説明

プロテクタ

【課題】付加的な機能を備えたプロテクタを提供する。
【解決手段】プロテクタPでは、保護部材7にゲルマニウム8を含ませ、この保護部材7を着用者10の肌に密着させることにより、着用者10の身体の保護機能のみならず、ゲルマニウム8の遠赤外効果による保温機能を発揮させる。さらには、ゲルマニウム8による消臭機能、抗菌機能を発揮させる。このように、身体の保護機能に加えて保温、消臭、抗菌といった付加的な機能を備えたプロテクタPを実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の身体を保護するためのプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献に記載されるように、高強度繊維の繊維強化樹脂からなる防護板を衣服に取り付けたプロテクタや、高強度繊維の積層体と金属メッシュ層とを積層させたプロテクタが知られている。これらのプロテクタは、例えば防弾性や防刃性を有しており、着用者の身体を保護する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−371408号公報
【特許文献2】特開2004−245510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来のプロテクタは、身体を保護するという基本的な機能を有するものの、その他の付加的な機能は特に備えていない。近年、プロテクタの分野においては、身体の保護機能に加えて付加的な機能が要求されている。
【0005】
そこで本発明は、付加的な機能を備えたプロテクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプロテクタは、着用者の身体を保護するためのプロテクタであって、炭素繊維を有する保護部材を備え、保護部材にゲルマニウムを含ませ又は付着させたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係るプロテクタによれば、保護部材にゲルマニウムを含ませ又は付着させているので、この保護部材を着用者の肌に密着させることにより、着用者の身体の保護機能のみならず、ゲルマニウムによる保温機能が得られる。さらには、ゲルマニウムによる消臭機能、抗菌機能も得られる。このように、身体の保護機能に加えて付加的な機能を備えたプロテクタを実現できる。
【0008】
ここで、ゲルマニウムは、炭素繊維に接触していると、炭素繊維に電流を流すことにより炭素繊維の温度を上げ、その温度を直接ゲルマニウムに伝えることができる。これにより、ゲルマニウムに強い遠赤外線を発生させ、保温効果を高めることができる。
【0009】
また、上記作用をより効果的に奏する構成としては、具体的には、炭素繊維に電流を供給する電流供給手段を備える構成が挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、付加的な機能を備えたプロテクタを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプロテクタの着用状態を示す図である。
【図2】図1のプロテクタの着用状態を背面側から見た図である。
【図3】(a)はプロテクタの変形部の外観を示す図、(b)は変形部の断面構造を示す図である。
【図4】(a)は図1のプロテクタの構造を示す図、(b)はプロテクタの他の構造を示す図である。
【図5】(a)は図1のプロテクタにおける保護部材の構造を示す図、(b)は保護部材の他の構造を示す図である。
【図6】第2実施形態に係るプロテクタの着用状態を示す図である。
【図7】第3実施形態に係るプロテクタの着用状態を示す図である。
【図8】第4実施形態に係るプロテクタの着用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るプロテクタの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1に示すように、プロテクタPは、着用者10の身体を保護するためのものである。着用者10としては、自衛官、警察官、消防士といった危険の伴う職種に携わる人が挙げられる。また、この他にも着用者10として、車両(四輪車および二輪車を含む)のドライバ、車両の乗員、スポーツ選手、登山者、ダイバーなどが挙げられる。
【0014】
プロテクタPは、胴部保護用プロテクタ1、腕部保護用プロテクタ2、及び脚部保護用プロテクタ3を備えている。胴部保護用プロテクタ1は、着用者10の胸、首、腹、背、及び腰などを保護する(図2も参照)。腕部保護用プロテクタ2は、着用者10の肩、上腕、肘、前腕などを保護する。脚部保護用プロテクタ3は、着用者10の膝および脛などを保護する。
【0015】
胴部保護用プロテクタ1、腕部保護用プロテクタ2、及び脚部保護用プロテクタ3は、厚みが1〜10mmの炭素繊維強化樹脂(CFRP;Carbon Fiber Reinforced Plastics)製の板材から成っている。各プロテクタ1〜3は、保護すべき部位に沿う形状に成形されている。各プロテクタ1〜3は、例えば薄いメッシュ地から成るインナスーツ4に縫い付けられている。着用者10がこのインナスーツ4を着ることにより、各プロテクタ1〜3が各部位に装着されるようになっている。各プロテクタ1〜3は、メッシュ地のインナスーツ4を介して着用者10の肌に密着する。
【0016】
図3(a)に示すように、胴部保護用プロテクタ1のうち腹および腰に密着する部分は、身体の収縮や屈曲に応じて変形可能な変形部20になっている。より具体的には、変形部20は、円筒状の第1部材21、第2部材22、及び第3部材23が上下方向に連結された構造になっている。第1部材21、第2部材22、及び第3部材23は、背面の連結部24で連結されている。第1部材21の外径は第2部材22の内径よりも小さく、第2部材22の外径は第3部材23の内径よりも小さい。第1部材21と第2部材22、及び第2部材22と第3部材23は、重なり部分A,Bでそれぞれ重なっている(図3(b)参照)。連結部24は、第1部材21と第2部材22、及び第2部材22と第3部材23の境界の位置において、他の部分よりも肉厚が薄くされた極薄部25を有している。極薄部25の厚みは、0.1〜2mmになっている。着用者10の身体の収縮や屈曲に応じて、この極薄部25が変形すると共に、重なり部分A,Bでの重なり具合が変化する。
【0017】
図4(a)に示すように、各プロテクタ1〜3は、炭素繊維強化樹脂製の板材である保護部材7内にゲルマニウム8を含ませた構造になっている。着用者10の身体のうち重要な部位を保護する板材は、他の部位を保護する板材よりも厚くなっている。保護部材7内に含まれるゲルマニウム8は、単体のゲルマニウムであってもよいし、酸化ゲルマニウムの粉末であってもよい。ゲルマニウム8は、後述する炭素繊維12(図5(a)参照)に含まれている。
【0018】
さらに、プロテクタPは、各プロテクタ1〜3に電流を供給するための電流供給装置9を備えている。電流供給装置9は、例えば、電源としてのバッテリ、電流の供給を制御する制御部、着用者10によって操作される操作部などを備えている。電流供給装置9は、配線9aによって保護部材7の炭素繊維12(図5(a)参照)に接続されている。電流供給装置9は、炭素繊維12に電流を供給する。なお、図1では電流供給装置9の図示は省略されているが、電流供給装置9は、例えば胴部保護用プロテクタ1の一部分に装着される。
【0019】
図5(a)に示すように、保護部材7は、樹脂11内に炭素繊維12を配置した構造になっている。ここで、炭素繊維12は、図4(a)に示すゲルマニウム8を含有している。炭素繊維12は、ゲルマニウム8を含有することで、ゲルマニウム8に接触している。上記の電流供給装置9から供給された電流は、炭素繊維12内を流れるように構成されている。さらに、炭素繊維12内を電流が流れることにより、炭素繊維12の温度が上昇し、炭素繊維12に接触するゲルマニウム8が活性化され、その遠赤外効果が高められる。
【0020】
上記構成を有するプロテクタPを着用者10が着用することにより、保護部材7によって着用者10の身体が保護される。プロテクタPは、耐衝撃性、防弾性、及び防刃性を有している。ここで、例えば着用者10によって電流供給装置9の操作部が操作されると、炭素繊維12に電流が供給され、ゲルマニウム8が活性化される。ゲルマニウム8は、遠赤外効果を有すると共に、保温効果、消臭効果、抗菌効果などを有する。炭素繊維12への電流の供給により、これらの効果が高められる。
【0021】
本実施形態のプロテクタPによれば、保護部材7にゲルマニウム8を含ませているので、この保護部材7を着用者10の肌に密着させることにより、着用者10の身体の保護機能のみならず、ゲルマニウム8の遠赤外効果による保温機能が発揮される。さらには、ゲルマニウム8による消臭機能、抗菌機能が発揮される。このように、身体の保護機能に加えて保温、消臭、抗菌といった付加的な機能を備えたプロテクタPを実現できる。
【0022】
また、ゲルマニウム8は、保護部材7の炭素繊維12に接触しているため、炭素繊維12に電流を流すことにより炭素繊維12の温度が上昇し、その温度が直接ゲルマニウム8に伝わる。これにより、ゲルマニウム8に強い遠赤外線が発生し、保温効果が高められる。
【0023】
このようなプロテクタPは、乗用車またはトラックにおけるドライバや乗員用として好適である。また、二輪車のライダー用としても適しており、一般道路を走る超小型一人乗りミニカーのドライバ用としても適している。また、女性の身体を保護するのにも適している。妊婦用として、腹帯タイプとしてもよい。また、高齢者用として、手足全体を覆う上着、ズボンの形状に成形してもよい。この場合、ヒーターを別途内蔵させたり、保護部材7の厚みを増したりしてもよい。また、テレビアニメのキャラクターの形状を模したプロテクタPであってもよい。
【0024】
プロテクタPは、薄い保護部材7によって成形されているので、プロテクタPを着用した上からスーツやアウター等を着用することもできる。
【0025】
本発明のプロテクタは、上記実施形態の他にも種々の変形態様を採ることができる。例えば、図6に示すように、頭部を覆うヘルメット30や顔面を保護する顔面部保護用プロテクタ31を備えたプロテクタPBとしてもよい。ヘルメット30および顔面部保護用プロテクタ31は、図4(a)に示した各プロテクタ1〜3と同様の構成とされる。この場合も、プロテクタPと同様の作用効果が奏される。
【0026】
また、図7に示すように、既製の帽子と同様の形状の頭部保護用プロテクタ33を備えたプロテクタPCとしてもよい。頭部保護用プロテクタ33は、図4(a)に示した各プロテクタ1〜3と同様の構成とされる。この場合も、プロテクタPと同様の作用効果が奏される。
【0027】
また、図8に示すように、首の後ろから挿入されるタイプの首部保護用プロテクタ34を備えたプロテクタPDとしてもよい。首部保護用プロテクタ34は、図4(a)に示した各プロテクタ1〜3と同様の構成とされる。この場合も、プロテクタPと同様の作用効果が奏される。
【0028】
また、寒冷地の登山者用のプロテクタとして、リュックサック上に電流供給手段としての太陽電池をシート状に被せ、発電した電力をリチウムバッテリに充電し、蓄電した電力を用いて夜間に身体を温めてもよい。また、ダイバー用のプロテクタとして、電流供給手段としての太陽電池を水面に浮かせ、配線9aを通じて電流を供給し、水中のダイバーの身体を温めてもよい。
【0029】
また、上記実施形態では、ゲルマニウム8が炭素繊維12に含まれる場合について説明したが、ゲルマニウム8は、保護部材7の成形時において、炭素繊維12上に配置されるように混入されてもよい。
【0030】
また、上記実施形態では、保護部材7内にゲルマニウム8を含ませた構造のプロテクタPについて説明したが、図4(b)に示すように、保護部材7の表面にゲルマニウム8が付着された構造のプロテクタPAであってもよい。この場合、例えばゲルマニウム8は、保護部材7上に接着される。ゲルマニウム8は、炭素繊維12に接触するように配置される。
【0031】
また、上記実施形態では、樹脂11内に炭素繊維12を配置した構造の保護部材7について説明したが、図5(b)に示すように、金属製の母材13上に炭素繊維14が付着された構造の保護部材7Aであってもよい。この場合、炭素繊維14には電流供給装置9が接続されると共に、ゲルマニウム8は、炭素繊維14に含まれ、又は、炭素繊維14上に配置される。
【0032】
また、肌との通気性を上げるために内部に薄手の多孔質のクッション材を取り付けてもよく、保護部材7,7Aに穴を開けてもよい。また、プロテクタは、インナスーツ4に縫い付けられる場合に限られず、地肌に直接装着してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…胴部保護用プロテクタ、2…腕部保護用プロテクタ、3…脚部保護用プロテクタ、7,7A…保護部材、8…ゲルマニウム、9…電流供給装置(電流供給手段)、10…着用者、12,14…炭素繊維、30…ヘルメット(プロテクタ)、31…顔面部保護用プロテクタ、33…頭部保護用プロテクタ、34…首部保護用プロテクタ、P,PA〜PD…プロテクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の身体を保護するためのプロテクタであって、
炭素繊維を有する保護部材を備え、
前記保護部材にゲルマニウムを含ませ又は付着させたことを特徴とする、
プロテクタ。
【請求項2】
前記ゲルマニウムは、前記炭素繊維に接触している請求項1記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記炭素繊維に電流を供給する電流供給手段を備える請求項2記載のプロテクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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