説明

プロセス間通信

【課題】 プロセス間通信の回数を抑制したプロセス間通信システムを提供する。
【解決手段】 業務ロジック11は、複数のデバイスオブジェクト(以下、DOと呼ぶ)22a〜22cの実行要求を送信タスク12に登録し、送信タスク12は、登録された複数の実行要求をまとめて受信タスク21に送信する。受信タスク21は、受信した実行要求に応じたDO22a〜22cを起動する。起動されたDO22a〜22cは、起動されると受信タスク21に受付応答を登録する。受信タスク21は、起動されたDO数分の受付応答が登録されると、受付応答をまとめて業務プロセス10に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス間通信に関する。
【背景技術】
【0002】
ATMなどの金融端末の制御には、業務プロセスとデバイスプロセスと呼ばれるソフトウェアが利用されることが多い。業務プロセスは、ATMを制御して、ユーザから指示された処理(入金や出金など)を実行する。デバイスプロセスは、業務プロセスの指示を受けて、ATMに備えられたカード取扱装置や通帳取扱装置などの各種デバイスにおけるデバイス処理を実行する。デバイス処理は、デバイスプロセス中に、各デバイスに対して1つずつ備えられたデバイスオブジェクト(以下、DOと呼ぶ)が実行する。
【0003】
図4は、従来の業務プロセスとデバイスプロセスで2つの非同期処理が実行される手順を示すシーケンス図である。図4の左から順に、業務プロセスと、デバイスプロセスのDO23aと、DO23bのシーケンスである。なお、業務プロセスのシーケンスにおける斜線の枠内は、業務プロセスが、自身の担当する処理を実行中であることを示す。
【0004】
まず、業務プロセスは、自身の担当する処理の実行を中断し、DO23aを起動する(ステップS1)。DO23aは、受付応答を返し(ステップS2)、デバイス処理を開始する。なお、DO23aとDO23bのシーケンスにおける太い実線は、DO23aとDO23bがデバイス処理中であることを示す。次に、業務プロセスは、DO23bを起動する(ステップS3)。DO23bは、受付応答を返し(ステップS4)、デバイス処理を開始する。
【0005】
業務プロセスは、DO23aとDO23bから受付応答を受信すると、自身の担当する処理を実行する。そして、業務プロセスは、DO23aの実行結果が必要となった時点で、DO23aに実行結果を要求する(ステップS5)。DO23aは、要求に応じて業務プロセスに実行結果を送信する(ステップS6)。業務プロセスは、DO23aの実行結果に基づいて、自身の担当する処理を実行する。そして、業務プロセスは、DO23bの実行結果が必要となった時点で、DO23bに実行結果を要求する(ステップS7)。DO23bは、デバイス処理が終了していないため、実行結果を送信することができない。よって、業務プロセスは、DO23bに繰り返し実行結果を要求する(ステップS8)。DO23bは、デバイス処理が終了すると、業務プロセスに実行結果を送信する(ステップS9)。業務プロセスは、DO23bの実行結果に基づいて、自身の担当する処理を実行する。
【0006】
以上のような非同期処理では、DO23a,23bがデバイス処理を実行している間にも、業務プロセスが自身の担当する処理を実行することができる。よって、デバイス処理がハードウェアの起動など時間のかかる処理である場合に、非同期処理を利用するメリットが大きい。
【0007】
【特許文献1】特開2004−157776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のATMの業務プロセスは、DO23a,23b毎にDO23a,23bを起動し(ステップS1,S3)、そして実行結果を要求する(ステップS5,S7,S8)。DO23a,23bも、各々が受付応答を送信し(ステップS2,S4)、実行結果を送信する(ステップS6,S9)。また、実行結果要求時にDOがデバイス処理を終えていない場合は、業務プロセスは繰り返し実行結果を要求する(ステップS7,S8)。
【0009】
つまり、従来のATMでは、複数のデバイスに関する複数の非同期処理を実行する場合、業務プロセスとデバイスプロセスとの間でプロセス間通信が頻発することが多かった。そのため、ATMの処理性能に悪影響を与えるという問題があった。
【0010】
このような問題は、ATMに限らず、複数のプロセス間で通信を行ないつつ処理を実行するプロセス間通信システムに共通する問題であった。
【0011】
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、プロセス間通信の回数を抑制したプロセス間通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題の少なくとも一部を解決するため、本発明によるプロセス間通信システムは、 複数のプロセスが、通信を行ないつつ処理を実行するプロセス間通信システムであって、前記プロセス間通信システムは、自身の担当する処理を実行する業務ロジックと、デバイス処理の実行要求を他のプロセスに送信する第1の送受信タスクとを備えた業務プロセスと、前記実行要求を受信する第2の送受信タスクと、各々任意の前記デバイス処理を実行する複数のデバイス処理部とを備えたデバイスプロセスと、を備え、前記業務ロジックは、前記デバイス処理の実行要求を複数前記第1の送受信タスクに登録した後、登録した複数の実行要求の送信指示を前記第1の送受信タスクに送り、前記第1の送受信タスクは、前記送信指示に応じて、登録された前記複数の実行要求をまとめて前記デバイスプロセスに送信し、前記第2の送受信タスクは、前記複数の実行要求を受信し、個々の実行要求に応じた前記デバイス処理部を起動し、前記デバイス処理部は、起動されるのに呼応して、前記実行要求を受け付けたことを示す受付応答を前記第2の送受信タスクに登録して、前記デバイス処理を実行し、前記第2の送受信タスクは、前記業務プロセスから受信した前記複数の実行要求のすべてに関する前記受付応答が登録された後に、受付応答を前記業務プロセスに送信する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、プロセス間でデバイス処理の実行要求や受付応答をまとめて送受信するので、プロセス間通信の回数を抑制することができる。
【0014】
前記業務ロジックは、自身の担当する処理の実行を中断して、前記デバイス処理の実行要求を複数前記第1の送受信タスクに登録した後、登録した複数の実行要求の送信指示を前記第1の送受信タスクに送り、前記デバイスプロセスから前記受付応答を受信すると、自身の担当する処理の実行を再開する、ものとしても良い。
【0015】
前記デバイス処理部は、前記デバイス処理の実行結果を前記第2の送受信タスクに登録し、前記業務ロジックは、前記実行要求を出した前記デバイス処理のうち、任意の複数の前記デバイス処理に関する実行結果を前記デバイスプロセスにまとめて要求し、前記第2の送受信タスクは、前記要求に応じて、登録された実行結果のうち、要求された実行結果を、前記業務プロセスに送信する、ものとしても良い。
【0016】
これによれば、業務プロセスが実行結果を要求した後、デバイスプロセスは、要求された実行結果をまとめて業務プロセスに送信するので、更にプロセス間通信の回数を抑制することができる。
【0017】
前記業務ロジックは、自身の担当する処理の実行を中断して、前記実行要求を出した前記デバイス処理のうち、任意の複数の前記デバイス処理に関する実行結果を前記デバイスプロセスにまとめて要求し、前記デバイスプロセスから前記実行結果を受信すると、自身の担当する処理の実行を再開する、ものとしても良い。
【0018】
前記第2の送受信タスクは、要求された複数の実行結果が全て登録されていない場合、全て登録されるまで待機し、要求された全ての実行結果をまとめて送信する、ものとしても良い。
【0019】
これによれば、要求された実行結果が全て登録されていない場合であっても、登録されるまで待ってから、要求された実行結果をまとめて送信するので、更にプロセス間通信の回数を抑制することができる。
【0020】
前記業務プロセスと、前記デバイスプロセスとは、コンピュータのプラットフォームに依存しないコンピュータプログラムによってそれぞれ実現されている、ものとしても良い。
【0021】
前記業務プロセスと、前記デバイスプロセスとは、異なるコンピュータ上に存在する、ものとしても良い。
【0022】
なお本発明は種々の形態で実現可能であり、例えば、プロセス間通信方法等の形態で実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、ATM100を示すブロック図である。ATM100は、本発明のプロセス間通信システムに相当し、業務プロセス10とデバイスプロセス20とで通信を行ないながら処理を実行する。業務プロセス10は、ATM100を制御して、ユーザから指示された処理を実行する。デバイスプロセス20は、ATM100に備えられたカード取扱装置や通帳取扱装置などのデバイスを制御しており、業務プロセス10の指示を受けて、デバイスに関するデバイス処理を実行する。デバイス処理とは、例えば、カード情報の読み取り処理や通帳への印字処理などである。業務プロセス10と、デバイスプロセス20とは、コンピュータのプラットフォームに依存しない形式でプログラミングされたプログラムである。ここでは、Java(登録商標)でプログラミングされている。
【0024】
業務プロセス10は、業務ロジック11と送信タスク12とを備えている。業務プロセス10と、業務ロジック11と、送信タスク12は、いずれもオブジェクトとして実装されている。デバイスプロセス20は、受信タスク21と、複数のデバイスオブジェクト22a〜22cを備えている。デバイスプロセスと、受信タスク21も、オブジェクトとして実装されている。
【0025】
業務ロジック11は、自身も処理を実行しつつ、複数のデバイス処理の実行要求を送信タスク12に登録する。送信タスク12は、業務ロジック11からの送信指示に応じて、登録されている実行要求を全てデバイスプロセス20の受信タスク21に送信する。受信タスク21は、送信タスクから複数の実行要求を受信し、個々の実行要求に応じたデバイス処理をするデバイスオブジェクト(以下、DOと呼ぶ)22a〜22cを起動する。DO22a〜22cは、デバイス処理を実行する。DO22a〜22cは、本発明のデバイス処理部に相当する。ここでは、簡単のためにDO22a〜22cは3個であるものとしたが、DO22a〜22cの数は、3個に限らず、2個であっても良いし、4個以上であっても良い。なお、送信タスク12は、送信のみではなく、受信も実行する。また、受信タスク21も、受信のみではなく送信も担当する。従って、これらをそれぞれ「送受信タスク」と呼ぶことも可能である。送信タスク12は、本発明の第1の送受信タスクに相当し、受信タスク21は、本発明の第2の送受信タスクに相当する。
【0026】
図2は、業務プロセス10とデバイスプロセス20とで3つの非同期処理が実行される手順を示すシーケンス図である。図2の左から順に、業務ロジック11と、送信タスク12と、受信タスク21と、3個のDO22a〜22cのシーケンスである。
【0027】
業務ロジック11は、まず、ATM100の操作画面(図示せず)に、ユーザに対する操作ガイダンスを表示し、ユーザからの操作を受け付ける。業務ロジック11のシーケンスにおける斜線の枠内は、業務ロジック11が、このような自身の担当する処理を実行中であることを示す。ここでは、ATM100の利用者から、現金引き出しの指示がされものとする。
【0028】
次に、業務ロジック11は、現金引き出しに応じたDOの実行要求を送信タスク12に登録する。具体的には、カード情報の読み取りを行なうDO22aの実行要求を登録し(ステップS10)、指紋読取装置などの認証装置の起動を行なうDO22bの実行要求を登録し(ステップS20)、通帳の読み取りを行なうDO22cの実行要求を登録する(ステップS30)。そして、登録した実行要求を送信するように送信タスク12に指示を出す(ステップS40)。
【0029】
送信タスク12は、登録された3つの実行要求をまとめて受信タスク21に送信する(ステップS50)。なお、図の太い実線の矢印は、複数の情報がまとめて送信されていることを示す。
【0030】
受信タスク21は、3つの実行要求を受信すると、それらを自身のタスク内に登録する。そして、実行要求に応じたDO22a〜22cを起動する。DO22a〜22cのシーケンスにおける太い実線は、DO22a〜22cがデバイス処理中であることを示す。具体的には、受信タスク21は、DO22aを起動する(ステップS60)。DO22aは、起動されると、実行要求を受け付けたことを示す受付応答を受信タスク21に返し(ステップS70)、カード情報の読み取り処理を行なう。受信タスク21は、受け取った受付応答を自身に登録する。更に、受信タスク21は、DO22bを起動する(ステップS80)。DO22bは、起動されると、受信タスク21に受付応答を返し(ステップS90)、認証装置の起動処理を行なう。受信タスク21は、受け取った受付応答を自身に登録する。更に、受信タスク21は、DO22cを起動する(ステップS100)。DO22cは、起動されると、受信タスク21に受付応答を返し(ステップS110)、通帳の読み取り処理を行なう。受信タスク21は、受け取った受付応答を自身に登録する。
【0031】
なお、受信タスク21は、起動したDO22a〜22cからの受付応答が所定時間以上返ってこないといった異常を検出した場合は、業務プロセス10側に、異常報告をするものとしても良い。
【0032】
受信タスク21は、起動したDO数分の受付応答、つまり3個の受付応答を自身に登録すると、3個の受付応答をまとめて送信タスク12に送信する(ステップS120)。これにより、デバイスプロセス20は、処理を業務プロセス10に返す。なお、受信タスク21がここで送信する受付応答は、DO22a〜22cから受信した3個の受付応答に限らず、新たに受付応答を生成して送信するものとしても良い。
【0033】
受付応答を受信した送信タスク12は、受信した3つの受付応答をまとめて業務ロジック11に送る(ステップS130)。
【0034】
業務ロジック11は、受付応答を受け取り、処理が戻ってくると、自身の担当する処理を実行する。ここでは、カードと通帳の挿入を促すメッセージを操作画面上に表示する。ユーザは、表示に応じて、ATM100にカードと通帳を挿入する。
【0035】
DO22aは、ユーザからカードが挿入されるのを待ち、カードが挿入されると、カード情報の読み取りを実行して、実行結果、つまりカード情報を受信タスク21に登録する(ステップS140)。カード情報には、カードの暗証番号や口座番号も含まれる。DO22cは、ユーザから通帳が挿入されるのを待ち、通帳が挿入されると、通帳の口座番号などの通帳情報を読み取る。
【0036】
一方、業務ロジック11は、カードと通帳の挿入を促すメッセージを操作画面上に表示した後、引き続き、暗証番号の入力を促す画面を表示し、暗証番号が入力されると、待ち受け画面を表示し、DO22aとDO22cの実行結果を送信タスク12に対してまとめて要求する(ステップS150)。業務ロジック11は、送信タスク12に対して要求する際に、例えば、(22a AND 22c)と論理式で指定することにより、DO22aとDO22cの実行結果を要求する。このとき、実行要求を出したDOすべての実行結果を要求する必要はなく、任意の複数のDOに関する実行結果をまとめて要求すれば良い。
【0037】
送信タスク12は、業務ロジック11から要求された実行結果を受信タスク21に対して要求する(ステップS160)。
【0038】
受信タスク21は、業務プロセス10から指定された条件式(22a AND 22c)と、自身に登録されている実行結果を基に、条件式を満たしているか否かを判定する。即ち、業務プロセス10から要求された実行結果が、全て自身に登録されているか否かを判定する(ステップS170)。要求された実行結果が全て登録されている場合は、そこで要求された全ての実行結果をまとめて送信するが、要求された実行結果が全て登録されていない場合は、要求された実行結果が全て登録されるまで待機する(ステップS180)。ここでは、DO22cの実行結果が登録されるまで待機する。DO22cの実行結果は、通帳の口座番号などの通帳情報である。ここで、待機する処理とは、受信タスクが、自身上に配備されている実行結果格納スペースを参照し、指定された実行結果が登録されるのを監視する処理である。そして、受信タスク21は、DO22cの実行結果が登録されると、DO22aの実行結果と併せて、要求された全ての実行結果を、まとめて送信タスク12に送信する(ステップS200)。
【0039】
送信タスク12は、受信タスク21から送信された実行結果を、まとめて業務ロジック11に送る(ステップS210)。
【0040】
業務ロジック11は、受信した実行結果に基づいて、次に自身が実行する処理の内容を決定し、実行する。例えばここでは、DO22aの実行結果であるカードの暗証番号や口座番号と、DO22cの実行結果である通帳の口座番号と、ユーザが入力した暗証番号とを比較し、異常があるか否かを判定する。そして、異常がある場合は、暗証番号が間違っているなどのメッセージを表示し、異常がない場合は、次の操作内容を示すメッセージを操作画面に表示する。
【0041】
なお、受信タスク21は、DO22a〜22cからの実行結果が所定時間以上返ってこないといった異常を検出した場合は、業務プロセス10側に、異常報告をするものとしても良い。
【0042】
以上のように、本実施例では、3つの実行要求及び3つの受付応答及び業務プロセス10が要求した2つの実行結果をまとめて送受信することにより、プロセス間通信システムにおけるプロセス間通信の回数を抑制することができる。通信回数が抑制されることにより、取引性能を向上することが可能となる。また、本実施例では、業務ロジック11は、送信タスク12に対して実行結果を要求する際に、実行結果を論理式形式で指定しており、実行結果の詳細な指定が可能である。更に、本実施例では、ユーザからのカードや通帳の挿入など、業務プロセス10が処理に必要となる時間が予測困難な処理について、デバイスプロセス20が、実行結果が揃うまで待機して、実行結果が揃ったところで実行結果を業務プロセス10にまとめて送信する。よって、業務プロセス10は、実行結果を繰り返し要求する必要もなく、プロセス間通信の回数を抑制することができる。また、デバイスプロセス20のDO22a〜22cは、並列に処理を実行するので、取引性能も向上できる。
【0043】
その他の実施例:
(1)上記実施例では、プロセス間通信システムがATM100上に存在するものとしているが、ATM100に限らず、所定のコンピュータ上に存在するものとしても良い。更に、プロセス間通信システムがすべて1つのコンピュータ上に存在するものと限らず、プロセス間通信システムが複数個のコンピュータ上に分かれて存在するものとしても良い。例えば、業務プロセス10と、デバイスプロセス20が、異なるコンピュータ上に存在するものとしても良い。
【0044】
図3は、業務プロセス10Aと、デバイスプロセス20Aとが、異なるコンピュータ上に存在している場合のプロセス間通信システムを示す説明図である。図3のプロセス間通信システムにおいては、業務プロセス10Aはアプリケーションサーバ200上に存在し、デバイスプロセス20Aは端末300上に存在する。そして、業務プロセス10Aとデバイスプロセス20Aは、ネットワークを介して、JavaRMI(Remote Method Invocation)又はCORBA(Common Object Request Broker Architecture)を用いることにより、プロセス間通信を実行する。本発明のプロセス間通信システムでは、プロセス間通信の回数が抑制されるので、業務プロセス10Aと、デバイスプロセス20Aとが、異なるコンピュータ上に存在している場合には、ネットワークの負荷を軽減することができる。ネットワークの負荷が低減されるので、ネットワーク構築のコストを低減することが可能となる。
【0045】
(2)上記実施例では、業務プロセス10と、デバイスプロセス20がJavaによりプログラミングされているものとして説明したが、これに限らず、C言語など他の言語によりプログラミングされているものとしても良い。
【0046】
(3)上記実施例では、デバイスプロセス20は、業務プロセス10から要求された実行結果が揃うまで待機して、要求された実行結果が全て揃ってから、要求された実行結果を全てまとめて業務プロセス10に送信しているが、これに限らず、デバイスプロセス20は、要求された時点で登録されている実行結果を先に業務プロセス10に送信するものとしても良い。例えば、上記した実施例では、DO22aの実行結果を先に業務プロセス10に送信するものとしても良い。
【0047】
(4)上記実施例では、業務プロセス10は、複数の実行結果をまとめて要求しているが、これに限らず、1つずつ要求するものとしても良い。
【0048】
(5)上記実施例では、デバイスプロセス20は、業務プロセス10から実行結果が要求されてから、業務プロセス10に実行結果を送信しているが、これに限らず、デバイス処理が終了する度に、業務プロセス10に実行結果を送信するものとしても良い。
【0049】
以上、実施例に基づき本発明に係るプロセス間通信システムを説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ATM100を示すブロック図。
【図2】業務プロセス10とデバイスプロセス20とで3つの非同期処理が実行される手順を示すシーケンス図。
【図3】業務プロセス10Aとデバイスプロセス20Aが異なるコンピュータ上に存在している場合のプロセス間通信システムを示す説明図。
【図4】従来の業務プロセスとデバイスプロセスで2つの非同期処理が実行される手順を示すシーケンス図。
【符号の説明】
【0051】
10...業務プロセス
10A...業務プロセス
11...業務ロジック
12...送信タスク
20...デバイスプロセス
20A...デバイスプロセス
21...受信タスク
22a〜22c...デバイスオブジェクト
23a,23b...デバイスオブジェクト
200...アプリケーションサーバ
300...端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプロセスが、通信を行ないつつ処理を実行するプロセス間通信システムであって、
前記プロセス間通信システムは、
自身の担当する処理を実行する業務ロジックと、デバイス処理の実行要求を他のプロセスに送信する第1の送受信タスクとを備えた業務プロセスと、
前記実行要求を受信する第2の送受信タスクと、各々任意の前記デバイス処理を実行する複数のデバイス処理部とを備えたデバイスプロセスと、
を備え、
前記業務ロジックは、前記デバイス処理の実行要求を複数前記第1の送受信タスクに登録した後、登録した複数の実行要求の送信指示を前記第1の送受信タスクに送り、
前記第1の送受信タスクは、前記送信指示に応じて、登録された前記複数の実行要求をまとめて前記デバイスプロセスに送信し、
前記第2の送受信タスクは、前記複数の実行要求を受信し、個々の実行要求に応じた前記デバイス処理部を起動し、
前記デバイス処理部は、起動されるのに呼応して、前記実行要求を受け付けたことを示す受付応答を前記第2の送受信タスクに登録して、前記デバイス処理を実行し、
前記第2の送受信タスクは、前記業務プロセスから受信した前記複数の実行要求のすべてに関する前記受付応答が登録された後に、受付応答を前記業務プロセスに送信する、
プロセス間通信システム。
【請求項2】
請求項1記載のプロセス間通信システムであって、
前記業務ロジックは、自身の担当する処理の実行を中断して、前記デバイス処理の実行要求を複数前記第1の送受信タスクに登録した後、登録した複数の実行要求の送信指示を前記第1の送受信タスクに送り、前記デバイスプロセスから前記受付応答を受信すると、自身の担当する処理の実行を再開する、
プロセス間通信システム。
【請求項3】
請求項1記載のプロセス間通信システムであって、
前記デバイス処理部は、前記デバイス処理の実行結果を前記第2の送受信タスクに登録し、
前記業務ロジックは、前記実行要求を出した前記デバイス処理のうち、任意の複数の前記デバイス処理に関する実行結果を前記デバイスプロセスにまとめて要求し、
前記第2の送受信タスクは、前記要求に応じて、登録された実行結果のうち、要求された実行結果を、前記業務プロセスに送信する、
プロセス間通信システム。
【請求項4】
請求項3記載のプロセス間通信システムであって、
前記業務ロジックは、自身の担当する処理の実行を中断して、前記実行要求を出した前記デバイス処理のうち、任意の複数の前記デバイス処理に関する実行結果を前記デバイスプロセスにまとめて要求し、前記デバイスプロセスから前記実行結果を受信すると、自身の担当する処理の実行を再開する、
プロセス間通信システム。
【請求項5】
請求項3記載のプロセス間通信システムであって、
前記第2の送受信タスクは、要求された複数の実行結果が全て登録されていない場合、全て登録されるまで待機し、要求された全ての実行結果をまとめて送信する、
プロセス間通信システム。
【請求項6】
請求項1記載のプロセス間通信システムであって、
前記業務プロセスと、前記デバイスプロセスとは、コンピュータのプラットフォームに依存しないコンピュータプログラムによってそれぞれ実現されている、
プロセス間通信システム。
【請求項7】
請求項1記載のプロセス間通信システムであって、
前記業務プロセスと、前記デバイスプロセスとは、異なるコンピュータ上に存在する、
プロセス間通信システム。
【請求項8】
複数のプロセスが、通信を行ないつつ処理を実行するプロセス間通信システムにおける通信方法であって、
前記プロセス間通信システムは、
デバイス処理の実行要求を他のプロセスに送信する業務プロセスと、
各々が任意の前記デバイス処理を実行する複数のデバイス処理部を備え、前記実行要求を受信して前記デバイス処理を実行するデバイスプロセスと、
を備え、
前記通信方法は、
前記業務プロセスが、複数の前記デバイス処理の実行要求をまとめて前記デバイスプロセスに送信する工程と、
前記デバイスプロセスが、まとめて送信された前記実行要求を受信し、個々の実行要求に応じた前記デバイス処理部を起動する工程と、
前記デバイス処理部が、起動されるのに呼応して、前記実行要求を受け付けたことを示す受付応答を前記デバイスプロセス内に登録して、前記デバイス処理を実行する工程と、
前記デバイスプロセスが、前記業務プロセスから受信した前記複数の実行要求のすべてに関する前記受付応答が登録された後に、受付応答を前記業務プロセスに送信する工程と、
を備える通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−134206(P2006−134206A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324698(P2004−324698)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)