、プロセス源でサンプル採取する方法を特徴とする。方法は、弁の流体吸入ポートをプロセス源に接続するステップを含む。
希釈剤は、希釈剤源から流体T字管の第一流入ポートまで移動させられる。プロセス源から取得されたプロセスサンプルは、弁の流体吸入ポートから流体T字管の第二流入ポート内に移動させられ、そこでプロセスサンプルは希釈剤と融合し、希釈プロセスサンプルを生成する。希釈プロセスサンプルは流体T字管の排出ポートから注入箇所に移動させられ、そこで希釈プロセスサンプルは溶媒ストリームに導入されることが可能である。
【0009】
本発明の上記およびさらなる利点は、様々な図中で同様の番号が同様の構造要素および特徴を示している添付図面と合わせて以下の記載を参照することによって、より良く理解されるだろう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、むしろ本発明の原理を図解するところで強調されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】オンラインサンプルマネージャを有する液体クロマトグラフィシステムの実施形態の機能ブロック図である。
【図2】オンラインでプロセスサンプルを自動的に取得および希釈し、希釈プロセスサンプルを溶媒組成物ストリームに導入するプロセスの実施形態のフロー図である。
【図3】選択されたプロセスラインからプロセスサンプルを取得するように構成された、サンプルマネージャの実施形態の機能図である。
【図4】取得されたプロセスサンプルで針を充填するように構成された図3のサンプルマネージャの実施形態の機能図である。
【図5】取得されたプロセスサンプルを希釈するように構成された図3のサンプルマネージャの実施形態の機能図である。
【図6】希釈プロセスサンプルを注入弁に装填するように構成された図3のサンプルマネージャの実施形態の機能図である。
【図7】装填された希釈プロセスサンプルを溶媒組成物ストリーム内に導入するように構成された図3のサンプルマネージャの実施形態の機能図である。
【図8】選択されたプロセスラインからプロセスサンプルを取得するように構成されたサンプルマネージャの別の実施形態の機能図である。
【図9】取得されたプロセスサンプルで針を充填するように構成された図8のサンプルマネージャの実施形態の機能図である。
【図10】取得されたプロセスサンプルを希釈するように構成された図8のサンプルマネージャの実施形態の機能図である。
【図11】希釈プロセスサンプルを注入弁に装填するように構成された図8のサンプルマネージャの実施形態の機能図である。
【図12】装填された希釈プロセスサンプルを溶媒組成物ストリーム内に導入するように構成された図8のサンプルマネージャの実施形態の機能図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載されるオンラインサンプルマネージャは、プロセス評価を目的とするプロセス(製造)環境、ならびに反応の監視および特徴付けを目的とする調査環境において、特定の用途を有する。本明細書で使用される際に、「オンライン」とは、手作業による介入を伴わずにほぼリアルタイムでプロセスラインから自動的にサンプルを採取し、その後取得されたプロセスサンプルを後のクロマトグラフィ分析のために希釈、装填、および注入するために、サンプルマネージャがプロセス(または生産)ラインに直接接続されていることを意味する。クロマトグラフィ分析はこのように、プロセスラインの連続動作と平行して行われる。ここでは生産ラインとプロセスラインとの間に区別はなく、いずれの用語も本明細書では同義に用いられ、いずれの用語も、そこから本明細書に記載されるようなオンラインサンプルマネージャがプロセスサンプルを直接的および自動的に採集することが可能なプロセス源の具体例であることは、理解されるべきである。
【0012】
対照的に、「アットライン」システムは、そこから個人が手作業でプロセスサンプルを取得し、処理のためにシステム内にプロセスサンプルを入れて載置するプロセスラインに、物理的に近いが接続されていないことを意味する;その一方で、「インライン」システムは、プロセスライン自体に物理的に組み込まれたものである(この例においてクロマトグラフィ分析およびプロセスライン動作は、逐次処理に等しい)。
【0013】
有利なことに、本明細書に記載されるオンラインシステムは、その内部で希釈を実行するための別の容器を必要としない。むしろ希釈は、取得されたプロセスサンプルを希釈剤ストリームと融合することにより、サンプルマネージャの配管設備(すなわち、チュービングおよびその他の内部部品)内で行われる。したがって、先に取得および希釈されたサンプルによる汚染を回避するために、別の容器が洗浄される必要はない。別の利点として、オンラインシステムは、もともと容器内で実行されていた希釈よりも少ない量のサンプルを用いる。
【0014】
図1は、混合物をその構成成分に分離するためのオンライン液体クロマトグラフィシステム10の実施形態を示す。液体クロマトグラフィシステム10は、チュービング16を通じてサンプルマネージャ14(ここではプロセスサンプルマネージャまたはPSMとも称される)と流体連通している溶媒送達システム12を含む。一般的に、溶媒送達システム12は、そこからチュービング20を通じてポンプが溶媒を引き込む溶媒リザーバ18と流体連通している、ポンプ(図示せず)を含む。一実施形態において、溶媒送達システム12は二元溶媒マネージャ(BSM)であり、これはそのリザーバ18から溶媒を引き込んで溶媒組成物をPSM14に送達するために、2つの個別直流ポンプを用いる。BSMの実行例は、Waters Corp.(Milford,MA)製の、ACQUITY UPLC Binary Solvent Managerである。
【0015】
PSM14は、PSMがチュービングによって直接接続され、そこからPSMがプロセスサンプルを自動的に取得する、プロセスライン22−1、22−N(まとめて22)と、流体連通している。一般的に、プロセスラインは、そこからサンプルが自動的に取得されることが可能なプロセス源の代表例である。プロセスラインの例は、製薬プロセス、ビーカー反応、出口ライン(洗浄評価)、反応チャンバ、および発酵反応を含む。
【0016】
複数の異なるプロセスラインからプロセスサンプルを取得するように図示されているものの、PSM14は1つの生産ラインのみからプロセスサンプルを取得することも可能であり、その1つのプロセスラインの異なる段(場所および/または時間ベースで)においてプロセスサンプルを取得するようにそこに接続されてもよい。たとえば、PSMは、化学反応の進行を監視するために、異なる時間間隔でプロセスラインからサンプルを取得することが可能である。
【0017】
加えて、PSM14は、取得されたプロセスサンプルを希釈するために使用される希釈剤源24と、ならびに、溶媒送達システム12から到達する溶媒組成物ストリームと組み合わせられた希釈プロセスサンプルを含む溶出物を受容するために、粒状物質のクロマトグラフィカラムと、または検出器(たとえば質量分析計)と、流体連通している。
【0018】
液体クロマトグラフィシステム10は、溶媒送達システム12およびPSM14と信号通信しているデータシステム(図示せず)を、さらに含む。データシステムは、溶媒送達システム12とPSM14との間の信号通信を扱うための、プロセッサおよびスイッチ(たとえばイーサネット(登録商標)スイッチ)を有する。加えて、データシステムは、本明細書に記載されるように、プロセスサンプルを自動的に取得および希釈し、希釈プロセスサンプルを溶媒組成物ストリームに導入するために、PSMによって行われる様々な段階の動作(たとえば、ポンプのオンおよびオフ、弁の回転)を実行するように、プログラムされている。加えて、ホスト計算システム(図示せず)はデータシステムと通信しており、それによって担当者は、データシステムの性能に影響する、様々なパラメータおよびプロファイルをダウンロードすることができる。
【0019】
図2は、プロセスサンプルをオンラインで自動的に取得および希釈し、希釈プロセスサンプルを溶媒組成物ストリームに導入するための、方法50の実施形態を示す。簡単にまとめると、ステップ52において、チュービングによってPSM14に直接接続されているプロセス源から、サンプルが選択される。以下により詳細に記載されるように、PSMは複数のプロセス源に直接接続されることが可能であり、そこから1つの源が選択される。PSM14は、選択されたプロセス源からプロセスサンプルを自動的に取得する(ステップ54)。プロセスサンプルは、PSM内で注射針の中に移動させられる(ステップ56)。プロセスサンプルは注射針から分注され、PSMの配管設備内で希釈剤を用いて希釈される(ステップ58)。プロセスサンプルおよび希釈剤を含む希釈液は、注入弁内に向かってポンピングされて装填され(ステップ60)、そこで希釈プロセスサンプルは、溶媒送達システム12によって提供される溶媒組成物ストリームに導入される(ステップ62)。今や希釈プロセスサンプルを含有する溶媒組成物ストリームは、カラム(および/または検出器)まで流動する(ステップ64)。
【0020】
図3は、始動弁100、サンプル採取弁102、プロセス選択弁104、および注入弁106を含む、PSM14の一実施形態の、非常に簡素化された図を示す。一実施形態において、各弁は、複数の流体ポート108および1つ以上の貫流導管110を有する、個別の、独立動作可能な回転弁である。主に回転弁として記載されるものの、始動、サンプル採取、プロセス選択、および注入弁のうちのいずれか1つ以上が別の種類の弁を用いて実現されることも可能であり、その例は、滑り弁、ソレノイド、およびピン弁を含むが、これらに限定されない。各貫流導管110は、1対の隣接する流体ポートの間の通路を提供する(プロセス選択弁104の貫流導管は、以下により詳細に記載されるように、例外である)。与えられた弁が回転するとき、その貫流導管は、弁の回転方向に応じて、時計回りまたは反時計回りに移動する。この移動は、貫流導管を別の対の隣接する流体ポートに切り替えるように作用して、先に接続された対の流体ポート、から通路を取り外しながら、この異なる対の間に流体通路を確立する。
【0021】
図3において、様々な弁100、102、104、および106は、プロセスラインを選択し、選択されたプロセスラインからプロセスサンプルを取得し、そしてプロセスサンプルをプロセスサンプルマネージャ14内に入れるように、構成されている。この構成は本明細書において、サンプル選択構成と称される。
【0022】
始動弁100は、6つの流体ポート108−1、108−2、108−3、108−4、108−5、および108−6、ならびに2つの貫流導管110−1、110−2を有する。チュービングは、流体ポート108−1をサンプル採取弁102の流体ポート108−9に、流体ポート108−2を希釈剤源24に、流体ポート108−3を変換器114を通じて希釈剤ポンプ112に、そして流体ポート108−4を流体T字管116と、接続する。
【0023】
流体T字管116は、本実施形態では希釈剤を受容するために結合されている第一流入ポート70、プロセスサンプルをその内部に注入するための第二流入ポート72(以下、注入ポートとも称される)、および排出ポート74を有する。流体T字管の実行例は、全出願内容が参照により本願に組み込まれる、2010年7月13日発行の米国特許第7,754,075号明細書に記載されている。
【0024】
加えて、流体ポート108−5はチュービングによって洗浄剤源118に接続され、流体ポート108−6はチュービングによって変換器122を経由してサンプルポンプ120に接続されている。このサンプル選択構成において、貫流導管110−1は流体ポート108−1と108−6との間に流体通路を提供し、貫流導管110−2は流体ポート108−3と108−4との間に流体通路を提供する。
【0025】
サンプル採取弁102は、6つの流体ポート108−7、108−8、108−9、108−10、108−11、および108−12、ならびに3つの貫流導管110−3、110−4、および110−5を有する。この実施形態において、流体ポート108−7および108−8は使用されず、塞がれている。チュービングは、流体ポート108−9を始動弁100の流体ポート108−1に、および流体ポート108−10を注射針124に、接続する。
【0026】
注射針24は、針駆動部126の制御の下で注入ポート72に出入りする先端を有する。注入ポート72は、先端が内部に流し込むときに漏れ防止シールを形成する。注射針124の(注入ポート72の内外への)移動および位置の制御に加えて、針駆動部126は、バイアル125と注入ポート72との間で角度方向に(シータ運動)注射針を移動させることも可能である。
【0027】
チュービングは、流体ポート108−11をポンプ128の一端に、および流体ポート108−12を廃液130の収集に用いられるリザーバに、接続する。このポンプ128は、一方向または二方向蠕動ポンプ、あるいはmilliGATポンプであってもよい。サンプル選択構成において、貫流導管110−5は流体ポート108−11と108−12との間に流体通路を提供し、それによってポンプ128と廃液リザーバ130との間に連続流体通路を提供する。
【0028】
プロセス選択弁104は、6つの流体吸入ポート108−13、108−14、108−15、108−16、108−17、および108−18と、流体排出ポート108−19と、1つの貫流導管110−6と、を有する。貫流導管110−6は、プロセス選択弁104と同心の流体排出ポート108−19を、選択されたプロセスラインに結合する。弁が回転すると、貫流導管110−6は、弁の回転方向にかかわらず、一端において流体排出ポート108−19と結合したままであり、もう一方の端では、異なる流体吸入ポートと新たに結合する。このためこの回転は、これを流体排出ポート108−19と結合することによって、異なるプロセス源(すなわち、その流体吸入ポートに接続されたもの)を選択し、先に選択されていたプロセス源との接続を解除するのに、役立つ。
【0029】
一般的に、プロセス選択弁104は6つのラインを、ユーザが適切と思うように接続できるようにする。この実施形態において、たとえば、4つの流体吸入ポート108−13、108−14、108−16、および108−17は、異なるプロセスラインに接続されている:チュービングは、流体吸入ポート108−13を第一プロセスライン(P1)に、流体吸入ポート108−14を第二プロセスライン(P2)に、流体吸入ポート108−16を第三プロセスライン(P3)に、そして流体吸入ポート108−17を第四プロセスライン(P4)に接続する。その他の流体吸入ポート108−15および108−18は、望ましいときに(たとえば、プロセスサンプル取得の間)ポンプおよびチュービングからいかなる取得されたプロセスサンプル物質も除去するために使用される、洗浄剤源に接続される。流体排出ポート108−19は、チュービングによってポンプ128の入口端に接続されている。
【0030】
注入弁106は、6つの流体ポート108−20、108−21、108−22、108−23、108−24、および108−25、3つの貫流導管110−7、110−8、110−9、ならびにサンプルループ132を有する。サンプルループ132の一端は流体ポート108−20に接続され、サンプルループ132の他方の端は流体ポート108−23に接続されている。チュービングは、流体ポート108−24をカラム(C/M)に、流体ポート108−25を溶媒送達システム12(図1)に、流体ポート108−21を廃液収集リザーバに、そして流体ポート108−22を混合器134の出口端に、接続する。一実施形態において、混合器134の容量は10μLである。
【0031】
サンプル選択構成に注入弁106を用いると、貫流導管110−7は流体ポート108−20と108−25との間に流体通路を提供し;貫流導管110−8は流体ポート108−21と108−22との間に流体通路を提供し;貫流導管110−9は流体ポート108−23と108−24との間に流体通路を提供する。
【0032】
PSMがサンプル選択構成に含まれるとき、サンプル採取弁102およびプロセス選択弁104の個々の構成はともに、選択されたプロセスラインP1から廃液リザーバ130の間に連続流体通路を提供する。プロセス選択弁104の貫流導管110−6は、流体吸入ポート108−13と流体排出ポート108−19との間に流体通路を提供し、それによってポンプ128をプロセスラインP1と流体連通させ、サンプル採取弁102の貫流導管110−5は、流体ポート108−11と流体ポート108−12との間に通路を提供し、これはチュービングによって廃液130に接続されている。
【0033】
選択されたプロセスライン、ここではたとえばP1からサンプルを取得するために、ポンプ128が作動されて、プロセスラインP1から貫流導管110−7を通じてプロセスサンプルを引き出し、取得されたプロセスサンプルをサンプル採取弁102の流体ポート108−11に送達する。流体ポート108−11から、プロセスサンプルは貫流導管110−5を通じて流体ポート108−12まで移動する。十分なプロセスサンプルが引き出された後、ポンプ128は作動を停止される。通常、ポンプ128は、ポンプおよびチュービングの容量以上のプロセスサンプルを引き出す。このような過剰プロセスサンプルは、廃液リザーバ130内に流入する。図3の矢印129は、プロセスP1から廃液リザーバ130へのプロセスサンプルの流れを示す。
【0034】
その他の弁、すなわち始動弁100および注入弁106は、プロセスサンプルの取得およびPSM14への投入には関わらない。
【0035】
図4は、引き出されたプロセスサンプルを注射針124内に移動させるように弁が構成されている、図3のシステムを示す。プロセス選択弁104および注入弁106の構成は、図3のものと変わらないが、その一方で始動弁100およびサンプル採取弁102の構成は変化している。この構成は、サンプル引き出し構成と称される。
【0036】
図3のサンプル選択構成と比較すると、始動弁100は、貫流導管110−2が流体ポート108−2を流体ポート108−3に結合させ、希釈剤ポンプ112を希釈剤源24に効果的に結合させるように、1つのポート位置分だけ時計回りに回転させられている。始動弁100の回転はまた、貫流導管110−1を経由して流体ポート108−5を流体ポート108−6に結合し、それによってサンプルポンプ120を洗浄剤源118に結合させる。サンプルポンプ120は、矢印131で示されるように、洗浄液を引き出してサンプルポンプ120をパージするために、作動される。
【0037】
サンプル採取弁102は、貫流導管110−4が流体ポート108−10を流体ポート108−11に結合し、それによってポンプ128を注射針124に流体的に結合するように、1つのポート位置分だけ時計回りに(あるいは、反時計回りの回転も同等の構成を実現する)回されている。矢印133で示されるように、ポンプ128の動作は、選択されたプロセスライン(ここではP1)から取得されたプロセスサンプルを注射針内に押し込む(注射針はこの時点で注入ポートから引き上げられる;注射針のいかなる過剰充填分も廃液として捕捉させる)。
【0038】
針がプロセスサンプルで満ちている間、貫流導管110−3は流体ポート108−8を流体ポート108−9に結合し、その一方で貫流導管110−5は流体ポート108−7を流体ポート108−12に結合する。流体ポート108−7および108−8の両方が塞がれているので、これらの接続は流体フローに通路を提供しない。
【0039】
図5は、取得されたプロセスサンプルを希釈するように弁が構成されている、図3のPSM14を示す。プロセス選択弁104および注入弁106の構成は、図4のものと変わらないが、その一方で始動弁100およびサンプル採取弁102の構成は変化している。この構成は、サンプル希釈構成と称される。
【0040】
図4のサンプル引き出し構成と比較すると、始動弁100は1つのポート位置分だけ反時計回りに回されている(すなわち、図3の構成に戻る)。このサンプル希釈構成において、貫流導管110−2は流体ポート108−3を流体ポート108−4に結合させ、それによって希釈剤ポンプ112を流体T字管116に接続されたチュービングに流体的に結合させる。希釈剤ポンプ112の動作は今や、引き出された希釈剤をチュービングを通じて流体T字管116の第一流入ポート70へ、矢印117で示される方向に押し出す。
【0041】
やはり図4のサンプル引き出し構成と比較して、サンプル採取弁102は1つのポート位置分だけ回転させられる(たとえば、図3の構成に戻る)。このサンプル希釈構成において、貫流導管110−4は流体ポート108−9を流体ポート108−10に結合させ、これは、流体ポート108−6を流体ポート108−1に結合させる始動弁100の貫流導管110−1とともに、サンプルポンプ120と注射針124との間に連続流体通路を提供する。
【0042】
注射針124を注入ポート72内に位置決めする針駆動部126を用いて、サンプルポンプ120の動作は、矢印119で示されるように、貫流導管110−1を通じて注射針124内に(針の先端の反対側の末端)、先に引き出された洗浄剤118を押し出す。洗浄剤118は注射針124内のプロセスサンプルを移動させ、矢印121で示されるように、注射針内のプロセスサンプルを流体T字管116に流し込む。
【0043】
流体T字管116は、第一流入ポート70に到達する希釈剤ストリームを、注入ポート72に到達するプロセスサンプルストリームと融合させるように動作する。結果的な希釈液は、排出ポート74を通じて流体T字管116を離れ、矢印123で示されるように、混合器134まで移動する。混合器134は、希釈液が注入弁106の流体ポート108−22に到達する前に、希釈液をさらに均質化する。希釈液のいかなる過剰充填分も、廃液まで流体ポート108−22から貫流導管110−8を通じて流体ポート108−21を出るように、通過する。
【0044】
プロセスサンプルの希釈の間、希釈剤ポンプ112およびサンプルポンプ120は、流体を同時に移動させる。これらのポンプの流量は、希釈率(プロセスサンプル流量に対する全体的な希釈剤流量)を決定する。たとえば、希釈剤ポンプが90μl/min押し出す間にサンプルポンプ120が10μl/min押し出す、100μl/minの総希釈剤流量を検討してみる:結果は、10:1の希釈である。たとえば、希釈剤ポンプが50μl/min押し出す間にサンプルポンプ120が50μl/min押し出すとき、結果は2:1の希釈である。
【0045】
図6は、希釈プロセスサンプルを注入弁内のサンプルループ132内に装填するように弁が構成されている、図3のシステムを示す。始動弁100、サンプル採取弁102、およびプロセス選択弁104の構成は、図5のものと変わらないが、その一方で注入弁106の構成は変化している。
【0046】
希釈プロセスサンプルを装填するとき、注入弁106は、貫流導管110−8が流体ポート108−22を流体ポート108−23に結合させ、それによってサンプルループ132の一端を混合器134と流体的に結合させるように、図5のその位置から1つのポート位置分だけ反時計回りに回転させられている。サンプルポンプ120の連続動作は、矢印127で示されるように、希釈液をサンプルループ132内に向かって押し出す(希釈剤ポンプ112は作動停止されている)。注入弁106の回転もまた、流体ポート108−20を流体ポート108−21に結合させるように貫流導管110−7を位置決めし、それによって、サンプルループ132のいかなる過剰充填分も捕捉するために、混合器134から廃液までの連続流体通路を提供する。
【0047】
図7は、サンプルループ内のプロセスサンプルを溶媒送達システムから注入弁に到達する溶媒組成物ストリーム内に注入するように弁が構成されている、図3のシステムを示す。始動弁100、サンプル採取弁102、およびプロセス選択弁104の構成は、図6のものと変わらないが、その一方で注入弁106の構成は変化している。希釈プロセスサンプルを溶媒組成物ストリームに導入するために、注入弁106は、貫流導管110−7が流体ポート108−20を流体ポート108−25に結合させ、貫流導管110−9が流体ポート108−23を流体ポート108−24に結合させるように、図6のその位置から1つのポート位置分だけ時計回りに回転させられている(すなわち、図5の位置に戻る)。この構成は、サンプルループ132の全長を、ひいてはその中に収容される希釈プロセスサンプルを、溶媒送達システムから到達する溶媒組成物ストリームの経路内に配置し、それによってプロセスサンプルを溶媒組成物に導入する。この段階の間、注射針124は注入ポート72内に降下され、希釈剤ポンプ112およびサンプルポンプ120はいずれもポンピングしている。希釈剤ポンプは洗浄溶媒でその流体回路を洗浄し、充填サイクルをもって段階を終了する。サンプルポンプはサンプルでその流体回路を洗浄し、空のまま段階を終了する。
【0048】
図8は、図3に示される実施形態に関連して記載された始動弁100、サンプル採取弁102、プロセス選択弁104、および注入弁106を含むプロセスサンプルマネージャ14’の別の実施形態の機能ブロック図を示す。具体的に言及されない限り、流体T字管116、注射針124、針駆動部126、混合器134、およびポンプ112、120、128などのプロセスサンプルマネージャ14’のその他の部品は、図3に示される実施形態に関連して記載されたその同等物に等しい。ここでも、主に回転弁として記載されるものの、始動、サンプル採取、プロセス選択、および注入弁のうちのいずれか1つ以上が別の種類の弁を用いて実現されることも可能であり、その例は、滑り弁、ソレノイド、およびピン弁を含むが、これらに限定されない。一変形例で、プロセスサンプルマネージャ14’は、ポンプ128を横断して接続された背圧調整器(BPR)152を含む。別の変形例は、選択されたプロセスラインから最初に取得されたときに特定量のプロセスサンプルを保持するための、ループ150の使用である。図3に示される実施形態からの別の変形例は、以下にさらに記載されるように、様々な部品を相互接続するチュービングに関する。
【0049】
図8において、様々な弁100、102、104、および106は、プロセスラインを選択し、選択されたプロセスラインからプロセス資料を取得し、そしてプロセスサンプルをプロセスサンプルマネージャ14’内に導入するように、構成されている。この構成は一般的に、サンプル選択構成と称される。
【0050】
始動弁100を参照すると、チュービングは、流体ポート108−1を注射針124の一端(先端の反対側)に接続する。加えて、流体ポート108−2はチュービングによって希釈剤源24に、流体ポート108−3はチュービングによって変換器114を通じて希釈剤ポンプ112に、そして流体ポート108−4はチュービングによって流体T字管116の第一流入ポート70に、接続されている。始動弁100の流体ポート108−5はチュービングによって洗浄剤118に、そして流体ポート108−6はチュービングによって変換器122を通じてサンプルポンプ120に接続されている。
【0051】
始動弁がこのサンプル選択構成にあるとき、貫流導管110−1は流体ポート108−5と108−6との間に流体通路を提供し、それによってサンプルポンプ120を洗浄剤118に結合するが、その一方で貫流導管110−2は、希釈剤ポンプ112を希釈剤24と結合させるために、流体ポート108−2と108−3との間に流体通路を提供する。
【0052】
サンプル採取弁102を参照すると、チュービングは、流体ポート108−7をポンプ128の一端に、流体ポート108−8を流体T字管116の排出ポート74に、流体ポート108−9を混合器134の入り口側に、そして流体ポート108−12をプロセス選択弁104の流体排出ポート108−19に、接続する。
【0053】
サンプル選択構成でサンプル採取弁102を用いると、貫流導管110−3は流体ポート108−8と108−9との間に流体通路を提供し、それによって流体T字管116の排出ポート74と混合器134の入り口側との間に連続流体通路を提供する。貫流導管110−5は流体ポート108−7と108−12との間に流体通路を提供し、それによってポンプ128からサンプル弁102およびプロセス選択弁104を通じて選択されたプロセスライン(ここではP1)まで延在する、連続流体通路を提供する。
【0054】
プロセス選択弁104を参照すると、チュービングは、流体吸入ポート108−13を第一プロセスライン(P1)に、流体吸入ポート108−14を第二プロセスライン(P2)に、流体吸入ポート108−16を第三プロセスライン(P3)に、そして流体吸入ポート108−17を第四プロセスライン(P4)に接続する。流体吸入ポート108−15および108−18は、望ましいときにポンプ128およびチュービングからいずれの取得されたプロセスサンプルも除去するために使用される、洗浄剤源に接続されている。先に述べられたように、プロセス選択弁104の流体排出ポート108−19は、チュービングによってサンプル採取弁102の流体ポート108−7に接続されている。貫流導管110−6は、そこからプロセスサンプルストリームを取得するために、この流体排出ポート108−19を選択されたプロセスラインに、ここではたとえばプロセスラインP1に、結合させる。やはり一般的に、プロセス選択弁104は、6つのラインを、ユーザが適切と思うように接続できるようにし、図8に示される接続は1つの例に過ぎない。
【0055】
注入弁106を参照すると、チュービングは、流体ポート108−24をカラムまたは検出器(C/M)に、流体ポート108−25を溶媒送達システム12(図1)に、流体ポート108−21を廃液収集リザーバに、そして流体ポート108−22を混合器134の出口側に、接続する。サンプル選択構成に注入弁106を用いると、貫流導管110−7は流体ポート108−20と108−25との間に流体通路を提供し、貫流導管110−8は流体ポート108−21と108−22との間に流体通路を提供し貫流導管110−9は流体ポート108−23と108−24との間に流体通路を提供する。
【0056】
プロセスサンプルを取得してプロセスサンプルマネージャ14’内に導入するとき、注射針124は流体T字管116の注入ポート72内に位置決めされ、プロセス選択弁104は所望のプロセスライン(ここでは、たとえばプロセスP1)に設定される。ポンプ128は、所定の流量(たとえば15ml/min)で所定時間(たとえば30秒)だけ選択されたプロセスラインからプロセスサンプルを引き出すために、作動される。プロセスサンプルは、流体ポート108−13を通じてプロセス選択弁104に流し込み、貫流導管110−6を横断して、流体ポート108−19を通じて出る。
【0057】
連結チュービングを通じて進みながら、プロセスサンプルは流体ポート108−12でサンプル採取弁102に流し込む。この流体ポート108−12から、貫流導管110−6はプロセスサンプルを流体ポート108−7に搬送する。流体ポート108−7から、プロセスサンプルはポンプ128によってループ150内に引き込まれる。ループ150がプロセスサンプルで満たされた後、いかなる過剰分も、ポンプ128を通じて廃液156まで通過する。
【0058】
図9は、針の先端を通じて注射針124内にプロセスサンプルを吸引するように弁が構成されている、図8のサンプルマネージャ14’を示す。プロセス選択弁104および注入弁106の構成は、図8のものと変わらないが、その一方で始動弁100およびサンプル採取弁102の構成は変化している。この構成は、サンプル引き出し構成と称される。
【0059】
図8の構成に対して、始動弁100は、貫流導管110−2が流体ポート108−3を流体ポート108−4に結合し、それによって希釈剤ポンプ112を流体T字管116に接続されたチュービングに結合させるように、1つのポート位置分だけ反時計回りに回転させられている。加えて、貫流導管110−1は流体ポート108−6を流体ポート108−1に結合させる。加えて、サンプル採取弁102は、貫流導管110−5が流体ポート108−7を流体ポート108−8に結合させ、それによってT字管116の排出ポート74をポンプ128に結合させるように、図8の位置から1つのポート位置分だけ時計回りに回転させられている(あるいは、これは反時計回りに回されて、同じ構成を実現することも可能である)。
【0060】
T字管116内の弁は、排出ポート74から流入ポート70へのいかなる流れも防止しながら、排出ポート74と注入ポート72との間に流体通路を提供する。針124が注入ポート72内に配置された状態で、この構成は、ポンプ128からサンプルポンプ120まで、注射針124の先端を通過する連続流体通路を提供する。
【0061】
サンプル引き出し構成にありながら、ポンプ128は作動されており、選択されたP1プロセスラインから引き出されたプロセスサンプルを、針の先端を通じて注射針124内に押し込む。同時に、サンプルポンプ120は作動されており、ポンプ128によって押されているプロセスサンプルを引き出す。プロセスサンプルによって取られる経路は、矢印155によって表される。
【0062】
別のポンプ128がプロセスサンプルを押し出す間に1つのポンプ120がプロセスサンプルを引き出すことで、ポンプの流量が互いに等しくない場合ポンプ120、128の間のチュービング内に真空が発生するか(ポンプ128が押し出すよりも速くポンプ120が引くため)、または圧力が上昇し(ポンプ120が引くよりも速くポンプ128が押し出すため)、そのいずれもPSM14’の適切な動作にとって望ましい条件ではない。したがって、一実施形態において、ポンプの流量は、ポンプ120が引くよりも速い速度でポンプ128が押し出すようにあらかじめ決定され、BPR152は、ポンプ120、128の間のチュービング内の圧力の結果的ないかなる上昇も特定のレベルを超えないことを保証する。たとえば、ポンプ128は600μl/minで220μlのプロセスサンプルを分注することが可能であり、その一方でサンプルポンプ120は300μl/minで100μl引き出す。特定レベルの圧力に到達した後、BPR152は開放し、ポンプ120、128の間の圧力はその後一定のままとなる。
【0063】
図10は、吸引されたプロセスサンプルを希釈するように弁が構成されている、図8のサンプルマネージャ14’を示す。始動弁100、プロセス選択弁104、および注入弁106の構成は、図9のものと変わらないが、その一方でサンプル採取弁102の構成は、貫流導管110−3が流体ポート108−8と108−9との間に流体通路を提供し、そうして流体T字管116の排出ポート74からサンプル採取弁102を通じて混合器134まで連続流体通路を提供するように、1つのポート位置分だけ回転させられている(たとえば、図8の構成に戻る)。プロセスサンプルの希釈液は、この通路を移動して注入弁106に到達する。
【0064】
プロセスサンプルの希釈の間、サンプルポンプ120は、サンプルを引き出すために使用されるポンピング方向を逆転させ、希釈剤ポンプ112およびサンプルポンプ120はいずれも同時に流体を押し出す:希釈剤ポンプは希釈剤を移動させ、その一方でサンプルポンプはプロセスサンプルを移動させる。これらのポンプ112、120の流量は、希釈率を決定する(プロセスサンプル流量に対する総希釈液流量)。希釈剤ポンプ112の動作は、矢印157で示されるように、希釈剤を流体T字管116に分注し、その一方でサンプルポンプ120の動作は、矢印159で示されるように、吸引されたプロセスサンプルを流体T字管116の注入ポート72に分注する。希釈プロセスサンプルは、矢印161で示されるように、排出ポート74を通じて流体T字管116を離れる。混合器134から、希釈プロセスサンプルは注入弁106内に移動する。いかなる過剰な希釈プロセスサンプルも、注入弁106の貫流導管108−8を通じて廃液リザーバ内に流入することが可能である。
【0065】
図11は、注入弁106内のサンプルループ132内に希釈液を装填するように弁が構成されている、図8のサンプルマネージャ14’を示す。始動弁100、サンプル採取弁102、およびプロセス選択弁104の構成は、図10のものと変わらないが、その一方で注入弁106の構成は、貫流導管110−8が流体ポート108−22を流体ポート108−23に結合させるように、1つのポート位置分だけ反時計回りに回転させられている。注入弁のこの構成は、サンプルループ132の一端を混合器134に結合させる。サンプルポンプ120の連続動作は、希釈液161をサンプルループ132内に移動させる(希釈剤ポンプ112が作動していない間)。
【0066】
図12は、溶媒送達システムから注入弁106に到達する溶媒組成物ストリーム内にサンプルループ132内のプロセスサンプルを注入するように弁が構成されている、図8のサンプルマネージャ14’を示す。始動弁100、サンプル採取弁102、およびプロセス選択弁104の構成は、図11のものと変わらないが、その一方で注入弁106の構成は変化している。希釈プロセスサンプルを溶媒組成物ストリームに導入するために、注入弁106は、貫流導管110−7が流体ポート108−20を流体ポート108−25に結合させ、貫流導管110−7が流体ポート108−23を流体ポート108−24に結合させるように、図11の位置から1つのポート位置分だけ時計回りに回転させられている(図10の位置に戻る)。この構成は、サンプルループ132全体を、ならびにそこに収容されている希釈プロセスサンプルを、溶媒送達システムから到達する溶媒組成物ストリームの経路内に配置する。このようにして、希釈プロセスサンプルは溶媒組成物ストリームに導入される。加えて、この段階の間、注射針124は注入ポート72内に降下され、希釈剤ポンプ112およびサンプルポンプ120はいずれもポンピングしている。希釈剤ポンプは洗浄溶媒でその流体回路を洗浄し、充填サイクルをもって段階を終了する。サンプルポンプはサンプルでその流体回路を洗浄し、空のまま段階を終了する。
【0067】
当業者によって理解されるように、本発明の態様は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として実現されてもよい。したがって、本発明の態様は、全ハードウェアの実施形態、全ソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、または一般的に「回路」、「モジュール」、または「システム」と称されてもよいソフトウェアおよびハードウェア態様を組み合わせた実施形態の形を取ってもよい。さらに、本発明の態様は、コンピュータ読み取り可能プログラムコードが実行される1つ以上のコンピュータ読み取り可能媒体において実現される、コンピュータプログラム製品の形を取ってもよい。
【0068】
1つ以上のコンピュータ読み取り可能記憶媒体のいかなる組み合わせが利用されてもよい。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、たとえば電子、磁気、光、電磁、赤外線、または半導体システム、機器、または装置、または上記のいずれか適切な組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ読み取り可能記憶媒体のより具体的な例(完全ではないリスト)は、以下を含むだろう:1つ以上の配線を有する電気的接続、携帯型コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯型コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD−ROM)、光記憶装置、磁気記憶装置、または上記のいずれか適切な組み合わせ。本文献の文脈において、コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、命令実行システム、機器、または装置によって、またはこれらに関連して使用されるプログラムを収容または記憶することが可能な、いずれの有形媒体であってもよい。
【0069】
コンピュータ読み取り可能媒体上で実行されるプログラムコードは、無線、有線、光ファイバケーブル、RFなど、あるいは上記のいずれか適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない、いずれか適切な媒体を用いて送信されてもよい。本発明の態様の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java(登録商標)、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、ならびに「C」プログラミング言語または類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語のいずれの組み合わせで記述されてもよい。
【0070】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、機器(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して、記載される。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図のブロックの組み合わせが、コンピュータプログラム命令によって実現され得ることは、理解されるだろう。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたはその他のプログラム可能データプロセス装置のプロセッサを通じて実行される命令が、フローチャート図および/またはブロック図の1つまたは複数のブロックで規定される機能/作用を実行する手段を作り出すように、機械を形成するため、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、またはその他のプログラム可能データプロセス装置のプロセッサに提供されてもよい。
【0071】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ読み取り可能媒体に記憶された命令が、フローチャート図および/またはブロック図の1つまたは複数のブロックで規定される機能/作用を実行する命令を含む製品を生み出すように、コンピュータ、その他のプログラム可能データプロセス装置、またはその他の装置が特定の方法で機能するようにし向けることが可能な、コンピュータ読み取り可能記憶媒体に記憶されてもよい。
【0072】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたはその他のプログラム可能機器上で実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックで規定される機能/作用を実行するプロセスを提供するように、コンピュータ実行プロセスを生成するために、一連の動作ステップをコンピュータ、その他のプログラム可能機器、またはその他の装置上で実行させるために、コンピュータその他のプログラム可能データプロセス装置、またはその他の装置上に実装されてもよい。
【0073】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実現のアーキテクチャ、機能性、および動作を図解する。この点に関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、コードのモジュール、断片、または一部分を表してもよく、これは指定された(1つまたは複数の)論理機能を実現するための1つ以上の実行可能な命令を含む。いくつかの代替実現において、ブロックに記載される機能が、図中示される順序から外れて行われてもよいことにも、注意すべきである。たとえば、連続して示されている2つのブロックは、実質的に同時に実行されてもよく、あるいはブロックは場合により、関連する機能性に応じて、逆の順序で実行されてもよい。ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート図のブロックの組み合わせは、特定の機能または作用、あるいは専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせを実行する、専用ハードウェアベースのシステムによって実現されてもよいことにも、注意する。
【0074】
本発明は特定の好適な実施形態を参照して図示および記載されてきたが、以下の請求項によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細における様々な変化がなされてもよいことは、当業者によって理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体クロマトグラフィシステムのオンラインサンプルマネージャであって、
第一流入ポート、第二流入ポート、および排出ポートを有する流体T字管と、
希釈剤源から流体T字管の第一流入ポートまで希釈剤を移動させる希釈剤ポンプと、
そこからプロセスサンプルを取得するためのプロセス源に接続された流体吸入ポートを有する弁と、
流体T字管の排出ポートから流出する希釈プロセスサンプルを生成するために、プロセスサンプルが第一流入ポートに到達する希釈剤と融合する、流体T字管の第二流入ポート内に、取得されたプロセスサンプルを弁から移動させるポンプシステムと、を含む、サンプルマネージャ。
【請求項2】
弁が複数の流体吸入ポートを含み、流体吸入ポートのうちの少なくとも2つは、そこからプロセスサンプルを取得するために異なるプロセス源に結合されている、請求項1に記載のサンプルマネージャ。
【請求項3】
弁が、プロセス源に結合された流体吸入ポートのうちのいずれか1つを選択するように構成され、それによって選択された流体吸入ポートに結合されたプロセス源を選択することが可能な、請求項2に記載のサンプルマネージャ。
【請求項4】
複数の流体吸入ポートのうちの1つ以上が洗浄剤源に接続されている、請求項2に記載のサンプルマネージャ。
【請求項5】
弁が、プロセス源が稼働している間にプロセス源からほぼリアルタイムでプロセスサンプルを取得する、請求項1に記載のサンプルマネージャ。
【請求項6】
第二流入ポートに出入りするようになっている針をさらに含み、ポンプシステムは、プロセス源からプロセスサンプルを引き出してプロセスサンプルを針内に移動させるための弁に結合された第一ポンプと、第一ポンプによって針内に移動させられたプロセスサンプルを、針から出て第二流入ポートを通じて流体T字管内に押し込むための第二ポンプとを含む、請求項1に記載のサンプルマネージャ。
【請求項7】
第一ポンプおよび第二ポンプを針に選択的に結合させるための弁システムをさらに含み、弁システムは、第一ポンプがプロセスサンプルを針内に押し込むことができるように、第一ポンプを針の第一末端に流体的に結合させ、弁システムはその後、第二ポンプがプロセスサンプルを、針から出て第二流入ポートを通じて流体T字管内に押し込むことができるように、第一ポンプがプロセスサンプルを針内に押し込んだ後に、第二ポンプを針の第一末端に流体的に結合させる、請求項6に記載のサンプルマネージャ。
【請求項8】
針が、第一末端と、先端を備える反対側の末端とを含み、第一ポンプおよび第二ポンプを針に選択的に結合させる弁システムをさらに含み、弁システムは、第一ポンプを流体T字管の排出ポートに、および第二ポンプを針の第一末端に流体的に結合させ、第一および第二ポンプは針の先端を通じてプロセスサンプルを針内に移動させるために協働する、請求項6に記載のサンプルマネージャ。
【請求項9】
ポンプによって発生した流量の差に起因するポンプ間の一定の流体圧力を維持するために、ポンプシステムに動作可能に結合された背圧調整器をさらに含む、請求項8に記載のサンプルマネージャ。
【請求項10】
プロセスサンプルが針内に移動した後に、第二ポンプが針から第二流入ポートを通じて流体T字管内にプロセスサンプルを押し込むためにポンピング方向を逆転させる、請求項8に記載のサンプルマネージャ。
【請求項11】
希釈液の希釈率が、流体T字管内への希釈剤およびプロセスサンプルの流量によって決定される、請求項1に記載のサンプルマネージャ。
【請求項12】
プロセスサンプルと希釈剤との混合を提供するために、流体T字管の排出ポートに結合された混合器をさらに含む、請求項1に記載のサンプルマネージャ。
【請求項13】
液体クロマトグラフィシステムであって、
溶媒ストリームを生成する溶媒送達システムと、
そこから溶媒ストリームを受容し、希釈プロセスサンプルを溶媒ストリーム内に導入するために、溶媒送達システムと流体連通しているオンラインサンプルマネージャと、を含み、サンプルマネージャは、
第一流入ポート、第二流入ポート、および排出ポートを有する流体T字管と、
希釈剤源から流体T字管の第一流入ポートまで希釈剤を移動させる希釈剤ポンプと、
そこからプロセスサンプルを取得するためのプロセス源に接続された流体吸入ポートを有する弁と、
希釈プロセスサンプルを生成するために、プロセスサンプルが第一流入ポートに到達する希釈剤と融合する、流体T字管の第二流入ポート内に、弁から取得された取得プロセスサンプルを移動させるポンプシステムであって、希釈プロセスサンプルは流体T字管の排出ポートから、希釈サンプルが溶媒ストリームに導入されることが可能な注入箇所まで流出する、ポンプシステムと、を含む、液体クロマトグラフィシステム。
【請求項14】
弁が複数の流体吸入ポートを含み、流体吸入ポートのうちの少なくとも2つは、そこからプロセスサンプルを取得するために異なるプロセス源に結合されている、請求項13に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項15】
弁が、プロセス源に結合された流体吸入ポートのうちのいずれか1つを選択するように構成され、それによって選択された流体吸入ポートに結合されたプロセス源を選択することが可能な、請求項14に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項16】
複数の流体吸入ポートのうちの1つ以上が洗浄剤源に接続されている、請求項14に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項17】
弁が、プロセス源が稼働している間にプロセス源からほぼリアルタイムでプロセスサンプルを取得する、請求項13に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項18】
サンプルマネージャが、第二流入ポートに出入りするようになっている針をさらに含み、ポンプシステムは、プロセス源からプロセスサンプルを引き出してプロセスサンプルを針内に移動させるための弁に結合された第一ポンプと、第一ポンプによって針内に移動させられたプロセスサンプルを、針から出て第二流入ポートを通じて流体T字管内に押し込むための第二ポンプとを含む、請求項13に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項19】
サンプルマネージャが、第一ポンプおよび第二ポンプを針に選択的に結合させるための弁システムをさらに含み、弁システムは、第一ポンプがプロセスサンプルを針内に押し込むことができるように、第一ポンプを針の第一末端に流体的に結合させ、弁システムはその後、第二ポンプがプロセスサンプルを、針から出て第二流入ポートを通じて流体T字管内に押し込むことができるように、第一ポンプがプロセスサンプルを針内に押し込んだ後に、第二ポンプを針の第一末端に流体的に結合させる、請求項18に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項20】
針が、第一末端と、先端を備える反対側の末端とを含み、第一ポンプおよび第二ポンプを針に選択的に結合させる弁システムをさらに含み、弁システムは、第一ポンプを流体T字管の排出ポートに、および第二ポンプを針の第一末端に流体的に結合させ、第一および第二ポンプは針の先端を通じてプロセスサンプルを針内に移動させるために協働する、請求項18に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項21】
ポンプによって発生した流量の差に起因するポンプ間の一定の流体圧力を維持するために、ポンプシステムに動作可能に結合された背圧調整器をさらに含む、請求項20に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項22】
プロセスサンプルが針内に移動した後に、第二ポンプが針から第二流入ポートを通じて流体T字管内にプロセスサンプルを押し込むためにポンピング方向を逆転させる、請求項20に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項23】
希釈液の希釈率が、流体T字管内への希釈剤およびプロセスサンプルの流量によって決定される、請求項18に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項24】
プロセスサンプルと希釈剤との混合を提供するために、流体T字管の排出ポートと注入箇所との間に接続された混合器をさらに含む、請求項13に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項25】
プロセス源でサンプル採取する方法であって、
そこからプロセスサンプルを取得するために、弁の流体吸入ポートをプロセス源に接続するステップと、
希釈剤源から流体T字管の第一流入ポートまで希釈剤を移動させるステップと、
プロセス源から取得されたプロセスサンプルを、弁の流体吸入ポートから、プロセスサンプルが希釈剤と融合して希釈プロセスサンプルを生成する流体T字管の第二流入ポート内に移動させるステップと、
流体T字管の排出ポートから、希釈プロセスサンプルが溶媒ストリームに導入されることが可能な注入箇所まで、希釈プロセスサンプルを移動させるステップと、を含む方法。
【請求項26】
そこからプロセスサンプルを取得するための異なるプロセス源に結合された第二流体吸入ポートを選択するために、弁を回転させるステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
プロセス源からプロセスサンプルを取得するステップが、プロセス源が稼働している間にほぼリアルタイムで行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
第二流入ポートの内外に移動するようになっている針内にプロセスサンプルを移動させるステップと、
針から流体T字管の第二流入ポート内にプロセスサンプルを押し込むステップと、をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
針が先端および先端の反対側の第一末端を含み、プロセスサンプルを針内に移動させるステップは、先端の反対側の第一末端を通じて針内にプロセスサンプルを移動させるステップを含み、プロセスサンプルを針から押し出すステップは、先端を通じて針からプロセスサンプルを押し出すステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
針が先端を含み、プロセスサンプルを針内に移動させるステップは、先端を通じて針内にプロセスサンプルを移動させるステップを含み、プロセスサンプルを針から押し出すステップは、先端を通じて針からプロセスサンプルを押し出すステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
プロセスサンプルを針内に移動させるときに、一定の流体圧力を維持するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
希釈プロセスサンプル液の希釈率が、流体T字管内への希釈剤およびプロセスサンプルの流量によって決定される、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−520682(P2013−520682A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555023(P2012−555023)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2011/024292
【国際公開番号】WO2011/106162
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(509131764)ウオーターズ・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (46)