説明

プロテクタ

【課題】係止孔と係止孔に嵌め入れられる係止アームとの位置ずれによる嵌め込み不良を容易に視認することができるとともに、配設スペースの制約を受けにくいプロテクタを提供することを目的とする。
【解決手段】プロテクタ10はプロテクタ本体20とプロテクタ本体20の開口部を塞ぐ蓋部40とを備える。プロテクタ本体20は、係止孔35を形成する係止枠部30を備える。蓋部40は、係止孔35に挿入されることで係止枠部30に係止される係止爪部50を備える。係止枠部30は、蓋部40がプロテクタ本体20の開口部を塞ぐ際に、係止爪部50が係止孔35に挿入されると蓋部40に当接せず、係止爪部50が係止孔35の外方に外れて配設されると蓋部40と当接する位置で、係止爪部50が挿入される側の係止枠部30の端面から係止孔35での係止爪部50の挿入方向とは反対方向に突出する突出部39を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスを保護するプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等に配設されるワイヤハーネスを保護するため、プロテクタ本体と、プロテクタ本体の開口を塞ぐ蓋体とを備えるプロテクタが知られている。プロテクタは、蓋体に設けられた係止アームが、プロテクタ本体に設けられた係止枠によって形成された係止孔に位置合わせされてから嵌め入れられることによって、蓋体がプロテクタ本体を塞ぐ構造を有する。
【0003】
特許文献1には、係止アームと係止孔との位置ずれによる嵌め込み不良を抑えるため、係止孔の開口部縁部に係止アームの落ち込みを防止する落ち込み防止壁が設けられたプロテクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−344627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されたプロテクタでは、落ち込み防止壁が係止枠よりも外側に向かって張り出している。このため、当該プロテクタの配設スペースはその分余計に必要であり、プロテクタを装着したワイヤハーネスは配設される位置を制限されるおそれがある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、係止孔と係止孔に嵌め入れられる係止アームとの位置ずれによる嵌め込み不良を容易に視認することができるとともに、配設スペースの制約を受けにくいプロテクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、プロテクタであって、ワイヤハーネスを収容するプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体の開口部を塞ぐ蓋部と、を備え、前記プロテクタ本体は、前記プロテクタ本体の外周面に突設されて、係止孔を形成する係止枠部を備え、前記蓋部は、前記開口部を塞いだ状態で前記係止孔に向かって延出し、前記係止孔に挿入されることで前記係止枠部に対して係止される係止爪部を備え、前記係止枠部は、前記蓋部が前記プロテクタ本体の前記開口部を塞ぐ際に、前記係止爪部が前記係止孔に挿入されると前記蓋部に当接せず、前記係止爪部が前記係止孔の外方に外れて配設されると前記蓋部と当接する位置で、前記係止爪部が挿入される側の前記係止枠部の端面から前記係止孔での前記係止爪部の挿入方向とは反対方向に向かって突出する突出部を備える。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に係るプロテクタであって、前記係止爪部は、前記蓋部が前記プロテクタ本体の前記開口部を塞いだ状態で、前記蓋部の直線状の縁部の一部分から前記係止孔に向って延出し、前記突出部は、前記係止爪部が前記係止孔に挿入された状態で、前記前記係止爪部の側方に沿って配設される位置に突出形成されている。
【0009】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係るプロテクタであって、前記突出部は、前記係止爪部が前記係止孔で係止された状態で、前記蓋部の面を越えない突出寸法を有する。
【0010】
第4の発明は、第1ないし第3の発明のいずれか1つに係るプロテクタであって、前記係止枠部は、前記外周面に突設された一対の側枠部と、前記一対の側枠間を連結する外枠部と、を備え、前記突出部は、前記一対の側枠部のうち一方の側枠部から突出している。
【0011】
第5の発明は、第1ないし第4の発明のいずれか1つに係るプロテクタであって、前記突出部の外周側面のうち、前記係止枠部の側面に連なる部分が前記係止枠部の側面に対して面一の状態である。
【0012】
第6の発明は、第1ないし第5の発明のいずれか1つに係るプロテクタであって、前記突出部は、その先端部のうち前記プロテクタ本体の開口部を塞ぐ蓋部に近い側の部分が、前記プロテクタ本体の外周面のうち前記係止枠部が形成された部分よりも外方に離れる形状に形成されている。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、係止爪部が係止孔の外方に外れて配設されると、蓋部が突出部に当接するため、蓋部はプロテクタ本体の開口部から浮いた状態となる。従って、係止爪部と係止孔との嵌め込み不良を容易に視認することができる。また、突出部は、係止爪部が挿入される側の係止枠部の端面から、係止孔での係止爪部の挿入方向とは反対方向に向かって突出しているため、プロテクタは配設スペースの制約を受けにくい。
【0014】
第2の発明によれば、前記係止爪部は、前記蓋部が前記プロテクタ本体の前記開口部を塞いだ状態で、前記蓋部の直線状の縁部の一部分から前記係止孔に向って延出し、前記突出部は、前記係止爪部が前記係止孔に挿入された状態で、前記前記係止爪部の側方に沿って配設される位置に突出形成されているため、係止爪部が係止孔の外方にずれると、突出部が蓋部の直線状の縁部に当接する。このため、係止爪部と係止孔との嵌め込み不良を容易に視認することができる。
【0015】
第3の発明によれば、突出部は、係止爪部が係止孔で係止された状態で、蓋部の面を越えない突出寸法を有する。このため、突出部が、蓋部の面から突出して、プロテクタが装着されたワイヤハーネスの配設箇所の周囲の部材と干渉することを抑えられる。
【0016】
第4の発明によれば、突出部は一対の側枠部のうち一方の側枠部から突出している。このような簡易な構成の突出部を用いて、係止爪部が係止孔の外方に外れて配設された状態を視認することができるため、軽量化を図ることができる。
【0017】
第5の発明によれば、前記突出部の外周側面のうち、前記係止枠部の側面に連なる部分が前記係止枠部の側面に対して面一の状態である。このため、突出部を備えるにもかかわらず、プロテクタを作製するための金型を比較的形成しやすい形状にすることができる。
【0018】
第6の発明によれば、前記突出部は、その先端部のうち前記プロテクタ本体の開口部を塞ぐ蓋部に近い側の部分が、前記プロテクタ本体の外周面のうち前記係止枠部が形成された部分よりも外方に離れる形状に形成されているため、プロテクタ本体に当接する蓋部の縁部がプロテクタ本体の外周面側に配置された突出部に干渉することを抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るプロテクタの斜視図である。
【図2】プロテクタが備える係止枠の斜視図である。
【図3】係止爪部が係止孔で係止されている様子を示す断面図である。
【図4】係止爪部が係止孔から外れて配設された様子を示す斜視図である。
【図5】係止爪部が係止孔から外れて配設された様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0021】
図1には、実施形態にかかるプロテクタ10が示されている。プロテクタ10は、車両の車体パネルに沿って配設されるワイヤハーネスWHに外装される部材であり、ワイヤハーネスWHの配設経路に沿う形状を有する。なお、本実施形態では、プロテクタ10は真っ直ぐなワイヤハーネスWHを収容する部材とする。
【0022】
プロテクタ10はプロテクタ本体20及び蓋部40を備える。
【0023】
プロテクタ本体20は、底板部21と一対の側壁部22とを備える。底板部21は、プロテクタ本体20の底面を構成する矩形の板部分である。側壁部22は、底板部21の外縁を構成する縁部のうち、平行な一対の縁部から、底板部21の矩形面に直交する方向(以下において、立ち上がり方向と称する場合がある。)に立ち上がる板部分である。即ち、プロテクタ本体20は断面がUの字形状の部材である。
【0024】
蓋部40は、プロテクタ本体20の開口部を閉塞可能に構成されている。ここでは、蓋部40は、天井板部41の両側部に一対の側壁部42が形成された断面略U字状に形成されている。もっとも、蓋部40の深さは、プロテクタ本体20の深さよりも浅い。
【0025】
本実施形態では、プロテクタ本体20と蓋部40とは、蓋部40の一方の側壁部42とプロテクタ本体20の一方の側壁部22との外面に跨って設けられた図示しないヒンジによって連結されている。従って、蓋部40は、プロテクタ本体20の開口部に対して開閉可能である。かかるプロテクタ10は、樹脂による金型一体成型品として製造することができる。なお、プロテクタ本体20と蓋部40との間のヒンジによる連結構造が省略され、プロテクタ本体20と蓋部40との両側部が、後述する係止爪部50と係止孔35とが係止される構造によって、連結されてもよい。
【0026】
プロテクタ本体20の他方の側壁部22の縁部(プロテクタ本体20の縁部)は直線状に延びる形状であり、蓋部40の他方の側壁部42の縁部(蓋部40の縁部)も直線状に延びる形状である。蓋部40がプロテクタ本体20の開口部を塞いだ状態で、蓋部40の他方の側壁部42の縁部は、プロテクタ本体20の他方の側壁部22の縁部に対して対向して突合わされる。この状態では、プロテクタ本体20の他方の側壁部22の外面と蓋部40の他方の側壁部42の外面とは、連続する面を形成するように連なる。
【0027】
プロテクタ本体20が備える一対の側壁部22のうち、ヒンジが設けられている一方の側壁部22とは異なる他方の側壁部22の外周面に、係止枠部30が突設されている。
【0028】
図2には係止枠部30が示されている。係止枠部30は、側壁部22から突設された一対の側枠部31と、一対の側枠部31の対向する内向き部分間を連結する外枠部32と、を備える。このような一対の側枠部31、外枠部32、及び側壁部22に囲まれて、孔(以下において、係止孔35と称する。)が形成される。つまり、係止孔35を形成する1つの面は、一方の側壁部22の外面の一部である。なお、係止孔35の中心軸の方向は、側壁部22の立ち上がり方向に沿っている。
【0029】
なお、外枠部32の内面及び側壁部22のうち係止孔35を囲む外面部分のうち後述する係止爪部50の挿入方向とは逆側の部分は、前記挿入方向とは逆方向に向けて外向き傾斜するガイド面321に形成されている。
【0030】
このような係止枠部30の端面、より具体的には後述する係止爪部50が嵌め入れられる側の端面(図1等では上側の端面)に、突出部39が形成されている。本実施形態での突出部39は、一対の側枠部31のうち、一方の側枠部31から突出しており、他方の側枠部31には形成されていない。
【0031】
突出部39は、係止孔35での係止爪部50の挿入方向とは反対方向に向かって、つまり立ち上がり方向に沿って上方向に当該端面から突出している。従って、突出部39は、係止枠部30の厚み及び係止枠部30が突設する方向(以下において、単に「横方向」と称する。)の寸法を超えない程度の厚み及び横方向の寸法を有する。本実施形態では、突出部39の外周側面のうち、係止枠部30の横方向における外側の面に連なる部分が、当該係止枠部30の横方向における外側の面に対して面一の状態である。また、突出部39の外周側面のうち、係止枠部30の側面に連なる部分が当該係止枠部30の側面に対して面一の状態である。より具体的には、突出部39の外周側面のうち側枠部31の外面及び内面に連なる部分が側枠部31に対して面一の状態である。つまり、突出部39の厚みは、側枠部31の厚みと同等である。
【0032】
また、突出部39は、蓋部40がプロテクタ本体20を塞いだ状態での蓋部40の外側の面を越えない程度の突出方向の寸法を有している。本実施形態では、プロテクタ本体20の側壁部22の端面と係止枠部30の端面とは同一面上に位置している。また、係止枠部30の前記端面からの突出部39の突出寸法は、蓋部40の高さ寸法(前記挿入方向における寸法)よりも小さく設定されている。従って、蓋部40がプロテクタ本体20の開口部を塞いだ状態で、突出部39は前記挿入方向において蓋部40を(ここでは上方に)越えない。このため、突出部39が蓋部40の外側の面(ここでは上側の面)から突出することを抑えられる。なお、突出部39は、側壁部22に設けられた係止枠部30の位置によらず、少なくとも蓋部40が当接する側壁部22の端面を越えるほどの突出寸法を有する必要がある。
【0033】
蓋部40がプロテクタ本体20の開口部を塞いだ状態で、突出部39は、係止爪部50の側方に沿って配設される。このため、突出部39は、側壁部22の外面からの突出方向においては、係止爪部50から大きく突出しない。特に、本実施形態では、側壁部22の外面からの突出方向において、突出部39と係止枠部30とは面一状となっている。このため、側壁部22の外面からの突出方向において、突出部39は係止枠部30から突出していない。
【0034】
また、突出部39は、その先端部のうちプロテクタ本体20の開口部を塞ぐ蓋部40に近い側の部分が、プロテクタ本体20の外周面のうち係止枠部30が形成された部分よりも外方に離れる形状に形成されている。
【0035】
ここでは、突出部39の外面のうち、プロテクタ本体20が備える側壁部22の外周面側に位置する面は、立ち上がり方向に向けて、即ち係止孔35での挿入方向とは反対方向に向けて、側壁部22の外周面から離れる方向に傾斜する傾斜面391に形成されている。本実施形態に係る傾斜面391は、側枠部31の根元側の部分から所定の角度で、突出部39の突出方向の先端に向かって傾斜している。なお、突出部39の傾斜面391は、直線状である形態に限らず、プロテクタ本体20の外周面から離れる方向に丸みを帯びつつ傾斜していてもよい。また、突出部の先端部のうち蓋部40に近い側の部分が丸みを帯びた形状に形成されていてもよい。また、プロテクタ本体20の外周面から離れる方向に傾斜の角度が異なる複数の面が連なって、当該傾斜面391を形成していてもよい。
【0036】
蓋部40は、係止孔35に挿入される係止爪部50を備える。係止爪部50は、係止片51と係止突起52とを備える。
【0037】
係止爪部50は、プロテクタ本体20の開口部を塞いだ状態で、プロテクタ本体20に設けられた係止枠部30に対応する蓋部40の位置に設置されている。係止枠部30に対応する蓋部40の位置は、係止爪部50が係止孔35に挿入可能な位置に相当する。本実施形態では、係止片51がまっすぐな板状の部材であるため、係止爪部50は、蓋部40がプロテクタ本体20の開口部を塞いだ状態で、係止孔35よりも上方に位置する側壁部42の外側の面に設けられている。
【0038】
係止片51は、蓋部40がプロテクタ本体20の開口部を塞いだ状態で、蓋部40の側壁部42の外側の面から係止孔35に向かって延出している。側壁部42の外側の面は、プロテクタ本体20の側壁部22の端面に当接する側壁部42の縁部(以下において、下側端面と称する。)の外側に位置する面に相当する。よって、係止片51は、蓋部40の直線状の縁部の一部から係止孔35に向けて直線状に延出していると捉えることができる。
【0039】
係止突起52は、係止片51の先端部の外側の面に設けられている。係止片51の先端部の外側面は、その先端側に向けて内向き傾斜する斜面511に形成されている。係止突起52は、前記斜面521から連続して同一方向に傾斜する斜面521を有している。また、係止突起52のうち前記挿入方向とは反対側の面は、当該挿入方向と直交する係止面522に形成されている。係止爪部50が係止孔35の位置に合わされて、係止片51が係止孔35内に挿入されると、前記斜面521、511が外枠部32に接触する。これにより、外枠部32が外向きに弾性変形し、係止突起52が外枠部32を越えると、係止突起52の係止面522が外枠部32の端面(下側の端面)に当接する。これによって、係止爪部50は係止枠部30に対して係止される。
【0040】
図3には、係止爪部50が係止孔35に挿入されて、係止枠部30で係止されている状態が示されている。
【0041】
ここで、係止爪部50が係止孔35に挿入されて、蓋部40がプロテクタ本体20の開口部を塞ごうとする場合の流れを説明する。蓋部40がプロテクタ本体20の開口部を塞ごうとすると、側壁部42の下側端面は、ヒンジを中心にして円を描くような軌道で側壁部22の端面に当接しようとする。このとき、係止爪部50が係止孔35の位置に合わされ係止孔35内に挿入されると、係止突起52が外枠部32の端面(下側端面)に当接する。なお、係止爪部50は係止枠部30では、係止孔35の軸方向に沿って上から下方向へ挿入される。また、プロテクタ本体20が備える側壁部22の端面が、蓋部40が備える側壁部42の下側端面に当接して、蓋部40がプロテクタ本体20の開口部を塞ぐ。係止爪部50が係止枠部30で係止されるため、蓋部40がプロテクタ本体20の開口部を塞いだ状態が維持される。
【0042】
上記のように係止爪部50が係止孔35に正常に挿入されるのであれば、突出部39は、側壁部22の縁部を避けて係止爪部50の側方に配置されているため、突出部39と蓋部40とは当接しない。蓋部40がプロテクタ本体20の開口部に対して正常に装着された状態では、突出部39は係止爪部50の側方に配設された状態となる。
【0043】
これに対して、例えば、係止爪部50が係止孔35に対して正確に位置合わせされず、外枠部32の外方に向けて位置ずれした状態で、蓋部40がプロテクタ本体20の開口部を塞ごうとする場合を考える。この場合、本来ならばプロテクタ本体20が備える側壁部22の端面に当接するはずの蓋部40の下側端面は側壁部22の端面よりも外方に位置ずれしている。このため、側壁部42の下側端面、具体的には、蓋部40の直線状縁部のうち係止爪部50が形成された側壁部42の部分の側方部分に対応する直線状縁部は、側枠部31で突出している突出部39に当接する(図4、図5参照)。つまり、挿入位置のずれによって、プロテクタ本体20の開口部を塞ごうとする蓋部40が描く軌道に、突出部39の部分が重なってしまうため、蓋部40の下側端面が突出部39に当接する。
【0044】
突出部39の突出方向の先端部は、プロテクタ本体20が備える側壁部22の端面よりも突出しているため、突出部39はいずれかの部分で蓋部40の下側端面に当接する。このため、少なくとも突出部39が蓋部40に当接した部分では、蓋部40はプロテクタ本体20に対して浮き上がった状態に維持される。
【0045】
なお、係止爪部50が係止孔35に正常に挿入される際、側壁部22に形成された傾斜面391によって蓋部40と突出部39との干渉が抑制されている。すなわち、傾斜面391は、挿入方向と反対方向に向けて、プロテクタ本体20の外周面、即ち、プロテクタ本体20の開口部に装着された蓋部40から離れる方向に傾斜している。このため、突出部39の先端部のうち蓋部40に近い側の部分は、プロテクタ本体20の側壁部22の外面延長上(プロテクタ本体20の開口部を塞ぐ蓋部40の側壁部42の外面)から退避した位置に配設される。
【0046】
従って、係止爪部50が係止孔35に挿入されて、係止枠部30に係止されるまでの間に、側壁部42の下側端面が描く軌道が、突出部39と重なりにくい。このため、側壁部42の下側端面が突出部39の傾斜面391に干渉することは抑えられる。
【0047】
以上のように、本実施形態に係るプロテクタ10では、係止枠部30が、係止爪部50が挿入される側の端面から係止孔35での挿入方向とは反対方向に向かって突出し、蓋部40がプロテクタ本体20の開口部を塞ぐ様に、係止爪部50が係止孔35に挿入されると当接せず、係止爪部50が係止孔35の外方に外れて配設されると、蓋部40が当接する突出部39を備える。このため、係止爪部50が係止孔35の外方に外れて配設されると、蓋部40が突出部39に当接するため、プロテクタ本体20の開口部は塞がれず、蓋部40がプロテクタ本体20に対して浮き上がった状態に維持される。従って、この蓋部40とプロテクタ本体20との隙間の存否によって係止爪部50と係止孔35との嵌め込み不良を容易に視認することができる。特に、係止爪部50と係止孔35とが嵌め込まれていないにも関わらず、蓋部40がプロテクタ本体20を塞いでしまうことは起こりにくくなる。
【0048】
また、突出部39は、係止爪部50が挿入される側の係止枠部30の端面から、係止孔35での挿入方向とは反対方向に向かって突出している。このため、側壁部42の外方になるべく突出させないようにすることができる。このため、突出部39が係止枠部30に設けられるにも関わらず、プロテクタ10は配設スペースの制約を受けにくい。また、係止孔35での係止爪部50の挿入方向においても、突出部39は係止爪部50に沿った方向に延びているため、プロテクタ配設時の制約要因とはなりがたい。
【0049】
また、本実施形態に係る突出部39は、係止枠部30の上方に突出する形状であるため、比較的簡易な金型にて製造できる。仮に、プロテクタ本体20内に押込み防止壁等を形成すると、当該落込み防止壁を形成するために、プロテクタ本体20に金型抜き用の孔を形成する必要が生じ、プロテクタの強度低下、収容されるワイヤハーネスのはみ出し、さらには外部からの水、油の浸入等が生じる恐れがある。本実施形態では、プロテクタ本体20内に突起形状を形成する必要はないため、そのような問題の発生を抑制できる。
【0050】
また、突出部39は、係止爪部50が係止孔35で係止された状態で、蓋部40の面を越えない突出寸法を有する。このため、突出部39が、蓋部40の面から突出して、プロテクタ10が装着されたワイヤハーネスWHの配設箇所の周囲の部材と干渉することを抑えられる。
【0051】
また、突出部39は一対の側枠部31のうち一方の側枠部31で突出している。このような簡易な構成の突出部39を用いて、係止爪部50が係止孔35の外方に外れて配設された状態を容易に視認することができるため、側枠部31の両方に同じサイズの突出部39が突出している場合よりも軽量化を図ることができる。
【0052】
また、突出部39の外周側面のうち、側枠部31に連なる部分が側枠部31に対して面一の状態である。このため、突出部39を備えるにもかかわらず、プロテクタ10を作製するための金型を比較的形成しやすい形状にすることができる。
【0053】
また、突出部39は、その先端部のうちプロテクタ本体20の開口部を塞ぐ蓋部40に近い側の部分が、プロテクタ本体20の外周面のうち係止枠部30が形成された部分よりも外方に離れる形状に形成されている。このため、プロテクタ本体20に当接する蓋部40の縁部がプロテクタ本体20の外周面側に配置された突出部39に干渉することを抑えられる。
【符号の説明】
【0054】
10 プロテクタ
20 プロテクタ本体
21 底板部
22 側壁部
30 係止枠部
31 側枠部
32 外枠部
35 係止孔
39 突出部
40 蓋部
41 天井板部
42 側壁部
50 係止爪部
51 係止片
52 係止突起
WH ワイヤハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスを収容するプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体の開口部を塞ぐ蓋部と、
を備え、
前記プロテクタ本体は、前記プロテクタ本体の外周面に突設されて、係止孔を形成する係止枠部を備え、
前記蓋部は、前記開口部を塞いだ状態で前記係止孔に向かって延出し、前記係止孔に挿入されることで前記係止枠部に対して係止される係止爪部を備え、
前記係止枠部は、前記蓋部が前記プロテクタ本体の前記開口部を塞ぐ際に、前記係止爪部が前記係止孔に挿入されると前記蓋部に当接せず、前記係止爪部が前記係止孔の外方に外れて配設されると前記蓋部と当接する位置で、前記係止爪部が挿入される側の前記係止枠部の端面から前記係止孔での前記係止爪部の挿入方向とは反対方向に向かって突出する突出部を備える、プロテクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロテクタであって、
前記係止爪部は、前記蓋部が前記プロテクタ本体の前記開口部を塞いだ状態で、前記蓋部の直線状の縁部の一部分から前記係止孔に向って延出し、
前記突出部は、前記係止爪部が前記係止孔に挿入された状態で、前記前記係止爪部の側方に沿って配設される位置に突出形成されている、プロテクタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプロテクタであって、
前記突出部は、
前記係止爪部が前記係止孔で係止された状態で、前記蓋部の面を越えない突出寸法を有する、プロテクタ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載のプロテクタであって、
前記係止枠部は、
前記外周面に突設された一対の側枠部と、
前記一対の側枠間を連結する外枠部と、を備え、
前記突出部は、前記一対の側枠部のうち一方の側枠部から突出している、プロテクタ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載のプロテクタであって、
前記突出部の外周側面のうち、前記係止枠部の側面に連なる部分が前記係止枠部の側面に対して面一の状態である、プロテクタ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載のプロテクタであって、
前記突出部は、その先端部のうち前記プロテクタ本体の開口部を塞ぐ蓋部に近い側の部分が、前記プロテクタ本体の外周面のうち前記係止枠部が形成された部分よりも外方に離れる形状に形成されている、プロテクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−239343(P2012−239343A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108139(P2011−108139)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】