プロテーゼ修復用繊維
【課題】特に軟組織及び筋壁開口の修復に適している移植可能なプロテーゼが、解剖学的弱点又は欠損を修復又は増強するために提供される。
【解決手段】プロテーゼ20は、組織内方成長の増強を促進すると同時に、繊維と組織又は器官との術後癒着の発生を制限するように構成されている。組織内方成長を可能にし、かつ組織及び器官の癒着形成の影響を受けやすいように構成され、配置されている繊維の層22を含みうる。1つ以上のバリア114、116が、組織及び器官との癒着形成を阻止するように繊維の選択部分上に提供される。食道若しくは他の管状構造物、若しくは修復及び/又は増強を必要とする組織、筋、又は器官壁の開口を通過し、又はそれらから突出する他の突起を受け入れるようになされている開口30を有する。このプロテーゼは、裂孔ヘルニアの修復及び/又はGERDの治療における使用のために構成される。
【解決手段】プロテーゼ20は、組織内方成長の増強を促進すると同時に、繊維と組織又は器官との術後癒着の発生を制限するように構成されている。組織内方成長を可能にし、かつ組織及び器官の癒着形成の影響を受けやすいように構成され、配置されている繊維の層22を含みうる。1つ以上のバリア114、116が、組織及び器官との癒着形成を阻止するように繊維の選択部分上に提供される。食道若しくは他の管状構造物、若しくは修復及び/又は増強を必要とする組織、筋、又は器官壁の開口を通過し、又はそれらから突出する他の突起を受け入れるようになされている開口30を有する。このプロテーゼは、裂孔ヘルニアの修復及び/又はGERDの治療における使用のために構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、移植可能なプロテーゼに関し、より詳しくは、軟組織の修復および再構成のためのプロテーゼ修復用繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の考察
胃食道逆流症(「GERD」)と裂孔ヘルニアは、一般に同時に発生する。裂孔ヘルニアは、それを通じて食道が延在する横隔膜における自然な開口、すなわち「裂孔」が拡大し、胃が裂孔を通過して胸腔へ入ることを可能にすると発生する。GERDは、胃から食道への酸の逆流を示す。GERDは独立した苦痛でありうるが、GERDはしばしば、裂孔ヘルニアの症状であり、またはそれとの同時の苦痛である。GERDおよび/または裂孔へリニアの代表的な外科治療は、以下の1つもしくはそれ以上を含みうる。すなわち、胃底皺襞形成術、より具体的には、胃底の一部が食道の下先端周囲で包まれ、下部食道括約筋(LES)を再現または増強する開腹または腹腔鏡的ニッセン胃底皺襞形成術、食道周囲の横隔膜脚の締め付けを必要とするヘルニア形成術、およびLESにおいて、またはその近くの食道内にひだが形成され、下部食道内径のサイズを減少させる内視鏡的胃ひだ形成術。
【0003】
外科的GERDおよび/または裂孔ヘルニアにおいて、プロテーゼ修復用繊維を使用することが知られている。通常、バードメッシュ(BARD MESH)など、長方形の在庫シートで市販の外科用メッシュ繊維のシートが、長方形または卵形など、特定の患者の裂孔修復に適した形状に外科医によって特別注文で作られる。外科医は、移植片の一端からスリットを切断し、次いで食道を受け入れるのに十分大きいスリットの先端で開口を形成することによってパッチ内にキーホール開口を形成する。「尾部」または「フィン」として知られる、端を通過するスリットによって形成されるメッシュの隣接フラップは、食道がキーホール開口に配置され、食道の周囲に裂孔環を再現し、胃が胸腔へ再び入るのを防ぐ助けになった後に縫い合わせることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明のある実施形態のうちの1つの目的は、GERDの治療および/または裂孔ヘルニアの修復のための成形プロテーゼを提供することである。
【0005】
本発明のある実施形態の別の目的は、食道、胃および/または他の周囲の臓器への術後癒着の発生数を減少させるGERD治療および/または裂孔ヘルニアの修復のためのプロテーゼを提供することである。
【0006】
本発明のある実施形態の別の目的は、GERDを治療し、かつ/または裂孔ヘルニアを修復する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明の一実施形態においては、食道の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼが提供される。この移植可能なプロテーゼは、組織および器官との癒着の影響を受けやすい修復用繊維の層と、組織および器官との癒着形成を阻止する表面バリアと、を含んで成る。修復用繊維の層は、第1および第2の表面と、第1の表面から第2の表面まで延在する少なくとも1つの繊維端と、を含む。第1の表面は、移植可能なプロテーゼが食道の近くの患者内に位置していると組織または筋壁の欠損に直面するようになされており、第2の表面は、組織または筋壁の欠損から離れ、かつ患者の中空臓器の方へ直面するようになされている。修復用繊維の層は、食道を受け入れるようになされている開口を有する。表面バリアは、修復用繊維の層の第2の表面の少なくとも一部分上に配置され、移植可能プロテーゼが患者内に位置しているとき第2の表面の部分と隣接組織および器官との癒着形成を阻止する。少なくとも1つの端バリアは、少なくとも1つの繊維端の少なくとも一部分の周囲に延在し、少なくとも1つの繊維端の部分と隣接組織および器官との癒着形成を阻止する。
【0008】
本発明の別の実施形態においては、管状構造物の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼが提供される。この移植可能なプロテーゼは、組織または筋壁の欠損に隣接して配置されるべく構成され、かつ配置されている本体部を含んで成り、かつ外側周辺を含むととともに、管状構造物を受け入れるようになされている開口を有する。本体部は、組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい修復用繊維の層と、癒着に形成を阻止する表面バリアと、を含んで成る。修復用繊維の層は第1および第2の表面と、第1の表面から第2の表面まで延在する少なくとも1つの繊維端と、を含む。第1の表面は、移植可能なプロテーゼが管状構造物の近くの患者内に位置していると組織または筋壁の欠損に直面するようになされている。修復用繊維の層は、開口から外側周辺まで延在し、開口における管状構造物を受け入れる第1のスリットを有する。表面バリアは、修復用繊維の層の第2の表面に配置され、移植可能なプロテーゼが患者内に位置していると第2の表面上の癒着形成を阻止する。表面バリアは、開口から外側周辺まで延在し、開口における管状構造物を受け入れる第2のスリットを有する。第2のスリットは、第1のスリットからのオフセットであり、第2のスリットは、修復用繊維の層の一部分を覆っており、第1のスリットは、表面バリアの一部分を覆っている。
【0009】
本発明のさらにべつの実施形態においては、管状構造物の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼが提供される。この移植可能なプロテーゼは、組織または筋壁の欠損に隣接して配置されるべく構成され、かつ配置されている本体部を含んで成り、かつ外側周辺を含むとともに、管状構造物を受け入れるようになされている開口を有する。本体部は、組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい修復用繊維の層と、移植可能なプロテーゼが患者内に位置していると修復用繊維の層の選択部分上の癒着形成を阻止する複数のバリアと、を含んで成る。修復用繊維の層は、第1および第2の表面と、外側周辺端と、開口端と、を含む。第1の表面は、移植可能なプロテーゼが管状構造物の近くの患者内に位置しているとき、組織または筋壁の欠損に直面するようになされている。外側周辺端は、外側周辺に沿って第1の表面から第2の表面まで延在し、開口端は開口に沿って第1の表面から第2の表面まで延在する。複数のバリアは、修復用繊維の層の第2の表面の少なくとも一部分上に配置された表面バリアと、修復用繊維の層の外側周辺端の少なくとも一部分に沿って配置された周辺端バリアと、修復用繊維の層の開口端の少なくとも一部分に沿って配置された開口端バリアと、を含む。
【0010】
本発明の別の実施形態においては、管状構造物の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼが提供される。この移植可能なプロテーゼは、外側周辺を含み、かつ管状構造物を受け入れるようになされているその中に開口を有するプロテーゼ修復用繊維を含んで成る。プロテーゼ修復用繊維は、第1および第2のセグメントを含み、第1および第2のセグメントのそれぞれは、組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい繊維の層を含む。第1および第2のセグメントのそれぞれは、第1の先端および第2の先端を含み、第1のセグメントの第1の先端は、第1の重ね合わせ領域で第2のセグメントの第1の先端を覆い、第1のセグメントの第2の先端は、第2の重ね合わせ領域で第2のセグメントの第2の先端を覆う。第1のセグメントは、第1と第2の重ね合わせ領域間で第1の中央部を含み、第2のセグメントは、第1と第2の重ね合わせ領域間で第2の中央部を含む。第1および第2の中央部のそれぞれは、約90度以上のプロテーゼ修復用繊維の外側周辺の一部分を形成する。
【0011】
本発明の別の実施形態においては、管状構造物の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼが提供される。この移植可能なプロテーゼは、管状構造物を受け入れるようになされている開口を有するプロテーゼ修復用繊維を含んで成り、かつ第1および第2のセグメントを含む。第1および第2のセグメントのそれぞれは、組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい修復用繊維の層と、組織および器官との癒着形成を阻止する表面バリアと、を含む。表面バリアは、修復用繊維の層の表面上に配置されており、第1および第2のセグメントのそれぞれは、第1の先端および第2の先端を含み、第1のセグメントの第1の先端は、第1の重ね合わせ領域で第2のセグメントの第1の先端を覆う。第1の重ね合わせ領域は、第1および第2のセグメントの少なくとも1つの繊維の層および表面バリアの1つを含まない。
【0012】
本発明の別の実施形態においては、プロテーゼ修復用繊維は、移植可能で生体適合性のプロテーゼ材料の本体部を含んで成る。この本体部は、第1の幅を有する中間区分と、該中間区分の反対側から長手方向に延在する一対の先端部と、を含む。各先端部は、第1の幅よりも大きい第2の幅を有する。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態においては、胃食道逆流症を治療するための方法が提供される。この方法は、食道の外壁上に少なくとも1つの外ひだを作成するステップと、少なくとも1つの外ひだをシンチングし、食道上に少なくとも1つの外ひだ形成を作成するステップと、を含んで成る。
【0014】
本発明の他の目的および特徴は、添付の図面と共に以下の詳細な説明から明らかとなろう。図面は、あくまでも例示目的で設計されており、かつ発明の限定の規定として意図されていない。
【0015】
本発明の上述および他の目的かつ利点は、同様の参照符号が同様の特徴を示す以下の図面から完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図面の簡単な説明
【図1】本発明の1つの例証的な実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す平面図である。
【図2】図1のプロテーゼ修復用繊維を示す底面図である。
【図3】切断線3−3に沿って取られた図1のプロテーゼ修復用繊維を示す断面図である。
【図4】切断線4−4に沿って取られたプロテーゼ修復用繊維を示す断面図である。
【図5】図1のプロテーゼ修復用繊維を示す分解平面透視図である。
【図6】食道を受け入れるように露出したスリットおよび開口とともに図1のプロテーゼ修復用繊維を示す平面図である。
【図7】本発明の別の例証的な実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す平面図である。
【図8】切断線8−8に沿った図23のプロテーゼ修復用繊維を示す断面図である。
【図9】本発明の別の実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す図8と同様の図である。
【図10】食道に隣接して移植された図1のプロテーゼ修復用繊維を示す図である。
【図11】ヘルニア形成処置後に食道に隣接した腹腔内に移植された図1のプロテーゼ修復用繊維を示す概略図である。
【図12】重ね合わせ尾部とともに図1のプロテーゼ修復用繊維を示す側面図である。
【図13】本発明の別の例証的な実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す平面図である。
【図14】図13のプロテーゼ修復用繊維を示す底面図である。
【図15】図13の視線15−15に沿って取られたプロテーゼ修復用繊維を示す側面図である。
【図16】図13のプロテーゼ修復用繊維を示す分解立体平面透視図である。
【図17】本発明の別の例証的な実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す底面図である。
【図18】本発明の別の実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す底面図である。
【図19】本発明の別の例証的な実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す分解立体図である。
【図20】図1の切断線4−4と同様の切断線に沿って取られた図19のプロテーゼ修復用繊維を示す断面図である。
【図21】開アクセス路を示す図20のプロテーゼ修復用繊維を示す断面図である。
【図22】本発明の別の実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す平面図である。
【図23】本発明の別の例証的な実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す平面図である。
【図24】切断線24−24に沿って取られた図23のプロテーゼ修復用繊維を示す断面図である。
【図25】本発明の別の例証的な実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す平面図である。
【図26】切断線26−26に沿って取られた図25のプロテーゼ修復用繊維を示す断面図である。
【図27】テンションフリー修復でヘルニアを修復するために食道に隣接した横隔膜脚に付着された図25のプロテーゼ修復用繊維を示す概略図である。
【図28】ヘルニア形成術の縫合を補強するために横隔膜脚に付着された図25のプロテーゼ修復用繊維を示す概略図である。
【図29】本発明の別の例証的な実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す平面図である。
【図30】胃底に付着され、胃底皺襞形成術手法を補強する図29のプロテーゼ修復用繊維を示す概略図である。
【図31】ヘルニア形成の縫合を補強するために移植された図25のプロテーゼ修復用繊維とともに胃底皺襞形成術の縫合を補強するために移植された図29のプロテーゼ修復用繊維を示す概略図である。
【図32】テンションフリー修復で裂孔ヘルニアを修復するために移植された図25のプロテーゼ修復用繊維とともに胃底皺襞形成術の縫合を補強するために移植された図29のプロテーゼ修復用繊維を示す概略図である。
【図33】本発明の別の実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す概略図である。
【図34】本発明の1つの例証的な実施形態によるひだ形成法を示す概略図である。
【図35】切断線35−35に沿って取られた図34のひだ形成法を示す断面図である。
【図36】本発明の別の例証的な実施形態によるひだ形成法を示す概略図である。
【図37】展開された針とともに本発明の1つの実施形態によるシンチ機構を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
例証的な実施形態の説明
本発明は、解剖学的弱点または欠損を修復または増強するための移植可能なプロテーゼに関し、特に軟組織および筋壁開口の修復に適している。理解を簡単にするために、かつ発明の範囲を制限することなく、本特許が対象としているプロテーゼは、以下では特に裂孔ヘルニアの修復および/またはGERDの治療に関連して述べられる。もっとも、当業者に自明であるように、プロテーゼがそのように限定されず、他の解剖学的処置で使用されうることが理解されるべきである。例えば、このプロテーゼは、管状構造物、または他の突起が、組織、筋、または器官壁の開口を通過し、または修復および/または増強を必要とする組織、筋、または器官壁から突出する場合に使用されうる。
【0018】
さらに、以下で論じられる実施形態の多くは、組織浸潤性である1つもしくはそれ以上の部分を有する移植片を含むが、本発明はそのように限定されず、組織内方成長のために準備されていないプロテーゼも考えられている。さらに別の実施形態は、組織浸潤性またはその他の点で癒着感受性部分が癒着形成に対する耐性が与えられている移植片を含む。一部の実施形態においては、移植片の一部または全部が組織内方成長のために準備されうるが、他の実施形態においては、移植片の一部または全部は組織内方成長に耐えるように、その他の点では隣接する臓器への癒着形成、およびその成長の阻止に耐えるように準備されうる。組織内方成長区分およびバリア区分の位置は、以下で論じられるように、移植片の端、移植片の表面、および/または移植片の本体部の区分に沿って変動しうる。
【0019】
本発明による移植片は、裂孔修復に関連して、裂孔の拡大または弱体化部分、またはヘルニア形成において配置されるようなヘルニアの修復において使用される手術用縫合糸を覆うように構成され、かつ配置される本体部を含みうる。本体部の一部または全部は、組織浸潤性であり、組織内方成長に影響されず、またはその他の点で癒着形成に耐性であり、または組織浸潤性部位と癒着耐性部位の組合せを含みうる。一部の実施形態においては、プロテーゼは、術後癒着形成または索構造物の成長阻止の発生数を減少させるように配置されうる。この移植片は、プロテーゼ修復材料の単一または複数の層で形成されるとともに、プロテーゼ材料の層の数は、移植片の種々の部分で変動しうる。
【0020】
この移植片は、食道を受け入れるようになされている完全または部分的な開口を有しうる。開口は、移植片の側面のいずれか1つ、またはその組合せに沿って形成され、または本体部の中およびそれを通じて提供されうる。本特許明細書、およびそれに関連した特許請求の範囲の目的のために、食道または管状構造物を受け入れるようになされている「開口」の特徴は、「完全」または「部分的」の限定詞は使用されない場合でも、食道を完全に囲むように構成されている完全な開口と、食道を部分的にのみ囲むように構成されている部分的な開口と、を含むべきである。開口は、食道の周囲に移植片を配置するように構成され、かつ配置されている円形または他の形状を有しうる。開口からプロテーゼの周辺まで延在し、食道のアクセス開口を提供するスリットも形成されうる。
【0021】
この移植片は、前端、後端、内側、および外側によって画定されうる。これらの側面および先端の長さおよび/または形状は同じであっても、異なっていてもよい。これらの側面および先端のいずれかは、単一のまっすぐな端、曲った端、分岐または収束するセグメントで形成された端、および当業者には自明であるような他の形状を含みうる。移植片の形状は、端々または側々に見て対称でも非対称でもありうる。移植片は、円形、卵形または卵形、C字状、ボータイ状(bow tie shape)、バタフライ状、長方形、弧状、および当業者には自明であるような他の形状を有しうる。
【0022】
この移植片は、前後方向、内側外側方向、または前後と内側外側方向の組合せで細長くなりうる。実質的に全方向で同じ長さを有する移植片も考えられる。移植片は、外科手術の前またはその最中に外科医によって作り直され、またはカスタマイズ化されうる。同様に、移植片は、スリットおよびキーホール開口とともにあらかじめ配置され、またはこれらの特徴の1つまたは両方を形成する外科医に任せることができる。
【0023】
この移植片は、移植前など、ストレスのないまたは自然な状態で、略フラットまたは平面の形状を有し、または1つもしくはそれ以上の表面上で凹面および/または凸面の形状で配置され、またはより複雑な三次元形状を含みうる。コードまたは他の部材を移植片を通じてネジ込み、次いで、例えば移植片の外側に延在するコードの先端を引くことによって操作し、プロテーゼを所望の形状に変形させることができる。移植片には、移植片に係合し、またはその他の点では対照的であり、自然に、または力(例えば、熱)の適用と同時にプロテーゼを所定の形状に形成させられる金属、ポリマー等の薄いストリップなど、各部材に影響を及ぼす形状を提供することができる。
【0024】
この移植片は、十分に可撓性であり、外科医は手術部位に適合するように繊維を操作し、腹腔鏡処置中に用意に送達することができ、または修復デバイスの圧縮および/または膨張を制限する硬い配置を有する。一部の実施形態においては、移植片は、例えばフォールディング、ローディング、またはその他によって折り畳み式であり、腹腔鏡のカニューレまたはトロカールの狭い管腔を通じて送達されうる細長い構成にされうる。移植片の可撓性は、移植片が構成されている材料、部材に影響を及ぼす形状、移植片の材料に適用される処理、および移植片の本体における縫い目または他の付着特徴の量を含む多くの要因によって影響される。
【0025】
移植片の一部の部分は、例えば、かつ発明を限定することなく、バリア材料をプロテーゼの選択部分に適用することによって、移植片の選択された多孔性部分に少ない多孔性、好ましくは、組織浸潤に影響されない多孔性を与えることによって、かつ当業者には自明であるような他の処理によって形成されうるバリアを含みうる。バリアは、組織浸潤性である移植片の選択部分から食道、および/または腹部臓器を分離し、癒着、狭窄等と関連した食道、胃、肝、および腸の損傷の発生数を減少させるように処理されうる。
【0026】
一例として、食道および臓器を移植片への癒着の種々の潜在的な地点から分離するために考えられた発明配置を限定することなく、開口端には内側端バリアを配置することができ、開口端は開口を通過する食道の部分から分離される。第1の、または横隔膜に面する移植片の表面上の開口を囲む縁部分も、端バリアによって分離され、開口を通じて延在し開口に隣接した食道のセグメントと開口の縁との間の接触の可能性を制限することができる。プロテーゼの第2の表面の、すなわち臓器に直面する表面の一部または全部は、表面バリアを含みうる。表面バリアは、第2の表面の実質的に全体を覆うように配置されうる。別の外側端バリアをプロテーゼの外側端に配置し、プロテーゼの外側周辺によって中空臓器との癒着を防ぐことができる。外側端バリアは、繊維の層の外側端に隣接して延在する第1の表面の縁を分離するように構成または拡大することもできる。キーホールスリットは、スリットバリア部をも有しうる。スリット端および/またはキーホールスリットにおける組織浸潤性組織のスリット端に隣接した縁は、スリットバリアをも包囲しうる。種々のバリア部の形状および寸法は、当業者には自明であるように修正されうるが、本発明は図面に示されたバリア区分の特定の構成に限定されない。
【0027】
この移植片は、1つもしくはそれ以上の重ね合わせ領域で互いに付着されうる2つもしくはそれ以上のセグメントで形成され、プロテーゼを形成しうる。重ね合わせ領域間のセグメントの部分は、約90°またはそれ以上のプロテーゼの外側周辺を形成するように構成されうる。1つもしくはそれ以上の重ね合わせ領域は、プロテーゼにわたって略均一の厚さを維持する入れ子構成を有しうる。
【0028】
図1〜6は、組織内方成長の増大を促進すると同時に修復用繊維への術後癒着の発生を制限することによって、軟組織および筋壁欠損、特に裂孔ヘルニアを修復するためのプロテーゼ修復用繊維の一実施形態を示す。プロテーゼ20は、裂孔の拡大または弱体部、または例えばヘルニア形成において適用されるヘルニアを修復する手術用縫合を覆うように構成されている本体部を含む。本体部は、横隔膜など欠損部位に直面するための第1の表面26、および臓器に直面するための第2の表面28を有する。本体部は、組織浸潤性繊維22を含む。本体部の1つもしくはそれ以上の部位は、癒着耐性として構成し、プロテーゼの選択部位への術後癒着の発生数を制限することができる。
【0029】
食道など管状構造物に隣接して配置される一部の修復においては、プロテーゼは、食道または他の管状構造物に対応または適合するように構成されうる。例証的な実施形態においては、プロテーゼには、食道を受け入れるようになされている開口30が備えられている。開口30は、プロテーゼの本体部内部に配置され、食道は、欠損部位に移植されるとプロテーゼによって完全に包囲される。開口は、特定の修復のためにプロテーゼの適切な部分に提供されうることが理解されるべきである。例えば、開口は、プロテーゼで食道を部分的にのみ包囲するためにプロテーゼの1つもしくはそれ以上の側面に沿って配置されうる。開口は、円形または食道に適合するようになされている他の形状を有しうる。
【0030】
スリット64は、開口からプロテーゼの外側周辺32まで延在し、食道の周囲に移植片を配置するための経路を提供する。このスリットは、プロテーゼの任意の部分に配置され、任意の適切な方向から開口と外側周辺との間に延在するように方向づけされうる。スリット64および開口30は、プロテーゼとともにあらかじめ形成され、または修復処置中に外科医によって形成されうる。
【0031】
上記の通り、プロテーゼ20の1つもしくはそれ以上の選択部位は、プロテーゼと隣接組織、筋、および/または食道、脾、肝、胃、腸、腹腔内の小腸および大腸、または胸腔内の心臓および肺などの器官との間の術後組織癒着の発生数を制限する癒着耐性を与えることができる。この点で、プロテーゼは、望ましくない癒着を阻止するために組織浸潤性繊維を分離するように構成され、かつ配置されている1つもしくはそれ以上のバリアを含みうる。例えば、プロテーゼは、繊維の一方または両方の2つもしくはそれ以上の表面バリアの1つまたは組合せ、繊維の1つもしくはそれ以上の端に沿った端バリア、および/または繊維の1つもしくはそれ以上の端に隣接して配置された縁バリアを含みうる。種々のバリアの形状、サイズ、および位置は、当業者には自明であるようなプロテーゼの所望の癒着耐性特性を達成するように選択されうる。
【0032】
図1〜6に示された例証的な実施形態においては、プロテーゼは、繊維22の第2の表面28(表面に直面する臓器)の実質的に全体を覆うように配置されている表面バリア118を含む。このようにして、表面バリアは、欠損部位に対向して位置した繊維と中空臓器との癒着形成を阻止する。一実施形態においては、表面バリア118は、繊維に付着している癒着耐性材料のシートを含む。
【0033】
プロテーゼは、開口30に隣接した繊維22の部分から食道を分離する内側端バリア114および内側縁バリア116をも含む。より詳しくは、繊維の第1の表面と第2の表面との間に延在し、かつ繊維開口を画定する開口54が、内側端バリア114によって覆われ、開口を通過する食道の部分が繊維の開口端に直接接触することはない。同様に、繊維開口を包囲する第1の表面26(横隔膜表面)の縁部55が、内側縁バリア116によって分離される。縁バリアは、開口を通じ、かつこれに隣接して延在する食道のセグメントと開口に隣接した繊維の縁部分との癒着の可能性を制限する。
【0034】
例証的な実施形態においては、内側縁バリア116は、開口30を包囲する内側縁部55における繊維22の第1の表面26を覆うバリア材料のアニュラリングを含む。図示されているように、縁バリアの内側端48は繊維の開口端54をわずかに越えて延在する。同様に、表面バリア118の内側端は、縁バリアの内側端に隣接して位置するために繊維の開口端を越えて内方へ延在する。縁バリア116の内側端は、表面バリア118の内側に直接付着されており、それらの間の繊維の介在層なしに、内側端バリア114を形成し、食道から繊維の開口端を分離する。
【0035】
プロテーゼは、外側周辺端の少なくとも一部分の周囲に延在し、中空臓器とプロテーゼの外側周辺32との間の癒着の発生数を減少させる外側端バリア120をさらに含む。例証的な実施形態においては、外側端バリアは、プロテーゼの外側周辺の全体の周囲に延在する。外側端バリア120は、繊維22の周辺セグメントに癒着耐性を与えることによって形成されている。一実施形態においては、外側端バリアは、繊維の外側周辺を融解し、再凝固し、または別な方法でヒートシールすることによって形成されている。しかし、外側バリアは、当業者には自明な適切な処理によって形成されうることが理解されるべきである。例えば、バリア材料を用いて繊維周辺を覆い、または別な方法で周辺に沿って繊維に癒着耐性を与えることができる。適切な外側端バリアの例は、本明細書中で参考によって援用される、シー.アール.バード(C.R.Bard)に譲渡された米国特許出願第09/661,623号に記載されている。
【0036】
外側縁バリアは、プロテーゼの外側周辺端に隣接した繊維の縁部を分離するように備えられている。外側縁バリア122は、繊維層22の第1の表面26に沿って外側端から内方へ延在し、プロテーゼへの癒着形成の可能性を制限し、外側端32が配置中に折り畳まれ、または別の方法で処置後に組織および器官に露出される。一実施形態においては、外側縁バリアは、繊維の外側縁部を融解し、再凝固することによって形成されている。しかし、当業者には自明であるような、上述された種々のバリア処理を含めて、適切な分離処理を使用することができる。
【0037】
上記のとおり、プロテーゼにはスリットが備えられ、開口30への即時のアクセスを可能にすることができる。場合によっては、食道または他の管状構造物からスリットの全長または一部分に沿ってスリット端および/または繊維縁を分離することが望ましい。図1〜6の例証的な実施形態においては、プロテーゼが食道の周囲に配置されると食道からスリットを分離するように、スリット端バリア124がスリット端72、74のそれぞれに沿って備えられている。スリット端バリア124は、プロテーゼの移植後のスリットと食道との癒着の発生数も削減しうる。プロテーゼは、繊維22の第1の側面26のスリット64の各側面に隣接した縁セグメント65に沿ってスリット縁バリア126をも含む。一実施形態においては、スリット端バリア124およびスリット縁バリア126は、繊維のスリット端および縁を融解またはヒートシールすることによって形成されている。しかし、当業者には自明であるような、上述された種々のバリア処理を含めて、適切な分離処理を使用することが理解されるべきである。
【0038】
図1〜6に示されている例証的な実施形態においては、内側端バリア114、内側縁バリア116、および表面バリア118は、一連の連続的な接続縫い目46で繊維22に縫い合わされている。図1〜2に示されているように、一対の縫い目線46A、46Bが環状バリア材料を繊維22および表面バリア118に付着させ、内側端バリア114および
内側縁バリア116を形成する。縫い目46Aの第1の線は、環状バリア材料の内側周辺および表面バリア118を互いに付着させ、食道から繊維22の内側端54を実質的に分離する内側端バリア114を形成する。縫い目46Bの第2の線は、内側縁バリア116の外側周辺および表面バリア118の対応部位を繊維22に付着させる。縫い目46Cの第3の線は、表面118の外側周辺を移植片の外側周辺32に沿って繊維に付着させる。
【0039】
表面バリア118には若干の緩みを備え、バリアが必ずしも繊維22の第2の表面に対して直接位置しないことが望ましいと思われる。このようにして、表面バリアは、繊維の表面に対してピンと張って引かれず、それによってバリアのわずかな渦巻きを可能にし、これがプロテーゼの組織一体化を強化しうる。一実施形態においては、第2と第3の縫い目線46B、46C間に延在する表面バリア118の部分が、繊維に対してわずかに渦巻くように構成されている。
【0040】
他の適切な縫い目パターンは、1つもしくはそれ以上のバリアを繊維22に接続するために実施されうることが理解されるべきである。他の適切な縫い目パターンの例としては、バリアと繊維との間の複数の間欠的な縫い目、または周辺32の輪郭に従い、プロテーゼ20の外側周辺32から内側端48まで同心のらせんパターンを形成する単一の連続縫い目の線が挙げられるが、これらに限定されない。縫い目の量を制限し、プロテーゼの可撓性を維持することが望ましいと思われる。バリアと組織浸潤性材料とを結合するために、当業者には自明であるように、適切な生体適合性の糸材料を用いることができる。例えば、糸としては、ポリプロピレンモノフィラメントまたはePTFE糸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
バリア材料を繊維に縫い合わせるのではなく、当業者には自明の他の付着方法が使用されうる。例えば、適切なタッキング、ステープリング、熱結合、化学結合、および成形技法を用いてバリアと繊維を付着させることができる。
【0042】
プロテーゼの種々の部分に関連して特定のバリア構造が上述されているが、当業者には自明であるような他の適切なバリア構造がプロテーゼとともに使用されうることが理解されるはずである。例えば、バリアのいずれか1つまたは組合せが、組織内方成長を塞ぐために繊維を変更または処理することによって、繊維をバリア材料、または繊維処理とバリア材料のいずれかの組合せで覆うことによって形成されうる。また、いずれか1つもしくはそれ以上のバリア構造は、バリア層で繊維層を処理し、処理繊維を覆うことによって形成されうる。他のバリア配置のいくつかの追加の実施形態が以下に記載されている。
【0043】
図7〜8は、食道への癒着の発生数を減少させる内側端バリアの別の実施形態を示す。図8に示されているように、内側端バリア114は、組織浸潤性繊維22の第2の表面上の表面バリア118から、かつ繊維開口の内側端上を延在する。バリア材料は、開口端54の周囲、および繊維22の第1の表面上を包み、内側縁バリア116を形成する。内側縁バリアが不必要であり、または望ましくない場合には、バリア材料は、表面バリア118から、かつ繊維の開口端のみの上を延在するように構成されうる。内側端バリア114および/または内側縁バリア116は、結合、縫い合わせ、融合等によるなど適切な付着処理を用いて繊維に結合されうる。繊維の開口端の周囲を包む材料は、表面バリア118、内側バリア114、および内側バリア116を連続的な一体化した構造として提供する。この配置においては、内側端バリア114は、連続的な一体材料として、バリア118の表面に一体的に付着されている。
【0044】
内側端バリア114および/または内側縁バリア116の製造を促進するために、表面バリア118は、折り畳まれ、かつ開口を通じて組織浸潤性繊維に延在するように構成されている複数のフラップ70を含みうる。フラップ70は、周囲が包まれ、繊維に結合され、または固定されないままでありうるが、いずれかの配置において、バリア材料のフラップは、食道と組織浸潤性繊維との間に配置され、それによって開口の繊維端との癒着の発生数または食道への潜在的な損傷を削減する。フラップ70は、縫い合わせ、接着結合、化学結合等によるなど適切な処理を用いて繊維に付着されうる。フラップは、周囲が包まれ、処置の前または最中に繊維に付着され、または組織浸潤性層に一体的に形成されるように提供されうる。当業者は、バリアフラップが、バリア118から延在されるのではなく、組織浸潤性繊維に別個に付着されうることをも理解するであろう。フラップは、また、開口を通じて延在し、移植片の側面に面した臓器から離れて延在しうる。
【0045】
繊維の部分を覆うバリア材料の層から内側端バリア114および内側縁バリア116を形成するのではなく、繊維の選択部分を処理し、または変更し、繊維の同部分に組織および器官との癒着形成に対する耐性を与えることが望ましいと思われる。図9に示されている別の例証的な実施形態においては、繊維22の内側端54が融解され、再凝固され、繊維の内側縁および/または内側縁の周囲にそれぞれ、内側端バリア114および/または内側縁バリア116を形成する。必要に応じて、繊維の同部分を個別のバリア材料で覆い、バリア114、116の癒着耐性特性をさらに強化することもできる。
【0046】
場合によっては、繊維22の選択部分を覆うように処理されているバリア材料から外側端バリア120および外側縁バリア122を形成することが望ましいと思われる。図7に示されている例証的な実施形態においては、外側端バリア120および外側縁バリア122は、側面に直面する臓器を覆う表面118から延在する。図示されているように、表面バリアは、組織浸潤性層22の外側端78を越えて延在し、繊維の外側端および/または外側縁を器官および組織との接触から分離する。表面バリアのこの拡大部分は、外側端の周囲および組織浸潤性層の第1の表面の部分上で折り畳まれ、縫い合わせ、化学結合、熱結合等によって結合されうることが理解されるべきである。
【0047】
プロテーゼ20には、繊維および/または他のバリアにあらかじめ付着されている1つもしくはそれ以上のバリアを備えることができる。あるいは、プロテーゼは、修復処置中に繊維および/または他のバリアのいずれかに付着されている、または隣接組織および/または器官によって適所に保持される繊維22の所望の部分上に単純にオーバーレイされるバリアを有する別個の部品のキットとして提供されうる。
【0048】
一実施形態においては、組織浸潤層22が、組織内方成長を可能にし、移植後の宿主組織に修復装置を一体化する複数の隙間または開口を有する生物学的に適合性、可撓性のプロテーゼ修復用繊維のシートで形成されている。組織浸潤性層および/またはバリア部分の縫合引抜き強度は、基礎を成す解剖学的脆弱性を支持し、移植片領域の動的環境に耐えるのに十分でなければならない。裂孔ヘルニアの修復の場合、メッシュは好ましくは平方インチ当り約2ポンドの縫合引抜き強度を有し、呼吸、咳、および嚥下中に食道の周囲の動的環境に適合するのに十分に可撓性である。代表的な材料は、シー.アール.バード社から入手可能なバードメッシュ(BARD MESH)など編んだポリプロピレンモノフィラメントメッシュである。移植された場合、ポリプロピレンメッシュは、メッシュ構造の中へ、かつその周囲の迅速な組織内方成長を促進する。あるいは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)メッシュ、プロレン(PROLENE)、軟組織パッチ(SOFT
【0049】
TISSUE PATCH)(微孔性ePTFE)、サージプロ(SURGIPRO)、トレレックス(TRELEX)、アトリウム(ATRIUM)、メルセレン(MERSELENE)、非吸収性コラーゲン、およびポリエステルを含むが、これらに限定されない、欠損閉鎖における組織補強に適している他の外科用材料が利用されうる。ポリグラクチン(ヴィクリル(VICRYL))、ポリグリコール酸(デクソン(DEXON))、および吸収性コラーゲンを含む吸収性材料も使用されうる。繊維は、織られ、編まれ、成形され、または別の方法で互いに係合され、移植片の組織浸潤性成分を形成しうるモノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸で形成されうることが考えられえる。
【0050】
一実施形態においては、1つもしくはそれ以上のバリアが、組織内方成長および癒着を阻止する孔のサイズ(サブミクロンの(submicronal))を有する、W.L.ゴア(Gore)アンド(&)アソシエーツ(Associates)社から入手可能なゴア−テックス(GORE−TEX)など延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)のシートで形成されうる。他の適切なバリア材料の代表的かつ非限定的なサンプリングとしては、ダウコーニング(Dow Corning)社によって配給されているシラスティック(SILASTIC)Rxメディカルグレードシーティング(Medical Grade Sheeting)(硬化白金)などのシリコーンエラストマー、テフロン(TEFLON)メッシュ、微孔性ポリプロピレンシーティング(CELGARD)、コラーゲン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、およびグリコール酸ポリマーが挙げられる。例えば、心膜および小腸粘膜下組織を含む自原性、異質性、および異種の組織も考えられる。酸化、再生セルロース(INTERCEED(TC7))などの吸収性材料を一部の用途に使用されうる。バリアは、癒着形成の一時的または永続的なバリアを形成する材料のいずれかのブレンド、混合物、またはヒドロゲルでありうる。
【0051】
上記のとおり、1つもしくはそれ以上のバリアが、組織浸潤性層の一部分を処理し、または変更することによって形成され、組織内方成長を促進することがない表面を形成する。一実施形態においては、繊維層の1つもしくはそれ以上の部分が融解され、再凝固され、繊維の同部分に癒着耐性を与える。他の適切な技法としては、超音波、誘導、振動、赤外線/レーザー溶接等が挙げられうる。繊維の孔は、組織内方成長を妨げる適合性材料でシールされうる。理解されるように、適切な方法を用いて、当業者には自明であるように、プロテーゼの選択部分に癒着耐性を与えることができる。
【0052】
組織浸潤性繊維およびバリア部位のプロテーゼ20は、比較的フラットであり、かつ十分に柔軟であり、外科医が移植片の形状を操作し、当該の解剖学的部位に適合させ、それに縫合またはステープルされることが可能である。プロテーゼ20は、必要に応じて、皮膚切開のためのトロカールまたは腹腔鏡カニューレを通じて患者の腔へ送達されうる。プロテーゼ20の形状およびサイズは、繊維22およびバリアのいずれかを含めて、当業者には自明であるように外科的用途により変動しうる。この点で、繊維および/またはいずれかのバリアはあらかじめ成形され、または外科手術中の外科医によって成形されるうることが考えられる。
【0053】
場合によっては、裂孔ヘルニアの近くの一般的な解剖学的構造に適合するようにプロテーゼ20をあらかじめ成形することが望ましい。プロテーゼ20は、腹腔内に適合するように成形され、横隔膜の下で食道の周囲、または横隔膜の下で食道の近くに配置されうる。あるいは、プロテーゼは胸腔内に適合するように成形され、横隔膜の上、裂孔の上、および/またはヘルニア形成もしくは胃底皺襞形成術のための縫合部位の上に配置されうる。
【0054】
図1〜6に示されている例証的な実施形態においては、プロテーゼは、裂孔または他の横隔膜ヘルニアを増強または修復するために適した略卵形または卵形を有する。プロテーゼ20の形状は、長軸38および短軸40を有する実質的に楕円形で、これら二つの軸は、両方の軸の中点に位置した始点42で交差する。図1に示されているように、プロテーゼは、長軸38の周囲で実質的に対称であると共に短軸40の周囲で実質的に非対称であり、より狭いまたは尖った先端36と、より広いまたは尖っていない先端34と、互いに尖っていない先端から尖った先端への方向で収束する外側および内側110、112と、で略楕円形(例えば、卵形)を提供する。プロテーゼは、両方の軸の周囲で対称であり、両方の軸の周囲で非対称であり、または長軸の周囲で非対称かつ短軸の周囲で対称であり形状など、適切な形状で構成されうる。
【0055】
食道または他の管状構造物を受け入れるための開口30は、特定の修復に適している、本体部に対して、所望の位置に配置されうる。例証的な実施形態においては、開口30は、長軸38に沿って位置し、本体の短軸40から尖った先端36へオフセットされたその中心44とともに配置されている。図示されているように、開口は、食道または他の管状構造物を受け入れるように構成された円形または卵形を有するが、当業者には自明である適切に成形された開口がプロテーゼとともに使用されうる。
【0056】
図1〜6に示されている例証的な実施形態においては、プロテーゼは、本体部の尖った先端36で一対の尾部66、68を含む。スリット64によって、独立して、またはいっしょに分離される尾部66、68は、拡張され、持ち上げられ、折り畳まれ、または別の方法で分離され、食道を開口30へ導入するためのアクセス路88を作成することができる。移植片のストレスのない、自然な構成で、尾部は、図1に示されているように、実質的に平面の配置でスリットの反対側で互いに隣接して位置する。
【0057】
図1〜6と関連した典型的な実施形態においては、プロテーゼ20は、直径約0.006インチのポリプロピレンモノフィラメントで編まれた厚さ約0.025〜0.030インチのバードメッシュ(BARD MESH)のシートを含む。表面バリア118および内側縁バリアは、メッシュに付着された厚さ約0.006〜0.008インチのePTFEのシート、および直径0.006インチのポリプロピレンモノフィラメントで形成された長さ約4mm〜6mmの糸を用いて互いに形成されている。プロテーゼ20は、約10.5cmの長軸38に沿った長さ、および約8.4cmの短軸40に沿った幅を有する。 プロテーゼ20における開口30は、実質的に環状であり、食道に適合する大きさである。小さな食道は、通常、直径2〜3cmであり、大きな食道は、通常、直径3〜4cmである。プロテーゼ20の開口端48と食道との間に約0.25cmの間隔を可能にするために開口の大きさを決めることが望ましいと思われる。一実施形態においては、開口は、約2.5センチメートル〜約4.5センチメートルの直径を有する。小さな食道に適合させるために、開口は約2.5センチメートル〜約3.5センチメートル、かつ好ましくは約3センチメートルの直径で構成されうる。大きな食道に適合させるために、開口は約3.5センチメートル〜約4.5センチメートル、かつ好ましくは約4センチメートルの直径で構成されうる。しかし、開口は、食道または管状構造物を受け入れるために適した形状および寸法を有するように構成されうることが理解されるべきである。
【0058】
図1に示されている実施形態にいては、開口30は、長軸38と整列し、短軸40からプロテーゼ20の尖った先端36へ約0.8cmオフセットされている。メッシュ繊維22における開口は、約1.9cmの半径を有する。環状のバリア層116は、繊維開口に隣接したメッシュ繊維22をオーバーレイし、約1.4cmの内半径および約2.4cmの外半径を有し、したがって、環状バリアは、約1.0cmの幅を有し、その約0.5cmがメッシュ繊維22の第1の表面をオーバーレイし、かつ約0.5cmがメッシュ繊維22の内側端54を越えて延在する。
【0059】
表面バリア118は、外側周辺32に沿ってメッシュ繊維22と実質的に対称であり、表面バリア118における開口は環状バリア116の内半径に対して対称であり、これは図1に示されている実施形態においては1.4cmである。環状バリア層の内側端48および表面バリアは、メッシュ繊維22における開口30の内側端54を約0.5cm越えて延在する。したがって、図1に示されている実施形態においては、バリアの内側端48によって画定された開口30は約2.8cmの直径を有する。
【0060】
外側端および縁バリア120、122は、メッシュ繊維22の外側端および外側周辺32の縁に沿って位置し、メッシュ繊維22を熱混合し、メッシュ繊維22における隙間または開口を閉じ、かつメッシュをバリア118にシールすることによって形成されている。外側縁バリア122は、約1/16〜3/8インチの幅を有する。スリット64におけるメッシュ繊維のスリット端および縁もヒートシールされ、スリットバリア124、126を形成する。
【0061】
上記の寸法は単に例示的であり、すべての適切なサイズおよび形状がプロテーゼ20のために使用されうることが理解されるべきである。
【0062】
図10〜11は、裂孔ヘルニアの修復および/またはGERD治療におけるプロテーゼのいくつかの代表的な応用例を示す。図10に示されているように、プロテーゼ20は、組織に接近することなく欠損上に配置され、実質的にテンションフリーで修復を達成することができる。図11に示されているように、プロテーゼは、ヘルニア形成とともに使用され、表面領域上の組織浸潤で縫い目を補強し、力が脚にかけられる場合に縫合の引き出しの可能性を軽減することができるが、さもなければ潜在的に再発性ヘルニアが生じうる。プロテーゼは、当業者には自明であるように、他の処置のために適切なやり方で使用されうることが理解されるべきである。
【0063】
欠損部位におけるプロテーゼの配置後、開口30を通じて延在する食道および横隔膜に直面した第1の表面26とともに、プロテーゼ20は、プロテーゼの尖った先端が患者の後方へ位置し、そこで容易に縫合され、または別の方法で尾部を結合するように回転されうる。例えば、ヘルニア形成中に、食道を上方または前方に偏向させ、食道の背後および下の縫合を容易にすることが知られている。尾部が互いに付着され、アクセス開口を閉鎖した後、移植片は回転され、または別の方法で操作され、尖った先端36は尾部とともに前方に位置づけられ、尖っていない先端34は裂孔欠損上の後方へ配置される。尖っていない先端は、手術で配置された縫合によって保持される尾部を含む尖った先端よりも大きな構造的完全性を有するため、次いでプロテーゼの尖っていない先端を欠損部位上に配置することが望ましいと思われる。
【0064】
場合によっては、尾部66、68を互いに重ね合わせ、固定することが望ましくもありうる。尾部を重ね合わせることにより、開口へのアクセス路に沿ってプロテーゼの構造的完全性が強化されうる。尾部の重ね合わせにより、食道または他の構造物の周囲のプロテーゼの調節も促進されうる。外科医は、欠損部位に適合するプロテーゼのために所望の非平面または三次元形状を作成することも可能でありうる。
【0065】
図12に示されている例証的な実施形態においては、尾部66、68は重ね合わされ、移植片は、臓器に直面した略凹表面および横隔膜、特に脚に直面した略凸表面の円錐形を獲得する。凸形の横隔膜に直面した表面を提供することにより、横隔膜のわずかに凹面で不規則な表面への移植片の設置が促進されうる。移植片は、当業者には自明であるように、凹/凸表面の1つ、もしくは凹/凸表面の両方を含み、または凹/凸表面のどちらも含まないように配置されうる。さらに、凹/凸形は逆転されうる。すなわち、横隔膜に直面した表面は凹形を含み、かつ/または臓器に直面した表面は凸形を含みうる。プロテーゼを特定の形に操作することなく、移植片は、凸および/または凹の外観などの所望の形を有するように実施されうることが理解されるべきである。
【0066】
移植片が自然なストレスのない状態にある場合に互いに重ね合う尾部とともにプロテーゼを構成することが望ましいと思われる。このようにして、尾部は、形を変更することなく、かつ/またはプロテーゼにおけるテンションを誘発することなく結合されうる。すなわち、移植片の形は、尾部が縫合され、または別の方法でいっしょに付着された後に実質的に不変のままであり、プロテーゼへテンションを与えることなく食道の周囲に強く完全な環を形成することができる。
【0067】
図13〜16に示されている一実施形態においては、プロテーゼ20は、移植片が実質的にフラットに位置している場合、重ね合わせ部位76で重ね合わされた尾部66、68とともに構成されている。必要に応じて、尾部は、さらに近づき、移植片におけるテンションを誘発し、これによりプロテーゼ20は、非平面、ドーム状、または他の三次元形状をとることになりうる。
【0068】
尾部66、68の重ね合わせ領域76のサイズおよび形は、尾部66、68をいっしょに固定するための適切な領域を提供するように選択されうる。図13に示されているように、重ね合わせ領域は、開口30の方へより狭く、外側周辺32の方へより広くなされている楔形を有する。他の重ね合わせ形がプロテーゼとともに実施されることが理解されるべきである。例えば、楔形は示されている構成から反対にされ、開口の方の先端は移植片の外側端に近い重なり合いの先端よりも広くなる。尾部が互いに縫合される一実施形態においては、重ね合わせ領域76の幅がその最も小さい寸法で少なくとも約1cmの幅であり、約2〜3cm幅で重ね合わせられうる。図17に示されている別の例証的な実施形態においては、重ね合わせ領域76は、実質的に均一の幅を有する。もちろん、重ね合わせ領域の適切な形およびサイズが移植片とともに実施されうる。
【0069】
上述された種々の実施形態と同様、この説明的なプロテーゼは、潜在的な癒着の部位から繊維の選択部分を分離する組織浸潤性層および1つもしくはそれ以上のバリアを含みうる。例えば、内側開口端、内側縁、外側周辺端、外側縁、スリットの端、スリットに隣接した縁、および臓器に直面した表面のいずれか1つまたは組合せは、癒着形成に対して耐性であるバリアを含みうる。バリアは、バリアタイプの繊維のほか、選択的に癒着耐性が与えられている組織浸潤性繊維を含みうる。あるいは、移植片は、完全にバリア材料で形成されうる。
【0070】
重ね合わせ部位を有するプロテーゼの製造を促進するために、プロテーゼ20は、2つもしくはそれ以上の別個の区分で形成されうる。図13〜16に示されている例証的な実施形態においては、プロテーゼ20は、互いに結合されて移植片を形成する第1および第2のセグメント80A、80Bを含む。示されているように、各セグメントは、略C字状であり、湾曲した中央部を有する第1および第2の先端部を含む。第1および第2のセグメントは、第2のセグメントの第1および第2に先端部を重ね合わせる第1のセグメントの第1および第2の先端部が配置され、第1および第2の重ね合わせ領域を有するプロテーゼを形成する。結合されると、第1および第2のセグメントは、食道または他の管状構造物を受け入れるための開口30を有するプロテーゼの本体部を形成する。このようにして、各セグメントの外側周辺の一部が移植片の外側周辺を形成し、各セグメントの内側周辺の一部分が開口を形成する。
【0071】
例証的な実施形態においては、各セグメントは、腹部臓器に直面する繊維層の表面を覆う組織浸潤性繊維層22および表面バリア層118を含む。各セグメントは、開口端に沿って内側端バリア114をも含み、食道への癒着の発生数を減少させる。縁バリア116が、開口を包囲する第1の表面の一部分に備えられている。外側端バリア120が、繊維層の外側端に沿って備えられており、移植片の周辺における癒着形成の可能性を減少させる。外側縁バリア122が、プロテーゼの第1の側面の外側周辺に隣接した繊維の外側縁に沿って備えられている。プロテーゼは、なお必要に応じて、特定の修復処置に適合するこれらまたは他のバリアのいずれか1つまたは組合せを含みうることが理解されるべきである。
【0072】
示されているとおり、第1および第2のセグメント80A、80Bのそれぞれは、移植片の外側周辺の周囲に180度超で延在し、確実にそのセグメントがそれぞれの第1および第2の先端部で十分な量の材料を供給し、重ね合わせ領域を作り出すようにする。中央部領域は、移植片の外側周辺の約90度超で重ね合わせ領域76、86を分離するように構成されている。図13〜16に示されている実施形態においては、各中央部領域は移植片の外側周辺の約170度で延在し、各重ね合わせ領域は移植片の外側周辺の約10度で延在する。各セグメント80A、80Bは、適切な非対称または対称の形を有しうるとともに、適量のプロテーゼ20の外側周辺32および開口30の内側周辺48を形成しうる。例えば、1つまたは両方のセグメントの中央部は、プロテーゼの外側周辺の90度以上、または外側周辺の120度以上を形成するように構成されうる。
【0073】
図18に示されている別の例証的な実施形態においては、第1セグメント80Aは、プロテーゼ20の内側周辺48および外側周辺32の約180度を形成し、第2セグメント80Bは、プロテーゼ20の内側周辺48および外側周辺32の180度超を形成し、重ね合わせ領域76、86を形成する。
【0074】
図13〜18の例証的な実施形態においては、第1および第2のセグメントは、開口へ食道を受け入れるように開放されうる第1の重ね合わせ領域76で一対の尾部66、68を有するプロテーゼを構成するために第2の重ね合わせ領域で互いに結合されている。第2の重ね合わせ領域86は、尾部とともに第1の重ね合わせ領域76から約180度で配置されている。したがって、これらの実施形態においては、第2の重ね合わせ領域86は、移植片の尖っていない先端34に位置し、第1の重ね合わせ領域76は、移植の尖った先端36に位置している。重ね合わせ領域76、86は、プロテーゼ20の周辺32から開口30まで適切な方向から延在し、当業者には自明であるような角距離を有しうることが理解されるべきである。
【0075】
上述されているような多重セグメントからプロテーゼを製造する場合、重ね合わせ領域およびセグメントの中央部領域にわたり均一の厚さを維持することが望ましいと思われる。図19〜21に示されている1つの例証的な実施形態においては、セグメント80A、80Bの第1および第2に先端部は、互いに入れ子にするように構成され、中央部の厚さに近い厚さを有する重ね合わせ領域を形成する。図20〜21に示されているように、第1の重ね合わせ領域76は、表面バリア層118の先端92を越えて延在する第1のセグメント80Aの組織浸潤性層の先端部72と、組織浸潤性層22の先端90を越えて突出する第2のセグメント80Bの表面バリア118の先端部74と、を含む。突出する先端拡張部72、74は、図示されているように同じ長さを有し、または寸法が先端拡張部72、74の互いの入れ子状態を可能にする限り異なる長さを有しうる。第1および第2の先端部は、第2の重ね合わせ領域で同様に構成されうる。
【0076】
一部の構成においては、セグメントは、互いに対して異なる厚さを有する材料の多重層を含みうる。例えば、各セグメント80A、80Bは、繊維層をオーバーレイする表面バリア118よりも顕著に厚い繊維層22を含みうる。他のセグメントの先端部から表面バリアの対応する部分を除去することなく1つのセグメントの先端部から繊維層の一部分を除去することにより、プロテーゼが実質的に均一の厚さを有するように、重ね合わせ領域の厚みは、移植片の残部よりもほんのわずか厚くなる。
【0077】
プロテーゼは、食道のために開口へのアクセスを提供するための単一の重ね合わせ領域を含む単一本体部で構成されうる。図22に示されている1つの例証的な実施形態においては、プロテーゼの本体部は、移植片の表面に直面した臓器を覆う組織浸潤性層22および表面バリア層118を含む。繊維層22は、開口30から移植片の外側周辺まで延在する第1のスリット94を有すると同時に、表面バリア118は、開口から外側周辺まで延在する第2のスリット96を有する。図示されているように、第1および第2のスリットは、互いにオフセットされている。このスリットの配置により、1つの尾部66上の表面バリア118を越えて延在する繊維層22の一部分90が生じ、これは他の尾部68上の繊維層を越えて延在するバリア層の一部分92を有し、重ね合わせ領域76を作る。
【0078】
組織浸潤性繊維拡張部90および表面バリア拡張部92は、互いに入れ子となり、移植片のための均一の厚さを維持する。1つの拡張部を他の拡張部に対して持ち上げると、食道の周囲にプロテーゼを配置するためのアクセス路が作られる。スリットは、任意の方向から開口30まで延在し、移植片の適切な部分にアクセス路を配置しうることが理解されるべきである。図示されていうように、重ね合わせ領域76は、移植片の尖っていない先端に配置されているが、尖った先端36に配置され、修復処置中の縫い合わせの量を最小限にし、外科的縫合を裂孔ヘルニアから離して配置しうる。
【0079】
特定の修復処置においては、完全に構造物の周囲ではなく、食道または他の管状構造物の一部分のみの周囲に延在するプロテーゼを使用することが望ましいと思われる。図23〜24に示されている1つの例証的な実施形態においては、プロテーゼ20Aは、上述された移植片の尖っていない先端と配置が同様の部分的に環状の構成を有する。このプロテーゼは、拡大または弱体化裂孔などの欠損を覆うように構成されている本体部134を含む。このプロテーゼには、食道の一部分を受け入れるようになされている部分的な開口132が備えられている。図示されているように、本体部は、略C字状を有し、開口の端は、食道の一部分を受け入れる大きさである本体部の半円形の端128によって画定されている。
【0080】
例証的な実施形態においては、本体部は、組織浸潤性繊維層22と、腹部臓器に直面する繊維層の表面を覆う表面バリア層118と、を含む。移植片は、開口端に沿って内側端バリア114を含み、食道への癒着の発生数を減少させる。縁バリア116が、開口を包囲する第1の表面の一部分上に備えられている。外側端バリアが、繊維層の外側端52に沿って備えられており、移植片の周辺における癒着形成の可能性を減少させる。外側縁バリア122もプロテーゼの第1の側面の外側周辺に隣接した繊維の外側縁に沿って備えられている。プロテーゼは、なお必要に応じて、特定の修復処置に適合するこれらまたは他のバリアのいずれか1つまたは組合せを含みうることが理解されるべきである。
【0081】
図25〜26には、裂孔ヘルニアを修復するためのプロテーゼの別の例証的な実施形態が、示されている。プロテーゼ20Bは、180°未満である弧に沿って延在する湾曲した形または部分的に環状の本体部134を含む。この本体部は、外側へ湾曲する下端136と、内側に湾曲する上端54と、下端から上端の方へ互いの方へ収束するために曲げられている一対の側端138と、を含む。上端54は、食道の壁を受け入れ、これに適合するように構成されている部分的ナ開口を形成する。
【0082】
本体部は、上述されたものと同様の組織浸潤性繊維層22および表面バリア118を含む。このプロテーゼも下端136および側端138に沿って外側端120および外側縁バリア122を含む。内側端54は、内側端バリア114および内側縁バリア116とともに食道または他の環状構造物から分離される。これらまたは他のバリアのいずれか1つまたは組合せが、当業者には自明であるように、プロテーゼとともに実施されうることが理解されるべきである。
【0083】
図26に示されている例証的な実施形態においては、内側端バリア114は、内側端の周囲を完全に包む連続的なバリアカフを含む。この点で、カフは、繊維層22の内側縁から連続的に延在し、内側端54上、および端に隣接した表面バリア118の一部上に内側縁バリア116を形成する。もちろん、適切な端バリア構成もプロテーゼとともに実施されうる。
【0084】
図27〜28は、裂孔ヘルニアの修復における図25〜26のプロテーゼのいくつかの代表的な応用例を示す。図27に示されているように、プロテーゼ20Bは、組織に接近することなく欠損上に配置され、実質的にテンションフリーで修復を達成することができる。図28に示されているように、プロテーゼは、ヘルニア形成とともに使用され、表面領域上の組織浸潤で縫い目を補強し、力が脚にかけられる場合に縫合の引き出しの可能性を軽減することができるが、さもなければ潜在的に再発性ヘルニアが生じうる。プロテーゼは、当業者には自明であるように、他の処置のために適切なやり方で使用されうることが理解されるべきである。
【0085】
GERDの外科的治療としては、底が下部食道の周囲で包まれ、LESを再現または補強する胃底皺襞形成術が挙げられる。場合によっては、腹腔鏡的ニッセン胃底皺襞形成術などの胃底皺襞形成術においてプロテーゼを使用し、包んだ底自体を固定して覆い、縫合、ステープル等など他の締め付け機構によって修復を増強することが望ましいと思われる。胃底皺襞形成術に適応されたプロテーゼは、特定の解剖学的構造に適合するように適切に成形されうる。
【0086】
図29に示されている1つの例証的な実施形態においては、プロテーゼ20Dは、中央区分56と、中央区分の反対側から長手方向に延在する一対の先端部58と、を含む。中央区分は、本体の先端部58よりも狭く、または幅が狭い。図示されているように、先端部58は、張り出しており、組織内方成長のために中央区分から離れて追加の表面領域を提供する。本体部は、互いに張り出し先端58から中央区分56への方向に湾曲する上下端98を含む。湾曲した端ではなく、上下端は、各端の中間点から直線的に本体先端へ延在するまっすぐなセグメントを含みうる。図示されているように、プロテーゼは略ボータイまたはバタフライ状を有するが、適切な形状を胃底皺襞形成術パッチのために使用することができる。例えば、プロテーゼは、長方形、卵形、砂時計、または当業者には自明である他の形でありうる。
【0087】
プロテーゼ20Dは、本体部を有し、本体部は、胃底皺襞形成術の部位で胃底に直面するための第1の表面60と、腹腔に直面するための第2の表面62と、を有する。本体部は、移植片の第1の表面60を形成する組織浸潤性繊維22と、プロテーゼの第2の表面62を形成する表面バリア層118と、を含む。胃は特に敏感な器官であるため、コラーゲンまたはPTFEメッシュなどのあまり攻撃的でなく、かつ/または半永久的である組織浸潤性材料を使用することが望ましいと思われる。プロテーゼ20Dは、上述されているように、プロテーゼの外側周辺および外側縁の周囲に1つもしくはそれ以上の端および/または縁バリア120、122をも含みうる。別の実施形態においては、プロテーゼ20Dは完全にバリア材料で製造されうる。
【0088】
一実施形態においては、プロテーゼ20Dは、長手方向軸に沿った方向に長さ約6.5cm、その狭い中央部56で幅約3cm、および張り出した先端部58で幅約4cmを有する。これらの寸法は例示的であり、プロテーゼ20Dは、胃底皺襞形成術の縫合を強化し、または置換するために適切なサイズで構成されうる。
【0089】
図30〜32は、裂孔ヘルニアの修復、ヘルニア形成の補強および/または胃底皺襞形成術の補強における1つもしくはそれ以上のプロテーゼのいくつかの代表的な応用例を示す。図30に示されているように、図29のプロテーゼ20Dは、胃の一部分上に配置され、胃底皺襞形成術の縫合210を補強しうる。図31に示されているように、胃底皺襞形成術パッチ20Dは、ヘルニア形成の縫合206を補強している裂孔ヘルニアパッチ20Bとともに使用されうる。図32は、テンションフリーで裂孔ヘルニアを修復するために移植されたプロテーゼ20Bとともに胃底皺襞形成術を補強するプロテーゼ20Dを示す。理解されるように、適切なプロテーゼの組合せが、当業者には自明であるように、1つもしくはそれ以上の状態および/または欠損の修復において使用されうる。
【0090】
一部の修復処置においては、裂孔ヘルニアなどの欠損の修復だけではなく、裂孔ヘルニアを有する患者において発生しうるGERDを治療することも望ましいと思われる。GERDを治療するために、食道への胃液の流れを制限するために、食道の内径を狭くまたは削減することができる。図33に示されている1つの例証的な実施形態においては、カフ100が食道202の周囲に別個に包まれて、その外壁220および内壁218の直径を削減する。図示されているように、上述されているようなやり方で欠損を修復するために使用されるプロテーゼ20を通じて延在する食道の部分の周囲でカフを包むことができる。この配置においては、カフはGERDの治療に役立つだけではなく、プロテーゼと食道との間のバリアとしても作用する。
【0091】
その機能を妨げないために食道の壁を過度に束縛するのを避けることが望ましいため、嚥下中等など、カフは拡張式であり、または別の方法で食道を拡張させられる材料で形成されうる。1つの実施形態にいては、カフは、コラーゲンメッシュ、繊維、またはフィルムで形成されうるが、当業者には自明であるような適切な材料が使用されうる。カフまたはラップ100は、交差結合され、または必要に応じて、食道202の壁の中へ組み込まれうる。
【0092】
GERDを治療する個別のカフではなく、欠損を修復するためのプロテーゼと一体化しているカフまたはラップを使用することが望ましいと思われる。一実施形態(図示せず)においては、カフは、図1〜6で上述されたものと同様のプロテーゼなど、プロテーゼの一部として提供されうる。このカフはプロテーゼの開口に隣接して提供され、開口を通過してLESの内径を減少させると食道の周囲に包まれて固定されうる。1つもしくはそれ以上の締め具を提供し、所望の食道の縮小が達成されると食道の周囲でカフを固定することができる。
【0093】
GERDは裂孔ヘルニアを有する患者において発生しうるため、裂孔ヘルニアの修復中にGERDを治療することが望ましいと思われる。より具体的には、外科医は、腹腔鏡処置を用いた裂孔ヘルニアの修復中にGERDを治療することが有利とみると思われる。
【0094】
図35〜36に示されている本発明の1つの例証的な実施形態においては、1つもしくはそれ以上の外ひだまたはプリーツが、例えばLESに沿って、食道202の外壁220上に形成され、GERDの発生数を低下させるために食道202の内径218を削減する。ひだは、食道202の長さに沿って長手方向に延在するように構成されているが、適切な構成が実施されうる。例えば、図37に示されている別の例証的な実施形態においては、ひだ222は、食道202の周辺に沿って外側に形成されうる。図35〜37は外ひだ形成を示すが、ひだは食道202の内壁218上に形成されうることが理解されるべきである。ひだ222は、縫合、ステープリング、クリッピング、およびタッキングを含むがこれらに限定されない、当業者には自明である適切な方法を用いて形成されうる。
【0095】
図38に示されている1つの例証的な実施形態においては、1つもしくはそれ以上のひだ222が、食道202においてひだを作成するように構成されているシンチツール108により形成されている。シンチツール108は、内視鏡または腹腔鏡106の先端に配置され、外科医は最小侵襲の内視鏡または腹腔鏡処置の間にひだをつけられる組織の視覚化が可能となる。裂孔ヘルニアなどの状態の腹腔鏡的修復中、ひだ222は食道202の外壁220上に配置され、食道202の内壁218への別個の内視鏡的処置を回避する。
【0096】
図38に示されているように、シンチツール108は、カプセルの側壁104上に配置された吸い込み口112を有するカプセル筐体110を含む。吸い込み口112は、内視鏡または腹腔鏡106の対向先端で吸い込みデバイス(図示せず)に流体接続されている。カプセル筐体110は、長さ約8〜10mmであり、丸いエンドキャップ114とともに円筒形を有し、周囲の組織に損傷を与える可能性のある鋭い端を削減する。他の多くの筐体形状、サイズ、および配置がこのツールのために使用されうることが理解されるべきである。
【0097】
外科医がカプセル筐体110をひだがつけられる食道組織202へ向けると、吸い込みデバイスが作動しLES組織のひだ240を引き、口112を通じてカプセルの内部室116へ入れる。適切な組織取得、好ましく厚さ3〜5mmが達成されると、外科医は、折り畳み組織を突き刺し、エンドキャップ114へ延在し、縫合タグ322を展開させる針118を作動させる。針118がエンドキャップで捕捉された縫合タグにより引っ込められ、ツールは患者から回収される。回収されると、エンドキャップ114は除去されて縫合タグ322を放出し、これは次いで針へリロードされる。次いで、シンチツール108は、再導入され、組織の別の部位へ配置され、組織の折り畳みと縫合の工程を繰り返す。
【0098】
シンチ108を患者から除去した後、縫合糸は切断され、タグを除去し、過剰な縫合糸の長さを除去する。ノットプッシャー(図示せず)を用いて、1つもしくはそれ以上の半結び、好ましくは最小5半結びで縫合糸を結ぶことができる。ノットが固定されると、縫合カッター(図示せず)を使用して縫合糸を切断することができる。したがって、LES組織の2つのひだ240をいっしょにシンチングすることのよって、ひだ222が形成される。
【0099】
例証的な実施形態では2つのひだからひだを形成するステップが記載されているが、ひだは、当業者には自明であるような多くのひだを含みうることが理解されるべきである。例えば、ひだは、シンチングされた単一のひだまたは3つもしくはそれ以上のひだを含みうる。また、食道の外壁上で形成された個別のひだは、他のひだに対して異なる数のひだを含みうる。
【0100】
一実施形態においては、シンチツール108は、シー.アール.バード社から入手可能なバードエンドシンチ(BARD ENDOCIBCH)内視鏡縫合システムである。内視鏡シンチツールとして開発されているが、エンドシンチは、本発明の実施形態により、腹腔鏡的に使用し、食道202の外壁220にひだをつけ、LES216の内径218を減少させ、GERDを治療に有効となりうる。
【0101】
LESの内径218も、当業者には自明である他の適切な方法を用いて減少させることができる。一実施形態においては、無線周波(RF)エネルギーまたは凍結療法を適用し、食道202の外径および内径を縮小することができる。別の実施形態においては、膨張性薬剤がLESの壁へ注入され、LESの外径220を増大させ、内径218を減少させることができる。当業者は、多くの方法およびプロテーゼが、LESの内径218を減少させ、かつ/またはLESの外径220を増大させるために適切でありうることを理解するであろう。
【0102】
本発明の種々の実施形態の以上の説明は、単にその説明が意図されていること、かつ本発明の他の実施形態、変更形態、および等価物が、本明細書に添付された特許請求の範囲において開示された発明の範囲内であることが理解されるべきであろう。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、移植可能なプロテーゼに関し、より詳しくは、軟組織の修復および再構成のためのプロテーゼ修復用繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の考察
胃食道逆流症(「GERD」)と裂孔ヘルニアは、一般に同時に発生する。裂孔ヘルニアは、それを通じて食道が延在する横隔膜における自然な開口、すなわち「裂孔」が拡大し、胃が裂孔を通過して胸腔へ入ることを可能にすると発生する。GERDは、胃から食道への酸の逆流を示す。GERDは独立した苦痛でありうるが、GERDはしばしば、裂孔ヘルニアの症状であり、またはそれとの同時の苦痛である。GERDおよび/または裂孔へリニアの代表的な外科治療は、以下の1つもしくはそれ以上を含みうる。すなわち、胃底皺襞形成術、より具体的には、胃底の一部が食道の下先端周囲で包まれ、下部食道括約筋(LES)を再現または増強する開腹または腹腔鏡的ニッセン胃底皺襞形成術、食道周囲の横隔膜脚の締め付けを必要とするヘルニア形成術、およびLESにおいて、またはその近くの食道内にひだが形成され、下部食道内径のサイズを減少させる内視鏡的胃ひだ形成術。
【0003】
外科的GERDおよび/または裂孔ヘルニアにおいて、プロテーゼ修復用繊維を使用することが知られている。通常、バードメッシュ(BARD MESH)など、長方形の在庫シートで市販の外科用メッシュ繊維のシートが、長方形または卵形など、特定の患者の裂孔修復に適した形状に外科医によって特別注文で作られる。外科医は、移植片の一端からスリットを切断し、次いで食道を受け入れるのに十分大きいスリットの先端で開口を形成することによってパッチ内にキーホール開口を形成する。「尾部」または「フィン」として知られる、端を通過するスリットによって形成されるメッシュの隣接フラップは、食道がキーホール開口に配置され、食道の周囲に裂孔環を再現し、胃が胸腔へ再び入るのを防ぐ助けになった後に縫い合わせることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明のある実施形態のうちの1つの目的は、GERDの治療および/または裂孔ヘルニアの修復のための成形プロテーゼを提供することである。
【0005】
本発明のある実施形態の別の目的は、食道、胃および/または他の周囲の臓器への術後癒着の発生数を減少させるGERD治療および/または裂孔ヘルニアの修復のためのプロテーゼを提供することである。
【0006】
本発明のある実施形態の別の目的は、GERDを治療し、かつ/または裂孔ヘルニアを修復する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明の一実施形態においては、食道の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼが提供される。この移植可能なプロテーゼは、組織および器官との癒着の影響を受けやすい修復用繊維の層と、組織および器官との癒着形成を阻止する表面バリアと、を含んで成る。修復用繊維の層は、第1および第2の表面と、第1の表面から第2の表面まで延在する少なくとも1つの繊維端と、を含む。第1の表面は、移植可能なプロテーゼが食道の近くの患者内に位置していると組織または筋壁の欠損に直面するようになされており、第2の表面は、組織または筋壁の欠損から離れ、かつ患者の中空臓器の方へ直面するようになされている。修復用繊維の層は、食道を受け入れるようになされている開口を有する。表面バリアは、修復用繊維の層の第2の表面の少なくとも一部分上に配置され、移植可能プロテーゼが患者内に位置しているとき第2の表面の部分と隣接組織および器官との癒着形成を阻止する。少なくとも1つの端バリアは、少なくとも1つの繊維端の少なくとも一部分の周囲に延在し、少なくとも1つの繊維端の部分と隣接組織および器官との癒着形成を阻止する。
【0008】
本発明の別の実施形態においては、管状構造物の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼが提供される。この移植可能なプロテーゼは、組織または筋壁の欠損に隣接して配置されるべく構成され、かつ配置されている本体部を含んで成り、かつ外側周辺を含むととともに、管状構造物を受け入れるようになされている開口を有する。本体部は、組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい修復用繊維の層と、癒着に形成を阻止する表面バリアと、を含んで成る。修復用繊維の層は第1および第2の表面と、第1の表面から第2の表面まで延在する少なくとも1つの繊維端と、を含む。第1の表面は、移植可能なプロテーゼが管状構造物の近くの患者内に位置していると組織または筋壁の欠損に直面するようになされている。修復用繊維の層は、開口から外側周辺まで延在し、開口における管状構造物を受け入れる第1のスリットを有する。表面バリアは、修復用繊維の層の第2の表面に配置され、移植可能なプロテーゼが患者内に位置していると第2の表面上の癒着形成を阻止する。表面バリアは、開口から外側周辺まで延在し、開口における管状構造物を受け入れる第2のスリットを有する。第2のスリットは、第1のスリットからのオフセットであり、第2のスリットは、修復用繊維の層の一部分を覆っており、第1のスリットは、表面バリアの一部分を覆っている。
【0009】
本発明のさらにべつの実施形態においては、管状構造物の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼが提供される。この移植可能なプロテーゼは、組織または筋壁の欠損に隣接して配置されるべく構成され、かつ配置されている本体部を含んで成り、かつ外側周辺を含むとともに、管状構造物を受け入れるようになされている開口を有する。本体部は、組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい修復用繊維の層と、移植可能なプロテーゼが患者内に位置していると修復用繊維の層の選択部分上の癒着形成を阻止する複数のバリアと、を含んで成る。修復用繊維の層は、第1および第2の表面と、外側周辺端と、開口端と、を含む。第1の表面は、移植可能なプロテーゼが管状構造物の近くの患者内に位置しているとき、組織または筋壁の欠損に直面するようになされている。外側周辺端は、外側周辺に沿って第1の表面から第2の表面まで延在し、開口端は開口に沿って第1の表面から第2の表面まで延在する。複数のバリアは、修復用繊維の層の第2の表面の少なくとも一部分上に配置された表面バリアと、修復用繊維の層の外側周辺端の少なくとも一部分に沿って配置された周辺端バリアと、修復用繊維の層の開口端の少なくとも一部分に沿って配置された開口端バリアと、を含む。
【0010】
本発明の別の実施形態においては、管状構造物の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼが提供される。この移植可能なプロテーゼは、外側周辺を含み、かつ管状構造物を受け入れるようになされているその中に開口を有するプロテーゼ修復用繊維を含んで成る。プロテーゼ修復用繊維は、第1および第2のセグメントを含み、第1および第2のセグメントのそれぞれは、組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい繊維の層を含む。第1および第2のセグメントのそれぞれは、第1の先端および第2の先端を含み、第1のセグメントの第1の先端は、第1の重ね合わせ領域で第2のセグメントの第1の先端を覆い、第1のセグメントの第2の先端は、第2の重ね合わせ領域で第2のセグメントの第2の先端を覆う。第1のセグメントは、第1と第2の重ね合わせ領域間で第1の中央部を含み、第2のセグメントは、第1と第2の重ね合わせ領域間で第2の中央部を含む。第1および第2の中央部のそれぞれは、約90度以上のプロテーゼ修復用繊維の外側周辺の一部分を形成する。
【0011】
本発明の別の実施形態においては、管状構造物の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼが提供される。この移植可能なプロテーゼは、管状構造物を受け入れるようになされている開口を有するプロテーゼ修復用繊維を含んで成り、かつ第1および第2のセグメントを含む。第1および第2のセグメントのそれぞれは、組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい修復用繊維の層と、組織および器官との癒着形成を阻止する表面バリアと、を含む。表面バリアは、修復用繊維の層の表面上に配置されており、第1および第2のセグメントのそれぞれは、第1の先端および第2の先端を含み、第1のセグメントの第1の先端は、第1の重ね合わせ領域で第2のセグメントの第1の先端を覆う。第1の重ね合わせ領域は、第1および第2のセグメントの少なくとも1つの繊維の層および表面バリアの1つを含まない。
【0012】
本発明の別の実施形態においては、プロテーゼ修復用繊維は、移植可能で生体適合性のプロテーゼ材料の本体部を含んで成る。この本体部は、第1の幅を有する中間区分と、該中間区分の反対側から長手方向に延在する一対の先端部と、を含む。各先端部は、第1の幅よりも大きい第2の幅を有する。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態においては、胃食道逆流症を治療するための方法が提供される。この方法は、食道の外壁上に少なくとも1つの外ひだを作成するステップと、少なくとも1つの外ひだをシンチングし、食道上に少なくとも1つの外ひだ形成を作成するステップと、を含んで成る。
【0014】
本発明の他の目的および特徴は、添付の図面と共に以下の詳細な説明から明らかとなろう。図面は、あくまでも例示目的で設計されており、かつ発明の限定の規定として意図されていない。
【0015】
本発明の上述および他の目的かつ利点は、同様の参照符号が同様の特徴を示す以下の図面から完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図面の簡単な説明
【図1】本発明の1つの例証的な実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す平面図である。
【図2】図1のプロテーゼ修復用繊維を示す底面図である。
【図3】切断線3−3に沿って取られた図1のプロテーゼ修復用繊維を示す断面図である。
【図4】切断線4−4に沿って取られたプロテーゼ修復用繊維を示す断面図である。
【図5】図1のプロテーゼ修復用繊維を示す分解平面透視図である。
【図6】食道を受け入れるように露出したスリットおよび開口とともに図1のプロテーゼ修復用繊維を示す平面図である。
【図7】本発明の別の例証的な実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す平面図である。
【図8】切断線8−8に沿った図23のプロテーゼ修復用繊維を示す断面図である。
【図9】本発明の別の実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す図8と同様の図である。
【図10】食道に隣接して移植された図1のプロテーゼ修復用繊維を示す図である。
【図11】ヘルニア形成処置後に食道に隣接した腹腔内に移植された図1のプロテーゼ修復用繊維を示す概略図である。
【図12】重ね合わせ尾部とともに図1のプロテーゼ修復用繊維を示す側面図である。
【図13】本発明の別の例証的な実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す平面図である。
【図14】図13のプロテーゼ修復用繊維を示す底面図である。
【図15】図13の視線15−15に沿って取られたプロテーゼ修復用繊維を示す側面図である。
【図16】図13のプロテーゼ修復用繊維を示す分解立体平面透視図である。
【図17】本発明の別の例証的な実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す底面図である。
【図18】本発明の別の実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す底面図である。
【図19】本発明の別の例証的な実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す分解立体図である。
【図20】図1の切断線4−4と同様の切断線に沿って取られた図19のプロテーゼ修復用繊維を示す断面図である。
【図21】開アクセス路を示す図20のプロテーゼ修復用繊維を示す断面図である。
【図22】本発明の別の実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す平面図である。
【図23】本発明の別の例証的な実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す平面図である。
【図24】切断線24−24に沿って取られた図23のプロテーゼ修復用繊維を示す断面図である。
【図25】本発明の別の例証的な実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す平面図である。
【図26】切断線26−26に沿って取られた図25のプロテーゼ修復用繊維を示す断面図である。
【図27】テンションフリー修復でヘルニアを修復するために食道に隣接した横隔膜脚に付着された図25のプロテーゼ修復用繊維を示す概略図である。
【図28】ヘルニア形成術の縫合を補強するために横隔膜脚に付着された図25のプロテーゼ修復用繊維を示す概略図である。
【図29】本発明の別の例証的な実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す平面図である。
【図30】胃底に付着され、胃底皺襞形成術手法を補強する図29のプロテーゼ修復用繊維を示す概略図である。
【図31】ヘルニア形成の縫合を補強するために移植された図25のプロテーゼ修復用繊維とともに胃底皺襞形成術の縫合を補強するために移植された図29のプロテーゼ修復用繊維を示す概略図である。
【図32】テンションフリー修復で裂孔ヘルニアを修復するために移植された図25のプロテーゼ修復用繊維とともに胃底皺襞形成術の縫合を補強するために移植された図29のプロテーゼ修復用繊維を示す概略図である。
【図33】本発明の別の実施形態によるプロテーゼ修復用繊維を示す概略図である。
【図34】本発明の1つの例証的な実施形態によるひだ形成法を示す概略図である。
【図35】切断線35−35に沿って取られた図34のひだ形成法を示す断面図である。
【図36】本発明の別の例証的な実施形態によるひだ形成法を示す概略図である。
【図37】展開された針とともに本発明の1つの実施形態によるシンチ機構を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
例証的な実施形態の説明
本発明は、解剖学的弱点または欠損を修復または増強するための移植可能なプロテーゼに関し、特に軟組織および筋壁開口の修復に適している。理解を簡単にするために、かつ発明の範囲を制限することなく、本特許が対象としているプロテーゼは、以下では特に裂孔ヘルニアの修復および/またはGERDの治療に関連して述べられる。もっとも、当業者に自明であるように、プロテーゼがそのように限定されず、他の解剖学的処置で使用されうることが理解されるべきである。例えば、このプロテーゼは、管状構造物、または他の突起が、組織、筋、または器官壁の開口を通過し、または修復および/または増強を必要とする組織、筋、または器官壁から突出する場合に使用されうる。
【0018】
さらに、以下で論じられる実施形態の多くは、組織浸潤性である1つもしくはそれ以上の部分を有する移植片を含むが、本発明はそのように限定されず、組織内方成長のために準備されていないプロテーゼも考えられている。さらに別の実施形態は、組織浸潤性またはその他の点で癒着感受性部分が癒着形成に対する耐性が与えられている移植片を含む。一部の実施形態においては、移植片の一部または全部が組織内方成長のために準備されうるが、他の実施形態においては、移植片の一部または全部は組織内方成長に耐えるように、その他の点では隣接する臓器への癒着形成、およびその成長の阻止に耐えるように準備されうる。組織内方成長区分およびバリア区分の位置は、以下で論じられるように、移植片の端、移植片の表面、および/または移植片の本体部の区分に沿って変動しうる。
【0019】
本発明による移植片は、裂孔修復に関連して、裂孔の拡大または弱体化部分、またはヘルニア形成において配置されるようなヘルニアの修復において使用される手術用縫合糸を覆うように構成され、かつ配置される本体部を含みうる。本体部の一部または全部は、組織浸潤性であり、組織内方成長に影響されず、またはその他の点で癒着形成に耐性であり、または組織浸潤性部位と癒着耐性部位の組合せを含みうる。一部の実施形態においては、プロテーゼは、術後癒着形成または索構造物の成長阻止の発生数を減少させるように配置されうる。この移植片は、プロテーゼ修復材料の単一または複数の層で形成されるとともに、プロテーゼ材料の層の数は、移植片の種々の部分で変動しうる。
【0020】
この移植片は、食道を受け入れるようになされている完全または部分的な開口を有しうる。開口は、移植片の側面のいずれか1つ、またはその組合せに沿って形成され、または本体部の中およびそれを通じて提供されうる。本特許明細書、およびそれに関連した特許請求の範囲の目的のために、食道または管状構造物を受け入れるようになされている「開口」の特徴は、「完全」または「部分的」の限定詞は使用されない場合でも、食道を完全に囲むように構成されている完全な開口と、食道を部分的にのみ囲むように構成されている部分的な開口と、を含むべきである。開口は、食道の周囲に移植片を配置するように構成され、かつ配置されている円形または他の形状を有しうる。開口からプロテーゼの周辺まで延在し、食道のアクセス開口を提供するスリットも形成されうる。
【0021】
この移植片は、前端、後端、内側、および外側によって画定されうる。これらの側面および先端の長さおよび/または形状は同じであっても、異なっていてもよい。これらの側面および先端のいずれかは、単一のまっすぐな端、曲った端、分岐または収束するセグメントで形成された端、および当業者には自明であるような他の形状を含みうる。移植片の形状は、端々または側々に見て対称でも非対称でもありうる。移植片は、円形、卵形または卵形、C字状、ボータイ状(bow tie shape)、バタフライ状、長方形、弧状、および当業者には自明であるような他の形状を有しうる。
【0022】
この移植片は、前後方向、内側外側方向、または前後と内側外側方向の組合せで細長くなりうる。実質的に全方向で同じ長さを有する移植片も考えられる。移植片は、外科手術の前またはその最中に外科医によって作り直され、またはカスタマイズ化されうる。同様に、移植片は、スリットおよびキーホール開口とともにあらかじめ配置され、またはこれらの特徴の1つまたは両方を形成する外科医に任せることができる。
【0023】
この移植片は、移植前など、ストレスのないまたは自然な状態で、略フラットまたは平面の形状を有し、または1つもしくはそれ以上の表面上で凹面および/または凸面の形状で配置され、またはより複雑な三次元形状を含みうる。コードまたは他の部材を移植片を通じてネジ込み、次いで、例えば移植片の外側に延在するコードの先端を引くことによって操作し、プロテーゼを所望の形状に変形させることができる。移植片には、移植片に係合し、またはその他の点では対照的であり、自然に、または力(例えば、熱)の適用と同時にプロテーゼを所定の形状に形成させられる金属、ポリマー等の薄いストリップなど、各部材に影響を及ぼす形状を提供することができる。
【0024】
この移植片は、十分に可撓性であり、外科医は手術部位に適合するように繊維を操作し、腹腔鏡処置中に用意に送達することができ、または修復デバイスの圧縮および/または膨張を制限する硬い配置を有する。一部の実施形態においては、移植片は、例えばフォールディング、ローディング、またはその他によって折り畳み式であり、腹腔鏡のカニューレまたはトロカールの狭い管腔を通じて送達されうる細長い構成にされうる。移植片の可撓性は、移植片が構成されている材料、部材に影響を及ぼす形状、移植片の材料に適用される処理、および移植片の本体における縫い目または他の付着特徴の量を含む多くの要因によって影響される。
【0025】
移植片の一部の部分は、例えば、かつ発明を限定することなく、バリア材料をプロテーゼの選択部分に適用することによって、移植片の選択された多孔性部分に少ない多孔性、好ましくは、組織浸潤に影響されない多孔性を与えることによって、かつ当業者には自明であるような他の処理によって形成されうるバリアを含みうる。バリアは、組織浸潤性である移植片の選択部分から食道、および/または腹部臓器を分離し、癒着、狭窄等と関連した食道、胃、肝、および腸の損傷の発生数を減少させるように処理されうる。
【0026】
一例として、食道および臓器を移植片への癒着の種々の潜在的な地点から分離するために考えられた発明配置を限定することなく、開口端には内側端バリアを配置することができ、開口端は開口を通過する食道の部分から分離される。第1の、または横隔膜に面する移植片の表面上の開口を囲む縁部分も、端バリアによって分離され、開口を通じて延在し開口に隣接した食道のセグメントと開口の縁との間の接触の可能性を制限することができる。プロテーゼの第2の表面の、すなわち臓器に直面する表面の一部または全部は、表面バリアを含みうる。表面バリアは、第2の表面の実質的に全体を覆うように配置されうる。別の外側端バリアをプロテーゼの外側端に配置し、プロテーゼの外側周辺によって中空臓器との癒着を防ぐことができる。外側端バリアは、繊維の層の外側端に隣接して延在する第1の表面の縁を分離するように構成または拡大することもできる。キーホールスリットは、スリットバリア部をも有しうる。スリット端および/またはキーホールスリットにおける組織浸潤性組織のスリット端に隣接した縁は、スリットバリアをも包囲しうる。種々のバリア部の形状および寸法は、当業者には自明であるように修正されうるが、本発明は図面に示されたバリア区分の特定の構成に限定されない。
【0027】
この移植片は、1つもしくはそれ以上の重ね合わせ領域で互いに付着されうる2つもしくはそれ以上のセグメントで形成され、プロテーゼを形成しうる。重ね合わせ領域間のセグメントの部分は、約90°またはそれ以上のプロテーゼの外側周辺を形成するように構成されうる。1つもしくはそれ以上の重ね合わせ領域は、プロテーゼにわたって略均一の厚さを維持する入れ子構成を有しうる。
【0028】
図1〜6は、組織内方成長の増大を促進すると同時に修復用繊維への術後癒着の発生を制限することによって、軟組織および筋壁欠損、特に裂孔ヘルニアを修復するためのプロテーゼ修復用繊維の一実施形態を示す。プロテーゼ20は、裂孔の拡大または弱体部、または例えばヘルニア形成において適用されるヘルニアを修復する手術用縫合を覆うように構成されている本体部を含む。本体部は、横隔膜など欠損部位に直面するための第1の表面26、および臓器に直面するための第2の表面28を有する。本体部は、組織浸潤性繊維22を含む。本体部の1つもしくはそれ以上の部位は、癒着耐性として構成し、プロテーゼの選択部位への術後癒着の発生数を制限することができる。
【0029】
食道など管状構造物に隣接して配置される一部の修復においては、プロテーゼは、食道または他の管状構造物に対応または適合するように構成されうる。例証的な実施形態においては、プロテーゼには、食道を受け入れるようになされている開口30が備えられている。開口30は、プロテーゼの本体部内部に配置され、食道は、欠損部位に移植されるとプロテーゼによって完全に包囲される。開口は、特定の修復のためにプロテーゼの適切な部分に提供されうることが理解されるべきである。例えば、開口は、プロテーゼで食道を部分的にのみ包囲するためにプロテーゼの1つもしくはそれ以上の側面に沿って配置されうる。開口は、円形または食道に適合するようになされている他の形状を有しうる。
【0030】
スリット64は、開口からプロテーゼの外側周辺32まで延在し、食道の周囲に移植片を配置するための経路を提供する。このスリットは、プロテーゼの任意の部分に配置され、任意の適切な方向から開口と外側周辺との間に延在するように方向づけされうる。スリット64および開口30は、プロテーゼとともにあらかじめ形成され、または修復処置中に外科医によって形成されうる。
【0031】
上記の通り、プロテーゼ20の1つもしくはそれ以上の選択部位は、プロテーゼと隣接組織、筋、および/または食道、脾、肝、胃、腸、腹腔内の小腸および大腸、または胸腔内の心臓および肺などの器官との間の術後組織癒着の発生数を制限する癒着耐性を与えることができる。この点で、プロテーゼは、望ましくない癒着を阻止するために組織浸潤性繊維を分離するように構成され、かつ配置されている1つもしくはそれ以上のバリアを含みうる。例えば、プロテーゼは、繊維の一方または両方の2つもしくはそれ以上の表面バリアの1つまたは組合せ、繊維の1つもしくはそれ以上の端に沿った端バリア、および/または繊維の1つもしくはそれ以上の端に隣接して配置された縁バリアを含みうる。種々のバリアの形状、サイズ、および位置は、当業者には自明であるようなプロテーゼの所望の癒着耐性特性を達成するように選択されうる。
【0032】
図1〜6に示された例証的な実施形態においては、プロテーゼは、繊維22の第2の表面28(表面に直面する臓器)の実質的に全体を覆うように配置されている表面バリア118を含む。このようにして、表面バリアは、欠損部位に対向して位置した繊維と中空臓器との癒着形成を阻止する。一実施形態においては、表面バリア118は、繊維に付着している癒着耐性材料のシートを含む。
【0033】
プロテーゼは、開口30に隣接した繊維22の部分から食道を分離する内側端バリア114および内側縁バリア116をも含む。より詳しくは、繊維の第1の表面と第2の表面との間に延在し、かつ繊維開口を画定する開口54が、内側端バリア114によって覆われ、開口を通過する食道の部分が繊維の開口端に直接接触することはない。同様に、繊維開口を包囲する第1の表面26(横隔膜表面)の縁部55が、内側縁バリア116によって分離される。縁バリアは、開口を通じ、かつこれに隣接して延在する食道のセグメントと開口に隣接した繊維の縁部分との癒着の可能性を制限する。
【0034】
例証的な実施形態においては、内側縁バリア116は、開口30を包囲する内側縁部55における繊維22の第1の表面26を覆うバリア材料のアニュラリングを含む。図示されているように、縁バリアの内側端48は繊維の開口端54をわずかに越えて延在する。同様に、表面バリア118の内側端は、縁バリアの内側端に隣接して位置するために繊維の開口端を越えて内方へ延在する。縁バリア116の内側端は、表面バリア118の内側に直接付着されており、それらの間の繊維の介在層なしに、内側端バリア114を形成し、食道から繊維の開口端を分離する。
【0035】
プロテーゼは、外側周辺端の少なくとも一部分の周囲に延在し、中空臓器とプロテーゼの外側周辺32との間の癒着の発生数を減少させる外側端バリア120をさらに含む。例証的な実施形態においては、外側端バリアは、プロテーゼの外側周辺の全体の周囲に延在する。外側端バリア120は、繊維22の周辺セグメントに癒着耐性を与えることによって形成されている。一実施形態においては、外側端バリアは、繊維の外側周辺を融解し、再凝固し、または別な方法でヒートシールすることによって形成されている。しかし、外側バリアは、当業者には自明な適切な処理によって形成されうることが理解されるべきである。例えば、バリア材料を用いて繊維周辺を覆い、または別な方法で周辺に沿って繊維に癒着耐性を与えることができる。適切な外側端バリアの例は、本明細書中で参考によって援用される、シー.アール.バード(C.R.Bard)に譲渡された米国特許出願第09/661,623号に記載されている。
【0036】
外側縁バリアは、プロテーゼの外側周辺端に隣接した繊維の縁部を分離するように備えられている。外側縁バリア122は、繊維層22の第1の表面26に沿って外側端から内方へ延在し、プロテーゼへの癒着形成の可能性を制限し、外側端32が配置中に折り畳まれ、または別の方法で処置後に組織および器官に露出される。一実施形態においては、外側縁バリアは、繊維の外側縁部を融解し、再凝固することによって形成されている。しかし、当業者には自明であるような、上述された種々のバリア処理を含めて、適切な分離処理を使用することができる。
【0037】
上記のとおり、プロテーゼにはスリットが備えられ、開口30への即時のアクセスを可能にすることができる。場合によっては、食道または他の管状構造物からスリットの全長または一部分に沿ってスリット端および/または繊維縁を分離することが望ましい。図1〜6の例証的な実施形態においては、プロテーゼが食道の周囲に配置されると食道からスリットを分離するように、スリット端バリア124がスリット端72、74のそれぞれに沿って備えられている。スリット端バリア124は、プロテーゼの移植後のスリットと食道との癒着の発生数も削減しうる。プロテーゼは、繊維22の第1の側面26のスリット64の各側面に隣接した縁セグメント65に沿ってスリット縁バリア126をも含む。一実施形態においては、スリット端バリア124およびスリット縁バリア126は、繊維のスリット端および縁を融解またはヒートシールすることによって形成されている。しかし、当業者には自明であるような、上述された種々のバリア処理を含めて、適切な分離処理を使用することが理解されるべきである。
【0038】
図1〜6に示されている例証的な実施形態においては、内側端バリア114、内側縁バリア116、および表面バリア118は、一連の連続的な接続縫い目46で繊維22に縫い合わされている。図1〜2に示されているように、一対の縫い目線46A、46Bが環状バリア材料を繊維22および表面バリア118に付着させ、内側端バリア114および
内側縁バリア116を形成する。縫い目46Aの第1の線は、環状バリア材料の内側周辺および表面バリア118を互いに付着させ、食道から繊維22の内側端54を実質的に分離する内側端バリア114を形成する。縫い目46Bの第2の線は、内側縁バリア116の外側周辺および表面バリア118の対応部位を繊維22に付着させる。縫い目46Cの第3の線は、表面118の外側周辺を移植片の外側周辺32に沿って繊維に付着させる。
【0039】
表面バリア118には若干の緩みを備え、バリアが必ずしも繊維22の第2の表面に対して直接位置しないことが望ましいと思われる。このようにして、表面バリアは、繊維の表面に対してピンと張って引かれず、それによってバリアのわずかな渦巻きを可能にし、これがプロテーゼの組織一体化を強化しうる。一実施形態においては、第2と第3の縫い目線46B、46C間に延在する表面バリア118の部分が、繊維に対してわずかに渦巻くように構成されている。
【0040】
他の適切な縫い目パターンは、1つもしくはそれ以上のバリアを繊維22に接続するために実施されうることが理解されるべきである。他の適切な縫い目パターンの例としては、バリアと繊維との間の複数の間欠的な縫い目、または周辺32の輪郭に従い、プロテーゼ20の外側周辺32から内側端48まで同心のらせんパターンを形成する単一の連続縫い目の線が挙げられるが、これらに限定されない。縫い目の量を制限し、プロテーゼの可撓性を維持することが望ましいと思われる。バリアと組織浸潤性材料とを結合するために、当業者には自明であるように、適切な生体適合性の糸材料を用いることができる。例えば、糸としては、ポリプロピレンモノフィラメントまたはePTFE糸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
バリア材料を繊維に縫い合わせるのではなく、当業者には自明の他の付着方法が使用されうる。例えば、適切なタッキング、ステープリング、熱結合、化学結合、および成形技法を用いてバリアと繊維を付着させることができる。
【0042】
プロテーゼの種々の部分に関連して特定のバリア構造が上述されているが、当業者には自明であるような他の適切なバリア構造がプロテーゼとともに使用されうることが理解されるはずである。例えば、バリアのいずれか1つまたは組合せが、組織内方成長を塞ぐために繊維を変更または処理することによって、繊維をバリア材料、または繊維処理とバリア材料のいずれかの組合せで覆うことによって形成されうる。また、いずれか1つもしくはそれ以上のバリア構造は、バリア層で繊維層を処理し、処理繊維を覆うことによって形成されうる。他のバリア配置のいくつかの追加の実施形態が以下に記載されている。
【0043】
図7〜8は、食道への癒着の発生数を減少させる内側端バリアの別の実施形態を示す。図8に示されているように、内側端バリア114は、組織浸潤性繊維22の第2の表面上の表面バリア118から、かつ繊維開口の内側端上を延在する。バリア材料は、開口端54の周囲、および繊維22の第1の表面上を包み、内側縁バリア116を形成する。内側縁バリアが不必要であり、または望ましくない場合には、バリア材料は、表面バリア118から、かつ繊維の開口端のみの上を延在するように構成されうる。内側端バリア114および/または内側縁バリア116は、結合、縫い合わせ、融合等によるなど適切な付着処理を用いて繊維に結合されうる。繊維の開口端の周囲を包む材料は、表面バリア118、内側バリア114、および内側バリア116を連続的な一体化した構造として提供する。この配置においては、内側端バリア114は、連続的な一体材料として、バリア118の表面に一体的に付着されている。
【0044】
内側端バリア114および/または内側縁バリア116の製造を促進するために、表面バリア118は、折り畳まれ、かつ開口を通じて組織浸潤性繊維に延在するように構成されている複数のフラップ70を含みうる。フラップ70は、周囲が包まれ、繊維に結合され、または固定されないままでありうるが、いずれかの配置において、バリア材料のフラップは、食道と組織浸潤性繊維との間に配置され、それによって開口の繊維端との癒着の発生数または食道への潜在的な損傷を削減する。フラップ70は、縫い合わせ、接着結合、化学結合等によるなど適切な処理を用いて繊維に付着されうる。フラップは、周囲が包まれ、処置の前または最中に繊維に付着され、または組織浸潤性層に一体的に形成されるように提供されうる。当業者は、バリアフラップが、バリア118から延在されるのではなく、組織浸潤性繊維に別個に付着されうることをも理解するであろう。フラップは、また、開口を通じて延在し、移植片の側面に面した臓器から離れて延在しうる。
【0045】
繊維の部分を覆うバリア材料の層から内側端バリア114および内側縁バリア116を形成するのではなく、繊維の選択部分を処理し、または変更し、繊維の同部分に組織および器官との癒着形成に対する耐性を与えることが望ましいと思われる。図9に示されている別の例証的な実施形態においては、繊維22の内側端54が融解され、再凝固され、繊維の内側縁および/または内側縁の周囲にそれぞれ、内側端バリア114および/または内側縁バリア116を形成する。必要に応じて、繊維の同部分を個別のバリア材料で覆い、バリア114、116の癒着耐性特性をさらに強化することもできる。
【0046】
場合によっては、繊維22の選択部分を覆うように処理されているバリア材料から外側端バリア120および外側縁バリア122を形成することが望ましいと思われる。図7に示されている例証的な実施形態においては、外側端バリア120および外側縁バリア122は、側面に直面する臓器を覆う表面118から延在する。図示されているように、表面バリアは、組織浸潤性層22の外側端78を越えて延在し、繊維の外側端および/または外側縁を器官および組織との接触から分離する。表面バリアのこの拡大部分は、外側端の周囲および組織浸潤性層の第1の表面の部分上で折り畳まれ、縫い合わせ、化学結合、熱結合等によって結合されうることが理解されるべきである。
【0047】
プロテーゼ20には、繊維および/または他のバリアにあらかじめ付着されている1つもしくはそれ以上のバリアを備えることができる。あるいは、プロテーゼは、修復処置中に繊維および/または他のバリアのいずれかに付着されている、または隣接組織および/または器官によって適所に保持される繊維22の所望の部分上に単純にオーバーレイされるバリアを有する別個の部品のキットとして提供されうる。
【0048】
一実施形態においては、組織浸潤層22が、組織内方成長を可能にし、移植後の宿主組織に修復装置を一体化する複数の隙間または開口を有する生物学的に適合性、可撓性のプロテーゼ修復用繊維のシートで形成されている。組織浸潤性層および/またはバリア部分の縫合引抜き強度は、基礎を成す解剖学的脆弱性を支持し、移植片領域の動的環境に耐えるのに十分でなければならない。裂孔ヘルニアの修復の場合、メッシュは好ましくは平方インチ当り約2ポンドの縫合引抜き強度を有し、呼吸、咳、および嚥下中に食道の周囲の動的環境に適合するのに十分に可撓性である。代表的な材料は、シー.アール.バード社から入手可能なバードメッシュ(BARD MESH)など編んだポリプロピレンモノフィラメントメッシュである。移植された場合、ポリプロピレンメッシュは、メッシュ構造の中へ、かつその周囲の迅速な組織内方成長を促進する。あるいは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)メッシュ、プロレン(PROLENE)、軟組織パッチ(SOFT
【0049】
TISSUE PATCH)(微孔性ePTFE)、サージプロ(SURGIPRO)、トレレックス(TRELEX)、アトリウム(ATRIUM)、メルセレン(MERSELENE)、非吸収性コラーゲン、およびポリエステルを含むが、これらに限定されない、欠損閉鎖における組織補強に適している他の外科用材料が利用されうる。ポリグラクチン(ヴィクリル(VICRYL))、ポリグリコール酸(デクソン(DEXON))、および吸収性コラーゲンを含む吸収性材料も使用されうる。繊維は、織られ、編まれ、成形され、または別の方法で互いに係合され、移植片の組織浸潤性成分を形成しうるモノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸で形成されうることが考えられえる。
【0050】
一実施形態においては、1つもしくはそれ以上のバリアが、組織内方成長および癒着を阻止する孔のサイズ(サブミクロンの(submicronal))を有する、W.L.ゴア(Gore)アンド(&)アソシエーツ(Associates)社から入手可能なゴア−テックス(GORE−TEX)など延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)のシートで形成されうる。他の適切なバリア材料の代表的かつ非限定的なサンプリングとしては、ダウコーニング(Dow Corning)社によって配給されているシラスティック(SILASTIC)Rxメディカルグレードシーティング(Medical Grade Sheeting)(硬化白金)などのシリコーンエラストマー、テフロン(TEFLON)メッシュ、微孔性ポリプロピレンシーティング(CELGARD)、コラーゲン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、およびグリコール酸ポリマーが挙げられる。例えば、心膜および小腸粘膜下組織を含む自原性、異質性、および異種の組織も考えられる。酸化、再生セルロース(INTERCEED(TC7))などの吸収性材料を一部の用途に使用されうる。バリアは、癒着形成の一時的または永続的なバリアを形成する材料のいずれかのブレンド、混合物、またはヒドロゲルでありうる。
【0051】
上記のとおり、1つもしくはそれ以上のバリアが、組織浸潤性層の一部分を処理し、または変更することによって形成され、組織内方成長を促進することがない表面を形成する。一実施形態においては、繊維層の1つもしくはそれ以上の部分が融解され、再凝固され、繊維の同部分に癒着耐性を与える。他の適切な技法としては、超音波、誘導、振動、赤外線/レーザー溶接等が挙げられうる。繊維の孔は、組織内方成長を妨げる適合性材料でシールされうる。理解されるように、適切な方法を用いて、当業者には自明であるように、プロテーゼの選択部分に癒着耐性を与えることができる。
【0052】
組織浸潤性繊維およびバリア部位のプロテーゼ20は、比較的フラットであり、かつ十分に柔軟であり、外科医が移植片の形状を操作し、当該の解剖学的部位に適合させ、それに縫合またはステープルされることが可能である。プロテーゼ20は、必要に応じて、皮膚切開のためのトロカールまたは腹腔鏡カニューレを通じて患者の腔へ送達されうる。プロテーゼ20の形状およびサイズは、繊維22およびバリアのいずれかを含めて、当業者には自明であるように外科的用途により変動しうる。この点で、繊維および/またはいずれかのバリアはあらかじめ成形され、または外科手術中の外科医によって成形されるうることが考えられる。
【0053】
場合によっては、裂孔ヘルニアの近くの一般的な解剖学的構造に適合するようにプロテーゼ20をあらかじめ成形することが望ましい。プロテーゼ20は、腹腔内に適合するように成形され、横隔膜の下で食道の周囲、または横隔膜の下で食道の近くに配置されうる。あるいは、プロテーゼは胸腔内に適合するように成形され、横隔膜の上、裂孔の上、および/またはヘルニア形成もしくは胃底皺襞形成術のための縫合部位の上に配置されうる。
【0054】
図1〜6に示されている例証的な実施形態においては、プロテーゼは、裂孔または他の横隔膜ヘルニアを増強または修復するために適した略卵形または卵形を有する。プロテーゼ20の形状は、長軸38および短軸40を有する実質的に楕円形で、これら二つの軸は、両方の軸の中点に位置した始点42で交差する。図1に示されているように、プロテーゼは、長軸38の周囲で実質的に対称であると共に短軸40の周囲で実質的に非対称であり、より狭いまたは尖った先端36と、より広いまたは尖っていない先端34と、互いに尖っていない先端から尖った先端への方向で収束する外側および内側110、112と、で略楕円形(例えば、卵形)を提供する。プロテーゼは、両方の軸の周囲で対称であり、両方の軸の周囲で非対称であり、または長軸の周囲で非対称かつ短軸の周囲で対称であり形状など、適切な形状で構成されうる。
【0055】
食道または他の管状構造物を受け入れるための開口30は、特定の修復に適している、本体部に対して、所望の位置に配置されうる。例証的な実施形態においては、開口30は、長軸38に沿って位置し、本体の短軸40から尖った先端36へオフセットされたその中心44とともに配置されている。図示されているように、開口は、食道または他の管状構造物を受け入れるように構成された円形または卵形を有するが、当業者には自明である適切に成形された開口がプロテーゼとともに使用されうる。
【0056】
図1〜6に示されている例証的な実施形態においては、プロテーゼは、本体部の尖った先端36で一対の尾部66、68を含む。スリット64によって、独立して、またはいっしょに分離される尾部66、68は、拡張され、持ち上げられ、折り畳まれ、または別の方法で分離され、食道を開口30へ導入するためのアクセス路88を作成することができる。移植片のストレスのない、自然な構成で、尾部は、図1に示されているように、実質的に平面の配置でスリットの反対側で互いに隣接して位置する。
【0057】
図1〜6と関連した典型的な実施形態においては、プロテーゼ20は、直径約0.006インチのポリプロピレンモノフィラメントで編まれた厚さ約0.025〜0.030インチのバードメッシュ(BARD MESH)のシートを含む。表面バリア118および内側縁バリアは、メッシュに付着された厚さ約0.006〜0.008インチのePTFEのシート、および直径0.006インチのポリプロピレンモノフィラメントで形成された長さ約4mm〜6mmの糸を用いて互いに形成されている。プロテーゼ20は、約10.5cmの長軸38に沿った長さ、および約8.4cmの短軸40に沿った幅を有する。 プロテーゼ20における開口30は、実質的に環状であり、食道に適合する大きさである。小さな食道は、通常、直径2〜3cmであり、大きな食道は、通常、直径3〜4cmである。プロテーゼ20の開口端48と食道との間に約0.25cmの間隔を可能にするために開口の大きさを決めることが望ましいと思われる。一実施形態においては、開口は、約2.5センチメートル〜約4.5センチメートルの直径を有する。小さな食道に適合させるために、開口は約2.5センチメートル〜約3.5センチメートル、かつ好ましくは約3センチメートルの直径で構成されうる。大きな食道に適合させるために、開口は約3.5センチメートル〜約4.5センチメートル、かつ好ましくは約4センチメートルの直径で構成されうる。しかし、開口は、食道または管状構造物を受け入れるために適した形状および寸法を有するように構成されうることが理解されるべきである。
【0058】
図1に示されている実施形態にいては、開口30は、長軸38と整列し、短軸40からプロテーゼ20の尖った先端36へ約0.8cmオフセットされている。メッシュ繊維22における開口は、約1.9cmの半径を有する。環状のバリア層116は、繊維開口に隣接したメッシュ繊維22をオーバーレイし、約1.4cmの内半径および約2.4cmの外半径を有し、したがって、環状バリアは、約1.0cmの幅を有し、その約0.5cmがメッシュ繊維22の第1の表面をオーバーレイし、かつ約0.5cmがメッシュ繊維22の内側端54を越えて延在する。
【0059】
表面バリア118は、外側周辺32に沿ってメッシュ繊維22と実質的に対称であり、表面バリア118における開口は環状バリア116の内半径に対して対称であり、これは図1に示されている実施形態においては1.4cmである。環状バリア層の内側端48および表面バリアは、メッシュ繊維22における開口30の内側端54を約0.5cm越えて延在する。したがって、図1に示されている実施形態においては、バリアの内側端48によって画定された開口30は約2.8cmの直径を有する。
【0060】
外側端および縁バリア120、122は、メッシュ繊維22の外側端および外側周辺32の縁に沿って位置し、メッシュ繊維22を熱混合し、メッシュ繊維22における隙間または開口を閉じ、かつメッシュをバリア118にシールすることによって形成されている。外側縁バリア122は、約1/16〜3/8インチの幅を有する。スリット64におけるメッシュ繊維のスリット端および縁もヒートシールされ、スリットバリア124、126を形成する。
【0061】
上記の寸法は単に例示的であり、すべての適切なサイズおよび形状がプロテーゼ20のために使用されうることが理解されるべきである。
【0062】
図10〜11は、裂孔ヘルニアの修復および/またはGERD治療におけるプロテーゼのいくつかの代表的な応用例を示す。図10に示されているように、プロテーゼ20は、組織に接近することなく欠損上に配置され、実質的にテンションフリーで修復を達成することができる。図11に示されているように、プロテーゼは、ヘルニア形成とともに使用され、表面領域上の組織浸潤で縫い目を補強し、力が脚にかけられる場合に縫合の引き出しの可能性を軽減することができるが、さもなければ潜在的に再発性ヘルニアが生じうる。プロテーゼは、当業者には自明であるように、他の処置のために適切なやり方で使用されうることが理解されるべきである。
【0063】
欠損部位におけるプロテーゼの配置後、開口30を通じて延在する食道および横隔膜に直面した第1の表面26とともに、プロテーゼ20は、プロテーゼの尖った先端が患者の後方へ位置し、そこで容易に縫合され、または別の方法で尾部を結合するように回転されうる。例えば、ヘルニア形成中に、食道を上方または前方に偏向させ、食道の背後および下の縫合を容易にすることが知られている。尾部が互いに付着され、アクセス開口を閉鎖した後、移植片は回転され、または別の方法で操作され、尖った先端36は尾部とともに前方に位置づけられ、尖っていない先端34は裂孔欠損上の後方へ配置される。尖っていない先端は、手術で配置された縫合によって保持される尾部を含む尖った先端よりも大きな構造的完全性を有するため、次いでプロテーゼの尖っていない先端を欠損部位上に配置することが望ましいと思われる。
【0064】
場合によっては、尾部66、68を互いに重ね合わせ、固定することが望ましくもありうる。尾部を重ね合わせることにより、開口へのアクセス路に沿ってプロテーゼの構造的完全性が強化されうる。尾部の重ね合わせにより、食道または他の構造物の周囲のプロテーゼの調節も促進されうる。外科医は、欠損部位に適合するプロテーゼのために所望の非平面または三次元形状を作成することも可能でありうる。
【0065】
図12に示されている例証的な実施形態においては、尾部66、68は重ね合わされ、移植片は、臓器に直面した略凹表面および横隔膜、特に脚に直面した略凸表面の円錐形を獲得する。凸形の横隔膜に直面した表面を提供することにより、横隔膜のわずかに凹面で不規則な表面への移植片の設置が促進されうる。移植片は、当業者には自明であるように、凹/凸表面の1つ、もしくは凹/凸表面の両方を含み、または凹/凸表面のどちらも含まないように配置されうる。さらに、凹/凸形は逆転されうる。すなわち、横隔膜に直面した表面は凹形を含み、かつ/または臓器に直面した表面は凸形を含みうる。プロテーゼを特定の形に操作することなく、移植片は、凸および/または凹の外観などの所望の形を有するように実施されうることが理解されるべきである。
【0066】
移植片が自然なストレスのない状態にある場合に互いに重ね合う尾部とともにプロテーゼを構成することが望ましいと思われる。このようにして、尾部は、形を変更することなく、かつ/またはプロテーゼにおけるテンションを誘発することなく結合されうる。すなわち、移植片の形は、尾部が縫合され、または別の方法でいっしょに付着された後に実質的に不変のままであり、プロテーゼへテンションを与えることなく食道の周囲に強く完全な環を形成することができる。
【0067】
図13〜16に示されている一実施形態においては、プロテーゼ20は、移植片が実質的にフラットに位置している場合、重ね合わせ部位76で重ね合わされた尾部66、68とともに構成されている。必要に応じて、尾部は、さらに近づき、移植片におけるテンションを誘発し、これによりプロテーゼ20は、非平面、ドーム状、または他の三次元形状をとることになりうる。
【0068】
尾部66、68の重ね合わせ領域76のサイズおよび形は、尾部66、68をいっしょに固定するための適切な領域を提供するように選択されうる。図13に示されているように、重ね合わせ領域は、開口30の方へより狭く、外側周辺32の方へより広くなされている楔形を有する。他の重ね合わせ形がプロテーゼとともに実施されることが理解されるべきである。例えば、楔形は示されている構成から反対にされ、開口の方の先端は移植片の外側端に近い重なり合いの先端よりも広くなる。尾部が互いに縫合される一実施形態においては、重ね合わせ領域76の幅がその最も小さい寸法で少なくとも約1cmの幅であり、約2〜3cm幅で重ね合わせられうる。図17に示されている別の例証的な実施形態においては、重ね合わせ領域76は、実質的に均一の幅を有する。もちろん、重ね合わせ領域の適切な形およびサイズが移植片とともに実施されうる。
【0069】
上述された種々の実施形態と同様、この説明的なプロテーゼは、潜在的な癒着の部位から繊維の選択部分を分離する組織浸潤性層および1つもしくはそれ以上のバリアを含みうる。例えば、内側開口端、内側縁、外側周辺端、外側縁、スリットの端、スリットに隣接した縁、および臓器に直面した表面のいずれか1つまたは組合せは、癒着形成に対して耐性であるバリアを含みうる。バリアは、バリアタイプの繊維のほか、選択的に癒着耐性が与えられている組織浸潤性繊維を含みうる。あるいは、移植片は、完全にバリア材料で形成されうる。
【0070】
重ね合わせ部位を有するプロテーゼの製造を促進するために、プロテーゼ20は、2つもしくはそれ以上の別個の区分で形成されうる。図13〜16に示されている例証的な実施形態においては、プロテーゼ20は、互いに結合されて移植片を形成する第1および第2のセグメント80A、80Bを含む。示されているように、各セグメントは、略C字状であり、湾曲した中央部を有する第1および第2の先端部を含む。第1および第2のセグメントは、第2のセグメントの第1および第2に先端部を重ね合わせる第1のセグメントの第1および第2の先端部が配置され、第1および第2の重ね合わせ領域を有するプロテーゼを形成する。結合されると、第1および第2のセグメントは、食道または他の管状構造物を受け入れるための開口30を有するプロテーゼの本体部を形成する。このようにして、各セグメントの外側周辺の一部が移植片の外側周辺を形成し、各セグメントの内側周辺の一部分が開口を形成する。
【0071】
例証的な実施形態においては、各セグメントは、腹部臓器に直面する繊維層の表面を覆う組織浸潤性繊維層22および表面バリア層118を含む。各セグメントは、開口端に沿って内側端バリア114をも含み、食道への癒着の発生数を減少させる。縁バリア116が、開口を包囲する第1の表面の一部分に備えられている。外側端バリア120が、繊維層の外側端に沿って備えられており、移植片の周辺における癒着形成の可能性を減少させる。外側縁バリア122が、プロテーゼの第1の側面の外側周辺に隣接した繊維の外側縁に沿って備えられている。プロテーゼは、なお必要に応じて、特定の修復処置に適合するこれらまたは他のバリアのいずれか1つまたは組合せを含みうることが理解されるべきである。
【0072】
示されているとおり、第1および第2のセグメント80A、80Bのそれぞれは、移植片の外側周辺の周囲に180度超で延在し、確実にそのセグメントがそれぞれの第1および第2の先端部で十分な量の材料を供給し、重ね合わせ領域を作り出すようにする。中央部領域は、移植片の外側周辺の約90度超で重ね合わせ領域76、86を分離するように構成されている。図13〜16に示されている実施形態においては、各中央部領域は移植片の外側周辺の約170度で延在し、各重ね合わせ領域は移植片の外側周辺の約10度で延在する。各セグメント80A、80Bは、適切な非対称または対称の形を有しうるとともに、適量のプロテーゼ20の外側周辺32および開口30の内側周辺48を形成しうる。例えば、1つまたは両方のセグメントの中央部は、プロテーゼの外側周辺の90度以上、または外側周辺の120度以上を形成するように構成されうる。
【0073】
図18に示されている別の例証的な実施形態においては、第1セグメント80Aは、プロテーゼ20の内側周辺48および外側周辺32の約180度を形成し、第2セグメント80Bは、プロテーゼ20の内側周辺48および外側周辺32の180度超を形成し、重ね合わせ領域76、86を形成する。
【0074】
図13〜18の例証的な実施形態においては、第1および第2のセグメントは、開口へ食道を受け入れるように開放されうる第1の重ね合わせ領域76で一対の尾部66、68を有するプロテーゼを構成するために第2の重ね合わせ領域で互いに結合されている。第2の重ね合わせ領域86は、尾部とともに第1の重ね合わせ領域76から約180度で配置されている。したがって、これらの実施形態においては、第2の重ね合わせ領域86は、移植片の尖っていない先端34に位置し、第1の重ね合わせ領域76は、移植の尖った先端36に位置している。重ね合わせ領域76、86は、プロテーゼ20の周辺32から開口30まで適切な方向から延在し、当業者には自明であるような角距離を有しうることが理解されるべきである。
【0075】
上述されているような多重セグメントからプロテーゼを製造する場合、重ね合わせ領域およびセグメントの中央部領域にわたり均一の厚さを維持することが望ましいと思われる。図19〜21に示されている1つの例証的な実施形態においては、セグメント80A、80Bの第1および第2に先端部は、互いに入れ子にするように構成され、中央部の厚さに近い厚さを有する重ね合わせ領域を形成する。図20〜21に示されているように、第1の重ね合わせ領域76は、表面バリア層118の先端92を越えて延在する第1のセグメント80Aの組織浸潤性層の先端部72と、組織浸潤性層22の先端90を越えて突出する第2のセグメント80Bの表面バリア118の先端部74と、を含む。突出する先端拡張部72、74は、図示されているように同じ長さを有し、または寸法が先端拡張部72、74の互いの入れ子状態を可能にする限り異なる長さを有しうる。第1および第2の先端部は、第2の重ね合わせ領域で同様に構成されうる。
【0076】
一部の構成においては、セグメントは、互いに対して異なる厚さを有する材料の多重層を含みうる。例えば、各セグメント80A、80Bは、繊維層をオーバーレイする表面バリア118よりも顕著に厚い繊維層22を含みうる。他のセグメントの先端部から表面バリアの対応する部分を除去することなく1つのセグメントの先端部から繊維層の一部分を除去することにより、プロテーゼが実質的に均一の厚さを有するように、重ね合わせ領域の厚みは、移植片の残部よりもほんのわずか厚くなる。
【0077】
プロテーゼは、食道のために開口へのアクセスを提供するための単一の重ね合わせ領域を含む単一本体部で構成されうる。図22に示されている1つの例証的な実施形態においては、プロテーゼの本体部は、移植片の表面に直面した臓器を覆う組織浸潤性層22および表面バリア層118を含む。繊維層22は、開口30から移植片の外側周辺まで延在する第1のスリット94を有すると同時に、表面バリア118は、開口から外側周辺まで延在する第2のスリット96を有する。図示されているように、第1および第2のスリットは、互いにオフセットされている。このスリットの配置により、1つの尾部66上の表面バリア118を越えて延在する繊維層22の一部分90が生じ、これは他の尾部68上の繊維層を越えて延在するバリア層の一部分92を有し、重ね合わせ領域76を作る。
【0078】
組織浸潤性繊維拡張部90および表面バリア拡張部92は、互いに入れ子となり、移植片のための均一の厚さを維持する。1つの拡張部を他の拡張部に対して持ち上げると、食道の周囲にプロテーゼを配置するためのアクセス路が作られる。スリットは、任意の方向から開口30まで延在し、移植片の適切な部分にアクセス路を配置しうることが理解されるべきである。図示されていうように、重ね合わせ領域76は、移植片の尖っていない先端に配置されているが、尖った先端36に配置され、修復処置中の縫い合わせの量を最小限にし、外科的縫合を裂孔ヘルニアから離して配置しうる。
【0079】
特定の修復処置においては、完全に構造物の周囲ではなく、食道または他の管状構造物の一部分のみの周囲に延在するプロテーゼを使用することが望ましいと思われる。図23〜24に示されている1つの例証的な実施形態においては、プロテーゼ20Aは、上述された移植片の尖っていない先端と配置が同様の部分的に環状の構成を有する。このプロテーゼは、拡大または弱体化裂孔などの欠損を覆うように構成されている本体部134を含む。このプロテーゼには、食道の一部分を受け入れるようになされている部分的な開口132が備えられている。図示されているように、本体部は、略C字状を有し、開口の端は、食道の一部分を受け入れる大きさである本体部の半円形の端128によって画定されている。
【0080】
例証的な実施形態においては、本体部は、組織浸潤性繊維層22と、腹部臓器に直面する繊維層の表面を覆う表面バリア層118と、を含む。移植片は、開口端に沿って内側端バリア114を含み、食道への癒着の発生数を減少させる。縁バリア116が、開口を包囲する第1の表面の一部分上に備えられている。外側端バリアが、繊維層の外側端52に沿って備えられており、移植片の周辺における癒着形成の可能性を減少させる。外側縁バリア122もプロテーゼの第1の側面の外側周辺に隣接した繊維の外側縁に沿って備えられている。プロテーゼは、なお必要に応じて、特定の修復処置に適合するこれらまたは他のバリアのいずれか1つまたは組合せを含みうることが理解されるべきである。
【0081】
図25〜26には、裂孔ヘルニアを修復するためのプロテーゼの別の例証的な実施形態が、示されている。プロテーゼ20Bは、180°未満である弧に沿って延在する湾曲した形または部分的に環状の本体部134を含む。この本体部は、外側へ湾曲する下端136と、内側に湾曲する上端54と、下端から上端の方へ互いの方へ収束するために曲げられている一対の側端138と、を含む。上端54は、食道の壁を受け入れ、これに適合するように構成されている部分的ナ開口を形成する。
【0082】
本体部は、上述されたものと同様の組織浸潤性繊維層22および表面バリア118を含む。このプロテーゼも下端136および側端138に沿って外側端120および外側縁バリア122を含む。内側端54は、内側端バリア114および内側縁バリア116とともに食道または他の環状構造物から分離される。これらまたは他のバリアのいずれか1つまたは組合せが、当業者には自明であるように、プロテーゼとともに実施されうることが理解されるべきである。
【0083】
図26に示されている例証的な実施形態においては、内側端バリア114は、内側端の周囲を完全に包む連続的なバリアカフを含む。この点で、カフは、繊維層22の内側縁から連続的に延在し、内側端54上、および端に隣接した表面バリア118の一部上に内側縁バリア116を形成する。もちろん、適切な端バリア構成もプロテーゼとともに実施されうる。
【0084】
図27〜28は、裂孔ヘルニアの修復における図25〜26のプロテーゼのいくつかの代表的な応用例を示す。図27に示されているように、プロテーゼ20Bは、組織に接近することなく欠損上に配置され、実質的にテンションフリーで修復を達成することができる。図28に示されているように、プロテーゼは、ヘルニア形成とともに使用され、表面領域上の組織浸潤で縫い目を補強し、力が脚にかけられる場合に縫合の引き出しの可能性を軽減することができるが、さもなければ潜在的に再発性ヘルニアが生じうる。プロテーゼは、当業者には自明であるように、他の処置のために適切なやり方で使用されうることが理解されるべきである。
【0085】
GERDの外科的治療としては、底が下部食道の周囲で包まれ、LESを再現または補強する胃底皺襞形成術が挙げられる。場合によっては、腹腔鏡的ニッセン胃底皺襞形成術などの胃底皺襞形成術においてプロテーゼを使用し、包んだ底自体を固定して覆い、縫合、ステープル等など他の締め付け機構によって修復を増強することが望ましいと思われる。胃底皺襞形成術に適応されたプロテーゼは、特定の解剖学的構造に適合するように適切に成形されうる。
【0086】
図29に示されている1つの例証的な実施形態においては、プロテーゼ20Dは、中央区分56と、中央区分の反対側から長手方向に延在する一対の先端部58と、を含む。中央区分は、本体の先端部58よりも狭く、または幅が狭い。図示されているように、先端部58は、張り出しており、組織内方成長のために中央区分から離れて追加の表面領域を提供する。本体部は、互いに張り出し先端58から中央区分56への方向に湾曲する上下端98を含む。湾曲した端ではなく、上下端は、各端の中間点から直線的に本体先端へ延在するまっすぐなセグメントを含みうる。図示されているように、プロテーゼは略ボータイまたはバタフライ状を有するが、適切な形状を胃底皺襞形成術パッチのために使用することができる。例えば、プロテーゼは、長方形、卵形、砂時計、または当業者には自明である他の形でありうる。
【0087】
プロテーゼ20Dは、本体部を有し、本体部は、胃底皺襞形成術の部位で胃底に直面するための第1の表面60と、腹腔に直面するための第2の表面62と、を有する。本体部は、移植片の第1の表面60を形成する組織浸潤性繊維22と、プロテーゼの第2の表面62を形成する表面バリア層118と、を含む。胃は特に敏感な器官であるため、コラーゲンまたはPTFEメッシュなどのあまり攻撃的でなく、かつ/または半永久的である組織浸潤性材料を使用することが望ましいと思われる。プロテーゼ20Dは、上述されているように、プロテーゼの外側周辺および外側縁の周囲に1つもしくはそれ以上の端および/または縁バリア120、122をも含みうる。別の実施形態においては、プロテーゼ20Dは完全にバリア材料で製造されうる。
【0088】
一実施形態においては、プロテーゼ20Dは、長手方向軸に沿った方向に長さ約6.5cm、その狭い中央部56で幅約3cm、および張り出した先端部58で幅約4cmを有する。これらの寸法は例示的であり、プロテーゼ20Dは、胃底皺襞形成術の縫合を強化し、または置換するために適切なサイズで構成されうる。
【0089】
図30〜32は、裂孔ヘルニアの修復、ヘルニア形成の補強および/または胃底皺襞形成術の補強における1つもしくはそれ以上のプロテーゼのいくつかの代表的な応用例を示す。図30に示されているように、図29のプロテーゼ20Dは、胃の一部分上に配置され、胃底皺襞形成術の縫合210を補強しうる。図31に示されているように、胃底皺襞形成術パッチ20Dは、ヘルニア形成の縫合206を補強している裂孔ヘルニアパッチ20Bとともに使用されうる。図32は、テンションフリーで裂孔ヘルニアを修復するために移植されたプロテーゼ20Bとともに胃底皺襞形成術を補強するプロテーゼ20Dを示す。理解されるように、適切なプロテーゼの組合せが、当業者には自明であるように、1つもしくはそれ以上の状態および/または欠損の修復において使用されうる。
【0090】
一部の修復処置においては、裂孔ヘルニアなどの欠損の修復だけではなく、裂孔ヘルニアを有する患者において発生しうるGERDを治療することも望ましいと思われる。GERDを治療するために、食道への胃液の流れを制限するために、食道の内径を狭くまたは削減することができる。図33に示されている1つの例証的な実施形態においては、カフ100が食道202の周囲に別個に包まれて、その外壁220および内壁218の直径を削減する。図示されているように、上述されているようなやり方で欠損を修復するために使用されるプロテーゼ20を通じて延在する食道の部分の周囲でカフを包むことができる。この配置においては、カフはGERDの治療に役立つだけではなく、プロテーゼと食道との間のバリアとしても作用する。
【0091】
その機能を妨げないために食道の壁を過度に束縛するのを避けることが望ましいため、嚥下中等など、カフは拡張式であり、または別の方法で食道を拡張させられる材料で形成されうる。1つの実施形態にいては、カフは、コラーゲンメッシュ、繊維、またはフィルムで形成されうるが、当業者には自明であるような適切な材料が使用されうる。カフまたはラップ100は、交差結合され、または必要に応じて、食道202の壁の中へ組み込まれうる。
【0092】
GERDを治療する個別のカフではなく、欠損を修復するためのプロテーゼと一体化しているカフまたはラップを使用することが望ましいと思われる。一実施形態(図示せず)においては、カフは、図1〜6で上述されたものと同様のプロテーゼなど、プロテーゼの一部として提供されうる。このカフはプロテーゼの開口に隣接して提供され、開口を通過してLESの内径を減少させると食道の周囲に包まれて固定されうる。1つもしくはそれ以上の締め具を提供し、所望の食道の縮小が達成されると食道の周囲でカフを固定することができる。
【0093】
GERDは裂孔ヘルニアを有する患者において発生しうるため、裂孔ヘルニアの修復中にGERDを治療することが望ましいと思われる。より具体的には、外科医は、腹腔鏡処置を用いた裂孔ヘルニアの修復中にGERDを治療することが有利とみると思われる。
【0094】
図35〜36に示されている本発明の1つの例証的な実施形態においては、1つもしくはそれ以上の外ひだまたはプリーツが、例えばLESに沿って、食道202の外壁220上に形成され、GERDの発生数を低下させるために食道202の内径218を削減する。ひだは、食道202の長さに沿って長手方向に延在するように構成されているが、適切な構成が実施されうる。例えば、図37に示されている別の例証的な実施形態においては、ひだ222は、食道202の周辺に沿って外側に形成されうる。図35〜37は外ひだ形成を示すが、ひだは食道202の内壁218上に形成されうることが理解されるべきである。ひだ222は、縫合、ステープリング、クリッピング、およびタッキングを含むがこれらに限定されない、当業者には自明である適切な方法を用いて形成されうる。
【0095】
図38に示されている1つの例証的な実施形態においては、1つもしくはそれ以上のひだ222が、食道202においてひだを作成するように構成されているシンチツール108により形成されている。シンチツール108は、内視鏡または腹腔鏡106の先端に配置され、外科医は最小侵襲の内視鏡または腹腔鏡処置の間にひだをつけられる組織の視覚化が可能となる。裂孔ヘルニアなどの状態の腹腔鏡的修復中、ひだ222は食道202の外壁220上に配置され、食道202の内壁218への別個の内視鏡的処置を回避する。
【0096】
図38に示されているように、シンチツール108は、カプセルの側壁104上に配置された吸い込み口112を有するカプセル筐体110を含む。吸い込み口112は、内視鏡または腹腔鏡106の対向先端で吸い込みデバイス(図示せず)に流体接続されている。カプセル筐体110は、長さ約8〜10mmであり、丸いエンドキャップ114とともに円筒形を有し、周囲の組織に損傷を与える可能性のある鋭い端を削減する。他の多くの筐体形状、サイズ、および配置がこのツールのために使用されうることが理解されるべきである。
【0097】
外科医がカプセル筐体110をひだがつけられる食道組織202へ向けると、吸い込みデバイスが作動しLES組織のひだ240を引き、口112を通じてカプセルの内部室116へ入れる。適切な組織取得、好ましく厚さ3〜5mmが達成されると、外科医は、折り畳み組織を突き刺し、エンドキャップ114へ延在し、縫合タグ322を展開させる針118を作動させる。針118がエンドキャップで捕捉された縫合タグにより引っ込められ、ツールは患者から回収される。回収されると、エンドキャップ114は除去されて縫合タグ322を放出し、これは次いで針へリロードされる。次いで、シンチツール108は、再導入され、組織の別の部位へ配置され、組織の折り畳みと縫合の工程を繰り返す。
【0098】
シンチ108を患者から除去した後、縫合糸は切断され、タグを除去し、過剰な縫合糸の長さを除去する。ノットプッシャー(図示せず)を用いて、1つもしくはそれ以上の半結び、好ましくは最小5半結びで縫合糸を結ぶことができる。ノットが固定されると、縫合カッター(図示せず)を使用して縫合糸を切断することができる。したがって、LES組織の2つのひだ240をいっしょにシンチングすることのよって、ひだ222が形成される。
【0099】
例証的な実施形態では2つのひだからひだを形成するステップが記載されているが、ひだは、当業者には自明であるような多くのひだを含みうることが理解されるべきである。例えば、ひだは、シンチングされた単一のひだまたは3つもしくはそれ以上のひだを含みうる。また、食道の外壁上で形成された個別のひだは、他のひだに対して異なる数のひだを含みうる。
【0100】
一実施形態においては、シンチツール108は、シー.アール.バード社から入手可能なバードエンドシンチ(BARD ENDOCIBCH)内視鏡縫合システムである。内視鏡シンチツールとして開発されているが、エンドシンチは、本発明の実施形態により、腹腔鏡的に使用し、食道202の外壁220にひだをつけ、LES216の内径218を減少させ、GERDを治療に有効となりうる。
【0101】
LESの内径218も、当業者には自明である他の適切な方法を用いて減少させることができる。一実施形態においては、無線周波(RF)エネルギーまたは凍結療法を適用し、食道202の外径および内径を縮小することができる。別の実施形態においては、膨張性薬剤がLESの壁へ注入され、LESの外径220を増大させ、内径218を減少させることができる。当業者は、多くの方法およびプロテーゼが、LESの内径218を減少させ、かつ/またはLESの外径220を増大させるために適切でありうることを理解するであろう。
【0102】
本発明の種々の実施形態の以上の説明は、単にその説明が意図されていること、かつ本発明の他の実施形態、変更形態、および等価物が、本明細書に添付された特許請求の範囲において開示された発明の範囲内であることが理解されるべきであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食道の近くに位置する組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼであって、
組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい修復用繊維の層と、
組織および器官との癒着形成を阻止する表面バリアと、
組織および器官との癒着形成を阻止する少なくとも1つの端バリアと、を備え、
前記修復用繊維の層は、第1および第2の表面と、当該第1の表面から当該第2の表面まで延在する少なくとも1つの繊維端と、を有し、
前記第1の表面は、当該移植可能なプロテーゼが患者内で前記食道近くに位置しているとき、前記組織または筋壁の欠損に面するように構成され、
前記第2の表面は、前記組織または筋壁の欠損から離れ、かつ前記患者の中空臓器の方へ面するように構成され、
前記修復用繊維の層は、前記食道を受け入れるように構成された開口を有し、
前記表面バリアは、前記修復用繊維の層の前記第2の表面の少なくとも一部分上に配置され、当該移植可能なプロテーゼが前記患者内に位置しているとき、前記第2の表面の部分と隣接組織および器官との癒着形成を阻止し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記少なくとも1つの繊維端の少なくとも一部分の周囲に延在し、当該少なくとも1つの繊維端の部分と隣接組織および器官との癒着形成を阻止する、移植可能なプロテーゼ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの繊維端は、前記繊維の層の前記開口を画定する開口端を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記開口端の周囲に延在し、当該開口端と前記食道との間の癒着形成を阻止する開口端バリアを有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項3】
前記開口端バリアは、前記開口端を覆う少なくとも1つのバリア層を有する、請求項2に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのバリア層は、前記開口に隣接した前記第2の表面の部分へさらに延在する、請求項3に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのバリア層は、前記開口に隣接した前記第1の表面の部分へさらに延在する、請求項4に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項6】
前記開口端バリアは、前記開口端の周囲に包まれている前記表面バリアの整拡大である、請求項5に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのバリア層は、第1および第2のバリア層を有し、
前記第1のバリア層は、前記開口に隣接した前記第1の表面の縁に配置され、前記開口端を越えて延在し、
前記第2のバリア層は、前記開口に隣接した前記第2の表面の縁に配置され、前記開口端を越えて延在して前記第1のバリア層を覆い、
前記開口端を越えて延在する前記第1および第2のバリア層の部分は、互いに直接付着されて前記開口端を分離する、請求項3に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの繊維端は、外側周辺端をさらに有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記外側周辺端の少なくとも一部の周囲に延在する外側端バリアをさらに有し、前記外側周辺端の部分と隣接組織または器官との間の癒着形成を阻止する、請求項2に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項9】
前記開口端バリアは、約2.5cm〜約4.5cmの直径を有するプロテーゼ開口を画定する、請求項2に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項10】
前記プロテーゼ開口は、約2.5cm〜約3.5cmの直径を有する、請求項9に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項11】
前記プロテーゼ開口は、約3.5cm〜約4.5cmの直径を有する、請求項9に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの端バリアは、前記繊維端に隣接した前記第1の表面の縁から前記繊維端に隣接した前記第2の表面の縁までの前記少なくとも1つの繊維端の周囲を包むバリア層を有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの繊維端は、外側周辺端を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記外側周辺端の少なくとも一部の周囲に延在する外側端バリアを有し、前記外側周辺端の部分と隣接組織または器官との間の癒着形成を阻止する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項14】
前記外側端バリアは、それに対する前記癒着形成を阻止するように変更された前記修復用繊維の層の一部を有する、請求項13に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの繊維端は、外側端と、前記開口から前記外側端まで延在する一対のスリット端と、を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記スリット端のそれぞれの部分の周囲に配置されたスリットバリアを有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項16】
前記スリットバリアは、それに対する前記癒着形成を阻止するように変更された各スリット端に沿った前記修復用繊維の層の部分を有する、請求項15に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項17】
前記修復用繊維の層は、組織内方成長を可能にするように構成され且つ配置された複数の隙間を有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項18】
前記修復用繊維の層は、外側周辺端と、前記開口から前記外側周辺端まで延在するアクセス路と、を有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項19】
前記修復用繊維の層は、長軸と短軸とを有する楕円形を有し、
前記修復用繊維の層は、前記短軸の周囲で非対称であり、かつ偏平の先端と尖った先端とを有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項20】
前記開口が、前記長軸に沿って、かつ前記短軸と前記尖った先端との間に位置している中心を有する、請求項19に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項21】
前記修復用繊維の層は、外側周辺端と、前記開口から前記外側周辺端まで延在するアクセス路と、を有する、請求項20に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項22】
前記アクセス路は、前記尖った先端に位置している、請求項21に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項23】
前記修復用繊維の層は、ポリプロピレンメッシュおよびPTFEメッシュの1つで形成されている、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項24】
前記少なくとも1つの端バリアは、ePTFEで形成されている、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項25】
前記表面バリアが、ePTFEで形成されている、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項26】
前記開口は、当該移植可能なプロテーゼが前記食道裂孔の近くに配置されると前記食道を完全に取り囲むように構成されている完全開口である、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項27】
前記開口は、当該移植可能なプロテーゼが前記食道裂孔の近くに配置されると前記食道を部分的に取り囲むように構成されている部分的開口である、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項28】
前記修復用繊維の層は、部分的輪形を有する、請求項27に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項29】
前記修復用繊維の層は、C字状である、請求項27に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項30】
前記表面バリアは、前記第2の表面の略全体上に配置されている、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項31】
管状構造物の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼであって、
組織または筋壁の欠損に隣接して配置されるように構成され且つ配置された本体部を備え、
前記本体部は、外側周辺と、前記管状構造物を受け入れるように構成されている開口と、を有し、
前記本体部は、組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい修復用繊維の層と、前記癒着形成を阻止する表面バリアと、を備え、
前記修復用繊維の層は、第1および第2の表面と、前記第1の表面から前記第2の表面まで延在する少なくとも1つの繊維端と、を有し、
前記第1の表面は、当該移植可能なプロテーゼが患者内で前記管状構造物の近くに位置しているとき、前記組織または筋壁の欠損に面するように構成され、
前記修復用繊維の層は、前記開口から前記外側周辺まで延在する第1のスリットを有し、前記開口に前記管状構造物を受け入れ、
前記表面バリアは、前記修復用繊維の層の前記第2の表面に配置され、当該移植可能なプロテーゼが前記患者内に位置しているとき、前記第2の表面上での癒着形成を阻止し、
前記表面バリアは、前記開口から前記外側周辺まで延在する第2のスリットを有し、前記開口で前記管状構造を受け入れ、
前記第2のスリットは、前記第1のスリットからオフセットされ、
前記第2のスリットは、前記修復用繊維の層の一部分を覆い、
前記第1のスリットは、前記表面バリアの一部分を覆っている、移植可能なプロテーゼ。
【請求項32】
前記本体部は、組織および器官との前記癒着形成を阻止する少なくとも1つの端バリアを有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記少なくとも1つの繊維端の部分と隣接組織および器官との前記癒着形成を阻止する前記少なくとも1つの繊維端の少なくとも一部分の周囲に延在する、請求項31に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項33】
前記少なくとも1つの端バリアは、ePTFEで形成されている、請求項32に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項34】
前記少なくとも1つの端バリアは、前記繊維端に隣接した前記第1の表面の縁から前記繊維端に隣接した前記第2の表面の縁まで前記少なくとも1つの繊維端の周囲を包むバリア層を有する、請求項32に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項35】
前記少なくとも1つの繊維端は、前記開口を形成する開口端を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記開口端の周囲に延在し、前記開口端と前記管状構造物との間の前記癒着形成を阻止する開口端バリアを有する、請求項34に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項36】
前記少なくとも1つの繊維端は、外側周辺端を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記外側周辺端の少なくとも一部分の周囲に延在し、前記外側周辺端の部分と隣接組織または器官との間の前記癒着形成を阻止する外側端バリアを有する、請求項32に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項37】
前記本体部は、長軸と短軸とを有する楕円形を有し、
前記本体部は、前記短軸の周囲で非対称であり、かつ偏平の先端と尖った先端とを有する、請求項31に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項38】
前記開口は、前記長軸に沿って、かつ前記短軸と前記尖った先端との間に位置している中心を有する、請求項37に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項39】
前記修復用繊維の層は、組織内方成長を可能にするように構成されかつ配置されている複数の隙間を有する、請求項31に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項40】
前記修復用繊維の層は、ポリプロピレンメッシュおよびPTFEメッシュの1つで形成されている、請求項39に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項41】
前記表面バリアは、ePTFEで形成されている、請求項31に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項42】
前記本体部は、患者の食道に隣接して設置されるように構成されかつ配置され、
前記開口は、前記食道を受け入れるように構成されている、請求項31に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項43】
前記開口は、約2.5cm〜約4.5cmの直径を有する、請求項42に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項44】
前記開口は、約2.5cm〜約3.5cmの直径を有する、請求項43に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項45】
前記開口は、約3.5cm〜約4.5cmの直径を有する、請求項43に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項46】
管状構造物の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼであって、
組織または筋壁の欠損に隣接して配置されるように構成され且つ配置された本体部を備え、
前記本体部は、外側周辺と、前記管状構造物を受け入れるように構成されている開口と、を有し、
前記本体部は、組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい修復用繊維の層と、当該移植可能なプロテーゼが患者内に位置しているとき前記修復用繊維の層の選択部分上での前記癒着形成を阻止する複数のバリアと、を備え、
前記修復用繊維の層は、第1および第2の表面を有し、
前記第1の表面は、当該移植可能なプロテーゼが患者内で前記管状構造物の近くに位置しているとき、前記組織または筋壁の欠損に面するように構成され、
前記修復用繊維の層は、外側周辺端と開口端とを有し、
前記外側周辺端は、前記外側周辺に沿って前記第1の表面から前記第2の表面まで延在し、
前記開口端は、前記開口に沿って前記第1の表面から前記第2の表面まで延在し、
前記複数のバリアは、前記修復用繊維の層の前記第2の表面の少なくとも一部分上に配置された表面バリアと、前記修復用繊維の層の前記外側周辺端の少なくとも一部分に沿って配置された周辺端バリアと、前記修復用繊維の層の前記開口端の少なくとも一部分に沿って配置された開口端バリアと、を有する、移植可能なプロテーゼ。
【請求項47】
前記表面バリアは、前記第2の表面の略全体に配置されている、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項48】
前記周辺端バリアは、前記外側周辺端の略全体に沿って延在する、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項49】
前記開口端バリアが、前記開口端の略全体に沿って延在する、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項50】
前記開口端バリアは、前記開口端に隣接した前記第1の表面の縁から前記開口端に隣接した前記第2の表面の縁まで前記開口端の周囲を包むバリア層を有する、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項51】
前記修復用繊維の層は、前記開口から前記外側周辺まで延在し、前記開口に前記管状構造物を受け入れるスリットを有し、
前記修復用繊維の層は、前記スリットに沿って前記第1の表面から前記第2の表面まで延在するスリット端を有し、
前記複数のバリアは、前記修復用繊維の層の前記スリット端の少なくとも一部分に沿って配置されたスリット端バリアを有する、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項52】
前記本体部は、長軸と短軸とを有する楕円形を有し、
前記本体部は、前記短軸の周囲で非対称であり、かつ偏平の先端と尖った先端とを有する、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項53】
前記開口は、前記長軸に沿って、かつ前記短軸と前記尖った先端との間に位置している中心を有する、請求項52に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項54】
前記修復用繊維の層は、組織内方成長を可能にするように構成され且つ配置されている複数の隙間を有する、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項55】
前記修復用繊維の層は、ポリプロピレンメッシュおよびPTFEメッシュの1つで形成されている、請求項54に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項56】
前記表面バリアは、ePTFEで形成されている、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項57】
前記開口端バリアは、ePTFEで形成されている、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項58】
前記本体部は、患者の食道に隣接して設置されるように構成され且つ配置され、
前記開口は、前記食道を受け入れるように構成されている、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項59】
前記開口は、約2.5cm〜約4.5cmの直径を有する、請求項58に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項60】
前記開口は、約2.5cm〜約3.5cmの直径を有する、請求項59に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項61】
前記開口は、約3.5cm〜約4.5cmの直径を有する、請求項59に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項62】
管状構造物の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼであって、
外側周辺を有すると共に前記管状構造物を受け入れるように構成されている開口をその中に有するプロテーゼ修復用繊維を備え、
前記プロテーゼ修復用繊維は、第1および第2のセグメントを有し、
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい繊維の層を有し、
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、第1および第2の先端を有し、
前記第1のセグメントの前記第1の先端は、第1の重ね合わせ領域で前記第2のセグメントの前記第1の先端を覆い、
前記第1のセグメントの前記第2の先端は、第2の重ね合わせ領域で前記第2のセグメントの前記第2の先端を覆い、
前記第1のセグメントは、前記第1の重ね合わせ領域と前記第2の重ね合わせ領域との間で第1の中央部を有し、
前記第2のセグメントは、前記第1の重ね合わせ領域と前記第2の重ね合わせ領域との間で第2の中央部を有し、
前記第1および第2の中央部のそれぞれは、約90度よりも大きい前記プロテーゼ修復用繊維の前記外側周辺の一部分を形成する、移植可能なプロテーゼ。
【請求項63】
前記第1および第2の中央部のそれぞれは、約120度以上である前記プロテーゼ修復用繊維の前記外側周辺の一部を形成する、請求項62に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項64】
前記第1および第2の中央部のそれぞれは、約170度以上である前記プロテーゼ修復用繊維の前記外側周辺の一部を形成する、請求項63に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項65】
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、組織および器官との前記前記癒着形成を阻止する表面バリアを有し、
前記表面バリアは、前記繊維の層の表面上に配置されて、当該移植可能なプロテーゼが患者内に設置されるとき前記表面と隣接組織および器官との間の前記癒着形成を阻止する、請求項62に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項66】
前記第1および第2の重ね合わせ領域の少なくとも1つは、前記繊維の層並びに前記第1および第2のセグメントの少なくとも1つの前記表面バリアの1つが含まれていない、請求項65に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項67】
前記表面バリアは、ePTFEで形成されている、請求項65に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項68】
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、少なくとも1つの繊維端を有し、
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、組織および器官との前記癒着形成を阻止する少なくとも1つの端バリアを有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記少なくとも1つの繊維端の少なくとも一部分の周囲に延在して、前記少なくとも1つの繊維端の前記部分と隣接組織および器官との間の前記癒着形成を阻止する、請求項62に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項69】
前記少なくとも1つの端バリアは、前記繊維端に隣接した前記第1の表面の縁から前記繊維端に隣接した前記第2の表面の縁までの前記少なくとも1つの繊維端の周囲を包むバリア層を有する、請求項68に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項70】
前記少なくとも1つの繊維端は、前記開口の一部分を形成する開口端を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記開口端の周囲に延在して、前記開口端と前記管状構造物との間の前記癒着形成を阻止する開口端バリアを有する、請求項69に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項71】
前記少なくとも1つの繊維端は、外側周辺端を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記外側周辺端の少なくとも一部分の周囲に延在して、前記外側周辺端の前記部分と隣接組織または器官との間の前記癒着形成を阻止する外側端バリアを有する、請求項68に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項72】
前記少なくとも1つの端バリアは、ePTFEで形成されている、請求項68に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項73】
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、部分的な環状を有する、請求項62に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項74】
前記プロテーゼ修復用繊維は、長軸および短軸を有する楕円形を有し、
前記プロテーゼ修復用繊維は、前記短軸の周囲で非対称であり、かつ偏平の先端と尖った先端とを有する、請求項73に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項75】
前記開口は、前記長軸に沿って、かつ前記短軸と前記尖った先端との間に位置している中心を有する、請求項74に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項76】
前記修復用繊維の層は、組織内方成長を可能にするように構成され且つ配置されている複数の隙間を有する、請求項62に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項77】
前記修復用繊維の層は、ポリプロピレンメッシュおよびPTFEメッシュの1つで形成されている、請求項76に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項78】
前記本体部が、患者の食道に隣接して配置されるように構成され且つ配置され、
前記開口は、前記食道を受け入れるように構成されている、請求項62に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項79】
前記プロテーゼ修復用繊維は、平面構成を有する、請求項62に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項80】
管状構造物の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼであって、
前記管状構造物を受け入れるように構成されている開口を有するプロテーゼ修復用繊維を備え、
前記プロテーゼ修復用繊維は、第1および第2のセグメントを有し、
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい修復用繊維の層と、組織および器官との前記癒着形成を阻止する表面バリアと、を有し、
前記表面バリアは、前記修復用繊維の層の表面上に配置され、
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、第1および第2の先端を有し、
前記第1のセグメントの前記第1の先端は、第1の重ね合わせ領域で前記第2のセグメントの前記第1の先端を覆い、
前記第1の重ね合わせ領域は、前記繊維の層並びに前記第1および第2のセグメントの少なくとも1つの表面バリアの1つを含まない、移植可能なプロテーゼ。
【請求項81】
前記第1の重ね合わせ領域は、前記第1および第2のセグメントの一方の前記繊維の層を含まない、請求項80に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項82】
前記第1の重ね合わせ領域は、前記第1および第2のセグメントの他方の前記表面バリアを含まない、請求項81に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項83】
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、組織および器官との前記癒着形成を阻止する表面バリアを有し、
前記表面バリアは、前記繊維の層の表面上に配置されて、当該移植可能なプロテーゼが患者内に設置されるとき前記表面と隣接組織および器官との前記癒着形成を阻止する、請求項80に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項84】
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、少なくとも1つの繊維端を有し、
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、組織および器官との前記癒着形成を阻止する少なくとも1つの端バリアを有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記少なくとも1つの繊維端の少なくとも一部分の周囲に延在して、前記少なくとも1つの繊維端の前記部分と隣接組織および器官との間の前記癒着形成を阻止する、請求項80に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項85】
前記少なくとも1つの端バリアは、前記繊維端に隣接した前記第1の表面の縁から前記繊維端に隣接した前記第2の表面の縁までの前記少なくとも1つの繊維端の周囲を包むバリア層を有する、請求項84に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項86】
前記少なくとも1つの繊維端は、前記開口の一部を形成する開口端を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記開口端の周囲に延在し、前記開口端と前記管状構造物との間の前記癒着形成を阻止する開口端バリアを有する、請求項85に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項87】
前記少なくとも1つの繊維端は、外側周辺端を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記外側周辺端の少なくとも一部分の周囲に延在して、前記外側周辺端の前記部分と隣接組織または器官との間の前記癒着形成を阻止する外側端バリアを有する、請求項84に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項88】
前記少なくとも1つの端バリアは、ePTFEで形成されている、請求項84に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項89】
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、部分的な環状を有する、請求項80に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項90】
前記プロテーゼ修復用繊維は、長軸および短軸を有する楕円形を有し、
前記プロテーゼ修復用繊維は、前記短軸の周囲で非対称であり、かつ偏平の先端と尖った先端とを有する、請求項89に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項91】
前記開口は、前記長軸に沿って、かつ前記短軸と前記尖った先端との間に位置している中心を有する、請求項90に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項92】
前記修復用繊維の層は、組織内方成長を可能にするように構成され且つ配置されている複数の隙間を有する、請求項80に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項93】
前記修復用繊維の層は、ポリプロピレンメッシュおよびPTFEメッシュの1つで形成されている、請求項92に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項94】
前記表面バリアは、ePTFEで形成されている、請求項80に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項95】
前記本体部は、患者の食道に隣接して配置されるように構成され且つ配置され、
前記開口は、前記食道を受け入れるように構成されている、請求項80に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項96】
前記プロテーゼ修復用繊維は、平面構成を有する、請求項80に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項97】
移植可能で、生体適合性のプロテーゼ材料の本体部を備え、
前記本体部は、
第1の幅を有する中間区分と、
前記中間区分の反対側から長手方向に延在する一対の端部と、を有し、
各端部は、前記第1の幅よりも大きい第2の幅を有する、プロテーゼ修復用繊維。
【請求項98】
前記端部は、張り出していると共に、前記中間区分から離れて前記長手方向に増大する幅を有する、請求項97に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項99】
前記本体部は、前記端部から前記中間区分の方へ前記長手方向に互いに収束する上端および下端を有する、請求項98に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項100】
前記上端および前記下端は、湾曲している、請求項99に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項101】
前記本体部は、略ボータイ形を有する、請求項97に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項102】
前記本体部は、組織および器官との前記癒着形成の影響を受けやすい繊維の層を有し、
前記繊維の層は、第1および第2の表面と、前記第1の表面から前記第2の表面まで延在する繊維端と、を有し、
前記第1の表面は、当該プロテーゼ修復用繊維が患者内に配置されているとき組織または筋壁に面するように構成され、
前記第2の表面は、前記組織または筋壁から離れて中空臓器の方へ面するように構成されている、請求項97に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項103】
前記本体部は、組織および器官との前記癒着形成を阻止する表面バリアを有し、
前記表面バリアは、前記繊維の層の前記第2の表面上に配置され、当該プロテーゼ修復用繊維が患者内に配置されているとき前記第2の表面と隣接組織および器官との間の前記癒着形成を阻止する、請求項102に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項104】
前記表面バリアは、ePTFEで形成されている、請求項103に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項105】
前記本体部は、組織および器官との前記癒着形成を阻止する端バリアを有し、
前記端バリアは、前記繊維端の少なくとも一部分の周囲に延在して、前記繊維端の前記部分と隣接組織および器官との間の前記癒着形成を阻止する、請求項102に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項106】
前記繊維の層は、コラーゲン、PTFEメッシュ、およびポリプロピレンメッシュの1つで形成されている、請求項102に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項107】
胃食道逆流症を治療する方法であって、
(a)前記食道の外壁上に少なくとも1つの外ひだを作成するステップと、
(b)前記少なくとも1つの外ひだをシンチングし、前記食道上に少なくとも1つの外ひだ形成を作成するステップと、
を備えた方法。
【請求項108】
ステップ(a)は、前記食道の前記外壁上に複数の外ひだを作成するステップを含み、
ステップ(b)は、前記複数の外ひだをシンチングし、複数の外ひだ形成を作成するステップを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
ステップ(a)は、前記食道の前記外壁上に第1および第2の外ひだを作成するステップを含み、
ステップ(b)は、前記第1の外ひだを前記第2の外ひだにシンチングし、前記少なくとも1つの外ひだ形成を作成するステップを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
ステップ(a)は、複数の対の第1および第2の外ひだを作成するステップを含み、
ステップ(b)は、前記複数の対の第1および第2の外ひだのそれぞれの前記第1の外ひだを前記第2の外ひだにシンチングし、複数の外ひだ形成を作成するステップを含む、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
ステップ(b)は、前記第1の外ひだを前記第2のひだに縫合するステップを含む、請求項109に記載の方法。
【請求項112】
ステップ(a)は、前記食道の前記外壁の部分に吸引し、前記外壁の前記部分を外側へ引き出すステップを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項113】
ステップ(a)は、前記外壁の前記部分を通じて縫合糸を挿入するステップを含む、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記少なくとも1つの外ひだ形成は、前記食道の長さに沿って縦方向に延在する、請求項107に記載の方法。
【請求項115】
前記少なくとも1つの外ひだ形成は、前記食道の外側周囲の周りの横方向に延在する、請求項107に記載の方法。
【請求項116】
ステップ(a)および(b)は、腹腔鏡によって行われる、請求項107に記載の方法。
【請求項117】
裂孔ヘルニアを修復するステップ(c)をさらに含んで成る、請求項107に記載の方法。
【請求項118】
(c)のステップは、プロテーゼ修復用繊維を前記裂孔ヘルニアに隣接して移植するステップを含む、請求項117に記載の方法。
【請求項1】
食道の近くに位置する組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼであって、
組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい修復用繊維の層と、
組織および器官との癒着形成を阻止する表面バリアと、
組織および器官との癒着形成を阻止する少なくとも1つの端バリアと、を備え、
前記修復用繊維の層は、第1および第2の表面と、当該第1の表面から当該第2の表面まで延在する少なくとも1つの繊維端と、を有し、
前記第1の表面は、当該移植可能なプロテーゼが患者内で前記食道近くに位置しているとき、前記組織または筋壁の欠損に面するように構成され、
前記第2の表面は、前記組織または筋壁の欠損から離れ、かつ前記患者の中空臓器の方へ面するように構成され、
前記修復用繊維の層は、前記食道を受け入れるように構成された開口を有し、
前記表面バリアは、前記修復用繊維の層の前記第2の表面の少なくとも一部分上に配置され、当該移植可能なプロテーゼが前記患者内に位置しているとき、前記第2の表面の部分と隣接組織および器官との癒着形成を阻止し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記少なくとも1つの繊維端の少なくとも一部分の周囲に延在し、当該少なくとも1つの繊維端の部分と隣接組織および器官との癒着形成を阻止する、移植可能なプロテーゼ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの繊維端は、前記繊維の層の前記開口を画定する開口端を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記開口端の周囲に延在し、当該開口端と前記食道との間の癒着形成を阻止する開口端バリアを有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項3】
前記開口端バリアは、前記開口端を覆う少なくとも1つのバリア層を有する、請求項2に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのバリア層は、前記開口に隣接した前記第2の表面の部分へさらに延在する、請求項3に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのバリア層は、前記開口に隣接した前記第1の表面の部分へさらに延在する、請求項4に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項6】
前記開口端バリアは、前記開口端の周囲に包まれている前記表面バリアの整拡大である、請求項5に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのバリア層は、第1および第2のバリア層を有し、
前記第1のバリア層は、前記開口に隣接した前記第1の表面の縁に配置され、前記開口端を越えて延在し、
前記第2のバリア層は、前記開口に隣接した前記第2の表面の縁に配置され、前記開口端を越えて延在して前記第1のバリア層を覆い、
前記開口端を越えて延在する前記第1および第2のバリア層の部分は、互いに直接付着されて前記開口端を分離する、請求項3に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの繊維端は、外側周辺端をさらに有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記外側周辺端の少なくとも一部の周囲に延在する外側端バリアをさらに有し、前記外側周辺端の部分と隣接組織または器官との間の癒着形成を阻止する、請求項2に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項9】
前記開口端バリアは、約2.5cm〜約4.5cmの直径を有するプロテーゼ開口を画定する、請求項2に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項10】
前記プロテーゼ開口は、約2.5cm〜約3.5cmの直径を有する、請求項9に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項11】
前記プロテーゼ開口は、約3.5cm〜約4.5cmの直径を有する、請求項9に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの端バリアは、前記繊維端に隣接した前記第1の表面の縁から前記繊維端に隣接した前記第2の表面の縁までの前記少なくとも1つの繊維端の周囲を包むバリア層を有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの繊維端は、外側周辺端を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記外側周辺端の少なくとも一部の周囲に延在する外側端バリアを有し、前記外側周辺端の部分と隣接組織または器官との間の癒着形成を阻止する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項14】
前記外側端バリアは、それに対する前記癒着形成を阻止するように変更された前記修復用繊維の層の一部を有する、請求項13に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの繊維端は、外側端と、前記開口から前記外側端まで延在する一対のスリット端と、を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記スリット端のそれぞれの部分の周囲に配置されたスリットバリアを有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項16】
前記スリットバリアは、それに対する前記癒着形成を阻止するように変更された各スリット端に沿った前記修復用繊維の層の部分を有する、請求項15に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項17】
前記修復用繊維の層は、組織内方成長を可能にするように構成され且つ配置された複数の隙間を有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項18】
前記修復用繊維の層は、外側周辺端と、前記開口から前記外側周辺端まで延在するアクセス路と、を有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項19】
前記修復用繊維の層は、長軸と短軸とを有する楕円形を有し、
前記修復用繊維の層は、前記短軸の周囲で非対称であり、かつ偏平の先端と尖った先端とを有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項20】
前記開口が、前記長軸に沿って、かつ前記短軸と前記尖った先端との間に位置している中心を有する、請求項19に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項21】
前記修復用繊維の層は、外側周辺端と、前記開口から前記外側周辺端まで延在するアクセス路と、を有する、請求項20に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項22】
前記アクセス路は、前記尖った先端に位置している、請求項21に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項23】
前記修復用繊維の層は、ポリプロピレンメッシュおよびPTFEメッシュの1つで形成されている、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項24】
前記少なくとも1つの端バリアは、ePTFEで形成されている、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項25】
前記表面バリアが、ePTFEで形成されている、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項26】
前記開口は、当該移植可能なプロテーゼが前記食道裂孔の近くに配置されると前記食道を完全に取り囲むように構成されている完全開口である、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項27】
前記開口は、当該移植可能なプロテーゼが前記食道裂孔の近くに配置されると前記食道を部分的に取り囲むように構成されている部分的開口である、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項28】
前記修復用繊維の層は、部分的輪形を有する、請求項27に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項29】
前記修復用繊維の層は、C字状である、請求項27に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項30】
前記表面バリアは、前記第2の表面の略全体上に配置されている、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項31】
管状構造物の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼであって、
組織または筋壁の欠損に隣接して配置されるように構成され且つ配置された本体部を備え、
前記本体部は、外側周辺と、前記管状構造物を受け入れるように構成されている開口と、を有し、
前記本体部は、組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい修復用繊維の層と、前記癒着形成を阻止する表面バリアと、を備え、
前記修復用繊維の層は、第1および第2の表面と、前記第1の表面から前記第2の表面まで延在する少なくとも1つの繊維端と、を有し、
前記第1の表面は、当該移植可能なプロテーゼが患者内で前記管状構造物の近くに位置しているとき、前記組織または筋壁の欠損に面するように構成され、
前記修復用繊維の層は、前記開口から前記外側周辺まで延在する第1のスリットを有し、前記開口に前記管状構造物を受け入れ、
前記表面バリアは、前記修復用繊維の層の前記第2の表面に配置され、当該移植可能なプロテーゼが前記患者内に位置しているとき、前記第2の表面上での癒着形成を阻止し、
前記表面バリアは、前記開口から前記外側周辺まで延在する第2のスリットを有し、前記開口で前記管状構造を受け入れ、
前記第2のスリットは、前記第1のスリットからオフセットされ、
前記第2のスリットは、前記修復用繊維の層の一部分を覆い、
前記第1のスリットは、前記表面バリアの一部分を覆っている、移植可能なプロテーゼ。
【請求項32】
前記本体部は、組織および器官との前記癒着形成を阻止する少なくとも1つの端バリアを有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記少なくとも1つの繊維端の部分と隣接組織および器官との前記癒着形成を阻止する前記少なくとも1つの繊維端の少なくとも一部分の周囲に延在する、請求項31に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項33】
前記少なくとも1つの端バリアは、ePTFEで形成されている、請求項32に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項34】
前記少なくとも1つの端バリアは、前記繊維端に隣接した前記第1の表面の縁から前記繊維端に隣接した前記第2の表面の縁まで前記少なくとも1つの繊維端の周囲を包むバリア層を有する、請求項32に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項35】
前記少なくとも1つの繊維端は、前記開口を形成する開口端を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記開口端の周囲に延在し、前記開口端と前記管状構造物との間の前記癒着形成を阻止する開口端バリアを有する、請求項34に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項36】
前記少なくとも1つの繊維端は、外側周辺端を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記外側周辺端の少なくとも一部分の周囲に延在し、前記外側周辺端の部分と隣接組織または器官との間の前記癒着形成を阻止する外側端バリアを有する、請求項32に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項37】
前記本体部は、長軸と短軸とを有する楕円形を有し、
前記本体部は、前記短軸の周囲で非対称であり、かつ偏平の先端と尖った先端とを有する、請求項31に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項38】
前記開口は、前記長軸に沿って、かつ前記短軸と前記尖った先端との間に位置している中心を有する、請求項37に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項39】
前記修復用繊維の層は、組織内方成長を可能にするように構成されかつ配置されている複数の隙間を有する、請求項31に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項40】
前記修復用繊維の層は、ポリプロピレンメッシュおよびPTFEメッシュの1つで形成されている、請求項39に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項41】
前記表面バリアは、ePTFEで形成されている、請求項31に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項42】
前記本体部は、患者の食道に隣接して設置されるように構成されかつ配置され、
前記開口は、前記食道を受け入れるように構成されている、請求項31に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項43】
前記開口は、約2.5cm〜約4.5cmの直径を有する、請求項42に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項44】
前記開口は、約2.5cm〜約3.5cmの直径を有する、請求項43に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項45】
前記開口は、約3.5cm〜約4.5cmの直径を有する、請求項43に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項46】
管状構造物の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼであって、
組織または筋壁の欠損に隣接して配置されるように構成され且つ配置された本体部を備え、
前記本体部は、外側周辺と、前記管状構造物を受け入れるように構成されている開口と、を有し、
前記本体部は、組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい修復用繊維の層と、当該移植可能なプロテーゼが患者内に位置しているとき前記修復用繊維の層の選択部分上での前記癒着形成を阻止する複数のバリアと、を備え、
前記修復用繊維の層は、第1および第2の表面を有し、
前記第1の表面は、当該移植可能なプロテーゼが患者内で前記管状構造物の近くに位置しているとき、前記組織または筋壁の欠損に面するように構成され、
前記修復用繊維の層は、外側周辺端と開口端とを有し、
前記外側周辺端は、前記外側周辺に沿って前記第1の表面から前記第2の表面まで延在し、
前記開口端は、前記開口に沿って前記第1の表面から前記第2の表面まで延在し、
前記複数のバリアは、前記修復用繊維の層の前記第2の表面の少なくとも一部分上に配置された表面バリアと、前記修復用繊維の層の前記外側周辺端の少なくとも一部分に沿って配置された周辺端バリアと、前記修復用繊維の層の前記開口端の少なくとも一部分に沿って配置された開口端バリアと、を有する、移植可能なプロテーゼ。
【請求項47】
前記表面バリアは、前記第2の表面の略全体に配置されている、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項48】
前記周辺端バリアは、前記外側周辺端の略全体に沿って延在する、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項49】
前記開口端バリアが、前記開口端の略全体に沿って延在する、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項50】
前記開口端バリアは、前記開口端に隣接した前記第1の表面の縁から前記開口端に隣接した前記第2の表面の縁まで前記開口端の周囲を包むバリア層を有する、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項51】
前記修復用繊維の層は、前記開口から前記外側周辺まで延在し、前記開口に前記管状構造物を受け入れるスリットを有し、
前記修復用繊維の層は、前記スリットに沿って前記第1の表面から前記第2の表面まで延在するスリット端を有し、
前記複数のバリアは、前記修復用繊維の層の前記スリット端の少なくとも一部分に沿って配置されたスリット端バリアを有する、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項52】
前記本体部は、長軸と短軸とを有する楕円形を有し、
前記本体部は、前記短軸の周囲で非対称であり、かつ偏平の先端と尖った先端とを有する、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項53】
前記開口は、前記長軸に沿って、かつ前記短軸と前記尖った先端との間に位置している中心を有する、請求項52に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項54】
前記修復用繊維の層は、組織内方成長を可能にするように構成され且つ配置されている複数の隙間を有する、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項55】
前記修復用繊維の層は、ポリプロピレンメッシュおよびPTFEメッシュの1つで形成されている、請求項54に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項56】
前記表面バリアは、ePTFEで形成されている、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項57】
前記開口端バリアは、ePTFEで形成されている、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項58】
前記本体部は、患者の食道に隣接して設置されるように構成され且つ配置され、
前記開口は、前記食道を受け入れるように構成されている、請求項46に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項59】
前記開口は、約2.5cm〜約4.5cmの直径を有する、請求項58に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項60】
前記開口は、約2.5cm〜約3.5cmの直径を有する、請求項59に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項61】
前記開口は、約3.5cm〜約4.5cmの直径を有する、請求項59に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項62】
管状構造物の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼであって、
外側周辺を有すると共に前記管状構造物を受け入れるように構成されている開口をその中に有するプロテーゼ修復用繊維を備え、
前記プロテーゼ修復用繊維は、第1および第2のセグメントを有し、
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい繊維の層を有し、
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、第1および第2の先端を有し、
前記第1のセグメントの前記第1の先端は、第1の重ね合わせ領域で前記第2のセグメントの前記第1の先端を覆い、
前記第1のセグメントの前記第2の先端は、第2の重ね合わせ領域で前記第2のセグメントの前記第2の先端を覆い、
前記第1のセグメントは、前記第1の重ね合わせ領域と前記第2の重ね合わせ領域との間で第1の中央部を有し、
前記第2のセグメントは、前記第1の重ね合わせ領域と前記第2の重ね合わせ領域との間で第2の中央部を有し、
前記第1および第2の中央部のそれぞれは、約90度よりも大きい前記プロテーゼ修復用繊維の前記外側周辺の一部分を形成する、移植可能なプロテーゼ。
【請求項63】
前記第1および第2の中央部のそれぞれは、約120度以上である前記プロテーゼ修復用繊維の前記外側周辺の一部を形成する、請求項62に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項64】
前記第1および第2の中央部のそれぞれは、約170度以上である前記プロテーゼ修復用繊維の前記外側周辺の一部を形成する、請求項63に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項65】
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、組織および器官との前記前記癒着形成を阻止する表面バリアを有し、
前記表面バリアは、前記繊維の層の表面上に配置されて、当該移植可能なプロテーゼが患者内に設置されるとき前記表面と隣接組織および器官との間の前記癒着形成を阻止する、請求項62に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項66】
前記第1および第2の重ね合わせ領域の少なくとも1つは、前記繊維の層並びに前記第1および第2のセグメントの少なくとも1つの前記表面バリアの1つが含まれていない、請求項65に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項67】
前記表面バリアは、ePTFEで形成されている、請求項65に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項68】
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、少なくとも1つの繊維端を有し、
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、組織および器官との前記癒着形成を阻止する少なくとも1つの端バリアを有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記少なくとも1つの繊維端の少なくとも一部分の周囲に延在して、前記少なくとも1つの繊維端の前記部分と隣接組織および器官との間の前記癒着形成を阻止する、請求項62に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項69】
前記少なくとも1つの端バリアは、前記繊維端に隣接した前記第1の表面の縁から前記繊維端に隣接した前記第2の表面の縁までの前記少なくとも1つの繊維端の周囲を包むバリア層を有する、請求項68に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項70】
前記少なくとも1つの繊維端は、前記開口の一部分を形成する開口端を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記開口端の周囲に延在して、前記開口端と前記管状構造物との間の前記癒着形成を阻止する開口端バリアを有する、請求項69に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項71】
前記少なくとも1つの繊維端は、外側周辺端を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記外側周辺端の少なくとも一部分の周囲に延在して、前記外側周辺端の前記部分と隣接組織または器官との間の前記癒着形成を阻止する外側端バリアを有する、請求項68に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項72】
前記少なくとも1つの端バリアは、ePTFEで形成されている、請求項68に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項73】
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、部分的な環状を有する、請求項62に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項74】
前記プロテーゼ修復用繊維は、長軸および短軸を有する楕円形を有し、
前記プロテーゼ修復用繊維は、前記短軸の周囲で非対称であり、かつ偏平の先端と尖った先端とを有する、請求項73に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項75】
前記開口は、前記長軸に沿って、かつ前記短軸と前記尖った先端との間に位置している中心を有する、請求項74に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項76】
前記修復用繊維の層は、組織内方成長を可能にするように構成され且つ配置されている複数の隙間を有する、請求項62に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項77】
前記修復用繊維の層は、ポリプロピレンメッシュおよびPTFEメッシュの1つで形成されている、請求項76に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項78】
前記本体部が、患者の食道に隣接して配置されるように構成され且つ配置され、
前記開口は、前記食道を受け入れるように構成されている、請求項62に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項79】
前記プロテーゼ修復用繊維は、平面構成を有する、請求項62に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項80】
管状構造物の近くに位置した組織または筋壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼであって、
前記管状構造物を受け入れるように構成されている開口を有するプロテーゼ修復用繊維を備え、
前記プロテーゼ修復用繊維は、第1および第2のセグメントを有し、
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、組織および器官との癒着形成の影響を受けやすい修復用繊維の層と、組織および器官との前記癒着形成を阻止する表面バリアと、を有し、
前記表面バリアは、前記修復用繊維の層の表面上に配置され、
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、第1および第2の先端を有し、
前記第1のセグメントの前記第1の先端は、第1の重ね合わせ領域で前記第2のセグメントの前記第1の先端を覆い、
前記第1の重ね合わせ領域は、前記繊維の層並びに前記第1および第2のセグメントの少なくとも1つの表面バリアの1つを含まない、移植可能なプロテーゼ。
【請求項81】
前記第1の重ね合わせ領域は、前記第1および第2のセグメントの一方の前記繊維の層を含まない、請求項80に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項82】
前記第1の重ね合わせ領域は、前記第1および第2のセグメントの他方の前記表面バリアを含まない、請求項81に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項83】
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、組織および器官との前記癒着形成を阻止する表面バリアを有し、
前記表面バリアは、前記繊維の層の表面上に配置されて、当該移植可能なプロテーゼが患者内に設置されるとき前記表面と隣接組織および器官との前記癒着形成を阻止する、請求項80に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項84】
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、少なくとも1つの繊維端を有し、
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、組織および器官との前記癒着形成を阻止する少なくとも1つの端バリアを有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記少なくとも1つの繊維端の少なくとも一部分の周囲に延在して、前記少なくとも1つの繊維端の前記部分と隣接組織および器官との間の前記癒着形成を阻止する、請求項80に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項85】
前記少なくとも1つの端バリアは、前記繊維端に隣接した前記第1の表面の縁から前記繊維端に隣接した前記第2の表面の縁までの前記少なくとも1つの繊維端の周囲を包むバリア層を有する、請求項84に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項86】
前記少なくとも1つの繊維端は、前記開口の一部を形成する開口端を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記開口端の周囲に延在し、前記開口端と前記管状構造物との間の前記癒着形成を阻止する開口端バリアを有する、請求項85に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項87】
前記少なくとも1つの繊維端は、外側周辺端を有し、
前記少なくとも1つの端バリアは、前記外側周辺端の少なくとも一部分の周囲に延在して、前記外側周辺端の前記部分と隣接組織または器官との間の前記癒着形成を阻止する外側端バリアを有する、請求項84に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項88】
前記少なくとも1つの端バリアは、ePTFEで形成されている、請求項84に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項89】
前記第1および第2のセグメントのそれぞれは、部分的な環状を有する、請求項80に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項90】
前記プロテーゼ修復用繊維は、長軸および短軸を有する楕円形を有し、
前記プロテーゼ修復用繊維は、前記短軸の周囲で非対称であり、かつ偏平の先端と尖った先端とを有する、請求項89に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項91】
前記開口は、前記長軸に沿って、かつ前記短軸と前記尖った先端との間に位置している中心を有する、請求項90に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項92】
前記修復用繊維の層は、組織内方成長を可能にするように構成され且つ配置されている複数の隙間を有する、請求項80に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項93】
前記修復用繊維の層は、ポリプロピレンメッシュおよびPTFEメッシュの1つで形成されている、請求項92に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項94】
前記表面バリアは、ePTFEで形成されている、請求項80に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項95】
前記本体部は、患者の食道に隣接して配置されるように構成され且つ配置され、
前記開口は、前記食道を受け入れるように構成されている、請求項80に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項96】
前記プロテーゼ修復用繊維は、平面構成を有する、請求項80に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項97】
移植可能で、生体適合性のプロテーゼ材料の本体部を備え、
前記本体部は、
第1の幅を有する中間区分と、
前記中間区分の反対側から長手方向に延在する一対の端部と、を有し、
各端部は、前記第1の幅よりも大きい第2の幅を有する、プロテーゼ修復用繊維。
【請求項98】
前記端部は、張り出していると共に、前記中間区分から離れて前記長手方向に増大する幅を有する、請求項97に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項99】
前記本体部は、前記端部から前記中間区分の方へ前記長手方向に互いに収束する上端および下端を有する、請求項98に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項100】
前記上端および前記下端は、湾曲している、請求項99に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項101】
前記本体部は、略ボータイ形を有する、請求項97に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項102】
前記本体部は、組織および器官との前記癒着形成の影響を受けやすい繊維の層を有し、
前記繊維の層は、第1および第2の表面と、前記第1の表面から前記第2の表面まで延在する繊維端と、を有し、
前記第1の表面は、当該プロテーゼ修復用繊維が患者内に配置されているとき組織または筋壁に面するように構成され、
前記第2の表面は、前記組織または筋壁から離れて中空臓器の方へ面するように構成されている、請求項97に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項103】
前記本体部は、組織および器官との前記癒着形成を阻止する表面バリアを有し、
前記表面バリアは、前記繊維の層の前記第2の表面上に配置され、当該プロテーゼ修復用繊維が患者内に配置されているとき前記第2の表面と隣接組織および器官との間の前記癒着形成を阻止する、請求項102に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項104】
前記表面バリアは、ePTFEで形成されている、請求項103に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項105】
前記本体部は、組織および器官との前記癒着形成を阻止する端バリアを有し、
前記端バリアは、前記繊維端の少なくとも一部分の周囲に延在して、前記繊維端の前記部分と隣接組織および器官との間の前記癒着形成を阻止する、請求項102に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項106】
前記繊維の層は、コラーゲン、PTFEメッシュ、およびポリプロピレンメッシュの1つで形成されている、請求項102に記載のプロテーゼ修復用繊維。
【請求項107】
胃食道逆流症を治療する方法であって、
(a)前記食道の外壁上に少なくとも1つの外ひだを作成するステップと、
(b)前記少なくとも1つの外ひだをシンチングし、前記食道上に少なくとも1つの外ひだ形成を作成するステップと、
を備えた方法。
【請求項108】
ステップ(a)は、前記食道の前記外壁上に複数の外ひだを作成するステップを含み、
ステップ(b)は、前記複数の外ひだをシンチングし、複数の外ひだ形成を作成するステップを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
ステップ(a)は、前記食道の前記外壁上に第1および第2の外ひだを作成するステップを含み、
ステップ(b)は、前記第1の外ひだを前記第2の外ひだにシンチングし、前記少なくとも1つの外ひだ形成を作成するステップを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
ステップ(a)は、複数の対の第1および第2の外ひだを作成するステップを含み、
ステップ(b)は、前記複数の対の第1および第2の外ひだのそれぞれの前記第1の外ひだを前記第2の外ひだにシンチングし、複数の外ひだ形成を作成するステップを含む、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
ステップ(b)は、前記第1の外ひだを前記第2のひだに縫合するステップを含む、請求項109に記載の方法。
【請求項112】
ステップ(a)は、前記食道の前記外壁の部分に吸引し、前記外壁の前記部分を外側へ引き出すステップを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項113】
ステップ(a)は、前記外壁の前記部分を通じて縫合糸を挿入するステップを含む、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記少なくとも1つの外ひだ形成は、前記食道の長さに沿って縦方向に延在する、請求項107に記載の方法。
【請求項115】
前記少なくとも1つの外ひだ形成は、前記食道の外側周囲の周りの横方向に延在する、請求項107に記載の方法。
【請求項116】
ステップ(a)および(b)は、腹腔鏡によって行われる、請求項107に記載の方法。
【請求項117】
裂孔ヘルニアを修復するステップ(c)をさらに含んで成る、請求項107に記載の方法。
【請求項118】
(c)のステップは、プロテーゼ修復用繊維を前記裂孔ヘルニアに隣接して移植するステップを含む、請求項117に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2010−5417(P2010−5417A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189377(P2009−189377)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【分割の表示】特願2004−502876(P2004−502876)の分割
【原出願日】平成15年3月26日(2003.3.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(591018693)シー・アール・バード・インコーポレーテッド (106)
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【分割の表示】特願2004−502876(P2004−502876)の分割
【原出願日】平成15年3月26日(2003.3.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(591018693)シー・アール・バード・インコーポレーテッド (106)
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]